スーパーロボット大戦のラミアたんはエロカワイイ

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619名無しさん、君に決めた!
(一体何故、こんなことに――)

 ラミア・ラブレスは、ラー・カイラム右舷第三デッキを駆け抜けながら、混乱した思考を必死に
まとめようとしていた。
「いたぞ、こっちだ!」
「シャッターを下ろせ!」
「こんにゃろう! 人造人間めっ!」
 かつて仲間だった者達の罵声が背に突き刺さる。銃弾は足元の床をはじき、ラミアは
横っ飛びに転がって今にも閉じようとしているシャッターの隙間をすべり抜けた。


 ツヴァイザーゲインにしがみついて自爆装置のキーを叩いた時、これですべてを
終わらせられる、と思った。
 もとより道具として生まれた命である。それがこんな生き方を知り、こんな死に場所を
与えられただけでも充分すぎる人生と思わなければならない。死ぬことにためらいはなかった。
生き延びる望みなど万に一つもかけてはいなかったが、しかし単独での次元転移作戦用に
特別にチューンされたアシュセイヴァーの装甲は、カタログスペックよりもだいぶ頑丈だった
らしい。自分がまだ生きていること、そしてロンド・ベルの面々が救助にやって来ることを
知ったとき、心の底から喜びが湧いてきた自分にいささか驚いたものだ。
 ラー・カイラムに収容され、ハッチがこじ開けられた。目の前にいたのは、一人の男だった。
「貴様、W17!」
「……!?」
 最初、白昼夢でも見ているのかと思った。そこにあるものが理解できなかったが、
おそろしい速さで向けられた銃口に、体の方が勝手に反応していた。
 二発の銃声が、与圧された格納庫内に響きわたった。
「逃がすなッ! シャドウミラーの残党だ!!」
 アクセル・アルマーの鋭い声が飛んだときにはもう、コクピットから飛び出したラミアは
積み上がった貨物の陰をくぐるようにして格納庫の出口へ向かっていた。
620名無しさん、君に決めた!:05/03/05 14:04:53 ID:???
(アクセル隊長が、何故――!?)
 彼のラーズアングリフはあの時確かに、ラミアがその手で破壊した。脱出装置も働いて
いないのを確認している。間違いなく死んだはずの彼が生きていて、しかもラー・カイラムに
おり、自分を残党呼ばわりする――。わからないことだらけだったが、本当の衝撃はその
直後にやってきた。
 通路の角を曲がったところで、ケーン・ワカバとはち合わせたのだ。
「ワカ…」
 見知った顔に会えた、と思ったのもつかの間。ケーンは躊躇なく腰のホルスターから
拳銃を抜いて、ラミアに向けた。
「ワカバ准尉!?」
 幸いなことにケーンはパイロットとしては優秀でも、それ以外の軍人としての能力は
並以下だった。愕然とし、自失し、立ち直るのにかかった時間を差し引いても、まだ引き金が
引かれる前に身をかわす余裕は充分にあった。
 ケーンの横をすり抜け、走り去るラミアの背中に、さらに信じられない言葉がかぶさってきた。
「アクセル、ライト、ここだ! こっちへ逃げたぞ!」
「まだ生きてたのか! あのやろう、ふてえアマだ!」
621名無しさん、君に決めた!:05/03/05 14:05:48 ID:???
(――隊長がロンド・ベルに潜入し、懐柔したのだろうか)
 居住ブロックの誰もいない部屋へ潜り込み、ひとまず追っ手の目をのがれたラミアは
こんがらかった思考をまとめ、ひとつの結論に行き着いた。
