753 :
引き金をひく時:2007/04/20(金) 03:14:19 ID:8ywo2uDQ
仕事終わりの夜道はやけに暗い 車のライトなど遥か彼方までは届くわけもなく
自分が走っているわけでもないのにやたらと息がきれる
いつも通り上手くやった 何もミスはないはずだ
練りに練った計画 些細なほつれも許されない
ライトが照らす先に小さな黒い物が見えた
確かめるとそれは子犬で まだ息がある
急がなくては しかしこのままほうっておくのか
子犬と自分が照らし合わさる 俺は些細な計画の変更を決定した
この時間病院は開いていない 必死で看病した
死なせるものか まだ未来があるのだから
死なせるものか まだ運命は開けてるのだから
朝になり病院へ走る 命に別状はないようだ
ほっと一安心した
小さなざらついた舌が俺の頬を舐めた
生き抜いた味はどうだ?
外は綺麗な赤い光で照らされている 死に神に人間の迎えなどいらない 覚悟は出来ている
運命は開けている 決断するのはいつも自分なのだから
言い訳はきかない
一時の負けなど 長い人生の中ではちっぽけなもの
一時の勝ち 短い人生の中で輝く刹那
たった一つの善行で数々の悪行を洗い流したい訳ではない
蛛の糸に期待した訳でもない
偽善だと笑うならばそれもかまわない
変わりに生きろなどと大層な恩を着せる覚えもない
ただ助けたかった
彼方まで見える運命が手招きする 幕の降ろしかたは人それぞれなのだから
走馬灯に後悔は写らない
754 :
名前はいらない:2007/04/23(月) 20:02:49 ID:unBbjmrT
「努力 友情 勝利」
汗と泥で暑苦しい圧力ナベの中で
勘違いなスープがぐつぐつと煮立って
煮立って、煮立ってぐつぐつと
どろどろに溶けて混ざり合って、まだらの模様に
こげついた勇気と信念がふちにこびりつき
「すげーめんどくせーやってらんねー死ねよー」
という文字がナベの表面に浮きあがったころ
ナベの中から一本のナイフが
腐乱したチーズの香りとともに生まれた
ナイフがこれから成すのは
この題を出した作者を刺し殺すことである
聞け!勝利の割れがねの高らかに鳴る音を
755 :
名前はいらない:2007/04/26(木) 02:41:35 ID:Pr7R2uj8
四月二十五日を過ぎてます
756 :
名前はいらない:2007/04/26(木) 04:00:17 ID:nDe6K52N
>>750 少年ジャンプから、死の川岸のジャンプ、ジャンプは飛び降り自殺にも繋がる
とはいえただの春の川岸というだけだったかもしれない。
実際、川岸の向こうにいくことを断念して家に帰るその背中には哀愁というものすらない
絶望的な背中についても読後感がマジでゼロの倦怠に満ちた内容だ。
ただこれは貶してるわけじゃないぞ。
むしろそのゼロさ具合を買うわけだ
>>751 ということで、これは750と比較すると超わかりやすい。ハローワークということですら
ある種絵空の絶望でしかない感覚がある。なぞらえてジョジョの一節を出すだけの
余裕もあるし、それに微妙なてらいもない。高校時代から遠く離れてるという感覚は
実はないわけで。実際20代のそれなりにやってる奴の絶望にすぎねえのよね。
>>752 >お前がどこではぐれたのか
>俺がどこではぐれたのか
>街は喧騒に沈み
>友の行方はもうわからない
>餓鬼の頃の俺が人影のない校庭で
>少年ジャンプの浮かぶ空とキャッチボールをしている
>やっぱりからっぽを抱えているんだろうお前と俺とに通う風は
>泣きたいような地鳴りの響きだ
この部分をかなり評価したい。
その他は、詩としては相当余計な部分が多いと、いうか
この部分で終わらせても良かったとは思う。
最後にもってきたものもスケールではこの連に負けてる
というかまあぶっちゃけパチンコに染まりきってる部分で
決断としてできなかったんだろうなw
敢えてその弱みが逆に言えばナイスな点なんだよねこれは。
以下は明日。
>>753 完璧な計画が情を出したばかりに台無し、ってのは鷲は舞い降りたのアレかね。
ぶっちゃけていうとストーリーの粗筋でしかないな。
それが詩として成立するにはどういう条件が必要とするかというと
同人誌作家(26)コミケ落選回数五回が僕の考えた超人的な感じで
中野ブロードウェイで購入したドイツ国防軍フィギュアをブンコブンコ
振り回しながら超アツく語って、回りの人たちがドン引きみたいな
シチュエーションがほしいんだな。当然Tシャツはオナニーの後に
精液がついたのをそのままにしているやつ。
>>754 心情そのままだろうな。題に対面した人間の心理ということで高く評価したい。
でも自分のこころに負けてはだめ
お人形さんのセルロイドの瞳は憎悪の炎を浴びた瞬間に
白く濁って輝きををうしなってしまうの
じゃああたしの歌を聞いて頂戴
そして優勝作品ですが,非常に迷いました(ノ_・。)
2作品までは絞り込んだのですが迷いました(苦笑)
いろいろ悩んだ結果…
>>752 「俺達の空」 を優勝とさせて下さい(*_ _)ペコリ
おめでとうございます♪参加した皆様,お疲れ様でした(>_<。)
審査はまだまだ慣れないので良い勉強になりました!
