ポケモン自作小説投稿スレ

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1名無しさん、君に決めた!
自作の小説を投稿するスレです
常にsage進行
分類はポケモン、又はポケモンキャラなら何でもいい
エロでも可
虐待ものは専用スレで
このスレを使って他サイトに自作小説をつけるのも可
観覧するだけもよし
2名無しさん、君に決めた!:2007/03/07(水) 16:37:56 ID:???
1
3名無しさん、君に決めた!:2007/03/07(水) 16:38:34 ID:???
豚が糞をした・・・




豚はそれを食べた・・・







4名無しさん、君に決めた!:2007/03/07(水) 16:39:20 ID:???
ある日レジギガスが
5名無しさん、君に決めた!:2007/03/07(水) 16:39:41 ID:???
>>1
まずはあなたからどうぞ
6:2007/03/07(水) 16:40:40 ID:Ow58ZXXp
1に追加
このスレで小説を作るのも可
7:2007/03/07(水) 16:41:36 ID:Ow58ZXXp
>>5
後で縦貫もの作ってみる
8名無しさん、君に決めた!:2007/03/07(水) 16:41:53 ID:???
レジギガスは3体のポケモンを生み出した・・・






レジギガスは封印された・・・









9名無しさん、君に決めた!:2007/03/07(水) 16:43:29 ID:???
ある日ピカチュウが・・・














10名無しさん、君に決めた!:2007/03/07(水) 16:44:45 ID:???
このスレには人が集まらなかった・・・














11名無しさん、君に決めた!:2007/03/07(水) 16:49:15 ID:???
ぐっちゅ ぐっちゅ ぽわわー
ぐっちゅ ぽわわー

きらわないでね トリトドン

ぐっちゅ ぐっちゅ ぽわわー
ぐっちゅ ぽわわー
12名無しさん、君に決めた!:2007/03/07(水) 17:02:26 ID:???
ある日、ビーダルは水着の女を見に…じゃなくて海水浴にいくと、
レジアイス・レジスチル・レジギガスの3体に
ドダイトスが虐められていました。
「こらこら君たち、カメをいじめちゃいけないお」
「うるせー、握り潰す!」
「アッー!」
もうダメかと思ったその時、
13名無しさん、君に決めた!:2007/03/07(水) 17:03:26 ID:???
その時、その時、その時・・・














14名無しさん、君に決めた!:2007/03/07(水) 17:11:12 ID:???
「不思議のダンジョン?」

爽やかな日差しが降り注ぐ自然公園の中、ふわふわの芝生に座り込んでいる2匹のポケモン……
その片方である緑色の首輪を掛けたリーフィアが、その言葉の通り、不思議そうに尋ねる。
もう一方、隣にいるグレイシア――こちらは青い首輪をしている――は得意気に話を続ける。

「そう!入るたびに中の造りが変わるんだって!面白そうだし行ってみない?」

「うーん…オレはいいや」
15名無しさん、君に決めた!:2007/03/07(水) 17:11:47 ID:???

グレイシアは無関心な返事を聞くと、「言うと思った」と不満気に呟き、
むくっと立ち上がり少しキツい口調で言った。

「じゃー、私一人で行ってくるわね」

そのリーフィアを見つめる目の奥には、何か仕掛けがあるようだったが。

「え!?」

「フィアは行かないんでしょ?だったら、私一人で行ってくるねー!」

「え、ちょ、まっ……い、いってっ……!!」

そそくさと駆け出したグレイシアを見るなり、
「フィア」と名前を短縮されてしまったリーフィアは、すぐさま追いかけようと立ち上がった。
そこまでは良かったのだが、長時間――かれこれ1時間くらいだろうか、
ずっと同じ体勢で座っていたのが災いの元となり……

「て、手足が痛いっ……」

……走れなかった。



気力使い果たしてしまった('A`)
中途半端でスマソ。
16名無しさん、君に決めた!:2007/03/07(水) 17:14:52 ID:???
イーブイは悩んでいた。
「僕は、何になるべきなのだろう」
よし、やっぱりブースターになろう!かわいいし、攻撃130もあるし!

イーブイはブースターになることを決意した。
その後どうなるかも知らずに…

17ルンパッパ ◆Son.GokuNs :2007/03/07(水) 17:30:24 ID:???
リザードが捨てられたフシギダネを拾ったようです
http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1173157024/
18名無しさん、君に決めた!:2007/03/07(水) 19:03:54 ID:???
どぴゅっ!どぴゅっ・・・
19名無しさん、君に決めた!:2007/03/07(水) 22:18:25 ID:???
>>14-16
GJ!!
20名無しさん、君に決めた!:2007/03/08(木) 16:11:25 ID:???
暇だし何か書こうかねえ・・・・
21名無しさん、君に決めた!:2007/03/08(木) 23:22:20 ID:???
ミュウツーVSレックウザ書いてるけど
戦闘がかなりDBっぽくなってしまった…
投下するべきか?
22名無しさん、君に決めた!:2007/03/09(金) 00:50:23 ID:???
いっちゃってけろ。
23名無しさん、君に決めた!:2007/03/09(金) 07:44:23 ID:???
是非とも投下してくれぃ

さてゴーストポケモンでどんな話を書こうか・・・
24名無しさん、君に決めた!:2007/03/09(金) 17:23:57 ID:???
獣姦もの書いてみようかな?
25名無しさん、君に決めた!:2007/03/09(金) 18:05:36 ID:???
期待ge
26名無しさん、君に決めた!:2007/03/09(金) 18:10:03 ID:v1e3XpOW
落ちた獣姦スレも此処で活用すれば?
27名無しさん、君に決めた!:2007/03/09(金) 18:16:38 ID:???
人(男)×ルカリオ(♀)
で書いてみようかな...
2827:2007/03/09(金) 18:33:49 ID:???
 俺は会社を務めていながらもれっきとしたポケモントレーナーだ。
俺の手持ちは一匹、ルカリオがいる。
1年前、友人からもらった卵から、リオルが産まれ
苦労しながらも育て続け、ルカリオに進化したのだ。
このルカリオは戦闘はあまり好まず、俺が会社に出かけている時は、家で大人しく留守番している。
人の言葉も話せれて、さらに珍しく♀だった。
今日も会社を終え、一匹で待つルカリオがいる家へ向かった。
2927:2007/03/09(金) 18:58:53 ID:???
「ただいま」
『お帰りなさい、ご主人様!』
言い忘れていたが、こいつは俺のことをご主人様と呼ぶ。いつも注意してるのに...
「ご主人様じゃないだろ!マスターと呼べ!」
『でっでも...』
相変わらずだだっこだ。だが俺はルカリオのそこが好きである。
「まぁ、しょうがないか...」
食事は俺の他にルカリオのためにも作る。なぜなら、今のルカリオは俺の妻代わりのようなものだからだ。
ポケモンフードのような素朴なものは食べさせていない。
ルカリオは喜びながら俺の飯を喰う。
「おいしいか?」
『ご主人様の料理は最高です!』
飯を食べ終え、会社の疲れをとるために、風呂へ入る。ルカリオは先に入ったらしい。
しばらく風呂に浸かっていると、『どさっ!』と大きな何かが倒れる音がした!
俺はあわてて風呂から出て、着替える暇もなくリビングへ向かった。
するとルカリオが顔を赤くしながら倒れていたのだ!
30名無しさん、君に決めた!:2007/03/09(金) 19:38:33 ID:???
31遅くなった27:2007/03/09(金) 23:08:31 ID:???
「ルカリオ?!」
返事が無い...
俺はルカリオを抱きかかえ、ベッドまで連れて行った。
しばらくするとルカリオは意識を取り戻した。
『ごっ.ご主人さ..』
「大丈夫かルカリオ?」
生きているだけよかった。とりあえず、ルカリオに安静にするようにいい、自分は着替えた。
普段は別に寝ているが、今日は心配なので一緒に寝ることにした。

夜中...
『ハァハァ...』
隣から喘ぎ声が聞こえる。どうやらルカリオが出しているようだ。
「どうしたルカリオ?」
『なっなんでもありません、体が熱くて...』
どうもなんともいえない。よく見るとルカリオは股間の辺りを触っていた。
もしかしてお前...
32名無しさん、君に決めた!:2007/03/09(金) 23:47:35 ID:???
復活age
33名無しさん、君に決めた!:2007/03/09(金) 23:54:02 ID:???
ホモネタktkrwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
34名無しさん、君に決めた!:2007/03/09(金) 23:55:56 ID:???
>>34
期待!!
35名無しさん、君に決めた!:2007/03/09(金) 23:57:30 ID:???
すまん。間違った。
>>34じゃなくて>>31だった
36遅くなった27:2007/03/10(土) 00:02:18 ID:???
俺はルカリオの胸の房の刺を舐めた。
『あっ!あぁぁん!』
かなり感じている...。ルカリオのあそこから妙な液体が流れていた。

やっぱり発情期なんだ...

どうりで発情期が遅いと思ったら今頃きたのか。
ルカリオは苦しんでいる。
「仕方が無い、俺の体で治すか」
未経験の俺だが今ルカリオを苦しめるわけにはいかない。
俺とルカリオは69の体制になり、俺はルカリオのあそこを舐めた。
『うぐっ、んあ...』
ルカリオの愛液が大量に出てきた。相当感じているらしい。
ルカリオも本気らしく、俺のナニを舐めている。
(そろそろいくか)
37遅くなった27:2007/03/10(土) 00:16:37 ID:???
ルカリオを俺の体の上に乗せ、互いに性器を合わせた。
そして...
「いくぞルカリオ!」
『ぁご主人さま!!』
ずぶぶっとルカリオの中に俺のナニが入る。
『ああぁぁぁぁああぁぁ!!!』
ルカリオは悲鳴を上げる。しかし、俺はかまわず上下へ体を動かした。
激しく動くとルカリオの胸の刺が体を引っかきとても痛い。
だが今はそんなことはどうでもいい。俺はルカリオそのものに最高の愛を与えた。
『ああぁ!いくっご主人様!!』
「ご主人様じゃない!!マスターと呼べ!!!」
俺もルカリオも理性という言葉が辞書から消えていた。
激しく愛を感じるために生きているような存在になったのだ。
38名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 00:28:03 ID:???
他のスレで書き込んだ内容から膨らんできたから書いてみる。

-燃え盛る村・・・飛び散る血と耳を劈く断末魔・・・‘‘絶対’’と呼ばれた民の灯が消えていく・・・-

‘‘うっ・・・’’  ‘‘「」!死ぬな!・・・’’  
‘‘逃げなさい・・・あなたはここで終わってはならない・・・’’  ‘‘くっ・・・しかし・・・ぐあっ!’’

‘‘死んだか?’’ ‘‘女のほうは死んでいます。しかし、まだ男のほうは・・・’’ 
‘‘放っておけ。直に死ぬだろう。ここも終わりだ・・・最後は・・・’’

-ナゼダ・・・ナゼワタシタチハケサレルノカ・・・‘‘絶対’’・・・ソノナヲモツコトニホコリヲモッテイタ・・・
シカシソノ‘‘ゼッタイ’’トハ・・・ワタシタチガホロビユクウンメイ・・・ソノコトガ‘‘絶対’’ダッタノカ・・・-

アブソル「はっ!・・・(夢か・・・あのときの・・・。「」・・・)
エンペルト「運命とは皮肉だな・・・‘‘絶対を冠する死神’’よ・・・貴様がまさか私の下につくとは・・・故郷の敵だというのに・・・
      やはりあれからの貴様への迫害、辛いものがあっただろう。私が貴様を軍に入れていなければどうなっていたことだろうか。
      早速だがその役目を果たして貰おうか。バンギラス将軍!こ奴をはじめとしたお前の軍隊をあの村に送れ。
      呪われし詩の伝わるあの村へな・・・」
バンギラス「了解しました。我らが偉大なる‘‘皇帝’’・・・」
アブソル(・・・呪われし詩・・・それに近いものを私の故郷で聞いた。私の故郷はそのせいで弾圧され、迫害され、そして・・・
     しかし、その詩は‘‘呪われしもの’’とは言われていなかった・・・その詩の名は・・・)

-そうして、詩と殺戮の物語は速度を増していく・・・恋人を失い孤独と迫害の日々を送り仇に服属することとなった青年・・・
彼の運命・・・そうなることが‘‘絶対’’だったのか・・・-
39遅くなった27:2007/03/10(土) 00:28:11 ID:???
勢いが増し、自分の欲がはちきれそうになった。
「うぅ、ルカリオ!!中に出すぞ!!!!!」
『ああぁだっ出してー!!!!』
我慢できずに全ての欲をルカリオの中に出した。
(どぷっ!どぴゅ!!)

全てを出し切った頃には理性が少しずつ戻ってきた。
「どうだったか?ルカリオ?」
『ご主人さ...』
「マスターと呼べといってるだろ」
『はっはい』
照れくさそうにルカリオと俺は笑い、そのまま一緒に寝た。

そして朝、寝坊しそうになり俺は急いで飯を作り、会社へ出かけてしまった。

(ルカリオは大丈夫だろうか?)
仕事が終わり、家に帰るとそこには俺のポケ...いや、俺の本物の妻としてのルカリオが待っていた。

『おかえりなさい、マスター!』

         〜Fin〜
40END27:2007/03/10(土) 00:34:18 ID:???
ちょっと途切れ途切れだけど、これで終わりです。
ルカリオ(♀)×人(男)小説どうでしたか?
少し期待を裏切ってしまったようなレスもありましたが、すみませんでした。
感想をかいてくれたら幸いです。それでは。
41名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 01:10:56 ID:???
ぬいた
42名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 09:06:31 ID:???
100万回抜いた(*´Д`)ハァハァ
43名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 15:28:24 ID:???
♂ポケモン×♀トレーナー書いてくれるネ申はいないかなぁ・・・
44名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 16:39:54 ID:???
ポケモン♂×ポケモン♀かポケモン♂×人間♀きぼん
45名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 17:23:31 ID:???
なんなの?ここはエロじゃなきゃダメなの?
46名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 18:43:52 ID:???
>>45
健全でもおk
47名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 20:53:42 ID:???
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/poke/1173525726/
別スレでこんなのも立ってるな
なかなかの良作で個人的に期待してる
48名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 21:47:59 ID:???
じゃあ、投稿してみます。

(タイトル未定)序章の序章。
49名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 21:49:44 ID:???
(タイトル未定)序章の序章


何年か前に、ぼくはある本を読んだ。
その本の中では人間世界の裏に、『犬』が独自に文明を築く世界があった。
猿ではなく、犬が発達し知恵を持った世界。
その物語の中で、その人間同様知恵を持った犬は、こんな発言をしている。

『君達の世界では偶然猿が発達したに過ぎない』
『そして、偶然犬が発達した世界が僕達の世界なんだ』

人間以外の生物が知恵を持ち、文明を築いている世界なんて存在しない。
そんな根拠なんて、どこにもありゃあしないんだよね、ジッサイ。
もしかしたら、ぼく達の誰も知らない遠いところ・・・いや、もしかしたらすぐ近くにでも・・・
ポケモン達が言葉をしゃべり、文明を築いている。そんな世界があるのかもしれない。

50名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 21:50:32 ID:???
「いけぇ、フライゴン!!ドラゴンクローだ!!」

ぼくがそう叫ぶと、目の前のドラゴンはその翼を力強くはためかせ、
猛烈な勢いと共に眼前の敵に強烈な一撃をくわえた。
「あ、ああ!オクタン!!」
致命的なダメージを受けた敵ポケモンは力尽き、相手トレーナーのモンスターボールへと自動的に帰っていく。
「・・・俺の最強の切り札であるオクタンがこうあっさりやられるとは・・・・・・完敗だ」
手持ちに戦えるポケモンがいなくなった男は、チッと悔しげに舌を鳴らすと、
若干納得のいかないようではあるけど、素直に負けを認めた。
「シンオク地方最強のジムリーダーであるこのデンチを倒したいま、お前はこのピーコンバッヂを手にする資格を得た。
 そして同時にポケモンリーグへと挑戦する権利も・・・・・ふん。まあ俺の代わりにポケモンリーグのチャンピオンにでもなってきてくれ」
デンチはポケットからキラリと光に煌く金色のバッヂを取り出すと、ぼくにポイと放り投げる。
逃さずキャッチし、ぼくは満足感と達成感に胸を火照らせながら、
ゆっくりと、たった今受け取った勝利の証『ピーコンバッヂ』を胸のトレーナーカードに貼り付けた。
・・・・・・トレーナーカードの中に輝く8つのバッヂ。
ぼくが、このシンオク地方全てのジムを制覇した証だった。
「ギュウ!!グギュギュウ!!」
そんなぼくを祝うようにフライゴンは、大きい体に少し不釣り合いな小さめの羽をパタつかせながら
ぼくの顔を覗き込み、赤い幕の内側にある愛らしい瞳をキュウッと狭める。

『コウイチくん、これでバッヂ8つっ!やっとポケモンリーグに挑戦できるんだねーっ!やった、やったァ!!ボクも嬉しいよっ!』

そんなフライゴンの言葉が、聞こえてくるようだった。
51名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 21:52:01 ID:???
どんっ!!

意気揚々とナグサジムを出て行くぼくに、勢いよく誰かがぶつかってくる。
「あい、つつ・・・」
比較手小柄なぼくは衝撃によろめき倒れそうになる。
そんなぼくの耳に、聞き慣れた声が入り込んできた。

「なーんだっつんだよー!俺、また先こされちまったの!?」

まだ全然物心のついてなかった頃からずっと聞いてきた声。
ぼくはその人・・・・今ぶつかってきた人に視線を向けた。
その視線の先にあった顔は、やっぱりずっと昔からの親友であり今はライバルでもある、ミキヒサの顔だった。

「あーっ、もう。おれ、お前に先越されてばっかだなァ〜〜。もう8つバッヂ集まったんだろー?」
ぼくのトレーナーカードをめくり8つに輝くバッヂを物欲しそうな目つきでまじまじと見つめるミキヒサ。
ぼくが少し誇らしげに胸を張ってみせると、ミキヒサはためいきをつきながらぼくのトレーナーカードから手を離した。
「ジムを制覇したコウイチくんは今からポケモンリーグ挑戦か〜〜、うらやましいなあ〜〜・・・」
「ミキヒサも、もうバッヂ七つ集まってるでしょ?だいじょぶ、ここのジムの人そんなに強くなかったからミキヒサならすぐバッヂゲットできるよ」
「はんっ。余裕たっぷりな発言するなあ!コウイチめっ」
不遜な顔をしながら、ふと辺りをキョロキョロと見回し出すミキヒサ。
と、そんなミキヒサの目に何か重大なものが映ったようで。
「・・・・・・おっ、コウイチ。あそこの灯台のテレビ見てみ。ポケモンリーグのCMみてぇなのやってるぜ!」
ミキヒサはこちらを向かないまま、ナグサシティ中心に立つ灯台の巨大なスクリーンに向かって指をさした。
ぼくも灯台の巨大スクリーンに視線を移す。そこには、今からぼくとミキヒサが目指す・・・
いや、ずっと昔から目指していた、ポケモントレーナーの頂上・ポケモンリーグの様子がでかでかと映し出されていた。
52名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 21:54:49 ID:???

『シンオク・ナウ!!今日はテレビコトブチ開設記念日特別スペシャルとして、
ポケモントレーナー総本山・シンオクポケモンリーグに来ていまーーーす!!
そして、何と何と!!シンオク中のポケモントレーナーみんなが憧れ、
そして嫉妬する、ポケモンリーグ四天王のみなさんがこうしてカメラの前に集まってくれましたァーーー!キャーーー!!』

やたらと興奮する現地キャスターの後ろに、四人の男女が立っているのが見える。
小柄なぼくよりもずっと小柄な、多分ぼくよりも年下で、アンテナみたいな変な髪癖のちっちゃい子供、
今にも死にそうなほど干からびて、全身をプルプル震わせたまにゴホホホと咳をしているおばあさん、
赤いアフロに白い厚化粧に白い服、まるでピエロみたいな男の人、
貴族や一流企業の重役みたいにピシッと整った格好と顔立ちをした、気品漂うメガネの人。
あれがきっとポケモンリーグ四天王なんだ。ポケモントレーナーの頂点、そして今からぼくが戦う四人・・・!

『さぁー、四天王さん!テレビの前のポケモントレーナー、そして未来のポケモントレーナー達に、一言お願いしまぁすっ!』

『ハーーイ!ぼく四天王のリョウトでぇーす!バッヂ持ってる人、どしどし来ちゃってくだーーさいっ!!
 ぼく達といっぱい楽しいポケモン勝負しましょ〜〜!・・・あっ、パパ〜〜!!ママ〜〜!!見てる!?ねぇ、見てる〜〜〜〜!!?わーいわーい!!』
『わた・・・・・・し・・・してんの・・・・・・キクエ・・・・・・ゴホッ、ゲホホホォ!!グギャアア!!!・・・みんな来てね、ポケモンリーグホォ!!ゴホホホッ!!ギャぁ!!』
『アーイム・ラビニィーット!!おれ四天王のオーパ!!俺のケツに火ィつけられるような強い挑戦者待ってるぜッ!!アッーイム・ラビニィーット!!』
『どうもテレビの前のみなさん。私は四天王のゴギョウ、ポケモンの神話や秘密について調べています。
 よくシンオク各地を渡り歩き、特にハクタネシティやカンザキシティにはよく出向くので、私を見かけたら一声かけてください。サインも書きますよ』
5338:2007/03/10(土) 22:02:55 ID:???
>>37 >>39  間に入っちゃった・・・ごめんね。

-帝国の爪・・・死神の鎌・・・伝えられし詩を刈り取りに向かう・・・
爪は何の為に赤黒く光るのか・・・死神の心は何故泣いているのか・・・-

バンギラス「ふふふ・・・見えたぞ。忌まわしき詩を伝えし民よ・・・後悔しろ、詩を捨てればこのようなことにならなかったのに・・・
      後悔してももう後の祭り・・・だがな。ふっふっふ・・・」

-今宵も紅き雨が降る・・・赤黒き爪から逃げる娘・・・しかし爪は娘を逃がさない・・・
そして、死神の辛き記憶がまた甦る・・・-

「はぁ・・・はぁ・・・」
バンギラス「逃げても無駄だ!ストーンエッジ!」
「あぁ!」
バンギラス「まだ息絶えていないようだな・・・照準があわなかったせいか・・・次は楽にしてやろう・・・」
アブソル「・・・「」!」
 ガキィィィン!
バンギラス「・・・貴様!何をする!?」
アブソル「・・・それはこちらの台詞だ。武器を持たぬものに何をする!それに、この殺戮、何の意味があるというのだ!」
バンギラス「貴様には言われたくないわ!この偽善者めが!貴様、あの事件から今までいくらの者を殺してきた!貴様の命の為だけに・・・
      我々はもう・・・引き返せないのだ。この血塗られた運命から・・・」

-ソウダ・・・ワタシハ‘‘シニガミ’’・・・コロスタメニウマレテキタノダ・・・「」・・・キミガイナクナッタセカイ・・・ドウデモヨイ-
-イヤ・・・チガウ・・・ワタシガホントウニノゾンダノハ・・・コンナスガタデハナイ・・・カノジョヲ・・・コロサセハシナイ・・・−

-死神は人を狩る鎌を捨てた・・・娘と死神は逃げた・・・そして人里離れた村に着いた・・・
そこでようやく安息を得ることが出来るか・・・それとも・・・-
54名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 22:04:09 ID:???
『では、これでポケモンリーグ現地リポートを終わりまぁす!ではさようなら!』

現地リポートが終わり、巨大モニターはぼく達の全く興味の無い映像に切り替わった。
ミキヒサはかまわずモニターを見続けながら、感極まったのかこんな事を言い出す。
「くーっ。グッと来るね!俺ももうすぐあのポケモンリーグに・・・
 ・・・で、お前は今から挑戦しにいくんだよな。おれより先にっ!
 もう深夜だケド、今から行って夜明けにはチャンピオン様になってますってかー!?うンらやましいーっ!」
ニコニコしながらぼくの黒髪をワシャワシャと撫で回すミキヒサ。
ぼくはそのままミキヒサに向かってこう言った。

「いや、まだ行かないよ。行く前に・・・ぼく寄る所があるんだ」

「はい?」
手の動きを止めおずおずと引っ込めながら怪訝そうにぼくを見つめるミキヒサ。
と、ミキヒサは芝居っぽく手の平をポンと叩いたと思うと
ジャーン!とでも鳴りそうな風にこちらをビッと指差し自信満々にこう言った。
「そっか!まずは家に帰って、おママにご一報ってワケだなぁ〜〜!?こ〜のマザコンめっ!」
「違う」
「にゃにっ!?」
ぼくの発言に、これまた大袈裟なリアクションを取るミキヒサ。
意地悪っぽく舌を出して挑発してみると、ミキヒサの顔がもどかしげな色に染まっていく。
「なんだっつんだよー!おまえオレをバカにしてるなー!?えい、言わなきゃ罰金100万円ー!」
法外な『罰金』を請求しながら、力のこもってないパンチやらをぼくに浴びせるミキヒサ。
込みあがってきた笑みを顔に浮かばせながら、ぼくは言った。
「ぼくの思い出の場所さ。・・・なんなら、ミキヒサも行く?いっしょに」
ミキヒサに向けて、ニコリとやや意地悪っぽい笑みを作る。
ミキヒサはパンチやらをピタリと止めて、ぼくの顔を少しの間見つめたと思うと
みるみると表情を笑みに変えていき、そしてぼくの全く予想通りの事を言ってくれた。
「もっちろん!もちろんだよコウイチくーーん!!
 いやぁ、さすが親友!にゃっははーー!」
ぼくの肩を掴みながら、ルンルンと小躍りするようにして喜びやらを表現するミキヒサ。
ぼくはそんなミキヒサを見つめながら、『思い出の場所』へ飛ぶためにフライゴンの入ったボールを高く挙げた。
5548:2007/03/10(土) 22:05:58 ID:???
ぼくは、血液型がA型だ。
だからなに?とか言わないで、最期まで聞いて欲しい。

血液型性格診断なんてものがあるけれど、それによるとA型って『几帳面』な人らしいんだよね。
性格診断なんてほぼ占いみたいなもんじゃあないか。ロクなもんじゃあない・・・
ぼくはそう思ってはいるけど、この血液型性格診断の結果は、ぼくにとってはズバリ当たっているんだ。

ぼくは自分でも信じられないほど『几帳面』で。整理整頓なんかはしないと気がすまないんだよね。
時間だってキチンと守るし、全ての物事にちゃあんと確認は怠らない。
だから、忘れ物だとか遅刻だとかは特別な事がない限りいっさいしたコトないし、
捕まえた事のあるポケモンをもう一回捕まえちゃったりとかそんなコトは今まで一回もなかった。

後味の悪いことはしたくない、とか・・・・・・大事な物事の前にはまずやるべきことを全部済ませる・・・・・・とか。
そんな性格だから、ぼくはポケモンリーグに行く前に『思い出の場所』へ向かうことにしたんだ。
几帳面じゃなかったら、そんなことしない・・・少なくともミキヒサだったら絶対しない。

そう、もしぼくが『几帳面じゃなかったら』・・・・・・『A型じゃなかったら』・・・・・・
たぶんだけれど、『これから起こること』は『絶対に起こらなかったんだ』。
そう、『ぼくの運命を全く変えてしまう出来事』は・・・・・

でも、結果的にそれが幸運であったか、不幸であったかを
未来の、『これから起こる運命の変化』を乗り越えたときのぼくに聞いてみたとしたら・・・・・

たぶん、『ものすごい幸運だった』って答えるとは思うだろうケド・・・・・・ね。


〜続く〜
5648:2007/03/10(土) 22:07:53 ID:???
うわちゃあ。間に・・・
57名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 22:36:02 ID:xNzlWoZT
age
>>48乙!連載モンはこういうスレに乗せるのに向いてるのか?
58名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 23:06:26 ID:???
興味深い!!
続きも期待!
59名無しさん、君に決めた!:2007/03/10(土) 23:32:12 ID:???
>>55
(゜д゜)スッゲマジ期待
60名無しさん、君に決めた!:2007/03/11(日) 00:35:10 ID:???
>>57
これで序章の序章っつーなら相当ながく続けるつもりだろうし、
だとしたら>>47のみたいに単独たてちゃった方がいいんじゃない。
61名無しさん、君に決めた!:2007/03/11(日) 15:40:12 ID:???
デンチwwオーパww
なにこの微妙なパラレルww
62名無しさん、君に決めた!:2007/03/11(日) 17:45:37 ID:???
>>14-15
今更だが、続き書いてくれない?
63名無しさん、君に決めた!:2007/03/11(日) 18:42:28 ID:???
期待はしてないが自由に書いてよし
6448:2007/03/11(日) 21:42:25 ID:???
あんま長すぎるのって、投稿しちゃいかんかな・・・
65名無しさん、君に決めた!:2007/03/11(日) 22:46:07 ID:???
いいんじゃね。百レスとかは勘弁だけど。
66名無しさん、君に決めた!:2007/03/11(日) 23:22:01 ID:???
満ちた月が辺りを照らしいつもより明るい夜の空を、ぼくとミキヒサを乗せたフライゴンがゆっくりと飛行している。
上空から見下ろす夜の町や自然の景観に感嘆の声をあげはしゃぐミキヒサに一々かまっている内に、
フライゴンは、ぼくの『思い出の場所』にゆっくりと降り立った。

「ここは・・・シンシ湖か?」

目の前に雄大に広がる湖を見つめながら、ポツリと一言漏らすミキヒサ。
ぼくが「そうだよ」と一言いって頷いて見せると、
ミキヒサは半笑いの表情で、ぼくに突っかかってきた。
「なんだっつんだよ、思い出の場所ってここのことかーー!!
 ・・・オレたち二人の思い出の場所だな、ここは」
「・・・そうだね。ぼく達がポケモントレーナーになるきっかけになった場所だ」
ぼくとミキヒサはどちらともなく湖の渕に腰掛け、ゆったりと流れる水面を見つめながら
互いに思い出していくように、湖での思い出を語り合っていた。

「ここでヒカルって子とオオカマド博士がいてさ、モンスターボールの入ったバッグ忘れてったんだよな」
「そうそう!で草むら入ったらムックルが出てきて!」
「んでオレ達、勝手にバッグ開けて中のボール使っちゃったんだよな!」
「オレ達とか言わないで!勝手に開けたのはミキヒサ!止めといたほうがいいって言ったのに・・・」
「でも結果バッグ開けんのやめてたらさ、オレ達こうしてトレーナーになってなかったよな、きっと」
「うん。え、じゃあ何?ぼくがこうしてトレーナーになってポケモンリーグ挑戦間近なのも全部ミキヒサのおかげ!?」
「そういう事になるねェー!にゃは、俺様に感謝せいよ、俺様に平伏せいよコウイチ!」
「ははーっ、おありがとうございますっ!・・・・って何で!」
「にゃははー!冗談だよぉっ!」

どれだけ思い出を語り合っていたか分からないけど、しばらく経ったらもう話すことが無くなって
二人で無言のまま、風が葉を揺らす音と波が岩を削る音に耳をくすぐられながら、月明かりに煌く湖面を見詰め合っていた。
どれだけそうしていただろう。思い出を語り合っていた時間よりも長く、無言の空間が続いていたかもしれない。
気が遠くなり時間も忘れそうなほどそんな時間が続いてたとき・・・ふとミキヒサがこう言った。

「・・・あれ、なんだ?」
6748:2007/03/11(日) 23:23:59 ID:???
湖の先を真っ直ぐ見つめ指をさしながら、不思議そうに首を傾けるミキヒサ。
指をさした方向にぼくは目を凝らしてみる。・・・孤島のようなものが見える、気がする。
「あんなもん、あったか?あんな島・・・この湖にあったかよ?」

「・・・なかった」

ミキヒサと同じ違和感を胸に感じながら、ぼくはもう一つの違和感を見つけてしまう。
湖の水かさが、いつもよりも大分減っているのだ。
ぼくはその違和感を胸に蓄えることはせず、すぐにミキヒサに報告した。
「ねぇ、見て。水・・・水位がいつもより明らかに低いよ。気付かなかった?」
ぼくの言葉にミキヒサは真下を見つめ水位を確認する。『そういえばそうだな』とでも言う風にミキヒサは眉をしかめる。
「これって、あれか・・・引き潮ってやつ?」
真下を見つめながらポツリとそう一言を漏らすミキヒサ。
引き潮。たしか学校で習った。ぼくはすぐに脳の奥から引き潮の情報を引っ張り出し、頭の中でその情報を読み上げる。
引き潮って確か、月の引力が何だかで海面の高さが低くなることだけど・・・
ここは湖だ。引き潮なんてことはありえない。
その事をぼくが言おうとして口を開きかけたとき、ミキヒサがそれを遮るようにこう言った。

「言ってみる?あの真ん中の・・・・・・島」

島を指差しながら、ニッと愉快げに微笑むミキヒサ。
・・・相変わらずの好奇心の強さに、ぼくは呆れそうになる。
昔からこの変な好奇心に振り回されてみると絶対にロクな事が起こらない・・・
そうは分かっているんだけれど、ぼくだって『突如湖に現れた謎の島』に対する好奇心が沸々と湧き上がってきている。
ぼくには、力強く「うん」と一度だけ頷いた。
6848:2007/03/11(日) 23:24:42 ID:???
「こうやってこの湖で波乗りすんのってさ、始めてだよね。ジッサイ」

月明かりに照らされる湖面を、ぼくはラグラージに、ミキヒサはエンペルトに乗りながら孤島へと向かっている。
二匹が激しく水を掻き分ける音にかき消されそうになりながらも、ぼく達二人は会話を絶やさない。
「ま、そんな機会なんてなかったからな。しかしまぁ・・・・・・」
眉をしかめながら、ぼくのラグラージの顔を覗き込むミキヒサ。
「お前のそのラグラージってのさァ・・・ほんっとキモいよな」
「キモくない!」
「いや、キモいって。顔とか」
「キモくなーい!」
そんないつも通り馬鹿らしい会話をしている内に、ぼく達は『謎の孤島』に着いていた。

たぶん普段は湖の奥底に隠れているのであろうその謎の孤島には、奥深そうな洞窟だけがあった。
小さい入り口から中がちょこっとだけ見えるけど、明かりの類は一切なさそうだ。
ぼくが何となく不安を感じ躊躇っている傍ら、ミキヒサはその洞窟へと全く躊躇いなく入ろうとしている。
ぼくはたまらずミキヒサに声をかけた。
「ちょ、ちょいまち、ミキヒサ!」
「なァ〜〜〜〜んだっつんだよぉ?」
ぼくの呼び止めに、うっとうしそうな表情でこちらを振り向くミキヒサ。
「そこ・・・入るの?だいじょうぶ?ホントに?」
ミキヒサはやれやれと言った風に大袈裟に手を高く挙げ、目を瞑り首を振りながらこんなことを言う。
「あ〜〜、入るに決まってんだろ!入れそうな洞窟を見つけたら即入る!冒険者の心得だぜっ?
 まっ、コウイチくんがいかないっつーんなら、オレ一人でも行っちゃうけどねーーっ、と!」
そう言い終わると、ミキヒサは未知の洞窟の中へとずかずかと入り込んでいく。
「もう・・・・・・ミキヒサめ!」
ぼくは好奇心と若干の不安を感じながら・・・ミキヒサの後をついて洞窟の中に入っていった。
6948:2007/03/11(日) 23:25:45 ID:???
予想通り暗い洞窟の中を、ミキヒサのサーナイトのフラッシュを頼りに進むぼく達。
不思議なことは、やたらと広く深い割には野生のポケモンがいないことだ。
イシツブテやズバットすらも、全く出てくる気配が無かった。

「こりゃあ・・・珍しいポケモンどころか、ポケモン自体いないかもな」

床の小石を蹴飛ばしながら、心底つまらなそうにため息をつくミキヒサ。
「こんな広いのに、ポケモンがいないってのもおかしいけど・・・ホント何もなさそうだね」
ぼくも、もう辺りをキョロキョロ見回すこともやめて、もはや『早く一番奥に着いてくれ』とまで願いつつ
ひたすら道なりに歩を進めている。たぶんミキヒサだって同じだ。
と、すっかり好奇心が消えうせていたぼく達の目前に、下りの階段が現れた。
「階段、だ・・・・・」
小さく呟くミキヒサ。その顔に、ちょっとだけ好奇心の色が戻ってきているようだった。
「階段っ!階段だよミキヒサ!これってアレじゃあないか?この洞窟は自然に出来たものじゃなくて、
 作られたもの、つまり、実はなにかの遺跡・・・・・・ということは・・・・・・!」
「・・・・・・いるかもな。『古代のポケモン』がっ!」
すっかり入る前の好奇心を取り戻したように、ニワッと笑みを浮かべるミキヒサ。
と、好奇心を取り戻したミキヒサはもう歩いていくのももどかしいらしく、ダッと走り出した。
「へへーーーんっ、オレが先に行っちゃうもんね!!今度こそはオレが先を越してやるぜーーー!!」
「あ、ちょっと!道暗いからあぶな・・・・・・」
ぼくの言葉を全く無視し、楽しげに叫びながら階段を一段飛ばしで降りていくミキヒサ。
ミキヒサの声が洞窟中に反射しぼくの耳にガンガンと痛いほどに響く。
ほどなくして、「あでゃっ!!あでゃあでゃーーっ!!」という悲鳴と転げ落ちるようなド派手な音が響いてきた。
フラッシュが無いから階段を踏み外して転げ落ちたんだろう。
「・・・・・・はぁ。まったく、もう」
ぼくは笑みの混じったため息をつきながら、キョロキョロと目を真ん丸くしてうろたえているサーナイトと共に落ち着いて階段を降りていった。
70名無しさん、君に決めた!:2007/03/11(日) 23:27:02 ID:???
「あいててー・・・・・・」
「大丈夫?ミキヒサ」
階段の下で痛みに頭を押さえてるミキヒサに声をかける。
ミキヒサは「大丈夫」というより前に、目の前の方向を指差して元気に叫び出した。
「それよりもさっ、すごいぜっ。ポケモンはいねーけど、やっぱりここ何かの遺跡だったんだ!見てみろって、周り!」
頭を押さえるのをサーナイトに任せながら、キャッキャとはしゃぐミキヒサ。
ぼくは、ミキヒサの言う通りに辺りを見回した。

上の階に比べると、このフロアはとても明るい。もしかしたらフラッシュもいらないかもしれないってくらいだ。
壁や天井の姿もハッキリと確認できる。岩の隆起やその渕に生えている苔も、
そして、その岩面の至る所に刻まれている壁画らしき物も。
そして取り分け目を引くのが、ほぼ部屋の中心の床に刻まれた魔方陣のような紋様。
均整の取れたその幾何学模様は、明らかに自然に出来た物ではないことを示している。

「もしかして、この遺跡発見したのってオレ達が一番なんじゃないの〜〜!?
 珍しいポケモンはいねーけど、こういうの見つけた人ってテレビ出たり金もらえたりするんだよな!なっ!」
すっかり元気になったのか、ミキヒサはもう立ち上がりニコニコしている。(サーナイトは未だミキヒサの頭を押さえているけど)
「へへへーっ、もしかしたらお宝なんかもあったりしてっ!金の玉とかがっぽがっぽにあったりしてェっ!!
 うっひゃぁーーーあっ、若くしてオレたち億万長者!?すっげーーーぇっ!!」
興奮して部屋の中心に向かって走り出すミキヒサ。
「ちょ、また走り出すー!転んだら危ないよー?」
年下に聞かせるような注意をしながら、ぼくもミキヒサの後ろをついていく。
二人揃って部屋の中心の紋様の上に立った時・・・・・・異変が、起きた。


『勇者よ』
71名無しさん、君に決めた!:2007/03/11(日) 23:28:49 ID:???
「?・・・なんか言った?」
「いや、何も。ミキヒサこそ、何か言ったでしょ」
「いや、なにも」

どこからか、確かに聞こえてきた謎の声。
空耳なんかじゃあない。空耳とか聞き間違いとか言う割には随分とハッキリ聞こえたし、
何より、ミキヒサもその声が聞こえたみたいだし。
二人して周辺をキョロキョロ見回していると、もう一つの異変・・・
今度は、ハッキリと分かる異変が起きた。

ポン!

「あっ!?」
突如、ベルトにかけてあったモンスターボールが勝手に開きポケモンが出てきてしまったのだ。
ミキヒサも同じく、勝手にポケモンが出てきてしまっている。
そして・・・

ポン!ポン!ポン!

一つ一つ、そして全てのモンスターボールが勝手に弾け、ポケモンが出てきてしまう。
フライゴン、ラグラージ、ゴウカザル、ジュカイン・・・
エンペルト、バクフーン、メガニウム、パチリス・・・
ぼくとミキヒサの合わせて(既に場に出ていたミキヒサのサーナイトも合わせ)
十二体のポケモンがその場に出される。急に場が賑やかになってしまった。
「な、なんだっつんだ一体!も、戻れみんな!」
ミキヒサはボールにポケモンを戻そうと、ボールを拾い上げポケモンに向かいかざす。
何も起こらない。
モンスターボールをポケモンにかざすと、ボールが反応し自動的に開きポケモンを吸い込んでいくはずだ。
しかし、ボールが開く気配は無い。重油を流し込んだかのような空しい沈黙が流れていくだけだ。

「な・・・なんだっつんだよ・・・・・一体・・・・・・」
72名無しさん、君に決めた!:2007/03/11(日) 23:30:16 ID:???
首をかしげ、異様な雰囲気にざわめくポケモン達。
ぼく達も一緒になって首をかしげる。
そんなぼく達に、また・・・・・・あの、声が。

『よく来ました、勇者達』

「・・・・・・・!!」
今度は、よりハッキリと。
耳元で囁かれているように、その言葉はハッキリとぼく達の耳に入ってきた。
「なんだ・・・っつんだよぉ・・・!」
ミキヒサの顔が徐々に青ざめ、恐怖の色に染まっていく。
ぼくでさえあまり見たことの無い、ミキヒサの『怯えた顔』。
「なんか・・・・・怖いよ、コウイチ!ここ、怖い!!コウイチ、みんな、出よう、帰ろう!!」
声を震わせ、上ずらせ、怯えた表情で出口へと走っていくミキヒサ。
「ま、待ってよ!」
ぼくも、ミキヒサの後を追う。
ぼくだって、怖かった。連続して起こる怪現象に心底怯えていた。
人は誰だって、異常事態が起こればまず命の危険を感じる。

「うぴゃ!!」
7348:2007/03/11(日) 23:32:20 ID:???
「!!」

外へ出ようと階段を上がろうとしたミキヒサが、突如何かにぶつかったように・・・後ろに倒れた。
いや、ジッサイ『見えない何か』にぶつかったのかもしれない。そう、『見えない何か』・・・・・・
倒れたミキヒサにサーナイトが駆けつける。
ミキヒサは赤くなった鼻を押さえながら起き上がり・・・・・・悲鳴を上げた。

「ひいいいいい!!!!」

声が裏返り、虫の金切り声のようになったミキヒサの叫び声に、サーナイトが、いや、辺りにいる全員・・・
もちろんぼくも含めて・・・ビクリと震え上がる。
こういった現象に(多分だけれど)鈍感であるはずのポケモン達も、みなブルブルと身を震わせ怯えている。
「グギュ・・・グギュウ・・・」
助けを求めるようにこちらを見つめるフライゴン。ぼくに彼を落ち着かせるほどの心の余裕は全く無かった。
人間である、しかも子供のぼくは、一刻も早くここから消えたいと願うほど怯えていた。
おそらく尿意が少しでもあったのなら・・・・・・失禁しかねないほどに。

そんなぼく達に・・・・・・次の瞬間、『三つ目の異変』が起きたのだ。
7448:2007/03/11(日) 23:35:49 ID:???
『三つ目の異変』は、今までの異変とは全く別次元の物だった。
いや・・・・・『異変』?『異変』なんて言葉でくくれるものじゃあ、到底ない・・・・・・
これは・・・・・・『超常現象』だ。

「ギュッ!?」
その現象に最初に気付いたのはポケモンだった。ほどなくしてぼくもその現象に気付く。

・・・見間違いじゃあない。なら、幻覚?

・・・部屋の隅から、部屋の四方から『闇』が漏れ出こちらに迫ってきている。
何も見えない、闇。いや、無と言うべきか?
ともかく『それ』が、流れ出る水が染み込み地を薄く染めるように、どんどん辺りを侵食していくのだ。

「な・・・なんなんだよ、なんだっつぅんだよぉ!!!ぎゃああああ!!!」

徐々に染み込んでくる『無』の闇に飲まれそうになるミキヒサ。
ミキヒサはサーナイトの手を引き、ぼく達がいる魔方陣の元へ帰ってきた。
間もなく、先程までいたミキヒサがいた場所が無に飲み込まれなくなってしまった。

『ようこそ、勇者達よ』

無の侵食の中、またあの声が聞こえた。ミキヒサだけでなくポケモン達もぼくも全員が体をブルリと震えさせる。
「コウイチ・・・・・・助けて・・・・・・なんだよ、コレ。なんだっつんだよ、コレ・・・・・・
 オレが何をした!?オレが何を・・・・・・!」
恐怖と絶望の涙を流し、その場にへたり込むミキヒサ。
同時にぼくも完全に腰が抜け、糸が切れたようにその場にへたり込んでしまう。
無の侵食は止まらない。やがて無の満ち潮は、ぼくらの立つ紋様の孤島さえも飲み込んでいった。

『よく来てくれました、勇者達よ・・・・・・』

正体不明の、意味の分からないあの声を聞きながら、
ぼく達は全員・・・一人一匹残らず無の海に飲み込まれなくなっていった。
7548:2007/03/11(日) 23:37:30 ID:???
まだもう少し個人スレじゃない以上
やっぱ長すぎるのでここで一旦止めるね。

続きは明日。
76名無しさん、君に決めた!:2007/03/11(日) 23:39:51 ID:???
『まだもう少しあるけど』です。
意味の分からん脱字サーセンwwww
77小平:2007/03/12(月) 00:00:12 ID:???
俺は受験で失敗したよ。俺がっかりだよ。
78名無しさん、君に決めた!:2007/03/12(月) 00:01:03 ID:???
乙であります!
7914:2007/03/12(月) 00:08:15 ID:???
>>62
リクエストd。
また気力が出たら書くわ。今は沢山人いるみたいだしな…

>>48
続きに期待。
80名無しさん、君に決めた!:2007/03/12(月) 01:01:25 ID:???
キモクナーイ
81名無しさん、君に決めた!:2007/03/12(月) 08:54:05 ID:???
>>48
ラグラージはキモクナーイ☆
82名無しさん、君に決めた!:2007/03/12(月) 16:44:58 ID:???
>>48
GJ!!
8348:2007/03/13(火) 21:59:22 ID:???
諸事情で投稿が遅れてるけど何とか明日には…

>>78->>81
ホントーに励みになりますわー。ありがとう。
84名無しさん、君に決めた!:2007/03/14(水) 02:03:50 ID:???
ハルカ×アスナの小説を投稿します下手だけど許してね



「うわ〜凄い温泉〜!!」私ハルカ、今ポケモンマスターになる為にホウエン地方の旅をしています
今日私はフエンタウンのジムリーダーのアスナさんを倒し、バッジを手にいれ
今私はこの町の名所である温泉にて今日のジム戦の疲れを癒しに来ました

「ん〜いいお湯ね〜」
ここの温泉の湯は体にも良いらしく私は温泉の温かみを堪能していた
私以外誰も温泉に入浴していないことに気付かない程に
85名無しさん、君に決めた!:2007/03/14(水) 02:28:10 ID:???
「ハルカちゃん入ってる?」
温泉の入口の方から私を呼ぶ声が聞こえた、入口の方を見てみると
バスタオルを巻いたアスナさんがいた。
「アスナさんも温泉に?」
「この恰好を見ればわかるでしょ?一日の疲れは温泉でスッキリさせたいし!」

私はアスナさんと混浴をすることになった、アスナさんは
バスタオル越しでもわかる位綺麗なボディラインをしていた
そんなことを考えつつ、私はアスナさんと今日の戦いのことを話していた
86名無しさん、君に決めた!:2007/03/14(水) 13:46:35 ID:S1ReRgEI
age
87名無しさん、君に決めた!:2007/03/14(水) 13:48:50 ID:???
wktk
88名無しさん、君に決めた!:2007/03/14(水) 16:22:00 ID:???
続き


「この温泉って本当いいですよね、日々の疲れがとれて癒されるってゆうか…」
戦いに関しての話も終わりも終わり話題はこの温泉へて変わった
ア「確かにここに入ると疲れはとれるけど
でも負けたっていうことに対しての歯痒さは癒されないわね」
ジムリーダーには色々と苦労があるのだろうと思い私は話を聞いていた

「私達ジムリーダーってさ毎日…って程でもないけど
色んなトレーナーと戦うじゃない、そのトレーナーも
何度挑んできてもバッジを渡せなかったりハルカちゃんみたく
一回戦っただけでバッジを渡せる程の力があるトレーナーもいたり…」
段々アスナさんの話が重くなり私は彼女の話を聞く一方になっていった


「バッジを渡せるトレーナーがいるのは嬉しいんだけど
それはつまり私がその相手に負けるってことだから…
まあそれでたまにジレンマ…みたいなのを感じちゃうかな」

アスナさんの話が終わり私達はしばらく無言のまま湯に浸かっていた
のぼせてきたので私は温泉からでようとした――――――ら

「――――待って」
アスナさんは私を後から優しく抱きしめてきた
89名無しさん、君に決めた!:2007/03/14(水) 17:26:45 ID:???
「まだ話には続きがあるの」

アスナさんは優しく、だけど力強く私を抱きしめてきた
「さっきいったじゃない、こういう時は誰かに慰めてほしいって
例えばハルカちゃんみたいなかわいい女の子とかに」
そういいながらアスナさんの手は私の胸の方へと延びていった

「ん、っぅぅ!」
アスナさんは私の胸を優しく触ってきた
「ハルカちゃんって胸大きいわよね〜」
「ア、アスナさんの方が大きいじゃないですか」
「歳相応ってことよ、私がハルカちゃん位の時はこんなに大きくなかったな〜」
アスナさんに胸を触られる度私は変な感じになっていくのを感じた
何なのだろうこの感じバトルに勝った時以上の気持ちの良さが私の体を襲った
「ハルカちゃん気持ちいい〜?って気持ちいいよね〜
胸の先も固くなってきてるし〜」

私は声を出せなかった何故なら声にだせない位気持ちいいからだ
「ん〜無視しないでよ〜だったら〜」

「あ、い、痛!!!!」
アスナさんはさっきまでの優しく撫でるような
動きから急に私の胸の先を強くにぎってきた

「ちゃんとしゃべれるじゃない、無視しないでよ〜」
「む、無視したんじゃなく、あ、!!」

アスナさんは私が声を出す度、私の胸の先を力強く握ってきた
90名無しさん、君に決めた!:2007/03/14(水) 18:28:14 ID:???
途中で投稿中断して放置するなよ。他の人が投稿しにくくなるだろ。
投稿中断するにしても一言断り入れてからにしろ。それともそれで完結?
91名無しさん、君に決めた!:2007/03/14(水) 18:31:37 ID:???
>>90
ごめんごめんあまりこのスレ書き込む人がいないから
そういうの気にしてなかった後もう少し続きます
92名無しさん、君に決めた!:2007/03/14(水) 18:41:48 ID:???
一度メモ帳に全部書いてから投稿したほうがいいよ。
9348:2007/03/14(水) 19:40:43 ID:???
これはずいぶん投稿しづらいスレですね・・・
まだダメ?
94名無しさん、君に決めた!:2007/03/14(水) 20:33:03 ID:???
好きにしたら
9548:2007/03/14(水) 20:33:06 ID:???
返事が無いんで投下しちゃお・・・
>>91ゴメンね。
9648:2007/03/14(水) 20:34:39 ID:???
飛んだ。

飛んだ意識の先は、闇だった。

何も見えない。
何か変な例えだけれど、墨汁の海に顔を突っ込んだかのように・・・・・・
ただただ眼前には黒い風景が広がるのみ。
でも、『聞こえる物』はある。

これは・・・・・・

風に揺れた葉が、他の葉っぱ達と擦れ合う音?
風に散れた砂が床を転がり、色々な物にぶつかる音?
風に押された水が岩にぶつかる音?

そこまで頭が整理されてから、やっとぼくはこの事実に気付いた。


『ぼくは目を閉じている』。
『いまから目を開く事が出来る』。
9748:2007/03/14(水) 20:35:43 ID:???

ぼくは、心の中でカウントダウンを始める。

3・2・1だ。3・2・1の・・・1の次に!
そうっ、『0』の瞬間に目を開けよう。
OK?ぼく。うん、OKだよ!ぼくっ!!
よし、行くぞぼくっ。行けぇっ!行っちゃれぇ、ぼくゥっ!!

3・・・

2・・・

1・・・

・・・ん〜〜っ!

0っ!!


ぼくの目に入ってきた風景は、空だった。
起き上がり辺りを見回すと、そこが湖のほとりであることが分かった。
ここは・・・・・・シンシ湖?


いや。全然・・・シンシ湖じゃない。
9848:2007/03/14(水) 20:37:28 ID:???
「あっ、フライゴン!」

ぼくは、隣にフライゴンが倒れている事に気付いた。
緑色の大きい体を横たわらせ、苦しそうに呻いている。
ぼくは頭の整理をするよりも先に、倒れているフライゴンの元へ近づいた。

「だいじょうぶっ?フライゴン!だいじょうぶかっ!?」

フライゴンの肉感的な体を叩くと、ぺちぺちとしたみずみずしい音が鳴る。
一度叩くたびに、一度鳴らす度に、フライゴンが呻き体を震わせていく。
何度目かの時、ついにフライゴンは目を覚まし起き上がった。
首を持ち上げ、かわいらしい寝ぼけ眼をこちらに向けるフライゴン。
「あ・・・おはようございますコウイチくん。その・・・ここ、どこですか?」
フライゴンも、ぼくと同じ疑問を持っているようだ。
「フライゴンっ!よかった、もう目を覚まさないかと思った・・・!」
ぼくは、フライゴンの首をひしと抱きしめた。
うっとうしそうに首をぶるんと振ろうとするのを感じ取り、慌てて腕を離す。
「あっ、ごめん。・・・フライゴン?体に怪我とかない?」
「ん・・・だいじょうぶですよ。それよりもここ、どこかなぁ?シンシ湖じゃ・・・ないですよね」
「うん。そうみたい・・・リッチ湖でもエイジ湖でもないみたいだし・・・・・ん?」
ふと、ぼくの胸の内に一つの違和感が生じる。
9948:2007/03/14(水) 20:40:17 ID:???
「ねぇ、フライゴン」
「なんですかー?」
フライゴンが不思議そうに首をかしげる。
いや、ちょっと待て。首をかしげたいのはぼくだ。
ふと生じた違和感は、整理がついてきた頭の中でどんどんでかくなっていき・・・・・・

「しゃべ」

「はい?」

フライゴンのその『一言』・・・・・・
「はい?」というその『一言』を聞いた時・・・・・・

そう、その『一言』だ。その『一言』がおかしいんだ。

『違和感』が、ぼくの頭の中で爆発した。


! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! 


「しゃっ、しゃべーーーーっ!!?しゃべ、しゃべ、しゃべーーーっ!!?フライゴン、しゃべっ、しゃべってらっしゃるううううーーーーーーっ!!??」

「え・・・・・・あれ、なんでぼくコウイチくんと普通にしゃべ・・・・・・しゃべーーーーーーっ!!?なんでボクしゃべれるーーーーーーーっ!!??」
10048:2007/03/14(水) 20:41:56 ID:???
ポケモンがしゃべった!

ありえないことだ。いくら頭がよくたって、人間の言葉をしゃべるポケモンなんて聞いたことがない。
毎週何曜日かにやってるアニメでは、なんか人間の言葉をしゃべるニャースがいるけれど、
あんなことジッサイありえない。
人間の言葉なんて勉強しなきゃしゃべれないし、まず勉強できる知能がないといけないし・・・・・・
ともかく、ありえない。ありえないっ。

人間の言葉をしゃべれるのは人間だけだっ!

なのに、目の前のこのフライゴンは・・・・・・少し前までは言葉なんてしゃべらなかったこのフライゴンは、
いままさに人間の言葉を臆面も無くしゃべってらっしゃる。
これは、つまり・・・・・・
つまり・・・・・・


「「夢だね」」

10148:2007/03/14(水) 20:44:21 ID:???
ぼくと、フライゴンの発言が完全に一致した瞬間だった。

思わずぼく達は顔を見合わせ、プッと笑い出す。
「・・・・・あははは!」
「・・・・・あっはははー!」
まるで友達同士のように明るく笑いあうぼくとフライゴン。
あっはっはーーと笑い続けていると、ふとぼくはある事を思い出した。
「・・・・・・ミキヒサは?」
ぼくは重大な事を思い出していなかった。

そうだ。

そういえば、ぼくはミキヒサと一緒に行ったあの遺跡で『無』に飲み込まれそして・・・・・・
そこまで思い出してから、フライゴン以外のぼくのポケモンがいない事に気付く。
ミキヒサもいないし、もちろんそのポケモン達もいない。
無論、モンスターボールもない。
「ミ・・・ミキヒサは!?他のポケモン達は!?ラグラージは!?ジュカインは!?ゴウカザルは!?」
「どうでもいいでしょ夢なんだから」
「あっ、そっか」
フライゴンの突っ込みに一瞬にしてぼくのシリアス思考は終了した。
そうだ、夢だ。夢なんだ。夢なんだから誰がいないとか何とか、んなこと関係ねー。

でも、これが夢なら・・・・・・もし夢だとしたら・・・・・・覚めたらぼく達はどうなっているんだ?
『今ぼくはどこにいてどんな状況になってるんだ』?

恐ろしい考えが始まろうとしていたその時・・・・・・新たな音と声が同時に聞こえてきた。
10248:2007/03/14(水) 20:47:08 ID:???
おそらく羽ばたき。鳥が翼をはためかせる音・・・・・・そして、声。

「おおっ、あれってまさか・・・・・・まさかっ!!人間かっ!?」
「に・・・・・人間だぜっ!!しかも、たぶんその隣にいるのは竜・・・・・・
 竜!?12竜騎士の一人か・・・・・・!?」

「!?」
ぼくとフライゴンは、同時にその音と声の元へ視線を向ける。
そこには、二羽の鳥がいた。
あの茶色い毛と赤いとさか、そしてドリルのように鋭く尖った嘴をもつあのポケモンは・・・・・・たぶんオニドリルだ。
「コウイチくんっ!ポケモンがいます・・・・・・しかも、あいつらもしゃべってる・・・!」
「そうだね・・・・・・!」
咄嗟に立ち上がり、戦闘態勢を取るフライゴン。
その様子を見た二羽のオニドリルは、また何やらしゃべりはじめた。

「やる気だぜ、あの竜騎士・・・・・・くっくく、やってやろうぜぇーーっ、やってやろうぜぇーーっ、オイ!!」
「おぉっ!!手柄とって俺達も飛鳥3幹部に昇進ッ!!いや、俺達が入ったら五幹部か?うひゃーーっ!」
「DONDON夢湧き上がるぜベイベッ!!よっしゃーー、行くぜ兄弟っ!飛鳥部隊の名の下に!!」
「WAKUWAKUドキ胸だぜバッボイベッ!!いくぜっ、飛鳥部隊のぉーーー、ん名の下にぃっ!!」

何だかゴチャゴチャ叫んでたと思うと、二羽のオニドリルは突如ぼく達に向けて急接近してきた!
何を叫んでたのか、そういうのは一切分からないけど・・・・・・確かなのは、あのオニドリルは『やる気』だってことだ。

「フライゴン!なんだか知らないけど、ぼく達いまから襲われるみたいだ・・・・・迎え撃つぞ、フライゴン!!」

「はいっ!!」
10348:2007/03/14(水) 20:50:12 ID:???
「覚悟はいいかい人間チャンっ!!」
「食い荒らしちまうぜ竜騎士クンっ!!」

まるで二本のドリルのように、フライゴン目掛けて嘴を突き出し凄まじいスピードで接近してくる二羽のオニドリル。
ぼくは冷静に、いつものバトルのようにフライゴンに攻撃の命令を与えた。
「フライゴン、砂かけっ!あいつらの目にビシッと砂かけろっ!」
「はいっ!」
フライゴンは大きい尻尾を床に叩きつけ、砂しぶきを二羽のオニドリルに浴びせかけた。
「みゃぐ!」
「ぎゃー!目がー!!」
砂のツブテが思い切り目を抉り苦しみながらも、なおオニドリルは速度を落とさず、接近をやめようとしない。
意表をつかれたぼくは、フライゴンへ次の命令を出すのが遅れる。
だけど、ぼくの命令を聞かずともフライゴンは次の動作を起こしていた。
「ふんっ!!」
砂かけの時に振った尻尾を、フライゴンはそのまま勢いをつけて振るったのだ。
「あ」
「あ」
図太いしっぽの一撃が、さながらバッティングのように猛スピードで迫ってくるオニドリルを捕らえた。
「「ぐげぇぇーーーー!!」」
モロに尻尾の攻撃を受けた二羽のオニドリルは、後方に吹っ飛んでいきパタリと空しく床に落ちる。
二羽のオニドリルが力尽きる様を見据え、フライゴンは顔を満足気に染めながらこちらを見つめる。

「余裕勝ち、だよっ!!コウイチくんっ!!」
「・・・・・・えーーいっ、よくやったフライゴーンっ!!」

ポケモンの襲撃を難なく撃退したフライゴンに、いつものように抱擁して喜びを分かち合う。
言葉が通じるおかげか、いつもより数倍も喜びを分かち合えてる気がした。
10448:2007/03/14(水) 20:53:07 ID:???
「強すぎ・・・・・・ですっ!!」
「ダメだこりゃっ・・・・・!!」

と、オニドリルがよろよろとその身を起こしかけているのがぼくとフライゴンの目に入る。
まだ戦う気なのか?それとも・・・・・・
「まだ、やる気なのか!」
フライゴンが再び戦いの構えをとると、二羽のオニドリルは同時にブルリと振るえ、
降参といった風に、同時に両手(というか両翼)を高く挙げた。
「いやいや、私達の負けですけどもっ!」
「もうこれ以上危害加えないで・・・・・・そして、一時てったーーーいっ!!」
バッ!と大きく跳躍したと思うと、翼をはためかせ高く舞い上がるオニドリル。
「「あっ!」」
慌てて二人で見上げると、二羽のオニドリルは勝ち誇った顔でこちらを見下ろしながらこんな事を言い出した。

「お前らのこと我が飛鳥部隊に・・・魔王様に報告しちゃるからなぁ!!」
「魔王軍から逃れられると思うな人間と竜騎士っ!!はははーー!!」

「魔王・・・・・・竜騎士?」
「・・・・・・あっ、逃げますよっ!」
バサバサと弱弱しく羽ばたきながら、オニドリルが逃げていく。
ぼく達はそれを追うよりも、急な事でごちゃごちゃになり過ぎている頭の中を整理する事に努めた。
10548:2007/03/14(水) 20:56:46 ID:???
「魔王・・・・・・ですって。ギャグですかね」

苦笑いを作りながら、そうぼくに尋ねるフライゴン。
魔王・・・・・・やたらとファンタジックでレトロな語感に笑いがこみ上げてくる。
「知らないよ。ま、夢だから仕方ないよ」
ぼくも、馬鹿馬鹿しいといった風に肩をすくめ、半笑いを浮かべながらため息をついた。
「そうですね!あっはは!」
「あーっははーっ!!」
再びほのぼのと笑い合うぼくとフライゴン。
何かを誤魔化すように、遠まわしにするように、笑う事に『必死に』夢中になるぼく達。
しかしずっと笑い続けられるはずもなく、すぐに息がきれてどちらともなく笑い合うのが止まってしまった。
「とりあえずさっ」
気まずい沈黙が流れる前にまずしゃべっておく。
「歩こうか。歩いて色んなところに行こうよ!せっかく楽しそうな夢なんだし、楽しまなきゃ損っ!!」
「ですねっ、夢とはいえせっかくコウイチくんと話せるようになったんだもの・・・楽しまなきゃ損っ!!」
「そうっ!せっかく話せるようになったんだ・・・・・・いっぱいいっぱい話し合おうねっ!」
「ね〜〜っ!」

ぼく達は明るく話し合い、笑い合いながら、歩き始めた。
右も左も分からぬ、一つも知った風景の無い、『夢』の世界の中を。
当てもなく、ただ、夢が覚めるその時に向かって。
10648:2007/03/14(水) 21:02:28 ID:???
・・・・・・いまだ見つからない後五匹のぼくのポケモンの行方。

そしてミキヒサとそのポケモン達の行方。

オニドリルの残した言葉。魔王、竜騎士・・・・・・そして、何よりポケモンがしゃべっているという事・・・

わからないことが多すぎる。多すぎるが故に、
ぼく達二人は話の節々で『これは夢だ』と確認するなどして、必死にこの事を夢と信じようとしていた。


・・・・・・夢では、『視覚』や『聴覚』・・・・・・『嗅覚』『味覚』、そして『触角』・・・・・・
五感が機能する事はない。機能するのは、『意識』のみ。『意識』によって作られた『架空の五感』のみだ。

例えば、夢の中で感じる味覚は、普段頭の中で『味を予想した時の味』。
夢の中で感じる触角は、普段頭の中で『感触を予想したときの感触』。
幻覚・・・幻痛・・・幻聴・・・
夢の中で感じる『感覚』は、全てコレだ。

さて、夢を夢と認識している状態で・・・・・・
『幻の五感』と『本当の五感』の区別がつかないなんてことがあるだろうか?
そんな事は(多分だけれど)ないはずだ。
例えば『頬でもつねってみれば』・・・・・・その痛みが『本物』か『幻』か。
つまりこれが『現実』か『夢』か。そんなことは一瞬で分かるはずだ。

しかし、ぼく達はそれを出来ないでいた。

なぜか?夢でないことを恐れて?それともその逆?

・・・・・・それすらも、ぼく達はまだ分からなかった。
10748:2007/03/14(水) 21:05:24 ID:???
少し時は進み・・・・・・ある場所でのこと。

「ぺリッパーー!ぺラップが夜七時をお知らせしまァす!」
「シャーーラップ!!声量を控えろ鳥餓鬼め。もう夜なんだぜっ!!」
相変わらずやかましいぺラップに喝を入れながら、俺はある報告を済ませようと廊下を急ぎ足で進んでいた。
・・・向かう先は、我が部隊の長の部屋。

「失礼します」

自慢の鋼の翼で扉をノックし、部屋に入っていく。
・・・・我が飛鳥部隊・部隊長の部屋。
部隊長は相変わらず、夜だというのに部屋の明かりもつけず
壁全体を覆うほどの大窓の前に立ち、夜空の満月をただじっと見つめている。
俺が部屋に入ってきた事に何の関心も示さない。
「・・・・・飛鳥部隊、副部隊長・・・エアームドでございます」
名を名乗っても、部隊長は一切、何の反応もしようとはしない。
しかし、これもいつも通りの事。もう慣れっこだ。
俺は後ろを向いている部隊長の背後に立ち、先程部下から受けた報告を部隊長に告げた。
「今朝、我が部隊のオニドリルがサイシ湖にて、人間と新たな竜騎士と思しき者と遭遇したそうです
 ・・・・・・いかがいたしましょう、部隊長。ご命令を」
部隊長の緑の後頭部と、その後頭部から突き出る二本の長く赤い毛の束をじっと見つめながら、返事を待つ。
・・・・・・それなりの沈黙が続いたが、しばらくして部隊長がようやく口を開いた。

「ご命令を・・・・・・そう言ったな」

こちらを向かないまま、そう俺に向かって言う部隊長。
「言いましたが・・・・・・それが何か」
部隊長の後姿に並々ならぬ威圧感を感じながら、恐る恐るそう言うと・・・・・・

「キミは無能だな」
10848:2007/03/14(水) 21:07:34 ID:???
「は?」
突如投げかけられた厳しい言葉に、思わず感嘆符が漏れ出る。
その言葉に対する部隊長の反応は、異常に早かった。

「『は?』だと!『は?』といま君は言ったな!?
 何が『は?』なのだ。それが目上の者に対する言葉かね?君は礼儀も知らないのかね!?
 目上の者に対する礼儀が!行儀が!君には一欠片の欠片もないようだな!
 君のような物こそまさに『無ヌ』という呼び名がふさわしい!!」

「!」
まるで土砂崩れでも起こったかのようにいきなり饒舌になり、やたらめったら言葉を吐き出す部隊長。
部隊長の後頭部が、赤い二本の毛の束が、プルプルと揺れている。
その説教は、まだまだ続いた。

「先程・・・・・・君は『命令を』と言ったな。上の者から命令を受けねば君は動けぬのか?
 全くの無能め!それくらい己の脳で判断し動くのが下の者として当然のことであろう!
 私の集中を乱しおって!!私に無駄な時間を取らせおって!!
 いいか、無能よ。この世界にて最も生きる価値のない者とは何か知っているかね?」

「・・・・・・」
俺は、答えずにじっと部隊長の反応を待つ。しばらく経つと部隊長は溜息混じりにこう言った。

「無能な者だ」
10948:2007/03/14(水) 21:08:57 ID:???
ハーイ訂正。
>>108の8行目の『無ヌ』を『無能』に訂正ね。

ってかやばい・・・長すぎる・・・二回に切りゃよかったかも・・・
でもまだ続きます。
11048:2007/03/14(水) 21:12:29 ID:???
「この世界は神によって作られた者であることは君も知っているであろう!
 そして、何故我々は作られたのか?神は何より退屈を嫌うのだ。
 知能なき者同士がただ食らいあい生き延びるだけの世界に、神は飽きた。
 だから、神は我々知的生命体を作ったのだ!果てなき可能性のある、我ら知的生命体をな!
 我らは日々その可能性を開拓し続けねばならない。神の退屈を凌ぐためにだ。
 我々は神を楽しませるために生きているのだ!だからこそ、可能性を開拓しようともしない・・・
 神を楽しませることのできぬ『無能な者』に生きる価値は一片も無い!これはもはやこの世の真理!!
 遥か過去・・・・・・そして遥か未来・・・・・・いついかなる時もこれこそがたった一つの真理なのだ!!
 全ての能なき者は、能ある者の糧になるべきである!強き生物が弱き生物の肉を食らうようにな!
 だが、君のその鋼の肉体はとても食らえそうにないな・・・たとえ餓鬼であろうと口に入れようとはしまい。
 ならば、バラバラに解体しあぶり焼き鉄火にでもしてくれようか!
 ふん!君のような無能がいると『確たる未来』が霞むのだ!無能はすべからず私達能あり物の足を引っ張る・・・・・・
 私の見る『確たる未来』!!魔王様の理念・・・・・・『世界が一つになる』という『確たる未来』!!
 それを揺らがしてくれるな無能よ!!」

「・・・・・・」
なんだコイツは・・・・・!
意味の分からない毒電波台詞を延々と長々と喋る部隊長。こんな部隊長を見るのは初めてだ。
これが部隊長の本性なのか?クレイジー。クレイジー、クレイジー。そうとしか表現のしようが無い。
ともかく、無能、無能などと言われ俺は少々頭にきかけている。
ただ立ってるだけしか出来ないお前こそ無能なんじゃないのか・・・・・!?

