706 :
名前はいらない:
「クリスマス・キャロル」
駅への階段、左足を上に乗せ
右足は下のまま、立ち止まり、
なぜか澄んだ気持ちになった。
不安定で、少し転びそうなのに
なぜか優しい気持ちになった。
星の輝く夜の空から、雪が降る。
錆びたアルミのようなこの街に
輝きが増すけど、誰も気にしない。
きれいな景色と、汚れた道路。
みんな命を抱え、その中を歩く。
クリスマスの純粋な空気の中
僕はただ孤独で、座り込んでいた。
メトロノームはどちらにも寄りかからず
ただ、中心を目指すだけ。
メトロノームはどちらにも寄りかからず
ただ、0に還るだけ。
上でも、下でもない、
きれいでも、汚くもない、
ただ、何もなくて、透明な世界を目指すだけ。