【57577】詩板短歌部

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待合の席に置き去る
時刻表
鉛筆の跡が
遠くを目指す

単線の下り列車に葉が落ちて
無人の駅に
停まるタクシー

ロータリー
掠れた観光案内板
雨垂れの線
爪跡のよう

砂利道に
農夫の軍手が敷かれてる
薄氷みたいに
きゅっと踏む

山向こう
灯台の灯が
ひらひらと
まるで声みたい
呼び声みたい