1 :
マージョリー :
2006/11/10(金) 19:50:07 ID:RQEd9n8X カルモヂインの田舎で田園の異神について語りましょう。
/⌒ヽ ∩ ^ω^) うはwww | ⊂ノ | _⊃ し ⌒ /⌒ヽ (^ω^ ∩ うはwww t⊃ | ('A`) ⊂_ | .( ) ⌒ J | | /⌒ヽ ∩ ^ω^) うはwww | ⊂ノ ヽ('A`) | _⊃ ( -) し ⌒ |く /⌒ヽ (; ^ω^) ちょwww | ⊃ )⊃ ('A`)ノ | / (- ) し ⌒J >|
規制がやっと消えた… ぼくはなんといっても『天気』。 (覆された宝石)のやうな朝 冒頭の一行。どうして括弧がついてるのか、当時のぼくは分らなかった。 でもすごいカッコいいと思った。しばらく真似ばかりしてたなあ。 括弧内がジョンキーツからの引用だと知ったのは、ずいぶん後のこと。 なあんだと思った。でもそれでもカッコいいよね。 発表されてから70年はたつのかな、それでも色褪せてない。 不朽の名作です。
『理髪』という詩があります。Ambarvalia所収。 鉱山があって渓谷に山百合の咲く崖があって床屋がアトリエを開いてる。 アトリエの床には炭鉱夫の髭と山百合の花粉が散らばってる。 ビール会社のポスターの女優、新聞紙、尺八。 「脚気の神様のようにほほえんでいる」床屋という芸術家。 神岡という、すさんだ亜鉛鉱山の、実際にあった床屋を書いたんだって。 彼なりの写実主義なんだろうな、これは興味深かった。
誰の評論だったか忘れてしまったけど、日本の近代詩は萩原朔太郎から始まっ て、そこから西脇順三郎と三好達治の、ふたつの系譜に分れるんだって。 ふたりとも実際に萩原に師事したわけではなく、彼の詩を読んでごっつう感銘 を受けて、そっから詩を書きはじめたらしいです。 西脇さんはイギリスかぶれ、三好さんはフランスかぶれ。いや、ぼくが言って んじゃなくて、その評論に確か書いてあった。 詩史という面においては、三好さんの系譜を受け継ぐような人は出なかったけ ど、西脇さんの真似をする詩人はわんさか現れた。と書いてあったけど… ぼくは吉増剛造を読んで、「西脇さんの詩に、!をつけたら吉増じゃん」って 思ったことがあるな、確かに。
>>1 マージョリーさん、はじめまして。
スレタイの出典が知りたいです。
7 :
名前はいらない :2006/11/13(月) 22:47:20 ID:4UTDq6Pb
横レスですが、『近代の寓話』所収の『アン・ヴァロニカ』でしょうね。私もどこかで、恐らく
>>5 と同じ内容の文章を読んだ記憶があります。
西脇氏が誰かと呑みつつ、「あんなのは詩じゃない」と、三好氏のことを、冗談半分に言ってたなんていう話があったような。
>>7 うほほ。ありがとうございます。『アン・ヴァロニカ』は未読でした。
ぼくは新潮社文庫の、村野四郎さんが編集した詩集を、手もとに20年以上置いて
るんですが…『近代の寓話』には「近代の寓話」「秋」「南画の人間」「冬の日」
「山櫨の実」「アタランタのカリドン」「一月」「燈台へ行く道」「留守」…
やっぱないや。久しぶりに探してみようか、詩集。
西脇さんと三好さんは、カナーリ仲が悪かった、という噂があったらしいですね。
お互いに嫉妬し合ってた、という説を唱えてみます(笑)。
9 :
マージョリー :2006/11/14(火) 00:42:15 ID:S18QG6Ak
Canopusさん、はじめまして。 「天気」は素晴らしいです。室生犀星が、こういう作品を書いた詩人は あとは寝てくらしてもよい、と言ったとか。 スレタイの出典は『近代の寓話』所収の「アン・ヴェロニカ」です。 男と一所にーー その男は生物学の教授ーー アルプスへかけおちする前 の一週 女は故郷の家にひそかな 離別の気持ちを味うので来ていた 昔の通りの庭でその秘密をかくして 恋心に唇をとがらしていた 鬼百合の花をしゃぶってみた 「壁のところで子供の時 神 地蜂 おやじ の怒りにもかかわらず 梅の実をぬすんでたべたこともあったわ」 この女にその村であつた 村の宿屋でスグリ酒と蟹をたべながら 紅玉のようなランポスの光の中で 髪を細い指でかきあげながら話をした 「肉体も草花もあたしにはおなじだわ」