 机の上に時計がある。カレンダーの日付を見ると、ラミアが自爆した日から一ヶ月以上が経過
しているらしかった。そんなに長い間意識を失っていたはずはないから、次元転移爆弾の作用で
時間を飛び越えでもしたのだろうか。
(一ヶ月――それだけあれば、ロンド・ベルの人心を掌握できるだろうか?)
 できるかもしれない。ロンド・ベルは軍人ばなれした甘ぬるい人間の集まりで、投降した敵を
仲間として受け入れるなどというのはしょっちゅうだった。潜入工作のエキスパートである
アクセルならば、改心した善人を演じて入り込むくらいは朝飯前かもしれない。
 そして、そのための材料として、ラミアを利用したのかもしれない。すべてを告白して
ロンド・ベルの仲間になったように見せかけて、やはりシャドウミラーのスパイだった、とでも
言ったのか。何しろ最初は本当にスパイだったのだから、叩けば埃はいくらでも出てくる。
そうした告発によって、信用を得ていったのだろう。
(しかし――――しかし、)
 仲間だと思っていた。人形の自分にも、帰る場所ができたと思っていた。それは幻想だったの
だろうか。人形はしょせん人形にすぎず、信頼だと思っていたものは二言三言の嘘で簡単に
ひっくりかえるような、うつろな絆にすぎなかったのだろうか。
 自分に銃を向けた、ケーンの顔を思い出す。その表情に、かつての仲間に対する気遣いなどは
微塵も存在していなかった。母を使って彼を陥れたことを、彼はやはり許してはいなかったのか。
 壁のハンガーに薄汚れた作業着がかかっている。ここは整備員の共同寝室らしい。ハンガーの
横にはおびただしい数の写真が貼り付けられており、そのうちの一枚に見覚えのある顔が
写っていた。整備班チーフの一人で、寝返る前にも後にもアシュセイヴァーを担当してくれた。
そそっかしくて、アストナージによく叱られていたが、気のいい男だった。彼もまた、いま自分に
会えば銃を向けるだろうか。
 白い大きな紙を、真っ二つに引き裂くような、そんな音が胸の奥で聞こえていた。
622名無しさん、君に決めた!:05/03/05 14:07:40 ID:???
非常事態を発令する。シャドウミラーの生き残りが一名、艦内を逃走中。右舷第三デッキの
クルーは、一次戦闘要員を除いてデッキから待避せよ。標的は拳銃で武装している》
 ブライト艦長の無情なアナウンスが、サイレンと共に流れた。
 いっそ、このまま抵抗して射殺されてしまうのもいいか。汗くさいベッドの上に項垂れて、
ラミアはぼんやり考えた。死の覚悟はもう二度も済ませた。戦いは終わり、次の任務もない。
受け入れてもらえると思っていた場所も失われた。自分が生きているべき理由など、もはや
一つも残っていない。
(――――いや)
 まだ、ひとつだけある。
 ラミアは、ゆっくりを頭を持ち上げた。
 たとえ自分を受け入れてくれないとしても、ロンド・ベルはラミアにとって守るべき場所に
変わりない。その場所に、禍根を残したまま死ぬことはできない。
 アクセル・アルマー。彼だけは、この手で始末しなくてはならない。
 元々、自分が撃ちもらした標的だ。それに仮にもロンド・ベルの仲間である彼を殺せば、
ヒイロか誰か、比較的容赦のない連中がその場で自分を殺してくれるだろう。文字通り、最後の
ミッションだ。後腐れがなくていい――。
 ラミアは立ち上がり、するどい眼差しで虚空を見据えると、脳裏に浮かべた艦内の地図に、
自分を包囲しているであろう追撃隊の動きをシミュレートし始めた

