>>470 >>472-473 「光の境界」 b4 ◆2WgbgFgdIs氏
伴侶に先立たれた老人が残りの人生を「輝く」ために生きていこうとする決心を描いた小品。
やはりストーリーのある詩で、携帯画面に通知されたびょういんの文字 という場面から始まり、
喪失の落胆に浸る姿が浮き彫りにされる。暗澹たる未来の予感はやがて、延命治療を拒んだ伴侶の姿
を通じて「最後まで輝きたい」というキーワードに達する。
暗かった風景描写は次第に薄明かりを増していき、指輪という形象を埋めるステージを経て
喪失の暗渠から未来へと歩みはじめる。
非常に丁寧に各ステージが描写され、”夕空は昨日より濃く橙色に染まり””陸に上がった魚類のように”
”もそもそと米粒を喰らい”といった印象的なフレーズが要所要所で使用される。
全体は闇から光へ向かい、題名の「光の境界」がイメージをうまく増幅する。
さて、本音ぶちまかしの評を書きまくってきたので、すべらかした舌のついでに辛口批評を。
違和感が払底できない。75歳という年齢設定がどうも違和感のもとなような気がする。
75年の生涯で何年伴侶として生活を共にしてきたかわからないが、もっともっと描くべきことがあるんじゃあなかろうか?
死別という大きな、大きすぎるともいえる大きな設定のもと、どちらかといえば失恋に近い程度の感触が伝わってきた。
若さの感触かもしれない。
そのちぐはぐな気分が詩に入り込むのを阻害する。(あたしが年齢がいっているせいかもしれない。)
あと、にいちぇさんのリングでも「予定調和」の文句を書いたけれども、肯定的な終了を性急に作ってはまずいと思う。
とくに人間がからむシリアスなストーリー仕立てで調和にいたるのは、現実生活では非常に稀であることを考えると相当の筆力が
必要なんじゃないかと思う。あるいは相当に重い経験かもしれない。(まあ個人的な意見だけどね。)
【軍配】 メタリック竹輪〔Remodeling〕 ◆FCwxSNTwx2 氏 「画家の末期的ともしびの回帰そしてそして」