拡散してゆく素粒子たちは
物理現象の定理を忠実になぞりながらも
斥力と引力が統治する曲面図を ときに突き破り
熱平衡への憧憬を振り払いながら
空間の表面を螺旋状に剥くのです
細くたなびく慣性運動の只中に身を置いてみると
空間の薄い皮膜と共に 認識が巻き取られてゆくときの
抗しがたい 原始の衝動のようなもの
それが我々の体内にさえも埋め込まれているという事実
それは言葉の範疇で表されぬ観念として
透過する固体、のようなもので
或る認識単位を 隙間なく覆い尽くすのです
やがて素粒子のうち
一つの群れはn次元の彼方へと遠ざかり
別の群れは球状に膨張し
旋回と冷却という現象を 空間から析出する
これらの相互作用に基づいて
純化された闇は 光と分離され
その過程を辿るうちに 互いに相対運動を繰り返し
決して原始の平衡へは 立ち戻るまいと
あらゆる宇宙を 変化させ続ける