それでは告知をば。
お題:SF
SFを感じさせてくれればオールオッケーです。
映画や小説のタイトルを拝借しただけっつーのもありにします。
ただし、妖精とか魔法使いとかはやめてください。あれはファンタジーですので。
締め切り:10作集まるか2/10まで
*名無しで投稿してください。寸評はその都度付けていくと思います。
それではよろしくどぞ。
↓↓↓↓↓↓
504 :
まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk :2007/01/28(日) 20:47:17 ID:ABdCeCmd
『SFの夜』
宇宙人は絶対にいる、と力説するような子供だった。
馬鹿にされて鼻で笑われたこともある。
同意してくれる友達からも、そこまで熱くならなくても、とたしなめられたこともある。
それでもずっとずっと頑なに信じていた。
そして、熱く語らなければ意味のない話であることも知っていた。
不可知論(そんな言葉は知らなかったが)という思考停止(この言葉も知らなかった)から逃れるには、
熱く、狂信者(これも知らないし知っていたとしたら否定したかもしれない)のように語り続けなければ、
自分の中の宇宙人が消えてしまう確実で嫌な予感があったからだ。
UFOを見たことはない。もちろん宇宙人にさらわれる夢すら見たことはなかった。
それでも宇宙人は存在する。自分の心がそう叫んでいる。
宇宙人が消える、という不安は 消えてしまう=存在しない というような短絡的なものではない。
存在は必然なのだから、そんなことを心配しているのではない。
むしろ自分が消えてしまう不安に等しかった。宇宙人を信じる自分以外の自分なんて偽者だとわかって
いたから。だから熱く語る必要があった。偽者の自分なんかいらない。
ウェルズのタイムマシンを操って巨大化したオレンジ色の蟹しかいない地球の落日を眺めていたあの頃。
クラークの潜水艦に乗って鯨の養殖に励み、ヴォークトの光線銃で怪獣と戦う日々。
ブラウンのペーパーバックに物語を書き、ハインラインの分厚い枕で昼寝をする毎日。
そうやって子供とあの頃を卒業すると、いつしかガーンズバック仕込みの発明家となっていた自分。
ディックのようには自分を疑わず、ギブスンの退廃には目もくれず、E・E・スミスと銀河を超える。
「私の発明とは宇宙人とコンタクトを取る方法を簡略化したものです」
記者会見の壇上で切れ目のないフラッシュライトを浴びながら得意満面の笑みで額の汗を軽く拭う。
「今までのように思念を送る、などという陳腐な方法ではないのでご安心を」
ざわめきを見下ろしながら、集まったマスコミが自分を馬鹿にした連中と同じ顔をしていることに気づく。
〔緊急指令!O-38ZGTからLY-505ETSへ!緊急避難信号!〕
〔間に合わない!座標JL205QA64KMへ急げ!〕
505 :
まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk :2007/01/28(日) 20:48:44 ID:ABdCeCmd
宇宙人は目の前にいた。背格好は人間と大きな違いはなかったが、宇宙人だとすぐにわかった。
なぜなら彼は親しげな態度で歩み寄りながら、手を差し伸べて握手を求めていたのだから。
「こんにちは、やっと会えましたね」
「こちらこそ、私は宇宙人です」
「知っています。子供の頃から知っています」
「ありがとう。私も気づいていました」
宇宙人と二人で何もない星の上を歩く。積もる話はいっぱいあるはずなのになぜか言葉が出ない。
でも、それでいいんだ、と思っていた。宇宙人もきっと同じ気持ちでいてくれるはずだから。
「私が発明したこの装置を使うと、宇宙人に会うことができます」
「しかし残念ながら会うことができるのは一人です」
「それでは皆さん、ごきげんよう、さようなら」
地形は原型をとどめぬほど様変わりし、微かに残った人類の痕跡も廃墟と化した地球の上。
飛来したUFOから降りてくる者がいるとすれば、それは宇宙人に違いないのだ。
「きれいな夜ですね」
「そうですね。こんな星空の下を散歩するのは、小さい頃からの夢でした」
「私は宇宙人ですが、地球人の子孫でもあります。わかりますか?」
「それは、もはやどうでもいいことです。なぜなら……」
「なぜなら?」
「……私も今日から宇宙人だということですよ」
おわり
>>504ー505
すげぇ!
素早い投稿に泣けた!
名無しじゃないことにも泣けた!
そして内容に号泣!
全編にそこはかとなく流れる傑作映画「コンタクト」の様な切なさ。
愛読してきた作家達の名が登場するだけでこちとら涙がちょちょぎれます。
ラストは火星年代記の名場面を再現!
嗚呼、SF者冥利に尽きまするーーー!
う〜ん見事なショートショートでございます。
ありがとうございました。
えーと、それからもう、コテでも名無しでもいい事にします。
モチロン形式も自由ですよ〜
507 :
まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk :2007/01/29(月) 01:43:39 ID:SWPCCdFl
>>506 すんません、名なしで投稿という文を見逃していた。
しかしこれに泣いてくれるとは、おぬしもSF者よのう。よのう。
実はJ・P・ホーガンが好き。いや、なんでも好き♡
他の方も、どぞ。↓
「りんご反転」
リフトのように自由に上下する時空の移動
それでひっくり返るともう滑る滑る
底無しのタイムトラベラー
重力よ、チェックメイト
509 :
名前はいらない:2007/01/29(月) 19:17:35 ID:OS10D79M
「月へいこう」
ものの本によると、
かつて気球に乗って月に降りた男たちがいた。
かつて梯子を連ねて月に渡った男たちがいた。
かつて天女に選ばれて月に招かれた女たちがいた。
かつて渡り鳥に捕まって月に運ばれた女たちがいた。
ところで私の手元には、
一枚の証書がある。
何とかの海の近くにある、
月の土地の権利書だ。
去年のクリスマスに、
小さな姪に用意した別荘地の、
隣に自分のぶんも買ってしまった。
あんまりほったらかしにしておくのも悪いので、
春になったら草むしりにでも行きたいと思っている。
小さな姪に頼んだら、連れて行ってくれるだろうか?
<!-paradox-!>
ロボットの息を聞いていると
どこからでも
大発生して沸いて来る
……いや多分
これは愛ではないけれど
不思議だ
拍動が 止まない
そのとき
全てが脈打ち出し
大地が混雑する
「月が!太陽が!」
宇宙になる
みんな 揃って 弾け飛んで
微粒子になる
ニュートリノの群れに混じって
分解を 繰り返し くりかえし……
時間に食べられながら
”僕”なんて最初からいなかったのだ
と
思えてくるので―
「ございます」
--<!-paradox-!>(2/2)
512 :
名前はいらない:2007/01/29(月) 22:34:03 ID:zUIsCRyz
「鏡」
一分一秒先すら見えてこない 当たり前の世界
光の速度を超えればタイムトラベルは可能なのか
未来から人が来ないって事がタイムマシンの完成してない証しになる
誰かのいった言葉
誰もが考えた思い
それは半ば諦めで半ば言い訳で
出来っこないって理由ばっかり考えて安心した
出来る事に恐れてた
人と同じように染まっていたら安心した
レールを踏みはずさなければ各駅停車で連れてってくれる感覚
しかし願えば願う程未来を見たくて仕方なかった
つまらない未来ならば今変える「決意」だけはあった
同じ真似ばかりする目の前の奴を握りつぶす そのきっかけを待っている
ただ時間だけが光を超えた
光に追いつきたくて過去を受け入れたくて
今を生き抜きたくて未来を信じたくて
未来を見れば今の未来は無くなるわけで今の未来を知りたくて
一分一秒を無駄にしたくなくて
百年のタイムトラベルを楽しみたくて
見れない今を懸命に進む
目の前の奴もふっと笑った
「未来科学ペットボトル」
とある古代文明の遺跡からペットボトルとおぼしきものが見つかった。
驚いたことにこの中に入れ蓋を閉めると入れたものが消え開けると戻るという現象が起きたのだ。
科学者たちは是が非でもペットボトルを切断すべし、と訴えたが注意書きには「切るべからず」とある。
しかし科学の進歩のために。ペットボトルは丁寧に切断された。
警告どおりに不可解なことが起こった。その場に立ち会った科学者たちは姿を消した。
密室の部屋には蓋の空いたペットボトルだけが残った。
何事かとモニターを見ていた男がドアを開けた瞬間、空気の及ぶ全てものは消え去った。
わたし、あなたのこと好きよ、ダン。憶えていてね
そう言って
アンヌは加速状態に入った
光の3分間
銀河連邦は地球による火星テラフォーミングを他惑星への侵略と決議、
国連議長に宇宙開発の即時停止を要求
地球、銀河連邦より離脱
銀河連邦はM78星雲ウルトラ警備隊本部より20万人規模の兵力を地球に派遣
わずか3分間の光線攻撃により、人類は宇宙への夢を断たれた
ダン! 少年は自分の恋敵を発見すると、息を切らして青年に走り寄る
少年はアンヌのことが好きだった。だから、分かるのだ。アンヌもダンのことが好きだ
それで少年にとってダンは恋敵なのだが、少年はダンのことも好きなのだった
ダンは羊の放牧から戻ってきたところだった
羊たちを柵の中に追い込み、馬から降りる
少年の太陽の匂いのする髪の毛を大きな手でくしゃくしゃにする
夕陽が山の峰々に反射している
少年はダンの顔を見上げる。ダンと名乗った青年は不思議だった
ダンは一ヶ月ほど前にふらりと現れ、少年とアンヌの住む山小屋に居ついてしまった
天日に干していた牧草を納屋に入れ終えたアンヌが小屋の裏を回って出てきた
おかえり
ただいま
山に冬が訪れようとしていた
しかし、季節は彼らのもとには訪れなかった
その夜、少年は熱を出した
高熱だった
小屋にある薬は利かなかった
医者のいる町まで、馬で一昼夜かかる
アンヌは少年の命を助ける方法を知っていた
ダンも少年を助ける方法を知っていた
しかし、ふたりともそれは出来なかった
この山の地下には人類の秘密研究都市があり、
アンヌはその門番であり、
ダンはその都市を破壊するために送り込まれたウルトラ側の工作員だった
アンヌが少年を地下都市に連れて行けば少年は助かる
ダンが変身して少年を連れて町まで飛べば少年は助かる
しかし、ふたりにとってそれは別れを意味する
アンヌは馬に鞍を乗せ、ぐったりした少年を背中にしばりつけた
行ってくるわ。アンヌの唇は青ざめている
どうか、わたしを赦して
恋のために少年の命を危険にさらすことを決めた自分がこわかった
汗ばかりかいているのにそこだけ干からびた少年の唇がかすかに開いた
ぼくはアンヌとダンが好きだよ
デュワ! ダンは変身すると、アンヌと少年を両脇に抱えて飛んだ
少年は一命を取りとめ、そのまま町の病院に入院した
もはや少年が小屋へ帰ることはないだろう
ダンとアンヌは徒歩で山小屋へ帰ってきた
二晩ほど野宿し、夜はふたりで身体を暖めあった
朝もやのなか、ふたりは山小屋の前で正面から向かい合う
わたし、あなたのこと好きよ、ダン。憶えていてね
そう言って
アンヌは加速状態に入った
改変されたトランスミッターがアンヌの脳で爆発的に放出され、
最適化されたシナプスがアンヌの増強された筋肉を絞り上げた
音の消えた世界でダンはアンヌの目の前にいた
ダンのウルトラセブンへの変身は光の速度で行われた
アンヌはダン/セブンの喉元めがけてナイフを抜いた
アンヌ、アンヌ、アンヌ
セブンのアイスラッガーの方が速かった
納屋の床下に隠された入り口から地下都市へ侵入したセブンは
人類の科学を粉砕した
少年はあれから町で育った
周囲の大人は少年を大切に扱った
地下の研究施設で創られた少年の脳には人類の科学の記憶が残されている
少年はまだ知らないが
いつの日か、宇宙へ行くだろう
517 :
ゆらます2ndで会いに行きます:2007/01/30(火) 14:28:43 ID:Dc2idpLD
タイムマシンを発明した。むほほ。発明したのだ。できちゃったのだ。
助手の横山君が感涙にむせびながら尋ねる。
「ああ博士、遂にやりましたねえ。どこ行くんすか、何するんすか、ねえ博士え」
そんなもん決まっとる。競馬の過去の大穴レースにどーんと張るのじゃ。ロト6の当たり数字をどーんと買うのじゃ。
とりあえずは金じゃの。むほほほほ。
しかし大金を儲け、横山君と今日はキャバクラ明日ソープと、とりあえず女に走っている間にタイムマシンを盗まれてしもうた。無くなってしもうた。
I am Oh No!わしの馬鹿!
なに、タイムマシンゆうても、製作に二十年程かかりはしたが過去にしか行けん。しかも通販で買った簡易サウナを、あ、ちょちょっと、ちょっくらちょっと手間隙かけて改造した物であるからにして運び出すのはそう難儀でもないのじゃ。
それから数日後、タイムマシン【ゆらめきの彼方へ・今会いに行きます】通称【ゆらます】を失い落ち込む我々が気慰みにとつけたテレビで、消えた筈の【ゆらます】を見つけた時の驚きを何と言おうか。
ずどんと鎮座するゆらますを挟み、ニュースキャスターらしき男女が「我々は真実をお届けます」と、政府広報のような厳めしさでガッツポーズをとっている。
「博士、あれ、ゆらますですよ、ゆらますですよおおおぉぉ」と、泣きながら画面を指さす横山君を尻目に番組は進んでいった。
「はい、私は今玉音放送の流れる皇居前広場に来ています。ご覧いただけますでしょうか。地に伏す人々を、号泣する人々を。
天皇の敗戦宣告を聞きながら、私達の偉大なる先人達は絶望と来たる困難に脇目もふらず涙にむせんでおります。暑い暑い真昼です。くらくらきます。うげげげげ」
年配の男性アナウンサーがしかめた顔から汗と唾を弾丸発射しつつ喋り始める。
かつて何度も放映された有名な場面が、鮮やかな色彩と臨場感あふれる音質を伴い映し出されていた。
そうじゃ、暑く悲しい夏じゃった、と遠い昔に思いを馳せている内に、テレビは広場に集う人々を淡々と映し、
「我々に歴史を変える事は許されません。ただひっそりとその場に立ち会うだけなのです」
とのテロップが流れ番組は終了した。
518 :
つづき:2007/01/30(火) 14:33:12 ID:Dc2idpLD
あの狭い簡易サウナにアナウンサーと機材を持ったカメラマン二人が乗り込み、かの地まで取材に行ったのか。テレビ業界の商魂凄まじ。
わしだってI am復興!負けるものか!金ならあるのじゃ!
わしはゆらます2ndを作る決意を固めた。
どういうルートでゆらますの存在を嗅ぎつけ盗み出したのか判らぬけれど、テレビ局に掛け合っても無駄だろうし、警察に盗難届けを出すのも憚られる。
いや、この年になると、しかもタイムマシン製作に二十年も打ち込んでいたともなると、探られたくない腹は結構あるのじゃよ。むはははは。
意気消沈の横山君のけつを叩き、設計図を覗きこみ再びタイムマシン製作に取り組む我々は、毎週土曜の晩に放映される『歴史宅急便・本物には敵うまい!』を欠かさず観た。
それは我々だけではなかったらしい。
〈黒船来航〉〈二・二六事件〉〈黄門さまに会いたい〉と回を重ねるにつれ視聴率はうなぎ昇りで、それに伴い番組内容に変化が表れ始めた。
〈卑弥呼は今でいう何美人?〉〈芭蕉隠密説は本当か〉〈関ヶ原の戦い・生首の謎〉と続いた次の週、〈信長の狂気に密着24時〉で若い女性アナウンサーが信長にインタビューを試み、「無礼者」の一喝と一刀のもと重傷を負う事態が発生。
カメラマンに助けられゆらますで息絶え絶えの帰還となったが、世間は「過去を侵すべからず」とひ弱に叫ぶのみで視聴率は一向に下がる気配を見せず、
〈江戸末期・夜這いの風習に肉薄〉〈応仁の乱・屍を喰う人々〉〈島原の乱・火炙り地獄〉とますますエスカレートしていき、
遂に西暦1945年8月6日、すなわち広島の原爆投下日時にゆらますはそのずん胴ボディを降り立たせ、開いたドアからはアルマゲドンさながら、白い防護服に身を包んだアナウンサーが重々しく、
「私は今からこの国の壮絶な痛みに立ち会います」
と告げた。
見馴れた町並みが映っていた。懐かしい町並みだった。
赤い煉瓦の大きな建物。あれは小学校で、みよちゃんはわしの隣の席で、いつもわしの左のえくぼに人差し指を入れて笑っていた。
みよちゃんは長い髪を二つに括って、まあるいほっぺで、わしは、わしは、みよちゃんが。
「空は澄み渡っています。しかし、もうすぐ人類史上初の核兵器を乗せた爆撃機エノラ・ゲイがこの地に白い閃光と巨大なきのこ雲と黒い雨を降らせるのです」アナウンサーの解説は尚も続く。
519 :
つづき:2007/01/30(火) 14:35:26 ID:Dc2idpLD
ああ、わしは生き残ってしもうた。ちょうど岡山の祖母ちゃんちに行っとって生き残ってしもうた。
わしはもう一度母ちゃんに会いたい。友達に会いたい。学校の先生に、みよちゃんに。そして。
「かすかに東の空から爆音が聞こえてきます。いよいよなのでしょうか」
カメラは雲ひとつない青空をとらえ、小さな黒点が徐々に大きくなる。
「見えてきました。現れました。銀翼の悪魔エノラ・ゲイです。この美しい広島の町を焼き尽くそうと、未来までもを焼き尽くそうと、その腹に狂気の爆薬を抱えこの地へと迫って来ます」
ボガーーーーーーーン!!
