>>664 「………………」
ある部屋の中…机の上に置かれた何の変哲もないタバコとライター。
そして、その前に座っている1人の桃毛の少女…マイ。
(…私は敵なんだ……アヤ達の……敵…なんだ…)
マイはタバコと見つめながら、何かを思うように、じっと黙っていた。
「よし……やるぞ…どうせ私なんか…」
ふと決心したのか、手を伸ばすとタバコを取る。
恐る恐る1本だけタバコを摘み出し、そのまま手にした。
そこから片方の手でライターを取って着火させる。
シュボッ!
小さく発火音を飛ばした後、ライターに火が点る。
「……これをつければ…」
震える手で何とかタバコをライターに近付け……火をつけた。
すぐに火が広がり、タバコの先端は淡く燃える。
タバコ独特の匂いが微かに漂いマイの鼻をくすぐった。
「ん、んっ…これが…タバコなんだな…」
少し顔をしかめながらも、マイは手に持つタバコを口の方に上げていき…。
「………」
柔らかい唇とタバコとが密着して、口に含まれる。
しかし、マイはタバコの吸い方というものを知らなかった…当然といえば当然だが。
「………吸ってみればいいか…?」
マイは口にタバコをくわえたまま、ぽつりと呟く。