【選者指定コンペ2】よろしく願いしまふm○m

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713砂原に
砂原を歩いていると、人間の手が蠢いていたので、掘り出した
父だった
父はこんなところに埋まっていたのだ
途中から誰かがわかったので、指先でなでるように、焦って掘り出した
息をしていた

父とはもう語ることはなかったので、
一緒に砂原に座っていることにした

陽がさんさんと照り
風が砂を運び
遠くの空をなにかが飛び去って
足元で虫が這い
父は横に座っていた

風が夜を運び
砂が湿り気をおび、
夕焼けの赤いベールが閉じられていって
父は横に座っていた

長い、長い夜が
一息一息の呼吸をルーペで覗き込むような細密さで
私と父に刻印を刻む
父は ただ横に座っていた

白い朝を迎えるころに
私はもう一度父の上に砂をもり
父の手をたった一度だけ握り締めてから
家へ帰った