作者名を知らせずに 詩を批評してもらおう

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まだ闇の中で眠っていて、生まれいずる戦いのために力をたくわえているわが子よ。私はお前の幸せを祈る。
今は、まだお前は一人前の恰好もしていないし、息もしていないし、目も見えない。しかし、時がきたら、お前と、
私が心から愛しているお前の母親にとって重大な時がきたら、空気と光を求めて戦う力を与えてくれる何かが、
お前の中に生じるだろう。理由はわからないながらも、光を求めて戦い、そして戦いつづけること――それが
人の子としてお前が生まれながらに持っている権利であり、お前の運命なのだ。
いつまでもいのちを愛し続けること。しかし、死に対する恐怖は捨てるのだ。いのちは愛さねばならない。さもないと、
失われてしまう。しかし、愛しすぎてもいけないのだ…。
常に新しい知識を貪欲に求めること。常に嘘を憎み続けること。そして、常に怒りを爆発させる力をたくわえておくのだ。
私は死んでいかなければならない。そして、生まれてくるお前を待ち受けているのは、私の過ちがもたらした瓦礫の山で
あり、お前はその上に立つしかないのだ。こんなことにしてしまったことを許しておくれ。こんなに乱雑な、住みにくい世界を
お前に残していくことを、恥ずかしく思っている。しかし、こんな世界しか残せないのだ。
心の中で、最後の祝福として、お前の額にキスを送る。おやすみ――そして、爽やかな夜明けが訪れるように。