「仏の顔は何度までだ?」

「え?」
11148:2007/03/14(水) 21:14:11 ID:???
部隊長は遂にこちらを振り向いた。普段は半開きのはずの目が怒りにかっ開き、異常な威圧感をかもし出している。
そのまま、部隊長は俺目掛けて今までにない声量で怒号を吐き出した。

「仏の顔は何度までと聞いているのだこの無能がァァーーーーーーッ!!!
 いかに君のような学無き無能といえど、この程度の知識ぐらいはあるだろう!?
 それとも君の脳は飾りかッ!?それとも君の耳が飾りなのかッ!?それとも両方飾りかァッ!!!
 ほ・と・け・の・か・お・は・な・ん・ど・ま・で・だ?答えろォーーーーーッ!!!!」

「さ、三度までですっ!!」
あまりの剣幕に押され、咄嗟にそう答える。
答えは合っている筈だが、部隊長は怒りの表情を変えず続けてこう言った。

「そうだ、三度だッ!!礼儀知らずの発言で一度、
 無能ぶりを長く曝け出し私を苛立たせた事で二度、猶予はあと一度だ!!
 あと一度無礼を働いてみろ!!その瞬間貴様の体のパーツは四散し、
 そして跡形も無く砕け散り、君の未来は完全に消え去るものと思え!!
 早く出て行けッ!!そして人間を君の指揮で捕らえ、少しは能があることを見せてみろッ!!」

「うっ!?」
突如俺の体がフワリと浮いたと思うと、猛烈な勢いで俺の体が後方に飛んでいき、
部屋の外の壁に叩きつけられたのだ。
「・・・・・・!」
衝撃に軋む首を持ち上げ隊長を見ようとすると、
誰かが閉めたかのように一人出に扉がガチャリと閉まり、部屋の中は見えなくなった。

「・・・・・・チッ」

俺は不愉快な気分に荒い鼻息を漏らしながら、
心中に溜まるどうにもならぬ苛立ちを少しでも発散させるように、力強く舌を打った。
11248:2007/03/14(水) 21:16:46 ID:???
何が無能だ、ビークワイエット!!

廊下を早足で歩きながら、心中でヤツへの罵声を呟く。

見ろ、俺のこのシルバーに輝く美しき鋼のボディーを!
この鋼のボディーはいかなる攻撃も通さない。そして圧倒的高度を誇るこの鋼鉄のウィングは、鈍器にも刃にも変わる!
部隊長!アンタが最後に見せた超能力攻撃は俺には一切効いていなかったぞ!
いつか・・・ふんぞり返っているだけのアンタを蹴り落としこの俺が部隊長の座についてやるっ!
そしてまずは・・・『俺の指揮』でっ!人間と竜騎士を捕らえてみせる!
そうだ、全ては俺の手柄になる!そうなれば俺は昇格、そしてアンタは自動的に降格だァ!!


「『飛鳥三幹部』!!
 ピジョット!ムクホーク!ヨルノズク!出番だぁっ!!」

俺は部隊長の部屋のドアを開けた時とは比べ物にならぬほど力強く、『三幹部』の寝部屋のドアを開ける。
部屋の隅々にそれぞれ巣を作り眠っている飛鳥三幹部。
俺の呼びかけに、深く眠っていたはずのピジョットとムクホークは瞬時に身を起こす(ヨルノズクは最初から起きていた)。

「はいはいはーい、こんな深夜に何の御用でございまーーすか?」
ピジョットが羽を掃除しながら、いやらしく間延びした口調で気だるそうにそう言う。
「こんな夜っぱらに大声出さないでくれねーっスかねー。ちょぉっとビビっちゃいましたぜェーーっ!」
相変わらずムクホークは柄の悪い態度を取っている。
「ほっほほ。出番とは何かのう?久しく運動してなかったんで、体がなまっていたので丁度いいのう・・・」
くたびれてるかのように、首をコキコキと回しながらそう言うヨルノズク。
俺は先程のうっぷんを晴らすかのように、大声で三人にまくし立てる。
113名無しさん、君に決めた!:2007/03/14(水) 21:20:09 ID:???
トゥートゥー怖えよww
11448:2007/03/14(水) 21:20:23 ID:???
「いい〜〜〜〜か、三人ともよく聞け!今朝サイシ湖にて人間とはぐれ竜騎士が見つかった。
 そしてこの事は、歩虫部隊も光獣部隊も知らねぇ。
 ドゥー・ユー・アンダースタン!?俺達が他の部隊を出し抜ける大大チャンスだっ!!
 俺達飛鳥部隊がっ!超人部隊・・・・・・幻霊部隊・・・・・・岩王部隊・・・・・・闘魔部隊・・・・・・
 奴等と同じ四天王様直属の部隊へのし上がるってわけだっ!」

「・・・・・・ノリノリっスねェ〜〜、副部隊長サン」
「人間、ですか・・・・・こりゃーー久々に重大なニュースでございますねェーー!」
「場所は・・・・・・『今朝サイシ湖にいた』。ほっほ。手がかりはそれだけかの?」
「もちろんだ」
俺はニヤリと笑いながら、演説のような語調で語り始める。
「だがな、俺らは他の、這ったり歩いたりつっ立ってるだけしかできネー奴等とは違う・・・・・・
 俺らには!この翼がある!!」
翼を前に突き出し、そして高く上げる。俺の顔も翼と同じくグッと上へ向け、天井を見つめる。
我ながら芝居がかった演出だなと思いつつも、構わずその体勢のまま演説を続ける。
「俺らは空の支配権がある唯一の部隊だ。オーケイ!?人探しは俺らのいわば十八番じゃあねえか!
 『異世界より来たり者が磁場に近寄りし時、大いなる力は深き眠りから目覚め、その首をもたげる・・・・・・』
 この言い伝え覚えてんだろ?そしてこの言い伝えが差す『大いなる力』が俺らが魔王様の完全復活には欠かせない物だって事も・・・・・・
 ハハッ、覚えてなきゃ魔王軍追放モンだがな」
三幹部に向かって翼を強く前に突き出し、顔の向きもそちらへ戻す。
クールに口をニッと歪ませ、一層声を高らかに演説の締めくくりを演出した。

「人間は、魔王様の完全復活に重大な鍵を握っている!!
 いいか、テメーら・・・・・・ぜってー人間を捕らえるんだぜ!!
 ディドゥ・ユー・アンダースタン!?さぁ、行けェ!!」
11548:2007/03/14(水) 21:25:10 ID:???
>>107からは本来まだ書くつもりはなかったけど・・・・・・
早く、前から考えてた要素を色々出したくて・・・・・・
とりあえずこれで(タイトル未定)序章は終了。

長くてゴメン。
116名無しさん、君に決めた!:2007/03/14(水) 22:09:44 ID:LIY1hmy7
トゥートゥー一味の発言のブッ壊れぶりはもっと評価されていい
117名無しさん、君に決めた!:2007/03/14(水) 22:15:38 ID:???
トゥートゥー団壊れまくりwww
118名無しさん、君に決めた!:2007/03/14(水) 23:46:22 ID:???
これって、こんな過疎スレじゃなくて別の盛り上がってる場所に投下すりゃネタ的な意味合いでも普通の意味合いでも結構話題になりそうな気がする。
別スレのあの戦争の奴と要素的に微妙に被ってる部分もあるけど。
119名無しさん、君に決めた!:2007/03/15(木) 00:44:12 ID:???
でもそうすると変な連中が湧いてくる・・・・・・
120名無しさん、君に決めた!:2007/03/15(木) 04:54:32 ID:???
煽り的な意味じゃなく別スレ立ててそこでやってみれば
今まで書いた分そっちに張るのめんどいだろうが
121名無しさん、君に決めた!:2007/03/15(木) 08:58:48 ID:???
ここはエロ専用でいいよ。
ってかエロまだかよ。
122名無しさん、君に決めた!:2007/03/15(木) 10:01:18 ID:???
>>79
>>91
マダー?
12391:2007/03/15(木) 16:24:04 ID:???
>>89の続きです

「そういえばハルカちゃんってオナニーってしたことあるの?」
「お、おなにぃってなんですか?」
私はオナニーという聞いたことのない言葉をアスナさんに聞き返した

「したことないんだ…なら私がしてあげるね」
そういうとアスナさんの右手は胸から下へ撫でるように下がって行き!!
「!!ア、アスナさんそこはおしっこする所!!」
アスナさんの右手は私がおしっこをする所を触っていた

「ハルカちゃん本当に何もしらないのね、ここはま〇こっていってね
女の子はここに指を入れられると」
アスナさんはおしっこをする所…ま〇こに指を入れてきた
「凄い気持ち良くなるんだよ」
124名無しさん、君に決めた!:2007/03/15(木) 16:26:31 ID:???
「あっはあっああ!!」
私は今まで味わったことのない気持ちよさを感じていた
「ハルカちゃん気持ちいい?って聞くまでもないわよか
じゃあそろそろイカせてあげるわね」

そういうとアスナさんの指の動きは段々と早くなっていった
「ハアっハアッはあッ!!!!!!!」
私は息遣いがどんどん荒くなっていた

そして――――――――――――――――――――



「あれ、私…」
「あ、ハルカちゃん気が付いた?」
私は脱衣所で横になっていた
「もういきなり倒れちゃって大変だったんだから」

いきなり?―――――――――――あ
「あ、あの私、、アスナさんに!!」
私は温泉での出来事を思い出した
「ん、何の話?」
アスナさんはとぼけているのだろうか?
それともさっきまでの出来事は夢だったのだろうか?
125名無しさん、君に決めた!:2007/03/15(木) 16:27:15 ID:???
私は服を来てアスナさんと一緒に温泉から出た
「もう次の町に行っちゃうの?一晩位泊まればいいのに」
「温泉で疲れもとれましたし早く次の町に行きたいので…」

私は自転車に乗り次の町を目指したそしてその日の夜

「はぁ、アスナさん、アスナさん!!」
私は温泉での出来事を思い出しながらおなにぃをしていた


これでおしまいですラストがちょっと中途半端になっちゃったかな?
126名無しさん、君に決めた!:2007/03/15(木) 17:38:29 ID:???
文章作法メタメタだしリアリティないしつまらない。

とりあえず実際の女の子に触ったことが無いんだろうというのは良く分かった。
127名無しさん、君に決めた!:2007/03/15(木) 17:50:18 ID:???
おお、何と厳しきことかな……
128はらっち:2007/03/15(木) 19:56:14 ID:vheDGcmK
♀ポケモン→♂トレーナーきぼん
12948:2007/03/15(木) 20:12:35 ID:???
>>118
話題になりたいよ・・・・・・ロクに感想もらえないんじゃ書いてる意味ないし。
被ってるっても要素は全てあの戦争のヤツ始まる前に考えてたことだし、
まあタイプごとの何たらなんてよくある要素だしね。

>>119
変な連中でも何でも、痛いこと言われなきゃ
どんどん湧いてきて欲しいな。レスつかないのは寂しくてモチベーション消滅する。

>>120
今書いてる文書き上げたら立てようとしてみる。
立てれなかったらまたこのスレに戻ります。


とまあそんな事より♂トレーナー×♀トレーナーきぼん
130名無しさん、君に決めた!:2007/03/15(木) 21:21:12 ID:???
「じゃあお前が書けよクズ」とか言われるかと思って批判だけしたけど、皆真摯だな。過疎スレだからか?

気分が良いので一つ。
エロは正直難しいジャンルだ。
良作十八禁ノベルゲーのような高いエンターテイメント性を求めるならキャラクターを練りこまないといかんし、
ポルノっぽく行く場合は肝心のシーンを濃く描写しなきゃならない。これには実経験または研究が必要。
文章作法については、小説の書き方なんぞ学校とかじゃ習わんから知らなくても仕方ない。
……と、偉そうに語ってみる。

>>ノーマルCP小説
非エロで♀方がアレな性格じゃ無い(≒♂方攻勢)なら書けない事もない。
文章の形態が何処と無く同人臭いとかよく言われるけどな!
131名無しさん、君に決めた!:2007/03/15(木) 21:39:55 ID:???
よし、では書いてもらおうか・・・・・・
132名無しさん、君に決めた!:2007/03/16(金) 01:31:14 ID:u641R4SS
>>130
別にプロの小説家が書いた文章ってわけでもないんだから
133名無しさん、君に決めた!:2007/03/16(金) 01:35:04 ID:???
>>129
気持ちは分かるが立てたら立てたで大変じゃないのか。
個人小説スレなんて大体は早い内に失速するっしょ。

>>130
ぜひ書いてくれ…!
出来ればエロも。もう別に同人臭いとか構わんから。
134はらっち:2007/03/17(土) 12:04:30 ID:ueD7UYrv
ミロカロス♀→男の子を犯す小説をきぼん
135名無しさん、君に決めた!:2007/03/17(土) 12:12:08 ID:???
ミロカロス「セックスしよう」
おとこ「うん」
136名無しさん、君に決めた!:2007/03/17(土) 14:19:21 ID:???
>>135
抜いた
137名無しさん、君に決めた!:2007/03/17(土) 14:30:39 ID:???
むかーしむかし、あるところにストライク♂とビーダル♀の老夫婦がくらしていました。
この老夫婦、仲はいいのになぜか子供には恵まれていませんでした。
ある日のこと、いつものようにストライクは山へ芝刈りに、ビーダルは川へ洗濯に行っていました。
ビーダルが川で洗濯をしていると、川上のほうから
ドンブラコードンブラコーとハッサムが流れてきました。
ハッサム「ばぁさんや、わしゃとうとうハッサムになることができたぞい!」
ビーダル「そうですか・・・良かったですね、おじいさん。」

-HAPPY END-

…ごめん
138名無しさん、君に決めた!:2007/03/18(日) 01:49:44 ID:???
ところで48さんいないのかなあ・・・・・・
続きがすごい気になるんだけど、まだ書けてないですかね
139名無しさん、君に決めた!:2007/03/18(日) 09:41:33 ID:0Hi72ThT
ミロカロス♀「海に行く?」
男の子「うん!」
5分後・・・
(じゃぼ〜ん)
男の子「あ〜気持ちいい!」
5分後・・・
ミロカロス♀「オナニーってしってる?」
男の子「知らない?」
ミロカロス♀「やったら海に入ってるより100倍気持ちよ!」
男の子「やって!」
ミロカロス♀「みずのはどう!」
男の子「ぎゃあ!(くらくら)」
ミロカロス♀「次は、締め付けるよ!」
男の子「な・何するの?」
ミロカロス♀「あたし!本気モードよ!次は、誘惑メロメロ」
男の子「ハァ・ハァ・ハァ〜〜〜。」
ミロカロス♀「次は、水着くいちぎるよ!」
男の子「ハァ・ハァ・ハァあ〜〜〜〜。」
ミロカロス♀「あそこでかくなってるね!あなたの全裸を検査しますよ」
男の子「あん・・・やめろ!・・うっ!ヌルヌルが・・うっ!あ〜〜〜〜〜。」
ミロカロス♀「(ニコニコ)青いしっぽにあなたのあそこに締め付けるよ!」
男の子「イク・・・(どぴゅー)」
ミロカロス♀「あなたは、全裸のままで海で一生暮らししましょ・・・」
〜〜〜END〜〜〜
140名無しさん、君に決めた!:2007/03/18(日) 09:43:39 ID:???
>>139
―==・==― ―==・==―
141名無しさん、君に決めた!:2007/03/18(日) 10:09:18 ID:???
なかなか面白そうだな
俺も何か書こうかなー…
142名無しさん、君に決めた!:2007/03/18(日) 10:53:58 ID:???
>>36-37 >>39
きんもーっ☆
143名無しさん、君に決めた!:2007/03/18(日) 23:53:02 ID:???
>>139
それって単なる死亡フラg(ry
144名無しさん、君に決めた!:2007/03/19(月) 19:30:32 ID:???
>>138
わあ、そう言ってくれると嬉しいなぁ。
俺って遅筆だから・・・・・・ごめん。
もうすぐで出来あがるから、待っててくれると嬉しいな。
まぁ今回はスレ立てるかもだけど。
145名無しさん、君に決めた!:2007/03/19(月) 21:58:32 ID:???
>>144
おk 
俺は先の展開を妄想しながらマターリ待つことにするよ
おまえお持ち帰りしたいぐらいかわいいやつだなw
146名無しさん、君に決めた!:2007/03/21(水) 00:20:57 ID:???
48きゅんマダー?
14748:2007/03/22(木) 21:13:17 ID:???
>>145
応援ありがとう……励みになるよホントにさ。
そうやって応援してくれんなら別にお持ち帰りされようが何だろうが何でもいいよw

>>146
明日には投下出来ると思う。
スレ立て出来んかったからこのスレにね。
ゴメンなことに、またちょいと長いけども……
148名無しさん、君に決めた!:2007/03/22(木) 22:22:28 ID:???
>>147
GJ!
そしていまからwktk
149ご〜しゃん:2007/03/23(金) 09:42:44 ID:???
hage
150名無しさん、君に決めた!:2007/03/23(金) 18:27:59 ID:???
三十分後に投下する
151名無しさん、君に決めた!:2007/03/23(金) 19:58:27 ID:???
残念ながら不発のようです
152名無しさん、君に決めた!:2007/03/23(金) 20:13:01 ID:???
まだだ、まだわからんよ
15348:2007/03/23(金) 20:25:59 ID:???
そろそろ投下したいけど、>>150はいなくなったのかな・・・・・・?
被ったらヤだからとりあえず15分ほど待ってみる。
15448:2007/03/23(金) 21:00:14 ID:???
返事が無いから投下しちゃおう・・・・・・
もし被ったらごめん。
1551/24:2007/03/23(金) 21:02:46 ID:???
何十分経ったか、すこしおなかが鳴り始める時間、
夢の世界を渡り歩いているとフライゴンが前方に何かを発見したようだ

「あ!あれ・・・・・・村ですかね?」
「そう・・・・・・みたいだね」

風景の奥に、家屋の集まりが見える。
『夢の中とはいえ』誰か他の人が住んでいるようだ。
・・・・・・人?人が住んでいるのかな。それとも、まさかポケモンが・・・・・・
「ねぇ、行ってみますかー?」
ぼくが考え込んでると、フライゴンがそう言ってくる。
その口調には、少し好奇心が含まれてるようだった。
ぼくも空いてきたおなかをさすりながら、明るく言う。
「行ってみよっか!実はね・・・・・・ぼく、さっきからおなかすいてて。
 村の人に何か食べさせてもらおうよ!」
「そうですねっ、実はボクも・・・・・・・・あれ?」
ふとフライゴンは大きく首をかしげる。
かしげたと思ったら、続けてこんなことを言ってきた。
「『夢の中』なのに・・・・・・おなかって空くんですか?」
「は?」
数秒――ぼくとフライゴンの間で時間が固まったような気がした。
予期せぬ時間凍結を、それを引き起こしたフライゴンが慌てて溶かす。
「あ、あの、空きますよね。おなか。ボ、ボクだって夢の中で空いたことありますし。
 は、ははーっ!ごーめんなさいねー、変なこと言っちゃいましてーーはははーー・・・」
「そ、そうだよねっ!なに時間止まってるんだよぼくらって感じ!ははーーっ!」
本日何度目か分からない中身の無い笑い合いを続けながら、
ぼく達は『村』へと向かった。
1562/24:2007/03/23(金) 21:03:44 ID:???
その村が『人の村か』『ポケモンの村か』・・・・・・
それは、その村へ足を踏み入れた瞬間に判明した。

「フライゴン・・・・・・」
「はい。やっぱり『ポケモンの村』・・・・・・それもここは、『タネボーやハスボーの村』みたいですね」
多数の『タネボー』や『ハスボー』・・・・・・『コノハナ』や『ハスブレロ』が、村に入ってきたぼく達を見てざわめいている。
ざわめきの隙間から聞こえる『言葉』。このタネボー達も例外はなくみな言葉をしゃべれるようだった。
ぼく達は夢だからと、周りのタネボーの事は気にせず村を歩く。

・・・・・・しかしまー、こうもヒソヒソヒソヒソうっとうしくざわめかれると、
まるでぼく達がいけない事でもしているみたいじゃあないか。
ぼく達がそんな珍しいか?いや、『ポケモンの世界』・・・・・・もしかして珍しいのは『ぼく』・・・・・・

それにしても、この村。
そこらにある家は、ぼくらの世界のものとほぼ変わりない。
扉はあるしノブもある。窓だってあるしたまに二階建てらしき家があったりもする。
木製の展望台なんかもあるし、たまに何かの看板が立っていたりもする。(しかもキチンと読める字だ。『花踏まないで』と書いてある)
これが夢だといったらそれでお仕舞いだけど・・・・・・いや、それどころかますます
『これが夢』だという事の信憑性が深まってきたような気すらする。

そんな事を考えながら何処か気まずい雰囲気の村観光を続けていると・・・・・・
突然・・・・・・いや、やっとと言うべきか一匹のコノハナがぼくに話しかけてきた。

「あの・・・・・もしや、もし、もしや、ですけど、あなた・・・・・・人間、ですか?」
1573/24:2007/03/23(金) 21:05:31 ID:???
バイザーのような文様の中の目をパチクリさせながら、ぼくにそう言うコノハナ。
その目つきは、まるで色違いポケモンを見つけたトレーナーのような目つきだ。
「うん、そうだよ。ぼく人間だけど・・・・・・それがどうかしたの?」
ぼくがそう言うと、コノハナの目が更に大きくかっ開かれた。
いや、かっ開いたのは目の前のコノハナだけじゃない。周辺にいたポケモン全員が・・・・・・
ざわめきが二倍に増え、さらには「えっ!?」と大声を上げるヤツも出だす。
・・・・・・なんだ、なんだよ。随分と大袈裟なリアクションとるなあ。
「・・・・・・あの、どうかしたの?ぼくがそんな珍しいかなあ?」
自分を指差しながらそう言ってみた。後から苦笑いも付け加えてみる。

「めめめめ、珍しいどころの騒ぎじゃありませんよっ!!」

「いっ!?」
コノハナが思い切りこちらにつっかかってきて大声を上げだすので、思わずビックリして身を引いてしまう。
と、コノハナはどうやら興奮して無意識に叫んだみたいで、コホンと一度咳払いをすると、
今度はそれなりに冷静な風な口調で(それでも結構ムリしてるような感じだけど)こう言った。
「あの・・・・・・こちらへ。『村長』の元へ案内します。・・・・・・ついてきてください、『人間様』」
コノハナはそう言うと、少し緊張した風な堅い動きで歩き出した。
「・・・・・・人間『サマ』?」
コノハナの発言の節に少し引っかかりながら、ぼく達はコノハナについていき『村長』の家へと向かった。

コノハナに連れられて村長の家へ入ると、
家の奥にボサボサの白い髭を生やしたハスブレロが・・・・・・たぶん『村長』さんが椅子に座り眠っているのがまず目に入った。
コノハナが寝ているハスブレロ村長に駆け寄り、起こそうとゆさゆさと揺さぶる。
「そ・・・・・・村長っ!起きてくださいよ。人間が・・・・・・人間様がっ!」
コノハナがそう叫ぶとハスブレロはやっとそのしわくちゃの瞼を開き、身を起こした。
半開きの目がぼくに向けられた瞬間、いきなり豆鉄砲でも撃たれたかのように目が大きく開く。
ハスブレロ村長は椅子から苦しそうに立ち上がると、ぺたぺたとこちらに走り寄ってきた。
1584/24:2007/03/23(金) 21:06:35 ID:???
「これはこれは!これはこれはこれは・・・・・・これはこれは!!」

村長さんは怖いくらいに目を見開いてぼくをじいっと見つめだす。
そして見た目に似合わず大きく陽気に笑い出すと、気さくな口調でこう言った。
「ひょっひょ!ようこそいらっしゃいました『人間様』!ささっ、椅子へお座りください」
老体を思わせない機敏さで二つ椅子を持ってきて、座るよう促すハスブレロ村長。
戸惑った顔でフライゴンと目を見合わせながら、ぼく達は椅子に座った。
「ほれ、そこのコノハナ。わしの椅子も持ってこんかい」
「あ、はい」
コノハナが先程まで村長の座っていた椅子を持ってくる。
村長は深く息を吐きながらその椅子に座ると、身を乗り出してぼくにこう聞いてきた。
「ようこそ人間様!数十年に一度の偶然が、まさかわしが生きてるうちにまた起こってくれるるとはの・・・・・・ひょひょ。
 さて、人間様。どこからいらしたのかな?」
「え?えぇ〜〜っと・・・・・・」
さっそく返答に困るぼく。フライゴンに目配せすると、フライゴンも困ったような目つきで見つめ返してきた。
・・・・・・どこからって言われても、ねえ。
「・・・・・・あ、分からないのならいいのですじゃ。すまなかったの。ひょひょ」
ぼくが返答に困っている事を察したハスブレロ村長は咄嗟にそうフォローを入れた。
と、いきなり聞く事がなくなったのか村長はまた無言でぼくをじいっと見つめ出す。
「あのう・・・・・・村長さん」
「はっ、なんですじゃ?」
ぼくは先程からずっと胸の奥でモヤモヤしてる『疑問』を、投げかけてみた。
「何で人間『サマ』って言うんですか?サマって・・・・・・何ていうかですけど、人間って偉いんですか?」
「ひょっ」
ぼくの問いかけにハスブレロ村長は一瞬固まり、少し間をおいてこう言った。


「もちろんですじゃ。人間様はいわば・・・・・・わしら『モンスター』にとっては『神』なのじゃから」

「『神』!?」
1595/24:2007/03/23(金) 21:07:38 ID:???
「言い伝えにはこうある。何百年前だったか遥か昔・・・・・・人間の集団がこの世界に現れた。
 そして人間達はわしらモンスターに言葉を伝え・・・・・・技術を伝え・・・・・・文化を伝えたと。
 つまり今のわしらがあるのは、ほぼ人間様のお陰と言っていいのじゃ」

「へぇ〜〜〜・・・・・・」
村長の語りに、思わず感心したように頷いてしまう。
これが『夢だ』ってことも少し忘れかけてきちゃったり・・・・・・
「人間様には返しても返しきれぬ大恩がある。人間様は『絶対歓迎』なのじゃ。
 以前も、わしがまだ若い頃に一度だけ人間様がこの村にいらした事がある・・・・・・
 その時は、それはもう盛大に歓迎したものじゃ」
上を向いて物憂げに目を瞑りながら、たぶん若き日の思い出を辿り出すハスブレロ村長。
前来た時も盛大に歓迎したって事は、ぼく達もこれから歓迎、されるのか・・・・・・?
隙間侘しい腹をさすりながらそう考えると、少しだけぼくの胸が期待に躍った。

「ねぇ、フライゴン。ぼく達これから歓迎されるみたいだよ」
隣のフライゴンに視線を移す。
と、フライゴンは何やら考えるように小さい手を顎に添えながら下を向いている。
「どしたの?フライゴン」
そう言ってフライゴンの顔を覗き込もうとすると、フライゴンはすぐに顔を上げこちらを向いた。
「いや・・・・・・何となくですね。辻妻が合うというか、何というか・・・・・・でして」
「えっ?」
フライゴンは何か意味ありげなことを言いだす。

「ずっと前からボク、不思議に思ってたことがあったんですよ」
1606/24:2007/03/23(金) 21:09:12 ID:???
「ボク達ポケモンって・・・・・・あの、本当にみんな『人間が大好きなんです』。
 物心ついたときから・・・・・・たぶん生まれた時から、どのポケモンもみんな人間が好きで。
 ボクがまだナックラーで野生だった頃、ボクの友達はみんな人間が大好きでした。
 仲間内で話すことといえばホント、人間の事ばっかりで・・・・・・人間にゲットされた友達を本気で羨ましがってました」
「へぇ〜〜〜〜〜ぇ・・・・・・・」
ポケモンの本とか、旅の途中であった足跡博士なんかから『人間を嫌いなポケモンなんかいない』って話をよく聞いてたけど・・・・・・
ポケモン自身が言ってるんなら、本当にそれは間違いない事だったんだな。
そう感心すると共に、少しばかり優越感がピクリ。
そして、フライゴンの話はまだ続く。
「ボク達が人間に飛び掛るのってあれ、捕まえて欲しいからなんですよね。
 ボクがあの日あの時コウイチくんに飛び掛ったのも・・・・・・コウイチくんに捕まえてほしかったからなんですよ?」
「・・・・・・」
いつだったか、砂嵐吹き荒れる地帯の草むらを歩いていたとき、
一匹のナックラーがぼくに飛び掛ってきた・・・・・・あの日の思い出が、ふと蘇る。
「で、なんですけどね」
そう言うと共に、フライゴンはどこでそんな仕草を覚えたのか人差し指を立て手をこちらにピッと突き出す。
ここからが本題みたいだ。
「何で、ボク達って人間が好きなのかなあって・・・・・・生まれた時から人間が好きなんです。おかしいですよね?これ。
 で、なんかそれが・・・・・・今の村長さんが言ってた事と何か関係あったりしてー、とか思っちゃいまして・・・・・・ってワケなんですけど」
「・・・・・・」
ぼくは考える。
人間を神と崇め絶対歓迎するというこのポケモンの世界と・・・・・・
生まれた瞬間から人間を好きだというぼく達の世界のポケモン。
まだ果てしなく・・・・・・ホントに果てしなく『何となく』ではあるけれど、どこか深い関係があるような気がしてしまう。
『夢』だって言うのに・・・・・・

「ところで〜」
ハスブレロ村長が不意に話しかけてきた。
1617/24:2007/03/23(金) 21:10:24 ID:???
「あっ、はいっ!?」
フライゴンと話し込んですっかり村長の存在を忘れてしまっていたので随分上ずった声で返事してしまう。
村長は少しだけ眉をしかめたが、すぐに柔和そうな表情に戻った。
「きみ達まだここへ来て日が浅いようじゃな。なにか〜〜、質問とかあるかの?何でも答えてやりますぞ」
身を乗り出しそう言う村長。
「質問・・・・・・」


”お前らのこと我が飛鳥部隊に・・・魔王様に報告しちゃるからなぁ!!”
”魔王軍から逃れられると思うな人間と竜騎士っ!!はははーー!!”


ぼくとフライゴンは顔を見合わせ、ほぼ同時に全く同じ質問を村長へ投げかけた。

「「魔王とか竜騎士ってなんですか?」」

あまりに全てが一致してしまったので、またぼくとフライゴンは顔を見合わせる。
フライゴンはぼくと同じく驚いたように目を見開き、口を半笑いの形にしていた。
「ふむ、やはりそう来たか・・・・・・順を追って説明せねばな」
ハスブレロ村長は長く深呼吸する。結構長い話になるみたいだ。
ぼくも思わずゴクリと息を飲んでしまう。
ハスブレロ村長は深く息を吐くと、話し始めた。
1628/24:2007/03/23(金) 21:12:56 ID:???
「この世界には、わしら以外にも多数の種類のモンスターがおる。
 しかし、必ず『その種族はその種族ごとに』・・・・・・住み分けておるのじゃ。
 違った種族同士が共存している場所などほとんどありはしない。
 しかし、『魔王』が率いる『魔王軍』だけは違う・・・・・・
 この世界からあまねく集められた多種の種類のモンスターが『魔王軍』という一つの軍の元に共存している。
 そしてその魔王軍のトップ、魔王の目的は・・・・・・
 わしも詳しくは知らんが、『この世界を一つにすること』」

「『世界を一つにする』・・・・・・」
ぼくは、『魔王』という呼び名とその目的がイマイチ一致せず、思わず首を捻ってしまう。
『世界を一つにする・・・・・・』
ぼくは子供だからよく分からないけれど、
何となくその響きは神聖で、悪いイメージなんて微塵もしない。
ぼくは、そのモヤモヤをすぐに口に出した。
「『魔王』っていうからには『世界を恐怖に陥れる』とかそういうノリだと思ってたけど・・・・・・
 あの、『魔王』って、悪い感じのヤツじゃあないの?目的はあんま悪い感じに聞こえないんだけど」
「あ、ですよねっ。ボクもそう思ってたんです」
フライゴンも、その疑問を言いあぐねていたのかすかさずぼくに同調する。
と、ぼく達のその疑問に、村長は即答した。

「勿論悪い者じゃ。悪いも悪い・・・・・・『世界を恐怖に陥れる存在』という言葉も全く間違っておらん。
 定期的に町や村を襲い『魔王軍』へと引き込むためにモンスターをさらっていく。
 意味の無い破壊や殺戮を頻繁に行うとも聞く。立派な、平和を乱す悪党の群れ・・・・・・害虫どもですじゃっ」
1639/24:2007/03/23(金) 21:16:06 ID:???
力強く、そう告げるハスブレロ村長。
言葉の中の『破壊』だの『殺戮』だの・・・・・・残虐な単語が、一気に話を生々しくさせている。
・・・・・・やはり、『魔王』という名前からには悪い集団であったようだ。
しかし、その『悪い集団』である『魔王軍』は、つまるところ『ポケモンの軍隊』・・・・・・
あの『ポケモン』が・・・・・・あの『ポケモン達』が、『世界を恐怖に陥れる存在』だってのか・・・・・・?
ポケモンがポケモンを苦しめる光景。あまり進んで想像したくはないな。
村長は、話に一区切りつけるように一度息をつき、そして引き続き話し始めた。

「・・・・・・そして、その魔王軍に唯一対抗できる・・・・・・
 魔王軍以外の『唯一の戦闘集団』こそが・・・・・・竜騎士。『12竜騎士』なのですじゃ。」

12竜騎士。
フライゴンは先程の魔王の話よりも、より興味深そうに首を前に突き出した。
「ここから西にある『ドラゴ国』・・・・・・
 あ、わしが魔王や竜騎士に詳しいのは昔そのドラゴ国で給仕をしていたからなのじゃが・・・・・・まぁ、それは余談として。
 そのドラゴ国のトップに立つ・・・・・・いわば魔王軍を除いたこの世界での最強の戦闘力を持つ、『12匹の竜』こそが・・・・・・
 竜騎士。・・・・・・12竜騎士、なのじゃ」
「12、竜騎士・・・・・・」
口をついて単語が出てきてしまう。
『12の竜』・・・・・・言い換えれば、『12匹のドラゴンタイプのポケモン』・・・・・・
ドラゴンポケモンなんて、ぼくはフライゴン以外に見たことは無い。
本当にワクワクきてしまう。
こんな所で、ポケモントレーナー魂が刺激され疼いてしまうぼくはどうにかしてるのかな。
無意識に、「早く続きを」と急かすようにぼくは身体を前にかがめてしまう。
村長はまた息を深く吸うと、話を再開した。

「さて、きみの『人間の世界』にもある12までの月・・・・・・
 そのそれぞれの月に『誕生石』と呼ばれるシンボルがあるじゃろう?
 わしらの世界にもそれはある・・・・・・当然じゃ。わしらの文化は人間が伝えた文化なのじゃから。
 さて、その12の竜騎士は、その使命と共に各人それぞれの誕生石のシンボルを与えられておるのですじゃ」
16410/24:2007/03/23(金) 21:17:39 ID:???
1月の石・ガーネット!  真実・忠誠!
                王に最も忠誠厚き騎士に与えられし石!

2月の石・アメジスト!  平静・高貴!
                決して折れぬ自我と抜け目の無さを持つ誇り高き騎士に与えられし石!

3月の石・アクアマリン! 沈着・勇敢・聡明!
                 大海の如く雄大な意志を持つ騎士に与えられし石!

4月の石・ダイアモンド! 清浄無垢!
                 清く汚れなき心と身体を持つ騎士に与えられし石!清き精神は不純なき意志!何物にも砕けぬ無垢の心!

5月の石・エメラルド!   廉潔・平穏!
                 何より好むものは平穏と安らぎ!無欲で、他の者・弱き者のために動く心優しき騎士に与えられし石!

6月の石・パール!    健康・長寿・美!
                 真珠の如く滑らかで美しく、かつ強固な意志を持ちし騎士に与えられし石!
16511/24:2007/03/23(金) 21:18:31 ID:???
7月の石・ルビー!     情熱・仁愛!
                 炎の如く熱き情熱の心を持つ騎士に与えられし石!

8月の石・ぺリドット!   和合!
                 弱者も、強者も、愚者も。何者をも引き付け、断ち切れぬ心の鎖で繋ぎ止める圧倒的カリスマを持つ王の石!

9月の石・サファイア!  慈愛・誠実・徳望!
                 何者をも包み込む慈愛と人徳、誠実さを兼ね備えた騎士に与えられし石!

10月の石・オパール!  無邪気・歓喜・忍耐!
                 あどけなく少年少女のような素直な心を持つ騎士に与えられし石!その率直な意志は、どんな苦難や誘惑をも己の正義の元に耐え忍ぶ!
                    
11月の石・トパーズ!   友情・希望・潔白!
                 全ての者に熱き友情を注ぎ込み、何者をも信用させる力を持つ騎士に与えられし石!

12月の石・ターコイズ!  成功!
                 与えられた任務は、例えどんな手段を用いようとも最期には必ず成功させる手腕、そして狡猾さをも持つ騎士に与えられし石!
16612/24:2007/03/23(金) 21:21:39 ID:???
ハスブレロ村長はそう一気に言って、少し息切れしていた。
「は・・・・・・把握したかね?この12種の宝石それぞれを与えられたのが12竜騎士なのですじゃ」
肩息まじりにまとめの一言を告げるハスブレロ村長。

「『12の竜騎士』・・・・・・『誕生石になぞらえた12の竜騎士』・・・・・・」
まるでゲームか何かみたいだ。
「フライゴン、きみ誕生日いつだっけ?」
思わずフライゴンにそんな事を聞いてしまう。
「え?いや・・・・・・自分の誕生日とか分からないんですけど・・・・・・」
当然の答えだ。
「あっ、そっかぁ・・・・・・ぼくは5月!ええと、5月の宝石ってなんだっけ?」
「エメラルドじゃよ。廉潔と平穏の石じゃ」
心なしか、そう言った時のハスブレロ村長はかなりイライラしているような感じだったけど、ぼくはそんな事はおかまいなく騒ぎ続ける。
「エメラルドかァーー!!あの緑色の石?うひゃぁー、ぼくエメラルド!緑のエメラルド!
 あれっ、緑って言ったらフライちゃんと同じ色じゃーーん!いやーん、運命的ーー!!」
ひしっとフライゴンを抱きしめ、艶やかキレイな緑のボディーを優しくぺちぺちと叩くぼく。
「あ、あのぅ・・・・・・コウイチくん・・・・・・」
「えへへ・・・・・・ごめんっ」
フライゴンが呆れたような声を出したので、照れ笑いしながら手を離す。
「・・・・・・元気があっていいのう。子供は」
そう言うハスブレロ村長は何故だか、言葉とは裏腹に眉間にしわを寄せ、本格的にイライラきている表情だった。

「で・・・・・・『部隊』ってのは?ボク達、今朝『飛鳥部隊』って名乗るオニドリル達に会ったんですけど」
次に質問を投げかけたのはフライゴンだ。
ハスブレロ村長は数度うんうんと頷くと、息切れ混じりに話し始める。
もうこれ以上質問をするのは、ちょっと老体に響くんじゃあ・・・・・・
ぼくは少しそう思いつつも話に引き続き耳を傾けた。
16713/24:2007/03/23(金) 21:23:52 ID:???
「魔王軍は、先程も言った通り『複数のタイプのモンスターが入り乱れる唯一の集団』。
 恐らく、竜意外の全ての系統のモンスターが集まっているのではないのだろうか?」

 まず、魔王の直属の部下には四匹のモンスター・・・・・・『四天王』と呼ばれるモンスターがいる。
 一匹は百年先を見通し、一匹は人の意識を操り、一匹は巨山をも拳のみで砕き割り、一匹は何をしようと砕けることのない強固な体を持ち・・・・・・
 わしにもそこまでしか知らぬ。名前や詳細な能力はまだ未知のまま・・・・・・
 そして、その四匹が部隊長を務める四つの部隊・・・・・・
 
 百年先を見通す四天王が従えしは『超人部隊』。
 人の意識を操る四天王が従えしは『幻霊部隊』。
 並ぶ者なき剛の四天王が従えしは『闘魔部隊』。
 一の強固を誇る四天王が従えしは『岩王部隊』。

 そして、それら一つの部隊につき更に三つの傘下の部隊。
 『飛鳥部隊』は確か、『超人部隊』の傘下の部隊の一つだったかのう?
 とにかく、合わせて『十六の部隊』が魔王軍には存在するのだ」
ハスブレロ村長はそこまで言うと一旦口を止め、ふぃ〜〜とくたびれたようにため息をつき出した。
のんきに肩をポンポンと叩き、やっと次の言葉を口にする。
「・・・・・・もう、めんどいのう。色々と・・・・・・歳だとね、あまり長い台詞喋ると疲れるのじゃよ。顎が。
 さぁ、めんどい事は後にして、きみ達、食事はどうかね?」
「え?食事、ですか?」
いきなりの話の転換っぷりに、思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。

・・・・・・いい所だったのにな・・・・・・

次々語られる『竜騎士』やら『魔王軍』やらまるでマンガな世界な話に正直ぼくは心躍っていた。
話がぶっ切れてしまった事を少し残念に思いながらも、ぼくは猫のうなり声のようにゴロゴロ鳴るおなかに従った返事をした。

「はい、喜んで!」
16814/24:2007/03/23(金) 21:26:41 ID:???
ぼく達二人はハスブレロ村長に連れられ村の食堂へと移された。
食堂へとぼく達が・・・・・・正確にはたぶんぼくが入ったことにより、食堂中にざわめきが起こる。
ぼくとフライゴンは店の中心の大テーブルの前に座らされる。
店中の人の視線がぼく達に突き刺さる。
と、ハスブレロ村長が村の人達に対してこんなことを言った。
「ほほ、人間様と次世代の竜騎士様のご来店じゃぞ。
 みなよ、こちらに来い。この二人を存分にもてなしてやろうぞ」
村長が皆にそう言うと、村人達は戸惑ったように各々顔を見合わせる。
やがて一匹のハスボーがぼく達の元へやって来るのを皮切りに、
やがてはその食堂中の人がぼく達の周りに集まってきていた。

「ねぇねぇ、人間さんどこから来たの?」
「これが人間かー。やっぱ火吹いたり地震起こしたりとかできるわけ?」
「竜巻起こせます?」
「フレアドライブ程度くらいまでは楽勝っしょ?ねぇ、どうなんです?」
「どう?この世界どう?ねぇ、どう?」
「竜さんカッコいいー!」

あっという間に、村人達から質問攻めになるぼく達。
すぐに料理も運ばれてくる。・・・・・・サラダしかないけど。
「ねぇ、食べて!存分に食べてね!いっぱい食べてね!」
料理を運んできたコノハナは、そう言いながらニコニコと笑ってぼく達を見つめる。
・・・・・・・食いづらいんですけど。
そう言うわけにも行かず、ぼくはそのコノハナの期待に沿ってサラダを掬い口に入れた。
苦いキャベツの香りが口の中に広がり、一口噛みしめると弾け出た苦味が舌に染み込む。
普段あんまり好きじゃあない味だけど、無理して満足そうな笑みを作るとコノハナの顔が歓喜に綻んだ。
・・・・・・まだぼくを見ている。
ぼくが完食するまでずっと見ているつもりなのか。本当に食いづらいよ・・・・・・

視線や質問攻めに耐えながら出された料理を半分くらいたいらげた所で、突如村長がぼくにこう言った。

「実はあなたに・・・・・・見せたいものがあるのですが、少し付き合ってもらっていいですかな?」
16948:2007/03/23(金) 21:30:09 ID:???
これで大体半分すぎくらいかな・・・・・・

長すぎなので・・・・・・っつかあんま長いと叩かれそうだから、
一旦切って、続きは明日にするよ。
170名無しさん、君に決めた!:2007/03/23(金) 21:56:35 ID:???
おおっ!気がついたら・・・・・・GJ!
すんげえ深い物語になってきたな!
そしてなんという切り方・・・・・
みせたいものか・・・・・・
以前北という人間に関係ありそうだが
171名無しさん、君に決めた!:2007/03/23(金) 22:00:41 ID:???
ドラゴンタイプって確かにいまんとこキッチリ12体だなw
まあフライゴンも含めての話だけど。
172名無しさん、君に決めた!:2007/03/23(金) 23:00:04 ID:???
構成・脚本がうますぎる……GJ!!
参考になります。明日も楽しみにしてますねー
173名無しさん、君に決めた!:2007/03/24(土) 01:14:02 ID:???
4月がディアルガで6月がパルキアなのは確実だろうな。
5月がレックウザで7月9月はラティ兄妹か?
他は分からんな。3月らへんはちょい予想付くけど。
なんかゴールドセイントを思い出すな。
174名無しさん、君に決めた!:2007/03/24(土) 06:47:55 ID:qwvY9BCv
じゃあage
175名無しさん、君に決めた!:2007/03/24(土) 09:57:34 ID:???
カイリュー
キングドラ
ボーマンダ
チルタリス
フライゴン
ラティアス
ラティオス
レックウザ
ガブリアス
ディアルガ
パルキア
ギラティナ

の12匹か
17648:2007/03/24(土) 17:04:54 ID:???
一時間後に投下するね。
177名無しさん、君に決めた!:2007/03/24(土) 17:12:45 ID:???
ウホッ・・・・・来たな
1781/11:2007/03/24(土) 18:21:08 ID:???
「ここですじゃ」

ぼくは、ハスブレロ村長に連れられて村の端の高い岩壁の前につれて来られていた。
その目の前の高い岩壁には、いくつもの洞穴が開いている。
「あのう、見せたいものって?」
「この洞穴の中にあるのじゃ・・・・・・きっと驚くだろうよ」
ハスブレロ村長は、そのいくつかの洞穴の一つに入っていく。
ぼくは腰を折り進む村長の後ろについて、洞穴の中に入っていった。

洞穴・・・・・・また洞穴か。
今日何回目だろう。
いや、まだこれで二回目だけれど今日随分何回も入ったような気がする。

中は比較的広いけど足場はやたらと起伏が多く歩きづらく、気をつけないと足をとられ転倒してしまいそうだ。
床の凸凹に気をつけながら歩いてしばらく経つと、少し広めの部屋に着いた。
通路はもう無い。ここが最深部・・・・・・行き止まり。村長の動きも止まる。
つまり、ここに村長の『見せたいもの』があるんだろう。
「あのう、見せたいものってどこにあるんですかねぇ〜〜。なんかの壁画とか何とかですかあ〜〜?」
部屋を見回し、壁の一つ一つに目を凝らす。何も無い。
天井を見つめても特に何も無いし、床も一通り見てみるけど特に何かがあるってわけでもない。
村長はなにやらもったいぶってるのか黙りこくってる。
「あの〜〜、こう言っちゃあアレですけどぼくもうオナかペコペコでして・・・・・・
 見せるものあるなら早いところ見せてくれませんかね・・・・・・失礼ですいませんけど・・・・・・」
段々ぼくももどかしくなって、空腹のせいもあってかつい本音を口にしてしまう。
とにかくぼくのその発言もあってか、村長はようやく口を開いた。
1792/11:2007/03/24(土) 18:22:51 ID:???
「そこの壁の下に・・・・・・隙間があるじゃろう」

村長が適当な壁に指をさす。
壁の下に目を凝らしてみると、確かに小さい隙間がまるで巣穴のように幾つも幾つもあった。
ぼくは到底入れそうにない大きさだ。村のタネボーやハスボーならギリギリ入れるかな?
やがてぼくが『これはなんだろう』という考えを持ち始めた瞬間、意思が通じたように村長はそのことについて答えた。

「この洞窟はあるモンスターの巣穴での。それも知恵も持たぬ、言葉もしゃべれぬモンスターのな・・・・・・
 そして『それなりに』獰猛なのじゃよ。自分よりずっと大きい生物でも平気で食いよる。ま、奴等は肉食だからわしらは食われんがの」

村長はよく分からない事実を語り始めると、身を翻して元来た通路の方へ歩き出した。
「?」
『見せたいものがある』って言ったのに・・・・・・変なこと語ってそれで終わり・・・・・・?
少しだけ頭が困惑に揺れる。
と、村長は歩を進めながら再び口を開いた。
「この村も、魔王軍に襲われた事が無いわけでもない・・・・・・ま、こんな小さな村じゃから襲われると言っても数人程の小隊にじゃが・・・・・・
 それでも戦闘の出来ぬわしらに勝ち目は無い。だが、わしらは一度も魔王軍に制圧された事は無い・・・・・・
 なぜか分かるかのう?人間様よ。ひょっひょひょ」
「あの・・・・・・村長さん、何を言ってるんですか・・・・・・?」
「『ここに魔王軍の奴らをおびきよせたのじゃ』。奴らを全員ここらの穴におびきよせる。後は『彼ら』がやってくれる・・・・・・そういうことじゃ」
「・・・・・・?」
村長は独り言でも言ってるんだろうか。まったくぼくと会話をしてくれる気配が無い。
まさか、年寄りだから耳が遠くて聞こえないなんてことじゃあ・・・・・・
1803/11:2007/03/24(土) 18:24:31 ID:???
ぼくは意を決して、少し大声で言ってみる。
「あのっ!村長さんっ!」

「やかましいのう!!」

「!?」
不意の怒号にギョクン、と胸が揺れる。
村長は強く振り向き、怒りのこもった目でぼくを睨みつけながら今までに無い大声でそう言ったのだ。
白目の端々に、赤い血走りが覗いている。
「わしは初めに・・・・・・お前に『見せたい物』があると言ったよな」
村長はようやく本題に触れ始める。その口調はかなりの怒り、いや、苛立ちを含んでいる。

・・・・・・この人、少し怖い・・・・・・

村長はぼくから視線を外すと、再び元来た道へ向かって歩き始めた。
壁と壁の狭まり・・・・・・通路の始まりらへんに到達すると動きを止め、すぐ横の壁に手を沿えながらこちらを振り向かないまま村長はこう言った。

「お前に見せたいというものは・・・・・・先程言った『彼ら』のことでな」
「え?」

次の瞬間、ぼくは見た。
ハスブレロ村長が添えていた壁が、突如『へこむ』のを。
・・・・・・いや、村長がまるで『スイッチか何かのように』・・・・・・壁を『へこました』のを。
そしてそれから間もなくのことだ。

村長のいる場所のわずか後方の天井から『ガラス戸』が現れ、
ハスブレロ村長のいる通路の始まりとぼくのいるこの部屋を遮断してしまったのは。
1814/11:2007/03/24(土) 18:27:12 ID:???
「え・・・・・・?」
事の重大さはすぐには把握できなかった。それはたぶん全然予想の外の事が起きたからだ。
咄嗟に何かの冗談だとか思いつつも、ガラス戸の方へ走りよる。

「あ、あの・・・・・・」
ガラス戸に手をつき、その奥の村長を見る。
「どういうことです?これは・・・・・・」
村長は反応しようとしない。
「出してくださいよ・・・・・・」
ガラス戸を叩く。
「ねぇ、ちょっと?出してよ。聞いてます・・・・・?ねぇ・・・・・・」
更に強く叩く。
「ねぇ・・・・・・・村長さん・・・・・・?」
反応が無い。
「・・・・・・・・・」
ぼくは両手の平で思い切り、ガラス戸を叩いた。

「出せええェェーーーーーっ!!!」

「出せっ、出せェェーーっ!!村長さん、出してくれよぉぉーーっ!!」
平手で強く、何度も強く、壊そうとしているわけじゃあなく村長に呼びかけるためにひたすら強く何度もガラス戸を叩く。
次第にはグーで叩きつけるように。ドン、ドン、と何度も。今度は若干『壊れてくれ』という願いも込めてだ。
ようやく、ぼくは事の重大さが把握できたんだ。

ぼくは閉じ込められているっ!
このガラス戸は開かないっ!
そしてこの洞窟は『肉食ポケモン』の巣穴っ!

間違いなく命の危機だ。そんくらい子供のぼくだって分かる。
そしてぼくを今その危機におとしいらせてるのは、今まで全くそんな気配の無かった村長・・・・・・
ワケわからない。ワケがわからないっ!
1825/11:2007/03/24(土) 18:29:57 ID:???
なんで・・・・・・なんでこんなことをォーー!?」
ぼくの声は焦りと怒りにまみれている。
そのぼくの声に突き動かされたのかどうか知らないけど、ようやく村長は口を開いた。

「こういう情報がある。『人間は魔王の完全復活に重大な鍵を持っている』と・・・・・・」

「!?」
ゆっくりと、低い調子でそう告げるハスブレロ村長。
ただでさえしわがれていた声が、より一層しわがれて聞こえる。
そのせいで村長の発言はひどく聞き取りにくいものだったが、ぼくは完全に聞き取った。
そして『村長が何故ぼくをここに閉じ込めた』のかもすぐに察知した。
「魔王は力を取り戻していないのじゃ。詳しくは知らんが大昔その力を吸い取られ封印されたと・・・・・・
 ともかく魔王がその『力』を取り戻すには『人間の存在が重要な鍵』だと言うのじゃ。
 魔王軍にお前が手渡ってしまったら、困る。舞おうが完全復活しちまうからのう?
 そういう事じゃ。では、さらばだ」
村長はそこまで言うと、ぺたぺたとゆっくりと帰っていく。
村長が一歩進むごとに、ぼくの胸にズシリ、ズシリ、と湿った何か重いものが覆い被さってくる。
帰っていく。ぼくが取り残される・・・・・・ぼくが・・・・・・

「人間には返しても返しきれない恩があるって言ってたじゃあないかっ!!」

ぼくは強く、震える声を引き絞り力強くそう叫んだ。
村長の動きが、ピタリと止まる。

村長はきっと迷っているはずだ。人間には恩があるから・・・・・・沢山の恩があるはずだから・・・・・・
本当は『ぼくを殺す事に迷いがあるはずなんだ』っ!そうじゃなきゃ、おかしい。
「ねぇ、出してよっ。人間には恩があるんでしょ?ぼく達は・・・・・・いわば『神』だって・・・・・・言ってたでしょっ!?」
強く強く、希望を声量に変えて力強くぼくは叫び続ける。
洞窟中に声が反射して、痛いくらいに何度もぼくの耳に入り込む。
やがて耳鳴りと共に、静寂が訪れる。ぼくは、もう一度叫ぼうと息を吸って・・・・・・

「恩?『恩』じゃとォォォ〜〜〜〜?」
1836/11:2007/03/24(土) 18:32:33 ID:???
「?」
ハスブレロ村長はついに振り返り、こちらを見た。
その表情は・・・・・・・

「『恩』なんて・・・・・・『大恩』なんて・・・・・・
 わしらが知ったこっちゃあるかマヌケめェェェーーーーー!!!」

「えっ!?」
村長の形相は、今までに無いほど怒りの色に塗れている。
顔中に血管の模様が浮かび上がり・・・・・・まるでゾンビみたいに。
「『恩』!?それはいつ誰への話じゃ!?オイ、いつ誰の話じゃかのォォーーーー!?
 それは遠い昔の『わしらの先祖への恩』じゃろう!?わしらは別に何もされた覚えはない。『恩』なんてこれっぽっちもねーんだよねェェ!!!
 つまり『恩』なんてわしらが知ったこっちゃあるかボケが!!知ったこっちゃあるかクソが!!
 って事なんじゃよォォーーー!!!!ひょっひょ・・・・・・うひょひょひょひょひょ!!!」
村長は激しく怒り、興奮している。
ある意味では陽気に、楽しげに、怒りの程を叫びぶちまけている。
村長のあまりの豹変ぶりに、胸が恐怖に疼いてくる。
そんな中、ぼくはは村長のある発言を思い出した。

”以前も、わしがまだ若い頃に一度だけ人間様がこの村にいらした事がある・・・・・・ ”

途端に、とてつもなく恐ろしい考えがぼくの胸をよぎった。
1847/11:2007/03/24(土) 18:35:57 ID:???
「ま、まさか!お前はこの村に来た人間にも、こうやって・・・・・お前は・・・・・・!」
「ん〜〜?」
村長は挑発じみた声を出しながらこちらに向かってくる。

「どうじゃったかのう。けっこう昔のことじゃから・・・・・・よく覚えてないの〜〜〜」

「・・・・・・!!」
途端に今までの村長に戻り・・・・・・ほうけた声でそう言う村長。
・・・・・・ボケ装ってるつもりかこいつ・・・・・!
無意識にぼくの心に、村長へ対する敵対心が沸いてくる。
こうやってはぐらかすって事は、きっと・・・・・・
ぼくがそこまで考えると、また村長はうっとうしく独り言を始めた。
「そもそもわしはガキが大嫌いでのう・・・・・・ガキに対しては怒りしか湧いてこないのじゃ。
 ガキは空気が読めない・・・・・・ガキは身の程を知らない・・・・・・
 お前、さっきわしに対して『お前』と言ったよな?人間の世界では老齢の者には敬意を払えと教えてないのか?
 まぁ、いい。・・・・・・何よりガキは無慈悲じゃ。
 わしが栽培した村の花や蓮が、何度無慈悲なバカガキどもに踏み潰され引っこ抜かれた事か・・・・・・
 のォ、ガキよッ!!」
「わっ!?」
突如村長が、ガラス戸を平手で叩きつけてきた。
胸が驚きに跳ね上がり、よろめいて尻餅をついてしまう。
村長は、ぼくのその姿を見ると・・・・・・はちきれんばかりの爆笑を始めた。
「ひょっははははァァ!!!かぁ〜〜〜〜わいいのうっ!!!
 ひょははっ!!!やっぱり楽しいのう・・・・・・ガキ驚かすのはっ!ひょははっ!!」
べたべたと跳ね回り、子供じみた罵声を浴びせ、悪戯心に満ちた顔でぼくを見下すハスブレロ村長。
挙句の果てには下瞼をめくりベロを出したり、尻を叩いて見せたり・・・・・・これが『今から人を見殺しにしようとているヤツの行動か』!?
長生きしているうちに倫理観とか何とかがぶっ飛んじゃったのか、
『ハスブレロ』が元々こういう性格の種族なのかどうかは知らないけれど・・・・・・
・・・・・・ムカッ腹が立ってきたぞ。
怖いとか何とか・・・・・・そんなことより、ぼくは『コイツ』にムカついてきたぞっ!!
1858/11:2007/03/24(土) 18:38:21 ID:???
「言っとくけどねっ!!」
ぼくは尻餅をついたままそう叫んだ。
自分でも驚くほど、ぼくのその声はハッキリとして、芯が通っている。
村長の動きがピタリと止まった。

「ぼくは、死なない。フライゴンが・・・・・・フライゴンがぼくを助けに来てくれるからだっ!」

ぼくは村長の顔をキッと睨みつけ、そう言ってやった。
村長はぼくのその言葉に固まる。
・・・・・・それも一瞬だけで、すぐにあのムカつく半笑いの表情に戻ると、
膝を折ってガラス戸にギリギリまで顔を近づけ・・・・・・果てしなく『悪そうな』表情で・・・・・・こう言ってきたのだ。

「保証はあるのか?。『本当にあのフライゴンはお前を助けに来てくれるのか』?」
「・・・・・・は?」

とても馬鹿馬鹿しい質問だった。ぼくは思わず笑いそうになる。
いや・・・・・・実際笑ってやった。思い切り小ばかにするように、「プッ!」ってね。
「ぼくとフライゴンは、あなたなんかには分からない程の強い絆があるんだっ。助けに来てくれるに決まってる」
ぼくがそう言うと・・・・・・ハスブレロ村長は笑った。
さっきのぼくと全く同じように、『プッ!』て。
そして、その表情のままガラス戸に顔をくっつけ、果て無く意地悪そうな口調でこう言ってきたのだ。

「『保証』は?『保証保証保証』!『強い絆があるっていう保証』は!?
 所詮お前の一人よがりなんじゃあないのか・・・・・・?ええ!?
 本当はあの竜は、お前のことを恨んでいるんじゃあないのか?憎んでいるんじゃあないのか?
 お前みたいなガキのことじゃから、それはもうあの竜を存分にこき使ったのだろう・・・・・・だったら、勿論恨まれてるはずじゃが・・・・・・?」
「・・・・・・!」

『保証』・・・・・・
『保証』なんて・・・・・・そう言えばあるか?
そうだ。誰も『心の中』なんて読めない・・・・・・『保証』なんて・・・・・・ないんじゃないか?
1869/11:2007/03/24(土) 18:41:09 ID:???
ぼくは自然と黙りこくってしまっていた。
ぼく自身も分からない。何でだろう。ぼくは何で黙りこくってるんだ。
ガツーンとさ。そう、ガツーンと反論してやりゃいいのに、何でぼくは・・・・・・
「ひょっひょ。わしは知ったこっちゃねーが、お前は知っているじゃろう・・・・・・『どれだけ奴をこき使ったか』!!ひょっひょひょ!!
 ん〜〜〜?図星か?ひょひょっ!!ま、何度も言うようだがわしは知ったこっちゃねーがの。ひょひょひょ!」
村長は立ち上がり、高笑いを残しながら去っていった。
薄暗い道に、すぐにその後姿は見えなくなる。
そして・・・・・・耳鳴りと共に静寂がやってきた。

・・・・・・いや。

静寂の中から、聞こえてくる。『音』。
土が削れる音。『何かが這ってくる音』。
それが複数・・・・・・何個も、何個も、マラカスのようにガシャガシャガシャガシャ。いくつも、だ。
先程村長が残したある言葉が頭をよぎる。

”そして『それなりに』獰猛なのじゃよ。自分よりずっと大きい生物でも平気で食いよる。ま、奴等は肉食だからわしらは食われんがの”

ぼくは、見た。
床の下の狭い隙間から・・・・・・何かが出てくるのを。
複数の何か。虫ポケモン・・・・・・?
おそらくぼくの匂いを嗅ぎつけたんだ。『餌』の匂い・・・・・・
ふざけるな、ぼくは餌じゃあない。食っても美味しくない。
もちろん煮ても焼いても多分美味しくない。そんなの餌か?違うだろ。だから餌じゃあない・・・・・・
頭がパニックにかき回される。
と、その時。パニックにかき回されている筈の頭に、
偶然か奇跡か天啓のように、ある『事実』が舞い戻った。

「・・・・・・そうだ、これは夢だったんだっ!!」
18710/11:2007/03/24(土) 18:42:27 ID:???
ぼくは、今まですっかり忘れていた『事実』を思い出した。
途端に、今まさに胸にかかろうとしていた絶望の靄が晴れ、希望が現れた。

そうだ、夢だったんだ!
これは夢だっ!故にぼくは死なない。
目を覚ませばいい話だ。
目を覚ますだけでこのピンチは一瞬でお仕舞い。
そう、目を覚ますだけでいいんだ。簡単なお話じゃあないかっ!!


どうやって目を覚ますんだ?


ぼくはギュッと目を瞑った。
数秒後目を開いてみると、そこにはさっきと全く同じ光景。
意味も無く跳ねてみる。
しかし、なにもおこらない。
頬をつねってみる。
痛い。

痛い。

痛いよ。

夢じゃなかった。


やっぱり。


18811/11:2007/03/24(土) 18:46:45 ID:???
「村長と人間様・・・・・・遅いなぁ・・・・・・」

また新しい料理を運んできたコノハナさんが、小さくそう呟く。
そういえば、コウイチくん遅いなあ。もう何分経っただろう・・・・・・
ボクは野菜料理をほおばりながら、コノハナさんに尋ねてみた。
「ねぇ、コノハナさん。村長さん達どこに行ったんだろう?」
「さぁ、私は知りません・・・・・・ってか、そもそもこの村に人間様に見せるものなんてありましたっけ?」
首を捻り、考え込むコノハナさん。
それを皮切りに周りの村人さん達も色々と言い始める。
皆が皆、不思議そうに首をかしげながら。
「この村って、人間様にわざわざ見せるような名物なんて特に無いよね」
「ってかさ、正直・・・・・・村長って、何やるかわからないよね」
「ちょっと怖いもんあの人。この前俺がお花さん踏んじゃっただけで殴り飛ばされたし」
「マジかよ〜〜!」
話の流れは、どんどん村長さんの悪い噂へと流れていく。
まぁ、誰にだって嫌な一面くらいはあるもんだけど・・・・・・
「ねぇ、竜さん」
「あむ、ハイ?」
いきなり話がボクに回ってきた。咄嗟に振り向いたので、ほおばっていたトマトが溢れてテーブルに落ちちゃう。

「ねぇ、竜さん。あなたも行った方がいいんじゃないですか?」

・・・・・・・・・
ボクはテーブルからトマトを拾い上げ、再び口にほおばった。
既に口に中に入ってた野菜と一緒にゆっくりと噛み締める。
残ったトマトの破片や他の野菜を奥歯で磨り潰し、口内で舌を躍らせ弾け出た酸味を残さず舐め取る。
崩れたトマトや他の野菜のごちゃごちゃになったものを、水と一緒にコクリと喉に送り込んだ。
口の中に余裕が出来る。ボクは一息ついて、返事を返した。

「・・・・・・どうしよっかなあ」

続く
18948:2007/03/24(土) 18:49:40 ID:???
これで今回はおしまい。ありがとうございました。
次は、来週ぐらいには・・・・・・ってか明日からもう来週だけどなw

ハスブレロってあの見た目、どう見ても陽気ポケモンじゃないよね。陰険っぽい。
190名無しさん、君に決めた!:2007/03/24(土) 19:00:37 ID:???
>>189
GJ!!!!
かなり期待するから
なるべく早く書いてくれ!
191名無しさん、君に決めた!:2007/03/24(土) 19:02:59 ID:???
48さんGJ!
前北人間に関係あったけどそう来たかw
村長バロスwww
そしてふりゃーかわええ・・・・・
ガンガレ!
192名無しさん、君に決めた!:2007/03/24(土) 19:59:03 ID:???
>>48
超GJ!!
続きが凄い楽しみだよ。
193名無しさん、君に決めた!:2007/03/24(土) 21:52:51 ID:???
結構じっくりやるんだな。
こりゃミキヒサくんは当分出なさそうだ。
194名無しさん、君に決めた!:2007/03/25(日) 06:46:26 ID:???
今北age
ハスブレロのイメージ悪くなりそうだw
195名無しさん、君に決めた!:2007/03/25(日) 16:32:47 ID:???
>>48
楽しみがひとつ増えてしまったではないか
19648 ◆8z/U87HgHc :2007/03/25(日) 23:46:08 ID:???
感想とか応援ありがとう。ホントに嬉しいよ。
書き続ける力になります。なるべく早く書くよー。
ここが自スレだったらトリップつけて全レスしてるとこだ。
……あ、トリップはつけとくか。
197名無しさん、君に決めた!:2007/03/26(月) 12:29:15 ID:???
>>189
GJ!!!!!
ハスブレロのテンションに潮噴いたw
198名無しさん、君に決めた! :2007/03/26(月) 15:17:05 ID:???
キュウコンとかウインディの小説書いてた人いないかな…
199通行人=厨房 ◆XcjTGWayIE :2007/03/26(月) 18:37:22 ID:???
(1)
気付くのが、少し遅かった。 この辺ではすっかり常識らしいが、そんな事知ったこっちゃ無い。
俺は南からハナダの湖に行く途中、ある森を通った。 それ自体が間違いだったのだ。
種族の中でも小柄な俺は木々の間を通り抜け、或いは押し倒し、低空飛行を続けた。

危険は360度全方位から来た。 メタモンの群れである。 大群団。
最初は藪の間にピンクの物体を瞬間的に見ただけだが、そのピンクの色彩は増えていき、遂には襲い掛かってきた。
オレンジの表皮にメタモンが飛び付いて来た瞬間、焼け付く様な痛みを覚えた。
「何だ…このメタモンッ!!」
飛び付き、皮膚に接着し、表皮を酸で溶かしている様だ。 だが溶かしている、というより喰らっていると行ったほうが良いだろう。
俺はすぐに上昇を始めた。 次々と痛みが増し、森の木々を眼下にした時には、尻尾はピンク色になっていた。
ピンク色の尾に炎を吐きかけると共に塊はどんどん落ちていくが、森には落ちなかった。
奴等は数メートル落下しただけですぐにピンク色のピジョットに変わった!
さらに眼下の森からは次々とピンク色のピジョットが突出している。

必死だった。 奴等はすぐに追いつくと尾や下半身に絡みついてくる。
奴等は早い。 本物と同じ速度である。
―――どこまで逃げても無駄なのではないか?
そんな思いが数分ごとに現れるが、振り払い、火炎放射をピンクの物体に浴びせる。

それでも、希望がすぐに前方に現れた。
最初台地が眼に入り、それほどの関心が無かったものの、窪みがある事に気が付いた。
―――窪みに居座って、迎撃したらどうか?
不可能ではなかった。 炎の渦とだいもんじを上空に放てば、かなりの数のメタモンを倒せる。
200通行人=厨房 ◆XcjTGWayIE :2007/03/26(月) 18:59:01 ID:???
(2)
窪みに腰を据え、すぐ上を見る。
大量のメタモンが少しばかり上昇し、急降下して来る。
「喰らえッ!!」 思い切り息を吸うと、炎の渦を巻き起こした。
広範囲が灼熱の炎に飲み込まれ、ピンク色の物体が蒸発していく。それでも、奴等は学習能力が無いのか、炎の渦の中に飛び込んでいく。
すぐに意図が判った。 一部のメタモンは蒸発しきらない仲間の亡骸を盾にし、炎を突き破ったのだ。
炎を一旦止める。 そしてもう一度吐いた。
今度も勢いのある炎の柱がメタモンを蒸発させた。
メタモン達は少々無謀で、炎の壁を何回か作ると一回につき、数百のメタモンが蒸発してくれた。
もう数万のメタモンを焼き払い、疲れて来たところで、彼等は諦めた。

「おい、デカブツッ!」
何分経っただろうか? 判らないほど眠りこけていた。
声がした様な気がしたのだ。 周りには先程のピンクとは違う、黄色の物体があった。
ピカチュウの大群であった。
ピカチュウは一匹では何も出来ない。 十数匹揃って、戦闘力を持つ。
「僕等の村を踏まないでくれよ。」
数十匹が俺を取り囲んでいた。 どうやらこの窪みは彼等の村の一部らしい。
「すまんかったな。 あのメタモン達に襲われてな。」
「馬鹿モン、あの森から逃げられたモンはアンタ以外誰も居ないさ。」
長老と思われるピカチュウが言った。
「あそこのメタモン達は異常じゃ。 何かに突き動かされておる。」
ここで長老は口調を変えた。 こちらを蔑笑している。
「さーて、どう責任を取ってもらおうかのう… ワシ等ピカチュウなめたらあかんぞ。」
別になめていない。 ピカチュウの電撃は十数匹揃えば、十分俺等種族を倒せる。
「実は困ったことがあってのぉ…」
201名無しさん、君に決めた!:2007/03/26(月) 20:14:03 ID:???
wktk
202名無しさん、君に決めた!:2007/03/29(木) 00:55:13 ID:???
超人部隊→エスパー
幻霊部隊→ゴースト
岩王部隊→いわ
闘魔部隊→格闘

魔王四天王って初代の通信四人組?
203名無しさん、君に決めた!:2007/03/30(金) 01:29:45 ID:???
定期あげ
204名無しさん、君に決めた!:2007/03/30(金) 01:30:49 ID:???
HAHAHA
上がってなかったぜボブ
205名無しさん、君に決めた!:2007/03/30(金) 23:19:16 ID:???
明日くらいには来るかね。
206レジギガス ◆nCj3rOwl/s :2007/03/31(土) 00:51:01 ID:???
gigasuwwwwwwwwwwwwwwwww
20748 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 18:38:01 ID:???
もう少し経ったら投稿します。
結局一週間経っちゃったぜ。
20848 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:07:04 ID:???
今まさに『隙間』から現れた無数の虫ポケモン・・・・・・『スコルピ』が、ぼくを取り囲んでいる。
凶悪そうなとんがった目を、鋭く研がれているであろう爪を、牙を、こちらに向け・・・・・・
皆が皆ぼくを見つめている。

・・・・・・『餌』として。

「やめて・・・・・・来ないで・・・・・・来ないでよォ・・・・・・」
後ずさりしようとするも、それは出来ない。
そりゃそうだ、もう背中が壁にくっついてるんだもの。
これ以上、後ろにさがる事は出来ない。
そう、逃げられない。逃げられない・・・・・・
重くて、重くて、重い事実がぼくにのしかかる。
その事実が告げる、恐るべき方程式。


逃げない=死ぬ
逃げられない=ぼくはもう死んでいるも同じ

I am DEAD!!
DEAD!!DEAD!!DEAD!!


