君のセンス5段階+αで評価するよ[vol.107]
504 :
名前はいらない:
年寄り病気の金魚をドブへ流した
最後ぐらい川で自由にと母は言った
反論したけど決定事項、せめて幼い弟が気付かないよう
油の浮いた黒い水に沈むのを黙って見ていた
空いた水槽には、父が買ってきたグッピー
流れていった金魚のことをみんな忘れてしまった
クリスチャンでもないのに十字を切って泣いた
グッピーは綺麗で、金魚は醜くなったからしょうがない
でも私が愛してたのは、ひっくり返った黒い出目金
厄介払いされた6歳の年寄り出目金
鱗が剥がれてもブツブツが出来ても大きな目が濁っても
毎日餌をあげたあの金魚だと、私は知っていた
夢の中で魚は、水面から飛び立って空へ泳いでいく
出目金、和金、黒と赤、鮮やかな列を成して
彼岸花の秋に空へ泳いでいく
口をぱくぱくさせて、透きとおる尾ひれで、優雅に泳いでいく
私のかわいいきんぎょ
許してくれるかしら
私のかわいいきんぎょ