 
623名無しさん、君に決めた!:05/03/05 14:09:44 ID:???
アクセルの性格からして後方で指揮を執っていると思ったが、案に相違して最前線にいた
のは好都合だった。しかも、たった一人で。通風口をくぐって移動したラミアは、アクセルが
反応するより速く背後をとって引き金を引いた。
 しかし、幸運はそこまでだった。超人的なレベルまで強化されたWナンバーズの身体能力を
さらに上回る怪物――ガンダムファイターの存在を失念していたのだ。必殺の銃弾は空中で
つかみ止められ、ラミア自身もあっさり取り押さえられて、尋問部屋代わりの反省室で今、
両手を縛られて座らされていた。
 机の向こうにいるのはブライト、アムロ、アクセル。それに暴れ出したときの用心のつもりか、
隅の方にアルゴが腕を組んで控えている。ブライトとアムロはこういうことに慣れていないの
だろう、いささか緊張気味なのが見てとれるが、アクセルはさっきから油断のない目つきで
こちらを睨み据えていた。最初にコクピットの中でラミアの撃った右腕に包帯を巻いている。
 沈黙を破って、ブライトが口を開いた。
「色々訊きたいことがあるが、まず……」
「まず一つだけ喋らせて欲しい」
 ラミアがその枕を押さえた。ブライトがひるんだ隙に、間髪入れず言葉を重ねる。
「そこにいる男のことを、あなた達はどれだけ知っているのか」
 アクセルの方を目で示す。アクセルが片方の眉だけをぴくりと上げた。アムロが答える。
「彼はかつて君と同じ、シャドウミラーのエージェントだった。今は俺達の仲間だ」
「それは嘘だ」
 簡潔に返されて、アムロも鼻白む。ラミアは休まず続ける。
「アクセル隊長は私の知る最も優秀な工作員だ。どんな顔をして、どんな嘘を吐くこともできる。
彼がどうやってあなた達の信頼を勝ち得たのか知らないが、賭けてもいい、それは虚偽だ」
「そこまでにしてもらおう。仲間の中傷を聞くつもりはない」
 ブライトが手を上げると、アルゴがずい、と前に出てくる。まだだ。まだ黙るわけにいかない。
せめてわずかでも、警告を残しておかねばならない。
624名無しさん、君に決めた!:05/03/05 14:11:15 ID:???
「その男は必ずロンド・ベルを害する。そのためにロンド・ベルに入り込んだのだ。私のことを
信じなくても構わない、処刑されてもいい。だがこれだけは聞いてほしい、アクセル・アルマーに
心を許してはいけない」
「W17、女性に暴力的な手段をとりたくはない。それ以上」
「聞け!」
 ラミア、とさえもう呼んでもらえないのか。悔しさを胸にたたんで、ラミアは腹の底から声を
しぼり出す。
「それがあなた方のやり方だということは知っている。私もそれに救われた。だが、今度だけは
相手が違う。アクセル隊長は強い、信頼にほだされて刃を鈍らせるようなことはしない。彼を
そのままにすれば、ロンド・ベルは破滅するかもしれないんだ。お願いだ、かつて短い間だが
ともに戦った、そのことをわずかでも重んじてくれるのなら、私の言葉を聞いてくれ。今信じなくても
いい、せめて憶えておいてくれ。彼にロンド・ベルを滅茶苦茶にさせないでくれ。
 聞いてほしい。頼む……」
 言うべきことを言い尽くすと、声はかすれて消えた。ブライトとアムロは戸惑ったような顔を
して黙り込んでいる。アルゴも肩をいからせて前に出てきたまま、その力の置き場所に困って
いるようだった。
「あー……」
 居心地の悪い沈黙に耐えかねて、ブライトがあいまいな声を出す。そこへ、それまでじっと
ラミアを凝視していたアクセルが、初めて口を出した。
「ちょっと待ってくれ、艦長。思いついたことがある」
625名無しさん、君に決めた!:05/03/05 14:12:16 ID:???
ブライトの代わりに正面の椅子に座る。しずかに自分を見据えてくる紅玉色の瞳を、ラミアは
つよく睨み返した。
 生みの親であるレモンからと同じくらい、多くのことをこの人に教わった。たとえ人形としか
見てくれなくても、自分にとって父のような、兄のような人だった。いつか超えてみせたいと
思っていたその人を、自分は最後に止めなくてはならない。たった一人残った彼の教え子として、
彼のたくらみは自分が阻止しなくてはいけない。
「一つだけ答えろ。オペレーション・ナンバー139のエージェントに選ばれたのは誰だ?」
「!?」
 ラミアは目を丸くした。アクセルは相変わらず静かな瞳で黙っている。
 オペレーション・ナンバー139とは、ロンド・ベルに潜入して内部攪乱を行う作戦のことだ。
そのエージェントといえばラミア自身にほかならず、それを命令したのは目の前のアクセルで
ある。なぜ、そんなことを訊くのか? 狙いのある質問だとしても、その意図がさっぱり
つかめない。
 混乱するラミアを、アクセルは黙って見ている。その視線でなんとか落ち着きを取り戻し、
一言、一言を叩き返すように、ラミアは答えた。
「オペレーション・ナンバー139のエージェントは、W17。この私だ」
 それを聞いて、アクセルの表情の上をなにものかが走った。ラミアにはそれが何であるか
わからなかったが、アクセルの顔は徐々にゆがんでいき、やがて彼はやおら一つ机を叩くと、
体を二つに折って大声で笑い出した。
 ブライトもアムロもアルゴも、むろんラミアも呆気にとられて、心底愉快そうに笑う彼を呆然と
見つめた。ひとしきり笑うと彼は身を起こし、さっきまでとは別人のような朗らかさで言い放った。
626名無しさん、君に決めた!:05/03/05 14:13:39 ID:???
「もう大丈夫だ、艦長。手かせを外してやってくれ。こいつは敵じゃない、賭けたっていい」
 まだくすくす笑いながら、アクセルは机をまわりこんでラミアの側へやってくる。おそるおそる
見上げると、プラチナブロンドの髪にぽん、と手を置いて、紅玉色の瞳で見下ろされた。
「先にお前から種明かしをしてやろう。ここは、お前のいた世界じゃない」
「…………あ………!」
 その一言で、すべてのパズルが噛み合う音がした。