10 :
マージョリー :2006/11/14(火) 00:43:50 ID:S18QG6Ak
この「アン・ヴェロニカ 」、ほとんどH.G.ウェルズの同名の小説からの引用です。 今は翻訳も出てますが、私は辞書引きながら英語で読みました。それでわかったのは 原作の雰囲気がこの短い詩の中に見事に要約されていること。 最終行は原書の Flesh and flowers are all alike to me のそのままの翻訳・引用だけど、 キーツの Upturn'd gem が(覆された宝石)と訳されたとたんに西脇の詩になるように この一行も西脇詩以外の何物でもない、と思います。 飯島耕一氏が朔太郎と西脇を論じて「優れた詩人は両性具有である」と断定していますが、 富岡多恵子氏と食事していた西脇が突然立ち上がって「わたしは女ですよ」と断言したとか。 詩人だから女性よりも女心がわかる、ということなんでしょうけど、面白い人です。 男でもあり女でもあり、老人であると同時に青年でもある詩人の多面性を讃える意味で あえてスレタイに使ってみました。草花=雑草趣味も西脇詩の重要テーマです。 ちなみにマージョリーは留学先から日本に連れ帰った最初の夫人の名前を借用しました。
11 :
マージョリー :2006/11/14(火) 00:44:36 ID:S18QG6Ak
「理髪」が西脇なりの写実主義という説、同感です。とんでもない写実ですが(笑) 西脇は藤村や上田敏の詩がきらいだったから、日本語で詩を書く気になれなくて、 英語とフランス語で詩を書いて、向こうで出版したりしてますが、 朔太郎の詩を読んで初めて日本語で詩を書く気になったそうですね。 「萩原さんは僕のMaister(師匠)である」ってことで私淑していたけれど、 萩原本人からは疎ましがられていたみたい。 三好と西脇の系譜、ちょっと調べてみたいですね。 二人の詩人の確執を含む西脇の人物像については 鍵谷幸信の『詩人 西脇順三郎』筑摩書房(1983) に詳しいけど、品切れかなぁ・・・。 吉増剛造氏、若い頃「西脇順三郎病とも西脇狂いともいうような時期」があったと 西脇全集の月報に書いていました。やっぱり出ちゃうんでしょうね。
12 :
マージョリー :2006/11/14(火) 01:01:36 ID:S18QG6Ak
>>7 さん、ご指摘ありがとうございます。
あまりに誰も来てくれないのでちょっと落ち込んでいました(笑)
鍵谷氏の本には、三好と同席した西脇が、三好が手洗いに立ったすきに
「三好はあいかわらず頭がわるい」「三好はダメだ」などと攻撃していると
うしろに本人が立っていた、なんて話もでてきます。
嫉妬は、ありそうですね。
篠田一士にも二人についての評論がありますね。
13 :
マージョリー :2006/11/14(火) 05:15:23 ID:S18QG6Ak
>>9-10 訂正です。アン・ヴェロニカ→アン・ヴァロニカ。
原題?は Ann Veronica です。
土屋倭子訳(国書刊行会)『アン・ヴェロニカの冒険』品切れみたいですね。
14 :
マージョリー :2006/11/14(火) 13:36:26 ID:kWSe3GVn
Canopus さんがお読みになられたのは、思潮社版・現代詩読本の 田村隆一・篠田一士・鍵谷幸信三者の対談ではないでしょうか。 田村氏の発言にフランスかぶれ・イギリスかぶれ、ありました。 結局ふたりとも「最後に赴くところは漢詩になっちゃう」そうですが。
>>14 それ持ってますわ。ということは、それか…。
田村隆一が「アイラブ西脇。」とつぶやいたのが記憶に残ってます。
あと、「『Ambarvalia』は感性を痺れさせ、『旅人かへらず』は、知性を痺れ
させた。」というようなことも。
あの本には不満があって、それは『旅人かへらず』を掲載してないことです。
西脇さんの全集には、どう考えても外せない作品だと思うけど。
>>4 の種明かし。これは昭和41年に実施され、昭和42年の『詩学』に連載され