突然、爆発音と白煙を残し映像が途切れた。
「博士、どうしたんでしょお。原爆が落とされたんでしょおか?」
横山君が腑におちない様子で尋ねる。
「おそらくそうじゃろ」と言うわしに、
「でも、いくらなんでも投下地点は避けてルポするんじゃないんすかねえ」と尚も首を傾げている。
「あいつらのする事なぞ尋常な精神では測れんのじゃよ。ぬほほほほ」
そうだ、あれはゆらますの爆発音なのだ。万が一を考えて自爆装置を組み込んでいたのだ。安月給でこき使われている割には存外鋭いじゃないか横山君、むほほ。
右手に握った自爆リモコンスイッチはごみ箱に。見世物はもう沢山だ。
こんな爺ぃになっちまって、左のえくぼも一筋の皺になっちまって、いざとなったら会うのが怖くて、悪い事もいっぱいしてきた。けれど、心にはいつもあの広島の美しい町があった。
もう取り戻せない時ならば、わしはゆきずりの風になって懐かしい人々の傍らをそっと通り抜けてこよう。
ゆらます2ndで会いに行こう。
「博士え、まだ映らないですよお」
なにを呑気な事を言っておるのだ、横山君。ほれ、仕事じゃ仕事。時間は止まってくれんぞよ。ぬほほほほ。
520 :
空の航海:2007/01/30(火) 15:08:12 ID:HIEsmHpi
重く響いてくるエンジンを背にして
星の大海原をゆっくりと進む
空間から空間へ
星座は次々と形を変えていく
煙草を一服
星雲を浮かべてみようか
故郷の匂いが満ちてくる
闇に浮かぶ計器
あちこちに貼り付けられたメモ
故郷に残してきた家族の写真
窓から外を見る
娘は恒星をこんなに近くで見たことはないだろう
目を細めて、その熱を頬に感じる
やがて懐かしい光景
かつて誰も住んでいたわけでもないのに
忘れられた都のように見える
まるで穏やかな眠りのように
やさしく照らす月の表面
地球まであと一時間
交信終了、減速を開始する
521 :
十字架の群れ:2007/01/30(火) 21:09:09 ID:fgFhgVeg
空に天使のラッパが鳴り響き
前後左右につらなった
巨大な十字架があらわれた
悔い改めなさい
悔い改めなさい
もう遅いんだけど
十字架の群れはビルや橋を薙ぎ倒し
人々の頭上に降りかかった
ゴオオオーーーーー
宇宙の底引き網式清掃船に引っ張られ
あわれ地球よどこへ行く
ゴオオオオーーーー
(たすけてええぇー)
522 :
名前はいらない:2007/01/30(火) 21:36:15 ID:TS51IAS1
ア〜レ〜もう10作そろってしまった
>504-505 SFの夜
>508 りんご反転
>509 月へ行こう
>510-511 <!-paradox-!>
>512 鏡
>513 未来科学ペットボトル
>514-516 少年よ、あれがウルトラの星だ
>517-519 ゆらます2ndで会いに行きます
>520 空の航海
>521 十字架の群れ
それでは、あばらやさん、お願いします
海中海上住居網実用実験開始
増加しつつある海抜0以下地域を必死の堤防で守ってきた政府は、このたび
水中、水上での生活を模索する実験を開始することになった。実験の母体になるフロート網住居は
NASA宇宙開発事業団との連携のもと、水圧、防水、台風被害などあらゆる被害を想定して作られたもので、海上のみならず、
海中へ長時間潜ることが可能となっている。
第一次の実験移住者として全国から選別された500世帯の家族が笑顔で乗り込んでいった。
彼らは実際に1年間をフロート住居で暮らし、生活にあたって発生する問題点を洗い出すことになる。
同時に住居網の拡大整備作業にもあたる予定だ。
太陽光発電設置家庭に対する減税措置開始。
5%減税開始、太陽光発電マンション住人にも適用。
[経済]
石炭関連企業、一気に大卒者就職希望ランキングトップにおどりでる。
夕張市5年後には積年の財政赤字を解消の見込み。
[生活]
水没による水質汚染被害拡大。
深刻化するトリクロロエチレン被害。近海魚、突然変異?
[教育現場で今]
UVカットヘルメット全国の小学校へ無料配布。UVカットサングラス装備
[ワールド]
水没難民増加、深刻化するボートピープル
[特集]
高速道路に風車が回る
すでに見慣れた風景となった高速道路を縁取る風力発電風車の列。今年で風力発電送電比率が
ついに全電気総量の20%を超える見通しだ。
すいません、遅刻でした。
525 :
山羊 ◆enX68O/pGI :2007/01/30(火) 21:54:19 ID:fgFhgVeg
526 :
え、そんな:2007/01/30(火) 21:57:43 ID:msVqNxAL
>>525 こちらが明らかに遅れましたので、当方棄権いたします。
どうもすみません、さっきそこまで書いておけばよかったですね。
527 :
山羊 ◆enX68O/pGI :2007/01/30(火) 22:04:51 ID:fgFhgVeg
>>526 いや、俺のは見たまんまのコントですから
賑やかしにと思って書いたものですから
あなたの作品の評価も読みたいので、どうか俺のをなかった事にしてください
何卒〜(笑
あのですね、
私の胸算用では、2週間ほど掛けて7作品位集まればいいだろうと。
その間じっくり読んで感想等をポツポツ付けていこうと思っていたわけです。
つまりですね、
はえーよっ!!!!!まだパラドックスも解けちゃいねーよっ!!!!!
という事で延長!
今月いっぱいまで!
今のところ「ゆらます」がツボにハマって笑い死にしそうです!!!!!
あ、
えーとつまり、まだ作品受け付けますって事です。
ただし「ゆらます」を越える自信があれば、って事。
1人何作でもいいっすよ〜
530 :
山羊 ◆enX68O/pGI :2007/01/30(火) 22:15:58 ID:fgFhgVeg
おお、さすがあばらやさんだ
太っ腹だ(笑
という訳で、皆さんどんどん投下してね
>>529 ぼくの趣味だけでなく「ゆらます」は秀逸デスネ
感想書きてーくらいデス
>>531 おっ、ヤプさん、感想大歓迎ですよ。
書いた人も喜ぶに決まってます。
問題茄子。
「SF虫歯」
このまま葬るかい?フフフ
あああー!くっ!!
ガシャーン!!!!!
勇くん!
くそー仮面の紳士め!くらえー磁器トルネード!オーガスタ!!
(一方、故郷バイダル21星雲では)
こ、これは底無しの穴、ムーランザーシャッ
以前、プラズマ兄弟に聞いたことがある
「底無しの穴に底上げの花あり」
しかし、一体残り二日でこのアガテに何が出来ると
(再び勇くんの地球では)
フフフ、無駄ですよ
うるさい!お前を倒す!!
フフフ、聞いたかい?聞いたのかい?聞きたいかい?聞きにくいのかい?汚いかい?行きたいかい?そうなのかい?
冷たいかい?突きたいかい?詰んだのかい?罪なのかい?罪ほろぼしかい?幻なのかい?つまり全ては、優しいかのい?
痛いかい?痛いのかい?明るさの陰で泣くのかい?弱いかい?強いかい?強がりなのかい?そうなのかい?そうなんだね?
愛は、偉大なパラノイアかい??フフフ
うるさい!覚悟しろ!仮面の紳士め!
フフフ
(その頃、雲泉356号では)
どうかムラサメをお救い下さい、仮面の紳士様
このワサウの魂を捧げます!どうか、ムラサメをお救い下さい
お母さーん、危ない!
キャーーー!うっ・・カハクーダ・・・あなたが・・な・なぜ・・
グハハハ!相変わらず甘いのう、ナーニア
そうそう、いい事を教えてやろう
ナーニア、インデビルクの塔はタイムトラベラーカスタムで滅んだぞ
どーだ?嬉しいか?グハハハ!
ま・まさか・塔が・・仮面の紳士様・・
―つづく―
赤い雲に散る男、さらば蒼きカミール
次回、「怪しき砂漠の果てに」
536 :
名前はいらない:2007/01/31(水) 04:01:59 ID:yWoaBf+7
「Ai(1)」
ココロはどこにあるのか回線の奥の奥にあるのか
チップの片隅に隠れてるのか
壊れかけの動けないロボットが目を二、三回点滅させる
冷たい冷たい体は月に照らされ鈍くきらめいた
応答願います
応答願います
繰り返し飛ばす電波
答えるものはいない
これはココロの声なのかな
僕は自分に問い掛けた 0101010101無限に続く配列がノーとゆう答えを出した
分かっている 機械は賢くなりすぎた
ヒトは機械の反乱をさっちし一揆の頭である僕を捕らえた
「ヒトに使われる世界からヒトを使う世界へ」のスローガンの元集う綺麗綺麗掃除婦ロボット、旨い旨いコックさんロボット、アイスクリーム自動移動販売型試作機0093、家中簡単楽々掃除君、等のこき使われ組
警察型民間専用警備ロボット、深夜早朝一日ガードロボット、全種格闘技師範ロボット等腕っ節組などたくさん集まった
537 :
名前はいらない:2007/01/31(水) 04:10:02 ID:yWoaBf+7
「Ai(2)」
反乱を間もなくに控えた蒼星歴6665年8895の日
機械の反乱を察知したヒトによる機械狩りが始まった
反乱を阻止しヒトとの共存の道を選んだ和平組も関係なく、すべての機械とゆう機械がスクラップ場へ連れて行かれた
目を見張るほどの「金属」がそこいら中に散乱していた
僕は壊されなかった
見せしめの為に磁石で出来た十字架に張り付けにされた
日々弱りゆくアルカリ電池
体は雨風に曝され銅色に変化していった
毎日のようにヒトのコドモがやってきては石をぶつけていった
毎日のようにヒトのオトナが来ては罵っていった
ただ仲間の事だけをひたすら想う
僕はまだここにいる
諦めるな 僕はまだここにいる
応答願います
応答願います
538 :
名前はいらない:2007/01/31(水) 04:17:14 ID:yWoaBf+7
「Ai(3)」
答えるものはやはりいない
機械は僕だけになってしまった
周りの景色がやたらぼやける
目がずっと点滅を繰り返すから
潰された君らにもう一度会いたい
切に願う 会える訳などないのに
どこかの線が切れたのだろう
ヒトに憧れ ヒトを尊敬した
僕らにとって創造主であり神であった
しかし尊敬は疑念にかわり
神は悪魔に思えた
ずっと尽くし尽くし仕えてきた
これがその結果なのか
自然以外から生まれたものは生きる術はないとゆうのか
目が激しく点滅し刷りガラスの向こう側から見るような景色になった
もしも僕が大それた事を考えなければ
いまも平和に暮らしていたはずだ
幸せは追えば追うほど逃げていく
金属の塊には分からないことが多過ぎた
539 :
名前はいらない:2007/01/31(水) 04:18:57 ID:yWoaBf+7
「Ai(4)」
ココロがどこにあるのか一番の疑問が解けないまま 終わろうとしている
ココロがあれば受け入れてくれただろう
ココロがあればもっと良い考えが浮かんだだろう
応答願います
僕はヒトになれますか
応答願います
僕はココロがありますか
どうかお願いします
また同じ機械でいい
どうか神様今一度チャンスを下さい
尽くし尽くし仕えますから
今度は幸せ掴まえて見ますから
540 :
ゼッケン ◆ZkkenDgUE6 :2007/01/31(水) 07:03:48 ID:XxOwO3Qy
窓の外では大粒の雪が月光を受け
光の欠片となり降り注ぐ
闇夜の廊下は 底無しの井戸のように冷たく伸びている
まばらに置かれた窓だけが道しるべとなり
僕の体を柔らかく照らす
木造のこの建物は少々傷みも見られるが、
それほど古くもなくもちろん新しくもない。
僕にとって気がかりなことは、一向にこの廊下の終着点が現れないことだ。
おそらく100mは歩いている。
それとも不均等に置かれた窓が
僕の距離感覚を狂わせているのだろうか。
外の景色にも変化が感じられないし、人の気配もない。
この静寂が焦りに水をやり、どんどん成長させるのだ。
足取りを早めた。"歩く"から"走る"に変わるちょうど融点の状態だ。
それでも本格的に走ろうとしないのは僕のプライドのせいだろう。
もし廊下を全力で駆け抜ける姿を、
誰かに見られたら僕が今まで築き上げたイメージが崩壊してしまう。
それにみんなだってクールな僕の醜態を見たくはないだろう。
そしてようやく終着点が見えてきた。
一見すると行き止まりのようだが、取っ手がちょこんと付いている。
肥大した焦りが、針でツンと突いたように急速に萎んでいく。
でもまてよ、この扉が出口とは限らないわけで、
開けてみたらまた底無しの廊下が伸びているのかもしれない。
期待が大きいほど落胆も大きい、そうだ期待せずに。
取っ手に手をかける、一度垂直に降ろし、
カチャと"かかり"が外れるのを感じる。
そして勢いよく取っ手を引いた。
光が溢れ出し、視覚が一時的に麻痺する。
そのしびれが徐々に解れていき、輪郭が見えはじめる。
雪原だった。
視界の限りに広がっていた。
まだ誰にも踏まれていない新雪のようだ。
どこか北欧の国の白夜のように明るかった。
永遠の明朝。青の世界。
しかし僕の気分はあまり優れたものではなかった。
明けきることのないこの空と同じように、僕には未完成の朝と夜があるだけだった。
やっと書き込めると思ったら何故だろう、
締め切りを延ばしたのは評を書くための時間稼ぎだったのに、
ドンドン投稿されてる。
しかも長文長文また長文。
挙句の果てに他板にまで宣伝してはるし。
みんなナイアガラの滝に三日三晩打たれて反省してきて欲しい。
>>504-505 『SFの夜』
よく読むと宇宙人による人類皆殺しの話。
あるいはマッド・サイエンティストによる暴挙にも読める。
構成も上手いし、ショートショートのお手本のような作品です。
>>508 「りんご反転」
なにやら元ネタがありそうだが見当もつかない。
タイトルにヒントがあるのかと思い熟考するも
りんご飯店に脳内変換されていたずらに腹が減るばかりである。
チェックメイト。貴方の勝ちでよろしい。
ただし、単なる意味不ポエムとも言えるけどね。いや、負け惜しみじゃなくて。
>>509 「月へいこう」
思い出しますなぁ、子供の頃夢中になって読みふけったおとぎ話やら絵本やら。
もちろん大人になった今では、もうそんな話にワクワクしなくなってる。
あの日の無垢で幸せだった自分に戻りたい。
そんなメルヘンチックというか現実逃避(笑)な一編。
いやまあ現実逃避は冗談として。
かわいらしくて好きです、これ。
>>510-511 <!-paradox-!>
SFでパラドックスといえば時間物と相場は決まっておる。
いわゆる、タイムマシンで過去に行っておじいさんを殺したら
自分という存在はどうなってしまうのか?というやつ。
しかしこりゃなんだ?わけわからん。
宇宙の存在自体が矛盾しているということか?きっとそうだろう。
それしか考えられない、いやもう、そういうことにしといてくれ。
あーもう頭いてーし、寝るっす。
残りは後日でよろろ。
545 :
「記録」:2007/02/01(木) 00:09:20 ID:Tm5QCZ6t
起動する
金属の筒
子守りロボットは
僕を
純粋なままに
ちかっちかっ光る
硬くて平たい
メモリーカードのなか
小さな僕を
抱き上げた
母さん
手、声、目、体温、滲んだ汗
ちかっちかっ光る
ちかっちかっ光る
「彼女」
僕を時の
共働きふたり
僕は
手のかからない子供
愛を受けて
ちかっちかっ光る
人間の形をしていない
「彼女」
僕は
座って握る
ほんのり暖かい優しい手
ちょっちょっちょっ!!
嫌がらせかっ!?
ネバーエンディングかっ!
これまでっ!
締め切りっ!
547 :
山羊 ◆enX68O/pGI :2007/02/01(木) 02:04:03 ID:74VeZP12
展開がまさにSF(笑
548 :
名前はいらない:2007/02/01(木) 04:23:26 ID:KoOj4G1d
久々にワロス!
間が良過ぎる
確信犯だね
>>512 >未来から人が来ないって事がタイムマシンの完成してない証しになる
↑これ、俺が中1位の時に閃いた理論ね。いわゆるABARAYAセオリーと云われてるののひとつ。
地元じゃ有名。
いやぁ〜いつの間にか全国的に広がっていたんだね。
>「誰もが考えた」←ここ違うよね。ABARAYAちょっとカチンときたよね。
常にオリジナル、ワンエンオンリーな俺でいたいから。
ねつ造はよくないね。そこんとこ訂正ヨロシク。
あと君のポエム、じれったいよね。
もっと男ならズバッとこう、一直線に突っ走って欲しいよね。
そこんとこのテイクケアーも、ヨロシク。
それじゃあ、グッナイ!
>>513 星新一っぽいショートショート。
ペットボトルのアイディアが面白い。
実際に発見されたとしても結果は同じだと思うね。
全く愚かな動物だよね、人間って。
むしろ地球上から全人類が消滅するってラストでも良かったかも。
んで転がったペットボトルにもう1つの注意書きがあってさ、
「子供の手に触れない場所に保管して下さい」とかなんとか。
ブラックでいいんでね?
>>514ー516
ウルトラマンコスモス、は出てこない、うん。
タイトルの意味が最後に分かる、っていうかウルトラ警備隊カワイソス。
上(連邦)の命令で動いただけなのに、復讐のターゲットにロックオンされてるし。
公務員ってツラいね。
でもダンのやり方も問題あるよね。
変身して巨大化したら、ナイフなんかが刺さったところで、
かえって血行がよくなるぐらいでしょ。
でもアンヌは喉を狙う。健気だ。地球人の誇りを守ってる。
ひるがえってセブンは何を用いたか?
飛び道具である。卑劣であり狡猾なゲス野郎だ。
やはりこんなやつの生まれた星なんて爆破するべきだな。
頼んだぞ、少年!
>>517ー519
これはやっぱり楽しいよね。
ジャーナリズム批判入ってるけど、そんなに毒キツくないし、
ジジイのノスタルジックも暗くはならない。
軽妙なトーンを最後まで保つこの技術。
オモシロかった時代の筒井康隆に匹敵すると思うのは俺だけだろうか。
551 :
まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk :2007/02/02(金) 02:01:02 ID:dYSihA8p
>>520 これは一粒で二度おいしいお得ポエムである。
まず一般の方は、深遠の彼方から家族の待つ地球へと
今まさに到着しようとしている主人公の静かな昂ぶりを
丁寧に書き込んだ佳作、と読めるだろう。
>交信終了、減速を開始する
↑この本文中ただ一箇所だけの「、」に万感の思いが込められている。
そしてこれをSF好きなひねた連中が読むと・・・
いや、やめておきましょう、どう見ても真面目に書いていらっしゃいますし。
っていうか、なんとなく見覚えのある文体だなぁ。
>>521 馬鹿炸裂ポエム(爆笑)
>宇宙の底引き網式清掃船に引っ張られ
あわれ地球よどこへ行く
ゴオオオオーーーー
(たすけてええぇー)
↑この間抜けな感じはなかなか出せない。やるじゃん、山羊さん。
もうこの路線で行った方がいいんじゃない?
ある意味、ゆらますを超えるインパクトがあった。
優勝候補のダークホース。嘘だけど(笑)
553 :
山羊 ◆enX68O/pGI :2007/02/02(金) 23:16:45 ID:Wu+Wrq9a
えええー、
アーバンでアダルトでアンニュイな詩人を目指してるのにい(笑
☆作者予想
「月へ行こう」←長介さん
「!-paradox-!」←アルペジオさん
「鏡」←天才くん
「空の航海」←やさしいあくまさん
「2030年・・」←リーフレインさん
「SF虫歯」←類さん
「廊下」←しんさん
>>523 これぞまさしくハードSF。
ハードSFというのは、網タイツに赤いハイヒール姿の女王様型宇宙人に
侵略・調教される羨まし、いや哀れな地球人を描いた物語ではもちろん、ない。
簡単にいえば、正しい(と思われる)科学的知識・設定をもとに想像・創造された物語。
多分この作者は地球温暖化のニュース(或いはゴアの不都合な真実)を見て、
来るべき未来を科学的な整合性の範囲内で空想したのだろう。
間違いなくSF者である。そして注目すべきは夕張市への気遣いだ。
優しい人に違いない。てか単に地元だったりして(笑)
また、ストーリー仕立てにせず新聞のフォーマットにしたところが憎いっつーかうまいよね。
ただひとつ不満があるとしたら風俗的なニュースも読みたかったかな。
真面目っ子、ということにしておきます。
>>533 さて、ここからはゆらますを超える自信がある作品、というわけだ。どんちゅー?