元構造さん、審査お疲れさまでした。
『俺達の空』書きました。タイトルはあるスロ台のもじりです。ウケ狙いです。
はい、ここからして詩を書くスタンスではありませんです。←反省の色ナシ
スロットなんか触った事もない人にも雰囲気が伝わるよーにと心掛けたので、《〜響きだ》で終わる発想はまったく浮かびませんでした。
あんなものしないに越した事はありません。
気づけば十時間近く打っていた、なんてゆー日の空しさと言ったら。涙。
ありがとうございました。
761 :
あぶく ◆OPBYKkBBNQ :2007/04/28(土) 22:02:27 ID:mZ2oawd9
次回の選者さんなんですけど、宮坂純さんにお願いしたいのですが。
なんつか、私にとっては、これぞ詩!というものを書かれる方。
評価してもらうのが怖いような気もするのですが、どうでしょうか?
お返事お待ちしてます。
おつかれサンクス
763 :
リーフ:2007/04/29(日) 20:01:19 ID:yNUnqjjB
構造さん、いい評ありがとうございました。お疲れ様です。
>>760 まさかあの詩をあぶくさんが書いたとは・・・。((;゚Д゚))ガクガクブルブル
一読した時に「こいつ相当打ち込んでるな」と自分と同じ匂いを感じましたが、
それにしても上手すぎるので、スロッターにもこれだけ書ける奴がいるんだなぁと感心していましたが・・・。
『あんた、なにもんだ!』
(↑きっとあぶくさんには分かるはずw)
臨場感どころか忌まわしい記憶が脳裏を走馬灯のように過ぎるほどのリアリティーでした。
(いや、トータルでは大幅プラスなんだけど対価として失った時間を考えるのが怖い・・・)
でも最近のスロットはつまらなくて素敵。全然打つ気がしない。
このままどんどんつまらなくなればいい。
765 :
ボトルネック ◆P350za861k :2007/05/02(水) 00:45:40 ID:cSu7ynbZ
評価サンクースー
766 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/02(水) 12:11:17 ID:44MFONol
>>761 あぶくさん、ご指名ありがとうございます。
緊張しますが、引き受けさせていただきますね〜
○お題:抒情詩では無い詩。
(※細かい説明はレスの最後に)
○投稿作品数:10作品で締め切り
○採点期間:締め切り後、遅くても一週間以内には 採点しようと思います。
○投稿の条件:お1人様1作品まで。固定ハンドル表示は任意でかまいません。
※お題についての詳細
●叙景詩と言い切ってしまうと、範囲が狭まり過ぎてしまうのですが、
分かりにくければ、叙景詩と思って頂いてかまいません。
●風景画や、音楽を表現するように、
「私」の心情に重きを置かない作品をのぞみます。
(一人称を使ってはいけないわけではありません)
●参考までに、抒情詩とは……
“詩人個人の主観的な感情や思想を表現し、自らの内面的な世界を読者に伝える詩”
おおざっぱですが。
●お題は、あまり厳しく考えなくていいです。
以上、質問など受け付けます〜
767 :
リーフレイン:2007/05/02(水) 19:35:53 ID:1oRrKcgR
遠足日和
雷が鳴った
雨がひとしきり降ったら遠足日和
道端の公衆トイレ前
黄色い帽子のリュックサックの群れ
カラフルなお弁当とお弁当とお弁当とおにぎりと水筒と
得意げな顔
笑う、笑う、笑って、笑った おひさま
あ、次回始まってますが、ちょこっと失礼します。
