苗字が大島は死ね

苗字が大島は死ね

｢明日葉｣

明日葉を知ってるかい
逞しく岩場で育つよ
ほろ苦くって最高だ
今日もてんぷら
明日もてんぷら
明日葉食べて元気だぜ

お前死ねよ

お前生きてる価値ないんだよ

｢火山灰｣

熱くって
ふかふか
火山灰にくるまれたい
火山灰ならぐっすり
僕は眠れるんだ

｢蝉･オンステージ｣

夜9時ごろ
どうにも暑苦しくなって
近所の公園に出かけた
木刀を振っていると気がまぎれる

｢蝉･オンステージ2｣

向こうで大学生らしき連中が花火に興じている
騒ぐこと無く大人しく遊んでいる
木の幹に蝉の脱け殻が
しかし背中が割れていない

｢蝉オンステージ3｣

これは蝉の幼虫だ
初めて見た
脱皮が見られるかも知れないな
目が慣れてくると
公園のあちこちに蝉の幼虫がいることに気付いた

｢ホッケ｣

パック詰めのホッケを手に取りて
おお温かいぞと
ほくそ笑む

｢蝉オンステージ4｣

その中の一匹が
ブランコの柵に登っていた
柵の高さは50センチ程
横着な奴である

｢蝉オンステージ5｣

わたしは奴から目を離せなくなった
柵から体が浮いていて危なっかしかったのだ
蝉の幼虫からは
すでに半分、成虫が仰け反るように姿を現していた

｢風太と飴玉｣

風太は風神の子
風の袋を担いで
野山や里を駆け回っておりました
風太はまだまだ悪戯ざかり
突風を起こしては
鳥の巣を飛ばしたり
村人を田んぼに落としたりしていました

｢蝉オンステージ6｣

幼虫の足は4本が柵にひっかかっていた。
何処にひっかかけたのか落ちそうで落ちない
成虫は薄く緑がかり白く光っていた
足も羽根も折りたたまれたままだ

｢蝉オンステージ7｣

暫らくその場を離れ、また来てみると
蝉はさらに仰け反り、頭が地面の方を向いていた
今、蝉が落ちてしまったら
砂まみれになり、翔ぶことはおろか、木に登ることすら出来なくなるだろう
そっと支えてやりたくなったが
まだ乾いてない体に触れたら、歪んでしまうかも知れない
手は出せなかった

ほんと死んでくれないかな。
なんで全否定する言葉を使うんだ？
レトリックだけだろ
かっこつけたいだけじゃないのか？

もっと簡単にいえるだろ

｢煙草｣

副流煙がやってきて
僕の身体にまとわりつくよ
染み込む煤けたオヤジの匂い
あーあーヤニなるよ
あーあーヤニなるよ