「こんにちはぼくなるほどくん」
・・・
場が白けてしまった・・・。どうやら外したようだ・・・。
「おいおいおい!成歩堂!つまんねーよぉ!」
あぁ矢張が突っ込んでくれた。
僕は助かったと思いつつ改めて自己紹介をし、
御剣、矢張と続いた。
そうこうする内にお茶が運ばれてきた。
「おまちどうさまでした。ハイどうぞ」
そう言って持ってきたのは若い女の子だった。
オーナーと山野さんもやってきた。
「ああ間宮君、あの荷星さんにも声掛けてきてくれないか?」
「えー私嫌だなぁ」
「あぁ、嫌ならいいんだ。あんまり人付き合い良さそうなタイプじゃなかったし。
そう言えば、君達のお連れさんは?」
「いやちょっと気分が悪いらしいので部屋で休んでます」
「お茶はいいかな?」
「あ、いや飲みたかったら降りてくると思うので気にしないで下さい」
僕は真宵ちゃんの事がちょっと気になったが、
1人にして欲しいと言っていたのでほっておく事にした。
先程の従業員らしき女の子は、
「あ、私間宮由美子と言います。何か御用がありましたら遠慮なくお声をお掛け下さい」
と言って、行ってしまった。
しばらく雑談をしていると、カランコロンと誰かがやってきた。
「いやー参ったわぁ。吹雪ってもんじゃないわぁー。」
「あ、大沢木様お待ちしておりました。大丈夫でしたか?」
「ほんま大変やったわぁー。ワイパーは凍るし、ヒーターは効かないしで散々やったわぁ」
「夕食の方は終わってしまったんですが、簡単な物ならお作りになれますが如何ですか?」
「いや途中で色々と食べながら来たんで結構ですわ、あ、あたしにもお茶もらえるかいな?」
「はい、では少々お待ちください。ここでいいですか?なんならお部屋の方にお持ちしますが」
「いやここでええですわ」
「では只今お持ちします」
その女性は部屋に荷物を持っていったかと思うとすぐに降りてきた。
「いやぁここに凍えそうな人間がおるっちゅーのに、みんな暖かそうでんなぁ」
と言って、ソファに座り込んだ。
「あ、言い忘れとったなぁ。あたし大沢木ナツミ言うねん。スクープカメラマンやっとる。みんなよろしゅうなぁ」
と、自己紹介をした。
その内にナツミさんへのお茶も届いた。
少しすると、
「なぁなぁあんたら聞いたことあらへん?このペンションの奇妙な噂」
ナツミさんが少し大きな声を出した。
みんな、何の事だか分からず首を捻ってる。
「なに?その噂って」
みんな興味深々だ。
「いやな、このペンション出るらしいんやけど、聞いた事あらへん?」
出るって何が?
僕が頭を悩ませていると、誰かが聞き出した。
「出るって?何が出るの?」
僕の心を読んだかのように美佳ちゃんが聞いた。
「あのな・・・ユウレイっちゅーやつや」
「大沢木様!おかしな噂を立てないで下さい・・・」
オーナーが引きつった顔をして怒っていた。
「異議あり!」
やはり御剣だ…。
「私達はこの話を聞く権利がある!邪魔をしないで頂きたい」
『「幽霊でも見たんじゃないかな」僕は真剣な顔で言った。』
僕のこの言葉が御剣も矢張も引っかかっている様子だった。
僕もとても気になる。
ナツミさんが口を開こうとすると、
「ギャーーーーーーーーーー!!!」
悲鳴が聞こえた!
男の声だ。
みんな一斉に2階を見上げる。
すると一人の男が凄い勢いで走って降りてきた。
「ど、どうしたのですか荷星様。」
「ま、窓の外に女の人の顔が・・・」
男は言った。
「やっぱりな。ここには出るんヤ」
「俺かぁ?」
矢張がボケた…場は更に冷え切った。
「ちゃうっちゅーの!!!!!ユウレイが出るちゅってんのや」
「大沢木様!」
「ミスターアウチ、どうなんだい?
ユーのその驚き様では出るってスピーキングしているみたいにミーは聞こえる。」
「そ、それは・・・。」
すると2階から真宵ちゃんが降りてきた。
「あれ?みんなどうしたんですかー?」
「いや、ちょっとね・・・」
僕がそう言うと、ナツミさんは
「あんた見なかった?ユウレイ」
真宵ちゃんの目がキラリと光・・・った気がした。
「いえ?見ませんでしたよー」
あれ?さっき僕等と居た時の事を忘れてるのか?