た「西脇セミナー」で、西脇さんが実際に語ってたことなんです。
詩人、歌人が西脇さんを囲んで、『Ambarvalia』の全作品について語り合う、
という、夢のような企画。
理髪店のフロアーに、実際に山百合が挿してあって、髭と花粉が混ざって非常
にバッチかったそうです。西脇さんは「百合の花粉じゃなくて百合の花と書け
ばよかった。そしたらキレイだったのに」と言ってます。
んで、尺八も実際に理髪店にあったそうです。西脇さんの言によれば、当時の
床屋には、将棋台と尺八は不可欠の備品だったとか。待ち時間で客が尺八ふく
んかいな…。
でも詩人はウソつきかもしれないので、信じていいかどうかは、人それぞれ。
西脇セミナーのメンバー。 安西均、藤富保男、中桐雅夫、諏訪優、福田陸太郎、関口篤、松田幸雄、 加藤郁乎、楠本憲吉、新倉俊一、那珂太郎、鍵谷幸信、 そして西脇順三郎。 そういや田村さんの名前がないね。
18 :
マージョリー :2006/11/15(水) 08:55:57 ID:f0ZRBAih
>>15 『旅人かへらず』は全編でなければ意味がない、抄出では全体の音楽性を
殺してしまう、ということのようで、それも見識だと思いますが、
重要な転換期の作品なので、やはりある程度は抄出しておいて欲しかったですね。
>>16 「西脇セミナー」お読みなんですか! 私は未読なので無念!
>「百合の花粉じゃなくて百合の花と書けばよかった。そしたらキレイだったのに」
興味深いです。百合の花粉と書いてくれて、本当によかったと思います。
悪名高い『あむばるわりあ』(S.22)では、この詩、
「鉱山の煙り火山の如く/山の腹からのぼる/谷川の上に道が走ってゐる/
山百合の咲く崖の下/路傍に頭髪の芸術か(注:原文のママ)/アトリエを開く
/床の上工夫の髪と百合の花粉/混じて哀れなるものがある/
ビール会社の広告の女優の下/新聞講談本と尺八の間に/青ざめた男の住む」
と改作されて、工夫の髭も、あろうことかベリベリの神様までいなくなって
しまいましたが、百合の花粉は残っています。
ぼくも西脇セミナーの載った『詩学』は、3冊しか持ってないんだよね…。 8月号(『馥郁たる火夫』)、9月号(『世界開闢説』他)、そして 12月号(最終回、『風のばら』以下)。まあ、それだけでもお腹いっぱい ですが。 やはり第1回がほしい。『天気』を彼らがどう語ってたのか気になります。 2年前かなあ。池袋のジュンク堂で『詩学』のバックナンバーを売ってて、 そこで手に入れました。
>『旅人かへらず』は全編でなければ意味がない そのとおりだと思います。たとえ、半ば苦笑混じりで読まざるをえない一節が あったとしても、あれは全編とおして読みたい詩です。 ところが…ほとんどの文庫本レベルの西脇詩集は、『旅人』を抄録で載っけて るんですよね。あれはほんとに腹がたつ。 講談社文芸文庫のやつを買い損ねて、ただいま捜索中っす/『旅人かへらず』。
>>18 『あむばるわりあ』は…そうか、出来が悪かったんですか。
道理でお目にかからないはずです。そんなわけでぼくは『あむばるわりあ』を
知らないので、興味深かったです。
『眼』で、アナトールフランスとか登場してるんですっけ。
あむばる版の『理髪』ですが…無理に写実的描写を詳しくしようとして、西脇
さんのよさが殺されてしまってるよね。いったいどうしたんだろう。
>>19 訂正。9月号は『紙芝居 Shylockiade』でした。
23 :
名前はいらない :2006/11/16(木) 01:14:26 ID:FwopJC3i
24 :
マージョリー :2006/11/16(木) 21:39:38 ID:GCB6eB1F