宮坂純さん、快くお引き受けいただきありがとうございます。
むぅ、叙景詩。新鮮なテーマだ。
審査楽しみに待ってま〜す。
ナナシーさん、よもや私がスロプロなどと思ってはいないでしょーなー(笑)。
今回のお題を三つとも含む題材を考えていたところ、ポンと浮かんだのがあれだったんですよねー。
スロ雑誌での知識とカイジテイストで書きました。
一応、ノリ打ちしてる設定ですね。
リアリティーがあったのは、作者がスロでそーとー痛い目に遭ってきたからでしょーか。はは。
ナナシーさんが強者スロッターとはなんか意外です。
賭け事になど決して手を出さないイメージだったもので(笑)。
ほめていただき嬉しかったです。
ありがとうございました。
「桜花姫」
桟橋なぞる八重桜
二重三重恋咲いて
桜の客は通い詰め
咲き誇る刻過ぎ候
風が遊ぼう通りすぎ
花びらみんなもってって
一緒に踊ってくれるけど
気まぐれ風は途中まで
空へ運んで落っことす
花びら落ちて水の上
色香匂うる桃色の
ふわり流るる桜川
浮かばれぬなら浮かべ浮かべと
酒の肴に眺めてやろう
すいません。↑
>>769余計な語句が入りました。訂正させてください。m(._.)m
「桜花姫」
桟橋なぞる八重桜
二重三重恋咲いて
桜の客は通い詰め
咲き誇る刻過ぎ候
風が遊ぼう通りすぎ
花びらみんなもってって
一緒に踊ってくれるけど
気まぐれ風は途中まで
空へ運んで落っことす
花びら落ちて水の上
色香匂うる桃色の
ふわり流るる桜川
浮かべ浮かべと
酒の肴に眺めてやろう
772 :
やさしいあくま ◆XhCOJeVipQ :2007/05/07(月) 23:06:06 ID:3fh2wRk+
あげまする。
773 :
名前はいらない:2007/05/12(土) 19:48:18 ID:aRkdfNQv
あげる
774 :
ゼッケン ◆ZkkenDgUE6 :2007/05/13(日) 08:23:01 ID:A6jJgBli
「ほおづえ」
雑然と並んだテーブルの上には
一本ずつケチャップの壜が置かれている
誰かが触れなければ落ちて割れることはない
そのときまで
ケチャップの壜は
置かれたその場所に立っている
夜明け前の食堂は
静かなのにちがいない そして
やはりケチャップの壜が立っているにちがいない
775 :
アマモリトオル ◆yjVBsR9W2A :2007/05/15(火) 12:28:15 ID:b25aHIQs
「果物籠」
光は偏在しようと企みながら
時間の窪みに足を滑らせている
驕慢な赤みを増す林檎
星を虜にした白と黒の葡萄
それらの上で大きな葡萄の葉
そこには何ひとつ隠しごとがない
野放図な欲動には既に堕落が
果実には虫が涌き始め
山吹の果物籠の上には
左手から快楽の陽が射し
右手からは腐敗という陰が
忍び寄る
776 :
ボトルネック*゚Д゚) ◆necK/fzEYA :2007/05/18(金) 00:29:02 ID:7ezdWumK
「サクラノユキ(幕間)」
地に積もる花びら
日にさらされる子の声
国道を走る自動車
車椅子の老女
桃色が重なる歩道
笑いあい走る小学生
機械音と声の融合
顔に纏わりつく小さな虫
誰もいない神社
舞いおちる花びら
群れる池の鯉
陰る桜の木
場面転換
「 そして 」
太陽が その弧を
描き終えようとしている
隣り合わせに ブランコ漕ぐ公園
そして、
もしも
もしも?
たとえば
たとえば?
言葉と文字で、なにもかもを
表し、伝え合うことができるなら、
ぼくたちには、それ以外
何も、することは、 なくなる、、 んだろう?
