242 :
ヒツジ:
― おまえにしかできない ―
クラスで飼ったトノサマガエル
エサやり係に指名され
毎日ハエを捕まえた
夕暮れ母も一緒になって
両手に母も網を持ち
ふたりでハエを捕まえた
必要とされたぼくは輝き
楽しげなぼくに母は喜び
ようやく居場所が見つかった
ケンカになっていわれたよ
小さなケンカで言われたよ
汚ねぇ家にはハエしかいねぇ
だからおまえはハエ捕り係
だからおまえがハエ捕り係
小さなケンカは大きくなって
ゲンコツ握って何度も殴る
そんなぼくの頭は真っ白け
鼻血を流す相手もわからず
何度も何度もしつこく殴る
そんなぼくのまぶたの裏に
手製の網もつ母の顔