〜〜詩で遊ぼう! 投稿梁山泊 17th edition 〜〜
ぼくたちがふっとんでいたとき
きみはほんとうに
地平線のかなたの蒙古高原に
腰をおろしながら
羊たちの群れが大きくうつった
満月のシルエットをながめていたのか
ぼくたちがふっとんでいたとき
ほんとうにサモトラケのニケは
あの大理石の殻をはがし
ルーブル美術館の回廊から
太陽への懐かしみを捨てきれず
エーゲ海に向けて飛び立ったのか
おとなたちとこどもたちほど
世界はひろいと必ず言うのだ
それならばこえをきかせてくれ
本当にききたいのかはぼくにもわからない
たとえば
焼けつく野火のまんなかで
喉がかわいたくるしさや
しぼみゆく目の干塩などを
舐めさせようとする
かのたくらみに
ことばが一枚噛んでいるなら
ぼくたちはききたくない
やさしくつつむこえでもなく
きびしくささるこえでもない
ひろびろとしたせかいを
わたりつづけようという鳥たちのこえのように
ひびきだけをきかせてくれ
ほんとうに ほんとうに
ぼくたちがふっとんでいるとき
きみはどこにいたのかを