… …… ………。
それぞれに
つけた勢いで
通り雨の残していった
水溜り
跳び越え
まだ ぬかるんでいる
着地点上の バランス
そして、
震える空気
耳の後ろ 首筋に
触れる季節の感覚
振り返れば、
君と
君の向こう側へ落ちてゆく
だんだんに細い
弧の光
揺れたまま
ブランコ ふたつ
そしてぼくが、
その目が その耳が
当たり前に
見えること 聴こえることに どんなにか
感謝するのを 忘れていたこと。
或る日
交わした言葉、そして
交わす沈黙
「島」
甘い匂いの煙を吐き出して
薄曇りの日没を見ていた
あんなに綺麗だとあなたが言い続けた島の日没は
切れ切れの雲のまにまに
未舗装の道路の片端
薄くぬれた緋色の砂浜
買いもしない行商の男に煙草をせびり
陽が沈む
ふらリふらりと歩いていく3本足の犬
涙焼けした目じりにごろごろと目やにを付けたまま
ゆるりと歩いていく
神々に奉げる音楽が遠くから聞える
この島の全てを
薄く覗いた日没が見ている
毛束に泥と垢をこびり付けたまま
犬は歩き続ける
紫と薄紅の錯覚の中
どんなに美しくても
どんなに醜くても
同じ場所で腹を空かせる
永い夜
青いささやき
泥土たち
列をなし
水をみがく
きらきらと
なめくじの軌跡のよう
それも不透明のまま
知らせ届く
さいごのひとつぶ
耳の裏へ縮こまる
いびつな始季の告げ
ゆらん ひらん ゆら ひら りん
流るる子ら
油色のわめき声
その手で描く
爪の鋭角
牙の頂
毛むくじゃらに
絡まった
ニッケル銅
肉のにおい
夕ぐれに乗って
やがてゆっくりと
ちかくとおいせかいへ
ゆらう ひらう ゆら ひら てん
腐植土への還りみち
枯れ草の群れ
灰いろの
冷たい毛布はだけ
木々たち
さわさわと
ほそい腕伸ばし
鳥たち微かに
震えたまま
こごえた鉄線から
しずかに羽ひろげ
せかいに朝を迎えにゆく
ゆらら ひらら ゆう ひう りん
背を這う酸の雨つぶ
いつわりの雲の手ひき
鉄塔からやってくる
ひとつ
またひとつ
瞳のせかい
やさしくこわれ
喉がつむぐ本能
本能をつぐむ
それはかつて
心臓と呼んでいたもの
少女がつけた名に
こわれたものたち
つぎつぎに彷徨う
知らないままのほうがよかった?
通り雨
舌をだし
虹をつくれず
退化と進化と感情を
おいて消える
ゆらひら ひらんゆ ゆひらり てん
朝そこまで来て
雀たち少女を探しにゆき
かたばみの群れ
子守唄をうたい
欅たち光合成をいよいよ始める
まばゆさに潜んでいた鉄柵たち
とおくでぼんやりと
足並みをそろえ始め
ひとつ
またひとつ
瞳のせかい
やさしくこわれ
こたえを乞うため
また喉をつむぐと
鋭くとがった鉄塔
こだま返す術すら知らず
やわらかな風
ねじ曲げて
ゆらりら ひらんり ゆひらら りん
おおきな雨つぶ
抱えながら
いまにも千切れそうな
まだ名もない下草が
ちかくとおいせかいへ
根付こうと
青々と萌えている
781 :
名前はいらない:2007/05/22(火) 21:45:41 ID:KCZAKo8U
あと ふたつ?!アゲぇぇぇ
『清潔な食卓』
コピー用紙がテーブルクロス
折り目一つついてない
ひけらかす白は汚れを許さず
それら全てを四角に収める
席に着いた数独者
皿の上で血が固まる
怯えるものは去り
グラウンドゼロの机上にて
未だ闘い続けるナイフとフォーク
匙を投げた数独者
戦線離脱のスプーンは
ゆるやかな放物線を描き
音を立てるか立てないかして
絶対の床に吸い込まれていった
783 :
春:2007/05/23(水) 01:18:17 ID:7lcPpk5N
玄関を出れば
深緑の山麓に
ぽつりぽつりと
萌黄 若草 白緑の浮きたつ円陣
光をうけて
淡くやわらに
清浄なるかな青い空
艶然と浮かぶか白い雲
銀杯花の甘い香りが大気にとけて
ゆらゆらら
どこもかしこも
うとうと春が寝そべっている
784 :
名前はいらない:2007/05/23(水) 21:43:00 ID:6z9WRfWH
はい、10作品揃いましたよぅ。
>>767 遠足日和
>>771 「桜花姫」
>>774 「ほおづえ」
>>775 「果物籠」
>>776 「サクラノユキ(幕間)」
>>777 「 そして 」
>>778 「島」
>>779-780 名づけられた春
>>782 『清潔な食卓』
>>783 春
|l/^ヽ‐-,'"'; lli iill|
/ 〃ヽ゛ zZ .iill|
;'"゙゙"''"゛゙゙`";:y-―, iill|
; "゙゙"''"゛゙゙`" "r‐' .iill|
ミ ∀ - ミ iill|
. .,./) (\ ミ .iill|
.'" ,:;゙ /^ヽo.iill| 審査よろしくですー。
∩~ ;"∩ ;ミ ;'"゙",,.~,;_.ll|
∪,,._ ;.,∪ _,,.;.彡 ;"´∀` /) ヽ... ○) ○)
~"゙~ ~"゙^~ ゙u ;゙ (ヽ|/) (ヽ|/)
゙ヾ .,"",,,,.,"",,,," .,"",,,,.,"",,, ゙u゙"゙u .,"" "" ,,.,.,"",,,,.,