僕がそう思ってると、
「ところであんさん誰や?けったいな格好してるけど」
「けったいって言われたよナルホド君・・・」
「まぁまぁ」
僕はなだめた。
「えっと綾里真宵です。この服は霊媒師の卵の修行服なんですー!」
周りがちょっとざわめいた。
まぁ霊媒師の卵なんてそうそう会えないし怪しいししかたないか。
するとナツミさんは少し首を捻った。
「あんた、綾里言うんか・・・?もしかして・・・舞子って知ってるか?」
「!?!?!?!?!?」
ギクゥ!!!!!!
そんな音がしたような気がした。
「な、な、な、なんでお母さんの名前を!?」
そう言えば真宵ちゃんの母親の名前も舞子だったな…。
「やっぱりそうやったか。綾里で霊媒師って言えばな・・・」
そう言って少し悲しい顔をした。
そしてナツミさんは少し考えた後、
「おっしゃ、ここで会ったのもなんかの縁やろ。ここで何があったのかも知らんやろうし話したろか?」
「大沢木様!!!」
オーナーは異様に汗をかいている。
どうやらさっきのギクゥ!!はオーナーだったようだ。
「少なくともこの真宵って子だけは聞く権利があるんとちゃうんか?」
「そ、それは・・・」
「そしてそれはさっきのユウレイの話とも繋がっているんやし知ってもらった方がええんちゃうか?
余計な言い訳せんでもよくなんで?」
なんだって!!!!?
ざわ・・・
ざわ・・・
周りのざわめきも最高潮に達したようだ。
全員困惑した表情だ。
「し、しかし・・・」
「ナツミ様、オーナーが嫌がる理由も分かって下さい」
間宮さんだった。
「そらな、普通は変な噂立てられたらペンションの経営に関わるっちゅー事で困るわなぁ。
けどな、そう言う意味で嫌がっとるんとちゃうと思うで」
ギクゥ!!!!!!
「ど、どういうことですか!」
亜内さんが大声を張り上げた。
異様に汗をかいているのが気になる。
「いやな、あたしの手に入れた情報によるとなぁオーナー、あんたもユウレイにからんどるんとちゃうか?」
ギクゥ!!!!!!!!!!!!!
オーナーは黙ってしまった。
ナツミさんはそれで同意を得たと思ったのか、話を始めた。
「昔、そう15年前の事件の事やった。
DL6号事件と呼ばれる事件や」
DL6号事件だって!
あの御剣の父親が殺された事件なのか!?
「この間狩魔っちゅーおっさんが真犯人として捕らえられた事件や。
あの事件は本来灰根っちゅー検事が犯人だとされていた。
そう、そこの真宵っちゅー子の母親の舞子って人が交霊術で御剣っちゅー被害者の霊を呼び出してなぁ」
「待った!!!」
御剣だった。
「その被害者は私の父だ」
「なんやて?ほんまか?あはははははは」
ナツミさんは大声で笑い出した
「奇しくも被害者の2世が集まったっちゅー事かぁ。
・・・話を続けるで。
でなぁ、その彼女は被害者の霊を呼び出したわけや。
その被害者は殺された時同じくエレベーターに乗っておった灰根高太郎を犯人だとしたっちゅーわけや。
まぁ、その時そのエレベーターに乗っておったのはそこの彼と灰根しかおらへんかったから、
そう導かれるんはしゃーないやろぅなぁ。
しかしやな、灰根の弁護士はエレベーター内は密閉されておって酸素も薄く、っちゅー事から精神に異常をきたしておった。
ゆーわけや。その主張が通り、灰根は無罪となった。
そして彼女はマスコミから多大なバッシングを受けた。
インチキ詐欺師とも呼ばれとった。
その後彼女は姿を消した」
ここまでは僕も知ってる。
その後語られなかった事実が今分かるのだろうか?
