■■◇     天才   !!!  ◇■■

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1 ◆CeJ6D/I4qE
詩板になんとあの天才がやってきた!!!!

◆CeJ6D/I4qE 様のプロフィール(ミルフィーユじゃないよっ!)

1990年 ご誕生なさる

2008年 現在に至る

B :ヒ・ミ・ツ☆

W :96cm

H :ヒ・ミ・チュ☆     (’0’)完璧メタボですやん!

座右の銘 石の上にもアップリケ

特技 煽動

見た目 めんこい
21/3 ◆CeJ6D/I4qE :2008/08/06(水) 01:36:41 ID:KolhbOsa
テクスチュア


{裏返った
包まれていたのは僕……識別の必要はない}

太陽を背にした山々が黒い壁となり黙りこくっていた。
麓には巨大な豆腐のような県立の教育センターがあった。
しかし豆腐の純粋さは持ち合わせていないように思う。
現実の風にさらされ薄汚れてしまったやはり現実の手触りである。
想像上のまっしろな豆腐などお呼びじゃないのである。
それはそうと、僕がこのセンターに来たのには理由がある。
理由と書いてワケと読むのは周知のことであるので置いておくとして、
ほかでもない国際うわべ協会(ISS)の会議に出席するために来たのだ。
僕は某市役所勤務の歯牙ない公務員であるのだが、今日は市長代理ということらしいのだ。
らしい、というのも僕にだって詳細がわからないのだ。
それどころか概観すらつかめずに、いささか緊張気味に中央階段をのぼっている途中である。
階段を昇りきると木製のこじんまりとした扉があった。
木のオバケのような模様がばあちゃん家のタンスを彷彿とさせる。
子供のころには水道水みたいにまじりっ気なしの恐怖を感じたものだが、
今では地方財政の苦しさに同情するばかり。
会議室は発砲スチロールをぽっかりくり抜いたようで、遠近感が倒錯していた。
出席者は議長と進行係を含めて6人。"国際"の名に恥じぬ少数精鋭である。
32/3 ◆CeJ6D/I4qE :2008/08/06(水) 01:37:27 ID:KolhbOsa
進行係 : ではこれより「国際うわべ協会ミーティング〜空き缶に未来はあるか?〜」を進めていこうと思います。

議長 : 副題もあるのかね。

進行係 : 副題もあります。

議長 : 例えばオレンジジュースの缶があるとして、一般に中身のジュースが本質とされる場合が多いように思う。
    しかし中身を全て飲み干してしまえば、あとに残るのは缶ころだけだ。
    本質を失ってもなお存在するなんてことは有り得ないのではないだろうか。
    よって我輩は缶の方を本質と考えるが、皆さんの意見を聞かせてほしい。

白樺さん : 本質を失ってもなお存在しているものを私は知っています。
      人間です。彼らには心というものがない。……いや木にもありませんけど。

議長 : ふむ、しかし"心がない"ということが彼らの本質であると仮定したら、我輩の考えに矛盾はしないだろう。

鮫肌くん : 何か胡散臭いな。大体、会議の副題はまるっきり議長の意見をベースにしているじゃないか。
      そう考えると冒頭のやり取りもどのみちヤラセなんだろう。

進行係 : 会議の論旨から逸れる発言は控えてください。

僕 : コミュニケイションというのはほとんどが表面的なものであって、自分の精神を共有しあえるような深い繋がりをつくるのは非常に難しい。
   難しい、そしてまたその必要もないように思います。他人から見えるのはやっぱり外観だけなんですよ。
   どうしたって本当の僕になんか興味をもってくれないんだ。

議長 : それは君が空き缶だからだよ。

進行係 : たしかに

鮫肌くん : そういや俺の知人に鮫肌の人が二人いて、それが面白いことに見た目も性格も瓜二つなんだな。

コンクリート塀 氏 : 質感というやつは内面にまで干渉しちまうんだ。
          本質がどうのこうのと議論する気はさらさらないが、
          諸君につきまとう空虚感はただ空腹のせいだけではない、とだけ言っておこう。
43/3 ◆CeJ6D/I4qE :2008/08/06(水) 01:39:20 ID:KolhbOsa
中央階段が来る時よりも急に感じられた。
窓ガラスに映った自分の顔は薄汚かった。
現実の風にさらされ、現実の手触りをもって……。
本質というものがもしあるとしたら、生物にとってのそれは"ただ生きること"以外にないのだろう。

{裏返った
テクスチュアの奴、中身をほっぽって裏返りやがった
包まれていたのは僕、君のような僕……大して意味はない}

"ただ生きること" なんかバナナパフェみたいだよな。綺麗すぎるし甘すぎる。
あのコの肌には触れてみたいけど、どじょうを素手で捕まえるのはやっぱりごめんだ。
君を見つめる僕のひとみはレントゲンとは違うし、皮一枚透かして見ることはできない。
すると物質が生物に取って代わる日もそう遠くはないのかもしれない。
取って代わる、というより生物の方が物質化していくのだろうか。
銅で鋳造した人形だって、生身の人間と違っているのは外見くらいのものだろう。