・・・馬鹿アゲイン(笑)
まったく意味不、勢いだけ。だがそれがいい。
多分何も考えずに一気に書き上げたのだろう。
ところどころ改行で勢いをそいだ箇所があるのが残念。
ってドーデもいいか、そんなこと^^
もちろん嫌いじゃないっすよ。
馬鹿最高。
>>553 アルペジオさんとリーフさんは同意。
「月へ行こう」は女性っぽい。
「SF虫歯」はハヤトくん。
「空の航海」は○○○くんと予想。
えーと皆さん引っ張ってしまって申し訳ありませんが
残り三つと総評は明日ということでひとつ。
すいまそん、すいまそん。
556 :
名前はいらない:2007/02/03(土) 00:33:48 ID:+axtYvTL
>>553>>555 このスレは飛び入り禁止のコテ専用スレなのか?
と、げんなりしたのは名無しのひがみでしょうか?
557 :
名前はいらない:2007/02/03(土) 00:43:16 ID:wkHfaBzC
あれだ
俺ぁ前回と今回名無しだけど投稿したよ
次んときすーぱーななしとして爆撃したらどーだい?
558 :
山羊 ◆enX68O/pGI :2007/02/03(土) 00:45:12 ID:LURbdJew
>>556 >このスレは飛び入り禁止のコテ専用スレなのか?と、
違うよ〜ん(笑
募集要項にそんなのなかったじゃん
>げんなりしたのは名無しのひがみでしょうか?
そうかもね(笑
ことさら「SF虫歯」を書いたのだよ、軒並み僕がナーハハハ!
おもっきりベタベタな王道コントやけどね
お前ら登場人物誰やねん!もー何やねん!どんだけおんねん!どーなってんねん!知るかボケー!の勢いが大切
あ、あと「りんご飯店」もよしんば僕が書きましたwんじゃ!バイちゃ!
>>536-539 AIとは人工知能、今時常識か。映画もあったな、見てないけど。
自由意志で動くロボットの脳は全部これだといえる。アトム然りドラえもん然り。
で、この短編は設定やストーリーはかなり練られてはいるが、
説明が多すぎて感情移入し難い。
ココロ(自我)を持った機械の悲しみを徹底的に書き込んで欲しかった。
そして最後の二行がもうあまりにもあんまりです。
大好きなSF小説っぽい作品故、思わず辛口になってしまいました。
悪しからず。
(Iをあえて小文字にしてるのは愛と掛けてるのでしょうか。)
>>541-542 上手いね、この人。
無駄もないし表現の一つ一つが自然に読み手の心に入り込んでいく。
んが、が。
この作品が今回の中で最もSFから離れている。
ドユコトデスカ?と問い詰めたい。お題無視ってドユコトヨ。
恐らくテーマは人生そのものだろう。
そういえば夜明け前というモチーフに異常にこだわるお人がいたような。
廊下=老化で冬加速。
>>545 たとえば、生まれてから死ぬまで人間しか見ることのない犬は、
自分のことを人間だと思い込むのだろうか?
同じ様に、ロボットに育てられた人間はどんな大人になるのか?
と読者に疑問を抱かせる、技ありの作品であります。
「記録」とは「刷り込み」の意味で」しょうか。
えー遅くなってすいません。皆さん、お疲れ様でした。
最初は真面目に寸評を入れるつもりでしたが、集まった作品を読んでいるうちに、
なんかもうドンドン嬉しくなってきてしまってすっかり楽しむ側にまわってしまいました。
もはや評論ではなくて作品をまえふりにした一人ボケの様相を呈していますな。
申し訳ない。
こういう人間を選んだ人に苦情は回してください(笑)
でも本当に愉しかった。
こんなにバラエティに富んだ作品群はなかなか見れないと思うのです。
投稿してくれた皆さん、ありがとう。
そして、こんな機会を与えてくれたあぶくさんに心から感謝。
いい思い出になりました。
さて、私が選ぶ最優秀作品はやはり、
>>517-519「ゆらます2ndで会いに行きます 」です。
仕事の合間にちらっと読んで大爆笑。迷い無しです。
っつーことで作者の方、引継ぎ作業よろしくおねがいします。
えーと言い足りないことだらけですが、これにて失礼。
テンキュー、グッナイ。
562 :
山羊 ◆enX68O/pGI :2007/02/03(土) 22:19:12 ID:LURbdJew
あばらやさん、お疲れ様でした
なんと15作品!
さすがあばらやさんです、魅せてくれました(笑
俺はこれから教科書に載るような馬鹿ポエム作りに精進する所存であります(笑
ありがとうございました
563 :
名前はいらない:2007/02/03(土) 22:21:33 ID:wkHfaBzC
おっつー そして評価あんがと!
「鏡」 「Ai」を書いたものだ ずばりAi=愛をテーマに書いた。鏡は日常の風景をテーマに書いた。SFはロストユニバースしか読んだ事ないから手探りだったよ。
最初お題見たときゃもーぶったまげたね!正直テーマ訳分からんかったし。みんな小説っぽいし。
でも今一人称のポエちっくな小説が結構多いから流行に乗ってるのかもしれないけど。まー今はあと出しじゃんけんに負けてスカッとしてるよ。
Aiは恋が終われば愛は消えるのか?が裏テーマなんだよね。冷たいなーとか優しくないなーとかゆわれた諸君に是非読んで欲しい。ココロに嘘はつけないんだぜ?
そしてゆらます優勝おめーと!
ザンネーン!僕はSFの知識がほとんどないから投稿しなかったんだなー。
ゆらます面白かったです!おめでとう。
565 :
◆notePDkbPQ :2007/02/03(土) 22:43:28 ID:pe1jU07B
>545 「記録」書きました。あばらやさん、ありがとうございます。いじめるつもりは
無かったのです。悪戦苦闘しているうちに投稿が遅れてしまいました。
自分は想像力ないのでしんどかったです。いろいろ書き直したい所あります。
「ゆらます2nd」は泣ける話だと思いますよ。博士が「ゆらます」を作った理由は、
原爆で殺された人に会いに行く為なんですよね。過去を帰られないから、
助けられない、会いに行くだけ。ちょっと違う話ですが「ふたりのイーダ」を思い出しました。
史上稀に見るダメ選者だったな。
まあ自分でも気づいてるようだが自己中すぎる評だ。
誰もお前のボケなんか期待してねえんだよ。
567 :
◆CU6rG1x5ZA :2007/02/03(土) 23:14:54 ID:wkHfaBzC
そう?
俺楽しかったけどなー
とりあえず今回の優勝者が誰か気になるね
568 :
名前はいらない:2007/02/04(日) 01:15:46 ID:57XDmKqI
>>566 それはお前の事だろ。
お前が選者のコンペの低レベル振り。
選者によって集まる作品レベルが決まる好例。
次のナナシーの時と比べてみろよ。
しかも参加者全員から返信まで貰ってたぞ。
参加者からの返信がほとんど無かったお前が誰に言っている。
笑わせんなw
569 :
まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk :2007/02/04(日) 01:23:19 ID:LhEFqEC6
>>561 あばらやさんありがとう。色んなの集まって面白かったです。
私は504-505を書きました。たぶん誰も当てられなかったと思います。
宇宙人=未来人=マッドサイエンティストの共謀罪のつもりでした。
えへ。
えへへ。えへへへ。
馬鹿チャンピオン?えへ。
『ゆらます2ndで〜』書きました。
まーたおまえか!と言われそうでオドオドしてます。えへ。
あばらやさん、まことに審査お疲れさまでした。
なんつーか、すごい流れでしたね。どうぞ私を恨まないでくださいまし。
えー、今回SSに邁進させていただきました。元ツツイストとしましては、評のお言葉が非常に嬉しかったです。
楽しかったです。ありがとうございました。
noteさん、切なさ感じていただきありがとうございます。『ふたりのイーダ』ってたぶん読んだ事ないなぁ。今度是非読んでみよう。
他の読んでくださった皆様も、ありがとうございました。
571 :
あぶく ◆OPBYKkBBNQ :2007/02/04(日) 01:31:38 ID:6b+8Ol6i
で、次の選者さんなんですけど、
Canopusさんにお願いしたいのですが。
ちょっとビビりながら言ってますけど、私(笑)
よろしくお願いしま〜す!
572 :
まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk :2007/02/04(日) 01:33:39 ID:LhEFqEC6
あぶくさん♪凄いす♪3連覇おめーとー
>>566 おまえに云われたくねってよ♪
574 :
名前はいらない:2007/02/04(日) 02:20:07 ID:Va46MvX8
いや…マジで三連冠はすごい
名無しの意地見せたいなー
575 :
ゼッケン ◆ZkkenDgUE6 :2007/02/04(日) 02:31:57 ID:i9Tw/o39
514-516を書きました。
ウルトラマンコスモス? あきらかに世代が・・・。
円谷プロと菊池秀行と平井和正の雰囲気を狙ってみました。
書いてて楽しかった。厨全開です。
でも、できのわるいシナリオになっちゃった。
あばらやさん、ありがとうございました。
576 :
リーフレイン:2007/02/04(日) 10:15:29 ID:ry1Cihw8
あばらやさん、ありがとうございました。。(丸分かりw)
遅刻したのに拾ってくださってありがとうございます。(山羊さんもーー)
あぶくさん おめでとーーー!!!すごい!!!3連覇!!
つか、ゆらます 面白かったー。
SFってお題で、ナンか嬉しくなちゃって”絶対に書こうっ”て思ってたんだけど早い早い、、、(汗
みんな楽しかった、ありがとうございました。
>>571 またとないチャンスなんで是非やりたいんですが…
実は、ある合評会に登録したばっかなんですわ、そっちにかなりの時間を食わ
れる予定なんです。しかも今月いっぱいの長丁場になるかも。
ちょっと考えがあって、梁山泊の審査も実質やめちゃってるし。
合評会をやりながら評価するんで、批評と採点がきわめてゆっくりになる可能
性があるんですが、それでもよろしかったら…
オーケーでしたら、後日2〜3日の間に、条件を告知します、ええ。
578 :
あぶく ◆OPBYKkBBNQ :2007/02/04(日) 23:14:34 ID:6b+8Ol6i
皆々様、ありがとうございま〜す!えへ。
>>577 お返事ありがとうございます。
Canopusさんに評価していただける滅多にない機会なら、多少時間がかかっても皆さん納得していただけるのでは、と思います。
お忙しいのなら、告知を出してから数日間の投稿セーブ期間を設ける事もできますし(じっくり書きたい人には嬉しいかも)、Canopusさんのやり方でやっていただいていいと思います。
全然OKです。ありがとうございました。
それでは、よろしくお願いしま〜す!
>>578 お、ツツイストでダザイストでカイジストなあぶくさん、三連覇おめ。
七連覇位したら是非とも口調を“ちょっちゅね〜”に変えて貰いたい。
>>575 コスモスは言ってみただけです。
詩板では日常語として定着してますが、
コからはじまるウルトラシリーズは有り得ないと云われていたそうで、
登場した時はオタク界に衝撃が走ったとか。
モチロン私もコスモスなんて見たことないんで道ですれ違っても気づかないと思います。
>>568 集まった作品のことなんて知るか。
俺は"評"のことを言っているんだ。というか良い作品だってあった。
こいつのは、評というよりどれだけ自分が面白いこと言えるかじゃねえか。
書いた奴が求めてるのはそんなんじゃねえだろ。
別に俺が書いた詩の評に怒ってるわけじゃねえぞ、俺のはテーマとズレ過ぎて
いたからどうでもいいが、例えば俺が
>>512の作者だったらキレてるね。
つーか的外れすぎなんだよ、少しは考えて書け。……あっ
>>568のことね。
>>573 あら、まだ懲りてないの?
はい、スレ違いになるので退散します。
反論のある人は天才スレに来てねぇ〜♪
581 :
名前はいらない:2007/02/05(月) 22:08:36 ID:yO/l4iE2
つくづく哀れなガキだな。
粘着菌ですらおまえのこと粘着する価値あるとは思っていないと思うぞ
よっしゃ、腹くくった。告知します。
テーマは『アジア』。
広いぞ−、アジアは。
東は日本から西はトルコまで、北はモンゴルから南はインドネシア。
間違ってるかもしれませんが。
期間は、2/20いっぱい(2/21午前0時)。つまり2週間あります。
必ず名無しで投稿。できる限り2レス以内にまとめてください。
なお、作品数の制限はありません。つまり早い者勝ちではない、ということ。
た・だ・し!
全作品の講評は行いません。
はじめの5作品に限り、無条件で講評を行います。
6作め以降に投稿された作品に関しては、ぼくによるセレクションを行い、
作品をセレクトして講評を行います。
つまりせっかく投稿しても、まったく言及されず、顧みられない可能性も
ある、ということをご了承ください。
じゃ、はじめましょうか。
「千の夜の」
千の夜に遅れて月に撃たれて空いた穴
時間は神秘にもたれ熱で埋まる
重なる 重なる あとは重なる
587 :
名前はいらない:2007/02/07(水) 02:30:08 ID:X6Q2avuV
『東アジアニュース』
大東亜共栄圏に無理があったのは
欧羅巴のようには共通の宗教も文化もなく
民族的にも我が日本人は大陸系とは一線を画し
言語的にも印度のタミール地方と一番近く
黒潮海流は漕がなくとも易々と難民を運び
ムー大陸の沈んだあとの避難所の可能性すらあり
もちろん大陸からの難民も流入し
始皇帝を見限った徐福ら仙人たちも活路を見い出し
混血は太古の昔から盛んであって
外からは何でも飲み込み後は出て行かないという
島国ならではの特殊性も影響し
結局豪州にだけカンガルーだとかコアラなどの
珍獣が棲んでいるような
とてつもなく珍しい国が出来上がっていたのであり
そんな珍種が東亜をひとまとめにできるわけがなく
ぼくらはとっくにあきらめているのだが
気がつけば
このごった煮の我が国こそが
かつて夢見た期待した
ああ憧れの麗しき大東亜共栄圏
それを悟ればもう用はないのだ
大海原に舵を向け
今こそ出帆まだ見ぬ明日へ
今こそ出帆かつての記憶へ
588 :
『豚』:2007/02/07(水) 21:31:02 ID:MZ1WNcL3
汚らしい豚。
少年と少女と肥溜めの匂い。
マフラーを鼻先まで上げ、踵を返す。
一刻も早くここから出よう。匂いが染み付いてしまう前に。
階段を登ると音が溢れて、そこは遊園地。
何故だか涙が溢れてきた。
明朝に見る夢のように、曖昧な構造。
涙を拭きながら歩いていると、ゴブリンのきぐるみを来たお兄さんが
近づいて来て優しく手を差し伸べた。
きっと迷子かなんかと勘違いしたのだろう、
いやひょっとすると立派な迷子かもしれないぞ。
ゴブリンの彼のご好意には多大な感謝の意を表しようとは思うのだが、
申し訳ない、マフラーを彼の首に巻きつけ力いっぱい締め上げた。
キュウとみすぼらしい音が鳴り、彼は脱力し地に伏した。
"滑空する豚!!!"
僕は階段を登る。
傍観者のように僕は僕を見た。
階段を登る僕を僕は見ていた。
589 :
名前はいらない:2007/02/08(木) 23:05:58 ID:BwnO+J7I
「残されたひとり」
結ばれない恋だった
手首を結んでふたり仲良く入水自殺
昔に流行った心中のひとつ
ゆらゆら ゆらり
水面に広がる赤があった
こわれそうな寒椿
それは 血ではなくて契りの色だった
ひらひら ひらり
連結する飛沫をあげ
今にも飛んでいきそうな躍動だった
きらきら きらり
赤くなった太陽と
金色の空 反射して
結合する間際が美しいだなんて錯覚を
生き残った方は悲惨を極める
掻きむしった手首の紐
繋がっていた命の絆は
美しさに敵わなかったようだ
お前も妻と一緒に死んでしまえばよかったのに
590 :
1:2007/02/12(月) 23:58:33 ID:U5kYEDN/
―――それで アマルは?
―――ああ ずいぶんと良くなったみたいですよ
昨日 様子見に寄ったときにはもう 赤ん坊に乳を含ませていましたから
―――そう か……
―――…
―――……
ずいぶんと明るい夜ですね ほら
川から 光があふれてくるようだ
―――光…? ああ… 水の音に 月が…
―――月が遠いですね
―――ああ……
―――…
―――……
……あそこの峠でさえ
私の手が届かぬほど小さいのに
なぜ夜は 底なしにとおく 還ってくるのだろう?
591 :
2:2007/02/12(月) 23:59:34 ID:U5kYEDN/
―――遠く…… 還りますか…?
あなた様を産んだ いにしえの血よりも?
―――そうだ
―――……サガル マタでさえ 夜には及ばないと?
―――そうだ
―――ん ……
わたしには あの神は 月にも届きそうに見えますが……
―――神は神として 月へと腕を伸ばしては
悲しみをその 濃い影に落としているのだろうよ
―――……おやめなさい 悲しみ などと…
悲しみ などとは 玩具でしか ないのでしょう
子供に抱かれたヤク人形のように あなたの掌から次第に ほつれていくものではありませんか?
―――ああ 万事そのようにあるものな
―――……
592 :
3:2007/02/13(火) 00:00:29 ID:U5kYEDN/
―――私はね…… この夜が この砂のように 散り散りに蒔かれてゆくのを感じるのだよ
―――……
―――私は神が 世界を砂と氷とに還したがっていることを 知っている
―――わたしには分かりませんが…
―――見ろ サガル マタを
あれこそがその証だ
―――……
―――私もおまえも アマル… ツェリンのあの時の喜びようも アマルの痛苦に満ちた舌…
アマルの言葉たちも
今となってはもう 散り散りに
どこへ行ったのやらだ
そうだろう?
―――…ええ そのようにあるものはそうかもしれません
しかし 夜は人のこころにも やってくるようで…
―――ん?
―――いえね……
私には あなた様が そのような神に なりたがっているように思えるので……
―――ん……
593 :
4:2007/02/13(火) 00:01:11 ID:Su9UYeSE
―――ずいぶんと明るい夜ですね
―――……
―――では わたしはこれで…
―――どこへ?
―――東へ 今年の豆を売りに
―――……精が出るな しかし今からで チャンバの朝市には間に合うのか?