「天気」は本人がどう語っていたのか、気になりますね。 個人的には「菫」に登場する「コク・テール作り」や「灰色の菫」という バーの詳細が知りたいです。 ちなみに「天気」は「詩稿ノート」では くつがへされた宝石のやうな朝 何人か戸口にて誰かと話す それは神の生誕の日。 と、括弧なしになっています。 別ページに書き留められた説明の言葉: 「バーンヂォウンズの絵(窓からみえる人間と人間の世間とがむづかしい/ 例へば家の入り口の石の上に腰[か]けて誰れかと話をしてゐる。)」 「バーン・ジョーンズの絵」、「窓から見える云々」はケルムスコット・プレス版チョーサー 『カンタベリ物語』の「騎士の話」の挿絵、「石の上に腰かけて云々」と、 戸口で話をする人物は同書『薔薇物語』の挿絵だと思います(このへん、 新倉俊一氏の『西脇順三郎全詩隠喩集成』の記述には誤りがあるようです)。
25 :
マージョリー :2006/11/16(木) 21:40:12 ID:GCB6eB1F
『あむばるわりあ』は『Ambarvalia』の硬質な文体を、 『旅人かへらず』時代の陰翳のある文体で書き換えてしまったので、 内容(イメージ)と表現(ことば)とが乖離してしまっているようです。 同書の「詩情(あとがき)」から。 「この詩の多くは二十年以前の自分の経験を詩的に表現したのであつた。 (・・・)是等の詩に出てゐる現実の多くは、実際の人生の歩みの記憶といふよりも、 文学を好んで読んだその淋しい追憶にすぎない。だが追憶自身も淋しい。 詩それ自身も淋しい。 この詩を今読んでみると自分の心境が移りかはつたことがわかる。 それで再版に際して、残念ながら、その荒々しい言葉使ひ、 その乱暴にも不明にされてゐる点を訂正するのであつた。(・・・)」 「天気」はさすがに2行目が「何人か戸口に誰かとささやく」に僅かに改められ、 最後の読点が削られただけで原型を留めていますが、「雨」などは、 「南の風に柔い女神がやって来た/青銅をぬらし噴水をぬらし/ 燕の腹と黄金の毛をぬらした/潮を抱き砂をなめ魚を飲んだ/ ひそかに寺院風呂場劇場をぬらし/この白金の絃琴の乱れの/ 女神の舌はひそかに/我が舌をぬらした」となっており、呆気にとらわれます。 『Ambarvalia』の愛読者にはこの改変はいかに作者自身の手によるものとはいえ、 許しがたかったのだろうと思います。初版への愛着ゆえの悪評かも。 (歌人の塚本邦雄のような人は最初に読んだ西脇の詩集がこの『あむばるわりあ』 だったので、こちらへの愛着を語っています)。 「眼」はやたらに水増し?されてしまっています。二部にわかれていて、 「II」がオリジナルの「眼」の改作、「I」が、 「ざくろの花の咲く頃/ある美しい町をすぎる/うす暗い小さい店にアナトル・フランスの/ やうな老人が古銭を売つてゐた/表に女神の首があり/裏に麦の穂にひばりのとまる/ 金貨がないかときいてみた/そんあものはありませんよ(・・・)」 という書きだしになっています。
26 :
マージョリー :2006/11/16(木) 21:40:49 ID:GCB6eB1F
『旅人かへらず』、私は二十年近く前に買った恒文社の復刻版で読んでいます。 章?ごとに改ページされているので、たとえば「四/かたい庭」「五/やぶがらし」が、 それぞれ膨大な余白とともに一ページを占領していて、文庫本や全集の 詰めた印刷面とは印象が大きく違います。 「木のぼりしてベースボールが見られた時代はよかったな」も、これで読むとなかなか いいです。 演奏者によって曲の印象が違ってくるのに近いかもしれません。
27 :
マージョリー :2006/11/16(木) 21:44:34 ID:GCB6eB1F
訂正。
>>24 『西脇順三郎全詩隠喩集成』→『西脇順三郎全詩引喩集成』です。
28 :
マージョリー :2006/11/16(木) 21:49:37 ID:GCB6eB1F
訂正2。そんあものはありませんよ→そんなものはありませんよ
>>23 すんません、シカトするわけじゃないんです。でも、もういい加減寝な
くちゃいけないんで、また考えがまとまったら、後日お返事しまーす。
ぶっちゃけた結論から言うと、詩の書き方に答がないのと同じように、詩の読
み方にも答はない、ということ。だからこの爺っちゃんだって正しいし、詩を
これだけ熱く語ってくれる人は貴重だと思うなあ。
でも、言いがかりに近いとこもあるね。『天気』は美しい絵画であり、美しい
音楽であり、美しい詩である。「何の神か?」って、そんな大きな問題か?