いや、考えすぎるのはよそう。
しょせん質感など上っ面にすぎないのだから……。
5しん:2008/08/06(水) 15:29:16 ID:F75u6e8y
カスがまた湧いて出てきやがって巣に戻れ
6 ◆CeJ6D/I4qE :2008/08/06(水) 20:26:13 ID:KolhbOsa
そういうことはageて言うもんだろ?
7しん:2008/08/06(水) 20:39:08 ID:F75u6e8y
クソスレ上げるなよカスが
8 ◆CeJ6D/I4qE :2008/08/09(土) 16:50:08 ID:d+PFcJeO
梁山泊初投稿作品。もう一年半くらい前か


煙の夢

まさに今の時代のメインストリームといった感じのラヴソングが聞こえている。
電光掲示板に流れる活字をつまみにして物思いに耽るには最良のBGMだ。
過剰な程甘くて心を直に掴んでくるようなメロディーの波状攻撃。
音楽の質なんて今はどうでもいい、ドラマか何かの主人公にでもなった気分で、
悲しげな目線を空中に泳がせる。

週末にでも旅行代理店に行こう
カラフルな広告たちを眺めて、世界へのパスをもらうんだ
長方形のセロファンをいじりながらそんなことを考えた
上空にうっすらと見えるカモメみたいな飛行機はどこに向かうのだろうとか
異国の夜に浮かぶ空港の光だとか
緑のバッグを肩に下げた女だとか

次から次へと名乗り出る自殺志願者のようなイメージを
路地裏の湿ったコンクリートを灰皿にして押し消した
夢には結局、出口はなくて
脱獄の計画を練れば練るほど鉄格子は強度を増し
甘ったるい夢の中で終身刑が下される

しばらくセロファンをいじった後(少しの未練もなく)それを捨てた 。
週末はもちろん(どうだろうか?)やってくるのだから。
縦一直線に並んだ街灯の無機質な光が、
飛行機の滑走路のように見えなくもない。
9 ◆CeJ6D/I4qE :2008/08/09(土) 16:54:16 ID:d+PFcJeO
こっちは今書いた

〔影〕


一面を覆う草木が光を切り取り、
鋭い影を落としていた。
影は対象の分身ではなく、
それ自体が一つの確かな存在であった。
例に漏れず濃密な質量をもった私の影ではあるが、
"影の薄い"という形容がよく似合う私にとってこれは矛盾のように思えた。
しかし影にさえ劣る存在感という点では、
まさに私の事実であり道理にかなうものだった。
影の濃淡は光源の光度によってきまる。
つまりは太陽の明るさによって決まるわけであり、
けっして存在感とやらで決まるわけではない。
感情などいらない。
私はいま強固な論理を欲しているのだ。
太陽がその光度を高めていく。
影は、やはり影であった。
10ローカルルール変更議論中@自治スレ:2008/08/09(土) 22:05:58 ID:SiwPRBJ+
つまらなさにかけては天才的だと認めたい。
11ローカルルール変更議論中@自治スレ:2008/08/14(木) 11:40:24 ID:yKsNaQFg
12 ◆CeJ6D/I4qE :2008/08/18(月) 12:22:23 ID:FaO1WZe5
国のポリシー



大洪水がいよいよ町を飲み込もうかというころ。
一人の男が立ちあがった。
私である。
部落の自治グループ"村オコス"と協力して大洪水を止めてやろうというのだ。
ここで"村オコス"メンバーの吉田善作さん(83)の話を紹介しておこう。
「おれたちゃあにゃあ、じゅうっと若いもんの力は借りずにやってきたんでよ、
                        でもにゃあ、今回ばかしはムリみたい。」
ここに共闘態勢が宣言された。
高齢化社会の典型的モデルケース、全体が老人ホームと化していたこの部落で、災いが光明への足がかりとなったのだ。
とはいえ若い男といえる者は一人だけだった。
私である。(もう四十路ではあるが)
そのころすでに町は洪水の底に沈んでしまっていた。
山の中腹に位置するこの部落だけが水没をまぬがれていた。
村オコスのジジイとババアが公民館前に全員集合した。
「みんな手をつなげぇ!!!」私はさけんだ。
隣の奴のウェッティな手が私の士気をすこし下げた。
まずは一列十五人の組を六つ作った。
一組目には足腰の丈夫な老人(階段を往復しても膝が悲鳴をあげない程度の)を集めて土台とし、
次の組が一組目に肩車をしてもらい、そしてまた次の組がその上に肩車をするといったあんばいで、いうなれば"人体による防波堤"を作ったのだ。
私はというと防波堤に加わるのはやめにして、全体の指揮をとることにした。
まさに嵐の前の静けさ、静寂が老人たちを浸していた。
よく見ると水にも浸されていた。
予想外にも洪水は足元からきたのだった。
私は勘違いしていたようだ。洪水ってのは津波とは違うんだね。
まず一組目が水没した。
つぎに二組目が水没した。
つぎに三組目が水没した。
私の頭は真っ白になった。
つぎに四組目が水没した。
思考が停止し、あるのは空白だけ。
つぎに五組目が水没した。
思えば私の人生ずっと空白だった気がする。
そして六組目は逃亡した。