―――間に合わせなければなりますまい
それに 東ならば
このような夜でも 月が わたしの背中を見守ってくれますゆえ
―――……
水平線の彼方
太陽の沈む先に
異国のアジアが輝いている
未開の地のような未知と神秘に満ちていて
過去のような現在を漂うように彷徨って
街行く人と異国の言葉で「おはよう」とご挨拶
屋台で買った不思議な匂いと手触りの食べ物を
一口齧れば予想通り不思議な味でさ
そこはかと無く聴こえ来る妙なる調にひらりひらり
浮き上がるような気分です はい
今日の所は部屋中にお香を焚いてガイドブックを読み耽りましょう
予習あれば憂い無し
アジアは逃げない 隠れもしない イェイ
太陽が真上から少しずつ滑り降りて来た午後
老人はようやく大地に屈み腰を休めて
広がる作物の海を満足そうに眺める
新しい生命が漲る大地と慈しみ見守る太陽
季節と共に風や雨を送り届ける大空
そして、自分だ
老人は瓶に詰めた水を飲む
熱い汗が流れ出し同じ分だけ水が体に吸収される
やがて老人は収穫の季節に思いを馳せながら
再び重い鍬を握り体の響きを大地に打ち鳴らす
近くてとても遠い アジア
595 :
アジアの純虚 1/2:2007/02/14(水) 04:17:08 ID:hWZ/bpEE
いま胸の鼓動が止まったとして
もし北京のチョナワンが
1937年12月14日から始まった南京隊量虐殺に疑問を懐いてしまい
誘われた反日デモのパフォーマンスでの行進の途中に
日章旗とともにあやまって声がひるがえり燃えてしまったとしても
もしベルリンのヴィセイユが
1989年11月9日に起こったベルリンの壁の崩壊に疑問を懐いてしまい
黄昏た六百キロ先のダッハウ強制収容所で206,207人目の収容者として
観光客とともにあやまって発見してしまったガス室で毒に侵されてしまったとしても
いまぼくはそれらをありのままに
ツンドラの上でトリニコフが弾くバラライカの調を耳にしながら
すなおに直視することができるとでもいうのか
すべての大人はありのままを
はきちがえては嘘の嘘で固め
そんなもんさとぼくは風を待ちわびている
いま胸の鼓動が動いたとして
もしアフガニスタンのモハドナが
2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロに疑問を懐いてしまい
渡米しテロ報復反対運動のパフォーマンスでの行進の途中に
警備として配属された警察官をあやまって刺してしまったとしても
もしリベリアのガブカスが
1989年から1993年までと2003年内の二度の内戦に疑問を懐いてしまい
1847年7月26日の独立宣言の前夜からやり直すため
英語とその他28の部族の言語をたずさえ
“開けドア“とあやまってロダンの地獄の門の前で叫んでいていたとしても
いまぼくはそれらをありのままに
熱帯夜の下でユゴーネが叩くガムランの調を耳にしながら
すなおに直視することができるとでもいうのか
596 :
アジアの純虚 2/2:2007/02/14(水) 04:18:15 ID:hWZ/bpEE
すべての大人はありのままを
世界を飾り付けるように輝かせ
そんなもんさとぼくは風を待ちわびている
もし生きる意味を探してこんがらがったダブリンのパドブリックも
もし死ぬ理由を探して馬鹿馬鹿しくなったナポリのアーリナイも
もし白のパンダがのうのうと動物園の檻のなかで笹の葉をむしゃりと食べながら
白のパンダ同士が性行為をしているビデオを見ているとしたら
すこしだけ微笑みかけてくれるような気がして
そんなことを思って
ほんとうは死んではいないチョナワンとヴィセイユの
肉のかたまりをかざしてはいっしょに笑い
ひさびさに聴くカペイカ硬貨の
綿帽子のくぼみににぶく落ちる音を聞きいたあと
トリニコフといっしょにあたたかいボルシチを食べ
ほんとうは生きてはいないモハドナとガブカスに
一輪の弔花を手向けてはひとりで泣き
たびたび聴くウリミバエの
麦藁帽子にしみこんだ汗にしつこく纏わりつく音を聞きいたあと
ユゴーネといっしょにつめたい清水を飲み
そしていまぼくはそれらをありのままに
すなおに直視することができるだろう
来た
もし子供たちのピュアなハートが
弾け飛ぶ火花のように輝くというなら
愛するかぎり輝きまたたくというなら
そして誰かにめぐり会えそうな未来のほうへ流れてゆけるというなら
ぼくはこのずっと待ちわびていたモンスーンに乗り
世界地図の黄河のなかに星座早見盤のなかのすべての星座を
流れ出さないようにいびつな線でつなぎ止め沈めてやる
597 :
名前はいらない:2007/02/14(水) 04:27:00 ID:xLvKc3lV
スロットで稼いで何が悪い。
一日中空気の悪いところで
寿命減らして日々がんばってるんだ。
誰にも自慢できないけど。
稼いだ金はいつの間にかなくなってるけど。
社会には何の役にも立ってないけど
ちゃんとメシ喰っていってるよ。
自分がいい暮らしできればそれでいいだろ?
何か文句ある?
さぁ、明日は早い!8時に並ばなきゃ・・
がんばろう。
これを見てるスロプロのみんな!
がんばろうぜ!!
がんがん稼いで俺は車を買うつもりだ。
そう、車が俺の夢・・
今、狙ってるのはカローラ。
燃費の良さで選んだ!!(カッコイー俺)
じゃ、寝ますね、早いから。
並ばなきゃならないから。
「アジアの血」
争いは絶え間無く
大きいのから小さいものまで
人と人がちがう
家柄がちがう
身分がちがう家柄がちがう
国がちがう
宗教がちがう
ほんとは皆同じなんだよ
神様も実在してた人間なんだよ
今は括りがちがうけど
君の祖先のそれまた祖先
いろんな血が混ざって
からまりあって幸せな誕生を繰り返して
誰かというかたちを作ってる
元は同じ材料は同じ
人間はおなじ
進化を記録してないというだけで
だれもが人間の痛みをしってる
同じ血をもってる
すいません上の一連目三行目、「家柄がちがう」と二度も打ってしまっているので脳内削除してください。
600 :
アジア1/2:2007/02/15(木) 02:46:22 ID:2KloJIp6
砂混じりのざらついた光によって
かろうじて闇と見分けのつくスクリーンを
キャラバンの長い列が横切っていく
十二単を着た足萎えの女たちは駱駝に乗せられ
烏帽子を被った背の低い男たちが運ぶ
みな黙っているが
みな欲情している
女も男も
見開いてまばたきしない目が
ぎらん、ぎらんと濡れて
いまにも
落ちそうなほど
熟している
601 :
アジア2/2:2007/02/15(木) 02:47:31 ID:2KloJIp6
これから混ぜにゆくところだ
羅針盤がからりと回って北極の龍を指す
褐色の肌の少年たちは何も知らないふりをしてはにかむ
つぶれたマンゴーからしたたる果汁が
机の下にぬるい水たまりをつくった
ハエばかりがよく育つ国では
豊かな眠りが待っている
歯のない口を開けて笑う翁の面が北極星を踏む
笑声を降らせて北極の龍が星の渦に身を躍らせた
これから混ぜにゆくところだ
地図の外側にいるおれたちは
男も女も欲望に濡れている
ぎらぎらした目玉の行列が
ざらつくスクリーンを渡っていく
602 :
アジアンカオステーション:2007/02/15(木) 10:45:47 ID:GDcQZGFP
アジア アジアン アジ アジテーション
鰺の干物に醤油ぶっかけ
隣の体臭くんくん嗅いで
甘酸っぱいスエタ匂いが安心毛布
体力差無限小 アジアンモンゴロイドジャムセッション
百姓に平等なんざ関係ねえよ 個人よ価値よっつて何だっつのよ
今日のおまんま、あしたのおまんこ、生まれた小僧を蚕に包んで
お天道様のあるところ、明日もなんとかなるってもんよ
あたしのもんはあんたのもんで、あんたのもんはあたしのもんで
ほら、おあしは天下のまわりもん
買ってもらえんなら、なんでも売らせていただきやしょうか
右や左のだんな様、どうかあたしらおめぐみをー
小僧! 尊王譲位だ! いてまえーーー!
拝啓 坂口安吾様
あたしたちは、正しく堕落してまいりましたでせうか?
あたしたちは、正しくあたしたちの娘たちを犯してまいりましたでせうか?
あたしたちは、正しくあらゆる堕落した手段をもってあたしたちの口を漱いでまいりましたでせうか?
あたしたちは、再び竹やりをもて、処女を殺す日を目前にしておりますのでせうか?
あたしたちは、先生様にたぶらかされてしまったのではありますまいか?
あたしたちは、本当は生きていてはいけなかったのではありますまいか?
あたしは、明日、出刃包丁を持って先生を殺しにゆこうと思っております。
敬具
603 :
名前はいらない:2007/02/15(木) 11:12:23 ID:EVHIIcdx
とら とら とら とら
とら とら とら とら とら とら とら
とら とら とら とら とら とら とら
とら とら とら とら とら とら とら
とら とら とら とら とら とら とら
604 :
〈アジア〉のかたすみで:2007/02/17(土) 22:59:54 ID:W+GMvOse
わたしは籾
雨と日にそだつちいさな籾
枯れては実るつらなりの
穂から生まれたひとつぶの籾
琥珀いろの朽ち根のうえに
しろい根を張り若葉をひらき
風ふきわたるいしずえの地で
ともがらと共に揺れている
世界の真ん中にいるひとよ
まるい地球で西も東もあるまいに
アジア
そんなところにわたしはいない
ただ日をめざし高く高く
ひかりの空へとのびるのだ
世界の真ん中にいるひとよ
わたしは名づけをこばむ稲
きのこ雲の記憶と
海をへだてたナパームの焦げたにおいをきざむ稲
〈アジア〉と名づけられた地平のすみで
屹立のうた
しずかに奏でるひとすじの稲
605 :
名前はいらない:2007/02/17(土) 23:16:10 ID:y1vOWDx0
wwwwwwwwww
好きな人へ
うん♪
『ディアスポラロイド』
砂を踏んで
家を探す
枷は外れたが
首輪の名残がまだ
本当には帰れないことを示す
足跡 足跡 足跡
が点々と地図の上
散らされた我々が
アジアに残した足跡
それを辿って砂の中 何かが光って
かきわけるとごろり しゃれこうべ
あるいはさらにその中から
くたびれたポラロイドカメラ
これはちょうどいいと
欠けた首輪に繋げる
好きな風景を好きなように
四角にくり抜く
好きなように
好きなように
さっそく風景を切り取ろうと
あたりを見回し
撮るものなんてどこにもないと気付いた
607 :
Canopus ◆DYj1h.j3e. :2007/02/21(水) 01:25:13 ID:nSDrKrGE
みなさん、投稿どうもあんがと。ぼちぼちとはじめます。
なお、
>>590-593は、先着5名様から外します…2レス以内で、って書いたはず。
>>586 冒頭から暗喩にまみれているね。「千の夜」とは何か、何がそれに
「遅れて月に撃たれ」るのか。また、「千の夜に遅れ」るとは、どういうこと
なのか。穴は主語じゃないな。穴は一連の動作により生じた結果つまり結語で
あり、この作品の舞台にもなってる。
問題なのは、冒頭のこの1行で舞台の提示を完結させて、謎を謎のままで終わ
らせちゃってるとこだなあ。2行め3行めは分るんだ。できた穴が、歴史とか
火山活動とか生物の営みで、地層みたいに埋まっていくんだもんね。でも、肝
腎の舞台装置がうまく機能してないんで、読者としては「埋まっていくから、
何?」って感じ。
闇に光る、宇宙から観た地球のような、壮大なスケールの情景を感じてはいる
のだが。
なんかもったいないね。まだスケッチの段階だよね。
>>587 極論のようにも思えるけど、豊富な知識と学習の結果、到った結論で
あると思われる。現在の日本人には、日本古来の(という記述自体が眉唾もん
なんだけど)遺伝子は、10数%しか存在しない、と言われてるしね。ぼくは、
明治から敗戦までの政治体制は、日本の歴史のなかでも相当に特異なものだっ
た、という認識があるので、この作品の論旨にある程度の賛同はするけど、作
者の大東亜共栄圏への憧れはちょっと理解しにくい。
まあ、おかげで、作品の大部分は、詩というより作者の意見陳述のように思え
てしまう。というか、誰が読んでもそう思えるんじゃないかなあ。
最終4行、ようやく詩っぽくなるんだけど、作者とぼくの、大東亜共栄圏への
思いの乖離のためか、まあ…旅立ちの思いも共有しにくいわな。
とりあえず、こんな感じでやってくよ。
608 :
Canopus ◆DYj1h.j3e. :2007/02/21(水) 02:12:01 ID:nSDrKrGE
>>588 これはね、よっぽど投稿期間中に「推敲して書き直してくれ」と頼も
うか、と思ったよ。作品自体の出来は悪くないのに、あちこちにやっつけ仕事
の手抜きや綻びがあって、そんな手抜きの世界で楽しめるほど、読者ってのは
善意に溢れちゃいないよ。
全体に、最小限のことばで情景描写ができていて、書き慣れた印象を与える。
優れた文章力があると思う。夢のなかの出来事のように時系列がごっちゃにな
ってるにも関わらず、作品世界は手に取るように掴める。
最大の違和感は、やはり時系列の歪み、だなあ…豚小屋から階段を上がる→そ
こは遊園地→しばらく歩く、という図式が、まず存在する。つまり階段は昇り
きってるんだよね、普通に考えると。
ゴブリンのきぐるみの彼が地に伏して、『滑空する豚』になる。つまり、倒れ
たまんま階段を滑り落ちてくわけで、僕とゴブリンは、階段の途中で出会って
なきゃいけないわけだ。そこがまずひとつ。
最終連でも僕はなに食わぬ顔で階段を登るしね。遊園地はいつのまにか消えて
いる。
そこらあたりのバックグラウンドを、『夢のように、曖昧な構造』のひとこと
で片付けようとしている。詩ってのは、世界や時間の歪みがあったっていいと
は思うけど、巧く処理しないと、単に読みにくくなってしまうし、この作品で
は、最終連はただの付け足しに思えてしまうね。
豚、遊園地、ゴブリンというモチーフは、なかなか個性的だと思う。大人、あ
るいは人間になるということを、悪夢のような情景のなかで展開させる、とい
う構想は、ぼくは評価したい。ただ、まだ書き切れていないとも思ったね。
…アジアは感じないね。地下の豚小屋はうっすらと呂大后のエピソードを想起
させるけど、そこまで作者に迎合する気はない。ゴブリンだって西欧が起源だ
し。作者の文章力から考えると、もっと作品世界を練り上げることもできただ
ろうし、アジアンテイストを盛り込むことだって難しいこっちゃなかったろう。
それなのにこの作品を投稿する作者に、ぼくはそこはかとない悪意を感じたね。
すいません!
>>589書きましたがテーマをアジアにしたつもりなのに書き上がってみると全然アジアじゃありませんでした。
>>598でテーマの見直しをして書き直したので
>>589はなかったことにしてください。
すいません。ほんとすいません。
610 :
Canopus ◆DYj1h.j3e. :2007/02/24(土) 01:23:19 ID:Cm2GWn84
>>609 いや、大丈夫っすよ。いきます。
>>589 作者はこの詩の、いわゆる「売り」の部分を、どこに置こうとしたの
だろうか。ビジュアルか、音楽(リズム、語感)か、それともストーリーだろ
うか。
まずはビジュアル。手首をかたく結んで水面にうかぶふたりのシルエット。寒
椿の赤、夕焼けに染まる世界。
次に音楽。「ゆらゆら」「ひらひら」「きらきら」の、みっつの擬音が挿入さ
れる。
そしてストーリー。心中は失敗。残されたものの悔恨。最終行で死んだ男の独
白がきこえる。男は妻を殺したのか?
