君のセンス五段階+αで評価するよ[vol.54]

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548忍川 惺
       風       景

油槽船のけだるい航跡を

雲間から伸びた光の熊手が掃き去ると

遠い記憶のボトルを抜いて

アンモナイトを連れた風景が帰ってくる


ここは太古へつづく海

私の血が原初へと向かって流れ込むところ


水平線は一本の弦だ

その上で舞うのは 私の心だ

あゝ かもめが弦を弾いている

時間はこの風景の中で

永い旅を休めて

私の横に腰を下ろした