《報告》
この一件は政府の政策の一つであった。
高齢者分布率の高さ、また適した地形のために某県のA町が選ばれたのだ。
この政策は過激すぎるとの反対の声もあったが、"やむを得なし"と賛成の票が反対を上回ったものだっ
13 ◆CeJ6D/I4qE :2008/08/18(月) 12:43:36 ID:FaO1WZe5
た。
14ローカルルール変更議論中@自治スレ:2008/08/24(日) 05:27:15 ID:BCAEGvSK

撒けば生えてくんじゃね?
15 ◆CeJ6D/I4qE :2008/08/24(日) 20:04:21 ID:BCAEGvSK

感情地図


夕暮れとは病院だ、傷は癒されていくが、気は滅入る。
大脳を濾過すればあとに残るのはいつだって、キャンディみたいな記憶、過剰な糖分が持病の頭痛をひどくさせる。
幸福そうな足音と形の良い影は、家路をいそぐ子供たちのものだ。
子供というやつは大人を3分の1にしたような生き物だ。
透き通って見えるのは、中身が薄っぺらいせいに違いない。
大人である僕は、諸君のおよそ3倍の密度をもった精神を所有しているはずで、
流れる涙の成分はきっと塩分だけじゃなくて、
愛の告白には常にエンゲイジな予感がつきまとって、
とにかく諸君とは違うのである。
僕の家ではないという確証のない家の前で立ちどまり、
トイレのタイルのように冷たくなった空の下で、
ふと触れてみたコンクリート塀は、たしかにコンクリートの手触りだった。
猫に笑われた。
夜のはじまりだ。

〔……個人的な附記〕

昼間とは戦場だ、練習ではなく可能性の"実践"をせまられ、言葉は鉄砲になる。
大脳のニューロンを刺激するのはいつだって、記号のような目 鼻 口、
空腹に似た液体状の感情が、胃の少し上あたりから染みてくるのを感じる。
青ペンキで乱暴にぬったトタン屋根が、青空と溶け合う、そんなふうに思うのは、きっと大人だけなんだろう。
帰納的に僕が大人であるということを証明した僕(明らかに諸君のことである)は、法律の範囲内で生きていくことを誓う。
道に迷った。
いや、道がないので迷いようもない。
手渡されたのは地図。
ひどく頼りない感情地図。
16ローカルルール変更議論中@自治スレ:2008/08/24(日) 22:29:46 ID:tnjJIVIt
幼稚すぎてうんざり
1712:2008/09/01(月) 05:59:43 ID:s96PCSg5
昨夜、東京都池袋駅北口にて
首を吊った遺体で発見された
東京のラッパーの最期のプロモーションビデオです。
http://jp.youtube.com/watch?v=GOERwjJvDdY
18ローカルルール変更議論中@自治スレ:2008/09/07(日) 17:42:54 ID:K7gCIjAz
待って
19ローカルルール変更議論中@自治スレ:2008/09/11(木) 08:53:42 ID:omflZomS
スレ主さんよ
しん に負けるなよ
彼はろくな詩書いたことも無いニートだ
人を潰すことに掛けては一流だがね
20ローカルルール変更議論中@自治スレ:2008/09/15(月) 23:30:32 ID:DxNiaqWt
なんじゃそりゃ
21 ◆CeJ6D/I4qE :2008/09/17(水) 21:59:50 ID:J0X21vzo
遠洋病


7月21日 午後2時02分ごろ F県沖を震源とするマグニチュード7.5の地震があった。

揺れがおさまったころには、床と天井の区別はなくなり、
人間と瓦礫が空中を泳ぎながら同調し、私が某祭典の審査員であったならば、
文句なしの10点満点をつけただろうことに疑う余地はなかった。
放たれた"疑い"という言葉は、空気のプールをしばらくもがいた後、分解し消化されていった。
明晰な論理が浮気性な感情のモノマネをはじめ、感情は逆に論理のマネをはじめていた。
体は軽くなり、顔面には緩みきった笑みが張りつき、気づいた時には足が地面をはなしていた。
そよかぜの並木道。
春の夜のベッド。

{追記}
決して揺らぐことのない大地を恋しく思うようになるまで、そう長くはかからなかった。
22 ◆CeJ6D/I4qE :2008/09/17(水) 22:02:12 ID:J0X21vzo
生活