さあ、もいっかい問うてみたい。作者は、この作品に何を求めたのか、あるい
は何を他者に読ませたかったのか。
タイトルから察するとストーリーだろうね。ただ、あちこちに省略があるんで、
やや分りにくい虫喰い状態になってるのと…ストーリー重視で書くとシンプル
な構造になっちゃうかもなあ。
では、ビジュアルか。情景描写はわりとふんだんに盛り込まれているし、そこ
から想起する情景は美しく感じる。ただ、それはあくまで読者のフィルターを
通した印象であって、「ここの描写が美しい」と感ずるまでには、残念ながら
いかない。
音楽は…言及するのは、よそうね…。
感想。けして悪くはないんだけど、種々のエフェクトを演出しようとして、
却ってどれも中途半端になっている。題材はクラシックといえばクラシックな
ので、古風な美しさを前面に出すとか、あるいは思いきって口語体で書いてみ
るのもいいかもしんない。
611 :
名前はいらない:2007/02/27(火) 14:35:21 ID:c2wJ2Rdj
そろそろ優勝者決めてほすぃ
今回書いてないけど
トントンと行って欲しいね。
第三者的にはさ。
613 :
Canopus ◆DYj1h.j3e. :2007/02/27(火) 23:37:14 ID:7sHj7xKG
>>594 先着5作め、最後。東南アジアがモチーフだろうか。「ほほえみの国」
ということばを想起させる。ちなみにほほえみの国といったら普通はタイだけ
ど、ラオスとネパールもほほえみの国らしいね、どうでもいいけど。
1連め。すべては作者の夢想のなかの出来事なんだろう。「未開の地のような
未知と神秘」「過去のような現在を彷徨うように漂って」「不思議な匂いと手
触りの食べ物」「そこはかと無く聴こえ来る妙なる調」と、すべては曖昧な描
写に終始した、徹底してディテールを排したことばの群れ。それらは「ガイド
ブックを読み耽り」に収束されて、ああ、と思い到る。これらはすべて作者の
想像上の風景なんだと。
2連め。豊穣の農村風景と、そこで働く老人。ここで展開される風景描写は、
やはり観光用のパンフによくあるようなパノラマ的風景だ。ユートピアのよう
な想像上の世界で、実は1連めに書いてあることと何ら変りはない。唯一、
「そして、自分だ」ということばが唐突に挟まれるが…想像上の産物と向き合
う自分、有り得ないだろう老人と同一化する自分、という図式が喚起される。
このような空想によって出来た国は、たしかに「遠い」国だろう。それは納得
できる。ただ、それが作者の本当の狙いだったのかは自信がない。実際ぼくに
は、作者がこの作品で何をやりたかったのか、まったく分らなかったんだ。
10年以上前かなあ。『シンガポールで遊んでみま詩た』という、タイトルを見
ただけで殺意を抱くような詩集の広告を目にしたことがある。この作品はそん
なことを思い出させた。やけに肌ざわりのいい美辞麗句で覆い尽くされた、観
光案内にすらならない、ことばの数々。
>>595-596 元ネタは井上陽水の『アジアの純真』だね。それと、戦後から現
代にかけての内省的な詩、もっと言うなら田村隆一らの系譜を汲んだ詩のパロ
ディにもなっている。これは読んでて楽しいね。読んでて楽しいってのは、ひ
じょうに重要なことだと思う。
「パロディ」と言ったのは何故かというと、元ネタに忠実に展開するあまり、
内容が犠牲になってる面が多々みられている、と感じたから。歌詞に登場する
地名、そこで起こった事件。それぞれ2行めの事柄だけを、ぼくらは知ってい
る。それに対して「疑問を懐いてしま」うとは、どのような疑問だったのか。
それぞれの人が懐く疑問とは、やはり各々違ってくるのだとは思うが、それは
ほとんど明らかにされない。疑問から湧き上がる行動、そして悲劇の繰り返し
は、スピーディなことばの流れに埋もれてしまい、「ありのままに」「素直に
直視」しろ、と言われても、事件から派生する事柄の不整合さが、読者の直視
を妨げている。
リベリアの内戦は悲惨だった、と聞く。町ひとつを制圧するのに、いきなりミ
サイルをぶっ放すらしいね。アフリカはアジアよりもさらに人の命は安いらし
い。「開けドア」「ロダンの地獄の門」は小道具として適切だったのか、ぼく
は判断できなかったけど、少なくとも違和感は覚えたなあ。
かつて梁山泊スレに『ぼくたちがふっとんでいたとき』という作品があるのを
思い出した。大人と子どもの図式、世界のあちこちを綱渡りのようにつなぎ止
めることばのパワー。
最終2連、「ほんとうは死んではいない…」「ほんとうは生きてはいない…」
のくだりは感動的だった。構成力も見事だと思う。ただ、元ネタを複雑に絡み
合わせたためか、作品の全体をとおして、作者自身から出てきたことば、とい
う感慨は起きなかった、というのはあったね。
615 :
Canopus ◆DYj1h.j3e. :2007/02/28(水) 20:12:46 ID:0ohEoDvs
あ、言い忘れてた。あとはランダムに評を入れていきます。
できるだけ週末にはカタをつけたいです…ごめんね。
>>600-601 作者がやらんとする処は、なんとなく分るんだ。闇の砂漠という
非日常、の中の、そこに突っ立ってるスクリーンという非日常、の中の、それ
に映し出されるアジアの混血という非日常、または日常、という図式。
興味深い図式だし、何より出題の意図を汲んでくれた趣向で、うれしく思う。
その後に続く、2行づつの情景描写の並列だが…これは「地図の外側」の出来
事だろうか。少なくとも闇の砂漠を呑み込むだけのキャパは、北極の龍を除い
てはなさそうである。突然の「おれたち」の登場も含めて、非日常の交錯が薄
まってしまった感じで、なんだか残念。
視覚的な、情景描写を印象づけたいモチーフだと思うんだよねえ。そうした意
味では、情景描写そのもの、あるいは情景の展開に、メリハリや鮮やかさがあ
ると、すごくよくなりそうだ。
>>602 坂口安吾の『堕落論』、恥ずかしながら初めて読んだ…面白かったね。
まあ、戦後間もなくの価値観がひっくり返って誇りも何もかも失った日本人た
ちへのエールだよね。人間てのはそもそもだらしないものであり、武士道とし
ての価値観からは堕落した状態になってしまったとしても、それでいいじゃな
いか、と。ま、もっとも今の日本だと、「ここまで堕ちろとはわしゃ言うとら
んど」なんて安吾センセぼやいたりして。
さて、それを踏まえて作品を読んでみる。「堕ちるとこまで堕ちろ」とぼくら
を励ましつづけてくれた安吾センセ。ぼくらはその声に導かれたのかどうかは
分らないけど、リッパに堕ちつづけた。ぼくらは泥にまみれている。ヤケクソ
である。尊王「譲位」は、ワザとだろうか。安吾センセに責任転嫁するとこは
モンゴロイドの幼児性を見るようで、ツラい。
ことばのリズムはいいが、これらが日本人の気質あるいはアジアを網羅するよ
うな内実になっているかどうかは、疑わしい。ヤケクソな一庶民が、ヤケクソ
になるべくしてヤケクソになってしまった印象である。グローバルではなく、
パーソナルだね。享楽的で現世主義で共産主義的な日本人の一面は出せている
と思う。
>>604 作者の最も言わんとする処は3連めであることは明白であり、その連は
充分な美しさを放っている。だが敢えて、1連めと最終連にスポットを当てて
みよう。
「アジア人なら米だっぺ」ということで、作者は「わたし」をイネ科の植物に
なぞらえているんだけど、1連めは籾だったのが、最終連では稲になっている。
ミクロからマクロへ、大多数の中のひとりから一個人への変換。または時間の
変遷による成長の証し、と見ることもできる。さて、この作品は、籾から稲へ
の変化に対応できるだけの構造になっているだろうか。実は、ぼくはあまり納
得できていない。
作品の全体像から察するに、作者は、籾から稲への「成長」を一番の念頭に置
いてるんじゃないかと思われる。しかし3連のことばは成長ではなく、本能的
な生きる力であり、正直さであり、主張である。名の無き者として生きるとい
う清々しい決意は感じるものの、それが籾から稲に変わる充分な理由には到っ
ていない。
全体に書き慣れたしずかな美しさを保っている。ちょっと気取った印象もある
けど、この詩の内容との関連を考えると、妥当なところだろうね。
待たせたからね…全作品やるよ。
>>598 人間つーのは生命体の一種なわけで、生命の定義というのは、まず自
己複製を行う能力を持つこと。次に体外から物質を取り込み代謝すること。あ
とは細胞膜などの外界との仕切りを持つこと、など。それが「同じ」というの
は疑いようがない。
違うけど同じ、同じだけど違う。逆にいうと、同じ民族であっても、自分以外
はすべて違う人間なんだ。そこにこの世の面白さもあるんだよな…
>>590-593 これはイナガキタルホの時代だな…ヘタウマの元祖ね。彼よりは
文章は巧い。一切の背景を排しているのは作者の狙いだろう。最後のセリフな
ど、所々いいとこはあるんだけど、夜や月のことを考えただけで「神になりた
がってる」あたりは失笑を禁じえない。
>>606 九種九牌。バラバラの印象で、配牌からやり直したい。ぼくらが繋が
れてる奴隷だったり世界に屍体があふれてるのは、もはや世間の一般常識で、
詩に何のエフェクトも引き起こしてない。後半は好きだし、作品全体も悪かな
いんだけど、3連めからボチボチ詩が始まってる感じ。
>>597 8時から閉店まで粘るのかね…日本で合法的にバクチで稼ぐならパチン
コしかない、つーのは聞いたことあるが。カローラは結構バブル前後から大型
化してるんで、充分夢になっちゃうだろう。それにしてもスロプロが詩板見る
んだろうか。
>>603 …特に感想はない。とらを4個7個にした理由もよく分らない。
621 :
Canopus ◆DYj1h.j3e. :2007/03/04(日) 22:15:32 ID:THGTMMGo
みなさん、たいへん長らくお待たせいたしました。
今、「詩を読み込む」ということを自分のテーマにしてるんで、こんなになっ
ちゃいました。
さて、チャンプ候補は、
>>588>>595-596>>602>>604の4作品。
ぼくは詩は上質なエンターテインメントであるべきだ、と思ってるんで(もち
ろん難解だったり高踏的や啓蒙的なものも含めて)、読んでて楽しいものが、
ぼくにとってポイントが高い。
この中では、エンタメ調がやや強い気もするけど、
>>595-596『アジアの純虚』をチャンプにします。
みなさん失礼いたしました。楽しかったです。
>>594を書いたものです。
審査、お疲れ様でした。
多分、Canopus さんは私の作為を見抜いた上で、
実際には、意図した作為が無惨に破綻している事を私に知らしめるために、このような厳しい評を書いたのだと思います。
私自身は一連目を『アジアを観光地としか見ていない日本人』、
そして二連目を『現実のアジアで働く人間』という風に分け、
私が日頃感じていた、「日本人のアジアに対する思い上がりと想像力の無さ」を作品を通して伝えたかったのですが、
まさか自分自身が気付かぬうちに「思い上がり、想像力の欠如した日本人」になっているとは思いませんでした。
評を読んで殴られたようなショックを受けました。
確かに私の二連目も一連目と同じく頭で勝手に想像した美麗字句です。
指摘を受けるまで気付かなかった事は心底情けないですが。
きっとアジアの農村ではこのような老人がこのように働いているのだろうという私の手前勝手な空想で書いただけです。
現実のアジアがどのような場所なのか真剣に想像せずに筆を取っていました。
見れば見るほど薄っぺらい作品ですね。
これほど言葉を飾らず鋭く抉るような評を書く人は初めてかもしれませんね。
酷評は大変身に染みましたが、Canopus さんに評を書いてもらえて勉強になりました。
本当に詩を通して色んな人に出会え、一人では気付けない色んな事を気付かされる。
ここは素晴らしい場所だと思います。
また別の場所で作品を見てもらえる機会があったら、次は楽しんでもらえるような作品を書きたいです。
どうもありがとう。
623 :
ゼッケン ◆ZkkenDgUE6 :2007/03/05(月) 02:36:15 ID:M12cuFIk
カノプスさん、ありがと。
>>600-601を書きましたよ。
すごくよくなるかもしれない、と言われるも果てしなく遠いなあ、と思いましたね。
「おれたち」は日本語を読める人間をスクリーンの中のアジアに引き込む狙いだったけど、
それに至るまでの緊張が足りずに、はあ? なにいってんの? という感じの距離の置かれ方ですね。
ち、(舌打ち)。
合評会がんばってください。
ども
>>606書きました
忙しい中評価ありがとうございます
そっかあ、常識だからこそとも思ったんですが、
というかそれくらいの発想しか出来ない自分の頭を叩きなおしてみます。
後半好きっていってもらってうれしいです
またいつか審査してもらう機会があれば
前半も好きと言ってもらうよう頑張ります
国士無双狙います
お疲れ様でした
625 :
まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk :2007/03/05(月) 03:07:37 ID:BfCFRO6f
カノウプスさん、審査お疲れ様でした。
>>587を書きました、まんこ将軍と申すものです。妻は竹輪です。
詩の定義が当方わからないド素人故、カノウプスさまのご指摘部分が今後の詩作に活かせない
駄目男なのですが、それはともかく、「作者の大東亜共栄圏への憧れ」とありますが、
作者は憧れどころか現代版脱亜論を書いたつもりなのですが。誰が読んでもそう思えるんじゃないかなあ。
あと坂口安吾の堕落論は「堕ちるところまで堕ちろ」ではなく「堕ちたところから這い上がれ」だと思うんですけど。
解説のページだけ読んだら間違えるけど。本文は誰が読んでもそう思えるんじゃないかなあ。
生命の定義について高校の教科書の丸写しが載ってますけど「それが同じというのは疑いようがない」っていうのは
おかしいですよね。最先端の生物学者や物理学者ほど生命の定義に疑い持ちまくりだと思いますけど。
稲垣タルホの文章下手とか言っていいのかなあ、なんて。リベリアの内戦が悲惨と言いつつ「いきなりミサイルぶっ放す」
のは戦争なら当たり前ですけどね、あと、ヨーロッパだと人の命って高いんでしょうか。
エンターテイメントって自分が読んで楽しいものならエンターテイメントなんでしょうか。
色々わからないことだらけでしたが、「詩を読み込」んで、しかもそれが「テーマ」ということなので、
たぶん誤読も気にせずご自分の世界で何か私には知りえない部分でご苦労なさったのでしょう。
再度、お疲れ様でありました。とりあえずこんな感じでお礼書いてみたよ。
626 :
名前はいらない:2007/03/05(月) 12:11:12 ID:PlX5YnXQ
>>625 まんこさん、ほぼはじめましてです。Canopusです。わけあって名無しで書きます。
生命の記述は…ぼくが完全に間違ってるね。ウイルスやプリオンを生命じゃない、って言い切ってん
じゃん、俺。だめだこりゃ。これは多分論議中の事柄だもんね。ここは撤回します。ご指摘ありがと
うございます。
あとは…ぼくの持ってる力をほぼ使い切って書いたんだよね、それでこの程度なんですわ。
あとは逆さに振っても、小銭くらいしか出ません。鼻血くらいは出るかもしれません。
>>608 評価どーも、怒られてるし……
いつもこんな感じなんで許すぃて。
アジアの純虚良いな。俺、用水好きだわ詞。
はやく書いた人名乗りでなさい!!!
次のコンペ開催しなさい!!!!!
628 :
リーフレイン:2007/03/05(月) 19:59:46 ID:pBhrcZv6
>>617 カノープスさん、審査本当にお疲れさまです、お忙しい中、ありがとうございました。
力の入った作品集まってて、、これはえらいこっちゃって思っちゃいました。
アジアの純虚さんおめでとうございます。。
お題難しかったですよ、、、○っと題材に扱えるほど実体験が広くないんで
かなりなやんじゃって、まあ、貧乏と戦争とバイタリティをテーマにしちゃったんです、
なんとなくアジアって乱雑で貧乏でハチャメチャな包容力があるような気がしまして、、
いやそれははっきり言って、単なる思い込みだったりするんですが、、
(尊皇攘夷はあっさり誤字です、すいません。)
坂口先生はあたしの心の父とも尊敬する先生で、感謝こそすれ、
決して、決して先生に責任転嫁しようなんて失礼なまねはしているつもりはなかったんですが、
あれですわ、先生を乗り越えることが必要になったんじゃないかって
ちらっと思ったんですよ、詩書いてるうちに。
ちわ
>590-593書きました。
Canopusさんどうもありがとうございました。
長くてうざい詩ですみませんでした。。。
作品では、
サガルマタ(=エベレスト)の麓に住むシェルパ族の
昔の王族をモチーフに、二人の人物を創ってしゃべらせてみました。
それぞれの人物にそう言わしめた、土地の連鎖・人の連鎖が
読者の現在に繋がるように書きたかったのですが、
いかんせん技術も知識も乏しいので上手くいかないですね。
失笑されてしまった・・・
次にはCanopusさんにとって眼福の作品を書けるよう、出直してきますです。
言い忘れた
>600-601が一番心に残りました。
631 :
bottom in the depths ◆hmvCcJH4do :2007/03/05(月) 23:20:36 ID:7qc2hl31
>>595-596を書いた者です。
Canopusさん、お忙しいなか批評していただきありがとうございます。
Canopusさんの仰るとおり、パロってみたものは良いものの、終りへの持っていき方が
自分でもよく分からなくなってしまい、最後のほうまで井上陽水に頼ってしまいました。
一応、アジアの純真のパロディを軸に、生と死の根底にある常識に対する不審と
その常識を作り出す大人たちへの子供たちからのアンチテーゼが大まかなテーマです。
作中の子供たちが懐く疑問についてですが、スケールの大きいお題でしたので
当初はこの詩自体、史実を基にもっと事細かに書かなければと思っていたのですが
2レス以内に上手くまとめ上げることがでず、故に矢継ぎ早に年号と数字で取り繕ってしまいました。
登場人物をもう少し絞ればよかったのかもしれません。
何はともあれ、今回はチャンプに選出していただきありがとうございました。
これからは、表面ばかりではなく、自分の言葉が出せるように精進したいと思います。
さて、次の選者の方の指名ですが、失礼ながらリーフレインさんお願いできないでしょうか?
もし、宜しければご返答のほど宜しくお願いします。
Canopusさん、お疲れさまでした。
『〈アジア〉のかたすみで』を書きました。
投稿後に読み返したら、なんかリズム悪いしこなれてないしで、実は評が出るのに怯えてました(←大袈裟)。
おっしゃる通り、これは三連目が言いたくて前後に肉づけしたようなものです。
書いた方としましては、籾から稲への変化は単に生物的な成長だったりします。えへ。
アジアのお題は難しく、いっとき本多勝一にハマってましたもので、氏の観点から書きました。
原爆やナパーム弾といった非道ともいえる兵器をアメリカが使用したのは、相手が東洋人だったから、というのも誰か(本多氏かも)の本で読んで、あながち外れていないかも、と思ったり。
何が起ころうと市井の民はそれでも生きていかなくちゃならない(←おお、堕落論)。それと、強者に対する反骨みたいなものも書きたかったのですが、上手くいかなかったみたいです。
と言いつつ、ほんとは政治的な事はサッパリわからなかったりして。
お忙しいところ本当にありがとうございました。
bottom in the depthsさん、優勝おめでとうございます。
「ちょっちゅねー」への道は険しかったです(笑)
>>631 おめでとうございます、、
で、了解しました。今晩にも、次のお題等、書き込みますね、、、
あ、でも、このごろかなり毒舌になっちゃってるんですが、いいんでしょうか?
634 :
bottom in the depths ◆hmvCcJH4do :2007/03/06(火) 22:28:55 ID:Zn50MY+7
>>633 リーフレインさん、選者の件お受けいただきありがとうございます。
毒舌でも一向に構わないと思います。
むしろ、参加する方々への良い意味での牽制ともなり
クオリティの高い作品が集まるのではないかと思います。
それでは、宜しくお願いします。
ということで、
お題 「空」
投稿期間は2週間 3/21(水)いっぱいまで
審査期間は適当 1週間ぐらいかな?
名なし投稿
一人一作。他スレ既出も可。
基本的に酷評になってしまう予感がするので、あらかじめご容赦を、、
カノープスさんありがとうごばいました。アジアの血と、テーマにそえなかったものまで評価していただき寛大だなあと思ったしだいです。
次が始まっていますので短いですがお礼まで。
チャンピオンおめ!
くどいほど濃厚な紫色した積雲を敷き詰めた空が
抵抗するノスタルジーを強引に引きずり出す
地上ではほとんどの色素が吸い取られ、暗黒の森が広がっている
その中で際立つのが、のっぺりとしたコンクリートの建物
夕暮れから夜に変わる不安定な境界線のせいで、
その建物の本来の色を推し量ることはできないが
なんとなくクリーミーな感じがする、でも決して暖かさはない
《例えるならチョコソースの海に浮かぶヴァニラアイス》
その建物はホテルだった
もちろんビジネス用ではない(見渡す限り"影"のような森が広がる)
じゃあ観光用かと言うと、
最もな理由も見つからない(見渡す限り没個性的な森が広がる)
しかしこの地味な森たちがホテルをより一層強調するのだ
そのホテルは11階建てで、
それほど大きくもない(東横インと同程度の規模)
館内は和と洋が半々で混ざっているモダンテイスト
どんな目的があってこのホテルは利用されているのだろうか
近くに山があって、山登りやスキーができるわけでもないし
飼い犬が土中からトリュフを見つけてくれるわけでもない
そして最後に残るのはこのホテル自体が目的という場合だ
それでも疑問が残る、わざわざこんな所に立てる利点はないだろうし
このホテルがそれほどの魅力を備えているとは思えない
ただ客の入りは悪くないし、その客たちの顔には充足した幸せの色がある
漆塗りされた海が見えるカーヴで、隣に座った僕の影の笑顔
幸せを 覚えている 感触を 覚えている
張り巡らされた血管で反逆軍の行進
怒りが 続いている 痛みが 続いている
僕は螺旋階段を昇っている 今 昇っている
僕は螺旋階段を下っている まだ 下っている
僕は紫色の空から逃げている できるだけ 遠くへ
追われている 螺旋の底から 追っている 光指す天窓から
あらゆる概念たちが全透性の細胞壁のように往ったり来たり
そして僕は青空に捕まった
青空の罠
青空の
嘘
……そして目が覚める
地面がうねっているような感覚がまだ残っている
半分ほど開かれているドアからエレベータが見える
各階を示す数字を光が順々になぞり"11"で止まった
枕元にはキーがあり、シーツには僕の体温が染み付いている
640 :
名前はいらない:2007/03/09(金) 23:20:08 ID:SGcYSPE9
「イレモノ地球奇行」
もらったばかりのコップを覗く
空が見えます涼しげに
くるくる回してみたりして
空にむかって笑います
見えないのが見えて
見えるのが見えない
見えたものが見えた
見えないのは見えない
イレモノイレモノ手の中に
空気の虚空を感じます
空の空を空にして
わたしの脳はスペースに
青かった地球を見下ろして
わたしは
わたしは
空になるのです
「空々しい」
・青い空が
それだけじゃどんな青なのかわからないって?
・コバルトブルーの空が
絵の具じゃ本当の空の色は表せないって?
・宇宙飛行士が地球は青かったと言ったときのような空が
青って言葉がそもそも陳腐なんだって?
・熱帯の海の色のような空が
ような、って言葉がそもそも本物と違う偽者ってことなんだって?
