糸色 丁頁  「凛凛ロケット」

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825北 ◆FUCKcjokcg

「戦争と個人」


上空に戦闘機が飛んでいる。もしも爆弾が降ってきたら、
家が破壊されて、誰かが、または僕が死に、傷つき、悲しみ、僕にとって
嬉しいことなんて何一つない。

けれど上空のパイロットも、爆弾を落とさないと、
罪を問われて、投獄されたり、仲間に裏切り者と
指を差されたりするのだろうな。

僕はパイロットの名前や顔も知らない。パイロットだって同じこと。
僕たちは喧嘩したこともないし、憎しみあってなんていないんだよ。
だって会ったこともなければ、話したこともないのだから。

もしもパイロットの彼が飛行機に乗ってここへやってくる前に、僕と知り合い、
友達になっていたとすれば、彼が僕の家の在り処を知っていたとすれば、
彼は爆弾を落とさずに、引き返してくれただろうか?

自分が生きるために、人を殺さなければならない
状況に置かれるのが戦争というものだとすれば、

銃が武器ならば、その引き金を引く指は、戦争の武器なのだろうか?

国のために戦地へ向かうこの足は戦争の武器なのだろうか?

泣く泣く我が子を戦地へ送り出した家族は、戦争の武器なのだろうか?

戦闘機に乗った彼は、戦争の武器なのだろうか?空を見上げた僕は、戦争の武器なのだろうか?

僕にも旗がほしい。国旗はいらないから、僕だけの旗がほしい。そして彼にも彼だけの
旗を持ってほしい。そしてみんなに見えるように大きく大きく掲げるんだ。

反戦デモ行進なんてしなくていい。自分の旗があればそれでいい。
国境線もいらない。宗教団体もいらない。

平和を国に与えてはならない。