「うわああああああああっ!!誰か、誰か助けてくれーーーっ!!!!」
ぼくは絶叫を上げながら、無駄だと分かりつつもガラス戸を渾身の力で何度も叩いた。
何度も、何度も、手が痛いけれどそんな事、この期に及んで気にしていられない。
叩いてる内に、無数のスコルピがジリジリとこちらへやってくる。
チラチラと後方を確認しながら、ひたすらひたすらぼくは戸を叩く事に専念する。
しかし、次の瞬間。

パシュッ!
20948 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:11:02 ID:???
頬に熱い線が走った気がした。
痛み?これは痛みだ。生暖かいものが・・・・・・
いや、そんな事よりもだ。そう、『そっちよりも』。
ぼくの『視覚』には更なる衝撃があった。

ほぼ目の前にスコルピがいる。ぼくの顔と腕の間のガラス戸に、爪を突き立てたスコルピが。
首がぐるりと回り、その赤い目がぼくを捕らえた。

「ひええええええ!!!」
慌てて、ガラス戸からぼくは離れた。
その一瞬でぼくは理解する。まずは頬に切り傷がありそこから血が流れていること。
そして、一匹のスコルピが『凄まじい速度でぼくの頭目掛けて飛びついてきたこと』。
ともかく照準が外れたらしく、スコルピの爪の一撃はぼくの頬にかすり傷を負わせるだけに留まったんだ。
しかし、だからって安堵なんて出来るはずがない。
このスコルピは、にじり寄る事しか出来ないわけじゃなく、
『その気になれば』とんでもない速度で飛びついてくることが出来るって事が分かったからだ。
一命を取り留めたからって、『安堵』なんかよりむしろ『絶望』の溝の方が圧倒的に深まってしまった。

まったく嬉しくない一命の取り留め方だバカヤローーーッ!!!
21048 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:13:55 ID:???
スコルピ達の次の飛び掛り攻撃は、間もなくのことだった。

「ひっ!」
顔目掛けて飛び掛るスコルピを、ぼくは大袈裟に身を屈めてかわす。
髪の毛が何本か刈り取られた。
刈られた髪の毛がパラパラと降ってくる。
その次のスコルピ達の攻撃は、
『ひとまず安心する』の『ひとまず』も無いほどに間が無かった。
続けて、牙を剥きまるで弾丸か何かみたいに飛びかかってくるスコルピ。
ぼくは転がるようにしてその攻撃をかわした。
まったく汚れのなかったおニューの服が、土に汚される。

・・・・・・・不様だ。

ドッヂボールの試合で自チームに残ってるのは自分一人だけみたいな状況だ。
なんて不様なんだ。なんてカッコ悪いんだぼく。
それも、『先の無い不様さ』だ。
『一瞬一秒の命を取り留めるだけの不様さ』だ。
『見返りなんて一切存在しない不様さ』だ。
これ以上に空しいことがあるだろうか?これ以上の絶望があるだろうか?
ぼくはまだ子供で人生経験なんて浅いから胸を張って言えないけれど・・・・・・多分ないと思う。

とめどなく涙が溢れてきた。
21148 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:17:02 ID:???
死はほぼ確約されてるのに、たとえ不様でも一瞬一秒の命をとりとめようと抵抗する。
なんでだろう?それは・・・・・・もちろん死ぬのがイヤだからだ!そんな未来を信じたくないからだ!
まだ若いのに、夢だって実現してないのに、こんなワケのわからないことで死んじゃうなんてイヤすぎるからだ!

「くそおっ!」
もう何度目か分からないスコルピの攻撃を、ぼくは死に物狂いでかわす。
もう、体中の至る所にすり傷がある。服もズボンも土まみれだ。
それでもぼくは抵抗する。必死に、必死に。
『諦めて素直に死にます』なんて選択肢は今のぼくにはありえない。
必死に避けてるうちに、少しだけぼくが『絶対諦められない』ことに疑問が芽生えてきた。
死ぬのはいやだけど・・・・・・痛いのはいやだけど・・・・・・
本当の本当に『死が確約されてる』ならもう諦めがついてもいいんじゃあないか?
なんでぼくは、絶対諦めようとしないんだ?

そうだ。

『ほぼ』って何?
死はほぼ確約されてる・・・・・・『ほぼ』って何だ!?
ほぼって事はほとんど。つまり『大半』って事だけど・・・・・・
『大半』って事は『大半じゃあない部分』があるって事じゃないか!
それって、つまり・・・・・・助かる可能性。希望だ。
希望ってなんだ?ぼくを絶対諦めさせない・・・・・・その希望って何だ?

フライゴンだ。

そこまで、ぼくは到達した。
心の底にポテトチップスの残りカスのように密かに残るちっさな『希望』へ。
しかし・・・・・・その瞬間に、あの一言が頭をよぎる。
”『保証』は?『保証保証保証』!『強い絆があるっていう保証』は!?
 所詮お前の一人よがりなんじゃあないのか・・・・・・?ええ!? ”

・・・・・・やっぱり、希望なんて・・・・・・
21248 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:18:58 ID:???
ガシャアァァン!!!!

突如、洞窟中にけたたましい音が響き渡る。
この音は何だ?何かが割れる音・・・・・・ガラスが割れる音。
スコルピ達の目が、一斉にその音源へ向けられた。勿論、ぼくもそちらへ目を向ける。
ガラス戸がある方・・・・・・『先程までガラス戸があった』方向へ。
そこには、まさかのまさか・・・・・・
いや、やはり・・・・・・か?
まさかなのか、やはりなのか、どちらか分からないけれどともかく・・・・・・

フライゴンがいた。

あの全身緑のボディのドラゴンは、間違いなくフライゴン。ぼくのフライゴンだ。
フライゴンが助けに来てくれたんだっ・・・・・・!
「コウイチくんっ!」
色んな感情が混ざっているような声を上げて、フライゴンは急いでまっすぐとこちらへ向かってくる。
と、ぼくは見てしまう。フライゴン目掛けて一匹のスコルピがぼくにしたのと同じく勢いよく飛び掛っていくのを。
「フライゴン!」
咄嗟にそう危険を伝える・・・・・・が、そういい終えるや否やの時、
フライゴンはしっぽを思い切り薙ぎ払い、飛び掛るスコルピを一蹴した。
「・・・・・・!」
あっけなく吹っ飛んで行き、倒れ動けなくなるスコルピ。
危険を予知したのか、他のスコルピ達がたじろぎ後じさりを始めた。

「邪魔だぞ、虫ども・・・・・・!」

フライゴンはいつもよりも低いトーンでそう言い、スコルピ達を威嚇するように睨み付ける。
その目には、激しく燃える怒りの色が・・・・・・
怒り・・・・・・
ぼくのために、こんな怒ってくれている・・・・・・・
21348 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:20:26 ID:???
「乗ってください、コウイチくんっ。早くここ出ましょう!」
フライゴンは背中を向け、ぼくに乗るように指示する。
「あっ、うん・・・・・・」
ぼくは少し遠慮気味にフライゴンの背中に乗る。
ぼくが脇に手をかけた瞬間、フライゴンは羽を大きくはためかせ、
髪が全て後ろに靡く位の凄まじいスピードで飛行を始めた。
「うっ・・・・・!」
空気がぶつかる音が聞こえる。ぼくはたまらず頭を伏せ顔をフライゴンの背中にうずめる。
それも一瞬で、二秒、三秒経たぬ内にフライゴンの動きは止まった。
頭を上げ、顔を上げる。そこはもう洞窟の外だった。


空が赤く染まっている。夕焼けの時間だ。
フライゴンの緑の体も、赤みが混じり橙色に染まって見える。
「・・・・・・あっ」
ぼくは慌ててフライゴンの背中から飛び降りた。
何となく、そんな長く乗ってたらいけないような気がしたんだ。

「大丈夫ですか?危機一髪、ってやつでしたね・・・・・・」
目を細め、ぼくを心配そうな目で見つめるフライゴン。
傷口に一つ一つに目を通すように目を動かし、小さく「かわいそう・・・・・・」と呟く。
本気で心配してくれている。嬉しいんだけれど、ちょっとした疑問があってぼくは素直に喜べない。
「あの・・・・・・フライゴン」
「はい?」
言う直前少し躊躇いそうになるけど、ぼくは最期まで言った。

「なんで、ぼくを助けに来てくれたの?」
21448 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:21:43 ID:???
「はい?えーとですね・・・・・・実は食堂に村長が一人で戻ってきてですね・・・・・・
 ぼくや村の皆で質問攻めにしたらコウイチくんをここに閉じ込めた事とか諸々得意げに喋り出して・・・・・・
 いい人そうな村長さんだったからちょっと信じられなかったけれど、とりあえず行ってみたら・・・・・・って事でして」

顎に指をやりながらそう喋り出すフライゴン。違う、ぼくが聞きたいのはそういう事じゃない。
「いや、そういう意味じゃなくてさ」
「え?じゃあーどういう・・・・・・」
「あの・・・・・・ぼく、こき使ってたじゃないか」
ぼくがそう言うと、フライゴンは「へ?」と呟き呆気に取られた様な表情を取った。
ぼくの言ってる意味がよく分からないのか。ぼくは構わず続ける。
「ぼく・・・・・・きみ達ポケモンをこき使ってたじゃないか。
 勝手に捕まえて、勝手に戦わせてさぁ・・・・・・都合のいいように、さぁ・・・・・・」
なぜだか、言っている途中に涙が溢れてくる。
瞼の奥で何だかよく分からないものがこみ上げてきて、目にぎゅうっと力が入り涙が強引に押し出される。

「村長が言ってた通り、ぼくポケモン達に本当は恨まれてんじゃないかって思ってさあ・・・・・・
 本当は『絆』とか『信頼』なんてぜんぜん無いんじゃないかとか思ってさあ・・・・・・
 助けに来てくれないと思った・・・・・・本当は、ぼくなんかとは離れたいと思ってると・・・・・・思った」

喋りながら、迷子の子供のように何度も目をこすり、鼻をすする。
瞼が痛いけれど、それでも涙が溢れて止まらないから仕方が無い。
そうやってずっと泣きじゃくっていると・・・・・・
フライゴンは慰めるようにぼくの頭に手を置いて、わしわしと優しく撫で始めた。
そこには恨みとか何とか・・・・・・そんな冷たい感情は一切感じない。
とても優しくて・・・・・・暖かい、手。

「・・・・・・バカ言わないで下さい」
21548 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:23:15 ID:???
「こき使われてるから恨んでるとか・・・・・・そんなこと全然ありません。
 それどころか、ボクは・・・ボク達は、もっともっとコウイチくんの役にたちたいって思ってるんですよ?
 ねぇ、何でか分かりますか・・・?」
ぼくの頭を撫でながら、ゆっくりと、親が子供におとぎ話を語るような優しい口調でそう言うフライゴン。
ぼくは、涙が浮かび真っ赤な目のまま顔を上げてフライゴンを見つめた。
すると、フライゴンはふっ、と柔和な笑みを浮かべこう言った。
「感じるからですよ。コウイチくんと一緒にいると、ひしひしと伝わってくるんです。
 コウイチくんが、どれだけボクらを可愛がってくれてるか・・・・・・愛情を注いでくれてるか・・・・・・
 楽しいこと、いっぱいあったでしょう?辛い事もあったけれど、いつも協力して乗り越えてきましたね」
フライゴンはそう言うと、どんどん思い出していくように『思い出』を列挙しはじめた。
ぼくとポケモン達の思い出。一緒に過ごしてきた思い出・・・・・・
絶望やら何やらで完全に消えかけていたポケモン達との清き思い出が、どんどん蘇ってくる。

「『絆』がないわけないじゃあないですか。『信頼』がないわけ・・・・・・
 コウイチくんがボク達を好きでいればいるほど、ボク達はコウイチくんを好きになるんです。
 コウイチくんがボク達を信頼すればするほど、ボク達はコウイチくんを信頼するんです。
 ボク達はみんなコウイチくんを誰よりも好きだし誰よりも信頼してるんですよ?だから・・・・・・
 コウイチくんも、何があってもボクを信頼しててください。信頼されてないのは・・・辛いですし、ね」

言い終えてから、フライゴンはぼくの頭をぽんぽんとあやすように軽く叩く。
ぼくは、またまたまた・・・・・・涙が溢れてきていた。
今度は、とても暖かい涙。先程の冷たい涙とはぜんぜん違う・・・・・・
そんな涙が溢れると同時に、命の危機を抜け出したという安堵感もどっと胸に満ち溢れ出した。

「さて・・・・・・戻りましょうかコウイチくん。
 あの村長さん・・・・・・どうしてくれましょうかねっ」
21648 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:24:31 ID:???
「村長・・・あなた、自分が何したか分かってるんですか!?」

食堂。
ハスブレロ村長の周りを、村人達が取り囲んでいる。
村人達が村長を見る目は、畏怖と困惑を同時に包容していて・・・
それは、目の前の村長が『しでかした事』がいかに重大であるかを表している。
しかし、村長はそんなこと全く問題でないという風に、ふてぶてしい態度で振舞っている。

「何じゃ、何じゃ?わしが何したか分かっているじゃとォ・・・・・・?
 あぁ!?お前らが何言ってるのか分かってるのか!!」

村人達全員が、村長の剣幕に押されビクリと震える。
村長はイライラした風に椅子から立ち上がりながら、老体を思わせない物凄い剣幕で村人達全員に檄を飛ばし始めた。

「人間が魔王の復活に重大な鍵を握っているという事をお前らは知らんのか?
 あのまま、あ奴らガキ人間をほったらかしといたら、すぐ魔王にとっ捕まるに決まっとるだろうがァ!!
 人間はひ弱な生き物だ。無論、炎も吹けなければ竜巻を起こす事も到底出来んっ!
 あの隣にいた竜も、まるで覇気が感じられんかった。所詮見掛け倒し、魔王軍にかかればイチコロじゃっ!!
 分かるか、あァ〜〜〜〜ん?
 わしゃこの村のためっ!この世のためを考えて行動したのじゃ!!
 それを・・・お前ら何じゃぁーーっ!?」
21748 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:26:41 ID:???
村長の激に、辺りがシンと静まりかえる。
村人達はほとんどが顔を伏せ、村長を見つめている者はみなどうしていいか分からないような表情をしていた。

静寂の中コノハナがふと呟くようにこう言った。
「だからって、殺すまでは・・・・・・殺すのは流石に・・・・・・」
「あ?」
コノハナのその呟くような反論に、ハスブレロ村長は敏感に反応する。
村長は顔にいくつもの筋を作りながらコノハナの目の前に立ち、また怒号を上げた。
「わしのやる事にまだ文句を言うか貴様ァーー!!若造の分際で生意気じゃぞォーー!!
 人間が死ぬだの何だの、このわしが知ったこっちゃあるかァーーーー!!!」
「・・・・・・!」
村長がそう言い終えた時、コノハナは完全に言葉を失っていた。
何も言えず、黙りこくって・・・・・・
・・・・・・口を半開きにして、目を驚きに見開いている。
その視線は・・・・・・村長ではなく、その『後ろ』にあった。
「・・・・・・何じゃ貴様。何を見ている?」
村長も、すぐさまその事に気付き目の色を変える。
コノハナは、震えた動作で村長の後ろを指差し・・・・・・
「・・・・・・村長、後ろ、後ろ・・・・・・」
「あ?」
「村長ーーっ!後ろ、後ろーーっ!」
村長は、指に従いゆっくりと後ろを振り向いた。
後ろのその『一つの影』を見た瞬間、彼の脳内に衝撃だけが走った。

先程の話題の『人間』が・・・・・・閉じ込めたはずの『人間』が・・・・・・いまその場に立っていたからだ。
21848 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:28:15 ID:???
ぼく達の姿を確認した時の村長の顔は、まさに衝撃一色だった。
ぼくの予想以上に、いい顔をしている。
村長がぼくにあんな事をでかした事も相まって、村長の衝撃に揺れる顔は非常に愉快だ。
この顔を見れただけでも、閉じ込められた甲斐はあったかもしれない。
と、村長はその顔のまま『信じられない』と言った風な震えた口調でこう言う。
「な、なんで・・・・・・なんでじゃ・・・・・・」
「ボクが助けたんです。あの脆いガラス戸をぶち破ってね」
ズイと前に出ると同時にフライゴンはそう言う。
フライゴンはまっすぐ村長を睨みつけている。怒りに満ちた目でだ。
村長がたじろぎ怯えているのが、目に見えて分かる。
フライゴンはおどしかけるようにまた前に一歩出た。
「村長・・・・・・あんたはボクに言いましたね。『行った所で助けられない』と。
 あんな脆いガラス戸を信用してたんですか?」
「う、うう・・・・・・」
いざ丁寧語は使っているものの、フライゴンの語調からは村長に対する敵意がぷんぷんだ。

今にも、村長に襲い掛かってしまいそうなほどに、だ。
こんなに怒っているフライゴンは、珍しい。ぼくのために怒ってくれてるんだ・・・・・・
村長もそれを感じ取っているのか、顔を真っ青に染めおろおろと視線を泳がしている。
その村長を見つめる村人達の目つきも、『因果応報だ』とでも言う風だ。庇う気はさらさら無さそうだ。
フライゴンと村人達に見つめられ・・・・・・勿論ぼくにも見つめられ、無言の圧力を一身に受けている村長は、いまどんな気持ちだろう。
・・・・・・なぜだか、少し村長に対して同情が・・・・・・

「よ、よくやった」

「え?」
『よくやった』。そう言ったのは、ハスブレロ村長だ。
食堂中に少しだけざわめきが起こる。
しばらく経ってざわめきが止まった瞬間・・・・・・村長は続けてこう言った。

「じ、実は試練だったのじゃよ。ひょっひょ。よくやった、よくやった。
 き、君達は魔王を倒す、勇者になれる素質を持っておる」
21948 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:29:25 ID:???
ぼくは耳を疑った。
もちろん、村長のその言葉の意味に対してではない。
見るからに、聞くからに、感じるからに、村長の発言は100%嘘に決まってるからだ。
ぼくが耳を疑ったのは・・・・・・『この状況でこんな事を言える村長のふてぶてしさ』にだ。
芽生えかけてきた同情の心も、村長のその言葉を聴いた瞬間に砕け散った。

「はぁ?」
そう言ったのはフライゴンだった。
「い、いや、ほ、ほんとうじゃよ。試したんじゃよ。君達が魔王と戦えるかどうかを・・・・・・
 ほ、ほら。わしらモンスターが、に、人間様を殺そうとするわけ、ないじゃろう?は、ははは」
村長は、かたくなに嘘を続けようとする。
バレてないとでも思っているのだろうか?このまま押し通せるとでも思っているのだろうか?
先にしびれを切らしたのは、フライゴンだった。
「こ・・・・・・この後に及んで何をォーーっ!!
 ボクは怒ったぞ!コウイチくんをこんな風にさせた罪・・・・・・償えっ!」
フライゴンは憤怒の形相で腕を振り上げる。
村人達は咄嗟に顔を伏せたりするも、誰も止めようとするものはいなかった。
「ひっ!」

「待って!!」

突如、大声での静止が入った。
フライゴンの動きがピタリと止まり、腕がゆっくりと下ろされる。
「え・・・・・・何で・・・・・・?」
ゆっくりと、困惑の目つきでこちらを振り向くフライゴン。

そう、静止を入れたのは・・・・・・ぼくだ。
22048 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:30:32 ID:???
「・・・・・・何もしなくて、いいよ。」
フライゴンの肩に手を添え、ぼくは静かにそう言った。
フライゴンの目が一層困惑に揺れる。
村人達も、驚き目を白黒させている。
「な・・・・・・何でですか?コイツはコウイチくんを殺そうとしたんですよ!?」
ぼくの顔と、いくつかの傷跡を交互に見交わしながらそう尋ねるフライゴン。
フライゴンは、ぼくの仇を取りたくてどうしようもないみたい。だけど・・・・・・
「あの村長だって・・・・・・村やみんなを守るために、ぼくを殺そうとしたんだ。
 別に悪い人ってわけじゃあない・・・・・・だから、いいんだよ。別に・・・・・・」
「そ、そんな・・・・・・」

村長は確かにぼくを殺そうとしたし、何度も小ばかにしたような発言をぼくに浴びせかけた。
けど、別にそこに完全な悪意があったわけじゃあない。
それよりも何より、相手はポケモンでありしかも老人だ。ズタボロにされるのを黙って見てられるか?
それに・・・・・・結果的にだけど、奴のおかげでぼくとポケモン達との絆がハッキリしたのも事実だ。
これが『夢じゃあない』ってことも・・・・・・

「帰ろう、フライゴン。この村から出よう・・・・・・」
「で、でも・・・・・・」
「いいから」
ぼくは渋るフライゴンの羽を掴んだ。
フライゴンはキッと一度村長を強く睨みつけると、渋々ぼくに従って身を翻す。
フライゴンと一緒に食堂を出ようとした、その時だ。

「さ、さすが人間様!寛大なお方じゃのう!そ、それでこそ勇者の素質あり、じゃ!ひょ、ひょひょ!!」

まるで捨て台詞の如く、村長がそう叫んだ。
しつこく、あの『嘘』を押し通しそれで完結させようとしている。
意地でも自分のした事を『正当化』させたいんだ。
あんなことをしておきながら・・・・・・底意地が腐っている。

ギリギリ繋がってたぼくの堪忍袋の緒が、ついに千切れ去った瞬間だった。
22148 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:32:08 ID:???
「おまえ―――!!」
ぼくは、考えるよりも先に体を動かしていた。
勢いよく振り向き、村長をギッと睨みつける。
「ひっ」
村長は身を竦め、その顔がまた恐怖に歪んだ。

殴れない代わりに、ぼくは力強く睨みつける。
精一杯目つきを鋭くさせ、精一杯歯を食いしばり、
村長へ、ぼくの怒りの念をただひたすら送る。
もっと怯えろ!もっと怖がれ!もっともっと後悔するんだ!!もっと!もっと!!

「・・・・・・あやまれ」
ヒリヒリと疼き痛む傷口が、ぼくにそう喋らせた。
ぼくのその一言を聞いて、村長が一瞬呆気に取られた顔をしやがった。なんだその顔は――

「あやまれって言ってるんだァーー!!人を殺しかけて、その上あんなふざけた口まで聞いて、誠心誠意あやまるのが
 当然ってもんじゃあないかっ!?この世界では『失礼なことをしたらちゃんと謝れ』って教えてないのかァーー!?」

ぼくは叫んだ。感情に身を任せてこんな怒り叫んだのなんていつぶりだろう?
それにしても、ぼくみたいな子供が老人に対してこんな口を聞く方が失礼なんじゃ・・・・・・
いやっ!!奴のしたことは深刻だ!それはぼく自身が一番分かっているだろう!?
あれほどの事に、年の差とか種族の差なんて関係あるかっ!

ともかく、ぼくの怒号の迫力に押されたのか、あのプライドの高そうな村長はまず床に膝をついた。
ギリリと歯を食いしばり、おそらく恥や後悔、悔しさに押しつぶされそうになっている。
だけど、もうぼくはそんな村長を見ても同情なんて微塵も沸いてこない―――
フライゴンも、村人達も、ぼくの前に膝をつくハスブレロ村長をある意味小気味良さそうな目で見つめていた。
そして・・・・・・

「・・・・・・すまなかった、すまなかった、人間様ァ!!だから、許して・・・・・・許して、ください・・・・・・」

ぼくをあれ程絶望に追いやった村長は、ついにそのぼくの前で地に頭をこすり付けた。
22248 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:34:55 ID:???

・・・・・・・・・

人間とそのお供の竜が食堂から・・・・・・この村から去って、既に何分かが経過した。
それでも、ハスブレロ村長は硬直したようにまだ床に頭を擦り付けたままだ。
取り囲んでいる村人達の目も、だんだん憂慮の色に染まっていく。
「あ、あの・・・・・・村長・・・・・・」
しびれを切らした一人のコノハナが、村長の元へ近寄る。
と、近寄った瞬間に村長は不意に頭を上げた。
「!」
村人の間に一抹のざわめきが起こる。
驚きじりっ、と後退するコノハナ。
村長はぐるりと首を捻りそのコノハナの方を見つめると、こう言い出した。

「・・・・・・あ〜あ。とんだ災難じゃったのう」

そう言いながらゆっくりと膝を伸ばし立ち上がる村長。
その表情には、反省の色などは微塵も無い。
あるのは『やっと厄介事が過ぎ去ったか』程度の感情のみだ。
村人達は、一斉に黙りこくり村長を見つめ出す。
・・・・・・その目の表情は、あくまで冷徹な物で・・・・・・
「・・・・・・何じゃ、何を黙りこくっとる?何だその目つきは?」
それを、村長も感じ取る。
村長は不愉快な気分をそのまま声量に変え、村人達全員に向けて怒鳴りつけた。

「何なんじゃその目つきはーーっ!!わしは何も悪いことはしていない、そうじゃろう!?
 そもそも何じゃ貴様ら、何でさっき黙っておったー!?村人としてわしを庇うのは当然のことじゃろうが、オラッ!」

べちんべちんと地団太を踏みながら説教を始めるハスブレロ村長。
しかし、村人達が村長を見つめるその冷めた目つきは依然変わらず・・・・・・
しばらくすると、一匹のハスボーが無言でハスブレロの横を通り抜けていった。
22348 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:36:22 ID:???
「お・・・・・・おい?ど、どこへ行く?説教はまだ終わっとらんぞ・・・・・・」

慌てて引きとめようとする村長。
しかし、ハスボーは一切反応の様子は見せずに食堂を出て行ってしまった。
そしてそれを皮切りに・・・・・・村人達が次々と、無言で村長の横を通り抜けていく。
「お、おい、何じゃ!?誰が帰っていいと言った!?」
うろたえ、叫ぶ村長。しかし誰も一切反応しようとはしない。
やがて村中のほぼ全員が集まっていた食堂からも村人はほぼ消え、
ついにはハスブレロ村長と給仕をしていた一匹のコノハナの二匹だけになった。
「ぐ、うう・・・・・・・」
ズタボロに傷ついたプライドを押さえるように歯を食いしばるハスブレロ村長。
と、コノハナがそんな村長に近寄り、冷めた口調でこう言った。
「あんな横暴をしでかして・・・・・・村人達にも見放されるのは当然です。
 老人相手にこう言うのも何ですが・・・・・・あなた、きっと近い内ひどい罰に当たりますよ?」
コノハナはそう言い放つと、厨房の奥に消えていった。
広い食堂に村長一匹が残される。
村長は荒い鼻息をつきながら、ふらふらと壁にもたれかかった。
辺りの静寂と反する心の激しい怒りと後悔を少しでも晴らすように、
村長は壁を強く、思い切りたたきつけた。

「・・・・・・くそっ!!くそっ、くそっ!!」

怒りと悔しさに壁を叩きつける村長。
何度も何度も、手が痛むのも全く気にせず壊れたように壁を叩きつけ続ける。
それから長い時間、村長は食堂を出ずに手が壊れそうになるまでずっと壁を叩きつけ続けていた。
22448 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:38:09 ID:???

「さっ!!これからどーしますか?コウイチくんっ!」

黒が差し込み間もなく夜へと向かおうとしている空の下を、ぼくはフライゴンと一緒に歩いている。
フライゴンの問いに、ぼくは大袈裟にウーンと考える仕草を取ってこれからの事を考えた。

ハッキリしてるのは、これは『夢じゃあない』ってこと。
ってことは、これからやる事は二つだけ。そして最も優先する事は・・・・・・

「まずは、はぐれたポケモン達、あとミキヒサを探す事だねっ!
 たくさん色んなところへ行こう!・・・・・・あはっ、観光代わりにもなるかもねっ」
「ですねっ。・・・・・・観光っ!それいい発想です、コウイチくんっ!」
「でしょ?せっかくこういう所来たんだし、楽しまなきゃ損だよ〜」
「さすがコウイチくん、ポジティブシンキング!」
「そ、そうさそうさ、ネガティブでいい事なんか一つもなしだし・・・・・・これからのぼくはポジティブぼくだっ!」
そう言ってからぼくは手を大きく広げて、いかにぼくが
ポジティブであるかを全身で表現してみた(この仕草のどこがポジティブの表現になってんのかは自分でもよく分からないけど・・・)。
・・・・・・と、そんなポジティブぼくの脳内ビジョンに、不意にこんな言葉が浮かんでくる。

みんな無事でいるかな・・・・・・

・・・・・・い〜や、きっとみんな無事でいるに決まってるさ!
・・・・・・自分がこんな目に会っといてちょっとそれは説得力ないけどさー。

・・・・・・本当に元の世界に戻れるのか。
22548 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:43:27 ID:???
吹きすさぶ夜の風と共に何かそんな考えもふと頭に浮かんできたけど、ぼくは慌ててそれを打ち消した。
そゆことはあまり考えないようにしないと。
そうさっ、これからのぼくはポジティブぼくっ!こういう事はなるべく考えちゃいかんいかーん!

「・・・・・・ふふっ」
そんなこと考えてると、何故だかちょっと笑みがこぼれてしまった。
不思議そうにフライゴンがぼくを見つめる。少し笑みの残った顔で見つめ返すと、フライゴンもぼくにつられて笑みをこぼした。
「・・・・・うふふっ」
そのフライゴンの笑みにつられて笑うぼく。
「あははっ」
そのぼくの笑みにつられて・・・・・・
「あっははーー!」
そのフライゴンの笑みにつられて・・・・・・
「あははのはーー!!」
少し経ったら、またまたぼく達は大声で笑いあっていた。
本日何度目か分からない中身の無い笑い合い。ほんっと、何度目だろう。
中身の無い笑い合い・・・・・・いや、中身は、あるかな。やっぱ。

わははと明るく笑い合い、腕をふりふり足取り軽く、ぼく達は次の場所へ向かっていった。



「・・・・・・ほっほほ。まさかこんな早く見つけてしまうとはのー。
 やはり予想通り・・・・・・奴ら『磁場』へ向かっておるわ!ほっほ!」
笑い合い歩く二人を、遥か上空から見下ろす影があった。
「さっそく一句できたぞっ!ほほ、快調じゃのォ〜〜〜
 哀れかな
    飛んで火にいる
          夏の虫
 ほほっ!彼らならきっと・・・・・・わしにいい句を沢山提供してくれるだろうのォ!!ほほっ!!」

続く
22648 ◆8z/U87HgHc :2007/03/31(土) 19:45:20 ID:???
前半の流れはちょっと苦手な流れだから遅くなっちゃったけど、
何とか今週以内に投稿できてよーーかったー。

拙い文章でゴメン&長くてゴメン。
じゃあ、また。
227名無しさん、君に決めた!:2007/03/31(土) 19:46:15 ID:???
GJ!

あんたはきっとジョジョに影響されているッ!
その言い回しはかなり荒木節近いぜ!
228名無しさん、君に決めた!:2007/03/31(土) 19:49:18 ID:???
>>48
GJ!
フライゴンかわゆす
229名無しさん、君に決めた!:2007/03/31(土) 19:56:21 ID:???
何だ制裁なしかよ→地に頭を擦りつけこの私にあやまれ!
の流れはよかった
230名無しさん、君に決めた!:2007/03/31(土) 20:05:23 ID:???
>>48
お前のせいで楽しみが増えてしまったじゃないか!
とりあえずGJ!!!!
231名無しさん、君に決めた!:2007/04/01(日) 01:24:01 ID:???
テラGJ!!フライゴン育てたくなった
232名無しさん、君に決めた! :2007/04/01(日) 02:51:07 ID:???
エロじゃない小説書く奴死ね
233名無しさん、君に決めた!:2007/04/01(日) 07:40:34 ID:???
>>232
エロパロ板へどうぞ。
234名無しさん、君に決めた!:2007/04/01(日) 18:14:55 ID:???
(おそらく)健全小説投下します。
長い目でどうぞ。
235234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/01(日) 18:16:51 ID:???



故郷に久しぶりに帰ってきた。

およそ2年くらいになるだろうか。この凍て付くような寒さが懐かしかった。
懐かしかったが、足が痛い。2年のブランクは相当なものだった。

ここはキッサキシティの外れ。神殿を見上げ、少し感動を覚える。
あいつは今どうしているだろうか。しっかりジムリーダーの仕事をこなしているだろうか。
ま、行けば分かる。早速ジムへ向かおう。

そのとき、身震いがした。

何か嫌な予感を覚えた。何なのかは分からない。だが、今までこんな恐れを感じたのは初めてだ。
神殿からなのだろうか。そうだとしたら、尚更あいつに会う必要がある。
俺は急ぎ足でジムへ向かった。



その予感は、正しかった。


236234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/01(日) 18:18:16 ID:???

キッサキジムは以前と比べて随分、活気、というか熱気があった。聞こえてくる声で分かる。
やっぱり現ジムリーダーの所為だ。いいことではあるけど。

とりあえず、入り口の傍にある機械を弄くり、現ジムリーダー、スズナに俺が帰ってきたことを知らせる。
ジムの照明を白、赤、白、青と変え、最後は白に戻す。
これでわざわざ二重扉を開け、スズナのところに行かなくても済む。おそらく向こうから来るだろう。

しばらくして、ドアを思い切り開ける音がした。二重扉のうちの一つ。次の扉を開ければお互いの姿を見れる。
俺は構えた。いや、心の構えでなくて、格闘術の構え。

そして、扉が思い切り開いた。

スカートの中が見えるのを気にせず跳び蹴りが繰り出された。俺の顔面めがけて。
ちょっとスカートの中を見てみたかったが、流石に蹴りは嫌だ。右腕で蹴りを受け止め、左拳で比較的軽めにみぞおちを打つ。

「うごっ・・・」

少し悲鳴をあげ、悶えながらしゃがみこむジムリーダー。ちょっとあっけなくて、少し不満だがそんなことはどうでもよい。
まあ、大丈夫ではなさそうだが聞いてみる。

「大丈夫か?」

そして、予想通りの返答。

「大丈夫じゃ、ない・・・」

少し、声が女性らしくなった、と思う。無論身体もだが。2年も経てば当たり前といえば当たり前か。
とりあえず、ホームに帰ってきたら言うべき文句があるので、それを言う。

「ただいま、スズナ」
237名無しさん、君に決めた!:2007/04/01(日) 21:18:34 ID:???
さあ盛り上がって参りました!
238234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 08:34:13 ID:???

俺、レンは、キッサキシティのジムリーダーを務めていた。

14の時にその座につき、以後俺が修行をするため旅立つまでの2年と6ヶ月、負けた事は一度たりともなかった。
もちろん、実力のあるジムリーダーとの親善試合でも、だ。多分、デンジが退屈だったのも、俺が大体蹴散らしていたからだったろう。
ま、俺が退いても退屈だったのは変わりなかったようだが・・・

そしてスズナとは、5、6歳のときからの幼馴染、もとい良きライバル(全部俺が勝ってたけど)だった。
キッサキシティの中では随分浮いた存在だった俺に何も警戒もせずに話しかけてくれた。
ま、大体の男はそんな女の子、好きになってしまうよな?


スズナは俺のことをどう思っているんだろうか?


今まで言えなかったが、今度こそは・・・・・・


239234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 08:35:58 ID:???

「で?なーんで2年もジムほったらかしにしたわけ?」
「いや、色々あってね・・・」

色々、というか、珍しいポケモンがいたからそれを追ってて数ヶ月かかっただけなんだけど、それは恥ずかしいので言わないことにする。

「それより、ちゃんとジムリーダーとして挑戦者を返り討ちにしてやったんだろうな?」
「えっ」

やっぱり。予想通りの反応。しかも結構動揺している。少しからかってやるか。

「その反応だと・・・、負けたんだな。挑戦者に」
「うう・・・」
「しかも一人じゃないな。二人くらいに、その上ボコボコにされた顔だな」
「・・・ひ、一人だけだよ。大負けしたのは」
「でも負けてんだろ?ガキだからって油断してたんじゃないのか?」

すると、スズナが驚きの表情を見せた。
お前はお約束の塊か。

「な・・・何で知ってるの?」
「それくらい街とかで噂だが聞けるだろう。たったの10歳の子供と、同じ年齢の少年がジムバッジを全て集めたってな。」
「・・・・・・」
「ふふ・・・不甲斐無い。油断して負けるのはジムリーダーにとってあっちゃいけないはずだが」
「うっ、うるさいうるさいっ!」

少し涙目になってきたので、やめておくことにする。やはりからかったときの反応は2年前から変わってないな。面白い。
だが、それよりももっと重要なことがある。さっきの神殿から覚えた嫌な予感だ。
その話をしようとしたそのとき、スズナが

「ねえ、神殿に行ってみた?」
240234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 09:27:31 ID:???
やはり、スズナも神殿の異変を感じていた。十数年間ここにいるスズナが言うのだ。もはや間違いないだろう。

「もう行ってみたよ。嫌な予感がする」
「そう・・・やっぱり、レンも感じてたんだ」
「ああ・・・俺が思うに」
「神殿に封印されたポケモン―」

俺が言う前にスズナが言う。やめてくれよ。決まったと思ったのに。

「これが、関係してると思うのよねー」

すると、スズナは俺に勝ち誇った表情を見せた。くそっ。やはり昔のようにはいかない。

「ま、とりあえず神殿に行ってみよう。何か分かるかもしれない」

とは言ってみたものの、正直不安な点があった。
ひとつは、封印が解かれようとしているのなら、俺たちだけでは危険かもしれないということ。
そしてもうひとつは、「予感」という曖昧なものなので、行っても何も無い可能性もあるということだ。
しかし、だからといって行かないわけにもいかない。キッサキシティにいる者の中で、唯一この問題を解決できるのは、俺とスズナしかいないのだ。
俺は、なるべく後者であってほしいと願いながら、スズナと共に神殿へ向かう。

241234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 09:50:14 ID:???

相手はクロバットを繰り出してきた。相当鍛えられている。
そして俺は、運が良かった。グレイシアを繰り出す。

相性的には有利。だが、完全に安心できるわけではなかった。
素早さで言えば相手が先制で仕掛けてくる。クロバットは何をしてくるか、分からない。
修行のおかげでほとんどのポケモンの戦術は把握できるが、多彩な技を持つポケモンは中々掴めない。

そして、男の第一声。

「クロバット。『黒い霧』を放て」

淡々としたその声とともに、クロバットの体から黒いガス状の霧が噴出す。
あたりは真っ暗になった。

俺は、気付いた。

あいつは、最初から俺と本気でポケモン勝負する気など無いのだと。
黒い霧に紛れ、封印を開放することは、可能だ。

俺はグレイシアに『凍える風』を放つよう指示した。

そして、霧が晴れる。

男の手にあった三つのモンスターボールが、台座に置かれ、光を放っていた。



封印が、開放された。


242234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 09:53:28 ID:???
しまった・・・コピペミス・・・orz
>>241は大分先です。>>240以降を投下します。
243234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 09:54:33 ID:???

門番が、倒れていた。

死んではいない。気を失っているだけだが、マヒしている。俺は持っていた『なんでもなおし』で彼女のマヒを取り除く。
だが、目覚める気配はない。どうやら、神経系に大きなダメージを受けているようだ。俺は彼女を病院に連れて行こうとしたが、スズナが

「わたしが病院へ運ぶよ。レンは先に神殿の中へ入って」

俺はスズナに礼を言い、神殿の入り口へ踵を返す。
そして、モンスターボールを構えながら中へ、入る前に

「ぜったい、無理しないでね」

と、スズナが言ってくれた。だが、そのときは神殿に目がいっていたため、あまり感慨には浸れなかった。

神殿の中は相変わらずだった。
ところどころ凍っていて、その氷は人工的に作られたのではないかというほど青い。
その所為か、壁も天井も青く移り、体感で外より寒く感じる。閉塞感が感じられない。
そして、空中を飛び回るゴルバットも、他に生息しているそれよりも青い。様々な場所で見てきたからこそ言える。やはり、ここは神聖な場所なんだと。
そんな場所に『異変』が起きようとしている。なんとしてでも止めなければ。
俺は、地下に続く階段へと歩みを進めた。ジムリーダーになってからはほとんど毎日行ってたので、地理感は2年のブランクでも衰えていなかった。
そして、その奥に眠るポケモンも、見たことがある。
それはとても巨大で、とても恐怖を覚える、そんな姿だった。
俺はそのポケモンを見て、修行をする必要がある。そう思ったのだ。
もし、そのポケモンの封印が解かれようとしているのならば、俺は修行の成果を試す必要がある。

そして、最下層に到着した。


人が、いた。

244234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 09:59:05 ID:???

その男は、封印されたポケモンを眺めている。
何を、しているのか。それは分からない。封印を解こうとしているなら、止めなければならない。

「誰だ」

俺は比較的大きな声で、その男に向かって放った。すると

「名を名乗る必要は無いね」

そう返ってきた。その言い草は、中々嫌いなタイプだ。
黒い長髪に細顔、耳にはピアス。だが体格はまさしく鍛え上げられたそれで、腕は立ちそうだ。そう思えた。
そして、その男の手には三つのモンスターボールが握られていた。

「・・・そのモンスターボールで何をしようとしている」
「何も言うことは無いと言ってるじゃあないか。黙っててくれないか」

侵入者に黙れと言う権限は無い。口に出しそうだったが、それは自粛する。その代わりに

「何も言うことは無いと言っているが、『黙れ』とは口に出すのか」

売り言葉。上手く買われ、ポケモン勝負でコテンパンにできれば・・・。

「・・・そんな挑発、私が乗ると思うのかい?」
「ああ、俺は思ってるね」

緊迫した空気が、流れる。早く脱却したいほどに重い。
そして、男が腰辺りに腕を伸ばした。俺もすぐさま自分のモンスターボールに手を触れる。

お互いのモンスターボールが放たれた。
245234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 10:20:45 ID:???
本当に申し訳ないですorz
>>244の次が>>241となります。

>>241の続きを投下します・・・

「こ・・・これは・・・」

正直、驚愕した。まさか、封印を解かれるとは思わなかったからだ。
1年くらい前、俺がホウエン地方である文献を読んだことがある。

”シンオウにあるキッサキ神殿。その奥に眠るポケモンは、岩・氷・鋼を司る封印されしポケモンによって、楔を解き放つことが出来る・・・”

そんな内容だ。更に調べていくと、その3体のポケモンはこのホウエン地方にいると分かり、名前もそれぞれ分かった。
無論、神殿に眠るポケモンの名前も、だ。

「レジロック・・・レジアイス・・・レジスチル・・・。全て、集めたと言うのか・・・」

思わず、こう口に出す。すると男は

「・・・そうだよ。私が全て集めたんだ」

そう言った。『私が』?嘘に決まってるだろ。たかが一トレーナーが、捕らえられるわけが無い。
おそらく、幾人ものトレーナー、いや・・・、集団マフィアか、それに似た集団が無理矢理捕らえたに違いない。
俺には、そう言える根拠があった。

三つのモンスターボール。その中にいるポケモンが、悲鳴をあげている。
俺に分かるように、だが、弱弱しく。

「助けなければ、ならないな・・・」

246名無しさん、君に決めた!:2007/04/02(月) 16:49:05 ID:???
乙!
続きに期待だ。
247名無しさん、君に決めた!:2007/04/02(月) 18:28:55 ID:???
>>234
激しく期待
248234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:44:53 ID:???

俺は、グレイシアに攻撃の準備をするよう指示した。
これほどのポケモンをたった一人で捕獲しようと言うのだ。何か策があるに違いない。

「ふふふ・・・ついに、私の物にする時が来た」

男は笑みを浮かべ、動き出した、巨大なポケモンを眺める。
まだ、そのポケモンは完全に目覚めてはいない。長い間封印されてきたのだ。『寝起き』といったところだろう。
だが、その状態でも、充分に『危険』だということは、男も分かっているはずだ。

「お前は・・・私が、このレジギガスを捕らえられるわけが無いと思っているだろうね」

突然、尋ねてきた。無論俺の返答は

「当たり前だろ。・・・その自信はどこから来ている」

すると、男は高々と笑い叫ぶ。なかなかベタな笑い方だったが、つられるといけない。
そしてこう言う。

「それこそ『当たり前』だよ。・・・私は、あるモンスターボールを盗んだ」
「『盗んだ』?それはつまり・・・」
「そう。私はとあるマフィアを抜け出した。嫌気が差したんだよ。さんざん利用しておいて、見返りも何も無かったからね・・・。
だから私は、マフィアからレジロック、レジアイス、レジスチルの入ったモンスターボールと、『コレ』を盗んで組織を抜けたのさ」

やはりそうだったか。だとしたら、相当危険だ。
そう思わざるを得なかった。なぜなら、その男の手にあるモンスターボール。
それが、普通では手に入らない代物だったからだ。

「・・・マスター、ボール・・・」

それが、男の手にある。
249234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:46:24 ID:???

「・・・そうだ。これは、あらゆるポケモンを確実に捕まえることが出来る。
無論、このレジギガスでさえもだ。」

男はそう言い放ち、その巨体に目を向ける。
その巨体はまだ上手く体が操れてないようだ。目の前の男にさえも攻撃できないのだから。
俺は、『時間稼ぎ』として言い放った。

「それで捕らえることを、俺が許すと思うか?」

その男は、微笑を浮かべる。

「許してもらう必要は無いけどね。ま、いくら足掻いたところで無駄だろうけど」

そして男は、マスターボールを投げる構えを見せた。
俺は、天井辺りにいる青いゴルバットを見た。
ゴルバットもこちらを見る。
そして、グレイシアに目を向けた。
グレイシアは頷き、俺も頷いた。どうやら準備は出来ているようだ。
男は、マスターボールを、レジギガスに向かって投げた。
俺は、叫ぶ。

―グレイシア!冷凍ビーム!

グレイシアの額あたりに冷気が集まり、白線となって放出される。空中に放り出されたマスターボールに向かって。
白い線と、紫の球体が重なり、紫の球体は軌道を変え、レジギガスとは全く違う方向へ飛んでいく。
向かう先は、先ほどレンが目を合わせたゴルバット―

―ゴルバットに、マスターボールが当たった。
250234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:46:54 ID:???

マスターボールは、カチッという音と共に半分に割れ、ゴルバットを吸い込む。
そして落下。
男は、驚愕の表情を浮かべた。

「ば・・・馬鹿な・・・」

マスターボールが、今自分の持っているクロバットよりも格下のゴルバットを捕まえてしまった―
その事実が、男を動揺させる。

「まさか、ポケモンと『対話』したのか・・・」

俺は、ここぞとばかりに笑みを浮かべる。

「今のゴルバットの動き・・・、まるで・・・ボールに当たりに行ってるようだったね・・・。
ゴルバットと『対話』して、わざと捕まるように指示した・・・」

これが、修行の成果だ。
この2年間、俺はただ単に戦闘テクニックや、ポケモンについての研究をしていたわけじゃない。
俺は、ポケモンとの『対話』を目的に修行をしていた。

「なるほど・・・、どうやら、お前には『才能』があるらしいね」

その男は、クロバットを引っ込める。次のポケモンを出すつもりなのだろうか。
俺はグレイシアを・・・、引っ込めなかった。そんなつもりはない。

「だけど、私はお前の相手をしている暇は無いよ」
「ま・・・そうだろうな。・・・あんたの目的はレジギガスを手中に収めること」

「無理矢理にでも、私の物にする。お前に邪魔はさせないよ」

251234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:47:37 ID:???

「俺が、あんたの邪魔をしないとでも?」
「私はそんなことは言っていない。だが、相手にする気も無い。」

そう言いながら、その男はモンスターボールを放った。
出現したのは、トリッキーな戦術を使うバリヤード。
そして、その瞬間、俺と男の間に透明な壁が出現した。

―バリアー!

それも3重にもかけられていた。しかも、それだけじゃない。あらゆる攻撃に耐えうるよう、他の壁も施してある。

「畜生・・・!」
「悪いね。私はこのポケモンを捕まえなければならない」

そう言いながら、男はレジギガスのほうへ向き、

「―私の名前は、カーン、だ」

捕獲対象、レジギガスと戦闘を開始した。

『カーン』・・・、その名を聞いたとき、俺はハッとした。
彼は、『ロケット団』から分岐し、主に外国で恐れられたマフィア集団の長だった男だ。
レジロック、レジアイス、レジスチルやマスターボールをいとも簡単に持ち出せたのにも納得がいく。
『嫌気が差した』のくだりは、当然嘘だろう。
彼は、強大な力を持つポケモンを独り占めにしたいがために、組織を抜けたのだ。
252234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:48:23 ID:???

「レン!どうなってるの!?」
「スズナ!来たか」

スズナが走りながら俺の元へ来る。そして、目の前の光景に驚愕していた。

「封印が・・・解かれてる・・・!」
「ああ・・・今、カーンという男が捕らえようとしている」
「は・・・早く止めなきゃ!」
「無駄だ・・・、あいつのポケモンが結界を張っている」

スズナもまた、悔しそうな表情だ。
今、カーンはゲンガーを繰り出し、『催眠術』をかけている。
眠らせた後、他のポケモンに交代して弱らせていくのだろう。
だが、相手が相手だ。そんな戦術が、通用するのか・・・。

「レン」

突然、スズナが話しかけてきた。

「何だ?」
「この結界、どれくらいの強度があるの?」

俺は壁を見て、こう伝える。

「『バリアー』による壁が3重、その間に『リフレクター』、『光の壁』が重複して張ってある。
単純計算でダメージが16分の1になるぞ。通るわけない」
「そう。じゃあ、いけるわね」

「・・・・・・は?」
253234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:49:57 ID:???

俺は驚いた。何を言ってるんだ、と。

「・・・スズナ。『いける』って、本気なのか?」
「本気よ。これくらいの結界だったら問題ナシね」

俺はうろたえた。こんな結界、どんな強力な攻撃をしても破れないはずだ。そう思った。
スズナは氷ポケモンしか持っていない。氷タイプの攻撃は結界を破るような爆発的な攻撃ではない。

「・・・あ、そっかー、レンは知らないんだ。」
「何がだ」
「あたしの手持ち、増えてること」
「・・・!」

なるほど。手持ちが増えてるなら、破れる可能性が出てくる。
スズナも、『トレーナーとして』成長しているということを見落としてたな。

「出番よ!チャーレム!」
254234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:50:59 ID:???

スズナが繰り出したポケモンはチャーレム。ヨガを得意とする、格闘タイプのポケモン。
おそらく、結界破りにはもっとも向いている。
なぜなら、チャーレムはヨガにより攻撃力が高いからだ。

「チャーレム!ヨガで集中力を高めて!」

チャーレムは『ヨガのポーズ』で気を高めている。
これなら、いける。そう確信した。

「チャーレム!『瓦割り』!!」

チャーレムは飛び上がり、重力と腕力を使い、拳で結界に思い切りパンチをする。
1枚目の結界は思い切り破れ、続く2枚目の『リフレクター』もやすやすと壊す。
3枚目は1枚目よりは勢いが無いものの、それでも直ぐに割れる。
そして4枚目、5枚目は、空中で体勢を変え、踵落としで一気に割ってしまった。

―5枚全ての結界を割るのに、ほんの数秒もかかっていない。

「よしっ!そのままバリヤードに『冷凍パンチ』!」
255234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:52:24 ID:???

冷気を帯びた拳が、バリヤードの脇腹あたりを突く。
バリヤードが、凍りつきながら理不尽な体勢で吹っ飛ばされていった。

「チャーレム!ナイスパンチ!」

結構大きな声で叫ぶスズナ。そして俺に笑顔を見せる。
久しぶりだな。その自信に満ちた笑顔は。

「へえ・・・結構強いじゃないか」

俺は思わず、感嘆の声をあげる。

「でしょー?育てるの結構大変だったんだからー」
「じゃあ、その勢いであいつを止めるぞ!」

俺とスズナは、急いでカーンを止めるために走る。

だが、その必要は無かった。
256234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:53:25 ID:???

カーンが、倒れている。それも出血がひどい。そして、その直ぐ傍で、ストライクの進化系であるハッサムが倒れている。
そして、レジギガスは、無傷だった。『催眠術』は成功していたようだが、傷を付けることは出来なかったようだ。

「ぐ・・・まさか、これほどの力とは・・・」
「カーン。やっぱりあんたは無謀だったんだよ」

俺は倒れているカーンに話しかけた。

「レジギガスは他のポケモンより圧倒的な破壊力を持つ。最初の『寝起き』の時の攻撃力だけで判断してはいけないんだ」
「そんなことは・・・知ってる、よ・・・。それを前提に・・・、マスターボール無しでも、捕まえられる編成・・・を、したんだ」
「だが、結局は捕まえることも、ダメージを与えることも出来なかった」
「ふ・・・。全く、その通り、だ・・・」

「俺らが何とかする。あんたはそこで気絶でもしていろ」
257234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:54:12 ID:???

俺らが何とかする・・・、そうは言っても、果たして『何とかできる』のだろうか?
せめて、せめて屋外に出れば・・・

「・・・スズナ」
「ど、どうしたの?」

「危険だが、レジギガスを外に放り出すぞ」

スズナはきょとんとしていた。何で外に出す必要があるのか、そういう顔だ。
だが、そんな理由をいちいち説明している暇は無い。俺は簡単にヒントを与える。

「―この、グレイシアの特性を考えろ。そして、お前の手持ちのも、だ」
「・・・あっ」
「そういうことだ」

スズナは直ぐに意味を理解した。流石はジムリーダー。しっかり知識も心得ているじゃないか。

「スズナは、チャーレムで上手く油断を誘ってくれ」
「う・・・うん!」
「俺は、こいつを使う」

そう言って、俺はもう一つ、モンスターボールを取り出す。
258234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:54:49 ID:???

「頼むぞ、ムクホーク」

モンスターボールを放った。中から、鳥ポケモン、ムクホークが飛び出す。

『ムクホーク。地上で、レジギガスのちょうど真上に位置する場所へ移動してくれ。到着したら伝えろ』
『分かった』

そう『対話』し、ムクホークは地上へと向かう。

「あれ?勝手に外へ行っちゃうよ?」
「『勝手に』じゃない。・・・俺が指示した」
「ウソでしょ・・・。『対話』できるの・・・?」

質問に答える前に、レジギガスが動き出した。

「その前に、こいつを何とかしなきゃな!」
259234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:55:32 ID:???

「グレイシア!『冷凍ビーム』!」

その叫びと共に、グレイシアから氷の白線が伸びる。
レジギガスを完全に捉え、当たった左腕が凍る。そして

「チャーレム!攻撃した場所に『炎のパンチ』!」

チャーレムの炎の拳が、凍った左腕を攻撃する。
氷が一瞬で解け、一気に霧が噴出す。
攻撃に温度差を加えれば、ダメージは一層大きくなる。冷水に足を浸した後、お湯に足を浸すと非常に熱く感じるのと同じ原理だ。

だが、それでも大したダメージは与えられなかった。左腕は軽く腫れている程度だ。

そして、レジギガスが殴る構えを見せた。ほんの一瞬だが。

「!スズナ、来るぞ!」
「うん!」
260234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:56:22 ID:???

拳が炎を纏っていく。『炎のパンチ』か!
だとしたら、攻撃する相手は間違いなく・・・

『グレイシア!右に避けろ!』

『対話』した直後、レジギガスの拳がおそろしい拳速で放たれた。
グレイシアは当たる直前に右に避け、俺は左に避けた。
当たった床が衝撃とともに凹み、燃えさかる。凄まじい轟音が鳴り響き、耳がおかしくなりそうだ。

「くっ」
「きゃっ!」

そして、それに伴う衝撃破が俺とスズナを襲い、軽く3mは吹っ飛んでしまった。
261234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:57:30 ID:???

「た、ただのパンチがなんて威力だ・・・」

桁外れの破壊力。どうりで封印されてしまうはずだ。
早く準備が完了しないと、手が付けられなくなってしまう。すると

『到着した』

待ちに待ったムクホークからの『対話』。
これで、下準備は完成した。
262234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:58:16 ID:???


『グレイシア、平気か』

俺は『対話』を試みる。するとグレイシアが

『大丈夫』

と、言ってくれた。続いてムクホークに『対話』。

『ムクホーク。準備はいいか?』
『準備はできている。あとはお前が指示するだけだ』
『分かった。・・・無理はするな』
『それも分かっている』

さて、後はスズナだ。

「スズナ。大丈夫か?」
「いつつ・・・。へ、平気・・・」
「お前はここでちょっと休んでてくれ」
「え・・・、何をする気?」

「いいから。―修行の成果だ。」
263234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:58:55 ID:???

レジギガスが俺の方を向く。ここまでは順調だ。
そして、ムクホークに指示を出す。

『ムクホーク。垂直に『ブレイブバード』だ!』

その瞬間、激しい轟音が鳴り響き、天井から凄まじい風圧の衝撃波がレジギガスに向かって襲う。
その中心には、ムクホーク。
これが『ブレイブバード』だ。風を取り込み、自分より遥かに肥大したそれをわが身を問わずぶつける。
その塊は、レジギガスに直撃・・・は、しなかったものの、かなりのダメージを与えた。
ムクホークもある程度ダメージは受けている。無理はさせたくないのは本心だが、今回はそうにもいかない。
俺は、グレイシアに指示を出す。

『グレイシア!今の隙を突いてレジギガスの懐に潜れ!』

グレイシアは、素早くレジギガスの懐に入る。そして

「ムクホーク、グレイシア!それぞれ『吹き飛ばし』と『凍える風』だ!!」

ムクホークは翼を激しく動かし、巨大な竜巻を発生させる。だが、レジギガスはまだ動かない。
―そこに、グレイシアの凍て付く風が加わった。
天井には地上に続く穴が、先ほどの『ブレイブバード』で空いている。
レジギガスが飛ばされ、その穴に吸い込まれていった。
二つの『風』を起こすことで、その巨体を飛ばしたのだ。

「す、すご・・・。なんて風力・・・」
「これが・・・俺の『実力』だ。スズナ」

得意げに、スズナに勝ち誇った表情を見せてやった。
264234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 18:59:52 ID:???

「な、なんて奴だ・・・」

カーンが、驚きの声を上げていた。
俺は、カーンの元に向かい、こう言う。

「あんたは、ポケモンを我が物にすることしか考えてなかった。それが敗因だ」
「ふ・・・、口では何とでも言える。お前だって、同じようなものだろう?」
「さあ・・・。どうかな、『口では何とでも言える』しね」

一呼吸おいて、カーンに

「残念だが、レジギガスは再び封印する。無論、この3匹もな」

そういいながら、台座に置かれてた、3つのモンスターボールを手に取る。

「お前に、出来るか・・・?」

「ああ。出来なくてもやる」

そう言い残し、スズナと共にムクホークの背中に乗り、地上へ向かう。

「―堕ちるなよ。私のようにはなるな。少年」

そう、聞こえた気がした。
そして、神殿から飛び出し、外に出た。
265234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 19:01:01 ID:???

あたりは一面雪に覆われ、銀世界とでも言うのだろうか。そんな感じだった。
そして、今いる場所より10mくらい先に、レジギガスがいた。
膝をついている。なかなかのダメージは与えたみたいだ。だが、まだ大分体力は残っていそうだった。
それよりも、スズナが心配だ。さっきのレジギガスからの攻撃で足に怪我を負っている。

「スズナ・・・、いけるか?」
「うん、大丈夫」
「ここからが本当の勝負だ。ふんばってくれよ」
「言われなくてもっ」

かなり、無理しているだろう。この寒さの中、額に汗が浮かんでいることから、おそらく立つことすら辛いはずだ。
なるべく早く済まさなければならない。

「・・・スズナ、ユキノオーを出せ」
「・・・了解!」
266234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 19:02:04 ID:???

久しぶりの共同戦線。こんな状況だと言うのに、何故か俺は楽しかった。
相手が、スズナだからだろうか。きっとそうに違いない。
そしてスズナも、怪我をしているというのに笑顔だった。似たもの同士だな。

「ユキノオー!がんばって!」

モンスターボールが放たれ、ユキノオーが出現する。
そしてその瞬間、霰が降り始めた。ユキノオーは、霰を発生させることが出来る特殊なポケモンだ。
そしてスズナに指示を出す。

「スズナ。グレイシアが・・・したら、お前は・・・を放て。そうすれば・・・も・・・で応戦する」
「・・・分かった!気をつけてよ!」
「お互い様だ」

そして俺とスズナはそれぞれのポジションについた。
267234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 19:02:56 ID:???

スズナはレジギガスの背後に移動。俺は、そのままレジギガスと対峙していた。
あたりは霰が降り続いているため、レジギガスに多少なりともダメージを与えているはずだ。
その場合、目の前にいる敵を潰そうと焦りだす。それが罠。

レジギガスは、目の前にいる敵・・・グレイシアに拳を放つ。
だが、その拳は当たることなく、雪の絨毯を地面が見えるくらいに凹ませた。

『グレイシア!とびかかれ!』

グレイシアは、先ほど攻撃した右腕に向かって飛ぶ。
レジギガスは、迎え撃とうと右腕に力を込め、思い切りたたきつける。
だが、当たることは無かった。かすりさえもしない。

そして、レジギガスの左頬に『冷凍ビーム』の一撃。すぐさま反応したレジギガスは、反射的にその方向へ腕を振り回す。

そこには、誰もいなかった。
268234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 19:03:44 ID:???

これがグレイシアの能力。『雪隠れ』の才を持つこのポケモンは、雪が降る、視界がおぼつかない場所が最も有利となる。
特に、レジギガスみたく鈍重な攻撃しか出来ないポケモンにとっては、苛立たせること極まりないのだ。
『電光石火』を併用し、素早く動き回るグレイシアを捉えることは、容易ではない。これが、外に出そうとした理由。

段々と、レジギガスの動きが単調になっていく。

―頃合だな

そう判断した俺は、グレイシアにある指示を出す。

『―レジギガスの目の前で止まれ』

グレイシアは指示通り、目の前に止まる。

レジギガスは、好機とばかりに力の込めた拳を放つ。
269234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 19:04:17 ID:???

その放たれた拳は、今までで一番の拳速だった。視認が出来ないほどに。
だが、当たらなかった。
いや、実際は『当たるはず』だった。『邪魔さえされなければ』。
緑の腕が、レジギガスの後頭部に直撃していた。―そう。ユキノオーの『ウッドハンマー』だ。

「―油断が隙を生む。これが、お前の敗因だ。レジギガス」

そして、レンは

『グレイシア。『吹雪』を放て』

グレイシアの後方から、激しい吹雪が巻き起こり、レジギガスの体に直撃する。
その巨体が、見る見るうちに凍っていく。レジギガスは何も出来ない。脳を直接攻撃され、意識が混濁しているからだ。
そしてユキノオーは、レジギガスという『盾』の存在により、吹雪のダメージは無い。

その巨体が、氷に完全に包まれた。

「よし!」
「やったっ!!」

俺とスズナは勝利を確信し、雄たけびを上げた。
そして、グレイシア、ユキノオーをそれぞれモンスターボールの中へ収容し、それぞれの元へ向かう。

―氷が砕かれた。レジギガス自身によって。

「っ!スズナ!」

そして、スズナに向かって拳が放たれる。
俺は―
270234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 19:04:52 ID:???

―スズナを渾身の力で吹き飛ばし、身を庇った。

レジギガスの拳を、食らいそうになった。俺は死を予感した。

『レン!』

ムクホークが、音速のごとく速さで飛び出し、レジギガスの拳を食らった。
ムクホークが十数m飛ばされ、悲鳴をあげた。

「ムクホークっ!!」

俺は叫んだ。ムクホークに向かって。
ムクホークは、まだ、何とか生きていた。だが瀕死だ。

『無理はするなと言っただろ!』
『だ・・・だが、お前、に、死なれては、困る・・・』
『ムクホーク・・・』
『お前は・・・、俺の、恩人だ・・・。助け、られたんだ。見捨てる、ことは・・・できない』

―ありがとう。

そう、俺が『対話』したのを最後に、ムクホークは意識を失った。

そして、俺は目の前の巨体に目を向ける。
すると、その巨体は両手を広げた。
その両手に、光が集まる。威圧感が、俺を襲う。

―『ギガインパクト』!
271234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 19:05:42 ID:???

『ギガインパクト』は、手に気をため、両手で直接打撃を行う、物理系最高クラスの威力を誇る技だ。
食らえばひとたまりも無い。肉片すら残らない。

俺は、対抗するポケモンを出そうとした。出来なかった。
どのポケモンを出しても、とても耐えられるレベルではない。おそらく、死に至る。
ポケモンを死なすようなマネは出来ない。

―ダメだ。そう思った。

「レンっ!!」

スズナが、俺の前に立ちふさがった。

「スズナ!何を・・・」
「うるさいっ!」
「!」

そのとき、スズナが涙を流しているのに気がついた。

「スズナ・・・」
「レンは、一人で背負い込みすぎなのよ!」
「そ・・・そんなことは」
「あるのっ!何よっ。自分だけで何とかしようなんて・・・」

「スズナ・・・お前・・・」

するとその時、レジギガスの叫び声が聞こえた。
272234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 19:07:00 ID:???