あと、「詩に『糞』ということばを使うな」つーのも暴論に近いかなあ。
30 :
マージョリー :2006/11/17(金) 18:37:18 ID:7AjFibRf
>>23 ご紹介くださったホームページ拝見してきました。
頑固そうな方ですが、詩がほんとうにお好きなのでしょうね。
昔はこういうお年寄りがたくさんおられて、お説を拝聴するのが
楽しみでした。
このへんの詩は私にも馴染みがあるので、
いろいろ考えながら面白く拝読しました。
ただ、現代詩への愛想づかしの元凶を西脇に見出しておられるようで、
その点、私も、すこし八つ当たりに近い感じを受けましたが。
31 :
マージョリー :2006/11/17(金) 18:38:29 ID:7AjFibRf
教養をひけらかしたようなスタイル、についてですが、私自身は知識や教養など かけらもなかった中学生の頃から西脇詩をなんの違和感もなく愛読していました。 意味のわからない言葉も、その言葉(文字や音)自体のもつ面白さを楽しんでいた ように思います(ポリュアントスとかポポイとか、いきなり意味のわかる人なんて そういませんよね。カルモヂインはカルモチンからの無意味な連想/造語ですし。 西脇自身「私が英語の詩よりフランス語の詩の音の方を美しく感じる のは、私がフランス語をよく知らないからであろう(・・・)意味がよくわからないほど 音が美しくかんじられる」と書いています)。
32 :
マージョリー :2006/11/17(金) 18:39:01 ID:7AjFibRf
>昭和5〜6年頃、詩の中に「糞」という言葉を詠み込ん だ詩を、寡聞にして私は知らない。 1986年初演のアルフレッド・ジャリ作の戯曲『ユビュ王』が、 Merdre(Merde「糞」の変形)という台詞で始まっていることなど、 言語道断でしょうね。 >なぜ西脇が常識を外した分かち書きをしたのかその理由は分からないが、 このことに触れている評論家がいないことも不思議な話だ。 たしか飯島耕一氏がこのことに触れて、マラルメの影響であろうとされた上で、 その意義を肯定的に論じておられます。 英詩では詩法上の制約が文章の区切りよりも優先されるようで、 エリオットの荒れ地など、 April is the cruellest month, breeding Lilacs out of the dead land, mixing Memory and desire, stirring Dull roots with spring rain. のように、見事な分かち書きです。
33 :
名前はいらない :2006/11/17(金) 19:14:01 ID:EhTG13Je
>>23 これを書いた方は、脳髄が硬直したような感じだなあ、私にゆわせると。
西脇の言葉を借りれば、「マラルメの詩を見てふんがいしたトルストイ」と言ったところか。
34 :
名前はいらない :2006/11/18(土) 01:33:24 ID:eqaOUnqa
>>23 張ったものです
個人的に「」これはいらなかったと思うんですよね
まあひけらかしではないでしょうけども(笑)
謙虚さなのかそれとも含意があるのか分かりませんが
どちらにしろ自意識が透けて見えるというか
