【スレタイ】 ★★天下一詩闘大会★★　

【狂怖】1

雀は眠り　小石を踏み拉く音もない
空気は澄み渡り　朝日は優しく
森の木々はざわめつかず
川も風もそよそよと流れ

この身に一切の執着はなく
善行も悪行も忘れ
寂れた神社で＿＿うたた寝

川の流れに思いを寄せ　風の歌に耳を傾け　森の声に耳を澄まし
眼と口は開くのを惜しみ　深い呼吸の中　静寂を破る音____＿枯木に黒き群れ、嗚呼、鳴いている････
四肢はだらしなく伸びたまま　目尻は皺を刻み　口端は曲がり
寝返りし　又寝返りし　只管眠れど耳に蓋なく　耳を研いだ

カラスの鳴声に耳を澄ませば　
俺の名を呼んでいる

通り魔に遭遇した乙女さながら、俺は凍り付き、心臓の高鳴る音と手足の震えに正気を失い
腰を抜かしたまま逃げることも出来ずに、只管、「南無阿弥陀仏。南無三宝」と連呼し嗚咽した
恐れ涙と泡で顔を埋めた俺は発狂寸前。沸騰寸前のゆばりは股を濡れ落ち、厠坑を探そうにも
思考はぐらつき、定まらぬ視線は景色に絶望を見つけ、超一刻、泣叫んでいた････しばらく経ち

【狂怖】2end

俺はカラスを一匹殺した

二匹目を殺し
三匹目を殺し
五匹目の両目を潰し
六匹目を殺し
七匹目を殺し
十匹目の首を捥ぎ取り
十三匹目を殺したときには震えは治まり
二十二匹目を殺し
三十匹目を殺し
百匹目を殺したときには返り血に身は染まり
百十三匹目を殺したときには返り血を舐め
五百匹目を殺したときには口元が歪んだ
六百匹目を殺し
七百匹目を殺し
千匹目を殺したときには目尻がたれ
千十三匹目を殺したときには呪いの言葉を口ずさみ
千五百匹目を殺し
千八百匹目を殺し
千九百九十九匹目を殺したときには艶笑し
二千匹目を殺したときには膝まで血の池に浸かっていた
二千三十六匹目を殺し
二千二百三十四匹目を殺し
二千五百十三匹目を殺したときには屍山血河に陶酔し
三千匹目を殺したときには逢う魔が刻だった････

三途の河に流れる血と返り血をみて
誰かが身を投げた