「おい。来るぞっ。どうするんだ」
「ご・・・ごめんっ!あたし無我夢中だったから、何にも考えてない!」

なんてことだ・・・。
これでは二人とも巻き込まれてしまう。

「スズナ。お前は逃げろ。お前は攻撃対象じゃない」
「でっ、でもっ・・・!」
「いいから逃げろって言ってるんだ!死んだら元も子もないだろう!!」

―そんな悲しい顔をしないでくれ。

そうだ。最後に、言っておかなければならない

「スズナ」
「・・・・・・」
「俺は―。俺は、昔から、お前が好きだった」
「・・・レン」
「さよならだっ」

そして、最後の力を振り絞り、スズナを突き飛ばす。
その瞬間巨大な両手が俺に迫る。

俺は、目を瞑った。

俺は―
273234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 19:07:48 ID:???

轟音が、鳴り響いた。
木々が揺れ、積もっていた雪が落下していく。

俺は、死んではいなかった。

二匹のポケモンが、レジギガスの拳を止めていた。
一匹は、岩が積み重なったような形をしていた。
そしてもう一匹は、銀色に光る、鋼の鎧。

「レジロック・・・レジ、スチル・・・」

そう、それはまさしく、レジロックとレジスチルそのものだったのだ。
そして、声が聞こえた。

『聞こえるか・・・』

ハッとした。『対話』だ。レジロックとレジスチルが話しかけている。

『聞こえる』

そう、返事した。そして、声が返ってくる。

『ポケモンとの『対話』が出来るニンゲンか・・・。珍しいな・・・。
私たちは、封印されていたところを無理矢理開放され、無理矢理捕らえられた・・・』

『それを、君が助けてくれたんだ。僕たちの叫びを聞いて。
君になら頼めるかな。聞いてくれるかな?』
274234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/02(月) 19:09:10 ID:???

『もし、この『レジギガス』が再び封印できたなら、僕たちも元の場所へ行って封印して欲しい。
二度と、開放されないように・・・』

『お前になら可能だ。私にはそう感じられる』

そして、レジギガスの背後に、結晶が組み合わさったような形のしたレジアイスが現れる。

『頼みますよ。・・・そして、ありがとう』

一気に冷気が巻き起こった。『絶対零度』だ。
『ギガインパクト』の反動で何も出来ないレジギガスは、そのまま巨大な氷の中に、閉じ込められた。
そして、レジロック、レジスチル、レジアイスは、その氷の塊を三角形に囲む。

楔が、封印の楔がそれぞれから放たれた。


レジギガスは。

雪の中に沈み、封印された。

275名無しさん、君に決めた!:2007/04/03(火) 00:45:50 ID:???
ムクホークカッコヨス
276234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/03(火) 11:43:17 ID:???

レジギガスが封印されてから、すでに1週間経っていた。

あの後、騒ぎを聞きつけた住民その他が来て、レンとスズナに事情を聞こうとした。が

「まず、ムクホークの救出が先だ」

と、俺はムクホークを抱えてポケモンセンターに行ってしまった。
説明役を任されてしまったスズナはかなり対応に追われてしまっていた。

ムクホークは、奇跡的に命をとりとめ、俺は安堵の息を漏らす。
治癒にかかった時間は、2日もかかったのだ。それほどの重傷。人間だったら間違いなく死んでいただろう。

そして、カーンは、あの直後スズナが探しに行ったものの、何故かいなかった。
『血痕の跡』すら見られない。落ちていたのは、カーンが使用していたモンスターボールのみであった。
俺は、ムクホークを治療したあと、カーンについて調べてみたが

「組織を、抜けた後・・・、その2日後には暗殺されている・・・?」

驚くべき事実であった。では、あのカーンは『亡霊』なのであろうか?それとも、『カーン』と偽っただけなのであろうか?
色々と考えられることはあるが、その『カーン』がいない今、真実は謎のままであろう。

そして、今は何をしているのかというと、旅支度をしている最中だ。
ホウエン地方へ行き、レジロック、レジアイス、レジスチルの封印を再びしなければならない。

その翌日、俺は古アパートを出て、あのキッサキ神殿に向かっていた。
277234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/03(火) 11:43:50 ID:???

「すまないな。・・・こんなボロボロにしてしまって」

俺は神殿に向かってこう言った。なんせ、俺の無茶苦茶な行動によって、ほぼ倒壊しかかっていたからだ。
今は住民による修復作業が続いている。俺もある程度手伝った。

「おーい、レン!」

スズナが駆け足で俺の元へ向かう。
そして、俺に抱きついた。

「レン・・・。もう、行っちゃうんだ」
「ああ。こいつらが急かすんでね」

俺のどさくさに紛れての告白は、成功した。
スズナも俺に対して好意を抱いてくれていた。それも俺が好きになるずっと前から。
今では、親友以上の関係になっている。

「いつ、帰ってくるの・・・?」

不安げな表情で尋ねてくる。大丈夫だ。そんなにはかからない。

「まあ、数ヶ月ってとこだろうな。封印するだけだし」
「ほんとー?絶対寄り道するでしょー」

いや、本当だって。俺もさっさと終わらせたいくらいだ。

「んじゃさー、一緒に行こう?」
「は・・・はい?」

またかよ。
278234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/03(火) 11:44:24 ID:???

「だーいじょうぶだって!数ヶ月ならジム閉めても問題ないし」
「あのなー・・・」

すると、スズナは笑顔で

「それに、あたしと同じくらい強い子がいるから!きっとその子ならジムリーダーを任せられるよ」

もしそうだったとしても、好きな人と一緒にいたいがためにジム業を放棄するのもどうかと思った。
だが、これ以上何を言っても何か無駄な気がする。なぜなら、俺も俺だったからだ。

「・・・分かったよ」
「やったーっ!」

スズナが嬉しそうな顔ではしゃぐ。そのときのスズナが一番可愛いと、思う。
そして、俺はちょっと知っておきたいことがあった。スズナのトレーナーとしての『実力』だ。

「じゃあ、スズナが旅についていけるほどの実力があるか、試してみなきゃな」
「むっ!勝負なら負けないよっ」
「ん?今まで俺に勝ったことも無いのに?」
「う、うるさいっ!今までのあたしとは違うんだから!」

そして、お互い持ち場につく。お互い、嬉しそうな顔をしていた。


―お互いのモンスターボールが放たれた。


279234 ◆sWFJM7BCvY :2007/04/03(火) 11:50:03 ID:???
以上で終わりです。

もうちょい短く終わると思ったら、結構長くなってしまいましたね・・・
期待通りに展開ができたかどうかはともかく。

まあ、仮想元ジムリーダーと現ジムリーダーとレジにまつわるお話です。
ここを舞台にしたかったのはただ単にグレイシアと現ジムリーダーを出したかっt(ry

そして、今まで応援してくださった方々。どうもありがとうございます。
280名無しさん、君に決めた!:2007/04/03(火) 11:53:15 ID:???
乙!!
281名無しさん、君に決めた!:2007/04/03(火) 13:35:15 ID:???
>>234乙です!
282名無しさん、君に決めた!:2007/04/03(火) 14:21:50 ID:???
乙!
いい話だったぜ
283名無しさん、君に決めた!:2007/04/03(火) 17:32:05 ID:???
GJ!!
284名無しさん、君に決めた!:2007/04/03(火) 17:45:04 ID:???
aw
285名無しさん、君に決めた!:2007/04/03(火) 19:56:32 ID:???
130だけど、非エロ短編1つあがった。
ただ、ノーマルカプやろうとしてホラーになったな。
オリジナル成分たっぷりでそもそもポケモン小説である必要すら無いものに。

どうよ?
286名無しさん、君に決めた!:2007/04/03(火) 22:51:32 ID:???
>>285
構いませんのでおながいします
287名無しさん、君に決めた!:2007/04/03(火) 23:04:47 ID:???
wktk
288名無しさん、君に決めた!:2007/04/04(水) 22:12:44 ID:???
じゃあ今から投下すっかな。
NGワードに入れられるものとか特に決めてないから、読みたく無ければスルーの方向で。
改行制限とかの計算は面倒でしてないから、何レス使うかは分からんけど。
2891ページ目:2007/04/04(水) 22:16:00 ID:???
【千年まって】





 ――むかしむかしあるところに、ひとりのわかい女がいました――
 女は、当時不治であると言われていた病にかかっていました。
 壁の隙間から陽光が差し込むようなあばら屋の、固い布団の上に、女は寝ていました。
『……』
 まるで死んだように眠る女の顔を覗き込む、一匹の獣が居ました。
 獣はポケモンでした。金色の毛に包まれた、九本の尻尾を持つ美しいポケモンでした。
 ポケモンがじっと座って顔を見つめていると、やがて女が目を覚ましました。
「あら、いたの……」
 弱弱しい声で、女はポケモンに声をかけました。
『私は何時でも、貴女の傍に居る』
 美しいポケモンは口を利きました。
「だめよ、近づいちゃあ……。病気がうつったら大変だから……」
『うつる病ならばうつしてしまえば良い。うつして治せばいい』
「だめよ……」
 女とポケモンは言葉を交わしました。
 ポケモンの紅玉のような瞳が、女の色あせた瞳をじっととらえています。
2902ページ目:2007/04/04(水) 22:17:24 ID:???
「ねぇ、あなたなら知ってるでしょう」
 女はくすんだ唇を動かして言いました。
「にんげんの寿命はみじかいの。あなたよりもずっと。わたしはあと五十年も生きないわ」
 女はやせ細った手を伸ばし、ポケモンの鼻先に触れました。
「たとえ病気が治ったとしても……。たった五十年の間に、独りで醜く老いて、死んでしまうの」
『知っている。けれど私は選んだのだ。灰色の千年ではなく、虹のような一瞬を』
 伸ばされた女の手に、ポケモンは自分の顔をすりつけました。
「わたしはあなたと違ったみたい……怖かったの。だから、綺麗で幸せなままいなくなれる方がよかったのかもしれない」
 ポケモンの柔らかな金の毛をそっと撫でて、女は渇いた舌を動かし言いました。
『その様な事を言われては、私は自分の身を怨めしく感じてしまう……。貴女と違う時の流れにあるこの身を』
 ポケモンは女に顔を近づけ、低く小さくつぶやきました。
「……ねぇ、千年よ。千年だけまってほしいの。そうしたらもう一度逢いにくるから」
 目の前にあるポケモンの顔を手で包み、女は幽かに囁きました。
「……ねぇ、千年まって……」
 女はそこで言葉を切りました。何も言わないポケモンをおいて、再び眠りにつきました。
 もう目を覚ますことはありません。
『千年……。千年なのだな……』
 ポケモンは悲しそうに、悲しそうに、一声だけなきました。


2913ページ目:2007/04/04(水) 22:18:13 ID:???


 ――ひとと けっこんした ポケモンがいた
   ポケモンと けっこんした ひとがいた
   むかしは ひとも ポケモンも
   おなじだったから ふつうのことだった――

 そんな昔話がある。
 あまりにも昔の話だから、それが何かを諭す寓話なのか、本当の事なのかは分からない。
 けれどそれは、彼女にとって関係の無いことだった。

「シグレ、はやくはやく!」
 ヒサメは後ろを振り返り、遅れてついてくる男を呼んだ。
 シグレと呼ばれた彼は片手を挙げて応えるが、歩く速さは変えずにゆっくりと歩いてくる。
 仕方なしにヒサメは足を止め、シグレが追いつくのを待った。
「焦らなくても、石も温泉も何も逃げないよ」
「そうは言っても、あんみつは売り切れちゃうかもしれないし、時間とポケモンは逃げていくわ」
 少し頬を膨らませ、ヒサメはそう言った。追いついたシグレの手を取り、やや早足に歩き始める。シグレは黙って歩調を合わせた。
 二人は、トレーナーズスクール・エキスパートクラスからの同級生だった。スクールを卒業後は別々に旅を始めたのだが、一昨年の
ポケモンリーグで再会。懐かしさはいつしか他の感情へ変わり、二人の仲はとうに学友をこえている。今回彼らは、将来を誓う日を
前にしての旅行に来ていた。
 ここはクリコタウン。辺境の盆地、隠れた温泉地。
 ジムリーダーを勤めたり、研究所に報告書を出しているような身分ならまだしも、一般のトレーナーはあまり儲かるものでもなく、
海外や有名な観光地を回る程のお金は手に入らない。
 それでも二人にとって、そんな事は問題にならなかった。
2924ページ目:2007/04/04(水) 22:19:50 ID:???
 ――むかしむかし、ひとりの女とキュウコンがいました。ふたりはとても仲が良かったのですが、もとより人とポケモン。
ある日女は「千年まって」と言い残し、息を引き取りました。残されたキュウコンはそれからずっと女を待ち続け、とうとう石に
なってしまいました……。
 クリコタウンの名所である「キュウコン石」の近くには、こんな昔話を書いた立て札が立っている。
「ふーん……。変な話」
 ヒサメはざっと看板に目を通し、さほど感動した様子も無く呟いた。
「宇宙から来たポケモン……人が作ったポケモン……人とポケモンが結婚したという伝承……もしかしたらありえる話かも知れないなぁ」
 対するシグレは、独り言のように感嘆の声を漏らした。彼は昔から研究熱心な性質だった。
 ヒサメはそれを聞き流しつつ、、立て札から石へと目を移す。雨風に耐えるように体を丸め、わずかに顔を持ち上げたキュウコンの姿だ
と言うが、それも「そう言われてみると、そんな風に見えなくも無い」という程度だ。別の何かだと言われれば、そのように見えるの
だろうと、彼女は思う。
「仮に……大昔は人とポケモンが結婚したというのなら、いつから結婚しないようになったのかしら」
 未だ考え事に没頭しているらしいシグレを見て、ヒサメはそう声をかけた。言葉に特に意味は無い。ただ、何かを考え始めると周囲が
見えなくなる恋人の意識を、現世に引き戻そうと試みただけだ。
「え? うーん……その話は、身分や人種の違いによる差別をなくす為に作られた寓話だ、って言う説もあるし……
でも、本当にそうだとしたら何でだろうねぇ。もし、今も人間とポケモンが、それこそ結婚してしまうくらい平等だったら、
現代のさまざまな問題は起きていないはずなんだ。あのロケット団だって、数年前に一人の少年によって壊滅させられたって言うけど、
ポケモンを悪事の道具にしてた、ってわけだろう? それだけじゃない。この前ホウエンで起きた異常気象だって、ポケモンを道具として
使っていたらしいアクア団だとかマグマ団だとかが…………」
2935ページ目:2007/04/04(水) 22:20:49 ID:???
 シグレは延々と喋り続ける。ヒサメが内心で失敗したと舌打ちをした頃にはもう遅かった。彼のお喋りは当分終わりそうに無い。
「…………だから、人間とポケモンが平等だとしたら、道具だなんて見方はしないわけでしょ? 
当然事件の数は減るんじゃないかなぁ…………」
「シグレ……もう良いって……」
 駄目もとでもう一度声をかけてみるも、案の定シグレの耳には届かない。ヒサメは盛大にため息をついてみせた。

「……未だ……千年は経たぬのか?」

「え?」
「…………と、俺が思うのも勿論本音なんだけど、そうは言っても俺だってスクールに在学中はちょっとした実験はしたわけで。当然
危険なことはしてないし、ポケモンにも事前の了承を取って慎重に行ったんだけど、もしも大学の研究室とかで…………」
 何かの声が聞こえた気がして、ヒサメは辺りを見回した。だが、周囲にシグレ以外の人間は見当たらなかった。
彼の圧倒的な語りによってだろうか――周囲に幾人か見られた観光客も、いまや姿を消していた。
「…………つまり、人権と言うかポケモン権、むしろ生き物全てに与えられる権利……この星に生きる大切な……世界が…………」
 語りはまだ続いていた。
 けれど、それもヒサメの耳には入らない。先ほどの声――空耳かもしれないのだが、それが頭に焼き付いて離れなかった。




 その日の、おそらく深夜の事だ。ふいにヒサメは目を覚ました。物音がしたわけではない――ただなんとなく、目を覚ました。
 二人は、町にある小さな民宿に泊まっていた。
 あの後、更に小一時間ほどシグレの語りは続いた。すっかり日も暮れた頃にこの民宿にたどり着き、夕食と入浴を済ませた。
一拍二日の短期旅行と言うこともあって、疲れていた二人は早々に床についたのだ。
 ヒサメもすぐに寝付いたのだが、今になってこうして目を覚まし……眠れずにいる。
2946ページ目:2007/04/04(水) 22:22:43 ID:???
「なによ……」
 特に意味は無いのだが、彼女はそう呟いた。ふと隣の布団を見れば、シグレは気持ちよさそうに寝息を立てている。こちらに背中を
向けているため、寝顔は見えない。
「可愛くないや……つ……?」
 急に得体の知れない何かを感じ、ヒサメは反対方向へと振り返る。そこには一つの影があった。
「なによ……」
 彼女は先ほどと同じ台詞を反芻した。ただし、不機嫌なトーンではなく、押し殺した声で。
 それにこたえるかのように、影が一歩前に出る。すだれの隙間から淡く差し込む月明かりに、影が照らされる。
「……キュウコン……? 誰かのポケモンかしら……」
『千年経った』
 訝るヒサメの声をさえぎり、そのキュウコンは口を利いた。
『やっと千年経った。今日でやっと千年』
 静かな足取りで、キュウコンはヒサメに近づいてくる。すらりと伸びた九つの尻尾と、豪奢な金のたてがみが、ふわりっ、と揺れる。
「ちょっと……なんなの……?」
 呟きつつ、ヒサメはじりじりと後ろに下がった。
 ポケモンが人の言葉を理解するというのは聞いている。喋るポケモンの話も時たまだが聞くことがある。しかし、それはごく一部の人型
ポケモンや、エスパータイプのポケモン、ぺラップなど、本当に限られた種類のポケモンでの話だ。中には、単なる伝承でしかないような
ものも混じっている。
 実際に人語を操るポケモンなど見たこと無いのだから、彼女が動揺するのも無理はなかった。
 だが、それ以上に別のものが彼女を圧迫しているのも事実だ。恐らくはかなりの齢を重ねているのだろう、通常よりも二回りほど大きい
キュウコンは、全身から異質な何かを滲ませている。
『ヒサメ』
 キュウコンが彼女の名を――知る筈の無い名を、呼ぶ。ヒサメの混乱はいよいよ頂点に達する。
「なんだっていうのよおおおおぉぉぉ!!」
 彼女は声を振り絞ると、手近にあった枕を力の限りキュウコンに向かって投げつけた。
しかし枕は、キュウコンの目の前でぴたりと静止する。一拍おいて、それはぽとりと床に落ちた。
『待ちくたびれたぞ――しかし、だ』
2957ページ目:2007/04/04(水) 22:23:23 ID:???
 ゆっくりと、キュウコンは間合いを詰めてくる。滑らかな曲線を描く前足を布団にかけて、もう一度口を開いた。
『他のものを連れて来るとは――思いもしなかったぞ、ヒサメよ』
 半ば身体を反らし、長い鼻先を近づけてキュウコンは囁く。
『まぁ、良い……私は貴女が約束通りに逢いに来てくれた、その事だけでもひどく嬉しい』
 ヒサメは硬直していた。乱れた思考回路は、生まれた疑問に対し迷走しきった答えを出している。それが更に混乱を深めた。
脳が焼き切れるような感覚さえ覚え、時間の感覚さえも曖昧になる。
 そんな中で、キュウコンのルビー色の瞳が、異様な色を帯びるのだけはハッキリと見ていた。
 だが、それを理解したときには、その瞳が必要以上に接近していた。ゆっくりと吐き出される呼気が、ヒサメの顔にかかる。
『しかし貴女は、覚えているだろうか。私が喜びの上に喜びを求める、貪欲なものだという事を』

 ヒサメの視界が反転する。
 起こしていた上体が、加速した重力に引きずられるように感じた。
 頭部は己の重量と慣性によって揺さぶられたようだった。
 何が起きたかは分からない。
 何が起きたのかは分からないが――
「 シ ・ グ ・ レ ! !」
 彼女は本能的にそう叫んでいた。
 90度ほど回転した視界の端に、その名を持つ人間の姿が見えた。
 けれども彼は動かない。
 起きる気配すら見せず、ただ眠っていた。
 まるで死んだように眠っていた。
2968ページ目:2007/04/04(水) 22:24:48 ID:???


 翌朝。
 ヒサメはゆっくりと目を開けた。瞳だけを動かし、周囲を見つめ――
「!!」
 あわてて飛び起きる。
「わっ……。どうしたの?」
 ワンテンポ遅れて、やや頓狂な声が上がる。見ると、シグレがちゃぶ台のそばに座っていた。
 すだれの隙間から淡く差し込む朝の日差しに、その横顔が照らされる。
「どう……って……」
 口ごもりつつ、ヒサメは再び辺りを見回した。何も変わったところは無い。枕も頭の下にあった。
「夢……?」
「どうかしたの?」
 呟くヒサメの顔を、寄って来たシグレが覗き込む。ヒサメが黙っていると、その顔が必要以上に接近してきた。
「ああああ! なんでもないってば!!」
 手近に合った枕で、ヒサメはそれをどつきたおす。
「てば、って! てば、って言われても! 俺聞いたの二回目だし! ヒサメ答えたの一回目だし!」
 多少寝癖のついた頭を抑えつつ、シグレが抗議の声を上げる。それを見て、ヒサメはわずかに頬を緩めた。その身体から、やっと緊張が抜ける。
「自分は喋りだすと止まらないくせに、人の答えを待てないシグレが悪いのっ」
 そう言いつつも微笑んで、彼女はシグレの頭をさすった。何か言いたげな彼の目を、しかし笑顔で黙殺する。
 それはごく穏やかな、朝の風景だった。

2979ページ目 (終わり):2007/04/04(水) 22:25:20 ID:???
 土産物を買い、クリコタウンを出る事になったのは昼を過ぎてからの事だった。
「結局あんみつ食べ損ねちゃったなー……」
 温泉饅頭を片手に、ヒサメは不満そうに声を上げる。現在地はメインストリート、町の門まで約200メートル。
「帰ったら喫茶店でパフェおごるからさ……機嫌直してよ、ね?」
 町に伝わる伝承を扱った、分厚い本を抱えてシグレは苦笑した。
「デラックスね」
 すかさずそう返すヒサメ。時雨はその笑みの苦味成分を更に倍増させる。が、いつも通りにやや遅れて歩くシグレの顔が、彼女から見える筈も無い。
「――ヒサメ」
「?」
 唐突に名前だけを呼ばれて、ヒサメは振り返る。町を出るまで後一歩、というようなところで、だ。

『貴女は私から逃げられない』

 そう口にする彼の瞳は、異様なルビー色だった。


298名無しさん、君に決めた!:2007/04/04(水) 22:28:32 ID:???
以上です。お粗末さまでした。
文字数制限改行制限がどうにも見切れず、キリが悪かったり無駄に多かったりするかな?

そして遅れたけれど>>234氏はGJ。
文章力が羨ましい。
299名無しさん、君に決めた!:2007/04/05(木) 19:24:06 ID:???
とりあえず乙
300名無しさん、君に決めた!:2007/04/05(木) 19:30:05 ID:???
k
301名無しさん、君に決めた!:2007/04/05(木) 19:44:45 ID:???
GJ!
30248 ◆8z/U87HgHc :2007/04/05(木) 21:03:00 ID:???
いやーん>>234氏と>>298氏GJ!!
本当にお疲れ様です。二つとも読み応えありました。
あなたたち文章力高すぎです。見習わせていただきますねっ。

>>227
最近勧められて3部まで連続して読んでる途中なんて口が裂けてもいえない・・・・・・
影響されてる作品が分かるとこっ恥ずかしいから、今度からそれ成分を薄めるよう努力する。ウン。
303名無しさん、君に決めた!:2007/04/06(金) 22:30:42 ID:???
正直薄めないでこのまま突っ走ってもいいような気がする

>>130>>234はこれからもちょくちょく投下してくれたら嬉しいな
30414:2007/04/07(土) 01:46:45 ID:???
久しぶりに来てみたら素晴らしい小説ばかりで……本当圧巻されてます

それで……>>48氏の長編が途中ですが、小説投下してもいいのでしょうか……?
長編になりそうなので、一応許可を頂いてから投下させていただきます。

今日はもう寝るので明日にでも。
ちなみに>>14-15の話とはまた別のものです。
305名無しさん、君に決めた!:2007/04/07(土) 16:51:44 ID:???
いいと思うよ
306名無しさん、君に決めた!:2007/04/07(土) 17:50:12 ID:???
ぜひ見たい
30714 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/08(日) 20:05:15 ID:???
酉つけました14です。
遅くなりましたが、投下させていただきます。

……ぶっちゃけまだ見習い身分なので、可笑しかったりする場面があるかと思いますが
そこは華麗にスルーや訂正していただけるとありがたく思います。

では、お楽しみ下さい。
30814 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/08(日) 20:06:25 ID:???


「ハァ……ハァ……」

  っく、駄目だ……体の全ての部分がずきずき傷む……
  その上、ここまでずっと全力疾走だったからなぁ……息も出来ないよ……

  もう……大丈夫だよね……?
  ここまでは……追ってこられないもんね……?

  ああ、良かった……

  安心したらなんだか眠くなっちゃったな……
  ちょっと横になろうかな……

  この大きな岩の影で休もう――



+*+*+ キセキのジカン +*+*+

30914 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/08(日) 20:07:19 ID:???
「こちらが入り口です」

俺は指差された方角にあった、小さな看板と目を合わせた。
そこには確かに、指差された方向と同じ向きのヤジルシと、目的地の名前が刻み込まれてある。
看板はそんなに古いものじゃないらしいが、少し文字がかすれている。

「案内していただきありがとうございました」

俺は振り返ってお礼を言い、少しだけ頭を下げた。

「いえいえ。最近は観光客が多くて、これも仕事みたいなものになっちゃいましてねー」

頭を上げると、俺をここまで案内してくれた女性が笑っているのが目に入った。
俺も「そうなんですかー」と言い、愛想笑いを振りまいておいた。
……どうも、こういう世間話的な笑いは好きじゃないんだよね。

「あ、では私はこれで。ジムの仕事がありますので」

「はい、ありがとうございましたー」

俺に別れを告げると、その女性は小走りでハクタイシティへと戻っていった。
それを見えなくなるまで見送る――わけもなく、俺は再び、体を森の方へと向けた。

「ここが……ハクタイの森か……」
31014 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/08(日) 20:08:05 ID:???
ハクタイ森は、俺の想像以上に雄大だった。

空は微かに見えるだけで、生い茂っている木が太陽の光を遮っている。
注意しないと、足元の石ころで転んでしまいそうだ。
木々にはミノムッチの巣があったり、また地面の草むらにはケムッソが集団で寝ていたり……
虫嫌いな人には1歩も立ち入りたくないような場所かもしれないが、俺は特に苦手意識は無かった。
足元に広がる落ち葉をザクザクと踏みながら、奥へと進んでいく。

「……えっと、神秘の石は……っと」

そう、俺はここに“神秘の石”の謎を解明する為にやってきたのだ。
“神秘の石”とは、俺が所属している「ポケモンミステリーサークル」内で使われている言葉だ。

……あ、因みに「ポケモンミステリーサークル」、略して「PMC」とは
ポケモン世界に広がる沢山の謎、それを解明していこうという名前の通りの組織である。
俺はこのPMCで課長を務めているのだ。
課長というと普通の一般会社みたいに感じられるかもしれないが、
それも全部うちの社長が「『リーダー』とか『キャプテン』とかカッコイイ名前をつける必要は無い!」
という、よく分からない趣旨がPMCでは流れているせいなんだ。
俺はキャプテンの方が良いと思うんだけどなぁ……

それで、何だったっけ…………ああそうだ、“神秘の石”だ。
“神秘の石”はここハクタイの森、そしてもう一つ、217番道路で確認されている謎の岩の事だ。
PMCではこの2つの岩を総称して“神秘の石”と読んでいる。
何に関係があるのかが、どのような意味があるのか――まだ解明されていない。
俺は今回、このハクタイの森にある“神秘の石”を調べに来た、という訳である。
31114 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/08(日) 20:10:04 ID:???
「ここか……」

5分くらい歩いただろうか、どちらにせよ疲れるほど歩いてはいないはずだ。
入り口からそれくらいの距離に“神秘の石”はあった。
周りは少しだが木で囲まれていて、閉鎖的な空間になっている。
だが誰でも見つけることが出来るし、隠されている訳ではないようだ。
それどころか、周りには看板や鎖など全く、何も、一切無い。

石自体はすこし黒ずんでいるが、元々の色はこの森のように深い緑だと分かる。
大きさはだいたい縦横1メートルくらいだろうか。そんなに無いかもしれない。
名前の割にはそれくらいに小さくて、神々しいオーラなど全く発していない。

「こんなに開放的に森に居座っているのに、何故謎が解明されないかなぁ……」

俺はそんなことをぶつぶつ言いながら、岩に近づいていった。
与えられた仕事はちゃんとやる。それが俺のモットーだ。

「えーっと、まず何からはじめるかな……?」

俺は岩のすぐ近くに立ち、肩から下げていた茶色の大きいカバンに手を突っ込む。
カバンの中にはやたら重い、岩を調査する為の機具が入っている。

……俺がいつものように機具を取り出そうとした、時だった。
312名無しさん、君に決めた!:2007/04/08(日) 20:11:49 ID:???
C
31314 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/08(日) 20:15:11 ID:???
――キラン

「……ん?」

カバンを覗いていた俺の目に、微かな光が飛び込んできた。
少し黄色かったような気がするが、一瞬だったので良く見えなかった。
光が見えた場所は……この“神秘の石”の……裏?

「今何か光ったよな……?」

俺はカバンから手を出し、頭をフル回転させ考えた。

  森って暗いし、誰か財布か何か落としたのかな……?
  ……待てよ、暗い……そうだ、森は光が射すか射さないかの光量しかないはず。
  だけど今キランって……?じゃあさっきの光は太陽光を反射したものじゃないってこと……?
  え……じゃあ何なんだ……ま、ま、まさか……おおおお化け!?
  って、ゴースはこんな所にいないし、まだ暗いといっても昼だからムウマもいないし……

色々と考えているうちに、俺は思考回路がオーバーヒートしそうになってしまった。
……お化けに怖気付いた事に関しては聞かなかったことにして欲しい。

「……よし」

自分の大切な脳だ、考えているうちにオーバーヒートしてもらっては困るし、
何事も考えるより、実際見てみたほうが理解しやすいに決まってる。
……多少恐怖心を感じながらも、俺は岩の裏へと足を踏み入れた。

――キラン

さっきと同じ輝きが目に入り、正体を確かめようとした直後。
おれは めのまえが まっくらに なった。
31414 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/08(日) 20:16:39 ID:???
とりあえず今日はここまでです。
週1回くらいの頻度で更新できたらいいな……
315名無しさん、君に決めた!:2007/04/08(日) 22:30:41 ID:???
GJ!続きをwktkしながらまつことにしよう
316名無しさん、君に決めた!:2007/04/09(月) 11:27:24 ID:???
9
317名無しさん、君に決めた!:2007/04/10(火) 12:13:57 ID:???
uuu
318名無しさん、君に決めた!:2007/04/10(火) 19:53:21 ID:???
48さんはいずこへ?
そして14さんにも期待
319130:2007/04/10(火) 21:53:41 ID:???
>>307(14)
GJ。荒削りな感じもするが今後に期待。


今頭の中でプロット組んでる。早ければ日曜あたりに短編投下するかも。
320名無しさん、君に決めた!:2007/04/11(水) 17:59:24 ID:???
盛り上がってまいりました
32148 ◆vWvXTngQKQ :2007/04/12(木) 00:40:38 ID:???
こちらも金曜くらいには投下出来ると思うのでよろしくです。
32248 ◆8z/U87HgHc :2007/04/12(木) 00:44:20 ID:???
トリップ失敗
323名無しさん、君に決めた!:2007/04/12(木) 23:19:01 ID:???
みんな楽しみ!
324名無しさん、君に決めた!:2007/04/13(金) 17:27:27 ID:???
今日だと思うとテンション上がるな
32548 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 00:48:26 ID:???
風邪引いて書きたい分の半分くらいしか書けなかったけど、
予告しちゃったから一応そこまで投稿するっ。もう土曜日だけど・・・
32648 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 00:51:35 ID:???
空は濃い群青に染まっている。夜の始まり、夜行性のポケモンが寝床から起き始める時間帯だ。
――この世界の時間の表現はどうなのか知らないけど・・・・・・
・・・・・・いや、この世界の文化が人間から伝えられたものなら、時間の表現もやはり同じなのだろうか?
ともかく、今の時間を人間の世界の表現で言えばおそらく『7時か8時』と言ったところかな。
いつものぼくなら、旅から一旦帰ってきてごはんも食べ終わり、そろそろお風呂に入り始める時間。
つまり就寝の一歩手前くらいの時間だ。

そんな時間帯だけれど、『今のぼく』はお風呂に入る支度もしていなければ、自宅にもいない。
じゃあ、一体今ぼくは・・・・・・ぼく達は、何をしていると思う?どこにいると思う?

歩いているんだ。鬱葱と生い茂る『森の中』を。

見回せば木しかない。
大きさなんかは結構マチマチだけれど結局大きな違いはないし、同じような道ばっか続いてるし、
ちゃんと道なりに進んでいるのに迷っているような感覚を覚える。
こんな感覚を覚えたのは、かなり前のことだけれど『ハクタネの森』の探検以来だ。
・・・・・・まぁ、だからって『怖い』だとかそんな感覚は一切無いけどね。
何たってぼくの隣には、何よりも頼れるぼくのポケモン・・・・・・『フライゴン』がいるのだから。
たとえば怖いポケモンが襲ってきたところでやっつけてくれるし、
迷ったみたいだったら彼の背中に乗って空飛んで脱出できるしね。

・・・・・・そうは理解しているのだけれど。

なぜだか、ちょっとだけ・・・・・・そう、ほんのちょっぴりだけれど『嫌な予感』がするんだ。
身を竦めるほどでも足取りが鈍くなるほどでもない・・・・・・本当にほんのちょっぴりの嫌な予感。
歩いている間ぼくはフライゴンと絶え間なく話をしているけれども、それでもこのちょっぴりの
『嫌な予感』は、十字キーの股にこびりついたちょっとした汚れのようにしつこく離れようとしない。

・・・・・・これは短い人生の中でのぼくのちょっとした『法則』というか『ジンクス』ってやつなんだけど・・・・・・
こういうちょっとした『嫌な予感』って・・・・・・意外と当たるんだよね、なぜだか。
今回はどうだろうか?そう思い始めてからほぼ間もなくして・・・・・・その答えは出た。
32748 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 00:54:39 ID:???
「見下ろせば 死地へ赴く 子の頭」

「?」
不意に、風のさざめきを割ってそんな声が聞こえてきた。
5・7・5のリズムに乗せた言葉の塊・・・・・・俳句?川柳?
俳句と川柳の違いなんて分からないけれど、ともかくそのどっちかだ。
そしてその言葉が聞こえてきたのは、およそぼく達の頭上・・・・・・そのせいで音波が拡散され正確な方向は掴めない。
フライゴンと一度顔を見合わせ、声の主を探ろうと同時にまっすぐ上を向く。
その瞬間、また声が聞こえてきた。

「夏夕べ 空を見上げる 阿呆の面」

「アホ!?」
突然バカにされた。それもよく分からない俳句に乗せて。
なんだかよく分からないけれど、とにかくぼく達を陰から見て嘲け笑ってる奴がどこかにいるんだ。
それも、たぶん『ポケモン』・・・・・・そして恐らくぼくやミキヒサのポケモンではない。
首をぐいぐい捻り、闇に塗れ複雑に絡み合う木々や葉っぱの間を目を凝らして見るけど、
何者かの影なんてどこにも見えない。
自分の見えない場所から俳句だけ言われるのがひどく不気味で、ぼくは心なしか冷や汗を流していた。
先程までの『嫌な予感』がれっきとした『不安』に変わっていく。

「幼子が 畏怖に汗ばむ 森の奥」

また、ぼく達の様子をそのままヘンな俳句にされた。
不気味だと思うと共に、苛立ちが募っていく。
「フライゴン・・・・・・誰かいた?」
「いや、何も・・・・・・あっ!」
フライゴンは驚きの一声をあげ、ある一点に向かってビッと腕を向けた。
何かを見つけたんだ。ぼくは急いでその方向を見つめる。
幾多の木々のどれか・・・・・・てっぺんの木の枝からもう少し上、
空にインクを垂らしたようにポツポツ浮かぶ葉っぱの群れの一端に、小さい二つの赤い光があった。
いや、これは光じゃない・・・・・・『目』だ。
32848 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 00:56:09 ID:???
「まず『三つ』か・・・・・・『三つ』で限界だが、これは幸先のいい・・・・・・
 『二つ』ではなく『三つ』・・・・・・これは幸先がいいのォ〜〜〜!
 最初と最後以外に余分に一つあるこの余裕・・・・・・ほっほほ!『二つ』とは安定感が比べ物にならぬ!
 意外や意外や意外、ここまで『二つ』と『三つ』の間に高い壁があるとは!これも収穫だの・・・・・・ほほ!
 本当に幸先がいい・・・・・・これからの収穫を予想しただけで身震いが起こるのォ!期待が止まらん、ほっほほ!!」

何か意味の分からない事をベラベラと喋っているが、ぼくはそれに耳を貸さずひたすら目を凝らすのに集中する。
どんどんと、『そいつ』の全体像が見えてきた。
鳥・・・・・・?かなりでかそうだ。それにしても見たことのある形だ。
夜・・・・・・『光る目』・・・・・・そうだ、こいつは・・・・・・!
夜行性の鳥ポケモンの代表、そしてこのでかさから言えば恐らく『それ』の進化系。
間違いない!こいつは・・・・・・
そこまで思考が到達した瞬間のことだ。

「さて、人間諸君。これからワシに多大な収穫をもたらしてくれるであろう君達に、名も教えないのは失礼かもしれんの。
一つ、自己紹介させてくれないかの?文化を重んじる者は礼儀も重んじる物だからの」

そいつはそう言うと同時に、その翼を大きく広げ止まっていた木の枝から足を離れさせた。
こちらに降りてくる。ぼくは咄嗟にそう思ったし、実際そうだった。
翼を軽くはためかせ、そいつはあっという間にぼく達の前に降り立った。
「・・・・・・・・・!」
姿が完全に露になったそいつのプレッシャーに、ぼくは・・・・・・フライゴンも、思わず後じさりをする。
そいつは一度微笑むように目じりを上げると、先程ぼくの思考も辿り着いたその名を口にした。
しかも、もう一つの衝撃の事実と一緒にだ。

「ワシはヨルノズク・・・・・・魔王軍飛鳥部隊三幹部の・・・・・・ヨルノズクだ。ほっほ!!よろしくのォ、人間諸君!!」
32948 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 00:57:57 ID:???
ヨルノズク!
夜の草むらによくいるホーホーっていうふくろうポケモンの進化系・・・・・・だったっけな。
夜には大体自宅に帰ってるから、あまり見たことは無い。
そして、こんな近くで見たのはたぶん初めてだ・・・・・・

いや、そんなことよりもだ。

問題はこのヨルノズクが『魔王軍』・・・・・・要するに『悪いヤツ』だってことだ。
あの村長が言っていた言葉。『人間は魔王の完全復活に重大な鍵を握っている』・・・・・・
あれが本当だったなら、ヤツの狙いは確実にぼくだ。
ぼく達の世界の野生のポケモンは基本的に人間は襲わないけれど、
こいつらは間違いなくぼくを襲ってくる。ニワトリがミミズを食べるように一つの躊躇いもなく。
さらわれるのか?それとも・・・・・・死なされちゃう、のか?

「・・・・・・コウイチくんには手を出させないぞ」
フライゴンはぼくの心中の不安を読み取ったかのようにそう言い、ぼくの前に出た。
さすがフライゴン!頼りになる・・・・・・!
フライゴンはまっすぐヨルノズクを睨みつける(ヤツとぼくのフライゴンは大体大きさが同じくらいだ)。
それに対しヨルノズクは、対抗するように睨み返す・・・・・・という事はなく、フライゴンの視線を恐れるようにすぐ目を逸らした。
「ほっほほ・・・・・・『幹部』などと名乗っておるがワシゃ戦いはちょいと嫌いでの・・・・・・
 そういうのはなるべくワシゃ遠慮したいのだがの・・・・・・」
「なに?」

拍子抜けしたようにフライゴンの表情がふっと緩んだ。
ぼくも同じだ。この『フクロウおじさん』・・・・・・もしかして俳句を言うためだけにここに出てきたのか?
突然、そのヨルノズクは全くの敵意も何も感じさせない半笑いの表情でこう言い出した。

「ワシゃそれなりに歳での・・・・・・ブンブン動き回ってのチャンチャンバラバラは体に障るからの。
 こう言っちゃあなんだがー・・・・・・見逃して欲しいのだが」
「はぁ?」
33048 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 01:00:13 ID:???
ぼくは、気がついたら思い切り感嘆符を口から出していた。
当然だ。『自分から出てきておいて見逃してくれ』?
何を言ってるんだこいつ!さっきの村長と違ってまさかコイツ本気で『ボケ』入ってるのか?
「ね、ねぇコウイチくん・・・・・・あのおじさんこー言ってますけど」
フライゴンが振り返りぼくの耳元でそう囁く。
「う、うん・・・・・・言ってるね」
ぼくはどう対処していいか困っていた。
『見逃してくれ』と言ってる相手をやっつけるのはアレだし、だからって簡単に『見逃す』のもアレだ・・・・・・
フライゴンも困ったような顔をしている。
と、次の瞬間。
「あのな、言っておくが・・・・・・」
不意に、ヨルノズクがそう言った。
フライゴンはパッと振り向きふたたびヨルノズクを見据える。
ヨルノズクの表情に、笑みは無かった。
鋭い眼を光らせ、プレッシャーを放っている。

「お前らは大人しくワシを見逃してくれ。ワシは戦わないしお前達に手は出さない。戦いは嫌いだからの・・・・・・
 だが『ワシはお前を見逃さない』。『竜のお前はズタボロに倒され、人間のお前は魔王様の下へ連れて行かれる』。
 いいか、お前達は無事に帰れない。肝に銘じておけ・・・・・・お前達はたったいま『火の中にいる』のだ!」

ヨルノズクは突如片方の羽を高く上げた。
それと同時に、複数の葉ずれの音が同時に鳴る。『複数の何かが木の中から現れた』!
「コ・・・・・・コウイチくん、上、見てください!!」
「!?」
ぼくは上を向き・・・・・・そのまま見回した。
濃い群青の夜の空に、無数の陰が浮かんでいる。詳しい種類は分からないが間違いなく『鳥ポケモンの群れ』。
もしや、全員このヨルノズクの手下・・・・・・いや、『もしや』じゃない。『絶対そうだ』!!
「ほーっほほ!そういう事じゃ人間諸君。では、ワシゃ文字通り高みの見物といくかのー!!ほっほほほ!!」
ヨルノズクは高笑いだけ残し、バッと飛び去ってしまった。
そして、複数の鳥ポケモンが・・・・・・・おそらくぼく達目掛けて一斉に急降下を始めた!

「コウイチくん、下がってて!」
33148 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 01:01:17 ID:???
「句とは即興なり!!
 感動とは鮮度を保つことが難しいもの・・・・・・
 体験した感動はその場でそのまま書き記さねば、よい句などできないのだ!!
 巣の中で小一時間難しく頭を働かせて書き上げた句など、たかが知れた物にしかならぬ。
 ワシは魔王軍に入り、己の最たる感動は何かを知ると同時に、それを理解した!
 そしてワシのその最たる感動とは!!
 苦しみ、もがく若者を見ることにより芽生えるのだ!
 四面楚歌の窮地に立たされ命をすり減らし必死にあがく若者を見ることにより芽生えるのだ!!
 ワシにとってその様は、積もる初雪に輝く銀山よりも、紅葉に燃える赤山よりも、
 蛙飛び込む水の音よりも、何倍も何倍も感動を得られるものなのだ!!
 さぁ、若者達よ。ワシに至上の感動をプレゼントしておくれっ!!ほっほっほ!!」


「フ・・・・・・フライゴン・・・・・・!」
敵ポケモンは一体何匹いるのだろう?
ともかく、確実に20匹以上はいる。
まだ夜空には多少の青が残っているとはいえほぼ闇に塗れているし、
ぼくは野鳥観察官じゃないから詳細な数なんて見当もつきそうにないけど。
ともかく・・・・・・

こんな数のポケモンに襲われるのなんて、生まれて初めてだっ!

1体2の経験ならある。だけどそれ以上は一切ない。1対3もなけりゃ1対4もない。
しかし、今回は『1体20X』だ。
フライゴンは持ちこたえられるのだろうか?心配で、ぼくは下がるのを躊躇う。
しかし・・・・・・
敵ポケモン達は、思いのほか早くもうぼく達のかなり近くまで近づいてきていた。
「コウイチくん!!下がってくださいっ!!」
「あっ」
フライゴンは、ぼくを手で押し退けた。
それと同時に、フライゴンは翼を大きく広げ強く力を込め始めた。
33248 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 01:02:38 ID:???
「なんだなんだ?何をやってるんだぜあの竜?」
「気にすんな!突っ込んで奴の体を嘴でザックリ刺してやるだけよ!」

まるで矢のように急速な勢いでフライゴンに突っ込んでいく鳥ポケモン達(近づいてくるにつれ、そのポケモンが『スバメ』や『ポッポ』などである事が分かった)。
その『矢』が四方八方から何本もあるのだから・・・・・・・まるで合戦中のようだ。
ぼくは、経験の無い事態に慌てフライゴンへの命令が全く頭から出てこない自分に焦っていた。
焦っている間にも、『矢』は依然急速な勢いでフライゴンへ飛んでくる。
やがて、幾多の『矢』はもうフライゴンのすぐ近く・・・・・・ぼくの目の前へ・・・・・・
「フライゴン!!」

「ぐがっ!!」

間もなくして、悲鳴が聞こえた。
『幾つもの』だ。
もちろんフライゴンの悲鳴じゃない。鳥ポケモン達の悲鳴。
向かってくる『矢』に対し、フライゴンは硬質化させた翼をたたきつけたのだ。
何匹かの鳥ポケモンが崩れ落ちると同時に、すぐに『矢の』第二陣はやってきた。
しかし、そのどれもフライゴンの体に至ることは無い。
フライゴンはまるで舞うように硬質化した翼・・・・・・『鋼の翼』で力強く、また的確に『矢』を撃ち落していった。
『矢』達は、みな空しく悲鳴を上げ落ちていく。
軽く20匹は、フライゴンの翼の攻撃のみで倒れていっただろうか。
そして・・・・・・もう敵の軍勢は尽きたのかもう矢はやってこなくなった。
フライゴンは息を切らしているが、まったくの無傷だ。
余裕勝ちだ。完封勝利だっ。笑いが込みあがってくる。

「や・・・・・・やったやったー、フライゴン!!さすが・・・・・・」

そう言ってぼくが近寄ろうとした・・・・・・瞬間。
33348 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 01:03:48 ID:???
「うぎゃっ!!」

ぼくは目を見開き身を竦めた。
ぼくのすぐ耳元で、『空気が切り裂かれた』。
つまり・・・・・・ぼくのすぐ後方から『矢』が・・・・・・
「フライゴン、こ、こっちからも!!」
「え!?」
フライゴンが慌てて振り向いたときには、ぼくの後方からやってきた『矢』・・・・・・
『スバメ』は、既にフライゴンの懐近くまで入り込んでいた。
「こ、このっ!!」
「へぶら!!」
フライゴンは咄嗟の判断で足を前に突き出し、アッパーカットのごとく尻尾でスバメを突き上げた。
翼と同じく硬質化された尻尾での一撃は、スバメの意識を一発で遠い場所へ吹き飛ばす。
そして危機は・・・・・・去っていない。去ってなんかいない。
「フライゴン、アイアンテールだ!後ろにまたっ!!」
「えっ!?」
地面を這うようにして、また二匹の『矢』が、フライゴンへと迫ってきていたのだ。
フライゴンはぼくの命令に、咄嗟に体全体を回すようにしてアイアンテールの一撃を後方の鳥ポケモンに食らわせた。
しかし、まんまと食らってくれたのは一匹のみで・・・・・・もう一匹のスバメは尻尾の一撃をひらりと避けてしまったのだ。
「そんな攻撃、ぶつかるかバーローめ!!」
スバメは汚い捨て台詞を残しながら、そのまま前方へ突っ込んで・・・・・・
へ・・・・・・?

「わーーっ、コウイチくんっ!!」

スバメは、ぼくに向かって突っ込んできていた。
勢いあまって・・・・・・なんてもんじゃない。明らかにぼくを狙って突っ込んできている。
「え、えーーーっ!?」
攻撃の矛はぼくに向けられた。まさか、本当に攻撃されてしまうのか!?
ぼくは思わず来るなという風に手を突き出し目を瞑って・・・・・・

いきなり、何かがぼくに覆いかぶさってきた。
33448 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 01:05:32 ID:???
「うわっ、うわっ、うわーーーっ!?なんだ、なんだーーっ!?」

恐怖に目を瞑りながら手をぶんぶん振ると、覆いかぶさっていたものはいとも簡単にぼくから離れてくれた。
そして続いてドサっと何かが地面に落ちる音も聞こえる。
ぼくは恐る恐る手を下げ目を開けて、前方の地面に目線を移しぼくが振り払ったモノを見つめた。
・・・・・・スバメだ。力尽きたスバメだ。
「・・・・・・ボクが倒したんです、竜の息吹でね。」
フライゴンはそう言いながらこちらに寄ってくる。
さすがフライゴン・・・!抱きつきたいとこだけど、それはまた後にしよう。
「さっきは突き飛ばしたりしてごめんなさい・・・怪我ありませんか?」
「あっ、だいじょぶだよ。気にしないで」
些細なことまで気にしてくれるフライゴンの心遣いに、ぼくは口に出さなくとも小さな感動を覚えた。
本当に、この子はどこまで頼りになるし優しいんだろう。少し怖いぐらいだ。
・・・・・・・しかし、そんなフライゴンもさすがに疲労がきているようで軽く肩息を衝いている。
「だ・・・だいじょうぶ?フライゴン・・・・・・」
「だいじょうぶ・・・・・・じゃないですね。かなり辛いです、正直言うと・・・・・・
 耐久マラソンでもしている気分ですよ。やったことないけど・・・・・・」
「そう・・・・・・」
フライゴンの体に手をやる。いつもより熱く脈動している。
「だ・・・ダイジョウブですって、これくらい。ボクまだまだ行けますよっ!」
フライゴンは肩息を引っ込め、ニッとぼくに向けて笑いかけてみせた。
しかし、その言葉がおよそ強がりであることくらい容易に察しがつく。

なんせあの湖からここまで何時間も、ほとんど休んでいないんだ。
それにフライゴンにとっては、モンスターボールから出たまんまこんなずっと活動するのなんて初めてだろう。
疲れているに決まってる。そしてこのまま敵の猛攻が続けば恐らくすぐにへばって・・・・・・

・・・・・・敵。・・・・・・それにしても、敵の攻撃が止まった・・・・・・?
もう敵の軍勢は尽きたのだろうか。一瞬ぼくはほっと安堵しかけたが・・・・・・
それは甘い考えだった。

パシュッ
33548 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 01:06:48 ID:???
「ぐあっ!」
空気が切り裂かれたような音と共に、
突如フライゴンは呻き声を上げ、体の一部を手で押さえた。
手の中から、鮮血の筋が現れ体を伝っている。
フライゴンが何者かに攻撃されたんだ。ぼくは瞬時に悟った。
「あっ、フライゴン!?だいじょうぶ!?」
ぼくはフライゴンに駆け寄る。その瞬間だ。

パシュッ!

「あっ!」
再び空気が切り裂かれる音と共に、ぼくの頬に熱い線が走った。
そして、そこから生暖かい血が垂れてくる。
さきほどフライゴンを傷つけた『何か』が、ぼくの頬を切り裂いたんだ。
痛みはほとんど無かったが、見えない場所からの攻撃への恐怖に胸が犯される。
・・・・・・しかし、その恐怖はすぐに晴らされた。

「そこだっ!」

そう叫んだのはフライゴンだ。フライゴンは瞬時にある方向へ向かって竜の息吹を吹き出した。
「な。なーっ!?」
フライゴンの口内から放たれた熱の奔流が、斜め前方の木の中へ入っていく。
それから間もなくして・・・・・・
「にぎゃっ!!」
その方向から悲鳴が聞こえ、ぼとりと丸っこい黒い塊が落ちてきた。
フライゴンの息吹に撃ち落されたんだ。ぼくはそちらに駆け寄り、落ちてきた塊の正体を確かめた。
「これは・・・・・・」
33648 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 01:07:40 ID:???
おそらくぼく達に『風の刃』を打ち込んだのであろうそのポケモンは、ホーホーだった。
あの敵、ヨルノズクの進化前・・・確実に、ヨルノズクの手下のうちの一匹だ。
歯車のような文様の目をぐるぐる回してる。一目で完全に気絶してる事が分かる。

「どうです?」
フライゴンが駆け寄ってきた。
「見ての通り気絶してるよ」
フライゴンはほっと安心したように顔を綻ばせる。
「そですか。こいつがボク達を狙ってたんでしょうけど・・・・・・まさかこいつ一匹だなんてことは・・・・・・」
怪訝な顔でフライゴンがそこまで言うと・・・・・・
上空から、『あの』声が空から降ってくるように辺りに響き渡った。

「ほっほ、第二章の開幕の合図だよォ、人間諸君!!
 さぁさぁさぁ、ここからは一層厳しくなるゾォォ!!ほっほっほォ!!」

ヨルノズクの声が響き渡った瞬間、突如辺りの木々がまた一斉に葉擦れの声を上げた。
「!?」
先程と同じく、再び夜空に幾つもの影が浮かび上がる。
先程倒したホーホーと同じ丸っこい影だ。
そして影は、先程のスバメ達と違ってこちらに向かってくる気配は微塵もない。という事は・・・・・・

「コウイチくん、伏せて危ない!!」

「撃てェ!!」

フライゴンがぼくを庇うように覆いかぶさり・・・・・・
幾つもの空気を切り裂く音が降ってきた。
33748 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 01:09:31 ID:???
「ぐがっ!!」

ぼくを覆っているフライゴンが、悲痛の声を上げた。
ホーホー達のエアースラッシュが直撃したんだ。
幾つ直撃したかは分からないけど、ともかく一つ以上は直撃した事は確実だ。
「フ、フライゴン!?」
ぼくは咄嗟に立ち上がり、エアスラッシュを受けたであろうフライゴンの背中に視線を走らせた。
「ひっ」
ぼくは小さく悲鳴を上げた。フライゴンの背中には、小さいナイフで刺したような切り傷が十数あった。
見ただけでも痛々しい。背中がむずがゆい感覚に襲われると同時に、何か重たいものが胸にのしかかってきた。
「フライゴン、大丈夫かっ!?」
崖下に落ちた人間に呼びかけるような調子で、ぼくはそう叫んだ。
フライゴンは・・・・・・
翼を小さくはためかせたと思うと少し浮き上がり、
体操選手のように体を軽やかに回転させて立ち上がった。
「・・・!」
フライゴンのあまりの余裕の起き上がりっぷりに、ぼくは呆気に取られる。
「・・・たいしたこと、なかったですね」
フライゴンは呟くようにそう言う。
「所詮は小鳥の集まり、痛くも痒くもくすぐったくもない・・・・・・そういう事ですよ」
フライゴンは、ぼくに向けて余裕の笑みを浮かべた。
その笑みは、『安心させるために無理して作った笑み』ではない。
本気で『無事なのを伝えるための笑み』・・・・・・フライゴンは全然余裕だった。
「で、でもキミ傷が・・・」
そうだ、傷が出来ていることには変わりない。
「いえ、心配しないで。それよりも・・・・・・危ない!」
「!?」
突如フライゴンはぼくを抱きしめ、そのままゴロゴロと横なりに転がった。
数コンマ後空気が切り裂かれる音が降り注ぎ、ぼく達がいた場所に幾つもの傷跡が出現した。

「・・・・・・!」
「それなりに間髪いれず連発してきますよ、あいつら・・・・・・ほら、また来た!!」
33848 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 01:11:05 ID:???
ヨルノズクは、今まさに感動の境地にいた。
眼下では、人間と竜がホーホー達の見えない攻撃を飛び回り必死で避けている。
ヨルノズクはその二人の動きと表情を必死で追いながら、内なる興奮を我慢できず喉から解き放っていた。

「ほっほっほっほっほォォォ!!!いいぞっ、その動き、その顔っ、その必死さっ!!
 すごい、すごいゾォォォォ、句が湧き水のようにどんどんどんどんどんどんどんどんどんどん湧いてくるのォォォ!!!
 また一句!!         また一句!!         また一句!!        また一句!!
          また一句!!         また一句!!        また一句!!
 多多益々弁ずとはよく言ったもの、これだけ句が浮かべばそれなりに当たりもあるだろうし当分は困ることなかろうて。ほっほっほ!!」


「!?」
ぼくとフライゴンが避けている途中、興奮したようなヨルノズクの声が森中に響き渡りだした。
「コウイチくん、あそこにいますよ!」
フライゴンがヨルノズクのいるであろう方向へ指を差す。
ぼくは顔を挙げ、大木の頂上から文字通りぼく達を高みの見物しているヨルノズクへ視線を向けた。
夜に馴れたぼくの目は、一目でヨルノズクの様子を脳に伝えるに至った。
――そのヨルノズクの様子を見た時、ぼくは何とも言えぬ不気味な感覚にとらわれた。
ヨルノズクはまるで壊れたカラクリ人形のように首をぐるぐると高速で回転させ、
俳句短冊へ筆を走らせるように、翼をシャカシャカと空になぞっている。

ヨルノズクは難しい事を考えているときには首を180度傾けると聴いたことはあるけど、
あんなにグルグルと頭を高速回転させるなんて聞いたこと無い。

言葉も出せないほど呆気に取られているぼくに、不意にフライゴンがこう言った。
「・・・・・・コウイチくん、ちょっとボクあいつ倒してきていいですか?」
「ええ!?」
33948 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 01:13:08 ID:???
ぼくは条件反射的に咄嗟に『無謀だよ!』と言おうとしたが、冷静に考えるとそうでもない。
奴は『戦いが嫌い』らしいし、おそらくあのホーホー達を指揮してるのはあのヨルノズク。
ここであのヨルノズクを仕留めれば、きっとホーホー達の動きはガタガタになる筈だ。
たとえば一流のオーケストラ楽団でも、演奏中に突然指揮者がいなくなれば
音が合わず悲惨な事になるらしい(お母さんが言ってた事だから今一信用できないけど)し、それと同じことだ。
ぼくは、ゴクンと一度息を呑み叫んだ。

「よし、じゃあ行けフライゴン!!あのフクロウおじさんをコテンパンにしてくるんだぁ!!」
「了解です、コウイチくん!!」

フライゴンは、ジェット機のように急速な勢いで上空のヨルノズクが目掛けて飛び上がった。
「!!」
ヨルノズクの頭の回転がピタッと止まった。危機を察知したんだろう。
ぼくはグッと拳を握り締めながら、フライゴンの行く末を見守り始めた。


ボクは爪に神経を集中させるた一撃であのヨルノズクを仕留めるんだ。
いくら『戦いが嫌い』なんて自己申告してるとは言え、それなりの実力はあるはずだ。
ボクだって別に戦いがそこまで好きってわけじゃあないけど、それなりに実力はある・・・・・・方だと思う。
ヨルノズクの姿がどんどん大きくなる。ボクは腕を振り上げた。
「ヨルノズク、覚悟ーーっ!!」
ヨルノズクの表情が動揺に歪む。
ボクは、渾身のドラゴンクローをヨルノズク目掛けて繰り出した。

ガキン!!

けたたましい金属音に似た硬い音がボクとヨルノズクの間から鳴り渡った。
34048 ◆8z/U87HgHc :2007/04/14(土) 01:22:46 ID:???
(携帯から書き込んでます)
連投規制とか(^ω^#)
けーっ、何がやはりあなたは投稿しすぎですだよ。
連投規制かかったので強制的にまた後日、です。中途半端にきれちゃった…
341名無しさん、君に決めた!:2007/04/14(土) 03:18:22 ID:???
お疲れage
342名無しさん、君に決めた!:2007/04/14(土) 07:05:00 ID:???
GJ!
続き楽しみにしてるぜ
343名無しさん、君に決めた!:2007/04/14(土) 10:05:43 ID:???
GJ!続きwktk
344130:2007/04/14(土) 20:14:33 ID:???
GJ。
しかし風邪を引いたのなら無理はするな。
誤植や文章の組み立てにアラが目立ってる。


あとごめん、多分今週の日曜は無理。書き上がりそうに無い。
34548 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 15:20:56 ID:???
>>344
応援してくれる人もいるわけだし、遅れた分ちょっとでも無理しないと・・・
短編楽しみにしてますよ。落ち着いて書き上げてください。


さて、俺は一時間後くらいに投下するよ。
34648 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 16:21:29 ID:???
「・・・・・・!」
爪から腕へ、腕から脳に伝わるその感触は、生物の肉体に爪が食い込む感触じゃない。
もっと固い・・・・・・金属の板のようなものに衝撃が弾かれる音。
「あと一息・・・あと一歩・・・と言った所だの。
 まさに紙一重、いいや、板一重とでも言った方が上手い洒落になるかの。ほっほ、」
ボクの爪とヨルノズクの間には、わずか数ミリ程の『リフレクター』が張られていた。
ボクの攻撃はそれに阻まれ、ヨルノズクには通らなかったんだ。
「くそぅ、ならもう一度・・・・・・」
ボクが再び腕を振り上げると、ヨルノズクはすかさずこう言った。
「少しは己の危機に気づいた方がいいな、竜よ」
「なに?」

パシュッ!ピシュッ!パシュッ!

「あぐぁっ!!」
突然、体の至る所にカミソリの刃が走ったような鋭い刺激が走った。
そうだ、ボク達は以前ホーホー達に狙われたままだ。同じ場所にいたら一斉に攻撃を受けるに決まってる。

「フライゴン!!」

地上から、コウイチくんの心配したような声が聞こえる。
思わず首を回し下を見ると、ボクの背中から血が何滴か滴り落ちていることが分かった。
心配しないで待っていて!すぐに戻るから・・・・・・!
「その前にまずお前を倒す!!」
ボクは、再び渾身のドラゴンクローをリフレクター目掛けて叩き付けた。
「!」
ヨルノズクの目が見開かれ、リフレクターが音を立てて破壊された。
空気に飲まれるようにリフレクターの破片が消滅していく。ボクはもう一度腕を振り上げ・・・・・・

バシュッ!パシュッ!ピシュッ!
34748 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 16:25:18 ID:???
「か・・・・・・っ!」

三度目の激痛の波がやってきた。ホーホー達のエアスラッシュがまたもボクに直撃したんだ。
痛みのせいか、ふとボクの意識が暗闇に飲まれ――

「フライゴォン!!」

「はっ」
コウイチくんの声が聞こえボクは数コンマだけ消えていた意識を取り戻した。
その時は既に・・・・・・ボクの体は地に向かって重力にしたがって落ちている途中だった。
「わ、わ――っ」
慌てて翼をはためかせようと力を入れたその時。

ドスン

「え、え?」
翼を動かすよりも先に、背中に鈍い衝撃が走り落下が止まった。
地面に落ちたわけじゃない。まだボクはかなり地面から遠い場所にいる。
それなのに、なぜだかボクは落下を何かに受け止められていた。
「え、これは・・・・・・」
ふと身を起こし、己の背中を受け止めたものに視線を走らせる。それは―――

リフレクター!?

ふと周りに視線を巡らすと、ホーホー達の視線がボク一点に集中されてる事に気付いた。
そして、翼を高く挙げエアスラッシュの準備姿勢に完全に入っていることも・・・・・・
「うあっ」
急いで飛び上がり離れようとするが、体に力を入れると傷口に線が走り思わず痛みに呻いてしまう。
やられるっ
ボクは瞬時にそう悟り、そして――。

「うぎゃあああ!!」
34848 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 16:28:52 ID:???
あれ?

悲鳴が聞こえてきた。
だけどボクはまだ悲鳴を上げてないぞ!
聞こえた悲鳴は『ボク以外の悲鳴』だ。それも、全く聴き慣れない声。
つまりヨルノズクの悲鳴でなければ、コウイチくんの悲鳴でもない。
じゃあ誰の悲鳴だ?
それは、次の瞬間に明らかになった。

「あぎゃっ!!」

「!?」
その瞬間起きた悲鳴と同時に、周辺の何十の丸っこい影のうちの一つが落下していったんだ。
悲鳴を上げたのは『ホーホー』だ。

「ぎゃっ!」
「うぎゃっ!」

続いて何度も悲鳴が聞こえ、その度にホーホーが一匹一匹落下していく。
「? ?」
ボクの頭が困惑にかき回され・・・・・・その中、更にボクの困惑を助長させる要素が一つ加わる。
まるで身軽な猿が木々の間を飛び交っているかのように、静寂の中周辺の木々から枝を蹴りつける様な音が順番に聞こえてくるんだ。
そして目を凝らしてみると、その音がした木と音がした木の間に、『何かが移動してるような影』も見えるんだ。
・・・・・・ボクが今出した例え話が、もしかしたら当たってるのかもしれない。

「な、何だァーー!何が起こってるんだァ!」

ヨルノズクもうろたえ、そう叫び出した。
34948 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 16:32:21 ID:???
「いいか、これはれっきとした天誅、成敗ってヤツさ阿呆鳥ども。
 俺達の縄張りを勝手に侵したアンタらが悪いんだぜっ」


およそ周りにいたホーホー全員が打ち落された次の瞬間、辺りにそう響き渡った。
・・・・・・ヨルノズクの声でもコウイチくんの声でもないけど、なぜだか・・・・・・聞き覚えがある、声だ。
「なんだ、誰だっ!!どこにいるのだっ!」
ヨルノズクは頭を左右に回転させ目を光らせる。
ボクも頭を動かし声の主を探ってみるが、どこにもそれらしき影は無い。

「ここだよ、ここっ!」

「?」
突如、声の位置が変わった。ボクより下・・・・・・
ボクは、頭を横に転がし下を見つめた。ヨルノズクもバッと地面を見下ろす。

いた。

コウイチくんの隣にその声の主はいた。
そしてその声の主の姿を確認した瞬間・・・・・・その声が聞き覚えある声である理由が瞬時に判明した。

「やぁ〜〜っと気付いたかよノロマ。梟のクセにやたら視力悪いのな、老眼鏡でもかけたらどうだ?」

なぜなら、その『声の主』とボクは・・・・・・
以前『仲間』だったからだ。
ボクは、反射的に叫んでいた。

「ジュカイン!!」
350名無しさん、君に決めた!:2007/04/15(日) 16:32:29 ID:???
 
