279 :
T:
『掟』
怒りがこみ上げた
納得いかない
「あの跳び箱はどうやって飛ぶんだ!!」
そう叫んだが、母は黙ったままだった
そうかあれは貴族の跳び箱なんだな
曰く付きに違いない
貴族の女の子が跳び箱の中から出てきた
血の付いたナイフを持っていたので、彼女こそが曰くなのだと確信した
次の瞬間、女の子の目つきが変わった
「お前かあああああああああ!!!!!」
そう叫ぶと突進してきた
俺はもちろん逃げた
玄関を出ると目の前に駅があった
タイミング良く、二両編成のモダンな電車が出発しそうだった
ふぅ、助かった
あの子は乗り遅れたみたいだ
電車の中には知り合いが大勢乗っていた
となりの奴に話しかけた
「なあ、鈴木。どこに行くんだ?」
「どこにいこうか。焼肉とかどうだ?」
「そうだな。お前、いい店知ってる?」
「この電車の三両目にあるらしいよ」
280 :
T:2006/04/17(月) 16:07:31 ID:r8FwV7Ri
三両目は繁華街だった
原田さんはにっこりと微笑んで俺の手を握った
なんだか幸せだ
原田さんを抱きしめた
キスをしようと顔を引き寄せた瞬間、これが夢である事に気が付いた
原田さんの重みと温もりは次第に薄れていき、最後は消えて無くなった
目を覚ますと、気だるい現実が漂っていた