構内にある便所のタイルの艶やかさはたしかに便意を促進させてくれた。
蛾の群がる蛍光灯に隅々まであばかれた便所は、まさしくCTでスキャンされた人間の姿だった。
奥から二番目の個室には便器のかわりに梯子がかけてある。
これは私たちの"生活"へとつづく梯子である。
蒸れた頭皮のような臭いが充満する中、なにか乾いた粘液らしきものがこびり付いた梯子に、君は手をかけられずにいる。
共犯者じみた便器の陰圧にうしろ髪を引かれている。
四方を壁に囲まれた個室に自分自身を見いだしている。
しかし心配など無用である。
もうじき君はここにいられなくなる。
いやでも梯子を駆け登らなくてはいけなくなる。
ここには食料がないのだ。


…………梯子の先に広がっていたのは、空と大地の区別もつかぬ、紙やすりのような砂漠だった。
そしてその砂漠を埋めつくす程の"僕たち"が、それぞれの便所を抱えながら、立ち尽くしていた。
特に話題もないので、僕はまず会釈からはじめることにした。
23* 月 光 ☆:2008/09/18(木) 12:05:19 ID:BPY2U70j
そのとおりです!
みなさまの…*
おっしゃるとおりです!!
それでは …*
モコの歌 …*
聞いてください!!
まず最初に …*
プリンセスプリンセスのナンバーから …*
モコと いっしょに いたかったァ〜♪
いっしょに 2ちゃんねるで 笑っていたかったァ〜♪
モコは どこにも 居場所が無いのです…*
モコは 2ちゃんねるにさえも 居場所が無いのです…*
さまよえるモコ…☆
続きまして…*
ゴールデン ボール 86…*
そして メドレーで 『タイガー スープレックス 86』より…*
アウトサイド〜♪ インサイド〜♪ ア、チチ〜♪ 
みんなは モコに 怒りを感じてるんだロカ〜♪  ?  *   ☆
でも それは みんな 太陽のせいだヨ〜♪    *   ☆
夏の太陽が〜♪ させたことだヨ〜♪   *   ☆
このスレに集う皆様*
いつも 本当に ありがとうございます…*
本日午後9時から NHK BS2で放映される…*
「ジーザス クライスト スーパー スター」を…*
どうか 皆様! 観てネ☆
モコは 前から ずっと楽しみにしておりました…*
モコも スーパー スターだネ…*
24 ◆CeJ6D/I4qE :2008/09/18(木) 18:59:52 ID:7H+DF/7B
なんだそりゃ
25 ◆CeJ6D/I4qE :2008/09/18(木) 19:00:56 ID:7H+DF/7B

脱出の兆し


岩壁からしたたる水滴は、長年の疲労を雑巾の要領で絞りだしたようで、
私のシャツに落ち、黒い線香花火となって咲いた。
疲弊していた。
私も彼らも隔絶された、電柱であり、荒野にささった老人の脛骨に似ていた。
寒い、眠い、痛い、孤独だ、悲劇だ、遺憾だ、声に出してみると、
あんがい迫ってくるものがなく、政治家の釈明会見のようで笑えた。
そして私はようやく、すがる思いで見開いていた地図が、にせものだったことに気づく。
気づいたからといって、どうというわけでもなく、
やはりただ歩くしかないのだが、役に立ちそうにないものを、
やはり役に立たないと、確認できただけでも足取りは、幾分軽くなった。
なにか光るのが見えた。
外界にではなく瞼の内側に、私は光を見出していた。
人魂にでも惑わされているのかもしれないが、当分の間は道先案内人になってくれそうである。
26中田優実:2008/09/28(日) 14:25:37 ID:HDDjS7rZ
何も感じない/ 瀬川りん子
http://jp.youtube.com/watch?v=jcHzPCr59T0
271/2 ◆CeJ6D/I4qE :2008/10/04(土) 12:57:13 ID:DEG98vzo

幽霊


こうべを垂らす人々のアーチと、可燃ゴミ用のトンネル式焼却炉をくぐり抜けた末に、私は幽霊となった。
非科学的な事柄には反論する気さえおきず、哀れむ視線を送るだけの私ではあったが、
現に自分自身が非科学的なものの証明となってしまった今、
積み上げてきた知識・経験のあまりにも頼りない姿に、芯をくり抜かれたようにただ笑い暮れるしかなかった。
悩みがある。
このような奇想天外な事態においては世間一般の苦悩など苦悩ですらなく、
特殊な条件のもとに生じる特殊な苦悩があるはずではあるが………
まだ生きた人間だった頃に私をさんざん苦しめた、ピースの足らないジグソーパズル、つまるところの人間関係とやらに、私は死後もなお嵌め込まれたままだったのだ。
先祖とは異文化だ。
不合理ではあるが、系図を上から下へと一筆でなぞったように、幽霊となったのは男だけ、それも家を継いだ男(長男に限らず)だけのようなのだ。
3年前に死んだ父とならまだしも(それでも生前から噛み合わないところがあった)、
曾が三つも四つもつく爺さんともなると、もはや異性人である。
酔えばすぐに抜刀し、徴税人の幻影にはおびえ、靖国はどこかと訊ねまわる。
色とりどりの厳粛さと醜悪さをもった男たちの二次会である。
282/2 ◆CeJ6D/I4qE :2008/10/04(土) 12:58:23 ID:DEG98vzo
接待とは労働の一部か、譲ってもコミュニケイションの特殊な一例にすぎないはずではなかったか。
私と先祖たちの関係は接客業の従者と客との関係でしかなかった。
つまりは24時間労働を強いられているようなものであり、常人ならば耐えきることなど到底できずに、発狂してしまうのが普通ではないだろうか。
夫(私)に先立たれた妻と、自殺未遂を重ねる弟のことを想った。
二人は世間において既に幽霊も同然だった。
そして私たち幽霊は席を立ち、空席だらけになった社会は、軽くなりすぎたその船体を波に揺さぶられながら目的地のない航海を続けることとなる。
口角がつり上がったまま固まる……幽霊船地球号……人間関係整備向上委員会……いずれ形骸化していくものさ。
私は通り雨に霞んだ街へと飛びだす。