35148 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 16:37:47 ID:???
「ジュカ・・・イン・・・?」

突然のことだった。本当に突然、ぼくの隣にあのジュカインが現れた。
元『ぼくのポケモン』・・・・・・フライゴンと同じく『一緒に旅してきた仲間』・・・・・・
その『ジュカイン』が。今まさにボクの隣に立っているのだ。

「何だ、アンタ俺の名前知ってんのかよ」
「え?」

ジュカインは、ぼくの方を振り向きそう言った。
・・・・・・少しだけ湧き上がっていたある期待が、一瞬にして消滅する。
『アンタ』。このジュカインがぼくのジュカインだったとしたら、こんな他人行儀な呼び方はない。
だとしたら、このジュカインはぼくのジュカインじゃない・・・・・・別のジュカインだという事だ。
「アンタ、あの鳥達の被害者?」
ジュカインはぼくにそう尋ねる。
「・・・・・・そうだけど」
「ってことはアンタは敵じゃあないってワケね。あそこで浮いてる緑いのは?」
「・・・・・・ぼくのポ・・・友達だけど」
「ふぅん。じゃ、あと残ってる敵はあそこの梟だけね。・・・・・・おい、何ジロジロ見てんだよ」
・・・・・・気だるそうに垂れた目、ぼくより少し大きいくらいのその大きさ(『ジュカイン』という種類の中ではかなり小さい方らしい)
姿だけ見たら完全に『ぼくのジュカイン』だ。
ぼくの頭が困惑にかき乱される中、ふとヨルノズクの叫び声が聞こえた。
「お前みたいな部外者はお呼びでないんだよォ!!邪魔だからさっさと消えろっ!!」
突如ヨルノズクはそう叫ぶと、片方の翼を高く挙げた。
それと同時に、また木々の隙間から数十の鳥ポケモンが出現する。
「あいつボケ入ってんのかね。どっちが邪魔な部外者だか分からせてやるっ」
ジュカインはぐぐっと腰を引き戦いの構えをとった。

・・・・・・戦い方を見れば。戦い方を見れば分かるはずだ。
このジュカインが『ぼくのジュカイン』か『違うジュカイン』なのか・・・・・・
・・・・・・ってかもし戦い方が完璧ぼくのジュカインだったら、彼がぼくにこんな他人行儀なのはどう説明すればいいんだ?
有り得ないけど・・・・・・まさか、き、記憶喪失、とか?
35248 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 16:39:35 ID:???
スバメ達が、さっきフライゴンに襲い掛かったようにこちらへ急降下してくる。
その攻撃に、ジュカインは・・・・・・ってあれェ!?いない!
いつの間にか、ぼくの隣からジュカインは消え去っていた。
まさか逃げたんじゃあ・・・・・・そう思い始めてから間もなく、疑いは杞憂である事が知らされた。

「ぎゃっ!」

また悲鳴が聞こえ、一匹のスバメが落ちていく。
木々の間を高速で影が飛びまわり、その影とスバメが交わった時に、スバメは打ち落とされている。
打ち落しているのは間違いなくジュカイン。
ジュカインは、木々を順に飛び回り敵をかく乱すると同時に、辻斬りの如く進行上のスバメを斬り落としているのだ。
この、戦い方は・・・・・・

「さて、ちょいと手ごたえが無いようだけど、これどういうワケ?」
ジュカインは高速移動をやめ、一本の木の枝にぶら下がったまま辺りを見回し出した。
高速移動の連続で体が疲労しているのか、片足を木に張り付けのんびりと辺りを見渡している。
「・・・・・・!」
戦闘が有利な状況での、この余裕のノンビリっぷり・・・・・・

「・・・・・・よ、余裕ぶっこきおって、このワシを嘗めとるのか貴様ァ〜〜〜〜
 そんな態度を見てもワシは面白くも何ともないんだよォ!!」
ヨルノズクは苛立ったように喉の震えたような声を上げると、また片方の翼を高く挙げた。
『指令』の合図だ。それと同時に、また鳥ポケモンが木々の中から何匹も現れ・・・・・・
そして一斉に、ぶら下がりほぼ無防備なジュカインへと向かって突進を始めた。
ジュカインは、依然ゆったりとした態度を取ったまま向かい来る鳥ポケモン達に視点を定める。
動き出す気配は無い。あのままの姿勢で迎え撃とうってのか?
相手の鳥ポケモンは素早く、また数が多い。無茶だっ。

そして・・・・・・
35348 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 16:44:41 ID:???
「よっ」

ぼくは思わず、目を数度瞬かせた。
視点の先で、凄まじい早業が繰り出されていたのだ。

ジュカインは、ぶら下がったまま向かい来る鳥ポケモン達をことごとく撃退していた。
片手でのリーフブレードで・・・・・・シダ植物のような形の尻尾での、身を捻っての叩きつけで・・・・・・
尖った足の爪を使っての二度蹴りで・・・・・・一つのダメージもなく、
あっという間に向かい来る敵をほとんど蹴散らしてしまったのだ。


「・・・・・・!」
向かってくるのが遅れた一匹のポッポが、目の前の状況に驚き前進を止める。
「ジャジャ〜ン。これぞまさに一網打尽っ」
ジュカインはそう呟くと、片腕の力だけで枝を軸にクルリと回転し枝の上に立つ。
そのまま膝を折り、ただ一匹倒し損ねたポッポに向かってこう言い出した。
「さて、倒され損ないの小鳥くんにひとつ質問。
 キミには今おおまかに二つの選択肢があるわけだが・・・・・・どっちを選ぶんだい?」
ほぼ囁くような声量でジュカインは言う。
「勝ち目無い相手に果敢に挑んで倒れるか・・・・・・このまま尻尾巻いて逃げ出すか・・・・・・
 二つに一つってヤツだけど、さぁ、どうするどォする〜?」
ポッポはしばらくは答えずに、鋭い眼でただジュカインを睨みつけている。
葉擦れの音のみの静寂がしばらく続いた後、ポッポはまっすぐにジュカインを睨みつけながらこう言った。
「オレ達を嘗め腐りやがって、この緑色め・・・・・・!
 どこの誰だか知らないが、しゃしゃり出てきて無事に済むと思うな!」
「おっ、来るのか?」
ジュカインはふっとため息をつくと共に、『来いよ』とでも言う風に指を畳み開きを繰り返し挑発してみせた。
ポッポは怒りに目付きを一層鋭くさせて――
35448 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 16:48:16 ID:???
「ってかダメだ、やっぱオレには無理!!助けてーヨルノズク様!!」
「ありゃ?」

ポッポは瞬時に身を翻すと、翼を一生懸命はためかせ逃げ出し始めた。
ジュカインは今度は嘲るようなため息をつくと共に、腰に力をいれグッと前かがみの姿勢になる。
枝が縦に揺れ、そして――
「ぐぁっ!」
一瞬の内に、ポッポの背が切り払われた。
「な・・・・・・追い討ちなんて、シドい・・・・・・」
ポッポの翼の動きが止まり、グラリと体制を崩し地面へまっさかさまに落ちていく。
ジュカインは次の木の枝に立ち、ポッポの落ちていく様を見据えながら呟いた。
「悪いが、オレを恨まないでくれよ。恨むなら、この森を荒らすよう指揮した
 お前さん達のリーダーを恨むんだな・・・・・・そして、心配するな。そのお前さんの恨みは――」
ジュカインは、すぐ斜め上の木の枝を見上げた。
そこには、苛立ちに筋を浮き上がらせ赤い目を怒りに奮わせるヨルノズクの姿があった。

「オレが綺麗さっぱり晴らしてやる。ありがたく思えっ」

ジュカインはヨルノズクをキッと睨みつけながら、挑戦的な笑みを浮かべる。
その笑みを受け、ヨルノズクは一層表情の怒りの色を濃くしていく。
「貴様ァ・・・・・・!」
35548 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 16:50:14 ID:???

「はっ?」

ジュカインは、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
何故なら、ヨルノズクはあのポッポと同じく真っ先に身を翻し逃げ去るようにその場を飛び立ってしまったからだ。
てっきり戦いを挑んでくるものだと思っていたジュカインは完全に意表を付かれ動きを止めたが、それも一瞬の事で――
「ボケがっ、好き勝手やっといてさっさと逃げられると思うな!」
飛び去っていくヨルノズクに狙いを定め、力強く枝を蹴り付ける。
一瞬にしてヨルノズクの背後へ到達し、ジュカインは腕を振り上げるが・・・その瞬間。

「たわけめっ!」
「なっ!?」

ヨルノズクが不意に振り向き目を一瞬大きく開いたかと思うと、突如ジュカインの動きが止まった。
「なっ・・・・・・!?」
「軍勢を失った今、ワシは戦いの術を持っておらぬ。無抵抗の老人を切り裂こうとは、関心せんな・・・・・・」
と、突如ヨルノズクの眉が青白く光り出した。
それと同時に、止まっていたジュカインの体が動き出したのだ。
・・・・・・地面へ向かって。
「むおおおぉぉぉ!!」
ジュカインが地面へ向かい落ちていく様を見届けないまま、ヨルノズクは翼を大きくはためかせ夜空の奥深くに消えていった。
35648 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 16:52:54 ID:???
「わっ――」

いきなり、ジュカインが砂埃と鈍い衝撃音と共にぼくの近くに落ちてきた。
あのヨルノズクに何かをされたのか分からないが・・・・・・とにかくあの高さから地面に叩きつけられちゃあマズイ。
「ジュカ・・・・・・」
「くそおおォォ!!」
「わっ」
ぼくが声をかけた瞬間、ジュカインは叫び声を上げながら勢いよくその身を起こした。
そのまま流れるようにバッと上空を見上げたと思うと、すぐに落胆したように項垂れ深いため息をつきだした。
ヨルノズクがまんまと逃げおおせてしまったからだろう。
「ちくしょォ・・・・・・逃しちまったよォ・・・・・・頭来るぜ、ちくしょォ〜〜〜」
ガッ、ガッ、と軽く拳で床を殴りつけ、ブツブツと悪態をついている。
何処となく話しかけがたい雰囲気に纏われていたが、ぼくはおずおずとジュカインに近づく。
ぼくはこのジュカインに言いたい事があるんだ――

「うわわっ、落ちるーーーっ!!あぎゃーーっ!!」

「!?」
また上空から悲鳴が聞こえてきたかと思うと(悲鳴を聞くのはこの夜だけで何回目だろう?)、何か大きい物が降ってきているのが目に入った。
落ちてきたのはフライゴンだ。ジュカインも咄嗟に落ちてくるフライゴンへと視線を走らせる。
フライゴンは背中からまっすぐ落ちてきている。このままじゃ床に叩きつけられる――
「むぎっ!う−−っ!」
しかし、フライゴンは何とか地面スレスレの場所で羽を高速ではためかせ落下の勢いを和らげた。
先ほどのジュカインの時よりも遥かに緩やかな衝撃で、フライゴンは地面に落ちる。
ぼくは、ほっと胸を撫で下ろし安堵のため息をついた。
「まったく、あのリフレクターいきなり消えるなんて・・・・・・
 って言ってもずっとあそこに寝転がってたボクが悪いのかもですけど・・・・・・」
フライゴンは背中をパタパタとはたき、のそりと立ち上がった。
心なしか、少し動作がぎこちないような気がする。
さすがドラゴンタイプ、背中の血はもう完全に止まり傷口は塞がりかけてるとはいえ、まだその傷跡は痛々しそうだ。
35748 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 17:12:07 ID:???
「フライゴン・・・・・・け、怪我ダイジョウブ?」
ぼくが駆け寄りそう言うと、フライゴンは無事な事を伝えるようににへらと笑みを浮かべ即答した。
「全然ダイジョウブですよ〜〜。・・・・・・そんなことよりも、ですよっ」
フライゴンはゆっくりとジュカインの元へ歩き出し、前に立った。
ジュカインもふと顔を挙げフライゴンを見つめ、ふっと小さなため息をつきながらこう言った。
「よう、感謝しろよ緑っこいの。親玉は逃しちまったけど・・・・・・ま、次来たらまた返り討ちにしてやるサ」
「・・・・・・・・・」
フライゴンは、ジュカインの言葉に返事を返すことなくただジュカインの顔をじいっと見つめている。
ぼくには分かる。フライゴンは『先程ぼくが抱いていた疑念』を今まさに抱いている途中なのだ。
『このジュカインはかつての仲間のジュカインか』?『それとも全く関係ない別のジュカインか』?
・・・・・・少なくとも、今ぼくの中ではその結果は完全に出ているのだけれど。

「おい、何ジロジロ見てんだよォ、不気味だなァ」
「あの・・・・・・キミ、ボクに見覚えないの?」
「はい?何言ってんだお前、見覚えなんてあるもんかっ。お前みたいな緑っこいヤツのよー、俺が知るかってんだ・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
フライゴンは首を捻りながら、とぼとぼとこっちに帰ってきた。そして、ぼくの耳元でこう囁く。
「コウイチくんっ!あのジュカインですけど・・・・・・どう見てもボク達の仲間のジュカインですよっ!
 あの体付きといい、色合いといい、目付きといい目付きといい目付きといい・・・・・・どうなんですかっ、実際?」
相当フライゴンは困惑しているのか、声に混じって吐息がズカズカ耳に入り込んでくる。
ぼくはそれを気にせず、即答した。
「・・・・・・答えは、出ているよ。」
「えっ」
「彼は――」
35848 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 17:14:00 ID:???
「間違いなくっ!ぼくのジュカインだっ!!」
ぼくはジュカインをビッと指差しながら、確信に満ちた声で叫んだ。

「はいっ?」
ジュカインが呆けた声をあげ、ぐるりとこちらを振り向く。
ほうらほら、その顔つきなんかまさにぼくのジュカインそのまんまじゃあないかっ。
「ほ、本当ですかコウイチくん?それ間違いないんですか?」
「うん、間違いないねっ!見ての通りのあの姿、強さだって戦い方だってまさにぼくのジュカインっ!
 きっと何かの衝撃でいわゆる記憶喪失的なアレになってるってだけさっ」
そこまで言ってから一瞬『記憶喪失なら戦い方まで忘れてるもんじゃないのか?』という疑問が頭をよぎったが、
『ゲームのセーブデータと同じで、セーブデータは消えてもゲームそのものは消えないのと同じ事』という結論で疑問はすぐさま消え去った。
よくドラマとかで記憶喪失の人がいるけど、言葉は普通にしゃべっている。それと同じ事だ(実際どうなのかは知らないけど・・・・・・)。
「・・・・・・あのなァ〜〜〜」
ジュカインは深くため息をつきながら立ち上がり、こちらに歩み寄ってきた。
未だ苛ついているのか、声を震わせながらこう言い出す。
「アンタ頭は大丈夫か?何が記憶喪失だっ!
 オレはこの森の住人のジュカインで、それ以外の何物でも・・・・・・」
「だから、キミはそれを忘れてるんだって。君は『間違いなく』ぼくのポケモンのジュカインだっ!
 きっとぼくの顔見てたらすぐ思い出すよ!ねぇねぇ、ほら見てよぼくの顔を」
ジュカインの肩をしっかり掴み、ぼくはジュカインの顔をじぃっと見つめる。
・・・・・・見れば見るほど、ぼくのジュカインだ。
ジュカインは顔をしかめながら一度だけぼくの顔を見て、プイと目を逸らしてしまった。
「そんなほのぼのした顔見ても何も思いださねーよバーカ!
 クソッ、馴れ馴れしくすんじゃねぇよ、俺は馴れ馴れしくされんのがだいっ嫌いなんだっ」
「!?」

ジュカインの放った一言。『馴れ馴れしくすんじゃねぇよ』という言葉が・・・・・・
ふと、ぼくの頭の奥底で眠っていた記憶の首をもたげさせた。
35948 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 17:18:17 ID:???
あれはいつだったか、オオカマド博士にジュカインの事を相談しに行った時のことだ。
あの時の会話の内容に、頭を巡らす。


“あの・・・・・・オオカマド博士。相談があるんですけど・・・・・・”
“うむぅん。なんじゃあい、コウイチくん?”
“あの、このジュプトルの事なんですけど・・・・・・ぼくに懐かないというか、馴れ馴れしくするとうっとうしがるんです。
 これって、ぼくと一緒なのがイヤって事なのでしょうか?もしそうなら、あの・・・・・・ぼく、この子逃がしてあげようかと・・・・・・”
“・・・・・・うむぅん。そうとは限らないんじゃないのぉ?”
“えっ”
“うっとうしがられても、ゆう事は聞くんでしょぅ?それとも、ゆう事も聞かないワケん?”
“・・・・・・言う事は、聞きますけど・・・・・・”
“うむぅん、それなら安心じゃよぉ。キミは少なくともそのジュプトルに信用されてるっ、嫌いなんて事はないわァん。
 本当にトレーナーが嫌いなら、ポケモンはとことんトレーナーに逆らうはずだわっ。
 力で押さえつけてるのならその限りではないけれど、コウイチくんはポケモンを力で支配するタイプじゃあないし・・・・・・”
“・・・・・・あのう、じゃあうっとうしがられるのは何でですか・・・・・・?”
“それは単にそのポケモンの性格ね”
“せ、性格?”
“うむぅん。ポケモン全員がトレーナーに甘えたがる可愛い性格って事はないのよぅ。
 中には、馴れ馴れしくされたらつっぱねるちょっと素直じゃない性格のポケモンもいるわ。
 特にキモリ系統は、そういう性格の者が多いとはよく聞くわねん・・・・・・彼らいわゆる一匹狼的な種族だしィ?”
“そ、そうですか・・・・・・”
“ポケモンは、人間と同じく様々な性格のポケモンがいるのよぅ。
 一流のトレーナーになるなら、まず彼ら一匹一匹の性格をちゃんと把握する事ね。
 ポケモンマスターへの道への第一歩は、ポケモンを知る事よっ!おわかり?”
“は、はいっ!”
“うむぅん!いい返事だわっ!やっぱキミいいわァ・・・応援のキスしてあげようか?”
“死んでもお断りです”
36048 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 17:20:59 ID:???
確信が更に固く深まる。もうこの子はぼくのジュカインである事に絶対ぜったい100%間違いはないっ。

「ほうらその性格っ、やっぱぼくのジュカインだキャーーン!!」
「のわっ!!」

再会の喜びに、ぼくは我を忘れまっすぐジュカインに飛びついた。
「ぐあ、な、何するんだテメーッ!」
ジュカインはうっとうしそうに四肢を振り抵抗しながら、ぼくを睨みつけてくる。
そうだ、そうだった、馴れ馴れしいのはNGだった。
「ああ、馴れ馴れしいのはダメだったよねっ、と、と」
慌てて腕を離して、一歩、二歩、下がる。
コホンと一度咳払いしてから、ジュカイン目掛けてこう言ってやる。
「よぉしっ、じゃあ馴れ馴れしくしないから記憶取り戻しておくれっ!」
「無理に決まってんだろバカ!」
真面目に怒られた。

「ねぇ、どうしますコウイチくん?本当に記憶全部ふっとんじゃってるみたいですよォ・・・」
フライゴンは心底不安な調子で、ぼくにそう話しかけてくる。
もしジュカインの記憶が戻らなかったら云々などと考えているんだろう。
ぼくは安心させるようにフライゴンの肩を軽く叩きながら言った。
「だいじょぶだいじょーぶ。ほら、ドラマとか漫画じゃあ記憶喪失キャラなんて大抵は後々記憶取り戻すわけだし」
「あっ、そーですか。それなら問題ないですねっ!」
「イヤイヤイヤイヤ、ちょっと待てお前ら」
ジュカインがいきなり割り込んできた。下を向きながら、精魂まで全てを出し尽くすようなド深いため息を吐いている。
「二匹ともほのぼのした顔しやがって頭の中もほのぼの春爛漫かテメーら、マジいい加減にしやがれーっ!
 俺が記憶喪失?ふざけたこと言ってるんじゃねーぜっ、他人の空似だボケッ!もう帰れガキども!」
「こらージュカイン!ご主人様に向かってガキとは何だー!名前で呼んであげなさい名前で!」
「そうだぞジュカイン。さてほら、ぼくの名前はなんだっけ?せーの、さんはいっ」
「だから知らねーーっつってんだろクソガキャーー!!」

ほら、この冗談の通じなさも間違いなくぼくのジュカインだってば。
36148 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 17:24:14 ID:???
「じゃあ、仮に俺は昔お前の仲間だったという事にしよう」

「?」
不意に、ジュカインは落ち着いたテンションでそう言い出した。

「・・・・・そして、仮に俺は記憶喪失になったのだとしよう・・・・・・
 その上で俺は言うぜ。『お前達なんか知ったこっちゃない』とな。
 一度落ちた果実は二度と木に戻らないように、無くなった記憶なんて二度と戻ることはない筈だ。
 つまり、お前の知ってる俺は実質死んだっつーことだ。もはや今の俺にはお前に対する義理も何も無い。
 繰り返し言うが俺はこの森の住人、ジュカイン。それ以外の何物でもないんだっ。だから諦めてさっさと帰れ、帰れっ!」

ジュカインは吐き捨てるように一気にそう言い、シッシッと手をはためかす。
ジュカインのその真剣な返答に、ぼくは口ごもる。先程までのようなノリで言葉を返すことは出来なかった。
「・・・・・・」
フライゴンが更に不安げな色を増した目付きでぼくに目配せする。
と、ジュカインは小さく鼻でため息をつきながら、スッと身を翻し歩いていってしまった。
静寂の中、まるでカウントダウンのようにペタペタとジュカインの足音が木霊する。
こめかみから一筋汗が滴り落ちる。ぼくはジュカインの後姿目掛けて、叫んだ。

「誰が諦めるもんかァ!!」

ぼくがそう叫んだ瞬間、ジュカインはふと歩みを止めた。
36248 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 17:30:44 ID:???
そうだ、ここで諦めるわけにはいかない。
ここで諦めるという事は、すなわちジュカインと永遠に別れるという事。
記憶が戻る可能性なんて少ないけど・・・・・・そのジュカインが今目の前にいる事は確かだ。
生きている限りは、まだ可能性は果てしなくあるっ!
そうだっ、ぼくだってふとした事で完全に忘れていた昔の事をいきなり思い出すことがある。
それと同じ事で、ふとした事で昔の記憶を取り戻すなんて十分ありえる事じゃないか。
そうっ、人間の記憶ってものはゲームのセーブデータなんかとはワケが違うはずだ。
何で記憶が喪失したのかとかは一切不明だけどともかく、ジュカインの記憶が戻ってくる可能性は大いにあるっ!


ジュカインは、ゆっくりと身を捻りこちらを振り向く。
その彼の目付きは、ぼくを哀れむような蔑むような冷たい目付きで・・・・・・
それでもぼくは負けじとじっとジュカインを見つめ続ける。

「ジュカイン!!様子はどうだ!?」

「!?」
突如、聞きなれない声が耳に入ってきた。
ジュカインの目付きが変わり、声のした方向へ体ごと振り向く。
ぼくもそちらへ視線を走らせる。そこには・・・・・・見慣れない数匹のポケモン達がいた。
「ぞ、族長」
ジュカインがふとそう言う。
今のジュカイン以外にも、この森には沢山住人がいたという事なのか。
四足歩行の緑色のポケモン達が、のそのそとこちらへやってくる。

何となくだけれど、またややっこしい事になりそうな気が・・・・・・する。


続く
36348 ◆8z/U87HgHc :2007/04/15(日) 17:33:53 ID:???
一回規制に引っかかったけど(>>356>>357の間)、
なんとか今回の分を全て投下できたゾー。
戦闘描写は難しいね。

前半の梟の俳句の出来の悪さとかは目を瞑っておくれ。
じゃあ、また。読んでくれてる人ありがとー
364名無しさん、君に決めた!:2007/04/15(日) 22:27:23 ID:???
GJ!
博士のキャラの改変ぶりに感動
365名無しさん、君に決めた!:2007/04/16(月) 07:54:25 ID:???
GJ!
366名無しさん、君に決めた!:2007/04/16(月) 18:04:44 ID:???
GJ!博士がwww
367名無しさん、君に決めた!:2007/04/16(月) 18:10:06 ID:???
>>130も楽しみにしてるぜ
368名無しさん、君に決めた!:2007/04/16(月) 23:05:21 ID:???
素人だが、俺なりに精一杯書いた小説を
保存してあるのだが、書いてもいいだろうか
369名無しさん、君に決めた!:2007/04/16(月) 23:07:47 ID:???
怖がらずにうpしてみるといいよ
ただし、仮に何か言われたとしても俺は責任取れん…w

だが、上手くなる為には人目に晒して
ちょっとおキツい感想貰わなきゃな!
370368:2007/04/16(月) 23:46:12 ID:???
>>369
何かおまいさんの言葉に勇気付けられた、うpするよ、予め言っておきますが3割参考7割オリジナルです

『人生を左右した決断―ヨウスケ側』
『じゃぁな! ヨウスケ!』
「ぁぁ、また明日!」
 俺の名前は二階堂ヨウスケ、中学2年生だ。学校の友人からは「ヨウスケ」と呼ばれている、まぁ単純に言いやすいのだろう。因みに俺の友人、五十嵐シゲル、昔からの付き合いだ。
「さて……家に帰って宿題やらないとな……ん?」
 そう歩きながら呟く俺にある物が目に入った。
「なんだ……あれ? ダンボール?」
 公園の隅に不自然な形で置かれている。気になった俺は公園に侵入し、ダンボールを伺う。
「捨てポケモンか……」
 捨てられていたのはラルトス、いつもなら無視して帰るのだが……様子がおかしい。
「ていうか何でこんなにボロボロなんだ? 死んでるんじゃ……」
 ラルトスは酷く衰弱しており、痣や切り傷など不自然な点がいくつもあり、意識はあるのか無いのか分からない。
「どちらにしてもこの状態はマズイな……」
 いつもなら無視して帰る、だがこればっかりは方って置けない。
「とりあえずポケモンセンターに連れて行くか……」
 ボロボロのラルトスを抱き上げ、最寄のポケモンセンターへ駆け足で向かう。
『ケガの方は大丈夫です。命に別状はありません……ですが』
 ジョーイさんが困ったような表情で発言を止める。
「何か……あったんですか?」
 気になった俺は問い詰めた。そして重い口を開く。
『人間をひどく避けます……それに、人間をみるだけで怯えるんです』
ジョーイさんは一旦息をつき、再び喋りだした。
『恐らく過去に何かあったんでしょう……』
「そ……それであのラルトスはどうなるんですか?」
 何故かこの時の俺は必死だった、理由は分からない、ただ必死だった。
『野生に返す訓練を受けるか……あるいは…』
 俺は唾を飲み、ジョーイさんの口が開くのを待った。
『処分されます……』
371368:2007/04/16(月) 23:48:00 ID:???
――!?
 処分。その言葉を聞き、俺は驚いた、何故処分されなければいけないのか、訓練をすれば野生に帰れるんじゃないか、全てを訊いた。
『あのラルトスの精神状態では訓練を受けられるかどうか……それに訓練するのは複数のポケモンや人間によって施されます……訓練が受けられないと分かったら…』
 その後の言葉は聞きたくなかった、俺は決心した。
「俺があのラルトスを引き取ります」
 処分なんか理不尽だ。それじゃぁ何のために生まれてきたのか、処分なんてさせない。
『で、でも……あのラルトスは人間を…』
 俺の決心は固かった、何があってもこのラルトスを立派なポケモンとして自立させてみると。
「大丈夫です。絶対に自立させてみせます」
 根拠なんて無かった。だけど自信はあった、それに……
――俺には家族が居ない
 いるっちゃいるが、母親は朝から晩まで仕事で居ないし、父親は俺が生まれてすぐに離婚して顔すら見たこと無い。そんな俺に家族が加わるのが嬉しかった。
『でも……』
「大丈夫です。俺頑張りますから」
 間髪いれずに俺は言葉を返した、するとジョーイさんが一つのモンスターボールを渡してくれた。
『このボールにラルトスが入ってます』
「まず名前をつけないとな」
 二人は微笑みあい、俺はセンターを後にした。
「とりあえず家に帰ってラルトスをボールから出してみよう、苦労することが多いだろうけどそれ程頑張りがいがあるってもんさ!」
 家に帰ってきた俺は宿題なんか忘れていた、ただ新しい家族の事で頭がいっぱいだった。
「でてこーいラルトス!」
 俺は驚いた。想像以上だった、出てくると同時に震えだし、壁際に逃げ出す。これほどまでに人間を嫌っているとは。
「ほら怖くないって……そうだ名前をつけないとな」
 出来るだけ良い名前にしてやろうと思考を巡らせる、だけど頭の悪い俺には安易な名前しか浮かばずに。
「サナ。お前は今日からサナだ!」
 俺はいつかサーナイトに進化するのを見据えて“サナ”と名づけた。
「よし、腹が減っただろう、飯を作らないとな!」
一応人間の言葉は通じるようで、とりあえずトイレの場所など教えておいた、本当に伝わってるかは知らないけど……]
372368:2007/04/16(月) 23:49:12 ID:???
この日記は持ち歩くことにしよう、そうすればメモ帳としても使える……かも。
「さて寝るか〜」
……
――何だこれは?
「このゴミが! 使えないんだよ!!」
――誰だこの男は?
「お前に生きてる価値なんて無いんだよ! 死ね!」
――うわぁぁ!!!
「はぁ・・はぁ・・今のは……夢か」
 夢にしてはリアルすぎる、まるで現実のようだった……
「たまに見る怖い夢だな、寝よう」
……
――またこの夢か!?
「お前がいるとろくなことがない」
――またあの男の声
「オラ!血なんか吐いてんじゃねぇよ!」
――俺という誰かに暴行し続けている……
「……この夢は」
 再び目を覚ました時間はちょうど7時だった。
「とりあえず学校に行こう、サナ、朝だぞー」
 母親が仕事で居ない俺はラップの掛かっているご飯を食べて、学校へ行く支度をする。
「さてと……一人じゃかわいそうだから連れて行くか」
 怯えるサナをボールに入れて学校へ行く。
『よう、ヨウスケ! って、お前ポケモン持ってたっけ?』
「ああ、これはちょっとワケありでな……」
 と、ラルトスが入っているボールに目をやると……!!俺の馬鹿!!
「あ、ゴメン! ちょっとトイレ行ってくる!」
『ああ……おう』
 うかつだった、こんな人だらけの学校にサナを持ってきたのは誤算だった。
373368:2007/04/16(月) 23:49:51 ID:???
「どうしよう……しょうがないから」
 俺は休み時間に学校を飛び出して家にサナを持ち帰った、授業には遅刻するだろうが今はどうでもいい。
「ゴメン! 怖かったよな……」
 サナをボールから出して謝るが、相変わらず怖がっている、まるで“いつ殺されるか分からない”ような表情で……
『遅いぞ! 何やってたんだ!!』
 当然だが先生に怒られる。
「はぁ……済みません」
 と息を切らしながら自分の席へ座る。
「(あの夢、サナの表情……)」
 サナのことが気になり、授業に全く集中出来ない。
『…で、ヨウスケ、ここやってみろ』
「(あの男が暴行しているのは俺であって俺じゃない……俺という誰か……)」
『ヨウスケ!』
「うぇ!? えーと……(やばい訊いてない……)分かりません」
 周りから嘲笑されるがいつものことだ。授業が終わり、すぐに家に帰った。
「サナー!今帰ったぞー」
 ……とサナは眠っている、だが様子が可笑しい。
「……まさかとは思っていたが」
 そう、サナは魘されていた。“あれ”が本当であるかどうか、今日確かめてみることにする。
「お、サナおはよう!」
 どうやら目を覚ましたようだ、魘されて汗をかいていたので水を差し出した。
「俺のこと、信用してくれていいからな」
 と言うと、少しは信頼してくれたのか俺が居ても飯を食べるようになった。一歩前進。
[ちょっとずつだけど信頼してくれている。(と思う……)そういえばサナはエスパータイプのポケモンだからもっと仲良くなればテレパシーで話が出来るかも]
「さて寝るか……じゃない、“あれ”を突き止めてるんだ」
 既に眠っているサナに目をやる。
「やっぱりそうか、これで俺がその夢を見れば……」
 “あれ”とは俺とサナの夢がシンクロしているのではないか、その夢がサナの過去ではないかと思ったものだ。
「よし、寝るぞ〜」
……
374368:2007/04/16(月) 23:50:38 ID:???
――この夢だ、シンクロしているのは間違いない
「死ね!」
――冷静に……落ち着いて把握しないと
「お前なんかストレス発散の道具にもならん、死ね」
――間違いない、これはサナの過去だ
「じゃぁな、ゴミクズ」
……
「そうだったのか……」
 サナの過去、だけど痛いだけじゃなくて“悲しみ”“寂しさ”が全て伝わってきたような気がした。
 明日ジョーイさんに相談してみよう。
「ん……朝か、サナ起きるぞー」
 今日は日曜日。というわけで予定通りポケモンセンターへ、サナはちょっぴり慣れたのか俺には怖がらずに居てくれるようになった。また一歩前進だ。
「ジョーイさーん」
 前にサナの治療に当たってくれたジョーイさんを呼ぶ。
『あら、ヨウスケ君じゃない。どうしたの?』
――俺は夢のことやシンクロ。全てを話した。
『……ありえない話じゃないわね……』
 ジョーイさん曰く、珍しい話じゃないらしい。助けを求めたり、無意識に回りにシンクロさせてしまうことがあるようだ。
『とにかく他の病院で調査してみましょう。』
「はい、お願いします。」
 俺とジョーイさんすぐにポケモン精神科とよばれる病院へ向かった、精神科といっても実際に尋問したりするわけではなく、機械などで調査するようだ。
「サナ、出て来い」
――!!
 何とサナが進化していた、努力の甲斐だろうか。
「やったなサナ! キルリアに進化したぞ!」
 素直に進化を喜ぶがサナはまだ人間に対する“心の壁”があるようだ。
375368:2007/04/16(月) 23:51:12 ID:???
「と……喜んでばかりいられないな」
 こうして調査が始まった。
――2時間後
『ヨウスケ君、終わりましたよ』
 2時間に渡ってサナの調査が終わったようだ。
『やっぱり過去に虐待を受けていたみたい……それであんなに怯えるようになったのね……』
 やっぱりあの夢はサナの過去だった、そしてシンクロしていたのも間違いないという。
「ジョーイさん有難うございます」
 それ以上の言葉は要らなかった。
――初めて人生の目標が出来た
 俺はサナに精一杯愛情を注いだ。泣き声すら発してくれないけどそれでも可愛がった、どうすれば懐いてくれるのか、本を買ったりして勉強もした。一緒に遊びに出かけた(楽しくなさそうだったけど……)。
 あの時の決心を俺は忘れなかった。
――そして中学3年生のある日
『……ヨウスケ、それは本気で言っているのか?』
「はい、本気です」
 あの時の人生の目標。俺には何の目標も憧れも無かった。けれどサナに出会って、真実を知って、守りたいと思った。そして決めたのは
――ポケモンブリーダー
「俺はポケモンブリーダー専門学校付属高校に行きます」
 決めたんだ、自分のために、サナのために。そして……虐待した犯人を見つけるために。
『分かった……お前が決めたんなら先生は否定しない。だけど絶対に諦めるなよ』
 受験まであと1ヶ月ある、だけど受かる自信があった。サナを引き取ってからずっと勉強してきたんだ、落ちるはずないさ。
[今日は志望校を決める大事な日、俺は自分のため、サナのためにポケモンブリーダー(省略)に通うことにした、絶対になってみせるさ!]
 「さて、寝るか〜」
376368:2007/04/16(月) 23:51:53 ID:???
……
――朝
『(マ……マスター)』
 ん〜朝か……って誰!?
『(朝ですよ……)』
 脳に直接語りかけてくる優しい声……ということは!
「サナ?」
『(おはようございます……)』
 嬉しかった。今まで泣き声すら発してくれなかったサナがテレパシーではあるが話かけてきてくれた。
「……今日は一緒に学校に行くか?」
 サナは小さく頷き、俺の支度を待つ。やっと話かけてくれたサナに喜びを隠し切れない俺はいつもより早く学校へ行った。……そういえば人間には慣れたんだろうか。
「もう慣れたのか?」
『(……一応)』
 良かった。でも完璧に信頼はしてくれていないようだ、でも大きく前進した。
「これが……こうで……よし!」
 受験が迫っている生徒は殆どが自主学習に励んでいる、この時期はすぐに学校が終わるので出来るだけサナと触れ合おうと思う。
「ふう……あと3日か、サナ、出てこーい」
 ……って、あれ?
「サナ、進化したんだな!」
 どうやらボールの中で進化したようだ、二度も進化の瞬間をのがしたのは勿体無い気もしたが、進化したことに素直に喜んだ。
『あの……』
 え? ちょ……ええ??
377368:2007/04/16(月) 23:53:01 ID:???
「サナ凄いじゃないか! 喋れるなんて!」
 そう、サナはテレパシーではなく人間の言葉で会話が出来た、元々賢いエスパータイプだから当然と言えば当然だが……
「やったな! これで一人前のポケモンに……」
『どうして……どうしてマスターは私に優しくするんですか?』
――!?
 突然の問いかけ、それも強めに。
「どうしてってそりゃお前が……」
『マスターも結局人間……今は優しくしているだけで……いつかはマスターだってあの人と!』
 ……言葉を失った、今まで何があっても愛情を注いできたサナに突然こんな事を言われてショックだった。
『結局……人間なんていうのはポケモンを道具として扱う……貴方だって……』
「それは違……」
 サナはテレポートで姿を消した……やっぱり心の壁……俺には無理だったんだろうか。
「やっぱり俺じゃぁ力不足だったのかな……」
 俺はその場で立ちすくんだ、甘く見ていたんだ……。
「そりゃそうだよな、人間に虐められたサナが人間である俺が癒せるわけがないよな……」
 ……
 何処に行ったんだろう……大丈夫かな……腹すかしてるんじゃないかな……
……探さなきゃ!!
「そうだ、あの時決めたじゃないか、サナを立派なポケモンとして自立させると!」
 俺はありとあらゆる場所を探した、だけどサナは見つからなかった。初めて出合った公園、ポケモンセンター……。
「何処にいるんだよ……」
 探し始めてから3時間、もう当たりは暗くなり始め、ヤミカラスが鳴き始める。
「もう一度……あの場所を……」
 初めて出合った公園。僅かな希望を込めてもう一度公園へ向かう。
「……居た!!」
 公園のベンチに座って、眠っているサナを見つけた。
「やっと見つけた……」
 俺は眠っているサナの隣に座った。エメラルドグリーンの髪が風に揺られる。
378368:2007/04/16(月) 23:53:31 ID:???
『……!』
 サナが気配に気づいたのか目を覚ましたようだ。
「サナ、腹が減っただろ、家へ帰ろう」
『何で……何でマスターは!……』
 サナは走って逃げ出した……サナの意思が曲がらないならそれで良い、俺は精一杯やった、でも信頼を得ることは出来なかった……!。
「……ヤバイ!!」
 あのままではトラックと衝突する……今のサナは周りが見えていない……
――助けなきゃ!!
……
――間に合ったのか?
……良かった、サナは無事だ……
――これで……良い
……
「(ん〜……ここは?)」
 僅かに目を開けると白い天井、白い布団。
「(天国か? 白いしな……)」
 せめてサナと……あれ? 隣にいるのはサナ……そしていつも持ち歩いている日記。
『マスター!』
 あれ? ここ天国じゃないの?……何でサナがいるんだ?……
『マスター! ジョーイさん! マスターが!……』
 え?ジョーイさん?てことはポケモンセンター?
「ええ!?」
 勢いよく目を覚ます。そこには泣きじゃくるサナが居た。
『マスター……私……』
「サナ……ゴメンな……」
『何で……そんなに優しいんですか! ……何で謝るんですか! ……』
379368:2007/04/17(火) 00:07:38 ID:???
理由は簡単だった……それは……
「……サナが好きだからだ」
 思えばサナを引き取った時からだった。家族が増えて嬉しかった、たとえ無視されても、口を利いてくれなくても、そこにサナが居てくれるだけで嬉しかった。
「今まで辛かったよな、寂しかったよな……酷いこともされたよな…」
 サナは喋れなかった、ただ涙を流すだけだった。
「だけど……安心して良い……だってサナは」
――俺のパートナーだから

 俺は奇跡的に傷は浅く、すぐに退院できた。受験の方は学校側が説得してくれて、受験出来た。
「受かるかなぁ……」
『大丈夫ですよ。マスターあんなに勉強してたじゃないですか』
 サナとはすっかり仲良くなって、人間不信は治ったようだ。一方虐待していた犯人は夢を頼りに警察に頼むとすぐに見つけてくれた。目出度し目出度し。
――1週間後
「やった! 受かった!! 頑張った甲斐があった!!」
 合格通知が届き、ようやく安心した、サナも喜んでくれている。
『これでブリーダーへ一歩前進ですね!』
 一緒に喜び合い、俺は幸せだった、ずっと一緒に暮らせればいいと思った。
 ……だけど、サナと別れの日が近づいていた。俺はあくまでも“サナを立派なポケモンとして野生に返すこと”
380368:2007/04/17(火) 00:08:18 ID:???
――3日後
 俺はサナを連れて“あの公園”へ来た、サナと出合った思い出の場所。
『マスター? どうしたんですか?』
 心地よい風が公園の木に響き渡る。
「……」
 言い出せなかった、とても「今日でお別れだ」なんて言えない、けれど言わなくちゃいけない、だってそれが俺の使命だから……。
『マスター……?』
 俺はサナと顔を合わせられなかった。
「……今日で……お別れだ」
 その瞬間、サナは天国から地獄へ落とされたような表情をした。わざとらしく風が強くなり、木がざわつく。
「サナを立派なポケモンとして野生に返す……これが俺の使命だったんだ……」
 悲しい気持ちを押し殺し、言った、これで良いんだ。
『そ……そんな! ……なんで、どうして!!』
 涙で声がぐちゃぐちゃになりながらも俺は言った、自立すべきだと。
「サナ……お前はもう立派なポケモンだ……俺がいなくたってお前は……」
 もう言葉は出なかった、これが全てだ……。
『嫌です! ……私にとってマスターが……』
「行け!!」
 初めて怒鳴った。俺だって別れたくない……だけど
『マスター……でも』
「行くんだ!!」
 そう言って俺はサナに背を向けた……必死に涙を堪えた。
「この先……」
 背を向けたまま俺は喋りだす、そこにサナが居るかは知らない、だけど喋った。
「喜びも悲しみも、痛みも涙も、全部サナの生きる糧になるから……」
 俺はサナを忘れない。
――絶対に忘れない。
381368:2007/04/17(火) 00:09:06 ID:???
「バイバイ……サナ……」
 ……振り返るとそこにはサナは居なかった。

――数日後
「……日記か、しばらく書いてなかったな……」
――!!
 最後のページ……そこには
[マスター、今まで有難う。私はマスターを忘れません。]……と
 再びこみ上げた。もう一度会いたい、もう一度サナと暮らしたい。
――一緒に喜びたい
「サナ……また会えるよな……」
……
『……マスター!』
 俺は相変わらず馬鹿だな……別れるなんて無理に決まってるじゃないか……

FIN
382368:2007/04/17(火) 00:11:11 ID:???
一応これで半分終了です。
随分無理矢理な部分があったり、友人の登場回数が少なすぎたり
指摘部分は山ほどありますが、華麗にスr(ry

オチは失敗だったかも
383368:2007/04/17(火) 00:14:56 ID:???
ミスOTL
>>371の後半部、飯を〜の後

――その日の夜
 俺は日記をつけて行くことにした、えーと今日は……
[俺が居る前だと飯は食ってくれないけど俺が居なくなると食べるようだ、一安心。一応人間の言葉は通じるようで、とりあえずトイレの場所など教えておいた、本当に伝わってるかは知らないけど……]
 この日記は持ち歩くことにしよう、そうすればメモ帳としても使える……かも。
384名無しさん、君に決めた!:2007/04/17(火) 01:56:38 ID:???
何この良スレ
皆さん期待してるよ〜
385名無しさん、君に決めた!:2007/04/17(火) 01:57:25 ID:???
乙続きも楽しみに待ってる
386368:2007/04/17(火) 20:22:17 ID:???
『人生を左右した決断―サナ側』
――自分の存在意義が分からない
 何で私はこの男に付いて行ってしまったのだろう。毎日ように暴行され、ろくに食事も与えてもらえない、話かけるだけで殴られる。“ストレス解消の道具”として使われるだけの存在……
――もう人間なんて信じられない
……
『(私は死んだのかな……)』
 意識はあったけど体は全く動かない、もう死にたいと思った。
『(……何?)』
 突然私の体が浮かび上がった、何かに抱きかかえられる、そんな感覚。とても暖かい。
『(……天国に行くのかな)』
……
――ここは?……
 目を覚ますとそこは天国じゃなかった、私は何人もの人間に囲まれていた。
「これじゃ治療が出来ないな……」
 人間……最も憎むべき存在が近くに居る、私は恐怖で丸くなった。
『(……あれ……)』
 突然眠くなった私はその場で意識を失った……
……
「出てこーいラルトス!」
 人間の声、私はその声で目を覚ました。
『(人間……男の声、またしても!!……)』
 私は絶望した。やっと死んで楽になれると思ったのに、また人間に飼われてしまったようだ。恐怖と憎しみで私は震えていた。
「ほら怖くないって……そうだ名前をつけないとな」
――!?
 私はてっきり暴行されるかと思ったが違った。
「サナ。お前は今日からサナだ!」
 サナ……私の名前。
「よし、腹が減っただろう、飯を作らないとな!」
 私のことをサナと呼ぶ人間は私に食事を差し出した、私は信じられなかった。人間という生物はポケモンを道具として扱う存在じゃないのか、なのに彼は優しかった。
387368:2007/04/17(火) 20:22:53 ID:???
――夜
――やめて!!
「このゴミが! 使えないんだよ!!」
――痛い!……
「お前に生きてる価値なんて無いんだよ! 死ね!」
――どうして私は……
 ……夢だった。私の前のマスター……いや、人間が私を虐めている夢だ。
――朝
「サナ、朝だぞー」
 私はその声と朝の日差しで目が覚めた。今日も普通に食事をくれた。
「さてと……一人じゃかわいそうだから連れて行くか」
 私はそう言われるがままにボールに入れられ、人間と何処かへ向かう。
――!!
 私には耐え切れなかった、そこは人間が大勢居る“学校”と呼ばれる存在。
『(やっぱり……この人も!……)』
 陰湿な虐めだと私は解釈したが、その人間は私に謝ってきた。
「ゴメン! 怖かったよな……」
 私には解らなかった、何でこの人間が私に優しくしてくれるのか……
……
――またこの夢!
 痛くないハズなのに痛かった。
――助けて!……もうやめて!
 夢だと解っているのにとても悲しかった、正に“あの時”に戻ったようだった。
『(……何でこんな夢を見るんだろう……)』
「俺のこと、信用してくれていいからな」
 と人間がそう言うと私に水をくれた、その後また食事もくれた。もしかしたらこの人間は信用してもいいかも知れない……
388368:2007/04/17(火) 20:23:43 ID:???
――次の日
 私は人間ととある場所に向かっていた。
『(な……何コレ……)』
 突然体が熱くなり、一瞬意識が飛んだかと思うとすぐに戻った。
『(何だったんだろう今の……)』
 そうこうしている間に目的地へついた様だ、ボールから出される。
「やったなサナ! キルリアに進化したぞ!」
 キルリア? 進化? ……そういえば目線がちょっぴり高くなったような気がする。私は自分の体を見回すと、人回り大きくなったみたいだ。
「と……喜んでばかりいられないな」
 そう呟くと私は再びモンスターボールに入れられた。
『(ここは何処だろう……)』
 私は機械だらけの部屋に閉じ込められた。怖い……あれ?
『(眠い……)』
 よく解らないまま私は眠りに付いた
――数時間後
 私はあの人間の部屋に居た。さっきの機械は一体何だったんだろうか……
――その後
 あの人間は、あの日依頼前よりも優しくしてくれた。私が失敗しても、怒らないで優しくしてくれた。遊びにも出かけた、何故だろう……なんであの人間は私に……
『(大丈夫だよね……)』
 私はあの人間に話し掛けてみることにした、勿論テレパシーで。一応マスターと呼ぶことにする。
389368:2007/04/17(火) 20:24:25 ID:???
『(マ……マスター)』
 マスターの脳に直接話し掛ける。
『(朝ですよ……)』
 ……
「サナ?」
『(おはようございます……)』
 殴られなかった、むしろ人間は嬉しそうだった。この人間……いやマスターは信じることが出来る、そう思っていた。
「……今日は一緒に学校に行くか?」
 人間に対する憎しみは今だあるけどマスターといれば安心できる気がする。
「もう慣れたのか?」
『(……一応)』
 本当に一応である。あの時受けた仕打ちを忘れたわけじゃない。
「これが……こうで……よし!」
 マスターは勉強というものに励んでいる。
『(ま……また?)』
 あの現象が再び訪れた、そう“進化”である。
『……喋れる』
 私は自分でも驚いた。何と人間の言葉が喋れたのである。テレパシーでずっと話していただけでここまで上達していたとは。
――数時間後
 学校が終わり、マスターと一緒に家へ帰った。私が進化したのにまだ気づいていないようだ。
 私は帰り道に、昔のことを思い返していた。昔酷い目にあったこと、そして新しい人間の下で暮らすようになったこと。
『マスターは優しくても……』
 そう回想している間に塞がりかけていた心の傷が開きだした。
390368:2007/04/17(火) 20:25:28 ID:???
『そうだ……今は優しく振舞っていても……』
 人間に対する憎しみ、恐怖が蘇る。
『所詮はあの人間と同じ人間……信用なんて出来ない!』
「ふう……あと3日か、サナ、出てこーい」
 マスターの声……人間!!
「サナ、進化したんだな!」
 優しいのは今だけなんだ……
『あの……』
 言葉を発するとマスターは喜びと同時に驚きも隠せないようだったが、次第に喜びが失せていく。
「やったな! これで一人前のポケモンに……」
『どうして……どうしてマスターは私に優しくするんですか?』
 そうだ……私は忘れてなんかいない……
「どうしてってそりゃお前が……」
『マスターも結局人間……今は優しくしているだけで……いつかはマスターだってあの人と!』
 間髪いれずに言い返した。人間なんていうのは……人間なんていうのは……
『結局……人間なんていうのはポケモンを道具として扱う……貴方だって……』
「それは違……」
 私はそう吐き捨て、テレポートでその場から消えた。移動先はポケモンセンターの屋上だった。
『ここは……』
 私が目を覚まして始めて訪れた場所。
『……』
 私はしばらくその場で黄昏ていた。心地よい風が気持ち良い。
『何であんな事言ったんだろう……』
 フラッシュバックしたとはいえ言いすぎたかも知れない。
『……』
 虫の居所が悪くなった私は再びテレポートで移動した。たどり着いたのはあの公園。
『……』
 心地よい風、誰も居ない公園で私は眠りに付いた。
391368:2007/04/17(火) 20:26:05 ID:???
『……!』
 私は何かの気配に気づいて目を覚ました……そこに居たのはマスターだった。
「サナ、腹が減っただろ、家へ帰ろう」
『何で……何でマスターは!……』
 私は走った。解らなかった。心の壁があったからだ。何でマスターがあんなに優しくしてくれるのか……
 ……
――!!
 気づいたときにはマスターが私を抱きしめて倒れていた。
「おい君! 大丈夫か!」
 そう、私は間一髪の所でトラックに引かれる私を助けた。
「早く、救急車を! 君はこの子のポケモンかい!?」
 ギャラリーが集まるなか、私は後悔した、やっと気づいた。そうだ、今、私が今生きていられるのは……
……
――ポケモンセンター
 マスターは幸いケガは薄く、すぐに退院できるらしい。
「そういえばヨウスケ君がこんな物持ってましたよ」
 そう言われて渡されたのは日記。
『……マスター!』
 そこに書かれていたのは私とマスターが暮らしていた日々が記されていた。
『マスター……私は……私は……』
 全てがこみ上げた。マスターが私に尽くしてくれたこと、私のために勉強していたこと。気づいてやれなかった……
「サナさん、ヨウスケ君は此方です」
『マスター!』
 謝りたい、マスターに謝りたい!……
『マスター! ジョーイさん! マスターが!……』
 ……
「ええ!?」
 マスターが勢いよく目を覚ました。私は溢れる涙を抑えながら喋ろうとした。なのに……
392368:2007/04/17(火) 20:26:36 ID:???
『マスター……私……』
「サナ……ゴメンな……」
 謝るのは私のはずなのに……マスターは謝ることなんてないのに!……
『何で……そんなに優しいんですか! ……何で謝るんですか! ……』
……
「……サナが好きだからだ」
 言葉が出なかった……出せなかった。
「今まで辛かったよな、寂しかったよな……酷いこともされたよな…」
 マスターの一言一言が嬉しかった……
「だけど……安心して良い……だってサナは」
――俺のパートナーだから

マスターは奇跡的に傷は浅く、すぐに退院できました。受験の方は学校側が説得してくれたお陰で受験出きるようです。
「受かるかなぁ……」
『大丈夫ですよ。マスターあんなに勉強してたじゃないですか』
 私はあれ以来からマスターに少しでも恩返ししようと頑張りました。人間不信も治りました、マスターといると安心出来ます。
 それと、虐待犯は見つかったようです。目出度し目出度し。
――1週間後
「やった! 受かった!! 頑張った甲斐があった!!」
 マスターは飛び跳ねながら喜んでいます。
『これでブリーダーへ一歩前進ですね!』
 私はこうしてマスターと一緒に過ごす時間が心地よく感じた。ずっとマスターと暮らしたいと思っていました。
393368:2007/04/17(火) 20:27:17 ID:???
――3日後
 私とマスターはあの公園に来ました、初めて出合った“思い出の場所”、でも何だか様子が可笑しく感じられます……
『マスター? どうしたんですか?』
 心地よい風が公園の木に響き渡る。
「……」
 マスターは黙ったまま何も言いません。静かな公園は木だけがざわついています。
『マスター……?』
 不安な空気が漂う中、ついにマスターが口を開きました。
「……今日で……お別れだ」
――!?
 突然の別れの言葉。嫌だった、マスターと別れるなんて!……
「サナを立派なポケモンとして野生に返す……これが俺の使命だったんだ……」
 それは初めて聞いた事実でした。でも私は……
『そ……そんな! ……なんで、どうして!!』
 マスターは私と顔を合わせませんでした。
「サナ……お前はもう立派なポケモンだ……俺がいなくたってお前は……」
 まだマスターに何もしてやれていないのに……
『嫌です! ……私にとってマスターが……』
「行け!!」
 マスターが始めて怒鳴り声を上げました。でも……でも私は!
「行くんだ!!」
 そう言ってマスターは背を向けました。私はテレポートをゆっくりと開始します。
「この先……」
 私はテレポートの瞬間、聞こえたような気がします、マスターのあの言葉を。
「喜びも悲しみも、痛みも涙も、全部サナの生きる糧になるから……」
 有難うマスター。
――いつかきっと会えると信じています
『さようなら、マスター』
394368:2007/04/17(火) 20:28:48 ID:???
――数日後
私はサイコキネシスでマスターの日記に感謝の気持ちを書きました。マスターと離れて、寂しいときはあの言葉を思い返します。だけど……
『マスター……』
――「サナ……また会えるよな……」
『マスター?』
 一瞬、マスターの声が頭に響きます。幻聴かと思いました。でもそれは違いました、私のサイコパワーの源、赤い突起が輝いていたのです。
『……マスター!』

 そこには笑顔で迎えてくれた、いつもの優しいマスターが立っていました。

包容――広い心で人を受け入れること。


FIN
395368:2007/04/17(火) 20:29:51 ID:???
これで全部です。やっぱりオチは会わせないほうが良かったかも・・・
396名無しさん、君に決めた!:2007/04/17(火) 22:34:13 ID:yZGhaxzQ
乙!
本当におもしろいです
397名無しさん、君に決めた!:2007/04/17(火) 22:43:28 ID:???
感動した(´;ω;`)イイハナシダナー
398名無しさん、君に決めた!:2007/04/18(水) 12:03:10 ID:???
\(・∀・)/ ウンコー!乙
39948 ◆8z/U87HgHc :2007/04/18(水) 16:40:40 ID:???
乙ー!
普通にいい話で感動しましたよ。次の作品もあるのなら楽しみにしてます。

盛り上がって人も多くなってきたみたいなんで、
俺は次の分が出来次第、一度は辞めた自分のスレを立ててみますね。
本当に長編になりそうな上一回一回長いので、このスレに投下し続けると迷惑かけそうだし。
ポケモンファンタジーだかアドベンチャーだかそんな名前でいずれ立つと思うのでよろしく。
400名無しさん、君に決めた!:2007/04/18(水) 19:15:58 ID:???
俺は応援してるぜ
401名無しさん、君に決めた!:2007/04/18(水) 22:04:07 ID:???
がんがれ!!
402名無しさん、君に決めた!:2007/04/18(水) 22:27:23 ID:???
今まで投下してきた分は張り直すつもりなの?
403368:2007/04/18(水) 23:05:28 ID:???
こんな素人の作品に……おまいらいい奴すぎ、d。
40448 ◆8z/U87HgHc :2007/04/19(木) 01:40:54 ID:???
>>402
まあ色々と修正加えながら張り直そうと思ってます。
怖いのは規制かな…
40514 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/21(土) 02:23:11 ID:???
何だか遅くなりました。>>313の続きを投下します
40614 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/21(土) 02:25:05 ID:???
「逃げたぞ、追えー!」

頭後ろから恐ろしい声がする。自分達にしか聞こえないそれ。
オレは口に大事なものを銜えながら、とにかく、ただひたすらに走っていた。
……逃げて、自分の目的を達成する為に。

――……オレは、この機械で……

「待てーっ!」

オレは必死で走った。とにかく、前だけを向いて走った。
後ろを振り返る余裕なんて無い。アイツらとの距離がどれだけなのかもわからない。
だけど、不安を抱えていたけれど。オレは、前を向いて走る事しか出来なかった。

「っはぁ、はぁ、はぁ……」

息が切れてきた。もうどれくらい走ったんだろう?
後ろから聞こえてくる“声”はまだする。もう、疲れたよ……
と、気を抜いた瞬間だった。オレの足元が狂う。

「とと、わぁッ!」
40714 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/21(土) 02:26:15 ID:???
声が出ていたときには既に、オレの目の前の景色がくるくると回転していた。
そして体全体が地面に叩きつけられる。即座に全身を痛みが襲う。
どうやら、何かに引っかかって躓いてしまったらしい。しかも、相当な強さで。
同時に、機械も口から離してしまったようだ。

「……っく」

後ろを振り向くと、躓いた原因となったであろう木の根っこと
3人の追ってが迫ってきている場面が見えた。

――このままでは捕まる……

「……あれはッ!」

前と後ろしか見ていなかったオレが少し右を向いた瞬間。
何か緑色――そう、ちょうどオレの体のような色――の大きなモノが見えた。
周りを良く見渡すと、木が生い茂っている、日差しの少ない森だった。

「あそこに……隠れよう……」

オレは迷う暇もなく、その“緑の大きなモノ”へと、足を引きずりながら向かった。
幸い距離はそんなに離れていなかったのですぐに到着できた。
もちろん、地面に転がってしまっていた大事な機械を銜えて。

そのモノの後ろに隠れてみたが、体は少しもはみ出していない。
……もう見つからないだろう。オレはやったんだ。逃げ切ったんだ。

「ハァ……ハァ……」
40814 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/21(土) 02:27:05 ID:???


「……大丈夫ですかー!?」

意識がだんだん戻っていくと同時に、耳元へ入ってくる綺麗な声も大きさを増した。
俺はそれを目覚まし時計代わりにし、ゆっくりと瞼を開く。

「……ああ良かった、目を覚ました……」

開いたばかりの目では良く確認することが出来ず、俺は右手で両目をごしごしとこすった。
そのあともう一度目を開き、正面を向いてみる。
と、ようやっと自分の前にいる物体が人だと理解できた。

「えっと……あなたは?」

「私はモミと申します。それよりあなた大丈夫ですか……?
 ここで倒れていたんですけど……」

「へ……?」

寝ぼけ眼で辺りを見渡すと、そこはさっきまでいたハクタイの森そのまま……。
後ろを見れば“神秘の石”もあるし、カバンもある。確かにさっきまでいた場所……
前を向けば、“モミ”と名乗った女性が心配そうに俺の顔を見つめている。

――……あ、そうだ。俺は岩の裏に見えた光の正体を確かめようとして……

『いたたた……』
40914 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/21(土) 02:28:37 ID:???
「ん!?」

突如、俺の耳に幼い少年のような声が聞こえた。
俺は座ったまま首を大きく振り、辺りを見回す。

「あの……どうかしましたか?」

モミは俺の動きを見て、不思議そうに問いかける。

「いや……何でもないよ。助けてくれてありがとう」

しかし、音の発生源となるようなものは見当たらない。
俺が声に気を取られている間、知らないうちに口から出ていたお礼の言葉を聞き、
モミは安堵感を表情で露にした。

「あ、それならいいんですけど……あの、お体には気をつけてくださいね」

「うん、ありがとう。」

俺はとりあえず、助けてくれた“恩人”に座ったままだったが別れを告げた。
恩人はゆっくりとした歩きで、少しだけ明るくなっている森の出口へと向かっていった。

でも、倒れてたって……俺、何かに襲われたのかなぁ……?

『ふー、まいったまいった』

「……!?」
41014 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/21(土) 02:30:40 ID:???
再び聞こえた音。
さっきと同じような、子供の声に似たその音。
しかし、今度は先ほどと違い、耳からではなくて頭へ直接入り込んでくるような、そんな感覚だった。
俺は相変わらず重いカバンを持ち、ちらっと後ろの石を見てからその場へ立ち上がる。

「誰か……いるのか?」

俺は声しか聞こえない犯人を捜そうと、少し大きめの声で言った。
しかし、辺りを見回してみても、ヒトカゲ……はもちろん、人影なんて全くない。
……疲れてるのかなぁ。俺は目を擦ってみたが、目の前に広がる景色に変化は無い。

「やっぱり気のせいなのかな……」

俺は気のせいだったと半ば強制的に自分を納得させ、
カバンを持ち直し、振り返って石を調べ始めようとした。
が、そうはいかなかった。

『気のせいなんかじゃないよ』

3度目の声が聞こえた時。何故だか俺の中で怒りがこみ上げてきた。
俺は、こういう遊び心というか……人をからかうような事は大嫌いなんだ。

「誰なんだ!姿を見せろ!」

俺はつい、拳を握りしめ、森全体に響き渡るような大声で叫んでしまった。
森の木々に声が反射して、自分の耳にもその音が返ってくる。

すると、俺の声とは対照的な、とても小さな優しい声で返事が返ってきた。

『ここだよ、ここ。
 ……ホラ、君の頭の中さ。』
41114 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/21(土) 02:31:16 ID:???
「は……!?」

その刹那、俺は頭の中がパニック状態になった。

というのも、その声が聞こえた瞬間。
俺の頭の中――というよりむしろ、思考回路そのものに現れたのだ。
……緑色で、細長くて、小さくて、言葉を話す物体が。

「な……何だコレっ……!?」

俺は必死で未確認物体を取り除こうと、頭を手で叩いてみたり、無意味に意識を集中してみたが、
全てが徒労にすぎなかった。
その緑色は俺の中を支配しているかのように、頭の中居座っている。

『無駄無駄。オレを消す事は出来ないはずだから』

「な……何なんだこれは……まさか、夢か!?」

そうだ。きっとこれは悪い夢なんだ。そうに違いない。夢なんだ……。
確か、夢だったらほっぺをつねっても痛くないんだよな。
小説が書いてある電子掲示板に、そうやって書いてあった気がする……。

「痛っ……」

痛みと同時に、俺の中を絶望感が襲った。
41214 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/21(土) 02:33:28 ID:???
『いたた!いきなり何するの!』

俺がほっぺをつねったからなのか、突然痛がる緑色。
ほっぺらしき場所が微かに赤くなっているのが見えた――つまり、それが脳内に映し出された。
色々な感情が、イライラを心へとどんどん蓄積させていく。
俺は一刻も早く、この憂鬱というかなんとというか、そんな気持ちから抜け出したかった。
「いくつか質問をすれば結論は自ずと出るだろう。そして消えてもらえばいいんだ……。」
俺はそういう、まるで中学生が考え出すような、とても安易な考えを持っていた。

「……あーもー、だからお前は一体誰なんだよ!?
 喋れてるし、俺の意識の中に存在しているし……
 も、もしかして……お、お化けなのか!?」

俺は誰に、何処に言えば良いのか分からず、とりあえず口から声を出して緑色に伝えようとした。
動揺していたので、何を言ったのかが自分でも分からなかった。

するとその“緑色”へ伝わったのか、目を少し吊り上げてため息をついた。
結論その1。とりあえず声を出せば緑色に伝わるらしい。

『失礼な!オレはお化けじゃなくて“リーフィア”だから!』

「……え?」

少しゆっくりとした、誰にも真似できない、透き通った綺麗な声だっただろうか。
だがそんな事はどうでも良い。それを聴いた瞬間、俺の中にあったほっぺをつねった痛さや、
存在の分からなかった物への怒りなどすぐに消え去ってしまったのだから。
41314 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/21(土) 02:35:17 ID:???
結論その2。緑色は“リーフィア”らしい。

…………。

……俺はただただ、言われた言葉を鸚鵡返しするだけだった。
きっと告げられた事実に対して目は点になり、口は開けっ放しだったと思う。
俺が呆然としている間、返事をする余地などなく。一方的に会話が進められていった。

「リー……フィア……!?」

『そう。オレはリーフィアのリーブ。キミは?』

「俺は……クラム……」

『クラム?いい名前じゃんかー!
 あ、これからキミの頭の中でお世話になるみたいだから、宜しくね!』

結論その3。
俺の頭の中にはポケモンがいる。
そしてそのポケモンは“お世話になります”と、まるで家へ住み込みに来た人のような事を言っている。

  ポケモン!?何で俺の頭の中にポケモンがいるんだよ!?
  しかも“お世話になります”ってどういうことだ!?
  あれ?よく考えたら何でポケモンと話せてるんだ!?
  夢だよな!?いや、夢じゃないのか?ほっぺツネって痛いって事は夢じゃないのか?
  え?俺これからどうなるんだ!?ポケモンになったのか!?いや違うのか……!?
  頭が……オーバーヒートしそうだ……思考回路が…………
41414 ◆ZJhJWPMmBc :2007/04/21(土) 02:42:21 ID:???
俺が受け止めるには、その「事実」は大きすぎたみたいだった。
足で立った状態から、体が硬直して1本の棒になったような感覚を受け、そのまま前へと倒れこみ……

――バタンッ

『え、クラムー!?ど、どうしたのー!?』


+*+ 続く +*+


―――


今回はここまでです。

しばらく来ない間に沢山素晴らしい小説があってビックリしました。
自分は“情景描写が苦手”というまだまだ素人のレベルなので、
皆さんの小説を読んで勉強したいと思います。ついでに楽しめるので一石二鳥ですw

>>48
単独スレ頑張って下さいっ。いつまでも応援してます!
フライゴンかわいいよフライゴン。

>>368
なんという感動ストーリー……
2つのサイドがある所、すごく面白かったですー!
415名無しさん、君に決めた!:2007/04/21(土) 23:51:52 ID:???
GJ!
416名無しさん、君に決めた!:2007/04/22(日) 19:55:16 ID:???
2chで総合のポケモン小説保管庫があったらいいのにね
そういうのってやっぱり書いてる人から見たら迷惑?
417名無しさん、君に決めた!:2007/04/23(月) 20:12:56 ID:???
>>416
だな。結局dat落ちすると見れなくなるわけで…

>>48
GJ!最初から見させてもらいました!乙です
ところで小説の本文だけコピペして保管しても構いませんか?
41848 ◆8z/U87HgHc :2007/04/24(火) 01:05:53 ID:???
>>414
乙です。
こちらも頑張りますので、そちらも頑張ってください!

