400 :
名無しさん@お腹いっぱい。:
高銀の作品
「独島」
私の祖先の胆嚢
独島
長らくお前の胆汁で
私はあらゆる波の人生を歩んできた
あの傾き揺れる子午線を越えて生きてきた
独島
お前のよって
お前によって
この排他的恍惚はいっそこの上なく苦い
私の祖国の孤独
お前によって
私は寝返り打ちながら南アメリカへと向かう
骨と肉が擦りむけるほど
春の夜、北斗七星へと向かう
行って
必ず戻ってくる
私が私の子孫となり
お前のところへと戻ってくる
私の子孫の胆嚢
独島
「ふくろう」
真昼のふくろう
目をむいて
何も見られない
待ちなさい
君の夜が来る 必ず
401 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/05(金) 06:42:45 ID:ozGq0Omm
「ぞうきん」
風が吹く日
風に洗濯物がはためく日
私はぞうきんになりたい
卑屈ではなく ぞうきんになりたい
我が国の汚辱と汚染
それがどれほどか問うまい
ひたすらぞうきんになって
ただ一ヶ所でも謙虚に磨きたい
ぞうきんになって 私が監房を磨いていた時
その時代を忘れまい
私はぞうきんになりたいね
ぞうきんになって
私の汚れた一生を磨きたい
磨いた後 汚れたぞうきん
何回でも
何回でも
耐えられなくなるまで濯がれたいね
新しい国 新しいぞうきんとして生まれ変わりたい
402 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2007/10/05(金) 06:43:28 ID:ozGq0Omm
「君に詩が来たか」
いまからアメリカ帝国主義と闘うために
一緒に組もうと
ブルデューが私に言った
彼は私より三歳上
フランスの過去と
韓国の現在が一塊りとなって
今日の顔を作りだす
おお 偶然の絶対
その時
ガラス窓の外に
一羽の四十雀が飛んでいった
ブルデューが尋ねた
いま 君に詩が来たのか
と
(鳥が飛んでいったから間違いなく君に詩が来たはずだ)
そうだ 詩が来た
と
二つは一つになってわっはっはと笑った
泣くと
一つは顔と首の皺がひどく多かったし
一つはてんで目がなかった
ブルデューはその足で日本に渡り
藤原書店主催の記念講演をしてパリに帰っていった
しばらくしてこの世を去った
私は藤原書店のブルデュー・ライブラリー14巻をあれこれ見た
その後 デリダとサイードの弔辞を読んだ
静かに また詩が来た