179 :
アイザック・アシモフ:
もう夏ですけど春の思い出です。
『桜と蕎麦』
あぁ、また、春が、来たのか・・・。そう、想いながら、蕎麦屋の、座敷に、座る。
すこし、肌寒い、気も、するのだ、けれど、桜は、その、時期を、忘れず、今年も、咲いている。
蕎麦屋の、窓越しに、さまざまな、桜の、花弁を、愛でながら、いると、
やがて、蕎麦が、手元に、届いてくる。
しばらく、桜の、花弁の、絢爛な、様を、眺めて、居たいと、思うのだが、
しかし、目の前の、蕎麦が、やはり、気に、なってくる。
酒の、燗は、ほど、良い感じで、それを、また、すうーっ、と、胃に、通して、やる。
さて、これで、蕎麦を、食べる、準備が、出来た。
そう、思いながら、箸を、持ち上げる。
それから、ざる、の、蕎麦の、たれ、の、器に、一度、何とは,無しに、鼻を、近づけて、みる。
そして、落ち着いて、魅せるのだ・・・。
かつおぶし、の香り、醤油、の香り、その、香りを、確認、しながら、
今度は、蕎麦を、摘まんで、これも、鼻先に、持って来て、その、香りを、楽しんでみる。
それから、おもむろに、たれに、浸して、口の中に、放り込んで、やる。
そして、また、ひとたび、は、、酒だ。
それから、今度は、わさび、を、ためして、やろうと、箸先に、ちょいと、摘まんで、
そいつを、たれの、中に、浸して、ゆっくりと、かき回す。
そして、また、蕎麦を、箸に、摘まむと、わさびの、利いた、たれに、浸し、口の中に、入れてみる。
つーん、と、した。感覚が、鼻先から、全身に、伝わってくる。
そして、それから、薬味皿の、きざみ、ねぎを、すかさず、たれ、に、そっと、落とし入れて、やる・・・。
そして、また、蕎麦を、口の中に、入れてみる。
そうすると、また、ねぎの、風味が、鼻を、ついてくると、同時に、そばを、食む、食感と、
同時に、ねぎの、食感・・・。
そして、また、ひとたび、は、、酒だ。
それにしても、桜は、咲くもの、で、あって、散るものでは、無い。
否、散ることは、あっても、しかし、こうして、今年も、艶やかに、咲いている。