>>417
もちろんいいですよ!正直もうそういうのは大歓迎ですよ。嬉しいです。
419名無しさん、君に決めた!:2007/04/24(火) 22:17:09 ID:???
>>418
ありがとうございます!こんな感じになりましたがどうですか…
ttp://sub135.is.land.to/ss/1.html
42048 ◆8z/U87HgHc :2007/04/26(木) 22:12:57 ID:???
>>419
こちらこそありがたいです!
ただ、スレ立てて張りなおす時に修正入りまくるかもしれないけど、その時は勘弁してくだしあ

あと上げときますね。
421名無しさん、君に決めた!:2007/04/27(金) 15:54:22 ID:PDPAcdC9
ちょっと自分で読んでみて変な気もしますがとりあえず書いてみる。

俺の名はレッド。マサラタウン出身のリーグチャンピオンだ。
チャンピオンと言ってもトレーナーと何ら代わりはない。ただ、
格段に忙しさだけが増した様な物だ。
くだらないチャレンジャーをただただ倒していく日々・・・・・
しかし、ある日やっと休みが取れたので久しぶりにマサラへ帰ることにした。
ある1つの「目的」を持って・・・・・

マサラに帰ってきた俺はまず家に向かった。家に帰った俺を待っていたのは
クラッカーのテープ、そして母とオーキド博士だった。
クラッカーのテープを笑顔でくぐり抜けた俺はまずただいまと言った。
そして、リュックをおろし、その日は遅かったのでそのまま寝た。

ーーー次の日ーーー
朝起きると、腹が空いている事に気が付いた。
そう言えば昨日は何も食ってなかったな・・・・・
そう思いつつ下に降りると1人分の朝食が並べてあった。
そばにあった書き置きを見ると、どうやら買い物に行ったらしい。
まあその方が俺にとっては好都合だが・・・・・
朝食を食べた俺は家を出ると研究所へ向かった。
オーキド研究所は相変わらずでかい風車が立っている。
こんな物何に使っているんだ?とか思いながら扉を開け中にはいる。
オーキド博士はいつもの場所でパソコンを使っていた。
どうやら研究資料をまとめているようだ。俺に気付くと隠したが。
オーキド博士は俺が何故来たのか聞きたそうだったので俺が先に言うことにした。
そしてそれが俺の帰ってきた「目的」でもあった・・・・・。

422名無しさん、君に決めた!:2007/04/27(金) 16:56:24 ID:???
誰か
ゼニ、ヒト、ダネ の小説書いてくれませんか?(´・ω・`)
423名無しさん、君に決めた!:2007/04/27(金) 17:05:07 ID:PDPAcdC9
>>421の追加です。

数10分後・・・
研究所の裏庭に30メートルぐらい離れて俺とオーキド博士は立っていた。
どうやらあっちもやる気になったようだ。
何かの合図があったように、俺とオーキドはそれぞれ赤と白で彩られた玉を投げた。
しばらく飛んだ玉は両方とも割れ、中から光が出てきた。
光はやがて形を作り始め、生物となった。
その生物はこの世界で一般にポケモンと呼ばれるものだ。
オーキドはオレンジ色の翼竜の姿をしたポケモン−−−カイリューを出していた。
俺が出したポケモンは赤い翼竜のような姿をしており、
胸にかなり大きな傷跡がある。
リザードンと周りは言っているが、俺はリザルと呼んでいる。
リザル「おい、レッド。やけに大物がいるじゃねえか。」
レッド「ああ。カントーで唯一俺が負けた相手だ。」

424小学3粘性:2007/04/27(金) 22:00:07 ID:2WBYeRbW
『いけっ!パッチ!』
僕はボールからパチリスを繰り出した
「パッチ、スパークだ!!」
僕がそういうとパチリスは電気をまとって相手に向かって突進した
短パン小僧「うわぁ!?僕のギャラドスが!!」
ギャラドスは倒れた
『やった、勝ったぜ!』
僕はとても嬉しかった
短パン小僧「いやーやっぱりケンタは強いなぁ・・・」
『いや、パチリスが頑張ってくれたからだよ・・・な!』
僕はパチリスに木の実をやった
『はははっ、パチリスそんなに美味いか』
短パン小僧「ケンタは本当にポケモンが好きなんだなぁ」
『ああ!もちろんさ』
僕はポケモンと一緒にいるだけで幸せだった
その時はまだ、その幸せが壊されてしまうなんて夢にも思わなかった・・・。
425ハゲ:2007/04/28(土) 12:44:16 ID:XPDxTbAD
   ;ヾ、,.、,、.、rツ ッッシ、:':' r':' _,、-'゙_,  や 公 帰 そ
 ,、,、,ミッン、,._        _,、-'゙_,、-'゙.   っ 園. り ん
 、ィッ ,:、 ゙''ゞ=ミ、~.: _,、-'゙_,、-'゙  __,  て の 道 な
 }; ヾ ゙' {!li;:,. _,、-'゙_,、-'゙ _,、-'゙,::|_|  来  ト に わ
 ゞァ''゙ぐ _,、-'゙_,、-'゙ _,、-'゙,、-''" .|_   た イ  あ け
 ,ヘ:'_,、-'゙_,、-'゙..::「┴_,エ ┴  ''"_|_|  の. レ る で
  └i'゙-ニ,ニエ,.:|ニ「 _エ ┴  ''"_|_   だ に
    |エ | ニエ, |ニ「 _エ ┴  __.|_|_
    |エ | ニエ, |ニ「 _エ ┴ 「fj.||__|__| _|
    |エ | ニエ, |[8] _エ ┴ └‐_|_|__l__,|⊥ |__
    |エ | ニエ, |二 _.エ 二.._ |__|__| _|_|_
    |エ | ニエ, |┴ _.エ 二.._ |_|__l__,|⊥ |__|
    |エ | ニエ, |工 _.エ 二.._ |__|__| _|_|_
    |エ | ニエ, |工 _.エ 二.._ |_|__l__,|⊥ |__
  -,-=''┷━━|┬ニエ ┬--  .|__|__| _|_|_
   ''ーニ_''ー::、_ ゙┷ 工_二'‐-、,_|_|__l__,|⊥ |__
  二二二`''ーニ`_''ー-、_¨''━、L|__|__| _|_|_
  二二二二二二二`''ーニ_''ー 、_       |⊥ |__

426ハゲ:2007/04/28(土) 12:47:22 ID:XPDxTbAD
ふと見ると ベンチに一人の若い男が座っていた。

「ウホッ! いい男」

そう思っていると 突然その男は僕の見ている目の前でツナギのホックをはずしはじめたのだ。
427ハゲ:2007/04/28(土) 12:47:59 ID:XPDxTbAD
つづきます
428名無しさん、君に決めた!:2007/04/29(日) 19:29:51 ID:???
そう公言したのなら最後まで責任を持って続けてください
429428:2007/04/30(月) 03:12:45 ID:???
自演でした^^
430ハゲ ◆A..xMt3N8Q :2007/05/01(火) 15:10:32 ID:PeegVY1z
^^
431名無しさん、君に決めた!:2007/05/01(火) 15:26:40 ID:6nKVXjcH
>>425 吹いた
432名無しさん、君に決めた!:2007/05/02(水) 20:33:49 ID:sBT/KN7P
【ヒンバスのポロック漬け一瓶680円】


私、ヒンバスと申します。
道路の滝の側に住んでいました。
住んでいた、と過去形で言うのは私がもうそこにいないからです。
私、釣られたんです。
釣られちゃったんです、人間に。

釣りあげられた瞬間、私は生まれてきたことを後悔しました。
私なんかが言える台詞じゃないんでしょうけど、人間の格好はそれはひどいものでした。
無人島で数ヶ月暮らしたら、こんな格好になるのでしょうか。

人間は満面の笑顔でした。
例えるなら、そう、悟りを開いたお釈迦様のような。

ああ、私、食べられる。
この時私は確信していました。
今までろくな事がなかった私の人生。
焼き魚にされて終わりなんてあんまりです。
433名無しさん、君に決めた!:2007/05/02(水) 20:36:06 ID:sBT/KN7P
ところが人間は私を焼き魚にする代わりに、モンスターボールを投げつけました。
そうして私は、ゲットされてしまいました。

……私の身の上話なんてどうでもいいですよね。
すみません、もうしません。

今、私たちはミナモシティに来ています。ミナモのコンテスト会場です。
ご主人は何をしているかというと、ポロック作りです。
さっきからずっと機械を回しています。時々止めて、木の実を入れています。
遠くから見てもわかります。全部青い木の実です。

……異様な寒気を感じます。
皆さんご存じの通り、我々ヒンバスは美しさを極限まで高めることで進化します。
そのためには、ポケモンを美しくさせる青いポロック……渋い味のポロックが不可欠なのです。
でも……
434名無しさん、君に決めた!:2007/05/02(水) 20:43:49 ID:???
嫌いなのか
とすると性格は・・・
435432,433:2007/05/02(水) 23:20:45 ID:sBT/KN7P

でも、私、ダメなんです。
渋い味、大っ嫌いなんです。

わかってます。
食べなきゃいけないんです。
食べなきゃ進化できないんです。
進化できないヒンバスなんて価値がないんです。
カスなんです。クズなんです。
わかってます。よーくわかってます。

でも、でも、ダメなんです。
カゴの実の青色を見ただけで蕁麻疹が出来るんです。
あの味が口に広がることを想像しただけで、胃の奥が酸っぱくなるんです。
ダメなんです。どうしてもダメなんです。

それなのに。ああそれなのに。それなのに。
ご主人は私をミロカロスにしたいのです。
そのために私を捕まえたのです。
私を進化させるためだけに。

ミロカロスに進化する。
ヒンバスのアイデンティティーは、それだけなのです。
たったそれだけなのです。
なんてちっぽけな存在理由。

それでは、渋いポロックが食べられない私は何なのでしょう。
進化できないヒンバスとは何なのでしょう。
存在理由がないということでしょうか。
私は、ゼロということなのでしょうか。

436ジェリド ◆ZtZ4ZhK6JI :2007/05/02(水) 23:26:43 ID:/jcIYdBT
           ,r─-‐'"´ ̄\
         /     /  〉
       _/      //  〈
     /         /,r彡、 〈
     i    _/ヽ__,ィ⌒ヽ   〉
     |   / ,r'^) リ( r‐、 \/
     /    ! (/     \ )  i
     〈  ∩ |          |
     〉 | | |   O   O   !    
    /⌒ヽuリ    _人_    ,′  もうびっぱーふらを叩くのはやめるよ☆
    |  /,>、     ー'     /       
    l//:::::::.\__ __, イ 、   心機一転するために鳥も変えてみたよ☆
    l/:::::::::::/^!/ハ「^Y^ハ / /ヽ
     }:::::::::::/_l/__l| l ! l/_/:::::::|
    |::::::::/:::::::::::::::::\!//:::::::::::i:\
      \/::::::::::::::::::::::::l |:::::::::::::::::{:::/〉
       l::::::::「二7:::::::| |:::「二7:::!/ )
437名無しさん、君に決めた!:2007/05/03(木) 14:40:48 ID:???
このスレ神多いな・・・
俺もポケモン視点のヤツ書いてみようかな・・・
438名無しさん、君に決めた!:2007/05/03(木) 18:43:46 ID:???
sageで小説進行させるのが>>1の遺言ですぜ
439435:2007/05/03(木) 20:39:57 ID:???

ああ、ついにご主人が戻ってきました。
満面です、満面の笑顔です。
私を釣り上げた時と同じ、爽やかで薄ら寒い笑顔です。

ああ、でも、その手には握られています。
しっかりと握られています、ポロックケースが。
遠くから見てもわかります。全部青いポロックです。
せめて空色や黄緑なら良かったのに、直撃、直撃です。
他の味を混ぜようなんて気持ちはさらさらありません。

ああ、ああ、ご主人がポロックを取り出します。
水辺でもないのに私の身体は湿っています。冷や汗です。

ああ、ああ、私の口を開けさせます。
ポロックが。青くて渋いポロックが迫ってきます。
ああ、ポロックが、ポロックが……!!

440439:2007/05/03(木) 20:41:21 ID:???


こんにちは。
私、ミロカロスと申します。
ついさっきまでヒンバスだった、あのミロカロスです。
お陰さまで私、無事に進化することが出来ました。

喰わず嫌い、という言葉が人間にはあるそうですね。
どうやら私もその類だったようです。
ええ、やっぱり好き嫌いは良くないですね。
人生は何事も挑戦です、うふふふふ……。



……なんですか。
そんな目で見ないでください、ちょっと言ってみただけです。
ええ、ええ、その通りです。
ご覧の通り私はヒンバスです。

結局、私は進化できませんでした。
美しいミロカロスには、なれませんでした。

今、私は元いた滝の側に住んでいます。
進化できなかった私は、結局捨てられてしまいました。
人間の言葉なんてわからない私ですが、きっと酷い悪態をついていたことでしょう。

441437:2007/05/04(金) 12:36:32 ID:???
ここはズイタウンにある育て屋。
たくさんの人たちが往復するこの町に住む老夫婦が経営していました。
じいさん「のう、ばあさん。最近ポケモンが増えすぎてこまるんじゃが。」
ばあさん「トレーナーがいらない卵をおいていくからですよ」
じいさん「誰かもらってくれんかのう」
2人が悩んでいるのもしらずに育て屋のポケモン達は庭で遊んでいました。
パチリス『おーい、みんなで鬼ごっこやろうよー』
いつもみんなの中心にいるパチリスが声をかけるとみんな集まりました。
ミミロル『ねぇ、君たちはやらないの?」
イーブイ『うん、今はいいや』
イーブイは親友のフカマルと夢中で何か話していました。
フカマル『なぁ、この庭の外ってどうなってるのかな?」
イーブイ『この前ムクバードが言ってたけど、いろいろな街や森があってたくさんのポケモンが住んでるんだって」
フカマル『そーなんだ。行ってみたいなぁ・・・』
そんなポケモン達の様子を見ている少年がいました。
じいさん「君どうしたのかね?」
少年「いや、楽しそうだなって思って・・・」
少年は少し笑いながらいいました。
じいさん「君、手持ちは1匹だけのようじゃな。よかったらポケモンをもらってくれないかの」
少年「えっ?このポケモン達トレーナーはいないんですか?」
少年はマサルというトレーナーだった。今までずっとパートナー1匹で旅をしてきたので、もらえるのはうれしかった。
じいさん「さて、どれがいいかの」
マサル「あれ?見たことないポケモンだな」
じいさん「ああ、それはフカマルというポケモンじゃよ」
マサル「フカマルかぁ・・・よし、決めた!フカマルにします」
じいさん「そうか、ならこのイーブイも連れて行ってくれんかの。フカマルの親友なんじゃ」
マサル「はい、ありがとうございます!」
マサルはうれしそうにズイタウンを後にした。
442437:2007/05/04(金) 12:42:55 ID:???
いや、勢いで書いてしまったんだ
反省はしている
443437:2007/05/04(金) 16:50:13 ID:???
今気がついたけど途中から語りがおかしくなってるな
すまない、もう書かないから許してくれ
444名無しさん、君に決めた!:2007/05/04(金) 17:47:02 ID:???
デンジとアカギは同郷だと聞いて書いてみた。CPモノにしたつもりはない。
ギンガ団のビルの中での話。

「何してんだ」
不意に後方から声がした。この声は知っている。自分と同郷の、ヤツの声。
どうせ、ヤツに言ってもわかるはずがない。自分は孤独なのだ。
ゆっくりと振り返ると恐ろしい眼光を放ちながら自分を見ていた。
もともと目つきが悪いのに、怒っている、マイナスの感情を抱く時のやつの目ときたらちらと見ただけでも誰もが硬直してしまうと言えよう。
まぁ、自分は慣れてしまったのだが。

不覚にも自分は笑っていた。相手が必死に、底なし沼に堕ちゆく自分を諫めようとしているだろうに。
無駄なんだよ、お前にはわからない。私自身も止められない。親愛なるお前、もうお前の必死な思いにすら一笑に付すようなものになってしまったのだ。
「ユクシーたちを解放してやれよ」
だから言っているんだ、無意味だと。まぁよい、コイツらの役目はもう終わった。
「いいだろう、もうコイツらには用なしだ。」手にした赤い鎖を掲げる。

―何と楽しいのだろう、ヤツの表情が変わる!驚き、怒る!
自分の行為が人を、世界を変えるとはなんと楽しいことか!
「まさか、ユクシー、アグノム、そしてエムリットの頭の紅い玉をとってその鎖を作り出したのか・・・!」
「左様」
いいのだ、ある目的を達成するためには幾分かの犠牲が要る。
コイツらもその犠牲の一部だ。
「お前はもう、死んでしまえ、顔も見たくない」
「知ってるよ」

今は反省しています。
445名無しさん、君に決めた!:2007/05/04(金) 20:02:19 ID:???
>>443
気にせずつっこめ

>>444
ゴーゴー
446440:2007/05/04(金) 20:57:31 ID:PfWd38TW

過ぎてしまえばなんとやら。
初めから失うものなんて、私には何もなかったのです。
捨てられたところで、元通りの暮らしに戻っただけでした。
何か悪い夢を見ていた、そんな気がします。

私、やっと目が覚めました。
自分の生き方が、今になってやっとわかったような気がします。

嫌いなものを無理に食べさせられて、無理に進化して、それが何になるのでしょう。
笑われたって構わない、私は醜いヒンバスとして生きていきます。
カスだっていい。クズだっていい。
少なくとも、青いポロックに尻尾の先まで漬かって死にかけるより、私はずっと幸せです。


……あら?
何だか身体がムズムズしてきました。
変ですね。蕁麻疹でしょうか。
食べさせられた青いポロックは、全部吐き戻したはずなのですが。

ああ、眩暈がしてきました。目の前がぐるぐる回っています。
身体が天へ向かって伸びていく、そんな感じです。
私の周りで、いくつもの光が渦を巻いています。
優しくて温かくて、どこか懐かしい光に、私は飲み込まれていきました。

447441:2007/05/04(金) 21:08:31 ID:PfWd38TW


気が付くと私は、水の上に顔を出していました。
伸びた首筋に涼しい風を受けながら、私は晴れ渡った空を仰ぎました。

大嫌いだった青い色。青いカゴの実、渋い味。
それでも空は、そして私を映す水面の色は、とてもとても綺麗だったのです。



【ヒンバスのポロック漬け一瓶680円 完】


RS時代に書いたプロットを見つけたので、懐かしさを噛みしめつつ手直ししてみた。
さて、いかがなものか。
448437:2007/05/05(土) 10:27:50 ID:???
>>445
そういってもらえるとまた書きたくなるな。
ありがとう!もう一度書いてみるよ
449437:2007/05/05(土) 10:50:42 ID:???
〜ここからイーブイ視点〜

ボールから出られたと思ったら目の前に知らない人がいた。
この人は誰なんだ?ここはどこだ?さっきまで育て屋にいたはずなのに・・・
でも、そばにはフカマルもいた。それだけでまだ安心できた。
マサル「僕は今日から君たちと一緒に旅するマサル。よろしくね!」
マサル。この人と一緒に旅をする。いきなりそんな事をいわれてもわけがわからない。ところがフカマルはよろこんでいた。
フカマル『ねぇ、この人と一緒に旅が出来るんだって!どんな冒険ができるんだろう!』
フカマルはずっと夢見てた冒険ができると知って興奮していた。なんでそんなに喜べるんだろう。これから何があるかわからないのに。
マサル「それじゃあ、今日は仲良くなるなるために一緒に歩こうか」
フカマルは「ガウッ!!」と元気良く鳴いてついていった。
でもこの人、悪い人じゃなさそうだな・・・
マサル「ほら、イーブイ行くよー」
見るとマサルとフカマルは10m程さきにいた。
僕は急いでマサルの所まで走った。
450437:2007/05/05(土) 10:53:15 ID:???
今日これからバイトなのになにをやってるだ俺はOTL
451名無しさん、君に決めた!:2007/05/05(土) 19:52:11 ID:???
みんなおつまれさま
452名無しさん、君に決めた!:2007/05/08(火) 17:58:42 ID:???
保守
453名無しさん、君に決めた!:2007/05/08(火) 22:00:27 ID:???
……なぁ。 もの凄っっっく言いにくいんだが、突っ込みたいことがあるんだ。
つっこみ入れてもいいか? 物凄く根本的なことなんだが。
454名無しさん、君に決めた!:2007/05/08(火) 23:47:28 ID:???
ドゾー
455名無しさん、君に決めた!:2007/05/10(木) 22:22:54 ID:???
じゃあ、言うぞ? 言うからな?

>>437の書いているもの。
ストーリー等は別として、この形式
(A「○○○○」
 B「××、×〜」)
は小説とは言わない。シナリオ形式と呼ばれるものになる。

ただこの場合、もう少し括弧間にある描写を濃くして人物と情景をしっかり説明すれば、
括弧の前にある名前を省いても問題は無いだろう。
456名無しさん、君に決めた!:2007/05/11(金) 02:14:52 ID:???
何という基本。
じゃあ俺もつい最近聞きかじった小説のルール的なものを書いてみる。

文の頭は一文字分開ける。『「』で始まる場合等、一部除く。

俺はポケモンマスター

 俺はポケモンマスター
「俺はポケモンマスター」

「…」「―」は二つ。「・・・」や「・・・」は使わない。

 ―俺は…ポケモンマスター

 ――俺は……ポケモンマスター


「!」や「?」の後は一文字分開ける。

 ――俺は……!ポケモンマスター

 ――俺は……! ポケモンマスター

聞きかじっただけだから間違った所もあるかも。
457名無しさん、君に決めた!:2007/05/11(金) 23:36:11 ID:???
>>456
原稿用紙では「文の頭」ではなく「段落の頭」を一文字下げる。
ネット上では違うかもしれないが…;
458名無しさん、君に決めた!:2007/05/12(土) 03:19:29 ID:???
保守
459名無しさん、君に決めた!:2007/05/12(土) 13:32:55 ID:???
そういえば獣姦小説ってどうなったん?
スレがあるなら誘導してほしいんだが
460名無しさん、君に決めた!:2007/05/15(火) 00:11:03 ID:???
pinkにでも建てれば?
461名無しさん、君に決めた!:2007/05/17(木) 01:02:17 ID:???
」 ←これの前に 。 を書いちゃいけないとか聞いたけど実際どうなの?
例「ポケモンゲットだぜ。」
462名無しさん、君に決めた!:2007/05/17(木) 01:28:53 ID:???
例がすげえやる気ねえなwww
463名無しさん、君に決めた!:2007/05/17(木) 13:28:47 ID:???
>>461
どっちでもいいが、無い方が好ましい
464名無しさん、君に決めた!:2007/05/17(木) 15:05:26 ID:???
>>461
無いのは漫画の影響。昔からの文学では有って当然。
今のネット時代なら好きな様にしれ。
465名無しさん、君に決めた!:2007/05/17(木) 15:28:29 ID:???
最近、『」』の前に『。』が付いてると何かもやもやした気持ちになるんだよなー
付けないのに慣れてしまったからかね
466名無しさん、君に決めた!:2007/05/17(木) 22:41:04 ID:???
昔 →あるのが普通


純文学   →無きゃ失格と言っても過言じゃ無いかも?
大衆文学  →あったほうが良い?
エンタメ系 →無くても問題ないかも?
(ラノベ)   →むしろ無いのが普通?
467名無しさん、君に決めた!:2007/05/18(金) 00:17:04 ID:???
>>48はもう消えてしまったのだろうか。
続き見たいんだけど。
46848 ◆8z/U87HgHc :2007/05/18(金) 22:18:13 ID:???
簡単に言うとスレが立てられなくて。
まあそんな焦る必要も無いだろうからノンビリ
立てられるようになるまで待ってるって段階ですね。
469名無しさん、君に決めた!:2007/05/18(金) 22:44:11 ID:???
正直、個スレはオススメしないんだぜ
潰れた書き手を三人ほど知ってる
470名無しさん、君に決めた!:2007/05/19(土) 00:19:15 ID:???
個人スレだと空気読めない香具師が出てくるからな
471名無しさん、君に決めた!:2007/05/19(土) 00:38:18 ID:???
つい最近実質潰れた個スレがあるな。このスレにもURL乗ってるが。
472名無しさん、君に決めた!:2007/05/19(土) 06:19:26 ID:???
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/poke/1173525726/l50
おそらく>>471が言っている個スレ。
473名無しさん、君に決めた!:2007/05/19(土) 14:23:18 ID:???
早く書けとか急かしてくる奴のウザさは異常
書く気なくなる
474名無しさん、君に決めた!:2007/05/19(土) 19:31:26 ID:???
>>472
その小説好きだったのに、
空気読めない厨房が沸いて続きが書かれなくなったもんな…
475名無しさん、君に決めた!:2007/05/20(日) 00:40:13 ID:???
落ちるぞおい
476名無しさん、君に決めた!:2007/05/20(日) 01:30:34 ID:???
>>475
別に獣姦小説ないしどうでもいいよ^^
477名無しさん、君に決めた!:2007/05/20(日) 02:46:14 ID:???
>>476
獣姦……

@.人語話すポケモン♀と純愛セクロス系
A.人語話すポケモン♀をレイプ系
B.上記@Aのポケモンの性別が♂の場合
C.人語話すポケモン♀に人間がレイプされる系
D.Cとポケモンの性別が逆のパターン

E.擬人化的要素皆無のポケモン♀と純愛セクロス系
F.擬人化的要素皆無のポケモン♀をレイプ系
G.上記EFの擬人化的要素皆無のポケモンの性別が♂
H.上記Fと逆で擬人化的要素皆無のポケモン♂にレイプされる系
I.Hと擬人化的要素皆無のポケモンの性別が逆

>>476が@Eに近い趣向なら、とりあえずポケ板内にスレがあるから、書き手が現れるまで待ってみるのも良いかもしれん

A〜D、F〜Iならpinkの方が確実だ
478名無しさん、君に決めた!:2007/05/20(日) 13:02:26 ID:???
>>477
@Eみつからん・・・
479名無しさん、君に決めた!:2007/05/20(日) 13:55:01 ID:???
>>478

ソフトにポケモンエロ小説
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/poke/1178715211/

@Eならこのスレで良いと思う
ただし、エロの書き手がまだいない
480名無しさん、君に決めた!:2007/05/20(日) 14:10:23 ID:???
>>479
ありがとう。そこなら知ってるわ。
確か中身感動で、メッチャいい話のスレだった。
481名無しさん、君に決めた!:2007/05/21(月) 15:49:49 ID:???
>>477
以前「人視点」「ポケ視点」で書いてた人がいたんですよ。
でもそのスレ落ちちゃったんで続きはどうなのかなぁって。
まぁこれ以上はスレチになるんで俺は去りますわ
48248 ◆OgH260O1wg :2007/05/23(水) 01:30:44 ID:???
>>470
僕、書き込んでくれるだけで嬉しい人間なのでその点は大丈夫でーす。
483名無しさん、君に決めた!:2007/05/23(水) 01:32:43 ID:???
トリップ間違えたけど別にいーや。
484483:2007/05/23(水) 14:30:33 ID:???
以上自演でした^^
485名無しさん、君に決めた!:2007/05/23(水) 19:51:40 ID:???
暗血厨の予感
486名無しさん、君に決めた!:2007/05/23(水) 21:50:11 ID:???
こういう奴らが沸くから、個スレは本当にオススメできない・・・
487名無しさん、君に決めた!:2007/05/24(木) 01:28:14 ID:???
まあ立てたいなら立ててもいいと思うよ。
ポケモン大戦争スレのような末路を送ったなら送ったで仕方ない…
488名無しさん、君に決めた!:2007/05/24(木) 23:46:30 ID:???
>>479のリンクのスレ、誰かが削除依頼出してしまったらしい。
今見に行ったらそんな感じの事が書いてあった。
489名無しさん、君に決めた!:2007/05/25(金) 06:45:10 ID:???
どっちみちあのスレの寿命は短かったんじゃないか?
エロはポケモン板じゃ疎まれるからな
490名無しさん、君に決めた!:2007/05/26(土) 12:45:28 ID:???
糞スレ晒しage
491名無しさん、君に決めた!:2007/05/27(日) 23:29:43 ID:???
誰も書かなくなっちゃったね
流れを変える新作に期待
49214 ◆ZJhJWPMmBc :2007/05/27(日) 23:49:52 ID:???
お久しぶりです。放置してしまってすいません……
最近色々と忙しくて全然書けませんでした
期待してくださってる方がいるかどうかは知りませんが、
今週中には続き投下したいと思っています
493491:2007/05/29(火) 02:13:34 ID:???
>>492
自分のペースでいいので頑張ってください!
でもやっぱりwktkしてたり…w

俺もみんなが驚くの書くか!
494名無しさん、君に決めた!:2007/05/29(火) 18:16:26 ID:???
オレモマッテルゼ
495名無しさん、君に決めた!:2007/05/30(水) 00:45:16 ID:???
ソフトエロスレとマルチになるが、こっちにも投下。
飢えてる奴読め!
http://pksp.jp/mihota/novel.cgi?&o=1
496名無しさん、君に決めた!:2007/05/30(水) 01:36:22 ID:???
荒らし目的?
497名無しさん、君に決めた!:2007/05/30(水) 03:18:13 ID:???
むしろ自虐的な自演に見える
他所にも貼ってるし……
498名無しさん、君に決めた!:2007/05/30(水) 13:08:57 ID:???
飢えてる奴に駄菓子をすすめても嬉しがらないと思うよ
499名無しさん、君に決めた!:2007/05/30(水) 18:38:56 ID:???
>>498
謝れ! 駄菓子に謝れ!

こんなもん食いもんじゃねぇ
500名無しさん、君に決めた!:2007/05/30(水) 21:11:52 ID:???
「物凄く腹が減ってる時ってさ……カステラ食いたくなる事ない?」

「……何言ってんですか? 早くしないとラーメン伸びますよ」

 テーブルの上に置かれた、質素なインスタントラーメンに箸を付けつつ、少女は呆れた目つきを男に向ける
幼い容姿ながら、薄く汗ばんだ顔に髪が張り付き、白いブラウスに浮かぶ身体の影が、そこはかとない色気を醸しだしている
 男はそんな少女に目もくれず、目の前に置かれたインスタントラーメンを手に取りながら、再びくだらない言葉を吐き出した

「ラーメンが伸びる理由って、知ってるか?」

 口元に持って行ったラーメンを止め、少女は男の目を見つめる

「……あの、食べたくないなら食べなくても良いですよ?」

「ごめんなさい、すぐ頂かせて戴きます」

そんな2人のやり取りを、ハガネールが窓の外から見つめていた
501500:2007/06/01(金) 15:08:18 ID:???
   ;ヾ、,.、,、.、rツ ッッシ、:':' r':' _,、-'゙_,  や 公 帰 そ
 ,、,、,ミッン、,._        _,、-'゙_,、-'゙.   っ 園. り ん
 、ィッ ,:、 ゙''ゞ=ミ、~.: _,、-'゙_,、-'゙  __,  て の 道 な
 }; ヾ ゙' {!li;:,. _,、-'゙_,、-'゙ _,、-'゙,::|_|  来  ト に わ
 ゞァ''゙ぐ _,、-'゙_,、-'゙ _,、-'゙,、-''" .|_   た イ  あ け
 ,ヘ:'_,、-'゙_,、-'゙..::「┴_,エ ┴  ''"_|_|  の. レ る で
  └i'゙-ニ,ニエ,.:|ニ「 _エ ┴  ''"_|_   だ に
    |エ | ニエ, |ニ「 _エ ┴  __.|_|_
    |エ | ニエ, |ニ「 _エ ┴ 「fj.||__|__| _|
    |エ | ニエ, |[8] _エ ┴ └‐_|_|__l__,|⊥ |__
    |エ | ニエ, |二 _.エ 二.._ |__|__| _|_|_
    |エ | ニエ, |┴ _.エ 二.._ |_|__l__,|⊥ |__|
    |エ | ニエ, |工 _.エ 二.._ |__|__| _|_|_
    |エ | ニエ, |工 _.エ 二.._ |_|__l__,|⊥ |__
  -,-=''┷━━|┬ニエ ┬--  .|__|__| _|_|_
   ''ーニ_''ー::、_ ゙┷ 工_二'‐-、,_|_|__l__,|⊥ |__
  二二二`''ーニ`_''ー-、_¨''━、L|__|__| _|_|_
  二二二二二二二`''ーニ_''ー 、_       |⊥ |__
502名無しさん、君に決めた!:2007/06/04(月) 01:08:47 ID:???
期待あげ
503500:2007/06/04(月) 01:13:21 ID:???
>>502
ハァ?続きなんてないよ?
ゴメンねカス君^^
504名無しさん、君に決めた!:2007/06/04(月) 03:13:21 ID:???
>>503
せめて何に期待してるのか確認してから叩け

あと名前欄に500とか入れるな紛らわしい
505名無しさん、君に決めた!:2007/06/04(月) 19:20:09 ID:???
小説書く側にも読む側にも我慢が必要になりそうだな
506名無しさん、君に決めた!:2007/06/04(月) 19:50:17 ID:???
>>502は、ただこのスレの発展に期待してただけじゃね?
>>503に期待してたわけじゃないだろう。どうだねカス君^^
507名無しさん、君に決めた!:2007/06/04(月) 20:32:34 ID:???
よくわからん流れだな
508名無しさん、君に決めた!:2007/06/04(月) 21:14:51 ID:???
分からん。小説ですらないし
509名無しさん、君に決めた!:2007/06/04(月) 22:01:18 ID:???
スルーしとけ
>>505が言ってる通り我慢だ我慢
510名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 18:56:32 ID:???
書いていい?
511名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 18:59:08 ID:???
どうぞ どうぞ
512510 ◆fhucAQZjdo :2007/06/05(火) 19:03:34 ID:???

1日1日が意味もなく過ぎていく

そんな日常に飽きた少年シュンは
昔からのパートナー マッスグマを連れて 竜の滝つぼへと向かう

―ところで じいちゃんは竜の滝つぼで あの竜を見たという。
だがそんなことは嘘だとシュンは思っていた。

なぜなら竜は希少価値の高いドラゴンタイプのポケモンだから…
そしてドラゴンタイプのポケモンは許可を取らないと所持してはいけないポケモンだから…

許可は 竜の信頼があつい 保護のため…などの条件どれか1つをクリアしなければいけない
その上バトルしてもいいのは 竜の信頼があつい をクリアした時のみ
このような厳重な保護をうけている竜などそうそう見ることはできないのだ

シュンの本来の目的は滝つぼで泳ぐこと 暑くなってきたこのごろでは最高の
スポットだった。 だが人はあまりいない。 それはシュンの町は大して人のいない
田舎だったから そしてそこへ行くための道と 竜の滝つぼがのっている地図がないから

     シュンはじいちゃんに連れられてここを知ったのだ ここでなら思う存分泳げる。
513510 ◆fhucAQZjdo :2007/06/05(火) 19:07:21 ID:???
テッカニンがうるさい中 10分近くあるいて―やっと ついた―
モンスターボールからマッスグマをだした そして

「泳ぐか! あの岩まで競争だ!」
軽くうなずくマッスグマと一緒に澄んだ水に飛び込んだ。

両者待ったく引けをとらない いい勝負だ。
流れの速いところを避けて泳ぐシュンに対し マッスグマはその本能に従い直線で進む 岩を乗り越え
流されながらも……

そして

勝ったのはシュン これはいつものことだった。
息を荒げながらシュンは思い出を振り返った。
―ジグザグマのときはジグザグに来るから簡単に勝てたなぁ…―
そしてマッスグマもゴール 負けているのは気にしていないようだ

「マッスグマ 後は適当に泳ごうか」
またしてもマッスグマは軽くうなずいた。 少し潜ってみると色々な水タイプのポケモンがいた。

コイキングが群れている。 ギャラドスが底のほうでアズマオウと戦っている。
ミズゴロウが巣を作っている。 ヘイガニがハサミの大きさを比べている……

シュンはこうしたものを見るのが好きだった。
色々なことをすると 1時間   そして2時間 時間が飛ぶように過ぎてゆく
顔を上げたら マッスグマがうれしそうに 野生のハスボーと遊んでいた。

「おーい!マッスグマ そろそろあがろう!」
するとマッスグマが直線でこっちに来る シュンはそれを見て思わず笑ってしまった。

「マッスグマ お前面白いな」
首を傾げるマッスグマが面白くてまた笑う。
514510 ◆fhucAQZjdo :2007/06/05(火) 19:09:08 ID:???
滝つぼからあがり 着替えていると

「? あれなんだ?」
よく見ると100メートルくらい離れたところで草むらが大きく揺れていた。

「マッスグマ!早くいくぞ!急げ」
急いで草むらに行くとムッとする臭いが立ち込めていた。 
とりあえず草を掻き分けると…

クサイハナが…何だろう シュンには分からない謎の長いポケモンを虐めていた
無抵抗のそのポケモンにクサイハナは容赦なく毒の粉やギガドレインを浴びせていた。

確かポケモンは瀕死つまり相手が戦えない状態になったら バトルをやめるはずだ
しかしクサイハナはもう動いていない瀕死状態のそのポケモンに攻撃をしていた。

「おい!やめろよ!こいつ何もしてないじゃないか!」
思わずクサイハナに叫ぶと クサイハナはこちらを睨んでから
また虐めを再開した…
「マッスグマ!こいつを助けてあげるんだ!」
515510 ◆fhucAQZjdo :2007/06/05(火) 19:10:59 ID:???
マッスグマの きりさく がクサイハナの急所に当たった。 
そして思い切りクサイハナは木に頭をぶつけた…クサイハナの標的はこちらに移った。

クサイハナの おまじない 急所が隠れた。

マッスグマの おんがえし  激しい攻撃でクサイハナは倒れた

起き上がったクサイハナの ようかいえき  マッスグマに強い酸性の液体が降り注ぐ
苦痛に歪むマッスグマの顔 マッスグマのHPが危ない
「頑張れ!ずつき!」

マッスグマの ずつきが当たった!
そしてクサイハナは倒れ 森の向こうに去っていった…

謎のポケモンに元気のかけらを使う
するとそのポケモンは弱弱しく起き上がった。 その目には涙が溜まっていた。

そして自らの鱗をとってこっちに差し出した…
「これもらっていいの?」
大きくそのポケモンはうなずいた。

そしてすぐにそのポケモンは 竜の滝つぼへ戻っていった。

「マッスグマ…あいつ何かしってる?」
答えは いいえ だと分かっていたがそれでも聞いてみた。
やはりマッスグマは首を横に振った。

「…帰ろうか マッスグマ…」
疑問を残しながら 僕とマッスグマは
帰り道を歩いた。
516510 ◆fhucAQZjdo :2007/06/05(火) 19:13:50 ID:???
家に帰ってからじいちゃんにこの鱗は何か聞いてみた
「じいちゃん この鱗何の鱗か分かる?」
軽く輝く青い鱗 それをじいちゃんに渡した。

「……ごめんよシュン じいちゃんにもわからない」
じいちゃん1000回以上 竜の滝つぼへ行ったはず…
そのじいちゃんにも分からないポケモンがいたのだ

そんなポケモンを見たと分かると思わずシュンの心は弾んだ。

「シュン…もしかしてこれは…竜かも知れんぞ?」

「え?竜? その割りに小さかったけど…」

「いや…竜だ」

そんな会話に耳を傾けていたマッスグマは思い切りあくびをした。
「マッスグマ眠いのか?」
そう聞いたときには マッスグマは眠っていた。

「じいちゃん 俺今日はもう寝るよ いろいろあって疲れた」

「ああ シュン おやすみ…」
517510 ◆fhucAQZjdo :2007/06/05(火) 19:18:30 ID:???
数年後の朝
マッスグマが目を覚ますと
ポケモンフーズ が皿に山盛りだった。




改行規制に引っかかった
518510 ◆fhucAQZjdo :2007/06/05(火) 19:20:04 ID:???
シャカシャカシャカシャカ…
シュンの歯ブラシの音が聞こえてくる。
今日は何かが違う いつも起きるのが遅いシュンが早い。
そう思いながら マッスグマは 若かった頃より柔らかくなったフーズに口を付けた。

「マッスグマ。今日は久しぶりに 大きい町にいくからな」
高校生になったシュンがマッスグマに そういう

思えばマッスグマがシュンと出会って10年。
今となっては クサイハナと謎のポケモンの出来事もずいぶん前のこと
いい思い出だった。

「マッスグマも もうじいちゃんだな…」
いたわるようにシュンがマッスグマに言う
首をかしげるマッスグマの毛には 白い毛が多くなっていた

「今日も遊んで 思い出作ろうな」
そう言って 空になった皿を台所に持っていくシュン

その後姿はとてもたくましく力強くなっていた。

「いってきまーす!」
そういってシュンはマッスグマと出かけた。

519510 ◆fhucAQZjdo :2007/06/05(火) 19:21:43 ID:???
2時間電車に揺られて その町についた。大きなビルが立ち並ぶ町。2人はふれあい広場に行った。

数時間ふれあい広場で遊び 運動した。
もちろんマッスグマは直線で走る。その動きは少し鈍っていた。
それでも彼の動きには生きる力があった。

町を歩いていると
町外れの一角に Rのマークのついた二人組みが ニャルマーやブニャットを
手持ちのポケモンで虐めていた。 この特徴的な服
TVでよく問題にされているロケット団だった。
520名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:23:35 ID:???
つっまんねー
センス無さ杉
糞 ポケ板の害

どうぞ、名無しで反撃してください
自演じゃなそうな自演で反撃ドゾー
521名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:24:14 ID:???
>>520
貴方からお願いします。
522510 ◆fhucAQZjdo :2007/06/05(火) 19:27:45 ID:???
「お前らやめろよ!ゲットするなら早くボールを投げろよ!」
シュンは思わず叫んでいた。

「うるせぇ!この糞ガキ!黙ってろ! ゲンガーあいつに催眠術!」
人間に対する攻撃技は 法律で禁止されている。 だがやつらはロケット団だ
そんなことをやつ等は気になどしない

シュンは眠らされた。ボールに入った 老いたマッスグマを連れて

…………

シュンの目が開く 腕と足が拘束されていて動けない
「起きたか?坊主」

うなずくシュンにロケット団員は言った。
「お前大人の事情に首を突っ込むなよ。金になるんだよやつ等は!」

TVで放送されていたとうりの事をしている。…無言でそう思っていた。
「返事しろよ…オイ!殺すぞ!」
そう言ってナイフをシュンの首に押し当てた。

「やってみろよ。どうせ出来ないだろ…」
そう言ったシュンの首に数滴の赤い液体が流れた。

「ッ…!!」
想像以上の痛みがシュンを襲った。

そしてシュンを守るためにマッスグマはボールから出た
シュンのために力を振り絞りそのロケット団員の服を切り裂いた
523名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:28:27 ID:???
>>521
うわ、マジで反撃してきたwwww
自演乙^^;
524名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:29:27 ID:???
>>531
>>521の者だが何故ageてる作者なのに反撃がsageでやる必要がある?
既にあがっているのと同然だしsageでやる必要もない。

というわけで決め付け厨乙
525510 ◆fhucAQZjdo :2007/06/05(火) 19:30:11 ID:???
「痛ぇなこの 糞ポケ!」
そう言って 懐から 黒く重い物を取り出し
威嚇しているマッスグマにそれを向けた。

      ダーーーーーーーーン!!!!!!!
鈍い銃声が響いた。

赤い血が噴出し あたりが真っ赤になった。
傷口は…    頭にあった。
煙のにおいが鼻をつく

「マッスグマァァァァ !!!」
シュンはそう叫んでいた。 ピクリとも動かないマッスグマのために。
もう その声を マッスグマは聞けない… 頭では分かっていた。 だが叫んでいた。
今までの思い出が頭をよぎる

とうさんのキノガッサを借りて捕まえたこと 噛まれたこと 初めてふれあい広場に行った事。
進化したこと 一緒に 戦ったこと 泳いだこと そして…あのクサイハナの事件

このロケット団を潰したい。壊滅させたい。痛めつけてやりたい。
その思いを偶然ポケットに入っていた あの鱗にぶつけた。そして強く願った。

すると…

何か 何かは分からないが何かが来てくれる……
そんな感じがした。前にも感じたことのある懐かしい感じ…シュンにはそれが思い出せなかった。

526名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:32:59 ID:???
>>524
???????????????????????????????????????????????????????????

あと、メ欄なら、変えればいい事だと思う

通りすがりですが、自演醜いので、
というわけで決め付け厨乙
527名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:33:54 ID:???
通りすがりとか言って工作している>>520晒しあげ
528名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:35:16 ID:???
>>524
日本語でおk

というわけで決め付け厨乙

決め付け厨が決め付け厨なんて言える立場にあるのか^^;
529名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:35:44 ID:???
晒しあげ
530名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:36:05 ID:???
名無しで工作している>>510晒しあげ
531名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:37:05 ID:???
一言で言います
>>510自演乙

いとわろし
532名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:37:18 ID:???
自分から小説もまともに書けない人が糞って言うべきじゃないよね^^
俺はじゃあ書いてみてと言っただけですがね^^^^^
533510 ◆fhucAQZjdo :2007/06/05(火) 19:37:24 ID:tZYzYieJ
一回書くので休憩


実際自分でセンスは無いと思っているけど
自己満足だから 終わるまでやりたい
534名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:38:13 ID:???
>>533
535名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:39:54 ID:???
>>532
釣れた釣れた
馬鹿は釣り易くて困る
反撃期待wktk

536510 ◆fhucAQZjdo :2007/06/05(火) 19:40:28 ID:???
>>532>>533の時間で気づいてほしいけど
投稿の規制されずに書くのは無理


僕に味方してる方がID晒して
自作自演じゃないと証明してくれるとうれしい
強制じゃないけど。
537名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:40:45 ID:???
自演対決乙
538名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:41:43 ID:MkFBHj/+
>>536
携帯とか言い始める嫉妬名無しがいるようで
だけどID晒し
539名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:41:52 ID:???
自演対決終了
540名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:42:46 ID:???
携帯乙
541名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:44:17 ID:???
嫉妬ってwwwwwwちょwwwwwwwwwwサーセンwwwwwwwwwwww
たかが小説で糞でも良でも嫉妬なんざしねーよwwwwwwwwwww
普通だしwwwwwwwwwwwwwww
自演乙wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
携帯乙wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
542名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:45:57 ID:???
>>520は一体どういう気持ちで>>520を書いたのでしょうか…
543名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:47:22 ID:KizW0xWq
>>541
何がしたいの?
544名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:47:24 ID:???
>>542
じえのつ
545名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 19:48:10 ID:???
過量のw
前触れ無しの釣り宣言
ID出ない板での自演認定
〇〇乙連発

この四つがいっぺんに揃うスレは珍しい。まさに真性の巣窟。
546名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 20:06:13 ID:???
厨房必死だな
547510 ◆fhucAQZjdo :2007/06/05(火) 20:06:23 ID:???
「何だよ!あれは こっちに突っ込んでくる!」
団員がそう叫んだ。

 ドーーーーーン!!!!!

ものすごい衝撃とともに黄色い何かが突っ込んできた。
……これは……もしかして……社会の授業でやった……

カイリュー?

……いや、まさか。
カイリューは希少価値がものすごく高い竜のはずだ
第一こんな町中にくる必要と理由がないじゃないか。

でも…このカイリューあったことがある気がする。
どこだっけ? 


思い出した……もしかしてあの時の 謎のポケモン?でもなんで来たんだろう……
鱗のおかげ?   そう思ったところで僕は現実に戻された。

カイリューがこっちにきて… 

カイリューの アクアテール! 僕の拘束は外れた。やっと僕は自由になった。

カイリューが僕を見ている。いや、僕の鱗を見ていた。
548名無しさん、君に決めた!:2007/06/05(火) 20:10:23 ID:???
>>541
涙目になりながら必死に反論する厨房……………を演じた高度な釣りと見た
549名無しさん、君に決めた!:2007/06/06(水) 13:36:08 ID:???
バレバレ自演厨晒しage
550名無しさん、君に決めた!:2007/06/06(水) 17:01:09 ID:???
荒れ杉
551名無しさん、君に決めた!:2007/06/07(木) 18:23:09 ID:???
昔は荒れてなかったのになぁ・・・
残念だ
552名無しさん、君に決めた!:2007/06/07(木) 19:30:04 ID:???
そんなに前から、このスレあるの?
553名無しさん、君に決めた!:2007/06/07(木) 21:22:38 ID:???
今日でちょうど三ヶ月目だな
55414 ◆ZJhJWPMmBc :2007/06/09(土) 23:08:59 ID:???
何だか凄く過疎っていますが……
今から>>414の続きを投下しますね。

いろいろあって遅れてしまいました。申し訳ない。
さらに(いつも以上に)やっつけ感が否めない……orz
55514 ◆ZJhJWPMmBc :2007/06/09(土) 23:10:38 ID:???
デジャビュ【名|(フランス語)deja-vu】 一度も経験したことがないのに、
すでにどこかで経験したことがあるように感じること。(Yahoo辞書より抜粋)

  “気絶→倒れこむ→救出される”
  の流れを短時間で二度も味わった俺、もしかしてラッキーなんじゃ!?

「って、デジャブじゃねー!実際倒れたんだよ!!」

『え!?ど、どしたの?』

「あっ、いや……何でも……」

何か考え込んでいるうちに、知らず知らず声が出てしまっていたようだ。
頭の中がどうかしてしまっている。思考回路がいつも以上に壊れているのかも……。

あ、そうそう。
俺は気絶した後、再び森を通った人に助けられた。そして今はヨスガシティの自宅にいる。
一日に二回も気絶したのは初めてだ。いや、気絶したのすら初めてかもしれない。
うーん、やっぱり自宅は心が落ち着く。見慣れている風景だが、だからこそ感じるものがあるのだ。
研究所で徹夜をしていると、自宅のあたたかさ、そしてありがたみが良く分かる。

ただ一つ、見慣れて無いものがあるというなら、それは確実にコイツだ。

『ふーん……変なの。ねぇクラム!そんなことより何かして遊ぼうよー』

俺の思考回路破壊要員、“緑色”だ。
55614 ◆ZJhJWPMmBc :2007/06/09(土) 23:11:28 ID:???
「……あのさあ、一つ聞いていいか?」

俺はずっと……といっても3時間くらいだろうか。気になっていたことを聞いてみることにした。
『何?』と、俺の頭の中だけで緑色の声がする。
他から見れば、俺が言っている事はただの独り言だ。外出するときは気をつけなくちゃなぁ。

「まず1つ、お前は何者なんだ?」

『えー、言ったでしょ、オレはリーフィアのリーブだって。もう忘れちゃったの?』

「――……。」

どうも絡みにくい。別に忘れたわけじゃなく、もっと詳しい事を聞きたかったんだが……
もっと具体的な質問じゃないと駄目らしい。
俺は小さいソファから立ち上がり、冷蔵庫に向かいながら言う。

「……じゃあ、お前は何でそこにいるんだ?」

『オレがここにいるわけ?
 ……うーん、“夢を叶えたかったから”とでも言っておく』

緑色は少し考えてからそう言った。

「夢?」

『そ。オレさ、人間になりたかったんだよね。
 だから某機械を使ってここへ入り込んだってワケ。』
55714 ◆ZJhJWPMmBc :2007/06/09(土) 23:12:45 ID:???
理由としては妥当だろうか。
……いや、俺の感性が既に可笑しくなっていて、妥当と感じるだけなのだろうか。
キンキンに冷えたアクエ○アスを冷蔵庫から出し、少しだけ口に流し込む。

「ふーん……そっか」

『あれ?もっと聞いてくれないの?』

緑色はときたま構ってくれとばかりに俺に話しかけてくるが、俺は基本的に無視している。
頭の中でギャーギャー騒がれると五月蝿くて仕方が無いのだが、
この3時間の間に慣れてしまったらしい。人間は恐ろしいものだ。

「ああ。悪いか?」

『意地悪……』

しかし頭の中とはいえ、泣かれると困るので適度に相手をしないといけない。
まるで子守のようだ。俺はこんなことやった事無いのに……

『ところでさ、クラム』

俺がそろそろ寝ようかと思い出したころ、再び頭の中からお呼びがかかった。
558名無しさん、君に決めた!:2007/06/09(土) 23:13:20 ID:???
支援
55914 ◆ZJhJWPMmBc :2007/06/09(土) 23:13:45 ID:???
「何だ?もう寝たいんだが」

俺は腰に手を当ててダルそうに聞く。いや、実際ダルい。

『オレは一応クラムのポケモンだから、ボールから出せるんだよね。
 ちょっとボール投げてみて?』

俺は手持ちポケモンというものは持っていない。
研究時に必要があれば課長からポケモンの貸し出しがあるため、特に困らなかったのだ。
子どものころも特にポケモンに憧れなかった。

だから今、自分の中にポケモンがいるという状況が理解できないのかもしれない。
初めて持ったポケモンが頭の中にいるだ何て、どこの誰が信じようか。

「ボール?
 ……ああ、これか。」

俺は言われたとおりにズボンに手を当てると、いつの間にかボールがセットされていた。
俺はアクエ○アスを机の上に置き、変わりにボールを持ってみる。
とりあえずトレーナーがやっているように真ん中のボタンを押し、投げてみた。

「ほいっと」

すると、まばゆい光とともにボールが開き、
頭の中にいた“緑色”が消えて目からの視覚情報として体に入り込んだ。
56014 ◆ZJhJWPMmBc :2007/06/09(土) 23:14:30 ID:???
『いやー、やっぱ外は気持ちいいねー!』

「……!?
 お前、ポケモンなのに喋れるのか?」

出てきた緑色の声は、耳からの聴覚情報として入り込む。
頭の中にいたときはテレパシーか何かと思っていたが、コイツは外へ出ても日本語を話している。
ポケモンといえば独特の鳴き声を持つものだったはずだが……?

『うん!でも、この声はクラムにしか聞こえないよ。
 他の人にはリーフィアが鳴いているように聞こえてるはずだから』

「へぇー……」

『……どうかした?』

「いや。」

今の俺には、ポケモンという“モノ”を持った喜びというのか、
ポケモン持った事に対しての責任感が全くと言っていいほどなかった。
なんなら今ここで逃がしてやってもいい。それくらいのことも考えていた。

……それなのに、何故だろうか。自分でも分からない何かが、俺をひき止めていた。
目の前にいる緑色の“物体”が、何故だか尊い存在に見えた。
56114 ◆ZJhJWPMmBc :2007/06/09(土) 23:16:11 ID:???
短すぎだろ!って言われそうですけどこれで今回は終わりです……
うーん。時間がかかりすぎてスレ書きには向いて無いかも。

でも書いちゃった以上はきっちり終わらせたいので、
これからもまったりペースになると思いますが暖かい目でお願いします。
562名無しさん、君に決めた!:2007/06/09(土) 23:18:24 ID:???
乙、がんがれ
563名無しさん、君に決めた!:2007/06/10(日) 13:58:00 ID:???
ポケ×ポケのエロ書けや!
564名無しさん、君に決めた!:2007/06/10(日) 17:57:28 ID:???
>>561

やんわりと待ってるよ
がんがれ
565名無しさん、君に決めた!:2007/06/10(日) 19:11:35 ID:???
応援してるよー
566名無しさん、君に決めた!:2007/06/11(月) 13:13:21 ID:???
>>563
ピンク板逝ってこい阿呆

良スレ保守
567名無しさん、君に決めた!:2007/06/16(土) 12:34:30 ID:???
保守
568名無しさん、君に決めた!:2007/06/16(土) 23:25:14 ID:???
ソフトに〜スレ、停止
569シロナの旅立ち:2007/06/17(日) 09:03:57 ID:???
『シロナの旅立ち』

カンナギシティ、長老の家、一人の少女が難しい本を何十冊も並べて読んでいた。
「うーん、どれにも乗ってない。」
そう言って彼女は掌に乗せてあるボールを見る。
モンスターボール。そしてその中に入っているポケットモンスター、通称ポケモンを見て彼女は頭を抱える。

カンナギシティは、歴史ある街といわれているため、長老の家には無数の本が置いてあった。
だが、そのポケモンは、どの資料を探しても存在しなかった。
本を片付けてから悩み続ける。
「シロナ、見つからんか?」
長老である母がそう言って、声をかけてきた。
「うん、全然」
「困ったのう、何と言うポケモンじゃろうなあ……」
始まりは、シロナがポケモンを拾ってきた事から始まった。
簡単にボールに入った事から、野生のポケモンと言う事はわかった。
だがそのポケモンは何というポケモンなのか、何処に住んでいて、
どのような物を食べているのか。
鮫に似た体に短い手足。外見がわかっても何を食べさせたら良いのかわからない。
「ねえ、貴方はなんて名前なの?何故ここにいるの?」

結構狭い所なのでシロナが謎のポケモンを手に入れたことはすぐにシティ全てに伝わった。
村人達は色々な推測をするが、結局答えが出ることは無い。
そんな時、ポケモン用の道具を運んできた人物が面白い話を言った。
「ちょっと、ズイのジムリーダーに聞いた話なんだが…、ポケモン図鑑ってのを作った奴がいるそうなんだ」
「ポケモン図鑑??」
「ああ、出会ったポケモンの情報を自動的に書き込んでいくハイテクな図鑑なんだが…それを使えばそいつの正体がわかるかもしれないな」
店員の言葉にシロナは興味を持った。
「ねえ、その図鑑って何処にあるの?」
「さあ……何でもまたぎきだからさ、詳しい事はわからないな」
店員はそう言って首をすくめた。
570シロナの旅立ち:2007/06/17(日) 09:05:45 ID:???
その夜、シロナは夜空を見ていた。
「ポケモン図鑑………」
この子の正体がわかるかもしれない。そうでなくても作ったのは、ポケモン学の凄い人らしい。だったらこの子について聞いてみるのも悪くないだろう。
「よし決めた!私、旅に出る!」
シロナはそう心に決めると、急いで旅支度を開始した。貯めていたお小遣いを集めて、母さんに決意を伝えに行く。

「旅に出る?」
シロナの母は、シロナの言葉に驚愕した。
「うん、この子について知りたいんだ。この子がなんてポケモンで、何処に住んでるのか知りたいの」
そう言って、シロナはモンスターボールを取り出す。
「それだったら、その子の事ってケチケチせずに、
 このシンオウ全てを回ってみると良い。そして色んなポケモンと出会って色んなポケモンについて調べてみてはどうだい?」
そう言ってシロナの母はがさごそと何かを取り出した。
空のモンスターボールとバッグ、そしてスケッチブックだ。
「大事に使うんだよ」
「はい!!」
こうして、シロナの旅は始まりを告げた。

彼女がチャンピオンになる事を、まだ誰も知らない。

                     完
571名無しさん、君に決めた!:2007/06/19(火) 22:10:24 ID:???

草葉の陰で応援してるから、がんがれよ
572名無しさん、君に決めた!:2007/06/21(木) 16:20:57 ID:???
アブソル×イーブイを書いてしまった
573名無しさん、君に決めた!:2007/06/21(木) 16:32:38 ID:???
>>572
これはいいカップリング
是非うpしてくれ
574名無しさん、君に決めた!:2007/06/21(木) 16:42:56 ID:???
まだ途中

てか、こんな良い流れのところにエロなんて置いていいのか?
575名無しさん、君に決めた!:2007/06/21(木) 17:19:50 ID:???
>>1見る限り問題無さそうだけど
576名無しさん、君に決めた!:2007/06/21(木) 19:53:30 ID:???
レッツゴーゴー
577名無しさん、君に決めた!:2007/06/21(木) 21:32:50 ID:???
おいおいここは健全板だろ…
578名無しさん、君に決めた!:2007/06/24(日) 09:32:16 ID:???
>>571
思いっきり『完』と書かれているんだが。
579名無しさん、君に決めた!:2007/06/26(火) 03:00:53 ID:???
>>577
>>1の4行目
580名無しさん、君に決めた!:2007/06/27(水) 00:07:39 ID:???
2chのルールでいくとダウトなわけですが
つーかエロ小説スレはスレッド停止食らったしな
581名無しさん、君に決めた!:2007/06/27(水) 00:12:47 ID:???
あそこは仕様がないだろ……
スレタイがアウトだもん

結局、最初の人も戻って来なかったしな
582名無しさん、君に決めた!:2007/06/27(水) 19:14:37 ID:oUYQ9IG6
サーナイトかミロカロス(♀)が自分をゲットしにきたトレーナーをメロメロにして逆にトレーナーをゲットする話キボン
583◇GOPPERFLA:2007/06/27(水) 19:47:06 ID:???
       /⌒ヽ
⊂二二二( $μ$)二⊃
      |   /       ゴッパーサンブーン
      ( ヽノ
      ノ>ノ
  三   レレ

58414 ◆ZJhJWPMmBc :2007/06/27(水) 21:10:11 ID:???
こんばんは、忘れ去られた14です。
今更ですが>>560の続きを投下したいと思います。

あぁ、時間が欲しい……
58514 ◆ZJhJWPMmBc :2007/06/27(水) 21:12:17 ID:???
「ポケモントーナメント?」

朝10時を回ったころ。開いた週刊誌を床に置き、そのページを俺に見せながら緑色は言う。
その瞳はキラキラと輝き、俺を見つめてくる。

俺は目を逸らしてから本を手に取り、記載されている小さい文字を読んでみた。
――使用ポケモンは1体の特別ルール、パートナーとの絆が試される!

「……で?」

『もう、とぼけちゃってー。ね!それ参加しようよ!』

緑色が言い終わるか終わらないかのうちに、俺は「嫌だ」と即答した。
帰ってきた返事は俺の予想通り、『えー、何でー!?』だった。
ここまで予想できた自分が少し怖い。もしかしたら俺エスパーなんじゃね?
と、くだらない冗談を頭へ浮かべつつ、目の前でだだをこねている緑色の説得を始めることにした。

「俺はそういうのは出たくないの。第一仕事はどうするんだよ」

『大丈夫大丈夫!さっきカレンダー見たけど、仕事なら休みの日だったもん!』

「いつ見たんだよカレンダー……。
 仕事が休みでも俺のプライドというか、何かそんな感じのものが許さないから駄目だ」

『えー!?優勝商品は“ちかつうろで発掘されたこんごうだまとしらたま”なんだよ?』
58614 ◆ZJhJWPMmBc :2007/06/27(水) 21:13:50 ID:???
「……申し込み用紙はどれだ?」

見事に説得させられてしまった。

気がつくと俺は申し込み用紙にボールペンで書き込み、2枚あった50円切手を1枚ちぎってハガキに貼り、
できたてほやほやの紙を、速攻でヨスガのポストに投函していた。
あの緑色が満面の笑みでガッツポーズしていた所を想像すると、悔しくて仕方が無い。
軽い殺意まで湧いてくる自分の心でさえなぜか憎たらしい。
だが、しらたまとこんごうだまは歴史的価値が非常に高い代物だ。俺が食いつかないはずが無い。
緑色はそれを分かって俺を見事に釣り上げたのだろうか……。

いや、ぶっちゃけ今はそんなことどうでもいい。
優勝――いや、優勝商品へ向けての特訓が始まった。


「よし、リーフブレード!」

『ていやーっ!!』

さわやかな日差し、鮮やかなグリーンの芝生、清らかに流れる水。
芝生と同色の緑の尻尾が、標的である大き目の岩を真っ二つに切り裂く。相当な威力のようだ。
俺はバトルなんてしたこと無いが、4つの技を駆使して相手をダウンさせた方が勝ち、
今回のルールでは使えるポケモンは1体のみ、ということくらいは分かる。
コイツなら優勝も狙えるかもしれない!と思うのは高飛車だろうか。
58714 ◆ZJhJWPMmBc :2007/06/27(水) 21:14:51 ID:???
「続いてでんこうせっか!」

『おりゃーっ!』

今までからは想像もつかないほど速いスピードで岩にアタックする緑色。
俺はこんなスピードも出せたのか、と感心しながらそのさまを見ていた。
緑色は俺のもとへ戻り、座りながら前足で汗を拭っている。

『軽い軽い!』

「……お前、意外とバトルできるんだな」

『当たり前だよ!そうじゃなけりゃ応募させないって。』

使役の形になっているのがどうもひっかかるが、気にせず続ける事にした。
他にもシザークロスやつるぎのまいも使えるらしい。

再び、コイツとなら優勝できそうな気がする、という感情が現れた。
と同時に、何か心に引っかかるものができていた。
それが何かは分からない。だが、コイツといると何かが俺を抑制するのだ……。
今は目の前の目標へと突っ走る為、あまり気にしないで練習を続けていたのだが。
58814 ◆ZJhJWPMmBc :2007/06/27(水) 21:16:22 ID:???
昼前から始まったこの特訓だったが、気がつけば太陽は頭の真上できらきらと輝いている。
腕時計をチラリと見ると、もう午後2時前だった。
そうえいば練習に夢中で昼食も食べていない。何故気がついた途端に腹が減ってくるのだろうか。
人間の恐ろしさを体感しながら、俺は昼食を取ろうと試みる。

「ふー、そろそろ休憩しないか?」

『そうだねー、オレお腹すいちゃっ……』

刹那。緑色の動きが全てとまった。
まるで、何者かに時を止められてしまったかのように。
俺は異変を感じ、小走りで緑色のところへと向かう。

「おい、どうしたん……」

俺が傍まで駆け寄り、言おうとしていた事を全て言い終える前。
緑色の遥か後方に、全速力で駆けていく何かを見た。
ほぼ同時に、足元でバタリと音がする。
首を下にかしげると、そこにあったのは緑と赤の鮮やかなコントラスト。

「……リ、リーブ!?」

今まで練習していた静かな209番道路。俺の叫び声だけが、木々にこだましていた。
58914 ◆ZJhJWPMmBc :2007/06/27(水) 21:17:07 ID:???
「どうやら何者かに攻撃されたようですね」

「……攻撃を?」

ポケモンセンターの人……ああ、ジョーイさん。
ジョーイさんは緑色の体をすりすりとさすりながら言う。
そして「ええ、まずは治療しますね」とだけ言って、俺を外へ追い出した。
俺と入れ替わりで、ラッキーが救急箱のようなものを持って中へ入っていった。

俺は外から窓ガラス越しに、治療の一部を観察していたが……
緑色はずっと、とても苦しそうな表情を浮かべていた。
いや。苦しいに違いない。大きさが背中の半分もあるキズ……痛くないはずが無い。

俺はあの後ヨスガシティへ急いで戻り、ポケモンセンターへと駆け込んだ。
最初見たときは目を疑った。緑色の背中に大きなキズ、そしてそこから溢れんばかりに流れ出る血液。
とりあえず持っていたタオルでキズ口を覆って運んだのだが、それでもタオルが赤色に染まるだけだった。

何者かに攻撃されたのだろうとジョーイさんは言っていたが……
そんな事をするのは誰なのだろうか。見当もつかない。
しいていうなら、緑色の後ろを全速力で走っていった奴だろうが……。
そいつが何者なのか、全く人物像が浮かんでこない。

どちらにせよ、あれだけの大きなキズを背負ってバトルなどできるはずが無い。
しらたまもこんごうだまも諦めるしかないか、と肩を落とす。
が、今はそんな事より、アイツの無事を最優先して祈っていた。
59014 ◆ZJhJWPMmBc :2007/06/27(水) 21:18:52 ID:???
椅子に座り、気がつくと両手を合わせ「どうか無事でありますように」と呟いていた。
自分がここまでするのが正直言って怖い。これも「トレーナー」だからなのだろうか。
俺は「トレーナー」になったから、こういう感情が芽生えたのだろうか……。

あれやこれや考えているうちに、治療室からジョーイさんが顔だけ出し、俺に合図を送った。
俺は椅子からすぐに立ち上がり、リーブがいる中へと向かった。



「人間とポケモンが一緒になれる……機械?」

「そう!タタラせいてつしょが極秘に開発している機械なんだって。
 なんでせいてつしょが作るのか良く分からないけど、とにかく凄いらしいよ!」

ふーん……人間と一緒になれる、ねぇ……
その機械があれば、もしかしたら……

「どしたの?」

「ううん。ねぇ、それって完成してるの?」

「いや、それはまだらしいよ。まぁ極秘開発だから、ゆっくり進めてるんじゃ……ってあれ!?」

完成しててもしてなくても関係ないよ!
俺はその機械が今すぐ必要なんだ、たぶん!いや、絶対に!!
タタラせいてつしょだよね、オッケー!電光石火で行くしかない!

「リーブ!?どこ行くのー!?」

「ちょっと、
 ……運命を変えに行ってくる!」
59114 ◆ZJhJWPMmBc :2007/06/27(水) 21:20:07 ID:???
今回はここまでです。
また続きがいつになるか分からないモノですが
どうか生暖かい目で宜しくお願いします。
592名無しさん、君に決めた!:2007/06/27(水) 23:42:24 ID:???
TFTF♪
593名無しさん、君に決めた!:2007/06/29(金) 03:29:24 ID:???
健全小説厨死ね糞共が
594名無しさん、君に決めた!:2007/06/29(金) 04:29:31 ID:???
全く最近の餓鬼はこれだから┐(´∀`)┌ヤレヤレ
595名無しさん、君に決めた!:2007/06/29(金) 19:44:30 ID:???
何でも厨をつければいいてもんじゃないだろリア厨
596名無しさん、君に決めた!:2007/06/30(土) 19:32:40 ID:???
アブソル×イーブイ完成したんだけど
やっぱエロは駄目っぽいな
専用スレ探すよ
597名無しさん、君に決めた!:2007/06/30(土) 23:33:28 ID:???
>>590
まだ〜?
598名無しさん、君に決めた!:2007/07/02(月) 16:08:45 ID:???
>>596
専用スレなんてないだろ
以前のが落ちたっきり
599名無しさん、君に決めた!:2007/07/02(月) 20:04:44 ID:???
>>598
以前の?
600名無しさん、君に決めた!:2007/07/03(火) 00:43:36 ID:???
面倒だから確認してないけど、ピンクはどうだっけかな?
まあ、あそこはお子様禁止だけど
601名無しさん、君に決めた!:2007/07/04(水) 18:11:12 ID:???
やっぱりここはKYでエロを書くべきだろ
602601:2007/07/04(水) 18:12:12 ID:???
今思い出したけど、ポケモン獣姦小説に現れた神は何処へいった
603名無しさん、君に決めた!:2007/07/04(水) 22:51:05 ID:???
>>602
誰かが生贄になれば来る
604名無しさん、君に決めた!:2007/07/05(木) 04:04:48 ID:???
>>596
どっかうpろだに上げるとかは?
605名無しさん、君に決めた!:2007/07/05(木) 18:00:10 ID:???
>>603
あえてここはお前が生贄
そして言っておく
Ψ(゜д゜Ψ)神カモーーン
606名無しさん、君に決めた!:2007/07/06(金) 02:04:54 ID:???
>>605
あの神は、虐殺スレに君臨してたから
こういうスレには来ないかもしれんな
60714 ◆ZJhJWPMmBc :2007/07/07(土) 23:45:12 ID:???
こんばんは。
七夕ももうすぐ終わりですが、>>590の続きを投下します。
608名無しさん、君に決めた!:2007/07/07(土) 23:45:50 ID:???
おk、TFTF♪で待ってるよ
60914 ◆ZJhJWPMmBc :2007/07/07(土) 23:46:36 ID:???
「重症……なんですか」

俺が静かに声を出しても、ジョーイさんは全く口を開かない。
リーブを見つめ続けているだけだった。

「……ジョーイさん」

名前を読んでみても返事は無い。
俺はこのとき悟らなければならなかったのだろうか。
俺の中の何かが「諦めるな、信じるな」と呼びかけ続けてくれていたから、
あの湿った空気の中でずっといられたのかもしれない。


外を見る。雨が降りはじめていた。
俺の心は余計にどん底へと落ちてゆく。

「……この子は」

突然、ジョーイさんが雨の音に掻き消されそうな声で言う。
俺は少し驚きつつも、少し寄り添ってから耳を澄ませる。

「この子は……もうすぐポケモンじゃなくなるかもしれません」

その声が俺の思考回路を一瞬にして停止させた。
610名無しさん、君に決めた!:2007/07/07(土) 23:47:43 ID:???
え!逆?
61114 ◆ZJhJWPMmBc :2007/07/07(土) 23:48:01 ID:???





「それ……本当?」

「ああ。残念な事だけど……事実は事実なんだ」

オレの思考回路を一瞬にして止めさせやがった。
目の前にいるドーブル先生は真剣なまなざしでオレを見つめる。

「……君にはちょっと辛すぎるかもしれない。
 いきなりそんな事言われたら、動揺するのも分かっていたんだ。
 だけど、このまま放っておくことも出来ないから……許してくれ」

「いや、先生が悪いんじゃないですよ。気にしないで下さい」

笑顔は引き攣っていた事だろう。鏡を見せられたら自分で引いてしまうくらいに。
オレは椅子から立ち上がって部屋を後にした。外へ出ると、見習いラッキーさんがオレを励ましてくれた。


  励ましや同情なんていらないんだ。
  結局はみーんなオレのことを“可哀想なポケモン”だと思ってるんだ。みんなそうなんだ。
  オレの気持ちなんて絶対に誰にも分かってもらえないんだ……。
61214 ◆ZJhJWPMmBc :2007/07/07(土) 23:48:49 ID:???
帰り道、辺りはもう夜が更けていて暗い。
……いや、オレだけに暗く見えただけかもしれない。

そうそう、オレは野生だけど家みたいなものがある。
といっても、草むらの奥の空き地なんだけどね。
オレにとっては住み心地抜群だから気に入っているんだ。

「……ん?」

オレは右前足で何かを踏んづけた感触を覚え、足元を見てみた。
すると細長くて黄色の紙……ん、何か書いてあるなぁ。でも暗くて読めない……

「おい、お前」

突然、後ろから図太い声がした。
オレはとりあえず紙をそのまま放置して、後ろを振り返る。
街灯の明かりを煌々と控え、仁王立ちする――マニューラ?