「そうか。そっちの世界でも、ヴィンデルは敗れたか」
「はい。シャドウミラーの生き残りは、私一人です」
 ラー・カイラム内の、アクセルの私室。お互いに状況を納得し、拘束を解かれると、ラミアの
身柄はひとまずアクセルに預けられた。さっきまで、事情を説明された追撃隊の面々が
ひっきりなしに謝りがてら見物に来ていて――こういうところが実にロンド・ベル的だ、と
ラミアは思う――ようやく一段落して落ち着いたところである。
「しかし聞いてみると、そっちとこっちの世界は驚くほどそっくりだな。俺とお前の立場が
入れ替わっている以外、ほとんど何もかも一緒だ」
「だから、今回のようなことが起きたのかもしれません」
627名無しさん、君に決めた!:05/03/05 14:14:35 ID:???
最重要任務の一つであるオペレーション139に、アクセルとラミアのどちらを使うかは、
ヴィンデルとレモンの間で最後まで意見が分かれていた。その天秤がこちらに傾いたのが
ラミアの世界であり、あちらに傾いたのがこの世界というわけらしい。考えてみれば次元転移弾を
使ったのだから、想定して当たり前の事態だった。なぜ思い当たらなかったのか、不思議な
くらいだ。
 話のあいだにすっかりぬるくなったコーヒーをすする。アクセルの好きな、ブランデー入りの
ブラックコーヒー。アクセルはカップを左手で持っていた。
「……申し訳ありません。痛みますか」
「どうということはない。お互い、初弾で仕留めなくてよかったな」
 おだやかに笑う。これが本当にあのアクセル隊長だろうか、とラミアはあらためて思う。
彼女の知るアクセルは、つめたい鋼鉄の線を編み上げて作った鞭のような、剛靱で、
しなやかで、苛烈な男だった。あの、尋問室での馬鹿笑い。あんな表情がこの人にあるなんて、
想像したこともなかったというのに。
「しかし、お前にあんな顔ができるとはな」
 思っていたのと同じことを言われて、ラミアの心臓がどきん、と跳ね上がった。カップの
コーヒーがこぼれそうになる。
「氷のWナンバーが今にも泣き出しそうな顔で、お願いだから聞いてくれ、ときたもんだ。
あのお前をそこまで変えるとは、恐るべきはロンド・ベルって奴だな」
628名無しさん、君に決めた!:05/03/05 14:30:28 ID:???
転載乙
629名無しさん、君に決めた!:05/03/05 15:00:12 ID:???
(・∀・)イイ!!(・∀・)イイぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!

アクセル萌え━━━━━━━━━━!

俺はオトコだがな!
630名無しさん、君に決めた!:05/03/05 15:27:40 ID:???
なんかブライトのキャラが違う
631名無しさん、君に決めた!:05/03/05 15:31:08 ID:???
わざわざ貼るもんでもねえだろ