……雨が幾層ものカーテンとなって伝達経路を遮断している。
…青ざめた外壁……死後硬直の街路樹……。
対外器官たちは、森のざわめきに身をこわばらせる猿のように緊張と静寂の号令を聴いている。
心地よい鼓動の反復だけが私の内側で夢を紡いでいる。
雨に打たれ、びしょ濡れになってしまいたいと願った。
しかし雨に打たれるだけの体も、びしょ濡れになるだけの心も、私は持ちあわせていなかった。
29 ◆LeafL/oiO. :2008/10/06(月) 21:50:36 ID:GS5ONauK
>27 ◆CeJ6D/I4qE さん コンペすれの審査をお願いしたいのですが、いかがでしょうか?
30名前はいらない:2008/10/12(日) 08:00:01 ID:K5aNgs8O
さとうしおに負けた人のスレはここでつか?
311/2 ◆CeJ6D/I4qE :2008/10/12(日) 15:13:15 ID:mwfHw9fs




体の線を強調させたやけに丈の短い黒スーツの男が、位相幾何学に関する論文にでも目を通すように、
興味深げに一点を(やはり一点を)睨みながら、人と衣服の洪水の中をモーセのように…………
いや彼は実をいうと人間関係整備向上委員会の実行委員であり、孤児施設訪問という役目を担って目的地へとむかう途中だった。
彼の周りだけ、磨きすぎたガラス瓶にでも包まれているように雑踏に避けられるのは、「鉱物のように生きろ」という彼の信念のためだろう。
人間が生物である以上、知能は発達することができたが、精神においては蛙と比べても大差なく、
大差ないことに気づかず無意識的に自らを高等などと分類し、愛情至上主義者にでもなったつもりで現状(おそらく君達の)を嘆いてみたり、
その愛情の矛先は自分自身に向いているのではあるまいか、自己愛、生きるという使命を背負った者には必要不可欠の、すると脱出(おそらく君達からの)もまた自己愛から始まることとなり…………
信号が青に変わり、彼はまた歩き出す。心筋が痙攣をおこすほどに興奮を抑えられずにいる。
M之木通りを三つ目の信号で曲がると喧騒が遠のき、湿っぽい壁だけが両脇を囲む静かな道にでる。
壁たちの中に埋もれた、やはり壁のような孤児院がある。

歩いてる だけで傾いてる 気になってる
愛してる きみはいう 床が湿地帯

施設に入る前に薄汚い女(容姿は覚えていないが確かに汚かった)から詩を買った。いいと思った。
施設の中は外見よりも広く明るく清潔で、穏やかな自己愛で満ちていた。
子供たちが彼の訪問に歓迎の踊りを見せてくれた。
長い廊下に二列になって並び、手のひらを天井にむかってひらき腕を伸ばして、ざわめく木々のように左右にゆっくりと揺らし……
彼は思った。もう秋だ。
322/2 ◆CeJ6D/I4qE :2008/10/12(日) 15:14:20 ID:mwfHw9fs
刃渡り12cmの果物ナイフで新緑の木々を鮮やかな紅葉へと変えていった。
廊下には張り紙が一定の間隔をもって張ってある。

「他人から愛されるためには人間というものを知りすぎている」

鮮血のもみじの絨毯、秋に花を咲かす木を君達は知っているだろうか。
咲いているのは血飛沫ではない、笑顔の花である。
鼻をつまんで青汁を飲むように彼は肉の裂ける感触を手に味わっている。

「喜劇は雷雨のなかで、悲劇は青空のもとで」

満開の笑顔をハイタッチの要領で切りつけてやった。
素晴らしい、あまりにも素晴らしい瞬間のために、彼は思わずスキップをはじめた。
たたーんた、た、んたたたーんたたーんた、たたたーんた、た、たた