真宵ちゃんは涙ぐんでいた。
「続けるで。彼女は幼い娘2人を残していってしまった。
彼女も娘の事が気がかりやったんやろな。
彼女はウチのオトンと仲がえかった。
ちゅーても男女の仲やないで。
中学生の時の同級生やったんやな・・・ん、ん。
まぁ、それでやな彼女はウチのオトンに娘達の事を託し、消えたんや。
彼女は行く所が無かった。
当然やろな。どこ行ってもマスコミの目が光っておるからな。
そして夏のある日このペンションに来た。
ここはスキー場やから夏なんちゅーもんは人が全然おらんくて、隠れるにはもってこいや。
そこで彼女は見つけてしまった。
オーナーあんたをや」
「な、何故私が関係するのですか!」
確かに。オーナーはとても関係が無い気がする。
「まぁ話は最後まで聞けっちゅー事や。
そもそも彼女の霊媒が何故一般に広まったかっちゅーことや」
「ちょ、ちょっと待ってください。それは星影弁護士がとあるマスコミに漏らしたからでは?」
僕は星影弁護士にそう聞いていた。
何か違ったのだろうか?
「星影のオッサンはそう思い込んでただけやったのやろな。
そのマスコミも最初は彼女をユスルだけのつもりやったみたいやで」
「最初は世間に公表する気はなかった・・・と?」
「そうや。しかし、どこで情報が漏れたのかある週刊誌に載ってしまった。
当然そのマスコミもバレタんならもういいやろって事で一部始終週刊誌に載せた。
ここから酷いバッシングが始まったっちゅーわけや。
では、そもそも誰が週刊誌に流したかっちゅーことやが・・・」
「ソコノモトケンジノアウチガ・・・」
い、今の声は誰だ!?
「キャァァァァァ!!!」
!?!?!?!?!
周りがざわついている。
振り返ると真宵ちゃんが・・・空に浮いていた。
顔は鬼のような形相になっている・・・。
それは既に真宵ちゃんのとは何かが違っていた。
ヒュッ・・・
何かが僕の目の前を走った。
ぐぅぁ・・・
うめき声だ。
オーナーの首に髪の毛が絡みついている。
オーナーの顔はみるみる内に青ざめ白く濁っていった。
僕は正気に戻り真宵ちゃんの元に走った。
御剣と矢張も同様に走った。
「真宵ちゃん!止めるんだ!」
「止めろ!」
「何やってんだよぉ!!!!!!!!」
僕は無我夢中抱きしめた。
ふと真宵ちゃんから力が抜けていくのが分かった。
気が付くと真宵ちゃんは床に伏せっていた。
どうやら気を失っているらしい。
僕等はひとまず真宵ちゃんを部屋に連れて行った。
社長やOLさん達も部屋に戻ったようだ。
「何が起こったんだよぉ!!!!!!!!!!!!!」
「説明してもらおうか」
そうか、そう言えば御剣と矢張は真宵ちゃんの霊能力を知らなかったのだ。
「真宵ちゃんが霊媒師だって事は知ってるよな」
「冗談じゃなかったのかよぉ!!!!!!!!」
「本気だったのか・・・」
「あぁ、綾里一族は霊媒師だったんだ。
簡単に言うとイタコのようなもんだな。
多分・・・ここから先は僕の想像だけど、恐らく・・・真宵ちゃんのお母さん、舞子さんが降りてきたんだと思う。
ここで何が起こったか、そして何故オーナーがやられなきゃいけないのかはイマイチ分からないけど、
舞子さんはオーナーを酷く憎んでいるんだと思う。
そして、ナツミさんの話を聞いて一時的にトランス状態に陥った真宵ちゃんに降りてきたんだと思う」
「なら大沢木さんに話を聞くのが先決だな」
「あぁ・・・」
「じゃぁちょっくら呼んでくらぁ」
少しすると矢張がナツミさんを連れてきた。
「なんや?」
「いえ、先程の話の続きを聞かせてもらいたいと思いまして・・・」
「ただじゃあかんでー」
「え、あ、いやお願いしますよ」
「やっぱり大阪人はケチなんだぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
「ちゃうわ!あほか!大阪人がケチなんやなくてウチが個人的にケチなだけや!!
まぁ冗談や。見たところその子と関係がありそうやしな。
ただし、何があってもその子を守る事を約束出来るんなら教えてやってもええで」
A 「当たり前じゃないですか!」僕は声を荒げた。
B 「そ、それはちょっと無理かなぁ」僕は気弱になった。
「当たり前じゃないですか!」僕は声を荒げた。
「ふ・・・当然だ。私は前に一度真宵君に助けて貰っているしな」
・・・矢張は何も言わない。
僕と御剣がジロッと見ると、
「あ、当たり前だろぉぉ!!!なんだよそんな目で見るなよ!!!
