アルチュール・ランボー

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33名無しさん@お腹いっぱい。
>>30
男だし無理だよロリコンめw



   虱さがしの娘たち


真赤な嵐で一ぱいな少年の額(ひたい)が
白っぽい虫共に、せめて夢でも与えよと願う折から
愛らしい二人の姉が彼のベッドの傍へ来る
銀の爪、白魚のかぼそい指(おゆび)。

青嵐、乱れ咲く花をひたして吹き過ぎる
庭に開いた窓近く二人は少年を坐らせる
さて彼の露にうるおう濃い髪(かみ)を、
意地悪で、気持よいかぼそい指がかき立てる。

少年は聴いている、なよやかな花蜜のかおり薄紅(とき)いろの
姉たちの恥(はじら)い勝ちな呼吸(いき)の歌。
あふれる涎(よだれ)のみ込むか、接吻がしたくなるのか
時あってそれもとぎれる。

少年は聞いている、におやかな沈黙のうち、姉たちの
黒いまつげのまばたくのを、電気仕掛のやさ指が
わが身にわいた灰色の不精虫(ぶしょうむし)、小虱どもの
命をば大ようなその爪先でぷつりぷつりつぶすその音。

さるほどに、ハモニカの狂おしい溜息と似たような
けだるい酒の酔い心地少年の身内にのぼり、
彼は感じる、身に享ける緩急の愛撫につれて
泣き度い程の切なさが湧き上りまた消えるのを。
                              (堀口大学訳)



俺注:共・とも、聴く・聞く、共に原文のまま