〜〜詩で遊ぼう! 投稿梁山泊 17th edition 〜〜

このエントリーをはてなブックマークに追加
416秋ネコ
9月某日

我が家の庭に見知らぬネコがやってきた。
首に錆び色の鈴をつけていたので飼い猫かも知れない思ったが
あまりに人懐こく、私の足に擦り寄ってきたので、つい頭を撫でてしまった。
やはり飼い猫なのか、気持ちよさそうにごろごろとのどを鳴らしてこちらを見た。
にゃあ、という声に、日が少し翳った。

ミルクと煮干をやったためなのか、ネコは居ついてしまったらしい。
私の足元でひんやりした毛並みを擦り付ける。
風が涼しくなってくる。足元のネコに私は風鈴を片付けた。

緑色の瞳をきょろきょろさせて、
庭の紅葉を彼女(身のこなしが女らしいのでそう思った)が見やると
瞳が赤色に変わった気がした。

彼女が膝元で秋を呼んでいる。

私は薄手のカーディガンを肩に掛けて、彼女と移りゆく空を見た。
雲は少しづつ速度を増して、高い青空を駆け抜けてゆく。
庭の石榴が少し色づいて、重そうに見下ろしていた。