ま、多くの詩人が、西脇さんの影響を受けてしまってたんで、「お前が大ボス か!」てな感じで攻撃したんでしょうな。論の組み立てに綻びがありすぎるん で、納得するには到らないけど。 知性を拠り所に詩を書くのは否定しないです。が、多くの詩人が知性の使い方 を間違えてると思うね。ほんものの知性っていうのは、もっと分りやすいもの じゃないといけないっしょ。なんでもないことを難しく書いて、挙句の果てに 自分でも説明できない、なんてのは本物の知性じゃないよね。 余談だけど、ぼくの高校の友だちには、ぼくが詩を書いてることをカミングア ウトしていて、時々感想を聞くんだけど、異口同音に「詩は分からないから」 って言うんだよね。大学講師、官僚、新聞記者、医者、テレビアナウンサーな どのいわゆるインテリたちが、そんなこと言っちゃう現代なのよ。 唯一、畳屋の息子ってのがいて、「どーしてこの部分で『高島彩』って書かな いんだ」って感想をもらって、思わず唸らされた。
>>25 その『眼』は、「金貨がないかときいてみた」の部分までちょうど読ん
だことがあります。学生時代の問題集かなんかの、西脇さんの紹介文で抜粋さ
れてたのね。そこの部分までは魅力的だったので、長らく続きが気になってい
ました。「そんなものはありませんよ」は、ちょっとがっかり。
>>26 恒文社のそれはチェックしたことあります。5000円くらいするんですよ
ね。「木のぼりしてベースボールが…」は、あまりにもひどい、もう沢山だ、
って誰かに非難された、いわくつきの一文ですよね。
37 :
山羊 ◆enX68O/pGI :2006/12/14(木) 16:46:41 ID:KsBXYDVV
あれは何だい、今空から氷のようなラッパの音が聞こえなかったかい 天地が裂けてからわかる真実を待つには僕らは余りにもゴリラに似すぎている そのリンゴの種は疼く奥歯でかみ砕いてくれないか
「欲望」 甘言を弄すあの日の蛇から林檎を受け取ってはいけない 白錆に覆われた喇叭を吹く男に連れ去られ ゴリラになりオラウータンになり森に孵される
素朴な疑問。 そういや西脇さんはどーやってマラルメを訳したんだろう。 あれ、フランス語だよね?
40 :
ボトルネック*゚Д゚) ◆necK/fzEYA :2006/12/15(金) 18:30:54 ID:fK2YExDx
失われた時をさ迷うゴリラ 豊穣の女神が落としたリンゴをかじり ラッパで第三の神話を奏でる
リンゴを齧り/汝/歯茎から血が出る西脇 ゴリラを齧り/汝/歯茎から血が噴きだす西脇 ラッパを齧り/汝/Parisの空を切り取った歯型
マルメディーの戦車部隊が キエフに移動だってさ 子供の雑談 林檎畑に隠れてね まだ動物園が無事ならば 今夜ゴリラを見に行こう 空襲警報はサイレンだ 来飛すベルのサイレンだ ドイツの歩哨の手に持った ラッパの色が 曇りに映えた
43 :
山羊 ◆enX68O/pGI :2006/12/17(日) 01:50:11 ID:2DcW2oeb
熱に浮かされた枕元にはひと匙のすりおろした林檎、それさえあれば私は 静寂の休日には戸外にひろがる子供達の笑い声と玩具のラッパのあとひく音色、それさえあれば私は なにもかもが飛び立ったパンドラの箱にはシルバーバックに率いられなごやかに暮らすゴリラのジオラマ、それさえあれば私は
44 :
脳南下症 :2006/12/20(水) 17:12:23 ID:EQ/nj+22
全詩集の文庫化を希望。 「詩学」とか「古代文学序説」(ホロスコープの作り方まで 説明している)とか戦後の評論は読んでいると心地よく眠く なってくるのでそれはそれで実用的な価値がある。
人間の運命はサチュロスが吹くラッパの音のように変調するのだ 永遠が消えてゆく生け垣の道を眺めてでしなびたリンゴをかじり 惑星θの詩人たちはゴリラのように胸をかきむしり悲しむのだ
雨が降っているからきっとゴリラは姿を出さないわ。 それでも貴方はリンゴを持ってそんなに必死にさけんでいるのね。あの頃からちっとも変わってないわ。 『順ちゃん?』振り向いた男は女を見るや否や体を震わせた。「恵子!?」けたたましくラッパが地面に反響する。
