1 :
名前はいらない:
脱皮
古いあたしを
脱ぎ捨ててゆくわ
今この場所から
あなたはもう
存在しない
遠い過去になる
分厚い皮に
隠れきらない古傷が
むず痒くて仕方ないの
今すぐ剥ぎ取ってよ
ねぇ、あと何回こうして
泣き寝入りしたら済む?
ねぇ、あなたはもう
傷なんかとっくに
どこかに捨ててきたんでしょ?
そして何事も
なかったフリで笑う
知らなくていい事も
思い知らされる時代で
生きるのは辛い…
古いあたしを
脱ぎ捨ててゆくわ
あなたがそうしたように
あたしもあなたを
存在しない過去にする
遠く遠い、過去に。
三浦未翔
2 :
名前はいらない:
誰かが言いました
思い出とは記憶の
断片と断片によって
再構築される
創造物なのだと
思い出すことは
幻を見るのと同じことだと
生きるってなに?
もし
あそこで立ち止まっていたら
道を曲がっていたら
小石につまづかなかったら
寄り道をしなかったら
立ち止まらなかったら
もし
あの時 もし もし…
いくつもの選択をして
今いるこの道の上で
正しかったと思った私も
間違えたように思えた私も
私はいつも私らしかった
君も 彼も 誰も みな
これでいいんだよ、と
これでいいんだよ
泣いたことも
笑ったことも
すべては
優しい思い出の中に
そして今日も祈りたい
どうかあなたにとっても
思い出はいつも
優しくありますように。
三浦未翔