「他人を愛するためには人間というものを知らなすぎる」

ここで一つ哀れな男の話を思い出した。
額縁のついた、永遠に埋まることのない画用紙。
男はここにあらゆる画法をもって絵を描く。
そして描かれた絵は実体を持たない存在として、あるいは存在を持たない実体として、たちまち具現化してしまうのだ。
油絵で……水彩で……墨汁で……
男は知っていた。描くべきは額縁つきの画用紙などにではない。
男は"知っているだけ"だった。

最後の張り紙を見逃したのと同時に、31歩目のスキップで彼はすべってころんだ。
意識が曖昧になるのに比例して、彼の思想は深く狭く鋭く…しあげに自己愛を添えて……。
完全に意識がなくなったころ、彼は超高密度の一つの点となった。
33名前はいらない:2008/10/24(金) 18:15:26 ID:MXGu8ulv
はやく
34名前はいらない:2008/11/07(金) 00:10:08 ID:43Xk1omU
気を遣うことに気を遣わなくていい

お前のことすっきー
35 ◆CeJ6D/I4qE :2008/11/07(金) 19:50:34 ID:+dBdTkNc
電柱


夜空を満杯にいれた長方形の箱が、山の斜面を埋め尽くしている。
星とみえたのは窓から漏れる蛍光灯の光である。
澄んでいる、というのは褒め言葉なのだろうか、人々は光の箱に運ばれ、夜の箱にねむる、
重なりあった箱たちはどこまでも澄み切って、君と僕と彼と彼女とが互いの成分を補完しあっている。
起伏に富んだ地形に似合わず、縦軸をぶち折られた平面的な街。
死んだ赤子の目脂が鼻先でちらつくのは冷たい風のせいだろう。
太陽を失った死後硬直の青空を背景にして逆光線の電柱が、重たそうに円筒状の"変圧共有器"を背負っている。
たるんだ電線が風を切って唄う。

想いは右から左へと
繋がってる同じ電圧
受け取ってる同じ痛み

ぼくら電心柱

いつも空いている定間隔
まだ君のぬくもりを知らない
こころを覆う絶縁体

ぼくら電不信柱


"変圧共有器"とは各家庭で使う電気量を一定にしようという試みのもとで開発されたものである。
この街は変圧共有モデル都市に指定されている。
幸福偏差値表によればこの街の人々の幸福値平均は全国のそれを軽く上回っているらしい。
幸せを量るものさしの目盛は相対的である、というのが一般論ではあろうが、生活においてそんな生ぬるい戯言は通用しない。
絶縁体が覆っているのは心などではなく、鋭く前方をにらみつける屈強な"生命"なのだ。
街は静かな革命の前夜。
窒息寸前の"命"が用心深くあたりを見回している。
361/2 ◆CeJ6D/I4qE :2008/11/15(土) 20:16:46 ID:r6+byR7y

耳掻き


数秒、思考の空白があり、気づくと彼は耳掻きだった。
間接が固まっていて体を動かすことができないので、首だけを捻って化粧台の鏡に目をやった。
先端がへら状で反対側に白いボンボンがついた凡庸の耳掻きである。
棚の上にあるハサミ、のり、ボールペン、写真立て、などに違和感なく溶け込んでいて、その事実が彼を混乱させた。

(……男が部屋にやってきて、おもむろに耳掻きを手にとる)

「ちょっと待ってくれ!」
「どうしたんだい。」
「あんたにはおれが何に見える?」
「何ったって耳掻きにしか見えないし、事実君は耳掻きだよ。」
「おかしいな、さっきまでおれもあんたと同じ人間だったんだが。」
「いや君はずっと耳掻きだったし、その前があるというのなら君は竹だった。」
「しかしこうしてあんたと会話してるじゃないか!こんな芸当は耳掻きなんかにできっこないはずだ。」
「話してるのは君じゃない。すべて僕の想像の世界で僕が君にしゃべらせてるだけさ。」
「おれがあんたの想像だって?冗談はよしてくれ。この通りおれには"おれだ"という自覚がある。」
372/2 ◆CeJ6D/I4qE :2008/11/15(土) 20:17:27 ID:r6+byR7y
「それよりちょっといいかい。」

(……男は手にした耳掻きを耳の中につっこむ)

彼は暗い穴に潜りこんだ。洞窟のなかは湿っていて黒くて背の高い植物(タンパク質)が密生していた。
少し進むと飴状になった"標的"があり彼は器用に体をあやつって見事生け捕りに成功した。
彼もまんざらではない様子で顔を火照らせて笑っている。
「ほらやっぱり君は耳掻きじゃないか。耳垢を取ることが君の生き甲斐なんだよ。」
「生き甲斐、とまではいかないけど確かに本能を刺激するというか……」
「そら見ろ、君は間違いなく耳掻きなんだ。僕はね、いつも週一で耳掃除をすることにしてるんだ。また来週たのむよ。」
「来週だって?それまでおれはどうしてろっていうんだ…!」
「おとなしく上から二番目のケースに収まっていてくれればいい。」
「そんな一週間も一人きりだなんて……」
「寂しがる必要はないさ。君にとって十分に満足できる生活のはずだよ。」
「いや待てよ…この寂しいという感情こそおれが人間であるという証拠じゃないか!」
「そうさ君は人間さ。」
「え?だってさっき」
「君はどこからどう見ても人間じゃないか。いや〜すっきりした!来週もよろしく。」
…ほら今すっきりって……来週もって…よろしく?あんたとよろしく?よろしく!……よろしく?よろしく…よろしく。