47 :
名前はいらない :2007/01/24(水) 17:19:25 ID:y2budLoZ
どこの出版社かわからないけど、今年「西脇順三郎コレクション」(全6巻) が出るらしい。
48 :
にぃちぇ ◆UQRl.WeFEk :2007/02/10(土) 20:15:31 ID:S9zywO+3
無知の涙と開き直るは永山則夫、西脇さんの名も知らず、今日も今日とて嫉妬のリンゴを齧るのみ 草花が好きとの欠片を頼りに、ゴリラを散弾銃で狙い撃ち、無理矢理植物状態にしてみる単細胞 獄中で資本論読破、小説書いて文芸家協会から締め出され、最後のラッパが鳴る日に最後の醜態晒す人
49 :
名前はいらない :2007/03/27(火) 00:28:09 ID:hb8/1IBx
まあ、西脇の詩は乾涸びた林檎みたいなもので、 嚼んでもカスカス、何の味もしない。
50 :
sage :2007/03/27(火) 00:29:50 ID:hb8/1IBx
その代わり、臭いもない.
51 :
名前はいらない :2007/03/27(火) 00:32:04 ID:hb8/1IBx
老人を相手にしていると 俺の手元も狂ってしまう。
52 :
名前はいらない :2007/04/02(月) 01:05:02 ID:oEXNWmW0
西脇さんの詩の変遷をたどるだけで いまの現代詩の全体が壮観できるような木が 気が、木が、板します。
53 :
名前はいらない :2007/08/21(火) 22:46:11 ID:xP4u7OtW
54 :
名前はいらない :2008/04/04(金) 19:23:43 ID:Cej9Cjnb
NHK 関西圏のみ放送 かんさい想い出シアター 4月 5日(土) 午前5:15〜5:48 ちょっといい旅「山はうららの花吹雪〜奈良・吉野〜」 全国的に知られる奈良・吉野山の桜は1300年前、 中腹にある金峯山寺の開祖・役行者が蔵王権現の姿を 桜の木に彫ったことから、ご神木として大切に保護されてきました。 番組では桜の世話をする人や桜に感謝の気持ちを表す花供会式の様子など、 吉野の桜にまつわる話題を紹介します。 リポーターは歌手の堀口五月美さんです。 平成元年4月放送
55 :
名前はいらない :2008/05/17(土) 01:21:36 ID:SSwnxUZl
ecce! ho mo . . .
56 :
名前はいらない :2009/04/06(月) 20:45:40 ID:5AuBsr2k
卒論を全文ラテン語で執筆したとのことですが、それを指導・評価できる教員は果たして居たのでしょうか? しかも経済学部ですし。
57 :
名前はいらない :2009/06/06(土) 04:31:25 ID:5ODaW6uz
いませんでした。くわしくは「西脇順三郎対談集」を参照せよ。
58 :
名前はいらない :2009/09/04(金) 00:15:05 ID:9WNjRpC5
その論文、どこかで見れるのか? 彼の好きな、単なる冗談か?
59 :
名前はいらない :2009/09/24(木) 22:49:04 ID:P3KhyCG6
60 :
名前はいらない :2009/09/24(木) 22:59:32 ID:SaoRKD1h
西脇さんがノーベル賞候補だったのは有名な話だと思っていたが。
61 :
名前はいらない :2009/11/22(日) 16:10:42 ID:runeHWCB
候補ってなんだ? 大した物なの? 馬鹿?
62 :
名前はいらない :
2009/11/22(日) 16:22:26 ID:runeHWCB 候補候補って、多絵や川畑の下だと言いたいのだろうか?