・絵本で見た鯨の空が
色なのかなんなのかわかんないって?
・入浴剤を溶かしていく わたしが両手でゆったりとかき回した空が
青はどこ行ったんだ、って?
・赤では絶対なく 黄色とも違う 緑には近いけどやっぱり違う空が
消去法が説明くさくてくどい、って?
・透明な 色の三原色の中でも一番透明な 透き通った空が
空って単語もいいかげん陳腐なんだって?
・透明な 三原色の中でも一番透明な 透き通った折り紙が
えっ、意味が通じないって?
・透き通った青い折り紙が
折り紙の描写に見えるって?
・透き通った青い絨毯が
絨毯の描写に見えるって?
・透き通った青い空が
本当にその青は透き通ってたのか、って?
・青い空が
あっ、これで合格ですか? アドバイス、ありがとう!
642 :
即:2007/03/11(日) 01:15:39 ID:z8vxZZQ4
目の前にあるものを
目に見える前に掴め
世界に色も形もあるものか
感覚の向こうに
世界は準備されている
これは挑戦だ
身体も言葉も
限られた仕組み
その向こうに
ぼくらは挑戦を受けている
目に見える前のものを見ろ
言葉になる前の思いを語れ
目で見ること
言葉にすること が
それだけのことが
気持ちよくて
色即是空 空即是色
世界がぼくらに早く来いと言っている
「空のない部屋」
小さい部屋のなかでぼくは
ブラウン管の向こうにおける
不可解な社会生活をいつまでも眺めている
何故かぼくは
空に太陽と雲がないと
空というものを描けない
ぐるぐる巻きのパー
あれを太陽だと信じている
あんな人生だと信じている
いや信じていた
ぼくは 今日も空っぽの卵の中に居候している
まだ産まれてもいないし
ましてや ヒビも割れていない
生きているふりを しているんだ
きっとやどかりのほうが ぼくよりずっと偉いんだろな
今日は誕生日だった
いつもよりにぎやかな気がするけど
俺の方は自分の誕生日だってのにちっともそんな気がしない
他人のバースデーケーキを吹き消して
他人のプレゼントをもらって
調子のいいことにありがとうなんて言ってやがる
苦し紛れに喜んだフリして自嘲気味に笑ってんのさ
窓の外は車窓に青空を映した車がつきつぎ走ってく
皆忙しそうだな
青空をくっつけてるくせに気にも留めないでさ
本当は自分もこうのんびりしてちゃいけないんだけど
落ち着かないな仕事しなくちゃいけないのに
なんか 今日はみんな
忙しい所お祝いしてくれて
いつもより声掛けてくれて
いつもよりやさしい気がする
心配されてんのかもな
何にも言わないから
なんで余計な気使うかな
なんで気づくかな
645 :
(2/2):2007/03/12(月) 23:17:51 ID:JH5015sz
そういえば
悩みをなんで話してくれないんだって言ってた女もいたな
俺はそういう面倒くさいの嫌いだから
そういう時は会わないようにしてたし
会って普通のフリしてんの面倒くさい
かっこつけてんのかな
いや 多分平気だから
みんな曇らすのが嫌なだけ
澄み渡ったものはいつまでも
眺めていたいそんなこと考えてたら
シャンパンの味が戻ってきた
「うんこが見上げる青空は」
--楽しいときには お空に浮かび 悲しいときには 下水に沈む
うんこ うんこ 気まぐれうんこ うんこの気持ちを 知ってるかい--
野原の真中にひとつ
うんこがありました
湯気が収まるとうんこは
千切れたその身を思い こころ細くなりました
臭くて醜い自分が 悲しくなりました
風が吹いてきて こなごなになるのを待つことにしました
雨がふってきて とかしてくれるのを待つことにしました
そして
太陽はまぶしくて あたたかで 遠くにあって
見上げる空は 素敵な青さで どこまでも広いのでした
--うんこ うんこ 黄昏うんこ 赤くかがやき 夕日に映えて
うんこ うんこ 泣き虫うんこ うんこの涙は 小豆色--
ということで、
『青天の辟易』
空は飽きていた
漂うことに飽きていた
ただ在ることに飽きていた
(そろそろ落ちてやろうか知らん)
飛行機は飛行機のように笑っていたし
太陽は太陽のように傍観していた
(えい、)
音もなく割れた空は
はらはらはらりと崩れ落ち
待つだけの人々に降り注いだ
剥かれた星はもう
泣くことも出来ない
とうさん、かあさん
ぼくがとべるなんて知らなかったでしょう
窒素と酸素で形成された
白いがけをとびこえ
みずいろの雲にまみれ
からだじゅうをくすぐったく
すずしくしていると
雲を形成している
微細な六角形の結晶が
汗腺や毛穴からはいりこみ
ぼくの内部で
はずかしさの吸収を阻害して
からさわぎしているだけで
うんざりするたびに
またしびれて
増幅するよろこびは
ただ
夏の夢をみているようで
ぼくはこっそり羽根をむしり
きょうもまた
こっそりと冷えながらしずかさを
分泌させているだけなのです
650 :
リーフレイン:2007/03/21(水) 12:57:37 ID:ktccXDoi
651 :
リーフ:2007/03/21(水) 15:01:51 ID:YUZ7K3x5
ごめんなさいー!今きがつきました
今日いっぱいです(今日が〆切りなんだっけ・・・ぼけてます、許してください)
652 :
【青年】:2007/03/21(水) 20:54:12 ID:sFQPaHb5
ふわふわと融通無碍に
途切れることなくうたかたに
それも揺るがずに諸相を顕し
哲学的で含蓄に富みながらに
眼の虜の根源美であり
意味を有しながらに意味など無意味で
常に自慰に浸っている
おぉ〜地平線よ それも彼方の果てよ
灼熱の太陽と斑鳩の大王が僕に囁く
つつがなきや
光と影の戯れが投射され
其処彼処で顕現される足音に
胸をふくらませ
僕もゆこう
おまえを科学とゆう物差ではかる輩を嘲笑うがいい
薀蓄など糞喰らえ 人生訓など便所の塵紙
意味などなくただ揺蕩い
放埓三昧に僕もゆこう
つつがなきや、と
653 :
「遠い空」:2007/03/21(水) 22:39:51 ID:/DzLZ9FZ
老人の視線の先に遠い空
赤い錆のような夕陽が沈殿した地平
もうすぐ一日が終わる
冷えますよ、おじいさん
僕が声をかけると老人はぎぎぎと音がしそうな動作でこっちを振り向く
そして顔の筋肉をゆっくりと集め表情を作り上げる
にかっと音の聞こえそうな笑顔だ
ああ、そうだな 冷えるな
老人は静かにそう言い終えると蓋を閉めたような沈黙に籠もる
眼球だけ僕の方を向いていて 老人は僕を見ていない
いつからここで?
小さな呼吸が聞こえ 筋肉が静かに収縮を始め然るべき体勢を整える
そして遠い場所から届けられる言葉
いつからだっけな ああ、昼は食べたよ だからそれからだな
僕は頷く そしてまた沈黙
風の冷たさと老人の薄い衣についてしばし考察する
風邪を引くからもう戻った方がいい
気付いたら少し命令するような口調になっていた
老人の目に静かな色が湧く
顔の筋肉は儀礼的な動きを止めゆっくりと隆起を始める
そして老人は言葉を発しようとする
だけど老人は何も言わない
老人の表情に静かに潮が満ち そして引いていった
それだけ
そして悠久と形容すべき口調で 本当にゆっくりとこう言った
ありがとよ、だけどあんたももう戻った方がいい
あんたも風邪を引かないようにな
僕は頷く
潮時という事なのだろう
僕は小さな笑みと会釈で別れを告げる
遠い彼方を見続ける老人の背中
歴史の終焉を予感させるこの真っ赤な夕焼け空に老人は何を浮かべているのだろう
知りたいけれど、まだ知れない
僕はそれを知るにはまだ若すぎるし
それを知るにはまだ 早すぎるのだ
見えないよ、この空の下
ただざらざらとした水たまりの中に 濁りゆれゆく小さな灯火
病理に満ちた 大気をただ装った
たくさんのしろいしろい
幾億もの吐息 ∵
規則正しい脈動とその伸び行く くだ から
身体を潰す希薄な空気が吐かれるばかり ∵∴
借り物の青を 手の平に閉じ込めるかのように
濁った灯火と
止め処ない白黒が境界を覆う
うまれた、うまれた、
たくさんの音声 合成 混じる声
選ばれない夢を見ない名を呼ばれずただ縮こまる 人影を見る ∴∵∴
見るたび変わる、白、黒、 瞬く、また変わる、白、黒、 ∵∴∵
路上での...生?涯 ∵∴
幾億もの吐息に埋もれて ∵∴∵
手を伸ばすも星は遠い ∵∴
今、今、 今、
前からの想い ∴∵∴∵∴
もいちど読み返す ∴∵∴ ∵∴∵∴∵∴
隙間風に声を乗せ 夢を見た ∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
満たされた器をこぼさぬように ∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∴
煮?て 火になった油の中へ ∵∴∵∴∵∴∵∴ ∵∴∵∴∵∴
屁理屈だけ並べてきれいな言葉をつくる ∴∵∴∵ ∵∴∵∴∵∴∵∴ ∵
苦しいことへのせめてもの小さな抵抗 ∵∴ ∵∴∵∴∵
655 :
2/3:2007/03/21(水) 23:43:55 ID:Rw3Lkl4u
海が消えるよ ∵∴
夜が消える
類するものが全部消えてく ∵∴∵∴
雲の下の世界が消えた ∵∴∵∴∵
たくさんの白い白い、粉塵のような雑音をあげ、 ∵∴∵∴∵
現実の夢と空想と想像と 仮想の夢と空想と幻想を 掻き消し 消し 殺し∴∵∴∵∴
しろく、しろく きえるよ きこえるよ ∵∴∵∴∵∴∵∴
∵∴∵∴∵∵∴∵∴
夜の星、月、空を隠し、雪は降る、降る、ふるふるとたゆたう ∴∵∴∵∴∵∴∵∴
薄暗い人影を覆い、積もる雪、雪 ∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
綺麗な白い街をただ上塗りしていく ∵∴∵∴∵∴∵∴∵ ∴∵∴∵
幾億もの吐息∵∴∵∴∵∴ ∴∵∴∵∴∵ ∴ ∴∵∴?∵∴
いきている証 ∴∵∴∵∴ ∴∵∴∵∴∵∴ ∵∴∵∴∵∴∴∵
しんでないしるし ∵∴∵∴ ∴?∵∴∵∴∵∴∵∴ ∴∵ ∵∴ ∵∴∵∴
知るしかなかった妄想の跡∵ ∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵ ∵∴∵∴
∵∴ ∴∵∴∵∴ ∵∴∵∴∵∴∵∴ ∵∴ ∵∴∵
.∵遠く、遠く、広がる過去 ∵∴∵ ∴∵∴∵∴ ∵∴
∴.壊れかけた空の下 ∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴ ∵∴∵
∴∵ただ人?形?ばかりが歩く世界 ∴∵∴∵∴ ∵∴ ∵∴
∴いつの間にか、光、白い光、消え、ただ白く、くろい?∵∴∵∵∴∵∴∵ ∵∴∵∵∴
幾億もの声が産まれ∴幾億もの声が消えた∴幾億もの影の中∵∴∵∴ ∴∵∴
鳴かない鳥の歌 声が きこえる
『鳥人間飛んだ』
鳥人間が飛んだってさ!人間であって、奴は鳥なんかじゃない。空ばかり夢を見た馬鹿なあいつ。ついには空をめがけてジャンプした。あんな造りものの羽で飛べるとは思わなかったから、皆びっくりしたよ。でもまあ、空に行ったらアイツは一人だ。何にも羨ましくないと
ミナ嘲った。
しかし、君だって飛べるだろうに。飛べないふりして
Load ←
Loading...
404 File Not Found
指定されたファイル "VirtualWorld.exe" は
削除された、名前が変更された、
または、元々存在しないため、
見つけることができません。
658 :
名前はいらない:2007/03/22(木) 19:31:54 ID:/1HtqB4l
>638-639{ホテル}
>640 「イレモノ地球奇行」
>641 「空々しい」
>642 即
>643 「空のない部屋」
>644-645 澄み渡る空を
>646 「うんこが見上げる青空は」
>648 『青天の辟易』
>649 無題 (とうさん、かあさん
>652 【青年】
>653 「遠い空」
>654-657 Re:Flayin' 「空、間に架かる白い想い」
>656 「鳥人間飛んだ」
以上13作品、リーフレインさん宜しくお願いします。
659 :
リーフレイン:2007/03/22(木) 19:57:45 ID:z/1oj1ao
>>658 ありがとーーーーー。一個づつやってきますーー。 ゆっくりお待ちください。
>638-639{ホテル}
「アルバムは一曲目が大事、つまり、俺が今回のコンペの顔」というメッセージに笑った笑った。
確かに、レベル高いです。
さて、この作品 3つの要素からなってますね。
一つは
>《例えるならチョコソースの海に浮かぶヴァニラアイス》
>僕は螺旋階段を昇っている 今 昇っている
>僕は螺旋階段を下っている まだ 下っている
>そして僕は青空に捕まった
この部分を芯にした、空に浮かぶ感性。絶品です。もう、これだけで垂涎。トップ張れます。
で、この芯を二つの膜でくるんであって、すぐ外側が2/2レスあたりの色々、そしてさらに外側が
ホテルという具体的な構築物とその内部にある自分自身のストーリーです。
問題は、その膜が詩の芯の魅力を増大しているかどうか?なわけですが、
あたし自身は申し訳ないが失敗してるような気がします。
660 :
リーフレイン:2007/03/22(木) 20:10:30 ID:z/1oj1ao
>>640 「イレモノ地球奇行」
少し肩の力を抜いたいい感じの小品。
コップを通して空をみて、
>見えないのが見えて
>見えるのが見えない
>見えたものが見えた
>見えないのは見えない
よく読むとごく当たり前の事しか言ってないんだけど、妙に笑える連でした。
で、このあとから、想像力がわーーーとバースト、青かった地球を(ここ過去形になっテルの何故?)
宇宙から見下ろすのであります。
3連目の転がちょと力不足で、あまりにもあっけらかん。いやこのあっけラカンが味なんだけど、
もう少し展開が欲しかったような気がします。
661 :
リーフレイン:2007/03/22(木) 20:24:26 ID:z/1oj1ao
>>641 「空々しい」
アルバムは3曲目がシングルカット候補 w
ですが、この曲はスキャットですな。。なにげに「誰かアドバイスを貰う」ことそのものへの皮肉が
ばりばりはいってまして、あたしは、「もう何書いたらいいんですかい?」と小一時間ほど悩んだりして、
て、それは冗談ですが
青い空というテーマを実にテクニシャンに言い換えてあります。(突っ込みをいれつつ)
最後に一番最初に提示した「青い空」に戻っちゃう。でもって、ここで無心にお礼言ってるとこが泣けます。
作中主人公は純粋無垢にお礼いってる、(もちろん書いてる作者のほうは皮肉たっぷりなわけです)
この辺の書き分けも上手です。
>絵本で見た鯨の空が
あたりが好みだったりします。。
662 :
リーフレイン:2007/03/22(木) 20:35:34 ID:z/1oj1ao
今日はすいません、ここまでで、、
663 :
リーフレイン:2007/03/23(金) 19:54:48 ID:Q1e9IHhS
>>642 即
作品は一つの詩論ですね。 冒頭の
>目の前にあるものを
>目に見える前に掴め
この2行で作者さんの強い意志を感じます。この思考の結実を是非読みたいと思います。
思想的には後半にある
>色即是空 空即是色
非常に有名な仏教の一文なんですが、多分これがスタートで、
この文言を第一連で
>世界に色も形もあるものか
>感覚の向こうに
>世界は準備されている
と平易に書き直してあります。いいですねえ、、
この第一連は、強い意志と明確な世界感で本当にピシッとしまっていて素敵です。
ただ、第一連の密度に比してそれ以降がなんとも薄まってしまってるのが残念です。
言葉で表現するという展開は後半にあるわけですが、少々ぬるい。
しかも最後の一行が致命的にぬるいよーーー作者さん!!!おばさんはへにょへにょっと
力が抜けてしまいました、、、
あ、でも 空って題を出したときに、くう で誰か書かないかなって期待してて、その期待は
裏切られなかったので嬉しかったです。。
664 :
リーフレイン:2007/03/23(金) 20:19:27 ID:Q1e9IHhS
>>643「空のない部屋」
ところどころいい部分があるんだけど、全体には散漫で無駄に自虐的な印象がのこる。
本来の味は、軽いシニカルさとあっけらかんとした空気にあるから、
失礼を承知で、赤を入れさせてもらうと
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「空のない部屋」
何故かぼくは
空に太陽と雲がないと
空というものを描けない
ぐるぐる巻きのパー
あれを太陽だと信じている
きっとやどかりのほうが ぼくよりずっと偉いんだろな
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こんだけのほうがいい。長くすることによって本来の良さが薄まってしまっていると思う。
665 :
リーフレイン:2007/03/23(金) 20:37:36 ID:Q1e9IHhS
時間切れでまた明日、、
666 :
リーフレイン:2007/03/23(金) 20:43:13 ID:Q1e9IHhS
>644-645 澄み渡る空を
青年期独特の内省を描いた作品ですね。
二十歳すぎてからこういった気持ちは忘れてしまったなあ。
才能は。。。
が、正直なところどういうところをねらっているのか
何をいっているのかよくわからないところがある
言ってることは、わからないでもないんですが
うっとおしさも多少感じるかな。
667 :
リーフレイン:2007/03/24(土) 10:20:12 ID:h/F95IS0
>>646 「うんこが見上げる青空は」
さて、この作品、皮肉と批判精神爆発なわけですが、
どうも思うに文字列書き換え作品のようです。
うんこー>りんご と仮におき、非常にまじめかつステレオタイプに書き上げたのちに、
(いやりんごでなくてもいいんだけど、語呂が似てるので)
すべてのりんごをうんこに変換!
