〜〜詩で遊ぼう! 投稿梁山泊 21th edition 〜〜

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496長雨 ◆nWGJeY2V52
ポツポツと雨が俺の額で死んだ
間もなくして 数えきれぬ程の命知らず共が
空から降ってきた
外は雨粒たちの最後の声であふれていた
俺は聞こえないふりをして
追憶のモスクへ逃げ込み 今を忘却する
祈りは過去を追悼し 未来の死を激しく無視した
黒いアスファルトから雨の死臭が立ち昇る
残酷極まる明けきらぬ7月
信号が青に変わり 止まっていた町が動き出すと
足もとに雨の血しぶきを浴びた
右へ左へワイパーは笑っていた
ポケットからブラックコーヒーを取り出し
ひとくち飲んだ
空は闇に深くなる 雨は次第に強くなる
死は悲鳴にかき消され 恐怖は更に鐘を打つ
余韻は世界を覆い尽くし 波紋は地面を這い広がり
輪を描きながら 墓地にまで続いている