「な、何?オレに何か用?」

オレは僅かな恐怖心からか、声が震えているのが分かった。

「おう。お前リーフィアだよな?アタイたちの組に入らないか?」

「組……?」
61314 ◆ZJhJWPMmBc :2007/07/07(土) 23:49:21 ID:???
「そうだ。大きな声では言えないんだがな……
 アタイたちの組は各地で悪さを働く、まぁ“悪の組織”って所だな。
 そういうものをやってんの。で、お前をそこへ入れてやると言ってるんだ。
 今ちょーうど草タイプの奴がほしくてさ」

……悪の組織?
馬鹿馬鹿しい。悪い事ばかりやって何が面白いんだか……。

って言いたかったのは山々なのだが、どうもプレッシャーのようなものを感じて
なかなか口に出す事が出来ない。
それに、このマニューラは見たところ凄く強そうだ。恐らくその組織の幹部クラスだろう。
そんな強いポケモンに反抗したら、オレ……

……いや。でもやっぱり、そんな組織に入りたくない!言うしかない……!

「……ぁの」

「ん?どうだ?入る気になったか?」

「……お……オコトワリシマス」

殆ど棒読みだった。でも、伝えたい事は伝えた。
こんな相手にとって失礼なことを言った後にされる事、それはただ一つ。


オレは全力で走った。
61414 ◆ZJhJWPMmBc :2007/07/07(土) 23:49:55 ID:???
「ハァ……ハァ……
 もう……大丈夫かな……」

あれから5分くらいだろうか。オレは無我夢中で走り続けた。
暗い夜道も救いとなり、なんとか逃げ切ることに成功した。
良かった……。逃げ切れなかったら、それこそ死を覚悟しなければならなかっただろう。

今のオレには早いか、遅いかの違いだけになってしまったのだが。


「……そういえば」

オレは何かをひらめいたように思わず声を出す。一人なのに、聞かれていたら恥ずかしい。

「あの黄色い紙はなんだったんだろう……」

脳裏によぎる、襲われる前の黄色くて何かが書いてあった紙。
それがずっと気になっていたのだ。人間の何かだろうか……色々想像してみたが、分からない。
何か分からないが心が惹かれるものがあった気がした、あの紙……。

「まぁいっか。今日はもう寝よう……」

分からない時は寝るに限る。それがオレのポリシーだった。
オレは寝床に着いたが、やはりその紙が頭から離れなかった。

空を見上げると、たくさんの星たちが一直線に並んで輝いていた。




61514 ◆ZJhJWPMmBc :2007/07/07(土) 23:50:28 ID:???
「ポケモンじゃなくなるって……どういう事ですか?」

「……その前に。この子、あなたのポケモンではありませんよね?」

ジョーイさんは険悪な目つきで、リーブを見ながら言う。
俺は何故それがわかったのか疑問に思いつつも「はい」と返事をする。

「色々と診断した結果がこちらです」

といって、ジョーイさんは俺にレントゲンやデータがたくさん載った紙を渡した。
専門的な部分がほとんどを占めていて、俺にはよく分からなかったが。

「……クラムさん。正直に、話していただけますか?
 この子との出会い、そして……生活などを。」

ジョーイさんはいつにもまして真剣な眼差しで要求した。
その要求は俺がはじめて他人に晒すことであり、ずっと秘密にしてきた事でもあった。
あっさり俺とリーブの事を話してしまうのはやはり気が引けたが……今は仕方が無い。

俺はゆっくりと、そして確実に、ジョーイさんに全てを伝えた。
話している間、幾度と無く顔辺りに雨漏りがあった気がしたが……気のせいだったのだろうか。
61614 ◆ZJhJWPMmBc :2007/07/07(土) 23:51:51 ID:???
最後の方展開が早くて死ねる……

一応続きます。よい七夕をお過ごし下さい
617名無しさん、君に決めた!:2007/07/09(月) 19:06:52 ID:fPSQLZ2v
つまんねー、つまんねー!
あー、つまんねーー!!
長すぎるし。読む気すら失せる。
618名無しさん、君に決めた!:2007/07/09(月) 19:26:44 ID:xstTjtMe
画像を使った小説サイト
暇つぶしにはなるだろw
ttp://tryhost.net/~farway/
619名無しさん、君に決めた!:2007/07/09(月) 19:29:39 ID:???
620名無しさん、君に決めた!:2007/07/09(月) 20:34:38 ID:???
>>617
最悪だな、お前。
621名無しさん、君に決めた!:2007/07/09(月) 20:50:29 ID:sLsDQJI8
>>619うおっ!なかなか面白いww
622名無しさん、君に決めた!:2007/07/09(月) 22:08:06 ID:UeXRg/ka
619 ホントに面白い
623名無しさん、君に決めた!:2007/07/10(火) 12:14:09 ID:???
>>605
「ポケモン獣姦小説」のスレにて、ウインディの小説を書いた者ですが
続きでも書きますか?
624名無しさん、君に決めた!:2007/07/10(火) 16:02:45 ID:???
>>623
ま、まさかとは思うが
あの神かっ!?!?
625sage:2007/07/10(火) 18:01:51 ID:/jUrBHKQ
>>623
期待しております。
626名無しさん、君に決めた!:2007/07/10(火) 20:34:11 ID:???
>>619
続きを
627名無しさん、君に決めた!:2007/07/10(火) 22:58:59 ID:???
これ普通におもろいw
628623:2007/07/11(水) 12:16:45 ID:???
>>625
ありがとうございますw

えっと、まず確認させていただきますが…

今日も、優璃菜は俺をバトルで使ってくれた。
そのことが、たまらなく嬉しかった。
俺は、優璃菜のためにもっと強くなりたい。
その思いが通じたのか、苦手なタイプとも普通に戦えるようになった。
「手持ちがウインディだけでもいいくらいだねっw」
え、俺だけ?だったら、二人っきりになれるってことか?
優璃菜、その上目遣いで笑顔になるっての、反則。
理性を、コントロールできなくなるからな。
「早く帰ろうか」
あ、待ってくれ!…そうだ、振り返った瞬間にキスを…!
そう思いついた俺は、優璃菜を呼び止め、キスをした。
「褒められて嬉しかったのね」
違う…そうじゃないよ。
もう駄目だ。抑えられそうにねぇ。
こうなったら、今夜、俺のキスの意味を教えてやる。

「じゃあ、おやすみw」
そう言って、自分の部屋に入る優璃菜。
おっと、そうはいかないぜ。
俺は優璃菜の部屋に入った。
「ん?どうしたの?」
ワン、と一声だけ鳴いて、優璃菜の上に跨った。

…まで書きましたよね?
次から続きを書いていきます。
629名無しさん、君に決めた!:2007/07/11(水) 15:12:48 ID:???
>>628

板を跨ぐんだから最初から書いたほうがいいんじゃないか。
630628:2007/07/11(水) 23:08:54 ID:???
>>629
あ、確かに…w
アドバイスありがとうございますw

私は今日、大切に育ててきたガーディを炎の石でウィンディに進化させた。
大きさは倍ほどになり、とてもかっこいいと思った。
「ウィンディ、これからもよろしくね!」
「ワン!」
ウィンディに進化してから能力も上がり、バトルで活躍する機会も多くなった。
コンテストでもあらゆる部門で優勝。こんなにも素晴らしいポケモンになってくれて、私は嬉しかった。
でも、私には一つだけ気になることがある。
それは、ウィンディが前に比べてよそよそしくなったこと。
前は一緒にお風呂に入っていたのに、最近では顔を真っ赤にして嫌がる…。
それに、寝るのも一緒じゃなくなった。
少し寂しいけど、ウィンディも大人になったのかな、ぐらいにしか思っていなかった。
631628:2007/07/11(水) 23:09:41 ID:???
ウィンディ視点から。

俺はウィンディ。初めてこの子にあったのは、俺がまだガーディだった頃。
「可愛い子だな…」と思って、自分からゲットされたんだ。
俺の見込みどおり、愛情をいっぱい注いでくれて、とても嬉しかった。
俺は今日この瞬間、ウィンディに進化したんだ。
身体が大きくなり、トレーナーを見下ろすようになった。
上目遣いで、「これからもよろしくね!」なんて優しい笑顔を浮かべるトレーナー。
俺は、ドキドキせずにいられなかった。
なぜかって?
俺は、この子が好きだからさ。
632631:2007/07/11(水) 23:13:47 ID:???
ある日、私はいつものようにバトルをしていた。
もちろん、ウインディを必ず使う。
ウインディは、相手が苦手なタイプだったとしても、互角に戦えるほど強くなった。
「ウインディは強いね!頼りになる〜」
「ワン!」
「手持ちがウインディだけでもいいくらいだねっw」
そう言って、私はにこっと笑った。
すると、ウインディの顔が真っ赤になった。
「え、どうしたの?」
「…」
「熱でもあるの?早く帰ろうか」
私はウインディに背を向けて歩き出した。
「ワン!」
「え?」
振り返ったその瞬間。私の唇に暖かいものが当たった。
え、これって…キス、だよね?
「ど、どうしたの!?なんで…」
「…ワン、ワンワン!!」
ウインディは尻尾を激しく振っている。
「あぁ、わかった。褒められて嬉しかったのね」
尻尾の動きが止まった。
「ウゥ…」
「え?違うの?それよりもう帰ろう。夕日が見えなくなってきたし」
ウインディのキスの意味が、私にはよくわからなかった。
かといって、そんなに気にはとめなかった。
今夜、まさかその意味を知ることになるとは…
633632:2007/07/11(水) 23:16:51 ID:???
そして、この後の続きが
>>628
になります。見づらくてすみません。
634名無しさん、君に決めた!:2007/07/13(金) 21:46:48 ID:???
>>623
あなたを…あなたの事をずっと待ってた甲斐がありました!
続き楽しみにしてます
635名無しさん、君に決めた!:2007/07/14(土) 21:25:19 ID:???
   『カワリモノ』
 
 その日もボクは憂鬱だった。
 大切にしていた日記を馬鹿にされて破いて棄てられたからだ。
 もし、ここが学校だったなら…ボクは先生に言いつけることができたろう。
 もし、帰る家があったなら…ボクは家族に愚痴をはけたろう。
 
 でも、ここは学校じゃない。帰る家も、ない。
 
 ボクは…『ロケット団員』だ。
 
 ボクはみんなみたいに強くもなければ夢もない。
 世の中に復讐したいわけでもない。
 なら、なぜボクがここにいるかというと、孤児だからだ。
 生まれた時からボクは、ロケット団になるために教育を受けてきた。
 ボク以外にもたくさん孤児はいた。
 でも、落ちこぼれはボクだけだ。
 ボクはみんなから、変わり者と言われからかわれた。
 今でも、いじめられ続けている。
 でも…ボクは独りじゃない。友達がいる。
 それは小さくて、頼りなくて、人の言葉は喋れないけど…
 大切な、一番大切な友達だ。
 
 もうすぐ、ボクは12歳になる。
 勿論、ホントの誕生日なんて知らないけど。
 大人として、ポケモンを持つことができる。
 だから、そうなったら紹介するんだ。
 ボクの・・・パートナーを。
 
                 続く
636635:2007/07/14(土) 21:27:36 ID:???
衝動に駆られて書いた。後悔はしていない。
637635:2007/07/15(日) 02:44:31 ID:???
誤爆orz
638635:2007/07/15(日) 18:30:57 ID:???
>>637
お前誰だぁーーーーーーっ!?(笑)
639635:2007/07/16(月) 03:06:14 ID:???
>>638
お前こそ誰だぁーーーーーーっ!?()笑
640名無しさん、君に決めた!:2007/07/16(月) 05:35:50 ID:1LmZcpqN
流れぶったぎって質問だが、ヒカリやらアカギが出て来て、ヒカリのライバルがクロゾウって名前の小説ってどこにあるか知ってる人いない?前読んでたんだけどどっか行っちゃってこのスレかと思ったら違うかった
641名無しさん、君に決めた!:2007/07/16(月) 19:03:52 ID:???
ここ見て久々に何か書こうと思ったよ!
救助隊の銀行ペルシアン(♀だと信じる)と主人公でエロ書きたいんだが、主人公をどのポケモンにしようか
おすすめとかあったらぜひ教えてくれ
642名無しさん、君に決めた!:2007/07/16(月) 19:08:57 ID:???
>>641
某氏の絵のカップリングだが、ヘルガーなんてどうだろう
643名無しさん、君に決めた!:2007/07/16(月) 22:06:44 ID:???

『多分、ポケモン界のニートはこんな感じ』

明日の見えない日々。
俺はいわゆるエリートトレーナーというやつだ。
そこいらのガキ共に負けたことはないし、
チャンピオンロードにだって行ったことがある。
でもダメだった。勝てなかった。
他のトレーナとの競争に負けたんだ。
他のやつらがとても大きく見えて、
自分がとても小さく見える。
チャンピオンロードは不思議な場所。
自分は所詮、ぬきん出た力も、運も、いいポケモンも持ってない。
エリートならば食うにも遊ぶにも困らない。
俺の実力があれば、金を持ってちょっと調子に乗ったやつくらい、
簡単に潰せるし、時折万単位で金も入ってくる。
馬鹿らしくて、チャンピオンロードなんて、
行ってらんねーよ。
でもな、今日だけは違った。
644643:2007/07/16(月) 22:15:47 ID:???
有り金全部かけろと抜かした、
まだ12,3歳の生意気なガキに、
コテンパンにされた。
服の内側には8つのバッチ。
この目立ちたがり屋さんめ。
かつての自分を思い出した。
金のことなど考えず、ただひたすらに、
チャンピオンの座を追いかけていた昔の自分を。
8つのバッチを集め、
意気揚々と、長く険しいチャンピオンロードに向かった自分を。
ただ恐かった。
また負けるのが恐かった。

新しいチャンピオンが誕生したと、
電話先で女が騒いでいる。
俺がテレビで見たチャンピオンが、
生意気なガキであったことは言うまでもない。

衝動的に書いた。後悔している。
この『後悔している』は、文章を『公開している』と、
かけているわけでございましてねえ、ええ。
・・・・ええ、後悔しています。
645名無しさん、君に決めた!:2007/07/16(月) 22:30:20 ID:UdsQHOeB
>>643
おまえ>>619の専属のライターになればいいんじゃね
646サトシ ◆Pap2A65YYQ :2007/07/17(火) 02:22:08 ID:???
某スレに書いた小説を再現するぜ!

現在のサトシが何故そこまでしてポケモンマスターを目指しているのか。それは19××年の夏、サトシがまだ幼稚園児だった頃、いつものように近所のシゲルと遊んでいた。楽しい時間は過ぎるのは早いものであっという間に夕方になってしまった。
「シゲルくん、明日も遊ぼうぜ」
「いいよ!また明日ね」

その後帰宅すると…
「サトシちゃん。お帰り…と言いたいところだけど隣町のトキワシティまで買い物してきてちょうだい。前にママと一緒に行ったことがあるからわかるよね?」
「OKママ、大丈夫だよ。何買ってこればいい?」
「このメモにある、牛肉、キャベツ、ミックスオレを買ってきてね」
「わかった〜じゃあママ行ってきます〜」
「慌てるんじゃないわよ〜」
元気に飛び出して行ったサトシだがこの後自分に起こる出来事を知るよしもなかった。
647サトシ ◆Pap2A65YYQ :2007/07/17(火) 02:24:48 ID:???
>>646の続き

サトシはママから貰ったメモを握りしめトキワシティの道のりを歩いている。もうすぐ日が沈むせいで辺りはだんだん暗くなるが夜はめったに歩いたことがないのでサトシにとってみれば珍しい光景である。眠るポッポ、餌を探すコラッタ、
少し道草をしながらも目的地に着き、直ぐさま近くのフレンドリーショップに入る。
「牛肉、キャベツ、ミックスオレください!」
「僕偉いね。まだ小さいのに一人で買い物なんて。じゃあお兄さんサービスしちゃうよ」
「ありがと〜」
買い物も終わったことだし帰ろう!と思った時、近くの草むらから何か音がした。何にでもすぐに興味を持つサトシはその草むらに近づいた。
「…何にもいないや」
と引き返そうとした瞬間、「ムギュッ」という音がした。
「?」
振り返った時、サトシの目の前に何かが飛び掛かってきた。
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
648サトシ ◆Pap2A65YYQ :2007/07/17(火) 02:26:40 ID:???
>>647続き

サトシはその物体からぎりぎりかわすことができ、暗闇の中で目を擦ってよくみてみると、ニドラン♂だった。
「なんだビックリしちゃったよ」
と言い、帰ろうとした。その時ニドラン♂が再び襲ってきた。眠っているときにいきなり起こされたからだろう。
しかしサトシはそんなことは考えずに走った。叫びながら、泣きながら。
だがそれが悪かった。ほかのポケモンまで起きてしまいサトシを目掛けて襲ってきた。さっきのニドランの比ではない。
サトシは走った。自分が今どこで何をしていたのかも忘れて。いろいろな道を通抜けてもう追い掛けて来ないだろうと思い後ろをみたら…。いた。
最初の時の何倍ものポケモンが。サトシは再び逃げようと前を見た瞬間、目の前に道がない。崖っぷちに立っていたのだ。
ポケモン達はゆっくりと近づいて来る。サトシはもうだめだ…と諦めかけていた。
649サトシ ◆Pap2A65YYQ :2007/07/17(火) 02:30:03 ID:???
>>648の続き

ギャァーーオーーー!!
何かの泣き声?と振り向いたら黒いローブを身にまとった男とサイドンが立っていた。
「つのでつく」
その男が命令するとサイドンは攻撃を始めた。サトシは知っていた。遠足で行ったサファリゾーンの説明でサイドンは素早さが低いことを。
だから攻撃をしても全部かわされてしまうだろうと思った。しかし、そのサイドンはその男が指差す方に目掛けて攻撃をしている。
その男が指を差してる方向はポケモン達とは逆の向きであった。サトシはなんでだろうと思った。その時砂煙りがまい上がりポケモン達は目に砂が入ったらしくその場に立ちすくんでいる。
「いまだ!みだれずき!」とその男は命令し、サイドンはそれに応じて向きをポケモンの方に変え攻撃を開始した。相手は辺りが分からずその場にいるので全員に命中した。サトシは驚きで立ったままだったがしばらくして、
「助けてくれてありがとう!」
とお礼を言ったがその男とサイドンはもういなかった。
サトシはこの時から、こんな人になりたい、こちらが不利でも的確な指示でバトルを征したいと思い初めた。
それから数年が過ぎ、サトシが10歳になる前日、
「そうさ。俺は全世界のポケモンに宣言する。最高のポケモントレーナー。いやポケモンマスター。そうとも。それは俺だ!」
これからサトシはいくつかの出会い、別れ、喜び、怒り、悲しみが待っているだろう。しかしどんなことがあろうかと絶対に諦めないと思う。ポケモン達や仲間達が支えてくれ、それ以上に目標となる物があるからだ!
650サトシ ◆Pap2A65YYQ :2007/07/17(火) 02:31:01 ID:???
俺の小説の感想待ってるぜ!
651名無しさん、君に決めた!:2007/07/17(火) 03:29:34 ID:???
サトシ^ω^
652633:2007/07/17(火) 04:23:41 ID:???
>>634
ありがとうございますw
只今、構想を練っておりますので、少しお待ち下さい。
653名無しさん、君に決めた!:2007/07/18(水) 03:27:10 ID:???
>>650
みだれ「づ」きな
それだけ
654突発ネタ:2007/07/18(水) 06:03:25 ID:???
今日ボクはゴシュジンに捨てられた
弱いからいらない、と言われた
強くならないならいらない、と言われた

蹴り飛ばされて空がグルッと回転してボクは水に落ちた

ボクはコイキングで最弱ポケモンなんて呼ばれてるけど、いつかはギャラドスになる
ギャラドスになれば技も覚えるし強くなれる
でもボクはギャラドスになんてなりたくなかった
ギャラドスは凶悪ポケモンだ
野山や村を焼き尽くしたと言われるほど恐ろしいポケモンだ
ボクはどんなに強くなれても、そんな恐ろしいポケモンにはなりたくなかった
ボクが一番恐ろしかったのは
もしギャラドスになったボクが、いかりに我を忘れてしまったら
ゴシュジンを傷つけてしまうかもしれないということだった
ゴシュジンを傷つけてしまうかもしれないくらいならギャラドスになんてなりたくなかった
けれどゴシュジンは弱いボクはいらない、と言う
強くないならいらない、と言う

ボクが強くなれば必要としてくれますか?

ギャラドスになればそばに居させてくれますか…?



水の中歪む空を見ながら、ボクの体は熱くなった

655突発ネタ:2007/07/18(水) 06:36:10 ID:???
気づくとボクはゴシュジンを見下ろしていた

ああ、ボクはギャラドスになったんだ
ボクは強くなったんだ
もう弱くない

これでそばに居させてくれますか?

もうボクを捨てないでくれますか?…

なぜ、後ずさりするのですか
なぜ、来るな、と叫ぶのですか
なぜ、お前なんか知らない、と叫ぶのですか
なぜ、
なぜ、
なぜ、
………

ボクはあなたの望み通り、強くなったのに

ボ ク は 目の ま エ が シ ろ ク


俺が気づいたときには視界すべて、一面火の海だった
激しく燃えさかる炎を美しいと思った
なぜか胸の奥の方が痛いような気がしたが、すぐに消えた

たぶんどうでもいいことなんだろう
656突発ネタ:2007/07/18(水) 06:41:08 ID:???
しゅーりょー でっす
結構自己満足だけど
考えつつ打つのは大変だった…
推考してないし
一度完成間際に全部消えたし
徹夜明けでテンションおかしいし
ケータイからは止めた方がいいかな?
でも反応があると嬉しい
657名無しさん、君に決めた!:2007/07/18(水) 12:13:31 ID:???
暫く見ないうちにクオリティ上がってんなチキショウw

ちょっと新作書いてくるわ
658名無しさん、君に決めた!:2007/07/18(水) 15:40:41 ID:odLuYMw2
>>654 なかなか面白い。もうちょい続いても…
659名無しさん、君に決めた!:2007/07/18(水) 23:18:04 ID:RTfIrrti
普段文章なんか書かない俺が稚拙な小説を晒してみる。スレの趣向と違ったらごめんなさい。


特に思うことも無く毎日を過ごしていた。
俺は幼い頃から育った土地を離れ、新しい土地へとやってきたが何も生活は変わらなかった。

周りの子供たちは友達同士で遊んだりしているが、
俺には関係が無かった。そんなことよりかは、自分の趣味の時間に費やす方が好きだからだ。
新しく引っ越した町には大きい研究所があり、俺は毎日のように、そこを見学していた。
別に、外で遊ぶのが嫌いじゃない、友達と遊ぶのだって嫌いじゃない。ただ、研究所の雰囲気が好きだっただけだ。
これは、何でかわからないが、俺が幼い頃からずっと持っている感情だった。

「今日も来てるのかね」
後ろから声がした。
「お邪魔でしたら失礼します」
「いや構わんよ。今日はワシもキミ用事があるしな」
そう俺に話しかけてきたのはこの研究所の責任者の博士だった。
この研究所ではポケットモンスター、通称ポケモンについて研究がされている。
博士は、それなりに高名らしく、どうやらそっちの世界では名が通っているらしい。
「用事とは」
「ウム、実はキミに渡したいものがあるのじゃよ」
博士が研究所の奥へと向かう。奥、と言ってもそんなに大きい建物じゃないが。
「そこの机の上にボールがあるじゃろ。今日はキミにそれをあげよう!」
机の上に目をやると、ボールが一個置いてあった。よく見るとモンスターボールだ。
中にポケモンが入っているのだろうか・・・?
「何故、俺にポケモンを?」
「いや、迷惑だったら申し訳ないが、君は毎日研究所に来ていてポケモンが好きじゃないかと思ったんじゃよ。
それに、手伝って欲しいことがあってな」
俺は別にポケモンを好きでも嫌いでもないのだが、特に否定はしなかった。
「手伝って欲しいこととは?」
「うむ、キミにはポケモンずかんを・・・・・・
660名無しさん、君に決めた!:2007/07/18(水) 23:19:10 ID:RTfIrrti
結局、博士からはポケモン図鑑というのを渡され、ポケモンを一匹渡された。
この図鑑を完成させて欲しい、と言われたが正直そんなことはどうだって良い。
単に、暇だった毎日から開放されてみるのも良いかなと思っただけだ。
そんなわけで、俺は渡された「ゼニガメ」というポケモンと共にポケモンを探す旅に出る約束をしてしまった。

「おぉ、それと最後に一つ」
「何でしょうか」
「道中、キミと同じ目的の子供と会うじゃろう。彼らと仲良くやってほしい。一人はワシの孫なんでな。」
「わかりました、オーキド博士」
「うむ、では頼んだぞ。ブルーくん!」
661名無しさん、君に決めた!:2007/07/23(月) 11:26:15 ID:???
保守
662名無しさん、君に決めた!:2007/07/23(月) 17:31:29 ID:yeC43k3Q
age
663652:2007/07/23(月) 20:33:15 ID:???
遅くなってすみませんでした。
ウインディの続きです。


「う…ウインディ、どうしたの!?」
俺は何も答えずに、ユリナの服の中に顔を突っ込んだ。
「やだ、やめてウインディ!」
ユリナは必死になって俺の顔をどかそうとしてくる。
力で俺に勝てると思っているのか。
俺はユリナのブラを口で上にずらし、顔をすりつけてみた。
「…ん…ぁっ…」
微かに漏れた甘い声。
もっとその声を聞きたいという衝動的な欲求が、俺の理性を完全に狂わせた。
今度は、舌先で弄んでやる。
「やぁ…ん…ぁぁ…」
ユリナの体がビクッと跳ね上がる。
完全に気を良くした俺は、もう片方を前足の先で転がした。
「ん…ゃ…やめてっ…ど…どうして…」
"それはもちろん 好きだからだよ"
と言ってやるかわりに、耳を舐め回した。
「ゃぁ…やめて…」
…やめてと言われて、ここでやめる奴があるか。
そろそろ、下の様子も伺ってみるか…
664名無しさん、君に決めた!:2007/07/24(火) 01:44:01 ID:???
wktk
665現実の日本とポケモン:2007/07/25(水) 23:28:55 ID:aam6scT3
現実世界とポケモン世界を合わせてみた。題名は決めてないw



 浪人生活はつらかった。タマムシ大学なんて夢のまた夢だと思っていた。
一浪はしたが、トモは見事第一志望のタマムシ大学に合格。
しかしトモに笑顔はなかった。

求人広告『ポケモンポリス・ポケモンと一緒に町を守ろう!優秀なトレーナー・大学生歓迎』
トモ「時給高えからこれかな」
 トモは安易な理由でポケモンポリスのアルバイトを選んだ。
若くて優秀なトレーナーなら誰でも資格がある仕事である。
トモはポケモンの種類、技、相性、性格等は全て把握している。だが彼はポケモンを持っていない。
幼稚園の頃から一緒にいるコダックは怠け癖があってポリスには向いてない。
ヨーギラスは拾ってきたポケモンなので言うことをなかなかきかない。
彼にはもう一つ重要なものが欠けていた。ジムリーダーバッジを1つも持っていないことだ。
求人には「ジムバッジを4つ以上持つ人に限ります」と書いてある。
 トモはタマムシ郊外に住んでいるが、一番近くのタマムシジムは女性専用ジムだ。入れたとしてもコダック一匹じゃ返り討ちだ。

トモ「とりあえずマサラに行って、オーキド博士に相談しよう」
トモは伊豆のマサラタウンにいるオーキド博士の元へ相談に行った。
オーキドとトモは遠い親戚である。オーキドの還暦のお祝いの時に1度会ったきり。
大学の入学式まで残り2ヶ月。ポケモンポリスによれば、365日求人をしているらしい。

オーキド「今日は3月1日。お前さんの実力でも3ヶ月以上はかかるかの?それに怠けるコダックに反抗的なヨーギラスだけではな・・・」
トモ「大丈夫です。必ず3ヶ月以内でバッジを集めて見せます。この2匹もちゃんと育てます。」
666665:2007/07/25(水) 23:40:06 ID:aam6scT3
オーキド「お前さん、何か隠し事しとらんか?」
トモ「・・・」
オーキド「普通の若者じゃったらわざわざ身の危険を冒してまでポケモンポリスに入りたいとは思わんじゃろ」
トモ「実は・・・」



オーキド「うむ、そういうことならワシも納得できる。全国図鑑を持っていけい。
ただし3ヶ月でバッジが一つも集まらなかったら返してもらうぞ。」
トモ「ありがとうございます、博士!」
そんなこんなで、トモは全国図鑑をもらった。だがポケモンは相変わらずコダックとヨーギラス。

トモ「だけど図鑑を作るヒマはないんだよなあ・・・でも水と岩地面じゃタマムシジムは制覇できないし・・・
いや、あのジムはそれ以前に男が入れるかどうかだ・・・」

従来のゲームとは違い、自転車を最初から持っているトモは2匹を育てながらニビシティに向かうことにした。

667名無しさん、君に決めた!:2007/07/27(金) 00:31:13 ID:???
重量オーバ?
668名無しさん、君に決めた!:2007/07/27(金) 02:16:24 ID:???
>>665-666
お呼びじゃないのよあなたはぁ〜あっは〜ん
669名無しさん、君に決めた!:2007/07/27(金) 03:48:15 ID:???
wktk
670名無しさん、君に決めた!:2007/07/27(金) 07:33:10 ID:???
>>668
そこまで言うなよ…
671名無しさん、君に決めた!:2007/07/28(土) 11:52:52 ID:???
 ポケモンの鳴き声、人の声が響き渡る暗い洞窟の中に、その男は居た。
目つきは鋭く、頬はこけ落ち、髪は逆立っている。
ーと、不意にその男が、ポケモン達に指示を出していたもう一人の男に、問いかけた。
「…何か…見つかったか?」
ゆっくりと、しかし相手を威圧するような重苦しい声だった。
問いかけられた男が即座に振り向き、直立不動の体制をとり、答えた。
「古代の生活用品が8点、古文書が2点見つかりましたが、未だに“あれ”に関する物は見つかっていません」
672671:2007/07/28(土) 12:40:32 ID:???
「そうか…まあ、そんなに早く見つかるとは期待していないがな…作業の手を
休めるな。何か見つかったらすぐ私に報告するんだ。分かったな…?」
「存じております…アカギ様。」
その答えを聞くと、“アカギ”と呼ばれた男はゆっくりと、洞窟から出て行った。
満月を少し過ぎたころの夜だった。洞窟の中から聞こえてくる音が、
いつまでも夜空に響いていた。
673671:2007/07/28(土) 13:30:42 ID:???
旅を続けるサトシ達は、次のポケモンコンテストに参加するべく、
その開催地である、“レストシティ”へと向かっていた。だが…
「はぁ〜…疲れたぁ〜…」
ヒカリがつい弱音を漏らす。無理もない、もうずっと長い上り坂を
上っていたのだから。
「頑張れヒカリ。きっと…きっともう少しで着くから…」
サトシが、自分自身も疲れているのをヒカリに悟られないようにしながら、
ヒカリを励ました。
「なあ、タケシ。後どの位で着くんだ?」
サトシが、旅の仲間であるタケシに問いかける。
「うーん…今どの位置に居るのか正確には分からないんだが…どうやら
もう上り坂は終わりみたいだ。」
確かにもう上り坂は終わろうとしている。
すると、サトシが小走りになり、坂の頂上に向かって行った。
ーどうやら坂を上りきったようだ。
「あれが…レストシティか…」
サトシがつぶやく。タケシとヒカリもすぐその後に続く。
その景色を見たヒカリは思わず、
「うわぁ〜…キレイな街!」
と、歓声を上げる。
 街の中央を澄んだ川が流れ、周囲は青い山々で囲まれている。さらに、
天気も良い事も手伝ってか、景観は最高だった。
「ここからは下りか。よーし…」
と言うが早いか、サトシは街の方向へと駆け出して行く。
「あっ、待ってよサトシ!」
ヒカリが続く。タケシも続く。三人は駆け出していった。レストシティへと。
674671:2007/07/28(土) 14:01:40 ID:???
 「申し訳御座いません。本日の分のエントリーは昨日終了しました。」
コンテスト会場に着いたヒカリは早速エントリーしようとしたのだが…
「ええーっ!?そんなぁ…」
「あちらに掲示してあります通り(そう言うと、壁に貼ってある
ポスターを示した。)その日のエントリーは前日までに済ませなければ
ならないのです。」
「…と、いうことは、私、もう参加出来ないんですか?」
ヒカリが悲しそうに言う。
「明日の分でしたらあなたも参加出来ます。どうなさいますか?」
その言葉を聞いて、ヒカリの顔がパッと輝いた。
「本当ですか!?ヤッター!是非お願いします!」

「ん〜!良かったぁー…」
安心し切ったヒカリが言った。
「良かったな。ヒカリ。」
サトシも言う。
「明日までまだ時間あるし…どうする?」
サトシがタケシとヒカリに問い掛ける。
三人は、ヒカリがエントリーを済ませた後、公園のベンチに座って話していた。
「うーん…何するって言ってもなぁ…ここには遺跡ぐらいしかないぞ?」
「遺跡?」
サトシとヒカリが同時に言った。
「うん。カトレア遺跡って言うんだけど、何分ここからは遠いんだよなぁ。
山を越えなければならないし、それに…森の中にあるから見つけ
られるかどうかも分からないし…」
「でもいいじゃん、行ってみようぜ!」
サトシが言う。ヒカリもそれに同調する。
「私も行ってみた〜い!」
「決まりだな…」
タケシが言ったその時、サトシは何か妙な感じがして、辺りを見回した。
周りの人々が、こちらを見つめていた。いや、そんなものではない。
睨み付けられていたのだ。
675671:2007/07/28(土) 14:24:15 ID:???
 タケシとヒカリもそれに気付いたようだ。場の空気が、ピンと張り詰めていた。
静寂を破ったのは、一人の老人だった。
「決まり…じゃと?」
またもや静寂。そしてー
「たわけ者がァー!あの遺跡は我々にとっては神聖なる場所!象徴であり、
命なのじゃ!それを…それを貴様等ヨソ者が汚そうなどということは…
断じて許さん!」
一息に言い終えた老人は、最後に
「いいか…ヨソ者よ…あの遺跡に近づいてはならんし、
遺跡の事を口にするのも許さん…分かったな…」
脅すような一言を付け加えると、その老人はゆっくりと去って行った。
サトシ達もいたたまれなくなり、その場を離れた。
痛い程の、視線を感じながら…
676671:2007/07/28(土) 14:59:03 ID:???
「…アカギ様。“あれ”が出土しました。」
古文書(ここで発掘された物だが)に目を通していたアカギが顔を上げる。
男の手に握られていた物は紛れもなくー
「おお…これが私の長年求めて来た物か…」
アカギが思わず立ち上がって言う。それを持って来た男がアカギに
手渡した。
妙な形をしている。何より表面がボコボコしているし、穴も空いている。
お世辞にも綺麗と言える代物ではないが、アカギにとってはこれが
大事な宝物らしい。
「作業をしていた下っ端達にはこの価値がいかほどの物なのか分かつて
いなかったようで…未だに古代の水差しか何かと思い込んでいるようです。」
「フ…まぁ、当然の事だろうな…これが何か知っているのはよほど
物事を“知って”いる者だけだからな…低俗な下っ端共などに分かるものか…
さあ!第2段階の開始だ!全員に指示を出せ!場所を移動するぞ!
677671:2007/07/28(土) 15:39:55 ID:???
サトシ達を茂みの中から6つの目が追っていた。男女が1人ずつとポケモン
1匹だ。男女の着ている服には大きな赤いRの文字。ロケット団−ポケモンを
使って悪事をはたらく極悪非道な集団だ。
「なーんかヤーな感じねぇ…」
赤い髪の女性が言った。
「今ノコノコ出て行ってもきっとヨソ者扱いされてしまうのニャー…」
ニャース ー人間の言葉を話せるようだー が言った。
「ほとぼりが冷めるまでここに隠れてりゃいい…おっ、もう散り始めたぞ?」
青い髪の男性が言った。人々はもうサトシ達の行った方を睨み付けては居なかった。
「今よ、コジロウ、ニャース、行くわよ!」
赤髪の女性が言うと、ニャースと、コジロウという名の男も茂みの中から
飛び出した。
幸運な事に、誰にも気づかれてはいないらしい。
 その3人(2人と1匹)は足早に公園を去って行った。
「なぁ、ムサシ?あいつらどこに向かってると思う?」
コジロウが尋ねた。
「あーら、そんなの決まってるじゃなーい…ポケモンセンターよ。」
赤髪の女性 ームサシというらしいー
が、答えた。
「奴らきっとショックで打ちのめされてるはず…その隙にピカチュウゲットよ!」
678671:2007/07/28(土) 15:58:30 ID:???
文章中の漢数字と常用数字が混じっていました。
これから常用数字に統一します。
679671:2007/07/28(土) 18:38:45 ID:???
 ムサシの言った事は間違ってはいなかった。
ポケモンセンターに到着したサトシ達は、憮然とした表情で、お互いに
一言も喋ろうとはしていなかった。
誰も悪く無いという事はお互い分かっていたが、それでも誰一人として話そ
うとはしなかったのだ。 ー怖かったのだ。何か言葉を発する事で疎外される事が。
普段は明るいムードメーカーのヒカリも、この時ばかりは押し黙って
いるしかなかった。
ー不意にー 何かが足りない と、サトシは感じた。一体何が?と考えている内に、
いつも寄り添ってくれている、大事なパートナーの事を思い出した。
だが、そこにパートナーの姿は無かった。
「…ピカチュウ?」
サトシの発した声にタケシとヒカリが反応した。
「ピカチュウが…いない?」
ヒカリが言う。
「ここに来た時にはいたはずなんだが…」
タケシも言う。
「一体…どこにー」
その時、外で笑い声がした。
部屋にいた全員が ー反射的にー
声のする方を向くと…
ロケット団がそこにいた。今まさに気球に乗って飛び立とうとしていた。
そしてその手にー
「ピカチュウ?」
ピカチュウは必死に抵抗していた。大事なパートナーがきっと来てくれる
と信じて。
サトシが部屋から飛び出し、上昇を始めた気球に何とかしがみつこうとした。
だがその指先は、虚しく空をかいただけであった。

ロケット団の蔑んだような笑い声が、サトシの頭の中でこだましていた。
「(どうする?ムクバードを使えば気球を落とせるかも知れない…だけど
ピカチュウもタダじゃ済まない…どうする?)」
680671:2007/07/28(土) 19:07:47 ID:???
 その時、タケシとヒカリがサトシの横を通り過ぎて行った。
2人共、全力で走っている。サトシのピカチュウを救うために。
「俺が…消極的になって…どうするんだ?」
強い気持ちが、湧き上がってきた。そして、サトシも全力で走り出した。
大事なパートナーを救うために。
 人を避け、車を避け、彼等は全力で走った。少なくとも、引き離されてはいない。
だが…
街のはずれまで来た時、ロケット団の気球は完全に山の陰に入ってしまい
姿を確認出来なくなってしまった。それでも3人は走りつづけた。
道無き道を、突き進みながら。
 もうどの位走っていたのか分からなくなった頃、視界が突然拓けた。そこで
3人は止まらざるを得なかった。目の前は、急斜面になっていた。
すりばち状の中に、ポツンと、何かが建っていた。その周囲にはー
「なんだよ…コレ…」
サトシがつぶやく。斜面の所々に大きな横穴が開いており、機械の破片など
のゴミが散乱していた。
「ここが、カトレア遺跡だ。」
タケシが言った。
中央の建物が遺跡らしかったが、こうもゴミが散らかっていると、到底
神聖な物とは思えない。
「もしかしたら、あの中に隠れてるんじゃないか?」
サトシが言う。あの中というのは、もちろん遺跡の事だ。
「可能性としては十分だな。」
タケシが答える。
「でも、あの気球がどこにも見当たらないけど…」
ヒカリが疑問をぶつける。
「空気を抜けば、十分小さくなる…行こう!」
サトシが、まず先陣を切った。
681名無しさん、君に決めた!:2007/07/31(火) 04:39:21 ID:aiA7OSqB
682名無しさん、君に決めた!:2007/07/31(火) 13:33:17 ID:???
>>681
??
683名無しさん、君に決めた!:2007/08/01(水) 03:18:47 ID:???
 目が覚めた時はもう朝だった。
最初は他のトレーナーと寝ることに嫌気が差していたポケモンセンターでの一夜ももう慣れたし
日によって変わる二段ベッドの上下と、マットレスの硬さに体が悲鳴を上げることもない。
今日だっていつもと大して変わりのない朝だったけど、その朝の私は、いつもと違って故郷の我が家を思い出していた。
 家の間取りと、私の部屋のベッドの寝心地。いつも抱きしめていたせいでくたびれてしまったピッピ人形のさわり心地。
そして、朝起きた瞬間の一階から漂う、お母さんが作る朝食の匂い。それぞれの思い出がとても懐かしい。
こんな風に朝を迎えるのは、きっと高鳴る緊張だけじゃなく、夢で何かを見たからに違いない。
 よくは覚えていないけど、この脳裏に残る優しい感触は、きっとお母さんの夢なのだろう。
いつも笑顔を振りまいていたお母さん。まるで昨日まで一緒にいたかのようにさえ感じるのだけど、お母さんと別れてからもう1年以上たっているんだ。
もうお母さんとも会えないんだな・・・そう思うと無性に悲しくなるけど、本当は会えないはずのお母さんに会えたんだ。
そう考えるだけで逆に嬉しくなってくる。
 今日はいいことあるかもしれない。いまだ残り続けるお母さんの面影を思い出しながら、窓から刺す清清しい朝日に向けて、大きく背伸びをした。

 シャワーを浴び、身なりを整えてからロビーに出ると、そこにはもう何人かのトレーナーが顔を出していた。
何人か顔見知りもいるみたいだけれど、わざわざ会いに行って話しかけるほどの中の人はいない。
 私はそのまま階段を下りて、カウンターへ向かった。
「おはよう。いい朝ね。」
 私に気が付いたジョーイさんが、いつものさわやかな笑顔でそう言った。
684名無しさん、君に決めた!:2007/08/01(水) 03:19:55 ID:???

最近はこのポケモンセンターでお世話になっていたから、お互い顔を見ただけですぐにだれだかわかる(といっても私の場合はどのジョーイさんかはわからないのだけど)。
「はい。昨日は天気が崩れてたからどうなるかなと思ってたけど、少し安心しました。」
 そういってジョーイさんに笑い返した。
ほんとにね。そういってるうちに、ジョーイさんの後ろからラッキーがテクテクと歩いて、トレイに乗ったモンスターボールを運んできた。
「ちょうど良かったわ。あなたのポケモンもさっき治療が終わったのよ。」
 ラッキーから渡されたトレイをカウンターにのせながら、ジョーイさんは嬉しそうに私にそれを差し出した。
「あなたのポケモンはすっかり元気になりましたよ」
そういってにっこりと笑うジョーイさん。これをみると、また自分の旅が始まるんだなっていつも思う。
 だから私も、これからの旅に負けないようになるべく大きく、元気の良い声で言った。
「いつもありがとうございます!」

 外に出て、私はすぐモンスターボールを投げた。ぽんという小さな破裂音がすると、オレンジの光と共に、姿がかたちどられていく。
ふわっとした鬣に、オレンジと白の縞模様。りりしい顔立ちのほほに付いた黒いラインの私のパートナー。
「おはようウインディ」
 私はそういってウインディの体に顔をうずめる。ウインディも挨拶代わりにクルルと小さくないて、私の体に顔をなすりつけた。
ガーディのころから一緒に暮らしている、私の他にお母さんを知ってるたった一匹の私の家族。
 今までずっと、私とウインディで旅をしてきた。つらい時もあったけど、2人だから乗り越えられた。きっと一人じゃ負けていたに違いない。
もしこの旅が終わったら、またあの家に帰ろう。もうすぐ、もうすぐだからね。
 その気持ちに気づいてくれたのか、ウインディはクーンと嬉しそうに一声鳴いた。
高々と聳え立つチャンピオンロードが、2人の真横で見下ろすかのようにたたずんでいる。
もうすぐお母さんが目指したあの場所までもうすぐだ。私達の終点、セキエイ高原まで。


ウインディ書きたかっただけなんだけど妙に厨臭くなっちまったな・・・orz
自分でもわけわからん設定だ
685名無しさん、君に決めた!:2007/08/03(金) 14:49:53 ID:???
ウインディの人まだかな・・・
686名無しさん、君に決めた!:2007/08/04(土) 06:16:46 ID:???
〜天使の手紙〜

この日はコウキとサーナイトで散歩に出かけていた。

コウキ『サーナイトもアイス食べる?』

サーナイト『私は結構よ』

コウキ『いらなければ俺が食べるね』

サーナイト『クラシックを聴きに行きたいの、今日も行っていい?』

コウキ『また行くの?よし、見に行こうか!』

サーナイト『ありがとう、わがままに付き合ってくれて…』

コウキ『だって今日はサーナイトの一番のお気に入りの…』
687名無しさん、君に決めた!:2007/08/04(土) 06:18:17 ID:???
サーナイト『!!コウキくん!車が…』

タッタッタッタ…

コウキ『え…』

ガッシャーン!!

コウキ『そ…そんな、サーナイト!…大丈夫!?
これから一緒にクラシックを聴きに行くんだよね…
だったら目を覚ましてよ…』

サーナイト『………』

コウキ『僕を守ってぇ…そんな…うっ……ひっく…』

ピーポーパーポーピーポーパーポー…救急車が通ります。
688名無しさん、君に決めた!:2007/08/04(土) 06:19:13 ID:???
〜病院内〜


ハピナス『コウキさま』

コウキ『それでサーナイトは助かるんですか!?』

ハピナス『それが…たった今…死亡が確認……されました…』

コウキ『サーナイトが…死んだ?』

コウキ『うあ゛あ゛ーーーーーー!!!』

コウキ『そんなこといわずに…』

ナナカマド博士『コウキくん』

コウキ『博士…サーナイトが』
689名無しさん、君に決めた!:2007/08/04(土) 06:21:40 ID:???
ナナカマド博士『話はきいとる、事故に遭ってしまったみたいじゃが、どうなった?』

コウキ『サーナイトが死んじゃったよ…僕をかばって…』

ナナカマド博士『なんと!……そうか………』

コウキ『………………』

ナナカマド博士『帰ろうかコウキくん…』

コウキ『………………』

ナナカマド博士『こんなところでくよくよしても始まらんよ…親も心配するじゃろ』

コウキ『………………(コクッ)』
690名無しさん、君に決めた!:2007/08/04(土) 06:23:21 ID:???
博士は帰りながら僕ににこう話しかけてきた

ナナカマド博士『コウキよ…難しい話だが心して聞いてほしい』

ナナカマド博士『サーナイト自身はこれでよかったのかもしれん』

コウキ『!!!』

ナナカマド博士『サーナイトはお主にの2才のときから遊んでいた
幼馴染…いや家族同然の関係じゃった』

ナナカマド博士『お主はサーナイトのおかげで体は無事じゃったろ
もしお主ががあの時車に轢かれて死んだとして
サーナイトはお主以上に悲しむことになる』

ナナカマド博士『サーナイトはお主が大好きだから君を守ったんじゃ』

ナナカマド博士『サーナイトから考えるとお主が無事で無事でなによりじゃ』

コウキ『うっうっ…』
691名無しさん、君に決めた!:2007/08/04(土) 06:25:05 ID:???
ナナカマド博士『コウキがいつまでもくよくよせず
元気にしてるほうがサーナイトも喜ぶんじゃないか?』

コウキ『!』

ナナカマド博士『コウキ…気持ちはわしの胸が痛むほどわかるが
前向きに生きてみたらどうじゃ?』

コウキ『うん!もうくよくよしないよ、それで…サーナイトが喜ぶなら
もう、泣かない』

ナナカマド博士『コウキ…よく言った
きっと…天国にいるサーナイトも泣いて喜んでるぞ』

コウキ『博士…やっぱりもっと泣いていい?ねぇ……』

ナナカマド博士『気がすむまで泣いていいよ』




サーナイト(コウキくん、君と出会えてとても楽しかったです
いつまでも君を見守り続けます ありがとう)
692名無しさん、君に決めた!:2007/08/04(土) 15:48:29 ID:???
泣いた

〇〇〇「………」

↑こういう形式でなければ、もっと感情移入できた
あくまでも個人的な感想だが……

……良い話をありがとう
693名無しさん、君に決めた!:2007/08/05(日) 09:14:34 ID:???
良スレ揚げ
694名無しさん、君に決めた!:2007/08/05(日) 09:15:10 ID:???
から揚げ
695名無しさん、君に決めた!:2007/08/05(日) 10:50:18 ID:???
一通り読ませていただきました…
48氏の優良ストーリーに惜しみないGJです('◇')ゞ
ところで、48氏はスレを立てたのでしょうか?
696名無しさん、君に決めた!:2007/08/05(日) 14:40:19 ID:???
└|∵|┐♪┌|∵|┘└|∵|┐♪┌|∵|┘
697名無しさん、君に決めた!:2007/08/06(月) 03:50:40 ID:???
ダネダネとバナバナでエロ↓

「・・・・・。」
自分の背中にあるタネを見て、僕は溜息をついた。
「全然生長してない・・・。」
晴れの日の正午から2時間、30分置きに水を飲みながら一週間毎日光合成をしたら、
タネがよく生長するってTVで言ってたのに…と、
情報番組にまんまと騙された気分になってまた僕は溜息をついた。
友達のタネはもうみんな綺麗な真緑色。
見事な光沢を出し、大きさも体とマッチしていて、
一目見ただけで、もう少しでフシギソウに進化するという事がすぐわかる。
それなのに僕のタネときたらまだ微妙な青緑色、微妙なツヤ。微妙な僕の体とのバランス。
LVはみんなと変わらないっていうのに、見た目には物凄く大きな差がある。
君のタネもすぐに大きく立派になるさ!ってみんなは励ましてくれているけど、
正直言ってそんな自信もない・・・。
「・・・帰ろ。」
僕はとぼとぼと家に向かって歩き始めた・・・その時、
「ははは・・・光合成の成果は出なかったかい?」
突然頭上から声を掛けられた。
「ああ、ヨルノズクさん。」
木の枝に止まって、僕を眺めていたのはヨルノズクさんだった。
「やあこんにちは。ふーむ、相変わらず微妙なタネとのバランス。」
「・・・。」
ヨルノズクさんはお調子者だった。その無神経な言葉にイラつき、僕は無視してまた歩き出そうとする。
「おお、ちょっと待った。朗報、朗報があるよ。」
「もう・・・なんですかぁ?」
僕が向き直ると、ヨルノズクさんは右翼をバサッと動かし、僕を指した。
698名無しさん、君に決めた!:2007/08/06(月) 03:51:13 ID:???
「ダネちゃんさー、『肥料屋』って知ってる?」
・・・肥料屋?初耳だった。屋ってついてるし、職業だろうか。
「何ですかそれ?」
「お、やっぱり食いついた。」
「・・・。」
「はは、ゴメンゴメン。で、肥料屋ってのはね、草ポケモン専用のお店。
隣の山の中腹にあるんだってさ。
まあお店って言えるほど広くはないよ。でっかい木の洞に戸をつけただけ。」
軽い口調でヨルノズクさんはペラペラと話し出した。
草ポケモン専用のお店という言葉に惹かれ、僕は話を聞くことにする。
「どういうお店なんですか?」
僕がそう聞くと
「店については外観しか知らないけど、まあ名前の通りみたいだよ。
店の主人が草ポケモンに栄養たっぷりの肥料を与えてくれるんだそうな。
なーんか山の中飛んでるだけで結構話が聞こえたね。あの店の肥料は最高だーとかなんとか。」
ヨルノズクさんは答えた。そしてその答えに僕は一層強く惹かれる。
「行って来ます!」
僕は無意識にそう言っていた。ヨルノズクさんは目を丸くする。
「即決だねー・・・あ、今のダネってのはシャレじゃないよ。」
「わかってますよ・・・。えっと、それでそこの料金は?」
「木の実30個。店の前の看板に書いてあったよ。」
木の実30個か・・・特には集めるのが大変な量じゃないな、と僕は思い、決心を固めた。
「わかりました、ありがとうございます。」
「お、結局行くのかい。」
「ものは試しですしね。」
「ははは・・・」
699名無しさん、君に決めた!:2007/08/06(月) 03:51:46 ID:???
「30個!やっと集まったぞ・・・。」
隣山の中腹に差し掛かった所で、僕は葉っぱで作った籠の中に30個目の木の実を入れた。
「後はお店を探すだけ、か・・・。」
籠のつたをくわえて、僕はお店を探し始めた。
その5分後、僕は1匹のメガニウムに遭った。店の場所を聞くと親切に教えてくれた。
「君その店に行くの?」という質問に、はいと答えると
急に珍しい物を見たかのような目で僕を見たのが気になったが、気にしないことにした。
僕の頭の中は今、その肥料のことでいっぱいなんだ。
そして、長いくらむらを抜け、僕はついに辿り着いた。
『肥料屋』だ。
大きな老樹に真新しい木の戸がついていて、
その横には「肥料屋 木の実30個より承ります」という看板がある。ここだ、間違いない。
僕はさっそく戸をノックする。心臓が高鳴る。
「どうぞ。」
と戸の向う、洞の中から低い声がした。僕は戸を開けて中に入った。
「きっ、木の実30個持ってきました!肥料を下さい!」
僕は言った。
僕の目の前には大きなポケモンがいた。形が僕に似ている。・・・フシギバナだ!
どっしりした体格だ。体長が普通のフシギバナより少し大きい気がする。
葉はツヤがあり、全部が綺麗な深緑。花はぴんとしていて色も美しい。
花の匂いが薄明るい室内に充満していて、心地いい。
「ん?ボウズ・・・お前が客か?」
フシギバナは・・・いや、僕に肥料をくれるポケモンなんだ。フシギバナさんと言おう。
フシギバナさんが口を開いた。生暖かい息が僕にかかる。
「はい!」
僕はそう元気よく答える。・・・だが、フシギバナさんは言った。
「悪いな。子供はお断りしているんだ。」
700名無しさん、君に決めた!:2007/08/06(月) 03:55:02 ID:???
子供はお断り・・・!?なんで・・・。
「え?なんで・・・です?」
僕のその質問にフシギバナさんは首を傾げて言う。
「おや・・・何も知らずに来たのか。
この店はな、俺が客に肥料を与える。まあそれは確かだ。
だがこの肥料は何かを合成して作るもの・・・つまり、薬じゃない。」
??どういう意味だろう。僕は口篭もる。
「わからないか?・・・じゃあもう率直に言おう。ボウズ、交尾ってわかるか?」
フシギバナさんは言った。いきなり何を言うんだろう・・・?
だが答えないのも失礼なので、僕は、子供を作ることですと答えた。
「そう、子供を作る行為だな。で?何が子供となるかはわかるか?」
「・・えっ?!・・・っと・・・それは・・・せい、えき・・・」
僕はなんだか恥ずかしくなる。何でこんなこと言ってるんだ僕。
「それがここで俺が与える肥料だ。」
フシギバナさんが言った。僕は頭の中で言葉を整理し、意味を悟る。
「精液が肥料、って・・・」
「俺が客と交尾をする。俺は精液を出す。客はそれを肥料として使って美しい体になる。客がメスなら避妊薬を渡す。終わり。」
僕が理解したことしていないこと両方をフシギバナさんが全て言った。
「子供は尻の穴が小さい。俺が挿れようもんなら痛すぎて肥料がどーのこーの言ってる場合じゃないぞ。」
だから断ったのか・・・自分のモノの大きさを自慢しているようにもとれるがそれは考えない事にする。
・・・でも嫌だ。ここまで来ておいて諦められるわけないじゃないかと僕は思った。
「でもお願いします!僕、僕、いつまで経ってもタネが小さいままで・・・このままじゃ進化しても・・・」
僕は涙目で訴えた。こんな立派な花を背負ったフシギバナさんの肥料をもらえば僕だってきっと・・・そう思った。
「・・・ふー、めんどうな客だな・・。」
フシギバナさんはそう言って、つるで僕が持ってきた木の実の入った籠を自分の方に運んだ。
「後ろを向け。始めるぞ。」
そして、そう言った。僕は弾かれたように後ろを向く。
701名無しさん、君に決めた!:2007/08/06(月) 03:55:39 ID:???
「ひゃっ・・・!」
僕のお尻をフシギバナさんが舐めた。何度も執拗に舐める。滑りやすくしているんだろうか。
「小せえなあ、入るかどうか・・・おいボウズ、どうなっても文句は受け付けねえぞ。」
脅しのようにフシギバナさんが言った。僕は恐くなったが、構いませんとだけ答えた。声が震えていた。
「そうか・・・・・・よっこらせ・・・。」
僕の周りに影が出来た。・・・と思うと、僕は急な重みを感じた。フシギバナさんが僕にのしかかったのだ。
できるだけ浅くのしかかってくれてるのだろうが、体重差がある分それでも重い。
足を全てぷるぷる震わせながら僕は耐える。がまんがまん・・・
「んっ・・!・・・?」
お尻に何かが当たった。すぐに理解する。フシギバナさんの股間だ。撫でて大きくするつもりなんだろう。
「ふぅ・・・」
しばらくして、フシギバナさんが溜息をつき僕のお尻から股間を離した・・・・・次の瞬間だった。

「っンぎゃぁッ!!」

僕は叫び声をあげた。ぁぐ・・入ったんだ・・・!熱い!痛い!!体がピクピクとさらに強く震えた。
フシギバナさんは体を動かし始めた。お腹の肉に押さえつけられている僕まで動く。
動くたびに新鮮な痛みがどんどん湧いてくる。僕はその痛みの中で少しだけ気持ちよさを感じた。
気絶しそうな痛みだ・・・死に物狂いで耐えながら、フシギバナさんの野太い喘ぎ声を聞いた。
(痛い・・!)それはだんだん大きくなってきた。(痛い・・・・!)どちらも汗をかいて、
(痛い・・・・・・!)密着度が高まる。(痛い・・・・・・・・・!)僕は涙をたくさんこぼした。(痛い・・・・・・・・・・・・・・・!!)

「ぁッ・・!」

その声を聞いた瞬間、僕は新たな感触を受けた。
そして次の一瞬の内に重みから解放され、僕は床に倒れ伏した・・・。お尻の穴の中が異様なまでに熱かった。
702名無しさん、君に決めた!:2007/08/06(月) 03:56:43 ID:???
「ふう・・・なんとか切れたりせずにやれたな・・・。」
フシギバナさんは僕が起き上がれるようになるまで、ずっと僕を看ていてくれた。
僕はなんとか立ち上がった。まだまだ持続している痛みで立ちくらみがする。
「大丈夫か?」
「え・・ええ・・・な・・んとか・・・ハハ・・・ハ・・・。」
精一杯強がったが、僕は今にも死んでしまいそうだ。お尻の中の肥料はまだ熱い。
「ふむ・・・よし、送っていこう。」
「え?・・い、いえ・・大丈・・夫・・で・・・・・ですよ・・・」
僕はそう言った。誰が聞いても大丈夫ではない。
フシギバナさんも同じだった。フシギバナさんは突然つるを出し、僕にからみつける。
そしてそのまま自分の花の真ん中へ僕を乗せた。
「お前は俺の客だ。今回は特別サービスで、家まで送ってやろう。」
僕はそれを断ったが、フシギバナさんは退かなかった。結局痛みに負け、僕は自分の家の場所を言う。
「わざわざ隣の山から来たのか・・・でももう大丈夫だぞ。
俺の肥料は自分で言うのもなんだが、栄養満点なんだ。
きっとお前のタネも綺麗になって、つぼみになって、そして花を咲かせる。」
「え・・え・・。きっと・・。」
「おっと、喋らないほうがいい。」
僕の周りの、フシギバナさんの花が閉じ出し、中心にいる僕を包み込んだ。いい匂いだ。
「お前の家に着くまで、おやすみ・・・。」
フシギバナさんのその一言はとても優しい声色だった。
僕の体が揺れた。フシギバナさんが歩き出したんだ、と分かった。戸の開いた音が聞こえた。
きっと外から見るとつぼみのようになっているであろう花の隙間から、日光が漏れて僕に届いた。
のしのし歩くフシギバナさんの体の揺れに眠りを誘発され、穏やかな花の香りに包まれた僕は目を閉じた。
僕は夢の中で、美しい花を咲かせた一人前のフシギバナになっていた・・・・。
703名無しさん、君に決めた!:2007/08/06(月) 07:09:36 ID:???
アッー!
704名無しさん、君に決めた!:2007/08/06(月) 14:21:24 ID:???
晒し…晒し…晒し
705名無しさん、君に決めた!:2007/08/06(月) 20:00:15 ID:???
>>663
続き期待してます
706名無しさん、君に決めた!:2007/08/06(月) 22:48:58 ID:???
48氏…
707名無しさん、君に決めた!:2007/08/07(火) 11:09:25 ID:???
ウインディの人の見てて思ったんだが
ラヴィが需要あるのか、エロが需要あるのか、どっちなんだ?
♂ポケ→♀トレ の構図が意外とウケるのは分かったんだが。
708名無しさん、君に決めた!:2007/08/07(火) 16:49:20 ID:???
エロにこだわる必要は無いに1票
709名無しさん、君に決めた!:2007/08/07(火) 21:19:28 ID:???
面白ければおk
710名無しさん、君に決めた!:2007/08/07(火) 21:40:44 ID:???
定期的安芸
711名無しさん、君に決めた!:2007/08/08(水) 12:08:15 ID:???
ラヴィなら飯食いながらでも書ける気がするが
面白いかどうかどころかキモイ物になりそうで怖いわ。
堂々と書ける人って尊敬するよ。
712名無しさん、君に決めた!:2007/08/10(金) 17:23:11 ID:???
どっちにしろエロは止めた方が良い
夏に入る前だと言うのに、スレタイで削除依頼出す真面目君がいたくらいだ……

数少ない小説スレが消える事だけは避けたい
71348 ◆8z/U87HgHc :2007/08/10(金) 21:07:04 ID:???
エロは、エロパロ板とかに専用スレがあるんじゃないの?
エロはこういう場所に投下するよりも、そっちで投下した方が
ずっと感想や労いの言葉をもらえて得だと思うのよね。

>>695
ありがとうございまーす。
スレはまだ立てていませんね。
立ててないし、PC規制中でそもそも書き込むことが出来ないです。
714名無しさん、君に決めた!:2007/08/10(金) 22:11:33 ID:???
ふ〜ん、エロパロ板ねー。
…どこにあるのか知らない俺が通りますよ
715名無しさん、君に決めた!:2007/08/10(金) 22:55:54 ID:???
まぁ、もともとエロは専門外だから良いんだけど。
ただ、ポケモンのエロはbbspinkでもあんま好かれないと思うし、それなら普通の書いた方がよさそうな気はする。

ところでお前ら、独白形式のラヴィ物に耐性はあるか?
>>289書いた後でずっと練ってた正統派の短編の筆が止まりっぱなしだから、息抜きに何か書いて投下したいんだわ。
716名無しさん、君に決めた!:2007/08/12(日) 00:37:50 ID:???
>>715に期待する人

717名無しさん、君に決めた!:2007/08/12(日) 02:08:24 ID:???
ここで空気を読まず絵本風のを一つ投下しますね。
718ポッチャマとミニリュウ:2007/08/12(日) 02:09:09 ID:???
 ある海の見える丘の上に、一羽のポッチャマが住んでいました。
 
 夏の日、ポッチャマが空を見上げていると、海の上をキャモメの群れが飛んでいきました。
 白い波と明るい日差しの中を楽しそうに飛んでいるキャモメたちを見て、ポッチャマは思います。
 ああ、空はなんて広いんだろう。なんて綺麗なんだろう。
 見上げると吸い込まれていくような空の色は、ポッチャマの明るい羽の色よりも美しく青く見えました。
 プカプカと自由に浮かぶ雲の白は、ポッチャマの肌の白より透き通って真っ白に見えました。
 強い風が吹くと、ポッチャマの小さな身体は浮かび上がりそうになります。
 けれど、どんなに跳び上がっても、どんなに激しく羽ばたいても、ポッチャマの小さな羽では空は飛べません。
 ポッチャマは思いました。
 そうだ、大きくなったら、空を飛ぼう。
 大人になって、大きくなった翼を広げて、この大空を自由に飛んでいくんだ。
 潮風に身体を揺らしながら、ポッチャマは幸せな気分で瞳を閉じました。
 ポッチャマの瞳の奥には、大人になったポッチャマが力強く空を飛ぶ姿がはっきりと浮かんでいました。

 長い時が流れました。
 ポッチャマは大きくなって、ポッタイシになりました。
 大きく頑丈になった体は、もう、風が吹いてもビクともしません。
 けれど困ったことに、頑丈に育った体はとても重くて、今ではちょっと飛び上がるのも一苦労です。
 翼も長く重くなって、魚のヒレとそっくりです。
 これでは、空は飛べません。
 秋の日、バタフリーやモルフォンが空に踊るのを見上げて、ポッタイシは思います。
 それでも、僕は空を飛んでみせるぞ。
 きっともう少し大きくなれば、なにかが変わるはずさ。
 秋の風は冷たくて、ポッタイシは少し震えました。
719ポッチャマとミニリュウ:2007/08/12(日) 02:10:26 ID:???
 再び、長い時が流れました。
 ポッタイシは、もう立派なエンペルトになっていました。
 大きな体は鋼のように硬くなって、固い岩がぶつかったって、痛くもかゆくもありません。
 鋼の体が一歩、足を踏み出すたびに、地面には深い足跡が残ります。
 冬の日、スバメが海を渡っていくのを見送りながら、エンペルトは思います。
 僕はいつになったら空を飛べるんだろう。
 エンペルトにはもう、わかっていました。
 僕は飛べない鳥なんだ。だから、いつまでたっても空を飛ぶことはできないんだ。
 エンペルトは丘の上に腰掛けて、海を眺めながら涙を流しました。

「どうしたんだい?」

 と、誰かが声をかけました。
 エンペルトはあわてて辺りを見回しましたが、誰もいません。

「こっちだよ。エンペルトくん」

 声は、頭の上から聞こえてきました。
 エンペルトが空を見上げると、一匹のカイリューが空を飛んでいました。
 金色の美しい鱗を光らせながら、竜の翼はゆっくりと羽ばたいています。
720ポッチャマとミニリュウ:2007/08/12(日) 02:11:39 ID:???
「どうして泣いてるの? エンペルトくんはどんな痛みにも負けない鋼の体を持ってるのに」
「鋼の体なんて、欲しくもなかったよ」

 エンペルトはクチバシを尖らせて言いました。

「僕は空が飛びたかったんだ。大きな翼が欲しかったんだ。
 なのに、こんなに重い体になって、これじゃ、飛べやしない。
 きっと、立派な翼を持ってるカイリューくんにはわからないだろうな」

 カイリューは何も言わずに静かに翼をたたむと、エンペルトの隣に下りてきて、大きく腰を下ろしました。
 エンペルトと二匹で並んで座って、カイリューも海と空を眺めました。
 海の青も、空の青も、光り輝く太陽も、とても遠くに見えました。
 そして海を渡るスバメの群れが雲の向こうに消えた頃、カイリューは静かに語り始めました。

「実は、僕も欲しかったものがあったんだよ」

 それは、大きなカイリューの体がまだハクリューよりも細く小さく、ミニリュウだったころの話でした。
  
 水辺に暮らすミニリュウは年に一度、とても辛い季節を過ごさなければいけません。
 ちょうど、今のような寒さの厳しい冬の季節です。
 いつもは優しく体を包んでくれる湖の水も固く凍り付いて、ミニリュウの体を凍えさせます。
 ミニリュウは、寒いことがとても苦手でした。
 ある冬、凍えて死んでしまいそうな激しい吹雪の中で必死に耐えながら、ミニリュウは思いました。
 きっと、大きくなったら鋼のように丈夫な体になろう。
 どんな吹雪にも耐えられる、立派なドラゴンになろう。

 そして、長い月日が流れました。
 ミニリュウからハクリューへ。ハクリューからカイリューへ。
 金色の翼が生えて、カイリューは空に舞い上がります。
 けれど、空の上では、湖の中よりもずっと、寒さは危険です。
 吹雪がくるとカイリューの翼は凍えて動かなくなり、まっさかさまに落ちていくのです。
721ポッチャマとミニリュウ:2007/08/12(日) 02:12:32 ID:???
「この翼のかわりに鋼の身体があったらなあ。
 僕はいつもそう思ってるんだ。
 だから僕はエンペルトくんがうらやましいよ」

 カイリューが語り終えた頃、ちょうど海から冷たい風が吹いてきました。
 カイリューはびっくりしてとびあがります。

「大変だ!」

 カイリューは逃げ出そうしましたが、綺麗な翼も大きな体も、凍える風に凍り付いて思うように動きません。
 そうだ。と、エンペルトは思いつきました。

「カイリューくん。僕の後ろに隠れてごらんよ。僕は鋼の体だからこれくらいへっちゃらさ」

 言うが早いが、エンペルトはカイリューの前に立って、黒いひれを大きく広げます。
 翼を折りたたんで体を丸くしたカイリューは、風がやむまで、じっとその後ろに隠れていました。
 エンペルトは、とても不思議な気分でした。
 
 風が通り過ぎた後、カイリューは元気に微笑みました。

「ありがとう、エンペルトくん」

 カイリューはそう言うと、もう一度翼を広げました。
 
「何かキミにお礼がしたいな。そうだ!」
722ポッチャマとミニリュウ:2007/08/12(日) 02:13:22 ID:???
 カイリューはパッチリとウインクすると、大きな手でエンペルトの体を持ち上げました。
 カイリューは翼を羽ばたかせ、ゆっくりと空に浮かび上がります。

「僕といっしょなら、空を飛べるよ。エンペルトくん」

 風が吹きます。
 エンペルトは、まだポッチャマだったころ。風に揺られていたあのころのことを思い出しました。
 重い鋼の体が地面を離れ、1メートル、2メートル…そしてカイリューは一気に雲の上まで飛び上がります。

 真っ白な雲と、何処までも青い空が、エンペルトの手の届くところにありました。
 大地を見下ろすと、白い波が、緑の木々が、赤茶色に広がった山が、おもちゃのように小さく整って並んでいます。
 それはとても不思議な、夢にまでみた空の世界でした。
 カイリューの翼と一緒にゆらゆらと揺れながら、エンペルトはいいました。

「ありがとう、カイリューくん。僕、初めて空が飛べたよ。それに…」

 それに、もっと素敵なことが一つ、あったのです。

「それに、僕が何のために鋼の体になったのか、なんとなくわかったような気がしたんだ」

 カイリューも言いました。

「僕も、どうして僕に翼が生えたのか、わかったような気がするよ」

 雲よりも高い空の上に、二匹の笑い声が響きました。
 やがて、夕日が空を赤く染めて、真っ白な月が昇るまで、二匹は仲良く空を飛んでいたということです。

 おしまい。
723名無しさん、君に決めた!:2007/08/12(日) 02:41:40 ID:???
ええ話しや〜
724:2007/08/12(日) 04:51:12 ID:???
長くも短くもある夜がそろそろ明ける頃…

???『(ユサユサ)…て………さ…』
主『んん…』
???『(ユサユサ)起きて下さい!』
オレは少し強引に起こされる。

主『ふぁぁ……っ…』
???『お目覚めになりましたか?』
オレの目の前にはいつもと変わらない顔があった。

主『あぁ、おはようルカリオ…』
ルカリオ『ご主人様…休みとは言えいつまでもお休みになられては困りますよ?』
主『ん…まぁそう言うな…、
今日は特に仕事があるわけじゃない、休みくらい休んだらどうだ?』
今日は珍しく何も仕事や依頼がない日である、最近休みがないのでルカリオも疲れが溜まっているだろう…。

ルカリオ『いえ私は結構です、どこにも異常はありません。』
主『ははは…お前はいつもそう言う事を言う…、異常があるから休むものではないのだぞ?』
ルカリオは真面目で義理堅い性格なので甘える事をしない、それどころか自分よりオレの心配や、他のポケモン達の心配をするくらいだ。

ルカリオ『しっ、しかしそれでは…』
主『たまには息抜きも必要だぞ?』
ルカリオ『で、ですが…!』
オレはルカリオの頭に「ぽん」と手を乗せる…

主『たまにはどこか気晴らしに出かけて見ないか?』
〜つづく〜
725:2007/08/12(日) 05:11:05 ID:???
>>724つづき〜

主『たまにはどこか気晴らしに出かけて見ないか?』
ルカリオ『・・・・・・・・。』
主『そうか…嫌か……そんなに嫌なのかぁ…』
ルカリオ『いっ、いえ!そんな事は有り得ません!
喜んでお供させていただきます!』
ルカリオは真面目な性か非常に演技や涙に騙されやすい…

主『ふふ、そうだな…野原の方へ出かけて見ないか?』
ルカリオ『私は構いません、ご主人様が行くならば私もお供します。』
主『ははは…』

オレはルカリオを説得(?)し、野原に出かける用意をする…が。。。
戦闘では役に立つ体も、家庭面では全く役に立たないものである…
やっとこの思いで作り上げた弁当は言うまでも無く無残な有様であった…

ルカリオ『こ、これは…』
主『気にするな、ルカリオ。(即答)
弁当も持った事だそろそろ出発しよう。』
ルカリオ『分かり…ました』

オレ達は家(?)を後にした。
〜つづく〜
726:2007/08/12(日) 05:44:17 ID:???
>>725つづき〜
オレ達は家(?)を後にした…

ルカリオと一緒に気晴らしに出かけるなど、本当に久しぶりの事だ…。
ルカリオ『ご主人様…今日はとても良い天気ですね……』
意外にも、最初に口を開いたのはルカリオだった…

主『あぁ、そうだな…』
ルカリオ『・・・・』
   主『・・・・』
沈黙が走る…
ルカリオ『き、今日行く所にはどの様なものがあるのですか?』
主『さぁな…』
ルカリオ『・・・・』
   主『・・・・』
再び沈黙が走る……
ルカリオ『あっ、あの…』
主『少し、のんびり歩かないか…?』
オレは久しぶりに、ルカリオとゆっくり、黙って歩きたかった。

ルカリオ『……?』
主『たまには良いじゃないか。』
ルカリオ『・・・』

時が、風が、流れて行く…
今はそれが良く分かる…
普段、目にも止めないものが次々に見えて来る。
草…木…花…、そしてその一つ一つの表情まで掴める、そう感じる………

主『そろそろ着くぞ』
〜つづく〜
727:2007/08/12(日) 06:05:50 ID:???
>>276つづき〜

主『そろそろ着くぞ』
ルカリオ『・・・』
主『どうしたルカリオ?』
ルカリオ『・・・・・』
主『もう……喋って良いぞ………?』
ルカリオ『…そっ、そうですか?』
真面目過ぎる性格だと、たまにこうなってしまうのがキズである…。

主『どうだ?広いだろう?』
ルカリオ『………!!』
ルカリオの目の前にはとても広い野原が広がっていた。
いくつもの戦場に比べれば小さな土地ではある、だがルカリオには比べものにならないくらい大きく感じた…


主『気に入ったか?』ルカリオ『もちろんです!』
主『それは良かった…』
ルカリオ『こんな素敵な場所に連れて行って下さり、ありがとうございます!』
主『あははっ、それは少しオーバーじゃないか?』
ルカリオ『そんな事はありません!
…そうだ、そろそろ昼時ですし、お弁当にしませんか!?』
急にルカリオは、いつもより随分と積極的になった…
何かあったのだろうか…?

