109 :
練物煩太 ◆DOGzQ0/97M :
[ごほうび]
昨日枕元に神さんが現れよって。わしの命は後一日だと言われた
真面目に生きるわしに、明日の死ぬまでの一日、願い事を叶えてくれると言った
わしは明日一日「人間」にしてくださいと頼んだ
神さんはいいよOKって叶えてくれた
わしは人間になっていつもわしに蒲鉾やら竹輪やらをくれる
優しい女の子に今度はわしが、蒲鉾やら竹輪を持って
一緒に食べたいと思ったのだ
わしはその女の子を探した
雨の中を必死に探した。冷たい風の中を
人ごみの中を。路地裏を。月が雲に隠れている中を
わしは、その女の子を見つけた
わしはその女の子に声をかけた
「わしです。練り物ハンターです。一緒に蒲鉾や竹輪を食べようと思って。」
ハァハァ
女の子は怪訝そうな顔をし、立ち止まってはくれなかった
わしは気付いていないのだと思い必死に叫んだ
「わしです練り物ハンターです!」
「わしです練り物ハンターです!」
「わしです練り物ハンターです!」
幾多の弁天や大黒や恵比寿や
星屑がわしに降り注ぎ。わしに降り注ぎ
神さんが親指を突っ立てOUTって叫んで
多分それらを人々は「刹那」と言うのじゃと思った
「わしです練り物ハンターです。」
110 :
練物煩太 ◆DOGzQ0/97M :2006/09/26(火) 23:16:54 ID:hGq6V4Dp
会っても会わなくても居ないのであれば
わしはわしであることですらなく
神さんのOUTを受け入れた
蒲鉾や竹輪を一緒に食べたかった
もうあの場所に行ってもわしは居ないからね
初めから居なかったのかもしれないけど
もう一度ご褒美をもらえるのなら
「さよなら」だけ言いたかった
「さよなら練り物ハンターです。」