死んでやるぅぅぅぅぅ!!!!!」
「ハハハ、まあええわ。ええやろ、教えたるわ。
オーナーと彼女、舞子さんに何があったか。
さっきも言ったように誰が流したかっちゅー事やが、亜内っちゅーここのオーナーやな。
公にはあの星影のオッサンが漏らしたマスコミっちゅー事になっとるけどな、
実際にはここのオーナーが流しとったんや。
ここのオーナーも本意ではなかったみたいやけど、
狩魔っちゅー検事の命令やな」
狩魔だって!!!!
ここでその名前を聞くとは思わなかった・・・。
矢張も御剣も驚いている。
「なんや、知っとるんか。
何故狩魔が命令したかっちゅー事やけど、この間DL6号事件の判決が終わったなぁ」
そうだ。
「あたしもなぁ、判決聞くまで分からんかったんやけど、結局犯人は狩魔やったんやろ?」
「ええ」
「でなぁ、ピーンと来たわけや。
拳銃が2発発射された事がポイントやな。
もしあそこに居た御剣っちゅー弁護士の息子・・・」
「私だ」
「おーそやったな。あんたが投げた時に暴発した弾がエレベーターの壁に当たったっちゅー事が判明し、
そして、灰根は確かに無罪っちゅー事が分かれば、
頭のええあんたの父親なら誰が犯人かっちゅー事は分かるやろ。
その時にまた彼女が霊を呼び寄せ聞いたなら狩魔はもっと早く捕まっていたやろ。
それを狩魔は恐れたんやろな。
だから彼女を社会的に抹殺した。
ここのオーナーを使ってな。
ここのオーナーは結局それが元で検事を辞めてここにペンションを開いたっちゅーわけや」
「じゃ、じゃぁ舞子さんはこの地でオーナーと会ってどうしたんですか?」
当然の疑問だと思った。
「あほやな兄ちゃん。
オーナーは自分が陥れた相手が客として泊まりにきたんやで?
そらビックリするやろなぁ。
オーナーは当然彼女がどうなったか知っておった。
自分が陥れた相手がどうなったか知るっちゅーのは至極当然の事や。
娘2人を置いて逃げた事も知っておった。
当然オーナーは自分を殺しに来たと思ったやろな。
あの気の弱そうなオーナーの事や、殺される前に殺せと思った事やろな。
で、殺してしもうたっちゅー訳や・・・。
まぁ、今のはウチの勘やけどな。
そうや、これもっとけや」
そう言ってナツミさんは真宵ちゃんの首飾りを外して僕に渡した。
「な、なんですか?これ」
「この子の・・・」
僕等が真宵ちゃんから目を離したその刹那・・・。
パリンッ!
ゴォォォォォォォォォォォォォオ
後ろを振り向くとガラスが割れて吹雪が吹き込んできていた。
真宵ちゃんが・・・・居ない!
「まだ舞子さんの霊が抜けていなかったんだ!!!」
「オーナーの所や!!!」
僕等はオーナーの元へ走った。
階段を下りていくと悲鳴が聞こえる。
グァァァァァァァァ
見ると真宵ちゃんが空に浮いてオーナー目掛けて蛇のような黒髪が伸びていた。
オーナーの体は宙吊りになっていた。
「ユルサナイ・・・」
酷く濁った声で声からは男か女かの判断は全くつかない。
黒い髪は鞭のようにしなりオーナーの体を打った。
「ぐぁっ!」
肩から服が裂け皮膚がのぞく。
血があたりに飛び散る。
「ぐぁぁ、止めてくれ!あれは私のせいじゃないんだ!」
今度は顔に一閃。
ピシッピシッ・・・
顔を庇った両腕が切り刻まれ、オーナーは悲鳴をあげた。
切り刻まれる度に血が飛ぶ。
僕の足元や頬にも・・・。
僕は恐怖に脅え、何も出来ずにその光景をただ眺めていた。
恐らく御剣や矢張もそうなのだろう・・・。
「ナゼワタシヲコロシタ・・・!!!」
「あ、あれはあんたがこのペンションに泊まりに来たから!
私を殺しに来たんじゃないのか!!!
だから、だから私は殺される前に・・・!!!
