ひろい空に ふわり うかんだ お月さま
小さくて ぬりつぶされそうな お月さま
【集積】Memorial
くらいお空はひかるほしが
いくつもたくさん
いつもたくさん
あたまの上がみられてる
いつもぼくはみられてる
お母さんにお父さんにおじいさんにおばあさんに
みられてた
ただ猫が吐く
なんという世界 ただ猫が吐く
雨音は静かすぎて
雫が そこに沈むのに気付かない
【堆積】Memorial
嘆きに似た なきごえ
憎しみすら無い 哀しい音響
ただ 猫は横たわる
気付かない
気付かれない
誰も気付きはしない
誰も傷付きは しない
猫は自然と世界の一部となるまで
ずっと長い
ずっと長い
ずっと長い間
死ぬまで苦しむ
苦しむ
苦しむ
苦しみが楽になる
蝋燭が消える
燃え滓の哀歌
彼の隣で 彼女は笑った
静かに 優しい 微笑みは 彼の心に張り付いた
二人は 幸せで満たされていたはずだった
【累積】Memorial
彼は 彼女を連れだした
彼女は 部屋を出て光を浴びた
それに なんの間違いも 一切無かったはずだった
隣町まで行こう と 彼は言った
それに間違いなんて無かった一切無かったはずだったはずだったはずだったはず
彼らを乗せる 鉄の塊の来訪を知らせる けたたましいベルの 音 が 鳴り響く 黄色い 境界の上に 並んで立った
彼女は 長い髪を 揺らし ふわり と ふわりと 軽く 踏み出して こちらを向いた
途端に 衝撃と 唐突の 衝撃が 揺らす 目の前 の 世界 画面 目の前の彼女
は その 瀬戸際を 意図してたか して ないか 複雑な 表情 顔 顔 顔 顔 顔
顔を して 虚空から踏み出し 終末を予想させる 金切り音が 膨大な質量と共に
通り過ぎていき 世界を 飾る 彩る 蝕んでゆく ああ ああ 明るい色に 透き通った極彩色に
埋まる 埋め尽くし 撒き 散らかし 適度に 殺風景な 辺り 景色に 奇怪な 美しい オブジェが 出来上がるのを
彼は 染められながら 彼女に 埋まりながら 驚愕と恐怖と怯臆の境界に残されてた塊への名残と吝惜の心に
眼も離せずに心に残された顔顔顔顔顔顔顔顔顔を浮かべては消し消しては思って行動もせずにただ思案のみが
止まらない止まらない奔流思考が何気なく流れ馴染み空虚な空気が涙を淀ませ滲ませ掻き混ぜ
空虚に空虚に虚構を作り上げた発生源と言える魂塊傀儡の様に弾ける様に
ふと硬直していた景色が動き出し騒がしい声音声音音音響いて人壁にヒビを入れ
人ゴミごみの中を取り残さた彼の瞳は何も写さず何も写さないように何かを観ており
精一杯の逃避に無駄な無意味な逃避の心は蝕まれ彼は何処までも隅々まで彼女に蹂躙され彼は顔を歪めて彼女が好きだと言った顔を精一杯壊れるまで歪ませ雑多な雑音塗れる中心でただ嗤うのだ
だれも
だれも
みんな
おなじ
【蓄積】Memorandum
せかい
人々
みんな
同じ
みんな
同じ
ものがたり
の
中
の
物語
の
中
で
きっと
毎日
が
記念
の
時
だ
と