彼と男は今でもよろしくやっているとのことである。
彼は人間のような耳掻き、あるいは耳掻きのような人間だったのかもしれない。
38降らんしすこっぽら:2008/11/18(火) 22:10:09 ID:x9VVmte5
ここは私の小説はっぴょうの場にぴったりだ。

小説「オブライエンといっしょに」
ある朝、オブライエンはすばらしい朝日の中でめざめた。
彼の目に太陽があたって今にも失明しそうに光っていた。
「うーむむむ」 彼はうなった。
「すばらしい朝だ。これからいい事が起きるにちがい無いぞ」
彼はそう言いながらブラインドのひもを、ひっぱった。

テレビをつけると、ニュースで「まもなく世界は終わります」と女のアナウンサーが言っていた。
女のアナウンサーは、機械的にうつろで、誰かにあやつられているような顔をしていた。
横にいる人間は3人ほどいて、みな一様に、同時に表情を動かし、同時に体を動かしていた。
3人とも同じタイミングで、薄笑いをうかべ、同じタイミングで、背中を3ミリそらした。
よくできたアイドル・チームのようだった。
しかし3人は、尊大なタレント司会者、元エロ番組製作のコメンテータ、オカマの映画評論家と
三者三様で個性を主張している。アイドルのように同時に体を動かすはずがない。
というか、そこまで管理されたアイドルも最近はまれだ。
今やみんな麻薬をやりながら統一感なくデレデレダラダラと歌を歌い踊るのが主で、それが
個性だと勘違いしている。

それが、今日のテレビ画面から発散せらる、あやつり人形のオーラは何だろう。
これはただ事ではない。
39降らんしすこっぽら:2008/11/18(火) 22:11:28 ID:x9VVmte5
オブライエンは荒井由実をかけてみた。
すると、荒井由実は、誰かにあやつられたような歌を歌っていた。
オブライエンは死にたくなりながらSHOGUNをかけてみた。
すると、1曲目の「男達のメロディー」はならずに、こんな声が聞こえてきた。

「オハヨウ諸君。諸君は日常生活の中には、とてもこわい恐怖がひそんでいることを知っているか?
やさしい歌声も恐怖のうめき声に変わる場合がある。とくにCDなんか持ってると、その可能性は
高くなるぞ。
ラジオのチャンネルには、合わせると、うめき声が聞こえる番号があるのを知ってるか?
諸君の生活の中に恐怖は埋もれている。それを発掘し、探し出すと、人は発狂する」

オブライエンは発狂し逃げ出したくなることがたまにあった。
例えば荒井由実のレコードをかけるとき。
針を落とす前に感じる、荒井由実ではない何かべつのものが、かかるのではないか?
という恐怖。
その恐怖と数秒間たたかってから、針が落ちると、いつもの荒井由実が聞こえてホットするが、
その数秒間は長く感じられる。

あるいは朝おきてひもを引っぱってブラインドを上げるとき。
上げた瞬間、窓からなにかがのぞいているのではないか?という恐怖。
たとえばヒトデのような何かが。

思えば、オブライエンは何かにおびえながら、それを必死に押さえつけて、くらしていたのかもしれない。
その恐怖に対する漬け物石が、レコードからの声によって、ひっくり返って地面に落ちた。
とたんに、漬け物樽の中に沈没/発酵していた恐怖のかけらが、物凄い勢いで空に飛び出した。