主『あっ、あぁそうだな…。』
〜つづく〜
728:2007/08/12(日) 06:30:08 ID:???
>>727つづき〜

主『あっ、あぁそうだな……。』

持って来たシートを広げ、昼食を食べる、…つもりだったが
ちょうど良い大きさの岩があり、そこに腰掛けて食べる事にした。
見た目はともかく、味はとても良い弁当であった。
ルカリオ『とても美味しいですね!』
主『あぁっ、愛情の味って奴だな!』

そんな会話をしながら楽しい時間は刻一刻と過ぎていった……。
だが、その時の中でお互いに心の中で掛け替えのない「何か」を見つけた。
事葉では言い表せない素敵な、「何か」を……

〜夕時〜
主『さて、そろそろ帰るか…』
ルカリオ『そっ…そうですね……。』
主『何、また休みがあれば連れてくるさ。』
ルカリオ『…はい、……必ずですよ?』
主『約束だ』

そうして一日の楽しいルカリオとの休日を過ごした。

〜つづく〜
729:2007/08/12(日) 08:58:21 ID:???
>>728つづき〜
そうしてルカリオとの一日の休日を楽しく過ごした。

主『別に、オレの事は名前で呼んでも構わないぞ?』
ルカリオ『い、いいのでしょうか?』
主『あぁ、構わんさ。』
ルカリオ『・・・では、後ほど呼ばせていただきます。』
主『ん?そうか?まぁお前の好きにしろ。』

家に帰ると一通の手紙が来ていた。
それは今日の出来ごとを全て書き消す様な残酷なものであった…


主『……「明日あたりポケモン同士の戦争が行われるので、それを止めて欲しい」との内容だ…』
ルカリオ『ご主人様、場所の方は?』
主『場所は…………っ!?』
何があったのだろうか、ご主人様の口が止まる…

ルカリオ『ご主人様、どうされましたか!?』
主『今日行った野原、だそうだ……。』
刹那、身が氷ついた…
私とご主人様が過ごしたあの緑豊かな野原が明日、戦場になる。
そんな事は微塵も考えていなかなかなったし、考えたくもなかった、一瞬意識がふらついた…。

私達は何故入る事が出来たのか…
そんな疑問もよぎった…

主『人やポケモンいなかったろう?』
ルカリオ『……いませんでした。』
主『お前が疑問に思った事は解決したな?』
ルカリオ『………!!』
730:2007/08/12(日) 10:19:19 ID:???
>>729つづき〜
ルカリオ『………!』
何故…自分が思った事が分かったのだろう…

主『ふふ、どうやら知っている者は知っている様だな
だが大丈夫だ、私達が止める…、きっとな。』
ルカリオ『……ご主人様がそうおっしゃるなら。。。』
主『明日は早いぞ、寝ておけ』
ルカリオ『はい…』
主『次に行くのは海だな…』
ルカリオ『…!はっ、はい!』


………何考える余地も無く二人は眠りについた………


〜翌朝〜
早朝、二人の勇者は旅立った…

だがそれが二人の…いや、一人と一匹の最後の旅立ちになるのであった。

ルカリオ『行きましょう、アーロン様!!』
アーロン『あぁ、我が戦友よ!』

ルカリオ&アーロン『波動は我に有り!!』



これにて終了です。
読んで下さった方々ありがとうございましたm(_ _)m
つづきは関東の方は8月16日(木)に放送する『ミュウと波動の勇者ルカリオ』で。
※ポケットモンスターダイヤモンドパールで放送ではないので気をつけて下さい。
731名無しさん、君に決めた!:2007/08/12(日) 21:52:35 ID:???
るかたん(:´Д`)ハァハァハァ
732名無しさん、君に決めた!:2007/08/12(日) 22:27:14 ID:???
>>715
そういう事言うとウインディの書いてた人は・・・
733名無しさん、君に決めた!:2007/08/12(日) 22:44:06 ID:???
>>718-722
GJ! 超GJ!
おそらく任天堂からもつっこみを受けにくいであろうピュアなストーリー、レベルの高い文体。
絵本風ゆえに短く切られた、簡単な語彙で書かれた文は非常に読みやすい。
強いて残念な点をあげればポケモン同士の物語なのに「おもちゃ」という単語が使われていること、
そして三点リーダが一度に一こしか使われていないことか……。

>>724-730
ストーリーは優秀。シナリオ形式なのが残念。
おそらく構成上のアラも小説形式に直せば見えなくなると思われる。
ルカリオの主人が誰なのか、最後まで伏せておきたかったと言うのは通読すればわかるが、
それでも逆に、「作中でルカリオが『ご主人様』と言うことの不自然さが目立つ。
ここを工夫することの出来れば、更に良い作品になると思う。


……さて……じゃあ、明日辺り独白ラヴィ投下するか……。
734名無しさん、君に決めた!:2007/08/12(日) 22:47:21 ID:???
>>732
あー、ごめん、文章が分かりにくかった。
「bbspinkではポケモンはそれほど好かれない」という前提があって、
それなら=bbspinkでエロを書くなら、という意味。
故に、
「bbspinkまで行ってエロを書くなら、ポケモンではなく普通のエロを書いたほうがウケが良いだろう」
って言いたかった。すまん。
735:2007/08/12(日) 23:24:14 ID:???
>>731
目を通していただきありがとうございます。
>>733
なるほど、参考にさせていただきます。
ありがとうございました。
736名無しさん、君に決めた!:2007/08/15(水) 18:05:06 ID:???
全然進んでないな、この糞スレ
737名無しさん、君に決めた!:2007/08/17(金) 19:25:56 ID:???
SSSとSSの境界はどこだろう
SSはどこまでがSSなんだろう
738名無しさん、君に決めた!:2007/08/17(金) 20:01:40 ID:???
>>737
完全に俺の基準だが
例えばサイトに乗っけたときスクロールバーの濃い部分がモニターの半分以上なのがSSS
それ以下なのがSS
ページが分けられたらSS以上

俺日本語でおk 文字書き失格だ
739名無しさん、君に決めた!:2007/08/17(金) 20:01:58 ID:???
萌ポケ〜のマダツボミ話なんかはSSSになるんじゃまいか
740名無しさん、君に決めた!:2007/08/17(金) 22:17:57 ID:???
う〜む
一人一人基準が違うということか
厳密な違いというものはないのかもしれないなぁ
741名無しさん、君に決めた!:2007/08/17(金) 22:48:05 ID:???
水族館と動物園みたい…
742名無しさん、君に決めた!:2007/08/17(金) 23:07:57 ID:???
その心は?
743742:2007/08/17(金) 23:55:26 ID:???
自己解決しました
744名無しさん、君に決めた!:2007/08/18(土) 00:36:09 ID:???
>>741
お前気付いたろ
745名無しさん、君に決めた!:2007/08/19(日) 01:32:33 ID:???
ポケモンのエロを受け入れてくれる人を探してるなら


『ポケモン エロ小説』でググると・・・
746名無しさん、君に決めた!:2007/08/26(日) 23:58:48 ID:i5rzdZsf
747名無しさん、君に決めた!:2007/08/27(月) 00:29:23 ID:dQpSjuFu
748名無しさん、君に決めた!:2007/08/27(月) 02:00:55 ID:dW8sesuo
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749名無しさん、君に決めた!:2007/08/27(月) 23:19:47 ID:???
>>747
いきなり安価撃たれたからビビったが、あれは続きを考えずに投下したんだ。
すまん。
750名無しさん、君に決めた!:2007/08/28(火) 19:54:56 ID:???
中途半端で終わってる人って多いよね
751名無しさん、君に決めた!:2007/08/29(水) 21:46:01 ID:???
初めて来たが、焼き直したようなカスな話だらけで感動した!と言ってる奴の感性を疑うな。
本を読めよ!
なんぼでも、こんなレベル以上のいい話があるぜ。
752名無しさん、君に決めた!:2007/08/29(水) 22:07:00 ID:???
なんだ、「焼き直したようなカスな話だらけで感動した!」って言った奴がいるのかと思ったじゃん
753名無しさん、君に決めた!:2007/08/29(水) 22:41:49 ID:???
>>751は間違い無く、もっと本を読んで文章力を上げるべき
754名無しさん、君に決めた!:2007/08/30(木) 03:00:23 ID:???
>>751は空気を読む力を身に付けるべきだな
755名無しさん、君に決めた!:2007/08/30(木) 03:33:20 ID:???
ドラーモン呼ぼうぜ
756名無しさん、君に決めた!:2007/08/30(木) 08:20:07 ID:???
話の内容よりは読みやすい文章を求める、そんな人のことも忘れないで下さい。
読解できないと感動ストーリーだろうが何だろうが理解できんよ。

ただ、>>751が言う事も分からんでもない。「感性を疑う」ってのは同意しかねるけどな。
些細なことで感動するのはいいことだ。 確かに、本を買えば商業レベルの感動が味わえるがな。
そう言うものと比較すれば、ここの作品レベルは著しく低いのは否めない。 自分の書いたやつ含めてな。
757名無しさん、君に決めた!:2007/08/30(木) 23:46:29 ID:???
ごめんな、文章力ないのに意見しちまって。
まぁ、俺の能力はともかく、このスレの投稿作品にゃ正直微妙なのが多いよ。
コウキとサーナイト(?)の天使の手紙ってのを読んだけど、「は?」と思った。
…何、この三文ストーリーは?
テキトーに殺しておいて、後はよくある年寄りキャラが諭して、ハイ感動!みたいな話なんざ、そこらのボケた女子高生が携帯で書いた小説とかで腐るほどあるよ!
誰かツッコミ入れる奴が一人でもいれば良かったんだが、皆さん感動の涙ってw
ポッチャマの絵本ストーリーは、まぁマシだったが、安易な感動モノが多過ぎる。
だから、もっと世間見回して本読めよ!と書き込んだんだよ。
もっと作者も読者も精進した方がいいと思う。
758名無しさん、君に決めた!:2007/08/30(木) 23:51:22 ID:???
>>757
そこはだめぇまで読んだ
759名無しさん、君に決めた!:2007/08/31(金) 07:42:07 ID:???
適当に殺すのは市販のラノベでもよくあることw 「コイツ何のために出てきたんだ」ってキャラが死んでたりする。
殺して泣かすのは簡単っちゃあ簡単だけど、それもそれまでに「キャラ性」が立ってればこそなんだけどね。
どっちかっつーと、泣かすより笑わすほうが難しい。素人が「泣かす」を選んじゃうのは自然なことなんだから、
そこまで何かを期待せんでも、とは思うがな。

まぁ、自分も精々精進するよ。
どちらかと言えば、「感動しました! 泣きました!」って言われるよりも、
バシバシ批評してもらったほうが嬉しいし。
760名無しさん、君に決めた!:2007/08/31(金) 07:51:44 ID:???
>>759
向上心があっていいな
ガンガレ!

俺も来年4月からSSやるか
どっかにSSの書き方まとめがあった気がするんだが……
761名無しさん、君に決めた!:2007/08/31(金) 21:25:39 ID:???
空気を読めない奴が参入して一気に冷めたな
762名無しさん、君に決めた!:2007/08/31(金) 21:35:55 ID:???
>>761
もともと冷めてたんじゃない?
763名無しさん、君に決めた!:2007/08/31(金) 22:57:27 ID:???
>>755
ちょうどフリーになったみたいだしドラーモンが来てくれればありがたい
764名無しさん、君に決めた!:2007/09/02(日) 01:00:08 ID:???
>>14
>>49
>>671
個人的に気になる
765名無しさん、君に決めた!:2007/09/02(日) 12:37:50 ID:???
ウインディの書いてた人いなくなっちゃったのかな・・・(´・ω・`)
766名無しさん、君に決めた!:2007/09/02(日) 14:27:44 ID:???
>>49の人は規制中らしいし解けたら来るだろ
何年間も解けない場合もあるみたいだが
767名無しさん、君に決めた!:2007/09/02(日) 19:25:35 ID:???
規制か懐かしいな
一日で解かせる方法がなかったっけ
768名無しさん、君に決めた!:2007/09/02(日) 22:56:50 ID:???
カラカラの書いてた人こないかな
途中までしか見てないから気になるお
769名無しさん、君に決めた!:2007/09/02(日) 23:27:08 ID:???
過疎ってるから、新作でも投稿するか。
サトシ「ヒカリ、やらせろ」
ヒカリ「いいよ、おまんこして」
サトシ「ああ気持ちいい」
ヒカリ「あんあん、イクー」
770名無しさん、君に決めた!:2007/09/03(月) 15:14:12 ID:???
さて、エロでも書くか
771名無しさん、君に決めた!:2007/09/04(火) 03:19:06 ID:???
>>770
人間はお断りな
772名無しさん、君に決めた!:2007/09/05(水) 00:24:06 ID:???
>>769の新作とやらが楽しみだ
773名無しさん、君に決めた!:2007/09/05(水) 00:30:32 ID:???
楽しいね
774名無しさん、君に決めた!:2007/09/05(水) 00:56:44 ID:???
シロナスレから引用。
シロナ「飲みなさい」
ケンゴ「いやです。だってオシッコじやないですか」
シロナ「豚が口答えか。聖水だ」
ケンゴ「すいません。飲みます」
シロナ「下衆め。直接飲む気か」
ケンゴ「コップを持ってきた」
シロナ「しゃ〜」
ケンゴ「ごくごく。うまい」
775663:2007/09/05(水) 17:16:10 ID:???
ウインディの小説を書いていた者です。
ネットにつなぐことが出来なくて、更新が不可能でした…
申し訳ありません;;

まだ続きを希望されるようでしたら、書きますが。
776名無しさん、君に決めた!:2007/09/05(水) 17:53:01 ID:???
>>775
あのカスみたいなモンを書いた奴が今更何の用だ。
僕ちんは「書いて〜」と求められたいのでちゅか〜?
あの程度のコピペしたSSしか書けないなら、スレ汚しだから止めろ。
もっと精進してから書こうな。
777名無しさん、君に決めた!:2007/09/05(水) 18:58:42 ID:???
>>775
ウインディの人キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
あなたの作品を楽しみにしてる俺ガイル
778名無しさん、君に決めた!:2007/09/05(水) 19:35:19 ID:???
>>776
楽しみに待ってた奴の方が多いだろ常孝
ヤバい…ワクワクが止まんねぇwwwww
779名無しさん、君に決めた!:2007/09/05(水) 20:34:54 ID:???
>>778
馬鹿か、お前ら
780名無しさん、君に決めた!:2007/09/05(水) 20:54:49 ID:???
>>779
気に入らないとはいえ、期待してる人間を冷やかすなよ。
物凄い嫌なタイプの野次馬だぞお前。
781名無しさん、君に決めた!:2007/09/05(水) 21:50:50 ID:???
>>780
ごめん。カッとなって書いてしまった。
なんか書きたくてウズウズしてるくせに「要望があれば…」なんて書きこむ卑屈さが気に入らなかったんだ。
782781:2007/09/06(木) 01:43:29 ID:???
こう書けば満足か?ww
別にそう思われるの分かってて書いたんだよ阿呆がwww
どいつもこいつもゆとりカスばっかwwwwww
という訳で>>775は二度と来んなよ^^
783名無しさん、君に決めた!:2007/09/06(木) 01:51:18 ID:???
うn
784名無しさん、君に決めた!:2007/09/06(木) 08:22:06 ID:???
>>782みたいな人として低レベルな事を平気で書く30歳台がいるなんて、大人の程度が知れる。
785名無しさん、君に決めた!:2007/09/06(木) 08:34:17 ID:???
そんなに文句あるなら、自分達が何か作品を書いて下さいね^^
786名無しさん、君に決めた!:2007/09/06(木) 14:37:24 ID:???
みんなで楽しめればそれでいい感じのスレなんだから、
文章力とかで叩いたりするのはお願いだから慎んでくれよ。
スレ汚しも何も、元々高レベルな物が求められているスレじゃないんだから。
787名無しさん、君に決めた!:2007/09/06(木) 16:48:50 ID:???
うーむウインディの小説の人は、
確かに「小説」として見ればそれほどでもない(プロットに近いものがある)が……
まず、文章が読みやすい。ちゃんとした日本語で書いてある。
言っちゃ悪いが、このスレには読解不能な悪文で書いてある作品も多いし、これは評価できることだと思う。
……強いて言えば、「…」が一つだったり、台詞の中に「w」がある事が気になるか。
(補足。優れた文章とは適度に短い文を連ねた簡単な文のこと。「、」で区切って一文を長くしたり、曖昧な表現や
 小難しい修飾をつけた文は自己陶酔に陥りやすい、所謂「中二病文」。プロが書いても読みづらいことも多い)

それに構成力自体はあると思うんだよな。ストーリー自体はちゃんと筋が通っている。
足りないのは演出力とエピソードなんだと思う。
エピソードは、まぁ、この作品自体がえろっちぃ事をメインにしているんだろうから、削ってる分には問題ないと思う。
今までの出来事やウインディの気持ちを冗長に書くよりはずっと良い。

演出力に関しちゃ、上で「プロットに近いものがある」って書いた通り。
ケータイ小説よりも描写が少ない(特に情景描写がほとんど無い)から、希薄に見えてるんだと思う。
「w」で笑いを表しているところをちゃんと書くとか、ムードが欲しい所を克明に描写してみるとかすれば、かなりよくなるんじゃないかな。


つー訳で、ウインディの人はこのスレ内じゃトップクラスの「基礎力」持ってると思うぞ。
……と、キュウコン♂→♀トレ書こうとしてホラー風味になった奴が言ってみるorz
788名無しさん、君に決めた!:2007/09/06(木) 17:13:53 ID:???
>>775
何か色々揉めてますが、私もあなたの作品を愛読してる一人です。
続きは気が向いたときでもいいので、是非頑張ってください^^
789名無しさん、君に決めた!:2007/09/06(木) 17:42:52 ID:???
まー過疎スレだから、三流エロSS書きでも有り難く祭り上げないとなw
ぶっちゃけ、代わりのきく存在だから、こんな論争してないで誰か書いてよね。
790名無しさん、君に決めた!:2007/09/06(木) 21:19:35 ID:???
この雰囲気じゃ誰も書けないだろ
791名無しさん、君に決めた!:2007/09/06(木) 23:47:20 ID:???
雰囲気なんてどうでもいいですから、>>775の人は早く書いて下さいおながいします
792名無しさん、君に決めた!:2007/09/07(金) 00:23:56 ID:???
>>791
お前・・・
793名無しさん、君に決めた!:2007/09/07(金) 02:20:39 ID:???
臭い芝居はいらないから書けよw
794名無しさん、君に決めた!:2007/09/09(日) 00:02:45 ID:???
(待ってる)
795名無しさん、君に決めた!:2007/09/11(火) 20:48:33 ID:???
ttp://www.uploda.net/cgi/uploader2/index.php?dlpas_id=0000040370.htm

枯木も山の賑わいになればと投下
ファイルサイズが大きいのでロダで失礼します
ポケダンのネタバレを含む上、
とある別スレ要に書いたものなので微グロ注意
796名無しさん、君に決めた!:2007/09/11(火) 22:34:29 ID:???
>>795
いらないって(笑)
797名無しさん、君に決めた!:2007/09/12(水) 19:47:04 ID:???

「ひゃははははっ、見ろよこの面! いかにも『不幸のどん底です』って面だぜ」

 港湾施設の1つ、薄暗い資材倉庫の中に、不快なまでの笑い声が響き渡る。
積み重なったパレットやドラム缶を、マットレスほどの厚みを持った埃が覆う。
それが人の出入りの少なさを如実に物語っている。
人目をはばかるには打ってつけの場所と言えよう。
その倉庫の中で、2人の人間が1匹のポケモンを……拘束していた。
 分厚い革製のベルトで、手足の自由を奪われている。
特徴的な大顎は、あしらえたようなサイズの猿ぐつわが咬まされ、抵抗する力と意志を奪い去る。

「うるせぇよ……耳障りな笑い声を上げんじゃねぇ」

 笑い声を上げていた男とは対照的に、もう1人の男が冷めた口調で言葉を漏らす。

「なんだよ、随分とテンション低いじゃねぇか」
「お前に合わせてたら気が狂う」
「ひゃははっ、言うじゃねぇかオイ」

 男達のやり取りを見ながら、足元に横たわるポケモンが悲鳴を上げる。
間髪入れずに、その後頭部へ衝撃が走る。
笑い声を上げていた男が、まるでサッカーボールを扱うように、そのポケモンを蹴り飛ばしたのだ。

「……オイ」

798名無しさん、君に決めた!:2007/09/12(水) 19:49:19 ID:???

「ひゃはっ、分かってるよ! 大事な大事な『商品様』だもんなぁ」

 言いながら頭を掴み上げ、ポケモンの視線を自分へと無理やり向けさせる。
狡猾で残虐な色を纏った瞳は、その笑い声さえ無ければマフィアの幹部とさえ言えそうな雰囲気を醸し出している。

「でもよぉ? 買い手が付かなきゃただのゴミだろ?」

 そう言い放つと、男はポケモンを掴んだ手に力を込める。
軋むような音と共に、ポケモンの悲鳴が倉庫に響く。

「……やめろ」

 その手に、更に強い力が掴みかかった。
悪手から放たれたポケモンは、ぐったりとコンクリートに倒れ伏してしまう。

「アキ……お前よぉ、こないだの取引から何か変じゃねぇか?」
「別に……ただ、ソイツの調教は終わってるからな、これ以上やって壊れちまったら、売れなくなるだろ」

 『アキ』と呼ばれた男は、相変わらずの冷めた口調で相手を諫める。

「はっ……どっちみち売れねぇよこんなカス」

 蔑みを込めた視線をポケモンに向けながら、苛立った態度を振りまく。
諫められたのが気に入らなかったのだろう、男は1人で倉庫の出口へと歩き始めた。

799名無しさん、君に決めた!:2007/09/12(水) 19:57:49 ID:???

「アキ! 始末はお前がやれよ!? 足が着いても俺は知らねぇからな、ひゃははひひひ」

 出入り口の扉を開きながら、相変わらずの不快な笑い声を含ませ、言葉と共に男は消えていった。
 倉庫の中に、沈黙が満ちていく。
ポケモンの首から繋がれた鎖が、僅かに震えて鳴り響く。

「潮時……かもな」

 アキは、そう呟きながらポケモンの拘束具を取り外した。
そして、無言で倉庫を後にする。



 アキの心境は、確かにこの数日で大きく変化していた。
 国内最大の勢力を持っていたマフィア、『ロケット団』。
とある1人の少年トレーナーに、組織を壊滅されてから6年の月日が流れていた。
アキは、その当事者であり……少年の手により敗北を味わわされた幹部の1人でもあった。

 組織が解散しても、表立った世界に戻れる筈もなく……こうして闇の仕事に身を捧げる以外に、生きる術が残されていなかったのだ。
未だ尚、ロケット団と名乗る残党がいるにはいる……だが、アキはその中へ入って行くという選択はしなかった。
しなかったと言うより……

「クソガキに負けた元幹部です、はは……どの面下げて組織に戻れるかっての……」

 
800名無しさん、君に決めた!:2007/09/12(水) 19:58:50 ID:???

 自嘲しながら、アキは自宅の部屋で独り言を吐き出す。
6年前の敗北が、未だに彼の心を大きく陰らせていた。

「俺だって……俺だって普通にトレーナーやって、普通の世界を生きてやりたかったんだ……」
「楽しかったさ、やりたい事やって……金だって浴びるほど手に入れて……」
「そんなもん……」


 灯りの消えた部屋の中で、砂嵐のテレビ画面を見つめながら……悲しげに、淋しげに、独り言は続く。
誰も聞くことのない懺悔が、ひたすらに……ひたすらに……。

 そしてそのまま、深い眠りの中へと落ちていく。


――あぁ……またこの夢か……

 アキはこの数日間、同じ夢を見続けていた。
取引で売りさばいたポケモンと、そのポケモンの主人が歩く姿。
年の頃は……6年前の『あの少年』と同じぐらいだろうか。
笑っている。
皮肉や悪意の無い、真っ白な笑い方。
調教の末に、地獄のような世界を見てきた筈のポケモンも、表情や仕草から嬉々とした雰囲気を振りまいている。
それを見て……俺は泣いているんだ。
最初は、理由なんか考えなかった。
考えたくなかった。

散々……数多のポケモン達を苦しめてきて、許されるはずもない願い。

801名無しさん、君に決めた!:2007/09/12(水) 20:07:42 ID:???
 俺はその姿が……羨ましかった。
羨ましかったんだ。
幸せに満ちたような、少女とポケモンの微笑ましい姿が……。

 ―――目を覚ましたアキの視界に、涙でぼやけたテレビ画面が写し込まれる。

 アキは倉庫へと足を運んでいた。
僅かに足取りは重く、躊躇いの色が伺える。

 「置き去りにしたポケモンの後始末をする」
そう自分に言い聞かせながら、倉庫の扉を開け放つ。

 いた。
昨日と同じように、逃げることもせずに。
昨日と同じように、畏怖と怨嵯の籠もった瞳を向けながら。

「逃げなかったのか」

 そのポケモンの前にしゃがみ込み、頬に手を差し出す。
恐怖に震えながら瞳を強く瞑り、息を漏らしながら鳴き声を抑えている。

 その姿が、アキの心を締め付ける。
――罪悪感。

 感じる事の無かった感情、感じようとする事を紛らわしていただけなのだが……。
気がつけば、アキはポケモンを抱き締めていた。
強く強く、震えるポケモンをアキ自身も震えながら、抱き締めていた。
子供のように泣きながら「ごめん」と、何度も呟いた。

「ひゃははははっひひ! なんだよアキ!? 気でも狂っちまったかぁ?」
802名無しさん、君に決めた!:2007/09/12(水) 20:09:53 ID:???

 突然の声に振り向き、アキは一瞬……幻覚を見たかのような気分に陥る。
自分と、懐で震えるポケモン以外には誰も居なかったはずの倉庫内。
不愉快な笑い声と共に現れたのは、倉庫内を埋め尽くさんとするかのような、大量の虫ポケモン達だった。
 体力の無くなった昆虫が『アリ』に囲まれたら、恐らく同じ恐怖を味わうのだろう。

 危険性を本能で感じてしまうほどの、独特の羽音。
その両腕から鋭く伸びる槍。
黄色と黒の警戒色は、恐怖と共に美しくすら感じるコントラストだ。

 スピアーの群。
1対1であれば、大して警戒するほどのポケモンではない。
たが、群を成しているとするならば……話は別だ。
体長1m前後の巨大な蜂に囲まれる……よほどの実力と自信のある者であっても、そこに勝機を見出す事など出来ないだろう。


 アキ自身、体中に冷や汗が噴出しているのを自覚していた。
ナイフや拳銃を突き付けられるかのような恐怖とは違う。
酷く現実的で、例えるならば『地震や台風』といった、災害の最中にいるような恐怖。

「……何のつもりだ?」

 かろうじて搾り出した声も、無数の羽音にかき消されてしまう。

803名無しさん、君に決めた!:2007/09/12(水) 20:10:30 ID:???

 それでも相手は、アキの表情を見て悟ったのか、笑い声に殺意を込めながら言い放つ。

「くひひゃひひっ!! お前よぉ、もしかしたら自分は逃げ切れるとか考えてんじゃねぇよなぁ?」
「今更、光の当たるような世界になんか逃がさねえぞぉ? ひひ」
「禍根ってのはよぉ、伸びて育って芽を出す前に……綺麗さっぱり消さなきゃならねぇ……ひひっひゃははははっ」

 矢継ぎ早に繰り出される言葉。
露骨なまでの殺意が含まれた言葉。
アキの背筋は、何百もの蛞蝓が這いずり回るような不快感を感じ続けている。

 ……尚も、笑う男の言葉は続く。

「俺も友達だからよぉ、元締めの旦那に『お願い』したんだぜ?」
「『どうかアキの命までは助けてやって下さい』ってなぁ……」

 男の言葉を聞きながら、アキは周囲に目を向ける。
無数のスピアー達から逃げるための、突破口を見つけるためだ。

「でもな……ひっ、旦那は何て答えたと思う? ……ひひひっ」
「『脆くなった手駒は潰して丸めて消しちまえ』、だとよ!!」
「ひっひひふはひゃぁっははひひゃははははっ!!あぐぁひゃははははっひぃぁはははぁぁっ!!」
804名無しさん、君に決めた!:2007/09/12(水) 20:19:31 ID:???

 今まででも十分に不愉快な笑い声だったが、もはや不愉快を通り越して恐怖すら感じる笑い方だ。
決してアキ達から目を離さず、男はひたすらに笑い続ける。
アキの記憶にある、「あの少女」とは真逆の……悪意と殺意と悦楽の混じりきった汚い笑顔。

 そして、ついにスピアー達を動かす言葉が吐き出される。

「……やっちまえ」

 一斉に襲いかかるスピアー達の様は、さながら雪崩のような凄まじさを体現する。
逃げ場など、皆無に等しい状況下でもなお、寸分の油断も無く襲いかかる殺し屋達。
その様を眺めながら、男はアキ達の死を確信していた。
次の瞬間に、倉庫を炎が包み込むまでは……。

 アキは眈々と機会を伺っていた。
たとえ名のあるトレーナーと言えど、1人で数百のポケモンを操りきれるわけがない。
必ず仕掛けがあるはずだ、と……。

 その読みは、見事に的中していた。
笑う男の背後……上手く見えない位置に隠していたのだろうが、合図と共に姿を現した……もう1種類の虫ポケモン。
このスピアー達を操り、笑う男の指示を直接受ける存在。

「……ビークイン、か……」

 その姿を見つけるなり、アキは懐からジッポーライターを取り出す。

805名無しさん、君に決めた!:2007/09/12(水) 20:42:20 ID:???

 そして、躊躇い無く背後のドラム缶口へと放り込んだのだ。

 ――トルエン キシレン

 内容物の成分表示に、そう書かれたドラム缶。
主に、船舶外板塗料の溶剤として用いられる液体だ。
俗に言う『シンナー』である。
その着火性は、それこそジッポーライターに使用するオイルと同等。
アキはドラム缶に火を放つと、勢い良くスピアー達に向かってドラム缶を蹴り飛ばした。
炎を纏った液体は瞬時に散らばり、周囲の木材や、それこそスピアー達の体をも……あっという間に飲み込んでいく。

 炎に我を忘れて逃げ惑うスピアー達は、いかにビークインの能力をもってしても……操りきれるものではなかった。
倉庫の中は、たちまち阿鼻叫喚の地獄絵図へと様変わりする。

 その混乱を機に、アキは倉庫から逃げ出した。
背後からは罵声と笑い声が聞こえるが、振り向く事無くアキは走り去った。
その腕に、1匹のポケモンを抱きながら……。

806名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 01:19:24 ID:???
アーオモシロイ、オモシロイ
807名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 06:46:57 ID:???
文章力の高さに感動した
808名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 07:15:54 ID:???

 どれだけ走ったのだろう。
喉がへばりつき、満足に呼吸をすることすら出来ないほどの渇きを訴えている。
全身が『すす』に染められて、行き交う人々の視線が痛い。

 自宅へ帰るのは危険と判断したアキは、住宅街の1画にある公園へと逃げ込んだ。
程良く生い茂った雑草に身を包み、ひとまずの休息をとることにする。

「くそったれ……仕事を辞めるからって警察にたれ込みなんかするかよ……ちくしょうが……」

 どのような生業をしていたにしても、世間から後ろ指を指されるような家業である。
自身が証拠隠匿のために消される事ぐらい、容易に想像できていた。
アキにとって予想外だったのは、『あの男』の勘が想像以上に鋭かった事である。
身を隠す前に悟られるとは思いもしなかったのだ。

 自分自身の考えが、どれだけ甘かったかを知らしめられ……その不甲斐なさに苛立っていた。

「どう……するかな……」

 呟きながら空を仰ぐと、アキ達を探しているのだろうか……スピアーの群が飛び去っていく様子が見える。
ここにいても、見つかるのは時間の問題だろう。

「お前……何で逃げなかったんだ?」

 ふと、素朴な疑問を懐に向ける。

809名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 07:18:42 ID:???

「……あぁ……俺が、俺達が悪いんだよな……」

 未だに震えている、そのポケモンの姿を見つめながら……自責の念が止めどなく溢れ出す。

「謝っても、許してなんかくれねぇよな……」
「いっつもこうなんだ。ガキの頃から……大切なモノを自分の手で傷付けて……捨てて……」
「後悔なんかしねぇなんて、強がってばっかで…………っ……」

 言葉にしながら、アキは自分自身を責め続けた。
色々なモノを置き去りにしてきて、それを忘れようと強がっていた自分自身を……。


 涙が、零れ落ちた。


「……ごめんな、ごめん……俺みたいな馬鹿野郎はよ……こんな、ギリギリになってからじゃねぇと分からねぇんだ……」
「……人間みんなを嫌いになんねぇでくれ……世の中にはよ、俺みたいな馬鹿な人間ばっかじゃないんだ……」
「ごめん……身勝手ここに極まりだよな……」

 確かに、あまりに身勝手な言葉の羅列だった。
あまりに身勝手ではあったが、懐に抱かれたポケモンは……アキの瞳を真っ直ぐに見つめていた。
垂れ落ちる涙を、真っ直ぐに……真っ直ぐに……。
自身の心根をさらけ出す、小さな人間の瞳を……。

810名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 07:20:19 ID:???

 結局、その日は公園で一夜を過ごしてしまった。
これからどう動けば良いのか、アキは……考え続けていたのだが、その答えはついに出て来なかった。

 登りゆく朝日を眺めながら、アキの記憶に『あの少女』の姿が思い浮かぶ。

「そういや、あの女の子……この公園で見たんだったな……」

 朝露が木々や遊具を濡らす風景を眺めつつ、思い出すように呟く。
見かけて以来、夢に見続けていた……あの少女の事を。


――「カラカラー、なに見てんのー?」

「……っ!?」

 不意に聞こえた声に顔を上げ、目の前に視線を向ける。
すると、いつの間に近付いていたのか……アキにとって、嫌と言うほど記憶に焼き付いた姿がそこにいた。
 だが、目の前にいるポケモンは……不思議なモノでも見るかのような瞳を向けている。

「お前……覚えて無……」

 声を掛けようとした瞬間、そのポケモンは背後から追いついた少女に抱き上げられた。

「ひとりで先に行っちゃだめだよ、カラカ……ラ……? あ……」

 アキの姿を見つけた少女は、カラカラを抱き上げた姿勢のままで硬直してしまった。
そのまま、互いに言葉を出せないという無言の時間が流れ……。

811名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 07:21:29 ID:???

 その静寂を取り払うかのように、少女の方から声を出した。

「お怪我は………おはようございます?」

 意味不明。
……だが、アキにとっては何でも良かった。
話し掛けるための機会を、少女自身が与えてくれたのだから。

「……あっと、君……前にもこの公園に来てたよね?」

「はいっ、朝はいっつも連れて来るんです」

 変質者と受け取られても仕方ない一言だったが、当の少女は笑顔で答えた。
それからは、堰を切ったかのように少女の方から話し掛けてきてくれた。
少女のポケモン達の事や、公園で見る朝日の事を……。

 ひとしきり話し終えると、少女は腕時計を見ながら……顔色を変えた。

「……ああ、学校?」

 アキが訪ねると、少女は慌てて立ち上がり、
「話しに夢中になってましたよっ!? どうしょう、ごめんなさい、ありがとうございました!」

 またも意味不明にまくし立てながら、笑顔で走り去ってしまった。
 その後ろ姿を見送りながら、アキは懐のポケモンに囁いた。

「あの子なら……お前も幸せになれるかもな」

 少女と、その横で少女に寄り添うカラカラの姿が、アキに1つの答えを出させた。

812名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 07:25:34 ID:???

 二度と、人間に対して心を許す事など出来はしない。
そう確信出来るまでに、弄び、苦しめ、絶望の淵へ追いやったポケモンが……。
まるで全てが嘘や幻だったかのように、少女に対して心を開く姿。

 その姿を見たアキは、懐に抱いていたポケモンをその場に残して、公園を後にした。
軽く頭を撫でながら、『ごめんな』……そう呟き、振り返る事もなく歩き出す。
最後の最期まで、自らの身勝手さを自覚しながら……。
 あの少女に、1つの願いを託しながら……。


813名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 07:27:58 ID:???

 公園を去ったアキは、ひとまず倉庫へと足を運んだ。
あの男と……組織と、自分自身に決着をつけるために。
 あれだけ晴れ晴れと朝日が昇っていた空は、いつの間にか曇天へと様変わりしている。

「嵐が来るな……」

 次第に強まる風足をその身に受けながら、アキの瞳には覚悟が満ちて行く。

 倉庫に着く頃には、嵐も本格的なものになっていた。
ポッポやオニスズメの群が山へと飛び去っていく。
嵐から逃げるためなのだろう。

「……ははは、あのオニスズメ……何かくわえてやがる……」

 燃え尽きた倉庫の前に立ち、そんな一団を眺めながら呟く。

「また独り言かよアキィィ……ひひひヒャハァッ」

 不愉快な笑い声に振り向き、相手を見据えながらアキも笑う。

「ああ、ははは……昨日、お前に言いそびれてた事があるんだよ……」

「ふひひひゃひゃ、遺言か? 聞いても何もしてやれねぇよ、ごめんなぁ? ヒヒ……ヒャハァッハハハ!!」

 その笑い声に溶け込むように、数百単位の羽音が響く。
殺意に満ちたオーケストラを聴きながら、アキもまた……笑う。
 諦めも怒りも無く、向かい合う男とは対照的な……無感動な薄ら笑い。
814名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 07:29:08 ID:???

異常な空気を覆い尽くすかのように、雨と風が勢いを増していく……。


 ――勝負は、あっけなく終わってしまった。
すでに先日の倉庫でのやり取りで、大半のスピアー達が弱っていた。
挙げ句、一昼夜に及ぶ捜索。
笑う男自身、あの最中で手傷を負っていたのだ。
 アキは男に狙いを定めていた。
恐らく、この場で死ぬ事を覚悟していたのだろう。
襲い来る槍に怯む事無く、真っ直ぐに……不愉快な笑い声を上げる男に走りゆく。
肉が裂け、血が滴り、それでも尚……。

 ――アキの足元には、すでに笑い声を上げることの無い男の身体が横たわっていた。
主人を亡くしたビークイン達は、その途端に嵐の空へと姿を消していった。
首があらぬ方向へと捻曲がった男を見つめながら、やはり……アキは無感動に笑う。
全てを諦めたかのような、もう取り返しのつかない罪を背負った男の笑い顔は……まるで泣き顔のような様だった。

815名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 07:46:39 ID:???
 翌日、アキは一晩中街を徘徊した後に、あの公園へと足を向けていた。
 最期に、見たい光景があったからだ。
 公園の入り口に立ち、アキはその場にへたり込んだ。
力無く、それでも前を見つめながら……。
 そこには、1匹のポケモンと……少女の姿があった。

「……学校、遅れちゃいました」
「……」
「……この子、ずっと待ってたんですよ?」
「……」

 少女もポケモンも、雨に濡れて立っていた。
壊れた傘を傍らに、顔に笑顔を貼り付けて。

「……なにか、言ってあげて下さい」

「……っ」

 何も言えない男に、そのポケモンが歩み寄る。
そして……
「……っぐぼぁっ!!? ぃ痛ったぁっ!?」
 その特徴的な大顎で、アキの顔面を殴り飛ばしたのだ。
そして、訳も分からず頬をさするアキの背に、そっと……震えながら抱きついた。

「うん……もう大丈夫みたいですね……」

 小声で囁きながら、少女はその場を後にした。
「……ごめんな、ごめんなクチート……」
 泣きじゃくりながら、アキは初めてそのポケモンの名を呼んだ。
 空に立ち込めた雲が晴れ、眩い朝日が街を照らす。
816名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 07:48:50 ID:???


――数週間後、1人の男が……犯した罪を償うために、町交番へと顔を出す。
その姿を、ある少女と……1匹のポケモンが見つめていた。

 男はそのポケモンひたすらに謝り続けて……最後に、「ありがとう」と微笑んだ。


 罪を償い終えた男と、1匹のポケモン……クチートが、再び出逢う日が訪れるかは……まだ、誰にも分からないが……。

 男は……ある誓いを言葉にする。

「再び逢える日が来たら、笑顔で抱きしめてやるんだ」と……。


817名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 11:02:43 ID:???
アーオモシロイ、オモシロイ
818名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 12:10:52 ID:???
>>817
人の気持ちを考えられる子になろうね…
これだけの文章を書くのにどれだけ時間と集中力を使ったか、考えるだけでそんな事は言えないよ
819名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 13:13:34 ID:???

すまない、まだまだ全体的に構成力や表現力を上げないと駄目だったな……。

もっと色んな書物を読んで勉強してくる。

面白いって皆に言ってもらえるように頑張る。

>>806-807>>817-818
レスありがとう

820名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 14:17:36 ID:???
>>819
あのね。
自分の文章に酔いすぎ。
821名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 16:21:15 ID:???
自重汁ってこったな
822名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 16:35:40 ID:???
その態度はねーよ
823名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 17:13:12 ID:???
とりあえず おっ と思うような文章ではあったよ
題材的によくある中二病論理破綻残酷SSかと冷や汗出たけどそんな酷いものじゃなかったし
824名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 21:11:19 ID:???
公開IDじゃ無いと批評とかやりにくいよなぁ。
例えば、>>817の態度は批評以前の問題だけど、>>820の言ってることは決して間違いではない気がする。


ともあれ>>819乙。
文章力自体は評価できるものだと思う。
前半から後半にかけて、話の流れが速くなり、反比例するようにパワーダウンしてるのは意識してることなんだろうか?

前半部分はそれなりに繊細に書けていて(特に 「クソガキに負けた元幹部です、はは……どの面下げて組織に戻れるかっての……」 辺り)
情景やアキの心理状態を追いながら読んでいくことが出来るけど、後半になると場面が飛び飛びになって付いていくのが辛くなる気がする。
特に>>810-811の辺りかな。
これって、アキがカラカラを少女に売ったって事だよね? 3回くらい読み直すまで分からんかった。

あとは、描写も後半になると安っぽく(≒陳腐に≒中二病っぽく)なって言ってる気がする。
改行のテンポも崩れて来ているような。
スピード感とか余韻を狙ってるのかもしれないけど、今までの落ち着いた風な文体との対比が上手く行ってない感じかな。

内容に関しては、何か良くある話だなとは思ったけど、比較的すんなり読むことが出来た。これは文章力だと思う。
ただ、やはり後半で大笑いしてる男を殺してしまう必要があったのかどうかは悩む所。
クライマックスの盛り上がりに「死」を使うのは簡単で良い方法ではあるが……
「罪」の意識を感じながらも更に「罪」を重ねるという行動と、それまでのアキの心理状態の変化がミスマッチしているような。
どうしてもこの展開が譲れないなら、「それでもケリをつけなきゃいけない悲しさ・理由」の描写がスマートに入ってるとかっこいいかも。


総評。
使われている題材は中二病の罠が数多く仕掛けられている物ではあるものの、それをあまり匂わせない文章力はある。
ただ、後半にかけて力尽きたのか、その罠に引っかかっているような所が多く見受けられるようになる。
おそらく推敲はしているの思うのだが、今度は一度書き上げたらそれを一旦置いておき、発表前に他のものを書くなどしてみてはどうか。
そうやって時間を置いて十分に頭を冷やしてから、後半部分も推敲することで内容は良くなると思う。
825名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 22:25:39 ID:???
ソノトーリ、デナオセ!
826名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 22:38:00 ID:???
>>824
解りやすいな
端から見ても参考になる
827名無しさん、君に決めた!:2007/09/13(木) 22:44:57 ID:???
カタカナ君の「デナオセ!」ってとこに優しさを感じるw
828819:2007/09/13(木) 23:39:55 ID:???
色々なご意見くださって、有難うございました。
特に>>824のアドバイスは参考になりました。
もう二度と投稿することはありませんが、推敲することを心がけて出直します。
さようなら。
829名無しさん、君に決めた!:2007/09/14(金) 07:52:48 ID:???
>>828
バイバイキーン(笑)
830名無しさん、君に決めた!:2007/09/14(金) 15:41:32 ID:???
やっぱり直接打ち込むと文字制限とかでスレが無駄に消費されるな
どっか流れの遅い、もしくは自分で作ったうpろだに上げた方がいいんでない?
そうすれば見たい人は落とす、見たくない人はスレ覗いても見なくて済むし
831名無しさん、君に決めた!:2007/09/15(土) 23:38:56 ID:???
もう次スレは立てるなよ。
これ以上はムダだから。
832名無しさん、君に決めた!:2007/09/17(月) 21:53:41 ID:???
神よ…
833名無しさん、君に決めた!:2007/09/17(月) 23:07:37 ID:???
某絵スレみたいな流れだな
834ミュウツー:2007/09/18(火) 01:36:47 ID:???
保守
835名無しさん、君にきめた!:2007/09/18(火) 17:08:22 ID:cvpKJhCC
48さんおもしろいです。続きも楽しみに待ってます。
836名無しさん、君に決めた!:2007/09/18(火) 18:15:15 ID:???
もうこのスレは終了しています
837名無しさん、君に決めた!:2007/09/18(火) 21:03:51 ID:???
ロケット団にて
サカキ「久しく、お前達に任を与えたい。」
…………………
コジロ「はぁ〜、なんでボスはあんな任務を俺達にやらせたんだろ」
ムサシ「仕方ないでしょ。人出が足りないんだから。」
ニャース「なあなあ、任務って何の事だニャ?」

数ヶ月前…


838名無しさん、君に決めた!:2007/09/18(火) 21:05:17 ID:???
男1「殺せ、ハブネーク。」シャー!!!!!!!
グシャッ、バリ…バリ
女「あ、お父…さ。」
男2「悲しいなぁ、…君はなんて可哀相なんだぁ!!!」
男2「古き良き家柄に生まれて何不自由なく暮らして来たと言うのに…」

男1「たった二人の人間のせいで全てを失うなんて…な。」

父親も、家も、財産も、そして処女さえも…
男1「しかし…、私は嬉しいよ、我々が極限まで鍛えたポケモンのおかげで…」
たくさんの人間を殺せるのだから…
男2「殺した後は金も薬も取り放題…まあボスは裏切った形になったけどね。」

男2「 アハハ、ハァハアハアあははははははははははははははははははははは」

女「いぎぁああああ!!!!!!!!!!」

ムサシ「って訳、犯人は幹部の奴等らしいよ。」

ニャース「その二人って?」

コジロー「双頭の蛇……
今回の俺達の標的だ!!!!!」
839名無しさん、君に決めた!:2007/09/18(火) 21:30:50 ID:???
男1「おい、弟よ…これ見てみろよ。」
男2「なんだい?、兄さん。…え〜っと」
「貴様等双頭の蛇は組織の了解もなしに勝手に
民家を襲い、金を奪い、住民を虐殺した。よって貴様等二人を
組織から除名し、粛清する、―サカキ―」

男1「R団が…我々を粛清しに…まあ仕方ないか、
組織の掟を三つも破りボスのポケモンを盗み出したのだからね。」
男2「兄さん…悲しいね…」
男1「いや…私は嬉しいよ……………」

コジロ「で―ムサシぃ〜場所わかんのぉ〜?」
ムサシ「二日前にうちの組織の奴が使われてない病院で奴等を見たって。」

ニャース「相手は元幹部だニャ!?勝てる訳ないニャ!!!」
コジロ「そうだよ〜ここはボスに丁重にお断りしに行こうぜ。」

ムサシ「やるっつったらやるんだよ!!!」
コジロー「わかったよ!!!!(ムサシの奴、何怒ってるんだ?)」
840名無しさん、君に決めた!:2007/09/18(火) 21:55:49 ID:YkVIilQM
夜――――――
コジロー「どっから忍び込む?奴等絶対カメラ置いてるぜ。」
ムサシ「ん〜〜〜、あっそうだ!ニャース、あんた正面から行って囮になりなさい。
こっちは二人で裏から回るから。」
コジロー「うん。それはいい案だ!」
ニャース「えっ?」
しばらくして………3・2・1 go!!!!!!
ニャース「ニャー!!ガシャン!!!!!」
男2「侵入者だね、僕が見てくるよ。」
男1「いや、あれは囮だろぅ私のポケモンを行かせるよ、
行けっハブネーク!!!!。」
…………………
コジロ「うげぇ〜中すごい広いなぁ宮殿みたいだな――うわっ!!!!なんだ、ただの蛇か…」
ムサシ「あそこ、最上階だけ明かりが付いてる。」
コジロー「罠かもよ?」
ムサシ「殆ど見えないここにいるよりマシ。」
二人は慎重に階段を上り始めた……………
コジローは何かが床を這いずり回るような音を聞いた。
841名無しさん、君に決めた!:2007/09/18(火) 21:57:05 ID:???
うわっ上げちまった!
俺のオナニースレだから皆スルーして
842名無しさん、君に決めた!:2007/09/18(火) 22:25:00 ID:???
コジロー「なぁなんか聞こえないか?」
ムサシ「さっきの蛇の仲間でしょ。」
シュル…シュル… 音は小さいが物凄い勢いで何かがちかづいてくるのに
コジローは気付いた、何かがおかしい、ここまで何の苦労もなく
元幹部が俺達の接近を許すのか?―それはない。
急に音が大きくなった。手すりから振動が伝わってくる!!!!!
コジロー「ムサシ!!!!」
ムサシ「うん!!!!」
二人は近付いて来たポケモンが何かわかっていた。
そして対策も万全の筈だった
サボネア!砂嵐だ!!!!!!一気に視界が悪くなったよし!!!
しかしそのポケモンは手すりをつたって登って来ていた、視界は関係ない
そのポケモンはハブネーク。しかもおそろしく鍛えられている。
コジロー「しまった!!」間に合わない……

自分をかばってコジローが噛まれているのをムサシは見た。
843名無しさん、君に決めた!:2007/09/18(火) 23:55:20 ID:???
>>842
まぁ…頑張れよ
844名無しさん、君に決めた!:2007/09/22(土) 17:32:56 ID:???
…………すまん。
>>838を読み終わった後で限界が来たorz
845名無しさん、君に決めた!:2007/09/27(木) 07:52:06 ID:vYkp0Cr7
捕手
846名無しさん、君に決めた!:2007/09/27(木) 20:43:34 ID:???
萌えポケ小説スレ落ちた?
847846:2007/09/29(土) 03:23:14 ID:???
自己解決しました
848名無しさん、君に決めた!:2007/09/29(土) 03:24:33 ID:???
ウィンディの人マダー?
849名無しさん、君に決めた!:2007/09/29(土) 22:41:42 ID:???
期待あげ
850名無しさん、君に決めた!:2007/09/30(日) 02:15:14 ID:???
馬鹿か。
もう来ねーよwwww
さっさと糞スレ消えろよwwwwwwww
85148 ◆8z/U87HgHc :2007/09/30(日) 13:37:04 ID:???
うひゃー、やっとこさ規制解けた。
前言った通り、近いうちにスレ立てます。
852名無しさん、君に決めた!:2007/09/30(日) 13:39:36 ID:???
>>851
お帰りです
スレ立て楽しみにしてます♪
853名無しさん、君に決めた!:2007/09/30(日) 14:07:24 ID:???
>>852
     き
     え
     ろ
     糞
     ス
     レ
     !
854名無しさん、君に決めた!:2007/09/30(日) 15:37:03 ID:???
やっと来たか
855名無しさん、君に決めた!:2007/10/01(月) 00:24:43 ID:???
>>851
スレタイはどうするんだ?
856名無しさん、君に決めた!:2007/10/01(月) 00:36:46 ID:???
       糞
       ス
       レ
       は
       終
       了
       し
       ま
       し
       た
 
857名無しさん、君に決めた!:2007/10/01(月) 00:46:46 ID:???
48が立てるって言ってるのはこのスレの次スレじゃなくて、彼の小説のスレってことでしょ
858名無しさん、君に決めた!:2007/10/01(月) 19:53:27 ID:???
>>851
楽しみにしている
859名無しさん、君に決めた!:2007/10/01(月) 22:48:58 ID:???
某戦争スレやドラえもんスレの最期を考えると、
ポケ板の個スレは完全な死亡フラグ
860名無しさん、君に決めた!:2007/10/01(月) 23:03:13 ID:???
某戦争スレは単に作者が書くのめんどくさくなったら終わったって感じで、
スレの雰囲気は概ね良好だったじゃあないか。
861名無しさん、君に決めた!:2007/10/01(月) 23:17:09 ID:???
>>860
やる気なくしてもしょうがないような環境だっただろうあれは…。
空気読めてない某ラフレシアスレや部屋スレから流入してきたと思われる、
○○「   」厨と、それが気に入らない奴らの争いとか。
862名無しさん、君に決めた!:2007/10/01(月) 23:42:23 ID:???
        終
        了       
863名無しさん、君に決めた!:2007/10/02(火) 01:47:59 ID:???
>>861
まあ、まともな住民がいかに作者をまともに応援するかだろうな。ポイントは。
864名無しさん、君に決めた!:2007/10/02(火) 08:14:50 ID:???
やあ(´・,ω・`)
久しぶりだねぇ 君に朝鮮人になって,しまう呪,いをかけておいた
でもね、ひとつだけ呪,いを解く方法があるんだ
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/poke/1188474940/
↑のスレに「くやしいのう」と二回書き込むんだ
865名無しさん、君にきめた!:2007/10/02(火) 16:27:03 ID:oQZ/A9Nr
48のスレってどこですか?
しりたいいいいっっ
知ってる方教えてください
866名無しさん、君に決めた!:2007/10/02(火) 22:24:09 ID:???
ポケのエロモノなら二葉のアニ板に専スレ立ってたぞ。
ちなみにそのスレのまとめWiki。
比較的未成年の書き手が多い模様。
ttp://www34.atwiki.jp/pokemon-erostory/
と、半ば宣伝してみるテスト
86748 ◆8z/U87HgHc :2007/10/03(水) 23:37:33 ID:???
>>855
スレタイは、ポケモン・ドリームワールドって感じにしようかと。
題名付けるのは難しいです。

>>865
まだ立ってませんよ。
868名無しさん、君に決めた!:2007/10/04(木) 00:25:29 ID:???
>>867
楽しみに待ってるから、立てたら教えてくだされ。
869名無しさん、君に決めた!:2007/10/04(木) 00:35:35 ID:???
消えろカス
870名無しさん、君に決めた!:2007/10/04(木) 00:43:29 ID:???
>>869
やめれ
871869:2007/10/04(木) 01:18:48 ID:???
      ∧__∧
     ( ・ω・)   嫌どす
    ノl ν/ ^ヽ
   ノ::[≡≡ノ :. 、
   i)、_; | *く;  ノ
     | ! : ::.".T~
     ノハ、_____|
872名無しさん、君に決めた!:2007/10/04(木) 04:19:12 ID:???
死ね
873869:2007/10/04(木) 14:47:48 ID:???
>>872
      ∧__∧
     ( ・ω・)   お前が死ぬどす
    ノl ν/ ^ヽ
   ノ::[≡≡ノ :. 、
   i)、_; | *く;  ノ
     | ! : ::.".T~
     ノハ、_____|
874名無しさん、君に決めた!:2007/10/04(木) 17:14:07 ID:???
,,wwww,,
    ;ミ~    \
    :ミ       |
    rミ  (゚)  (゚) |
    {6〈     |  〉
   ヾ| `┬ ^┘イ|   <糞スレをどがいせなきゃアカンwwwww
.    \ | -==-|/  
    /|\_/
   /  |\/|\
875名無しさん、君に決めた!:2007/10/04(木) 19:19:41 ID:???
で、なんでこのスレは変なのに粘着されてんの?
糞文書いて叩かれた奴がファビョッた?
876名無しさん、君に決めた!:2007/10/04(木) 21:33:47 ID:???
今新しい短編書いてる。

全然筆が進まないがな……orz
息抜きにさっくりしたベリーショートとか書きたいんだけど、何かリクエストある?
877名無しさん、君に決めた!:2007/10/04(木) 21:45:56 ID:???
とりあえず聞きたいのは、誰なのかということだ。
878名無しさん、君に決めた!:2007/10/05(金) 01:23:58 ID:???
>>876
前にも書いたが、書きたくてウズウズしてるくせにリクエストを聞いてくるいやらしい根性が大嫌い
ここの住民は餓えてるから「期待している」とか返信する
すると、自分が求められているんだ!と悦に浸りだす
なので感想が書かれないと拗ねて、またレスされるまで投下しようとしない
労が報われないしね
でも卑しいレス乞食だよ、お前は
本当に書きたかったら、んなこと聞かずにとっくに投下してるぜ?
そういう厨房精神な奴の書いたモノなんざ、餓えた住民にしか通用しない、読まれないゴミみたいな文章に過ぎない
だから、期待してないから書かなくていいよ
879名無しさん、君に決めた!:2007/10/05(金) 01:28:21 ID:???
実際、ウィンディの投稿者もレス乞食野郎で案の定、駄文を投下して住民から叩かれたら、二度と来ないと宣言して消えた
だから駄目なんだよ、ここは
880名無しさん、君に決めた!:2007/10/05(金) 04:19:36 ID:???
自分勝手なやつだなあ。
大嫌いだからどうした、期待してないからどうした。
空気をまったく読まず、自分の感情のままに他人を叩いてどうする?
お前のやってる事は、ただの自己満足。
しかも不快感をバラまく、もっとも迷惑な類の自己満足さ。
自己満足が悪いというわけではないが、せめてその悪臭…
他人を不快にさせるだけの、そのキツい体臭をどうにかしてもらいたい。

要するに、叩いてるヒマがあったらお前も書けってことよ。
お前の価値観なんかは誰も一切求めてないが、小説ならみんな求めてるぜ。
881名無しさん、君に決めた!:2007/10/05(金) 07:45:17 ID:???
>>880
はいはい、レベル低い住民はこれだからね
せいぜい乞食に温かい言葉でも恵んであげれば〜
それとも痛いとこつかれた本人涙目wwwwってか
882名無しさん、君に決めた!:2007/10/05(金) 08:48:45 ID:???
小説ってさ、自己満足を他人と共有するツールのもっとも代表的な物の一つじゃんか。
他人が関わる以上、書きたいから書くだけな奴なんていねーだろ。
書きたくて、その上で書いた物を読んでもらい評価されたいから書くんだ。
評価を得たいからこそ書く。
評価を得たいからこそ精進する。
他人の目、反応こそが物書きの一番の栄養。
書き続ける活力を生み、成長を促す。物書きの生命線だ。
金とか出ないこんなインターネット上では尚更だろ?

レス乞食などとさも悪そうに言うが、どこが悪いだろう?
評価を得たい、反応が欲しいと思うのは何も悪くないし、
そう思うほど、そう意識するほど早く成長していくものだ。
というか、人目を気にせず成長することなど有り得ない、
そもそも人目を気にしないという事自体有り得ない、という話だがね。
883名無しさん、君に決めた!:2007/10/05(金) 08:59:05 ID:???
>>882
先生!涙目wwwとか先に言い出しちゃうやつの方が例外なくレベル低いと思います!
884名無しさん、君に決めた!:2007/10/05(金) 12:25:54 ID:???
>>882
日本語読めても、内容理解出来てないタイプかw
当たり前なことを講釈して気持ちいいかい?
気持ちいいんだろなー、馬鹿だから
んなことは皆が判った上で、投稿してるぜ
そしてレスがあることを期待しながらも口には出さずに、書いてるよ
‥が、自ら先にレスを要求してから書こうなんざ志の低い輩がいて、それでいて「希望があれば書きますが」なんて言い訳する
こういう奴こそ、乞食根性というの
おわかり?
ま、わかんねえだろうから、乞食にはやく恵んでやりなよ
じゃないと、書いてくんないぞwwwwwwww


>>883
揚げ足取り乙
885名無しさん、君に決めた!:2007/10/05(金) 14:04:02 ID:???
へえ
まー、何ともっともらしい事を捲し立てようが、
結局はお前が空気が読む事の出来ないアホであることに変わりないじゃんか
どんなに「俺はこいつらとは違う」をアピールしようがさあ、感情丸出しで叩いちゃったら馬鹿だって、ただの・・・
わざわざ自分を低いとこに持ってくなよwホームレスに石投げ付ける厨房かよ
んで、そんな奴が志の低さやレベルの低さを指摘ってのがちゃんちゃらおかしいわけなのよ
説得力皆無な戯言、無能力者の遠吠え、馬鹿の叫喚、思春期の気の迷い
それとも、やっぱりただ煽って荒らしたいだけかい?
886名無しさん、君に決めた!:2007/10/05(金) 14:30:46 ID:???
感情丸出しだってよwwww
はは、満足かい?
はやく恵んでやれよwwwwwwww
887名無しさん、君に決めた!:2007/10/05(金) 14:40:11 ID:???
あと働けよ、自宅警備員wwww
888名無しさん、君に決めた!:2007/10/05(金) 14:44:28 ID:???
>>887
そのセリフさあ、返そうと思えばそっくりそのままお前に返せるぜ?www
889名無しさん、君に決めた!:2007/10/05(金) 15:38:00 ID:???
荒らしに構うやつも荒らしという言葉があってだな
890名無しさん、君に決めた!:2007/10/05(金) 17:18:13 ID:???
ヒカリがオシッコ漏らしたSS書いてください
期待して待ってます

こう言えば喜んで書いてくれるんだろ?
乞食はwwww
891名無しさん、君に決めた!:2007/10/05(金) 21:49:45 ID:???
>>877
私が書き上げたのは>>289-297。その後は主に批評をしてた。

>>878
うん、書きたくてウズウズしてる。
何故なら、本命の短編が止まってしまって、息抜きにさっくりしたものを書きたいから。
私の場合、自分で書きたいものを書こうとすると設定練りこみすぎて全然さっくりにならないんだわ。
だから、何かリクエストをもらえれば、それで何かをさっくり書いてみたいなって思ったんだよ。
別に求められてなくても良いんだよ、自分が書きたいだけだから。
リクエストっていう言い方が悪かったか? じゃあ、「何か課題を下さい」って言えばよかったか?

それと、叩かれたら出て行くってのは別に悪くはないと思うぞ。
「叩き」ってのは単なる誹謗中傷を指す言葉だろ。自己防衛のために出て行くのは別に恥ずかしくは無い。
(尤も、本気で作家やろうとしたらそれらの叩きを受けなきゃならんから、本業作家に向く人物でないのは事実だろうが)
ただ、正当な「批評」を下されてファビョって出て行ったのなら、お前さんの言うとおりの厨なんだろうけど。


つか、自分のせいで変な流れになったっぽいな。
本当にすまんかった。
892名無しさん、君に決めた!:2007/10/06(土) 00:36:25 ID:???
そもそもここの板で小説書くのに無理がある
ドラえもんスレ見てるととくに
893名無しさん、君に決めた!:2007/10/06(土) 00:57:04 ID:???
>>891
うん、アンタの言う通り
リクエストがあれば書きますが‥なんて、さもしい物言いせずに最初からお題募集って言ったなら、気にならなかったよ
書こうという意志は尊重するから、変に周りを伺ったり、何かを求めてから書こうとするような弱さを克服して投稿してほしい
そうしたら、きちんといい作品が書けるようになると思う

レス乞食野郎呼ばわりは訂正するよ
894名無しさん、君に決めた!
馬鹿が、『誰かに気に入らないと思われないように発言に気を遣え』が正解だろが。
周りを伺わず、何も求めねぇで書いた文章なんてクソにしかならねえぞ。
ったく、読むだけで、書いて投稿する経験のねえ奴は何も分かってねえな。
そういうやつが想像で出しただけの綺麗事じゃあ、書き手は成長しねえし納得もしないぜ。