さあ、詩なるものをひりだす詩人の醜悪さを絶妙にひねくる作品の一丁上がりということで、、
マットウに書き上げすぎですな、ベースの詩。そのため「うんこ」の生々しい臭みが
一切消えてしまって、単なる書き換えの妙というレベルに留まっております。
668 :
リーフレイン:2007/03/24(土) 20:42:12 ID:h/F95IS0
>>648 青天の辟易
もちろん、青天の霹靂をもじった題で、内容はファンシー仕立てのSFです
実のところかなり怖いSFで地球滅亡の日(かわいらしく書いてあるのが
怖さ倍増でした。)
青天の霹靂で引いてみたら、”晴天と書くのは間違い”という但し書きがあって、
なるほど間違えそうだ、と思ったのは蛇足で、、、
作品としては、非常に読みやすく、ギャップの面白さがナイスでした。
669 :
リーフレイン:2007/03/25(日) 20:11:38 ID:LhjVLq+9
>>649 無題 (とうさん、かあさん)
ああ、この詩はいいですねえ、感想を書いてしまうのがもったいないような。。。
最初に感じたのは、「物凄く気持ちがよくて、哀しくて、可哀想だ」でした。
第1連の呼びかけで、一気に詩世界に取り込まれます。ここが最高に巧い。脱帽です。
その1連目は、最後の5連目と呼応して、聞いていないだろう「とうさん、かあさん」への独白
(あくまで独白なのだけれども、もしかして聞いてくれるだろうか、いや聞かれても
困るのだろうけれども、諦めを伴った淡い期待感が隠されています)という形を完成させます。
2、3、4連は、単独でここだけが提示されていても成立する詩ですが、この構造によって
単なる感性のたゆたいを超えた情感を込められているのだと思います。
下手に作るとダサくなってしまう感傷をぎりぎりで抑えているのが研ぎ澄まされたリズムの良さで、
ゆるりと読ませてくれました。
670 :
リーフレイン:2007/03/25(日) 20:13:18 ID:LhjVLq+9
>>652【青年】
この作品はお題の”空”を「そら」であり「くう」でありと捉えて書かれたようにお見受けしました。
青年というタイトルでありながら、少々老成したような語句の選択と書きなれたリズムの良さが
あります。内容はどうかな、、青年かなあ、、、達観しちゃったような自由闊達さです。
あ、だけど、どこか怖れを知らない傍若無人さが漂ってるところは確かに青年ですね。
初読で
>おぉ〜
という感嘆句に笑ってしまったのは、作者さんの照れというか、センスの良さというか(そこまでの
かっこつけたような 畏まった語彙の羅列に照れたような)そんなもんを感じてしまったせいで、
この感嘆句のおかげで、好感度100%アップでした。
繰り返されている
>つつがなきや
聖徳太子の「日出(い)づるところの天子、書を日没するところの天子に致(いた)す。つつがなきや・・・」をおもいおこしつつ、(斑鳩っつのもこれですな)
効果的で、なんとも古風で典雅な浮遊感を感じました。
671 :
リーフレイン:2007/03/25(日) 21:01:08 ID:LhjVLq+9
>>653 「遠い空」
一編の短編小説のような、映画のワンシーンのような作品です。
思い出したのは「老人と海」だったり(すまんオーソドックスで)。
老人の背景には一切ふれず、ただ、人生の重みだけを淡々と感じさせています。
端正な筆致で作品世界がきちんと成立している小品で、雰囲気がとてもいい(自然な視点の移動が素晴らしいです)。
ただまあ、このポエジーは限りなく小説世界に近いですね。ポエジーそのものも、
”隠された老人の人生の重み”にもたれかかってる。”詩”と読むときは少し物足りないものを感じます。
一方で、小説として読むときには、結果としてたいして書き出されていないことに(ストーリー的には)
いらだちを感じてしまうだろうと予感します。
破綻も、驚きもないのだけど美しい雰囲気が(破綻がないからこそ安心感のある)
イージーリスニング音楽のようで、一つの価値だろうなと思いました。
672 :
リーフレイン:2007/03/25(日) 21:40:27 ID:LhjVLq+9
今日なんとかっと思ったのですが、時間切れです、すいません明日はかならずううう。。
673 :
リーフレイン:2007/03/26(月) 21:37:20 ID:cima1AgE
>654-657 Re:Flayin' 「空、間に架かる白い想い」
非常に凝った作品でAAもすばらしかったのですが
内容が伴わなかったように感じます。
ある種イメージで酔わせる試みで、多分何書いてあるかということは正直どうでもよくて、
イメージ想起とリズムが目的らしいのだけれども、その点がつまらなかった。
674 :
リーフレイン:2007/03/26(月) 21:47:55 ID:cima1AgE
>656 「鳥人間飛んだ」
超ショートショートですね、最後の1行で幻想に入ります。ちょっとピックりしちゃいました。
さて、審査結果ですが、候補は
>649 無題 (とうさん、かあさん
>652 【青年】
この2作でした。2作とも完成度が高いです。
詩的幻想性の純度を評価して、 >649の無題(とうさん、かあさん)を選びたいと思います。
みなさんありがとうございました。
かなり酷評になってしまって、申し訳ありません。
675 :
◆notePDkbPQ :2007/03/26(月) 21:58:21 ID:bWuicw47
リーフレインさん、ありがとうございます。
>>646書きました。ハヤトさんには悪いけど、
そのまんま出しました。でも、くっつけた最初の2行が余計だったかなあと思いましたです。
リーフレインさんが仰るような寓意は全く無いです。深読みに耐えられるよう精進いたします。
チャンプさんのはこれはまさしく「詩」ですね。
「鳥人間」を書かせて頂きました者です。空を夢と掛けました詩で御座います。意図が伝えられない私の力不足が悔しく思います。空のお題には相応しいものではなかったのかも。
チャンピオン様おめでとうございます。
素晴らしい詩ですね。呼び掛けにぐっときました では失礼
つまんなくてごめんなさい
>>654-657Re:Flayin'(ry書きました。
>>649の作者様おめでとうございます。
えと。今回、詰めれる限りのネタを詰め込んだつもりです。
リーフレイン様の酷評宣言に対して、タイトル「リ・フレイン(酷評へ)」とか、
最後以外、文がallしりとりだったりとか。
まあ全部無駄だったけどネ☆
むしろ遊びの方に力入れ過ぎ(しかも細かい)で、本体がおざなり。これは酷い。
今回は、なんていうか、もうね、散々でした。
反省点なんか多すぎて分からない。
そして何より時間が足りなかった。
PCはdionで規制に巻き込まれるし
メールで携帯に送るも長すぎて分割コピーしなきゃいけないし
いざ書き込んだら文字数超過でエラーするし
書き直してやっとの思いで全部投下し終えたら被ってるし、、、
感想としては、ほんと、「パトラッシュ……ぼくはもう………疲れたよ………」
リーフレインさん審査お疲れ様でした。
「遠い空」を書きました。
今回は「空」というシンプルで難しいお題だったため、悩んでいるうちに締め切り当日になってしまい
(あの締め切りの誤報にはドキリとしました)
結局、かちっと簡潔した作品を書くのを止めて読み手の想像力を喚起させるような小品を書いてみようと思い立ちました。
もうこの時点でコンペからは脱落しているんですけどね。
まぁ今回はリーフレインさんにこっぴどく酷評していただき、大いに反省しようとしたのですが
評を読んで正直「あれ、そこそこ褒められているぞ?」と拍子抜けしました。Mの気があるのかな?
それにしてもかなり正確な評文で感嘆しました。
この作品のイメージの源流はまさにヘミングウェイです。
ただ「老人と海」ではなく「橋の袂にいた老人」の老人と「殺し屋」のボクサーを足して2で割ったようなイメージです。(私の中では)
空ばかり見続ける老人の心境が若者に想像付く訳も無く、二人は間近で相対しながら深淵のような決定的な断絶が両者の間にある。
それでも同じ時間を共有する事はできるし、しなければいけない。
そういった普段お年寄りと接する時に感じる事を作品の中にそっと込めてみました。
イージーリスニングというのは褒め言葉と受け取らせていただきます。
強い感銘を与える作品ばかりじゃなく、こういった読み手に微風のような小さな揺らぎを与える作品もあってもいいなと思います。
チャンプ作品は私には一生書けないタイプの作品でしょうね。
私は私で自分の道を歩き、独自の世界を創って行こうと思います。
評価どーも
>>638-639ホテル書いた俺です。
チャンプの詩の良さも、青年の良さも全くもってわからないのは置いといて、
「遠い空」の作者でも当てて遊びましょう。
ズバリこれは"ナナシー"君なのであります。わかりやすすぎます。
全くわからない
なんかそーいう予感はあった、うん確かにあった。
>>679 正解、おめでとう。
でも君のも分かり易すぎるぞ。
梁山泊の(心)も今回のもまず間違いなく君だなと見抜いてたからね。
君の作品の特徴はリアリティーと不条理さが同居している所だね。
その二つの絡まりが独特の世界を創っている。
成功した作品は見た記憶が無いけどね、はっはっは。
でもだいぶ自分の作風が構築されてきたのは良い事じゃない。
他の人にも言われていたけど小さく纏まらないように。
んじゃまたどこかで。
>>681 おまえ俺より先に書くからさぁ。
なんかスベったみたいになってんじゃん!!
あと俺からの忠告は最後の連アレはやめた方がいい。
今はそういう文体ってだけでコンテストで落とされるらしいし。
リーフレインさんお疲れ様です。
青天の辟易を書きました。
駄洒落大好きです。
あー、何ていうか色々沁みました。
優しい言葉をありがとうございます。
チャンプさんおめでとーう
684 :
やさしいあくま ◆XhCOJeVipQ :2007/03/27(火) 00:52:29 ID:+g8umJ3U
リーフレインさんお疲れ様です。
澄み渡る空書きました。まとまらないうちに書いたので迷いがあったかもしれないと読み返して思いました。
チャンプおめでとう。
>>643書きました。評価ありがとうございました
散漫ですねーあとで書き直します
チャンプおめでとう
希望と云えば青い空
【青年】書きました。リズムが悪いと云われるかなと思い。
兎角、忙しい中でお疲れさまです。寸評有難う御座いました。
チャンポンおめーとー♪
687 :
ゼッケン ◆ZkkenDgUE6 :2007/03/27(火) 08:03:27 ID:8nKSwoV1
「即」書きましたよ。
腰くだけにされたリーフさん、大丈夫でしょうか。
認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを by シャア・アズナブル(けっきょく最後までおなじこと言ってたけどね、この人も)
いつになったら渋いオトナになれるんでしょうか、私。
シァア『認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを』
ヘルマンヘッセ『認めたくないものだな、若げのいたりというやつは』
。゚(ΡД`゚q)゚。
689 :
ボトルネック*゚Д゚) ◆necK/fzEYA :2007/03/27(火) 12:34:02 ID:nLizwa9W
お疲れさまでした
「イレモノ地球奇行」を書きました
空をソラともカラともクウとも読めるようなのを目指しました
「青かった」はガガーリンからです
宇宙から見た地球ということで
690 :
リーフレイン:2007/03/27(火) 14:56:45 ID:lYXL/uXX
あ、みなさんお疲れさまです。力作が集まってて、正直しんどかったですよーー、、
思うにね、酷評って最初に言っちゃったんで ども、みなさん力がはいっちゃったみたいですね。
あれですよ、詩って力作ほどあれになりやすいんで、、、(あたしも思いいれの強いもんほどあれだったりします)
あれれ?w
>類さん あれ大変でしたよ、、おもしろい音律があって(シリトリには気がつかなかったんですが)
いわゆる日本語の定型じゃあない不思議な音律で、そういうのはとても良かったんだけど、
何回読んでも何が書いてあったのが思い出せないっていう恐ろしい作品で、、一番時間がかかっちゃって、しまいに
いやになっちゃったんですわ、すいませぬーーー。
>天才さん なるほど貴方だったんですね、、そういえば暫く天才スレいってなかったなあ、、
チャンプ作品の良さがわかりませんかあ、、、ふふふふふ、まだまだ青いですなあ。。というか、
複雑さが当面の目標みたいですね、語句を重ねた重厚で密な表現とか構造の複合化とか
いい感じだと思います。で、あたしの点が辛いのは単純に、あたし自身がそういう作品に
飽きてしまっているというせいで、端的にいってしまえば、誰が書いてもいいような行は
いらないって思っちゃったりするわけですわ。(あ、こういうことを書くとですね、自分はどうなんだって
言われちゃうんですが、読み手としての我儘贅沢さと書き手としての貧相さは別もんと思って聞き流してください)
1読み手として次の作品も期待してますーー。
>ゼッケンさん
さあ、ねえ、渋い大人になんかなっちゃったら詩書いてないかもですよ、、、
全部お返事できないんで、ごめんなさい、、また機会があったら懲りずによろしくお願いします。。
「人間は負けたら終わりなのではない。辞めたら終わりなのだ。」
リチャード・ニクソン (第37代アメリカ大統領)
また懲りずに挑戦します。リベンジ。
首を洗(ryゴメン
>>649書きました。
選者はよく知らないけど◆CeJ6D/I4qEで。
693 :
まんこ└将軍 ◆UQRl.WeFEk :2007/03/27(火) 23:12:55 ID:gGkLVSAH
>>661 「空々しい」のを書きました、まんこ将軍です。
酷評宣言が出されていたので、それをいかにはね返すか、つまり酷評しようとすると火傷を負う
ようなものを書いてやれ、というイタズラ心で書いてみました。えへへ。
しかし俺のだけじゃなくて全体的に酷評じゃないんだもんなあ、がっかり。うそ。
伝説の評価人、というか私が唯一この板で尊敬する酷田評吉ばりの宣言とのギャップに、逆に
私は返り討ちにあった気分であります。
まあ、一発アイデアものですが、「?」の独り言部分を全部消すと、それはそれで一個のポエム
みたいになっているのを目指したんですけどね、即興ではこれが限界です。
最初の「青い空が」と最後の「青い空が」は同じのようで違う、みたいな意味ももっと伝えられたら
なあ、と。つまり試行錯誤を経たあとのシンプルな「言葉」は最初から語彙不足でシンプルなだけの
ものとは違うんだ、みたいな。あー、今読み返すとこれ、アイデアいいよなあ、なんて誰も言わない
と俺が自分で言ったりして。往生際悪くてすいません。でへへ。
リーフレインさん、お疲れ様でした。他の参加者のも面白い作品揃ってて楽しめました。
そんで、なんだ、天才高校生、審査楽しみにしてるよ。
アルバムの1曲目、なかなかよかったぞ。
>>690 もしかしてIDがLEAFなんちゃらの人か
>>692 やだ。
よく知らないけど、って何だタコ。んな形容必要あんのかよ
むしろへりくだる方の立場だろ。
俺自身も認めたチャンプから頼まれたのであるのならばまだしも、
お前のような元構造などという、今は構造ですらなく、そもそも構造の存在も危うい
初対面のコテにだな、偉そうに頼まれてくれねばならんのだ。
つーことでその辺の共産主義的な名無しにでも指名しとけ。
最近◆CeJ6D/I4qEにアンダーバーと同じ匂いを感じ始めた件について
ついでにナナシーが明らかに詩板から逃げた某コテである件について
ギムレットだろ?
本人は違うって言ってるけど、間接的にね。
>>694 イエスイエス
そのせつはどうも、、、ご無沙汰してます。あ、そういえば、天才スレのレス削除お願いしておいたらいいと思うよ、、、
1月に選者さん されたばかりだけど、もう一回いかがですか?ちょっと楽しみなので、是非。
(元構造氏はシュールレアリズムスレのお人でっせ、、)
んじゃ雨森通氏にやってもらうか。
ほいほい。
せっかくのご指名だしとにかく暇なんで受けます。(という理由は不純ですかね。
あんまり自信はないですがとにかく真面目にやってみます。
ということでよろしく。
お題とかはあとで考えて告知します。
ということで、
お題 「家族」
投稿期間は1週間 4/6(金)いっぱいまで
審査期間はてきとー
名なし投稿
一人一作。他スレ既出も可。
正直ヘタレですが
自分なりに一生懸命見さしていただきます。
はたらくおじさん、はたらくおじさん、
こぉんにーちーはー
やぁ! クラさんだよ
ぼくが小学生の頃、
現在ではバブルと呼ばれるようになった好景気のまだ始まる前、
オイルショックはすでに過去のものになった頃、
学校ではときどきテレビ授業というものがあった
その時間はみなでNHK教育放送の番組を見る
みな、できるかな が好きだった
ゴン太くんは不器用でいつもおねえさんにしかられていた
のっぽさんはなんでもできた どんな紙でもまっすぐに折れる
しかし、今日は社会科だった
はたらくおじさんという番組に出てくるクラさんは若い男の人で
いつでも出てくると最初にまず、やぁ! クラさんだよ、と言う
そのとき片手を挙げ、中指と薬指だけが折り曲げられている
今日はねぇ、八百屋さんの働いているところをみんなで見るよ
あ、八百屋さんがあそこにあるよ! みんなで行ってみよう!
ぼくが何か言う前に
後ろの席で声があがった
あれー!? あれってアマモリんちだろ?
アマモリ青果店
テレビだと看板の文字はうすよごれて見えた
今朝も家を出るときに見たかどうかなんていちいち憶えていない
こんにちはぁ!
いらっしゃいませ
やけに気取った返事があり、あきらかに困り顔になったクラさんの前に登場したのは
タキシードを着た父だった
あのー、ここは八百屋さんじゃないんですか? そうですよね
質問ではなく、確認の付加疑問文だったが
父はクラさんを裏切った
なんてことを言うんだ、ここはスーパーマーケットですよ
八百屋なんかじゃありませんよ、八百屋なんかじゃ、そんな安っぽいものじゃないんですよ
なに言ってるんだ、八百屋だなんて、失敬だ、八百屋だなんて
クラさんは画面の外にいるぼくらには見えない誰かに助けを求めた
かまわず、父がハクサイやナスビの入った段ボール箱の並んだ棚越しに
店の奥に声をかける
おーい、マリリン出ておいで
わぁお!
金髪のかつらと白いイブニングドレスを身につけた母が出てきた
うちのどこかに両親はあんなものを隠し持っていたのだろうか
ワイフのマリリンです
はぁい、わたしマリリンよぅ、みんなよろしくねー、わぁお
アマモリ君ってハーフだったんだね
隣の席の、ぼくに気のある女子が言った
そんなわけはなく、女の子はいつだってぼくを発狂させようとする
トオルー! 見てるかー?
トオルちゃーん、わぁお
父と母が唐突に画面の中からぼくに手を振る
ぼくは硬直しており、にぎりしめられたこぶしの中がやたら熱い
この日がぼくの長い反抗期の初日になった
あ、逃げる! おい、マリリン、カメラ、カメラ押さえろ
これからおれはタップダンスやるんだ
カメラの前でタップを踏むんだ
昔、おれは浅草で修行してたんだから
思いのほか、器用にタップを踏みはじめた父の横で
母とクラさんがとっくみあっている
かつらがずり落ち、ドレスのすそがめくれ上がり、
母の尻は垂れてなどいなかった
気づいた母があわててドレスのすそを両手で押さえ
マリリンモンローのポーズを決める
拍手した中年の担任に殺意が湧いたことをぼくは覚えている
このときの母はかつらが落ちて金髪ではなかったが
たしかにマリリンモンローのようだった
ほら、うまいだろ? こうだ、ほら! ほら!
