111 :
堕胎:
過去を思い出してとても不安でした。
あの痛みも哀しみも寂しさも
二度と味わいたくないと思っていたんです。
この2週間、1日が終わるたびに
まだかとためいきをついて
そしてこわくて、身震いしていました。
水に近いシャワーを浴びながら
ふいに太股に生温さを感じて
鮮やかな血でいっぱいになった床を目にしました。
瞬間、とても安堵しました。
けれど、ためいきは、止まらなかった。
次の日にあのひとに逢って、
とても残念だと言われて嬉しかったワタシがいました。
そして気がついた。
心のどこかでワタシも残念だと思っていたこと。