.,"",,,,.,",,,," ゙ヾ .,"",,,,.,"",,,," .,"",,,,.,"",,,,゙ヾ.,"",,,,.,
785 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/24(木) 01:38:20 ID:j/S1S7rg
>>784さん、まとめありがとうございます。
投稿して下さった方、
明日あたり〜月曜くらいまでには評文つけますのでお待ちくださいな。
わくわく宮坂
786 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 19:27:23 ID:mjFBBMou
お題:抒情詩では無い詩。投稿どうもありがとうございました。
まず、前置きです。
●お題は、あまり厳しく考えなくていいです。
……と、言ってはいましたが、やっぱり、それなりには言及してしまうかも。
ごめんなさい。叙景詩愛。ラブアンドピース。
>>767 リーフレイン氏 「遠足日和」
作者の表現したかった雰囲気なり情景が、かなり正確に読み手に伝わる作品だと思います。
>雨がひとしきり降ったら遠足日和
このフレーズですとか、
>カラフルなお弁当とお弁当とお弁当とおにぎりと水筒と
>得意げな顔
この改行具合なんかも、読んでいてすわりが良いです。
ある意味当たり前ですが、今回のお題では個の感情面を排除することになる為、
抒情詩に比べて、より言葉の選び方や、語数に配慮する必要が出てきます。
(もちろん、私見であって、抒情詩をないがしろにしたい訳ではないです。)
なので、こういう巧さはポイント高いです。さりげないですし。
ただ、全体として、リーフさんもメール欄に書いている通り……
叙景詩?かな? なんです。
雷雨だったにもかかわらず「遠足日和」になり、
「黄色い帽子のリュックサックの群れ」があり、
「カラフルなお弁当」などが群れの数だけある。
子供たちは「得意げ」てあり、「おひさま」までも笑っている。
確かに、文字だけでは情景描写のみが存在しているのですが、
上記を見る作者、そして読者の目の温かさ、微笑ましいと思う感情が、
叙景詩としては働きすぎてしまっていると、思います。
(リーフレイン氏本人も、分かっている可能性が高いと思いますが)
787 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 19:28:37 ID:mjFBBMou
「抒情詩でない作品」という選択肢の中に、ものがたりや、人物描写など、
ひとつの「型」に嵌めて行く選択肢がありますね。
型に嵌まるのは嫌いですが、型に嵌めるのは大好きです。
それが、こちら。
>>771 「桜花姫」
桜や花、香りなどといった傾向の語句を、これでもかと使っています。
これでもかと使っているのが、
「姫」と名の付く古風で大仰な雰囲気のこの作品の場合、効果的だと思います。
問題は二連目にあります。
>風が遊ぼう通りすぎ
>花びらみんなもってって
>一緒に踊ってくれるけど
>気まぐれ風は途中まで
>空へ運んで落っことす
この連は、詩全体の中で浮いています。
>もってって
>一緒に踊ってくれるけど
>落っことす
では、急に軽い、現代的な雰囲気になってしまうと同時に、
>踊って“くれる”“けど”
という表現では、ある個人の感情が見えてしまい、ふさわしくないです。
二連目以外は、語句の選び方とは対照的にさらりとしていて、
この作品としても、今回のお題としてもいいと思います。
>浮かべ浮かべと
>酒の肴に眺めてやろう
リズムを崩した、この結びがいいですねえ。
謡曲やなんかが、チャン、、チャン。
と、終わる時のような、まさにこの詩に似合った感じで。
>>774 ゼッケン◆◆ZkkenDgUE6氏 「ほおづえ」
あんまり突っ込みどころがないんですよ、この作品。どうしようw
なんでもない言葉を巧く調整して書いている所が良いです。
言い回し、改行等も……私の感覚と一致しているのでしょうか、完璧です。
ただ、ややもすると、あるひとつの“景色”から、“叙情”を引き出している作品、
と、取れなくもないです。こうなると逆転現象が起きてしまいます。
叙景詩の皮をかぶった抒情詩。ということです。
でも、そうだと言い切ることもちょっとできないな……。すみません、難しいです。
788 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 19:31:19 ID:mjFBBMou
>>775 アマモリトオル◆yjVBsR9W2A氏 「果物籠」
>光は偏在しようと企みながら
>驕慢な赤み
>そこには何ひとつ隠しごとがない
>野放図な欲動には既に堕落が
>快楽の陽が射し
>腐敗という陰が
上記のような表現は、一見感情的に見えるかもしれません。
ですがその逆で、第三者的な見方で書いてあると思います。
なぜかといえば、「赤み」が「驕慢」なのは、
