伊東静雄

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40名無しさん@お腹いっぱい。
【 わがひとに与ふる哀歌 】
                   伊東 静雄

太陽は美しく輝き
あるひは 太陽の美しく輝くことを希ひ

手をかたくくみあはせ
しづかに私たちは歩いて行つた

かく誘ふものの何であらうとも
私たちの内の
誘はるる清らかさを私は信ずる

無縁のひとはたとへ
鳥々は恒に変らず鳴き
草木の囁きは時をわかたずとするとも

いま私たちは聴く
私たちの意志の姿勢で
それらの無辺な広大の讃歌を

あゝ わがひと
輝くこの日光の中に忍びこんでゐる
音なき空虚を
歴然と見わくる目の発明の
何にならう

如かない 人気ない山に上り
切に希はれた太陽をして
殆んど死した湖の一面に遍照さするのに