ヒマだから詩でも書こうぜ

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714青メガネ ◆ZtF6f3ypqw

「幻想詩/雨」

雨が降っています
雨ばかり降っています
迎えは来ません

(とりのこされた黄色いロング・ブーツが
遊動円木の下で小さな甕となっている。)

虹は出ません
雨ばかり降っています

(稲穂たちは重い頭を垂れ、
時間の溶けるのを待っている。)

失われたボーリング場では
死んだアーケード・ゲームが雨に濡れ
その陰の下
どうしたわけだか赤い色した風船が一本
ふわふわと
くらげのようにとんでゆきます

(くらげのような、太陽だ。)

「この雨に沈んだまちのなかを
いったいどこへゆくと思う?」

遠くで乾いたかなしみが
ぽつぽつ濡れて泡を吐き
ひめますたちの願いもむなしく
冷たく透きとおってゆく世界


雨が降っています
音のすっかりなくなった
雨ばかり
降っているのです