つづく
401/2 ◆CeJ6D/I4qE :2008/11/21(金) 15:54:48 ID:xAOGxem6

決意


芯まで凍みるような冷たい朝、彼は窓ガラスのむこうにトンボを見つけた。
偶然に見つけたから言うのではないが、以前からトンボを捕まえたくて仕様がない気持ちになることがあった。
その欲求は日に日に大きくなり破裂寸前のその朝に、彼は偶然にトンボを見つけ、今日こそ捕獲の実行の日であると決意したのである。
トンボ、といっても凡庸のやつではない。大きく力強く羽音のやけにうるさい鋼鉄のようなやつである。
名はど忘れしてしまったが、諸君、人にはついうっかりというものがある、一時的なケースのみで人を判断すべきではない。
彼は決意を胸にいだき、高揚して火照った顔をはずませながら階段を降りた。
途中、捕獲に対する異常なまでの欲求について考えた。
その欲求は世にいう三大欲求に勝るとも劣らないもので、しかもトンボというのは食べれるらしいから、
三大欲求のうち一つ(食欲)は捕獲欲求にプラスされることとなり、つまりは彼の生活においてトンボが最大の比重を占めるということになる。
しかし待てよ、一体トンボってやつはうまいのか、昔友人にトンボの肉は蛙の肉と寸分も違わないと聞いたことがある、
しかし待てよ、蛙の肉も食べたことのない彼にとっては不毛な連想ゲーム、しかし待てよ、蛙の肉は鶏肉の味にそっくりだとよく聞くではないか!
鶏肉が大好物である彼はすっかり気をよくし、階段を降りきってリビングにむかった。
リビングでは家政婦が朝食の支度をしており、彼を見つけると気の無さそうに挨拶をした。
まったく陰気で無愛想な老女である。
今日にでも解雇して担当を変えてやってもよかったのだが、やはり長年付き合っていればどんなに気の合わないやつであっても情は移るものだし、
新しい担当が来たら来たでさらに気の合わない人物でないという保障はないし、良さそうな人物であっても慣れるまでには時間がかかる。
気を使わないで済むことだけが彼女の長所であり、そしてそれこそが家政婦に一番必要な資質なのだ。
412/2 ◆CeJ6D/I4qE :2008/11/21(金) 15:56:19 ID:xAOGxem6
彼はつい愛しむような調子になり家政婦に声をかけた。
「今日はトンボを捕りにでも出かけようと思うのだが。」
家政婦は顔中の皺を中央にひきよせながら、
「まあ!なんということでしょう!トンボを捕りに!トンボは悪魔の化身と古くから伝えられているのですよ。
それに悪魔と交渉できるのは子供たちだけなんです。なんということでしょう!あなたはもうすっかり大人なんだから。」
話にならない、この老害、脳みその水分を残らず絞り取られでもしたのか、迷信なんぞ読んで字のごとく怠け者のたわごとである。
彼は頭を油をぬった風船を膨らませるようにしながら、憤怒にせっせと薪をくべている。
玄関まで床を砕くようにして歩き、扉を力任せに開いた。
研ぎすまされた風が彼を透かし、案外すぐに怒りの炎は灰へと変わるのだった。
なに急ぐ必要はない。
まずは家政婦の処遇についてが先決である。


* 終結を求める読者のために(話者のおせっかい)

「あれからちょうど半年後の朝、あのお方はついにトンボ捕りに出かけることもなくベッドの中で死んでしまいました。
私の処遇についてもあれこれと思案していた様子でしたが、結局決めあぐねたようで私は平常のまま働きつづけていましたの。
本当にかわいそうなお方ですのよ。決意だけが蓄積してとうとう身体のほうが耐えられなくなったのね。本当にかわいそうなお方。」

証言者 家政婦Y氏
42 ◆CeJ6D/I4qE :2008/12/03(水) 13:12:43 ID:QsB6KcHK




調査団の報告によると"それ"の名は《ヤツ》というそうだ。
私はつい石を蹴飛ばすように笑いころげてしまった。
というのも日頃から私は"それ"を"奴"と呼んでいたからであり、まさに偶然の一致なのだった。
しかしこの報告とやらは信用に値しない、まったく無礼というもので異議を唱える気力もおきない。
なんと《ヤツ》は精神の状態の属性にすぎず、実体は存在しないというのだ。
では私の目の前にある直線と曲線をいたずらに組み合わせたようなこの黒ずんだ巨躯を一体どう説明するというのか。
チタン製の、疲労というものを知らない奴ではあるが、対人恐怖の気もあって人ごみなどでは私の背中にしがみついて震えている始末である。
それでも二人きりの時には私の願いに応じて色々の形状に変化してくれたり、愚痴の相手をしてくれたりする。
確かな感触を恋しく思って奴に触れようとするのだが、なんといっても奴には境界というものがない、たゆたう感情のように空中を泳ぐ、そしてそれは断絶に似ている。
振り返れば、いや、振り返るということはありえない、それは私の始まりにおいて交わした契約に違反するものである。
凝然と奴を注視してみるとなんだか斬首台のように見えなくもない。
そうだ奴をはじめて見た時から薄々感ずいてはいたが、私の意識の方がかたくなに拒んでいた、今まさに輪郭が鮮明になる、紛れもない斬首台の姿であった。
予想通り。君、芸がないね。などとぼやきながら私は素直に首っ玉をさしだした。
冷たい鉄の感触が首筋を浸す。死に際には愛する者の体温に包まれているはずだったのだが、そう上手くはいかないらしい。
ギロチンが振り下ろされ、私の首が飛び、ついで鈍い音をたて地面におちた。
もっと厳粛な雰囲気であってもいいはずなのだが、まるで銅線でもちょん切るようではないか。
奴は粘っこい笑みを顔面に貼りつけている。
43名前はいらない:2008/12/03(水) 18:25:59 ID:KGih0dhv
ニラレバイタメとレバニライタメのサ。
44名前はいらない:2008/12/14(日) 21:56:45 ID:txo2b9hH
一緒に見たら別れるっていうけどな、視界の隅にはいった程度だから大丈夫。
45バッハ武藤♯みんごる
上げておきますね( ・っ・)