「林檎」が作者や、詩に登場するなにかに対してではなく、
言うならば、“設定されている(もしくはアマモリトオル氏が設定した)こと”だからです。
視点は「光」や「林檎」「葡萄」など、さまざまに切り替わりますが、
それは一人のカメラマンが切り替えているだけ、とでも言いましょうか。
内容的に結構色々な事を書いているにもかかわらず、
どの視点に対しても(物質的な分量でなく)平等なところが素晴らしいです。
感情の重さが平等であることは、叙景詩には重要なことです。
しかも、詩の内容としても、
果物籠の中の物には、どれにでも必ず腐敗が忍び寄るわけで、その点でも平等。
……この辺りは深読みかもしれませんが、様式美を感じます。
さらに様式美といえば、「果物籠」そのものが、昔から描かれ続けてきた見本のようなもので、
その辺りが素敵ですねー。
「驕慢な赤み」「星を虜に」「欲動」「堕落」「快楽」など、
やや大仰な表現が濫用されている気がしますが、
個人的な好みの問題もありますので、触れるだけにします。
789 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 19:32:36 ID:mjFBBMou
>>776 ボトルネック*゚Д゚)◆necK/fzEYA氏 「サクラノユキ(幕間)」
ソネット(4・4・6、または4・4・4・2で脚韻を踏む)の形式に近い作りで綺麗ですね。
意図してやっているんでしょうか?
また、
>機械音と声の融合
ここ以外はすべて、修飾+何か という形(良い言い方が思いつかないけど)で書かれています。
かなり淡白で、切り取った景色を次々置いて行く、という作業を見ているようです。
と、言うことで“幕間”な訳なんでしょう、きっと。
>>775 アマモリトオル氏の作品がカメラマン、または監督のものだとすれば、
この作品は大道具さんのもの、という感じ。(“幕間”だから当たり前か。)
で、その意図・アイディアは分かりますし、良いと思うのですが、
なにぶん切り貼り、箇条書きの感が強すぎて……。
もう少し踏み込んだ表現を使って、舞台美術さん、に、なって欲しいです。
(職業的に、舞台美術>>>>>>>>>>>大道具って意味じゃないですよ。)
ここからは、ソネットを狙って書いていると仮定した場合ですが……。
その場合、
>場面転換
の、前か後ろに1行足りない、ということになります。
で、この足りないところが良いです。
一場面が終わった余韻、もしくは場面転換のゴソゴソや暗転を感じさせるからです。
>>777 「 そして 」
クエスチョンマークや句読点、三点リーダなどを過剰に使うのは、あまり良いとは思わないのですが、
この作品には、それらを使うことで出る誤魔化し的な感じが、それほどないように思いました。
多分、全体的な文字の詰まり方や、配置の効果が良いのだと思います。
詩のテーマも、とても良いと思うのですが、完全に抒情詩だと思います。
冒頭、そして特に後半に、風景描写がたくさんありますが、
それはあくまで、抒情詩の中の“情景”部分であるように思います。
>●「私」の心情に重きを置かない作品をのぞみます。 という希望もありましたし、
お題のことを考えると、うーん、沿っているとは言えないでしょう。
790 :
みやさか:2007/05/28(月) 19:38:09 ID:mjFBBMou
ちょい休憩。。
791 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 21:00:20 ID:mjFBBMou
>>778 「島」
タイトルと詩全体の兼ね合いが、センス良いと思います。
景色をしっかりと描き出そうとしているのが伝わりますし、
「緋色」「神々」など、密度が濃かったり、比較的重い言葉や表現を、
他の言葉が中和しており、バランスがうまく取れていると思います。
残念なのが、やはりまだ一歩、「私」の心象風景から抜け出せていないことです。
>あんなに綺麗だとあなたが言い続けた島の日没は
この一文を使っていながら、そこまでリリックになっていない事から力量を感じますが、
例えば、「あなた」を「恋人」とするだけでも違うと思います。
選ぶ語彙によっても、より一人称的か、そうでないかの距離が変わってきますので。
また、
>紫と薄紅の錯覚の中
>どんなに美しくても
>どんなに醜くても
>同じ場所で腹を空かせる
この最後の一連が、この詩を第三者的視点から引き離す、ダメ押しになってしまっています。
内容的には、この連、好きなのですが……。
792 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 21:02:04 ID:mjFBBMou
>>779 「名づけられた春」
言葉の選び方や組み合わせなど、好きです。
例えばなのですが、
>きらきらと →きれいなものに使われることが多い
>なめくじの軌跡 →普通好かれるものではない