あれは私のせいじゃない!!!!」
オーナーは口から泡を飛ばしながらわめいた。
「やっぱりあんたが殺したんやな」
ひどく落ち着いた声でナツミさんが言った。
オーナーは何も聞こえないと言った調子で繰り返しつぶやいていた。
「わたしのせいじゃない・・・わたしのせいじゃない・・・」
部屋の中は驚くほどの静寂に包まれた。
その時、
「ユルサナイ・・・ゼッタイニユルサナイ・・・!!!」
その瞬間真宵ちゃんの体は青白い光に包まれた。
そしてその青白い光は黒髪に纏わりつき、オーナーの体を絞め始めた。
ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
「はよさっきの首飾りを投げるんや!!!!」
ナツミさんの声が響いた。
僕は無我夢中で首飾りを投げた。
首飾りが真宵ちゃんに当たった瞬間、あたりは眩しいほどの光に包まれた。
この世のものとは思えないほどの苦悶の声が鳴り響いた。
しかし、首飾りが下に落ちると怒りの矛先は僕に変わった。
「ジャマハサセナイ・・・」
オーナーを捕まえていた黒髪は僕の元に伸びた。
僕は慌てて逃げようとするが、いとも簡単に掴まえられ、僕の首は絞められた。
僕の意識が徐々に飛んでいく・・・。
その時だった。
「やめぃや!!!舞子さん!」
その声が僕を急激にこの世に戻した。
いや、違う。
黒髪の力が弱まったのだ。
「ウチです。大沢木ナツミです。
大沢木夏男の娘の・・・」
「ナツオサン・・・」
「昔、真宵ちゃんが生まれた時の事。
旦那さんが死んでしまって、途方に暮れていた時隣に引っ越してきた・・・大沢木です」
舞子さんの顔は憎しみから戸惑いに変わっていた。
ナツミさんは続けた。
「舞子さんが雑誌にバッシングされた時、ウチのオトンに手紙書きましたよね?
オトンは舞子さんを探しつづけました。
舞子さんの娘さん、千尋さんと真宵ちゃんを陰ながら見守り、
その傍らで舞子さんを探しつづけていました。
しかしそのオトンも一昨年無くなりました。
オトンは敵をうつつもりだったのでしょう。
ウチがオトンの代わりする事にしました」
「カタキ・・・ウッテ」
「殺すつもりはウチにはありません。
真実を明らかにする事が目的です」
「ソンナコトハ・・・ユルサナイ!」
言った途端に部屋が揺れ動いた。
天井が揺れ木片が落ちてきた。
「ミンナコロス・・・!」
窓ガラスが割れ吹雪が部屋の中に吹き込む。
黒髪は四方八方に伸び、御剣、矢張、間宮さん、山野さんにからみつく。
僕は首飾りに向かって走った。
しかし後少しと言う所で黒髪に絡みつかれた。
慌てて指をこじ入れるが、締め上げられ喉を潰されうめき声さえ出せない。
「舞子さん!今あなたが復讐しようとしているその体は誰のですか?
真宵ちゃんのやないですか?
真宵ちゃんの手を血で汚していいんですか?
真宵ちゃんの幸せ願うんやったらもう止めてください。
ウチのオトンもそう願ってる事と思います!!!!」
その瞬間黒髪の力が弱まり、僕は転がるようにして首飾りを拾った。
その刹那青白い光が僕に向かって放射された。
僕は無我夢中で首飾りを前に出した。
激しい衝撃を予期していたが、何も感じない。
恐る恐る目を開くと首飾りの手前で熱が萎んでいた。
僕は勇気を振り絞り立ち上がり、そして真宵ちゃんの元へ向かった。
まるで首飾りが精気を吸い取るかのように、
真宵ちゃんの体は下がってきた。
「マヨイ・・・」
そう言ったかと思うとビクンと体は跳ねた。
僕は真宵ちゃんの体を抱きしめた。
力が抜けきっているその体はとても重く、後ろへよろけてしまった。
その瞬間、真宵ちゃんの体から何かが抜けるのが見えた。
青白いその光は宙に漂ったかと思うと消えてしまった。
全てが幻だったかのように部屋の中は静寂に包まれた。
御剣と矢張が僕を支えてくれた。
そして真宵ちゃんをソファに寝かせた。
僕はふらつきながら立ち上がりナツミさんに言った。
「一体・・・どう言う事だったんですか・・・?いや・・・そもそもあなたは一体・・・?」
「ウチは・・・DL6号事件が解決した時に閃いたゆーたよな。
