ノイズ
最初はただの気恥ずかしさだった
時が経つにつれて徐々に腐っていき
大きな捩れになっていった
つい先刻まで誰かが心の泉に手を突っ込んで
ネジをすこし回してやればいいだけだった
もう遅い
頭のおかしい素敵なハードコアバンドの映像を
頭のおかしい俺が深夜にもなろうとしている時に見た
才能にも容姿にも恵まれている人たちが
二千七年になってもまだ続けている
二千七年になって俺の眼に姿を現した
浪費だと大多数の誰かが言うだろう
必然だったと少数派の当人たちは言うだろう
捩れで立ち向かえ
運命に立ち向かえ
人の流れを変えろ人の流れに割り込め
捩れ自体がその人になり
捩れが業を決定付けた
選択肢は過去にはあった
過去の選択肢は凍結されて記憶の棚にキラキラ嫌味に光ったまま陳列されている
現在の選択肢は高そうな布に包まれて大事そうなフリをして渡される
目隠しをしよう目隠しをして適当にサイコロを振ろう
出た目は見ないで進み止まったマスのイベントをこなそう
繰り返しだサイは投げられた繰り返しだ
何もかも手遅れだ捩れた繰り返しのやり直しの捩れた繰り返しだ
捩れた焼きたてのパンを口に運ぶ
最初はただの気恥ずかしさだった
時が経つにつれて徐々に腐っていき
大きな捩れになっていった
つい先刻まで誰かが心の泉に手を突っ込んで
ネジをすこし回してやればいいだけだった
もう何もかも手遅れだ
ただの捩れた繰り返しの結果が表出した二千七年五月一日
ビデオに映った女の人は
淋しそうな満足そうな顔して叫ぶ
何もかももうすでに遅い