942 :
名前はいらない:
少女よ君は風とともにある
清澄な大気の涼しげなまどろみのなかに
二度とよみがえることのない無慈悲なときに逆らって
音楽の誕生と際限のない白き戯れにも似て
君のやわらかい肌は開放された
あまりにも固くて平たい大地が
不可思議な情感とともに喜ばしき新生の花を咲かせる
大気は音楽で充溢し、刹那のぬくもりを祝祭う
この祈りにも似た時の官能は
なめらかに漂うあの慈愛は
約束の地へと誘なうやわらかい予感は
一つの鈍い覚醒と許しがたい刻みによって
ふたたび夢の営みを正当化する
瞳をなめらかにおおう水
かつて夢と交わしたことのある
あますところなくぬられた白の交錯と
とけこむような吐息のくりかえされる予感に満ちた
あの約束、揺るぎのない約束
不可能の実現なのだ