このような組み合わせでの表現は、きれいになりすぎたり、暗くなりすぎたりするのを防ぎます。
こういう所が、とっても巧いと思います。個性的でありながら、バランスいいです。
しかも、“詩においてはすべての語彙が等価である”という考えに基づいた場合にも、
素晴らしいことだと思います。
>油色のわめき声
>灰いろの
>冷たい毛布はだけ
>喉がつむぐ本能
>通り雨
>舌をだし
>虹をつくれず
この辺りも好きです。
>ゆらん ひらん ゆら ひら りん
個人的に、このような表現が苦手なせいもあるのでしょうが、
やや規則的に使われ過ぎている節があるので、
もう少しこのフレーズを抜く部分があっても良いのかもしれません。
しかし、配分の話を置いておけば、
叙景と、物語と、雰囲気そのものの表現の入り混じったこの作品の、ある意味一番の肝でしょう。
>知らないままのほうがよかった?
これだけは別の表現に変えたほうがいいと思います。
ここだけが、俗に使った場合の“ポエム”っぽい、妙な雰囲気を出してしまっていますので。
793 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 21:18:07 ID:mjFBBMou
>>782 『清潔な食卓』
目の付け所、素敵だと思います。
視点と表現も、ハイスピードカメラを用いた感じといいますか、雰囲気は、すごくあります。
>未だ闘い続けるナイフとフォーク
>匙を投げた数独者
>戦線離脱のスプーンは
この部分、「匙を投げた」と「スプーン」の掛けが、洒落てて良いですねー。かなり好きです。
「・・・ナイフとフォーク」から繋がってるのもまた良い。
気になるのは、言葉の扱いが、なんとなくたどたどしいところ。
具体的には、下記の辺り。
>ひけらかす白は汚れを許さず
>未だ闘い続けるナイフとフォーク
>音を立てるか立てないかして
>未だ闘い続けるナイフとフォーク
これを例に取ると、“未だ”はなくても“未だ”な感じは“闘い「続ける」”で、十分伝わります。
“闘い続けるナイフとフォーク”
または、“未だ闘うナイフとフォーク”
どうしても両方入れたければ、“未だに闘いを続けるナイフとフォーク” が、スマートでしょう。
794 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 21:36:39 ID:mjFBBMou
>>783 「春」
正統派なテーマで良いですね〜。
少しバランスが良くないです。
>艶然と浮かぶか白い雲
これは、少し唐突に感じます。
「清浄」な「青い空」に浮かぶ「白い雲」を「艶然と」と形容したければ、
もっとそれ以前に雲についての具体的な描写が必要です。
他の部分も、あいまい過ぎる、雰囲気だけの言葉が少し多いかも知れません。
>深緑の山麓に
>光をうけて
>淡くやわらに
>ゆらゆらら
>どこもかしこも
>うとうと春が寝そべっている
このあたりに、あと一つか二つ、「銀杯花」のように具体的な単語を含ませると、良いかも。
「光」ならば、光についての語彙(寒光・暁光・斜光・秋光などなど)や、
自然や科学の分野に、どんな光があるか調べてみる、など、色々方法があります。
>萌黄 若草 白緑の浮きたつ円陣
ここの一文は逆に、具体性のないことで、ありのまま美しく配置された色彩を、
こちらに感じさせてくれていて、素敵だと思います。
795 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 22:02:19 ID:mjFBBMou
以上、好き勝手書きましたが、評文終わりです。
・・・・・・はあ、はあ。
まずですね、弱輩者のわたくしが、かなーり偉そうに色々書きましたこと、お許しください。
お題がお題、感情に任せて書ける種のものではなかったので、(いや、私が出したお題ですが)
評文もそれに倣い、平等に、なるべく冷ために、書いてみました。
「じゃ、おめえは書けんのか!?」と言われたら、返す言葉も……ございます。
「すべての料理評論家が料理の天才とは限らない」
厳しくしたって訳ではありませんが、叙景詩など、第三者的目線の詩が好きな為、辛口になっているかも知れません。
詩板だけでなく、それこそロマン主義の時代になってから現代まで、
世の中には個に重きをおいた抒情詩ばかりが溢れ返っています。
抒情詩は好きです。
でも、「わたくしは、わたくしが、わたくしの……わたくしわたくし」な詩ばかりでは、
胸焼けしてしまいますし、感情の共感を得たり、得なかったりするばかりで、
美や芸術の共有を本当にすることは、難しい、という側面があると思います。
語彙にも、人の感覚にも、外界にも平等で冷静、普遍的な、「抒情詩以外の詩」が読みたくて、
このようなお題を出してしまいました。
ほんの出来心です。許してね。
かたいこと、やわらかいこと、色々言いましたが、
今回の優勝者は ―ドラムロール―
>>775 「果物籠」 アマモリトオル◆yjVBsR9W2A氏 です!