検事と言う立場である亜内が狩魔と言う上司に逆らえないと思ったんや。
最初のマスコミへのリークは犯罪ではないし、亜内もそこまで酷く突っぱねられなかったんやろな。
その後亜内が検事を辞めペンションを経営してる事が分かった。
そしてそこに幽霊が出るっちゅー噂を聞いた。
半信半疑ではあったが、単なるそれがただの噂でもうまく突けば自白させられるかも思ったんや。
やけど、真宵の前であんな話をしたのはまずったな。
あの話を聞いてショックを受けた真宵はトランスしてもーたな。
そしてそこに舞子さんの霊が入りこんでしまった。
とにかく、ただの人騒がせだった幽霊が恐ろしい悪魔に変わってしもうた」
「真宵ちゃんとナツミさんの関係は・・・?」
「さっきな、ウチのオトンと舞子さんが中学の同級生言うたけどな、あれは嘘なんや。
真宵が生まれた頃に隣にウチ等が引越したんや。
真宵が小さい頃に舞子さんがバッシングを受け、出て行った。
そしてウチのオトンは舞子さんを探すべく、ウチをお婆ちゃんの家に預けた。
どうやら真宵は覚えとらんようやけどな」
「真宵ちゃんは今までの事覚えているんでしょうか?」
「いや覚えとらんやろな。霊媒状態に陥ってる時の記憶は無いって聞いたことあるからな。
ただ感覚的に何が起こったかは察知してしまうかも知れない。
その時は・・・あんたが助けてやってな」
僕はうなずいたが自信はまるで無かった。
真宵ちゃんの手を握ろうとして、まだ首飾りを握り締めている事に気が付いた。
首飾りを真宵ちゃんの首にかけた。
両手で真宵ちゃんの手を握り、目を閉じた。
すると両手に熱を感じた。
さらに二人の手が重なっている。
「俺等を忘れんなよぉぉ!!」
「成歩堂、私達を忘れてないだろうな。お前は一人じゃないんだぞ」
僕は無言でうなずいた。
僕達に何が出来るのかは分からない。
が、今はただ、そばにいてやろう。
彼女に笑顔が戻るその日まで。
END
原作
かまいたちの夜 (1994 チュンソフト)
逆転裁判(2001 カプコン)
CAST
成歩堂 龍一
綾里 真宵
御剣 怜侍
矢張 政志
大沢木 ナツミ
亜内
山野 星雄
小中 大
オバチャン
高日 美佳
松竹 梅世
姫神 サクラ
荷星 三郎
間宮 由美子
協力
む
#
_
通りすがり
大作の予感
真理
釜井達の夜(偽)
その他応援して下さった名無しの方々
放映
待った!逆転裁判スレ第三審
くらえ!逆転裁判スレ-4人目の証人-
マヨイだけど何か相談ある?
提供
2ちゃんねる
あとがき(幽霊編を終えて)
長すぎ(゚д゚)マズー
矛盾多そう(゚д゚)マズー
修羅場をむかえて予定の締め切り過ぎた(゚д゚)マズー
気が付いたら逆裁スレは埋もれる一方だった(゚д゚)マズー
最後の方あまりにもかまいたちテイストだった(゚д゚)マズー
なんだかんだでクリスマスは一人きり(゚д゚)マズー
おかげでクリスマスに沢山書けるかも(゚д゚)ウマー
実際オナーニになってるかも(゚д゚)マズー
感想キボーン
付け足し
大沢木夏男とか言う新キャラを作ってしまった(゚д゚)マズー
まずまず面白かったからいいよ。
ううっ、帰ってきて下さいまして感激です!
いらっしゃらない間に変な書き込みを続けていたので
見捨ててしまわれたのかと心配しておりました。
このストーリー、読ませていただきました。
面白かったです!
余ってる選択肢がありますね。
これは何か出来そうだ……キラーン
お久しぶりでございます。
クリスマスに書けるとか言っておきながら、ヤクザさんに追われちゃってました。
怖かったです。
で、書くの止まってました。
まぁ一段落したのか、とりあえず新たにかまいたちの夜(PS)を買ってきて、
さぁ書こうと思ったのですが、僕は気づいてしまいました。
スレ違いだろ・・・(゚д゚)マズー
と。
考えるとキャラだけ使って書くのは非常にスレ違いの気がします。
どうなのでしょう。
お考えお聞かせ下さい。
>>191 余ってる選択肢はどうぞお使い下さい。
むしろ僕も読みたいです。
何か凄いのでage
ちょっと上げてみる