218 :
蜜町:
「さらば黄昏」
羽を失くした渡り鳥 今宵の月は見事だと
ずれた包帯 くちばしで整えて
ここから望む情景は 何故にここまで美しく
行く手を遮る海原も 歩まぬ理由に最適か
はびこる獣の軍勢は 唯一この身を標的に
研ぎ澄まされた爪先を か細い足で避けれるものか
旅に駆られた渡り鳥
今にもこの地を去らねばと
滲む傷跡 月夜に晒されて
さらば黄昏 猛り鳴く猫の尾をくぐって
瞬きの間に 見事消え去る自信もなしに
いかにこの海を行こうか いっそ泳いで渡ろうか
傷に染み込む海水は さぞかし苦痛を誘うだろう
ならば今一度 あの空に想い馳せようか