おめでとうございます!
アマモリさんの投稿は早めでしたが、これを読んだとき、すでに優勝候補の匂いを醸し出していました。
すごく楽しかったです♪
アマモリトオルさん、次の選者さんを指名してくださいねー。
宮坂純さん評価お疲れ様です。
僕は「桜花姫」書きました。投稿早めだったので、とても楽しみに待っていました。
他の評も読みましたが、よく見てるなあと。ご指摘の通りです。
推敲後は完璧だと思って投稿するんですが、まだまだですね。
これじゃあいつまでたっても優勝できないス。
アマモリトオルさんおめでとう!
宮坂純さん、丁寧な審査お疲れ&ありがとうございました。
「春」書きました。
もー手持ちの語彙の少なさに涙です。よよ。
常々、宮坂さんの詩の鋭敏な視点、語彙選択の妙に感嘆していたので、その制作過程の一端が垣間見えたような評文が読めて幸せでした。
本読め、私。
アマモリトオルさん、優勝おめでとうございます。
ども、『清潔な食卓』書きました。
途中まで書いて、これは叙景詩なのかどうなのかわからなくなってしまい
そうこうしているうちに残り二作品。
ああヤヴェと思いつつ仕上げました。
詰めが甘いなあと自分でも思いました。
審査ありがとうございます。
アマモリトオルさん、おめでとうございます。
(以前のトリップをなくしてしまったので、違うトリップで失礼します)
宮坂さん、審査お疲れ様&ありがとうございました。
>●お題は、あまり厳しく考えなくていいです。
という、その一言に甘えて、「 そして 」 を書きました。
他意はありません(笑)。なので、
お題に沿えない出来なのは、もっともで、恥ずかしい限りです。
抒情詩ではない詩というお題を出されて、叙景詩その他についても
色々と考えるとても良い機会になりました。評の全てもスゴク勉強
になりました。
他の方が書かれる作品を、「抒情的でないこと」をこんなに意識ながら
何度も読んだのもはじめてだったかもしれません。そんな機会を与えて
くれたことにも、アリガトウです。
そして…
アマモリトオルさん、おめでとうございます!
800 :
ボトルネック*゚Д゚) ◆necK/fzEYA :2007/05/29(火) 07:44:17 ID:nnra7iLi
お疲れでした〜
ものっそい丁寧な評ありがとです〜
(*´∀`)
801 :
リーフレイン:2007/05/29(火) 20:57:18 ID:2erO26WM
宮坂さん ありがとうございました そうなんです 叙情と叙景の境目かなと思いますー
やれやれ むついです_(^^;)
アマモリさん おめでとうございます!
大変丁寧な講評を頂いて満足しています。
宮坂さん、ありがとうございました。
今回の「果物籠」はルネッサンス後期のある画家の静物画をモデルに書いたものです。
(誰の絵かバラすと俺の詩が更にへぼく見えるから教えませんヽ(`Д´)ノ)
さて次の評者ですが、、
俺はMORGEN ◆.nITGbUipI氏を指名したいと思います。
古参の人なら知っていると思いますが、氏も大変優秀な評者でございます。
去年は俺が入り浸っている「ただ書きたい」スレにて丁寧かつ的確な感想をいただきました。