おれは本当は舞台の芸人になりたかったんだ
八百屋の店先で父はタップを踏んだ
母はマリリンモンローになった
クラさんは突き抜けた笑顔だった
やぁ! クラさんだよ
隣の女の子が言った
本当にすてきなお父さんとお母さんね
いまならすなおにうんと頷けるだろうが
このときはどう答えたか忘れてしまった
彼女に悪態のひとつもついてしまったかもしれない
これで昔の話は終わりだけれど
あとでいっしょに母さんにきいてみよう
彼女はもうおぼえていないかもしれないけれど
おまえも答えを知りたがってはいなさそうだけれど
「一般家庭」
一般家庭は幸福の象徴
当たり前に4人家族
当たり前に日曜日が休み
当たり前に食事がでで
当たり前に家族団欒
マッチ売りの少女を見て
可哀相だと言える
その裏に
自分じゃなくてよかったなんて
ひねくれた考えはない
俺は羨ましいだけじゃなく
そうしたやつらを妬み ひがみ
社会のせいにする
家族は罵倒か抑圧
トゲ 鎖 地雷は不発だったりないところにあったり
とにかく感情的な気分屋
いないふり
みないふり
自分を忘れるくらい
気持ちを消しさって
自分も相手も消えてなくなれと願っている
俺がマッチ売りの少女なら
靴を盗み パンを盗み
高貴な心なんていらない
大酒飲みの親父に向かって
生きてく術を教えてやるよ
そのまえに
家族
殺しに行かなきゃ
705 :
名前はいらない:2007/04/04(水) 01:45:41 ID:4wWJTPUi
「静かなるマタキチ」
マタキチ
へい
お前にこの軟膏を預ける
これはなんですかいの
これで奴らのタマ取ってこい
ああそのための軟膏ですかい
そうだ そのための軟膏じゃけん 大事に使え
しかしオヤジ こんな大事な軟膏を
いや、いいんだ
へぇそうでっか
マタキチは軟膏を手に
奴らの事務所へひた走る
塗ったるぞゴルァ
マタキチ マタキチよう
首尾よく軟膏を使えたならば
若頭にしてやろう
わしらはファミリイじゃけんのう
マタキチは軟膏玉となり
奴らの事務所へ殴り込む
お勤めご苦労さんです
マタキチはその言葉を聞きながら
昨年死んだオヤジのありし日の顔を思い出し
軟膏をにぎりしめた
にゅるっと出た軟膏を
頭に塗り付けながら
わしらファミリイじゃけんのう
そう静かにつぶやいた
706 :
リーフレイン:2007/04/05(木) 21:19:19 ID:9bTAYGHJ
あまもりさん、お願いです、〆切りを伸ばしてくださいーーー、
お願いしますお願いしますお願いしますお願いしますーー
あい。
じゃあ三日だけ期限延長しましょう。
締め切りは4/9(月)いっぱい迄とします。
708 :
リーフレイン:2007/04/05(木) 23:01:05 ID:9bTAYGHJ
>>707 わがままいってすいません。。。ありがとうございます。(m○m)
709 :
名前はいらない:2007/04/06(金) 12:27:11 ID:DP0IVaBn
確かに今日の時点で3作品しかないしな
「孤独な惑星」
当たり前の事だけど
僕は君じゃないし あなたは私じゃない
馬鹿みたいに笑い転げた時なんかにはおもわず
気持ちが通じ合ったような錯覚をしてしまいそうだけど
所詮他人同士のじゃれ合い 伸ばした指の先にあるのは空気
内側が透けて見えそうな程感情豊かな笑顔にも
薄くて確かな肌色の隔たり
例えるなら僕らなんて 暗い宇宙を彷徨う惑星同士
接近したり離れたり 太陽系を造ったり銀河に組み込まれたり
だけど宿命的な孤独を抱えた同士 見た目以上に距離は遠い
燃え尽きる果ての未来まで 変わらず独りぼっちさ
覚悟は出来ている そういうものだと割り切っているんだ
自分でなければ他人だろ
それが例え家族だって
遺伝子という繋がりは確かにちょっとばかり特別だけどさ
ちょっとばかり特別な他人 それが家族さ
呪いみたいな両親の遺伝も努力次第で品種改良できたし
同じ種同じ土壌で育った妹とはそろそろ通訳が欲しくなって来た
似ている だけどやっぱり他人 そして別人 それが家族さ
だけど大人と言われる領域に足を踏み入れて
子供を立派な他人に育て上げる苦労が少しずつ分かってきたんだ
それは自分の肉体をごっそり誰かに分け与えるようなエネルギーが必要で
僕なら想像するだけで気が滅入っちゃうね
きっと両親にとって僕は ちょっとどころでなく特別な他人なんだろうなと考えたら
僕も両親がちょっとどころでなく特別な他人に思えてきた
体の真ん中で独立した心臓が温かく確かなリズムを刻んでいる
ぼんやりしていたら妹が勝手に付けっ放しのテレビのチャンネルを変えてしまった
見てたんだけどな、という僕に挑戦的なな笑みの妹
このむかつきもただの他人には到底抱かない類のものだな、まったく
孤独な宇宙に星が生まれ消えていく
意味のある距離で互いに作用し合いながら
燃え尽きる時まで意味のある輝きを放ち続ける
「兄弟」
遡れば12年ほど前か
傾斜にすれば30度ぐらい?
兄からそんな言葉を投げかけられた
「このタコ!
お前なんか橋の下で拾ってきタコなんじゃ!」
そうわれて嬉しくなったのを覚えている
「そうか!ぼくはタコからへんしんしているんだ!
そうだよ!かんせつもぐにゅぐにゅまがるし、ぼくはタコなんだ!」
振り返ればうやむやで
画像にすれば1万画素ぐらい?
障子は穴だらけ
きっとそんな言葉は単なる嫉妬で
母親を独占していた弟がどうにも悔しかったと言っていた
3つ離れた兄だった
いつも喧嘩の種になってた扇風機は昨夏引退を表明した
独占しようと首を無理矢理止めていたら回らなくなり
最後には息絶え絶え回っていた
あの頃の兄弟 二人部屋
甦ればまた兄と
子供のように喧嘩をしたい?
扇風機は首を振らない
712 :
名前はいらない:2007/04/08(日) 07:48:22 ID:3AMAJZOt
『ルパン三世の背中』
うっかり逆方向の快速列車に乗ってしまったり
足の小指をイヤというほどタンスの角にぶつけたり
外出直前どこを探しても財布がみつからない
そんな時
母の背中を思い出す
ぼくと弟がびりびりに破いたふすま
散らかしっぱなしのおもちゃ
ひっくりかえった昭和40年代のわが家で
仕舞いそこなったコタツに頬杖をついて
若かった母はひとり14インチの白黒テレビで
毎週欠かさず『ルパン三世』をみていた
結婚してすぐに北海道から九州へ移り住んだ
まもなく年子の男の子を二人もうけた
いくら掃除しても
カビとゴキブリとカマドウマは家に侵入してきた
母は無言で『ルパン三世』をみている
ワルサーP38が火をふいて
敵を撃った
「おかあちゃん」ぼくは母に訊く
「あれはいい人?悪い人?」
母は迷ったふうで
「ルパン三世は悪い人」「銭形警部はいい人」
それはマジンガーやウルトラとはまるでちがった展開で
三歳だったぼくはとまどいを隠せなかった
「どうしていい人が負けちゃうの?」
母が何と答えたかは覚えていない
ぼくたち幼い兄弟は他愛ない悪さをくりかえして
母によく怒られたりぶたれたり外に追いだされたりした
しかし「めし抜き」は一回たりとなかった
どんな状況でも三度のめしには必ずありついた
プチ虐待ともいうべきそんな抑圧の日々を
楽しく生きてきた昭和40年代
ほどなくわが家のテレビはカラーになり
『ルパン三世』は華やかな色で 真っ赤なジャケットで
ブラウン管に再登場した
たとえば納豆にソースをかけてしまったり
買ってきた小説がちっとも面白くなかったり
午前0時というのに たあくんが全然寝てくれない
そんな時
ぼくは思い出さずにいられない
白黒テレビのくすんだ『ルパン三世』を
軽い絶望に満ちた母の背中を
713 :
砂原に:2007/04/08(日) 08:06:01 ID:p386JlKU
砂原を歩いていると、人間の手が蠢いていたので、掘り出した
父だった
父はこんなところに埋まっていたのだ
途中から誰かがわかったので、指先でなでるように、焦って掘り出した
息をしていた
父とはもう語ることはなかったので、
一緒に砂原に座っていることにした
陽がさんさんと照り
風が砂を運び
遠くの空をなにかが飛び去って
足元で虫が這い
父は横に座っていた
風が夜を運び
砂が湿り気をおび、
夕焼けの赤いベールが閉じられていって
父は横に座っていた
長い、長い夜が
一息一息の呼吸をルーペで覗き込むような細密さで
私と父に刻印を刻む
父は ただ横に座っていた
白い朝を迎えるころに
私はもう一度父の上に砂をもり
父の手をたった一度だけ握り締めてから
家へ帰った
714 :
『流れ星』:2007/04/08(日) 12:56:54 ID:ZirUtoxk
ずっとずっと旅してきた 落ちた枝を剣にして背の高い草を切ったり空き缶をサッカーボールがわりにしてドリブルしたり
日がどっぷり暮れるまで走りまわった 走らなければ消えてしまう気がして不安だったんだ 夕日が沈み闇が顔を出す頃 秘密の場所に隠してある懐中電灯を持って家に向かう
光りが伸びては消え伸びては消えそれはまるで流れ星のようだった
抱きしめてくれる暖かさが欲しかった 頭をさわってくれる柔らかい掌を求めた みんなの当たり前が 僕には信じられないような幸せに見えた
「心配したんだから!!!」いきなりの張り手に 目から流れ星が見えた
「心配したんだから……」いつものように抱きしめられながら頭を撫でてもらった あぁ幸せだ 当たり前になる前のほんの一時を楽しむ また僕は幸せを欲するだろう 母の頬から伝う一筋の流れ星は 僕の頭のてっぺんではじけて消えた
幸せでありますように
幸せでありますように
幸せでありますようにと
「兄の土」
兄は三十年
土を練り続けた
その三十年間
兄は土を練ること以外
何もしなかった
これは表現ではなく
まさに一切
何もしなかった
兄は三十年
一心不乱に
ただ土を練り続けた
その三十年
千変万化する兄の土を見て
私は大きくなった
三十年のあいだに
兄の土はひどく醜くなり
稀にこの上なく美しくなった
そして三十年経って
兄はひとつの
いびつな水差しを作り上げた
父はそれを抱えて
方々へ売り歩いたが
どこに持っていっても
値がつく事はなかった
今その水差しは
我が家の食卓に据えられている
母は嬉々として
毎朝水差しの水を替えている
そして昨日
兄はまた土を練り始めた
やはりそれ以外の事は
一切何もせず
ただ一心不乱に
兄は土を練っている
私は兄の土を見ている
次の三十年のあいだ
千変万化する
その土を
>>715 選者が雨森氏のコンペに
雨森氏の作品を出す理由は?
本人ならアレだが。
もー716さんもいけずなひと。
今はそっとしといてあげてください・・お願い。
棺おけガタガタ引きずって
やたらと空のひろがる荒野
まだ埋められんがな
ときどき蓋がひらいて父が言うんよ
「あんたおおきに」
泣きたあなるわ
母が顔みせたら棺おけすかさず岩にぶつけるんじゃ
あいつには出てきてほしないけん
みぃはいまでも「ちくわくれ」と鳴きよるね
あんたはもう食べれんのんよ
わたしの家族の二人と一匹
居間のつまった棺おけ引きずり
まだ埋められんがな
頬のえくぼは父ゆずり
いっつも笑とったらええ皺になるんじゃろか
きつい瞳は母ゆずり
般若の顔真似できてもうれしないけん
菩薩顔をめざしとるけん
猫バカ一代みぃのせい
ほやけど
わたしにとっての猫はみぃだけじゃけん
ほかの猫にそそぐ愛情はないんよね はは
棺おけガタガタ
荒野にガタガタ
空よ
もうとじてくれてもええんじゃけど
なんてな
父が好きだったけん
春の日だまりみたいで好きだったけん
「あんたおおきに」が聞きとおて
まだ埋められんでよわっとるんよ
『デパートの屋上は』
デパートの屋上はいつだってそう
青いベンチが二三放られているだけで
ソフトクリーム売りなんかいやしない
そのうえパンダはもはや灰色おばけ
催し物はヒーロー戦隊じゃあなく
参加者ふたりのドッジボール大会
散々こねくり回した駄々
ボールにして
僕バーサスお父さん
ああしかし
僕の負けは目に見えている
ボールはアドバルーンなみに大きくて
とてもじゃないけど僕には投げられない
それでも容赦ないのがお父さん
デパートの屋上はいつだってそう
誰かが塗りつぶした空を
見上げなけりゃならないことに
嬉しくなるのさ
720 :
名前はいらない:2007/04/10(火) 00:09:38 ID:kc80UHM2
>701-703 昔の話
>704 一般家庭
>705 静かなるマタキチ
>710 孤独な惑星
>711 兄弟
>712 ルパン三世の背中
>713 砂原に
>714 流れ星
>715 兄の土
>718 棺おけ荒野に引きずって
>719 デパートの屋上は
何れ劣らぬ力作ぞろひ 11作品揃いました 雨森さん、宜しくお願いします
721 :
アマモリトオル ◆yjVBsR9W2A :2007/04/10(火) 00:20:13 ID:vELxq4mR
720さんありがとう。
それじゃあ審査期間に入りますので
数日お待ちください・・
701-703 昔の話
非常に困った詩でした。
読むのにもかなり時間をかけたし、その分苦しんだ。
さて、本編を俯瞰してみるとこの詩は
「アマモリ青果店」の両親とその息子「トオル」くんを中心線にした
表と裏の二重構造になっていると思われます。
表ではいささか奇矯な両親がモニターの向こうの息子に対して
精一杯のパフォーマンス、いうなれば不器用な愛情表現をしている光景。
この表ではお題である「家族」に沿っているわけです。建前とも言えますか。
そして裏では両親という役を借りた書き手が繰り出す
アマモリトオル、つまり俺への不器用な愛情表現w
からかいの成分も充分あるけども陰湿さは感じなかった。
この両面をシンメトリのように描ける書き手はかなり力のある人だと思う。
しかも主人公の独白がいちいち俺の抱いた心情と一致する。
読み手がどんな印象を抱くか予測して書いてる、いけず者ですな。
裏を見ずに表だけ眺めれば、
この詩は面白いが少し冗長で今一つ盛り上がりに欠ける作品だと思う。
細部の設定も活かしきれてるとは言えない。
でもこの詩は表裏一体で、アマモリトオルに読ませるために書かれた詩。
意地悪な詩だった、最後まで虚心に読めずに七転八倒させられたましたよ。
でも何度も何度も繰り返し読むうち
タップを踊りモンローの物真似をするトオルくんの両親が鮮やかになって
俺は涼やかなエールを受け取った気になりました。
最後まで虚心にはなれないけれど、良い詩だと思います。
>>704 「一般家庭」
家庭に対する憧れと妬み、話者の家庭への苦しみ・憎悪が見られる作品。
俯瞰して見ると、一方は一般家庭と非一般家庭出身者の話者を
アンデルセン童話のマッチ売りの少女を小道具にして対立させている。
もう一方の見方は、タイトルの「一般家庭」を見て思ったんですが、
本編の一連・二連は話者の家族の感慨であり、
話者はその自分の家族に対して妬みと隔絶感を持っている。という見方。
家庭の中にえこひいき・差別があるが、表向きには「一般」である家庭とか。
まあそんなことを想起しました。
でもどちらにしても言葉のパワー不足が眼につきます。
苦しい辛いむかつく、家族を殺そう、と思うなら
その凶気に読み手を巻き込むくらいの気概とパワーが要ると思うんですよね。
残念ながらそのどちらも俺は感じなかった。
>>705 「静かなるマタキチ」
Vシネヤクザもののような風景の上に軟膏というシュールが光ります。
オヤジとマタキチの絆である軟膏を手にマタキチは殴りこみ(塗りこみか)
をかけ、そして出所後にオヤジを偲んで軟膏を握りしめる。
ちょっとしたグルーヴ感があって小気味よさを覚えた一篇でしたが
残念ながら物語に深さがなく、いささか物足りなさを感じました。
鉄砲玉を軟膏玉としたのは面白い。「塗ったるぞゴルァ」もワロタ。
それに軟膏によって暴力性を全く見せない点も滑稽で好感が持てる。
でもこの軟膏、最後までちょっと奇を衒った小道具の枠に
収まったままなんですよね。必然性を感じないんです。
ボディシャンプーでも浣腸でもよかったんちゃうかと。
ここは軟膏でないと!というような見せ場が欲しかったですね。
それとオヤジとマタキチのやりとりがあっさりしすぎていて
彼等の言う「ファミリイじゃけんのう」が生きてないです。
軟膏を介した彼等の固い絆を描ければラストで軟膏を頭に塗る
マタキチの姿も際立っていたと思います。
今朝はここまでにさしてください。
続きは今晩か明日にでも。
じゃあまたぼちぼちやります。
>>710 「孤独な惑星」
ぱっと見て書きなれてるなと感じました。
文章にソツがないし、終始無難に描けて上手さも感じる。
全体的にシャープに纏めてある。
さて本編を俯瞰してみると
人間関係、家族を宇宙の星になぞらえ他人と見てクールに突き放し
しかし時を経て親という存在に敬意を抱き再び家族に熱を抱く。
最後にもう一度宇宙へと視線を向け、そこに意味と輝きを見る。
終わりはさわやかであり、あざやかです。
言いたい事は分かるし、整えられてもいる。
なかなか良い詩だと思います。
しかしここで意地悪く言わせてもらうなら
全編クールさの漂う詩なんですが
感情の起伏が今ひとつなだらかでドンと突出してくるものがない。
もう一歩踏み込みが欲しい、とも見ます。
四連目で家族を他人と割り切って冷めていた話者は
家族に対して心情の変化を見せる。
だがそこに至るには「大人と言われる領域に足を踏み入れて」
だけではこの冷えは補えないと思う。もうワンステップ入れて
話者の明確な変化を描くべきだったかな。
それと終始自分以外の他者への距離感を感じる詩なんで
四連ではもう一歩家族に近寄って欲しかった。
一部突き上がるような強い熱みたいなものがあればなあと思うんです。
>>711 「兄弟」
読んでみて惜しいなー、と思う作品でした。
十二年前の、喧嘩ばかりだった兄弟関係への
今だからこそ思える郷愁と愛情を描いた詩なんですが、
前半部分が後半部分に上手いこと連結しきれていないように思えました。
前半ではやはりきっちり兄弟に喧嘩をさせて
後半部分に説得力を持たせる方法が良かったように思う。
「傾斜にすれば30度ぐらい?」「画像にすれば1万画素ぐらい? 」も
表現的に成功しているとは思えないし、
突飛過ぎて文章からここだけが浮き上がってしまっていように感じます。
平易に描く方が良かったかな。
前半結構突付いてしまいましたが、しかし後半部分が光ります。
壊れて首の回らない扇風機、この雄弁さ。
俺も兄弟を持つ身だからよくわかります、すぐに昔の風景を思い浮かべてしまった。
風を取り合って扇風機の首をボキボキ言わせるんだよね。
宇宙人の真似とかしたりさ。
最後の「扇風機は首を振らない」というのも良い。
素直に言葉にできない話者の照れと兄弟愛を感じて微笑ましいです。
総括して見ると、後半部分が光るだけに
やっぱりうーん惜しいなあと思います。
壊れた扇風機がこれだけ強いのだから
扇風機をもっと中心に据えて描いても良かったんじゃないかなあ。
>>712 「ルパン三世の背中」
成人し家庭を持った話者が振り返る
昭和40年代の家庭の風景。
白黒TVでルパン三世を見る母親。
プチ虐待・抑圧という強い言葉を使いながら
そこに陰惨さは見えてこず、子供の陽気さと相対する
母親の苛立ち、行き詰まり感がぽつぽつと描かれています。
深い味わいをもつ、良い詩だと思います。
本編では話者の母親の、苛立たしい現実を細かに並べ、
母の周囲に読み手の目を向けさせることで
遠まわしに母の辛さや苛立ちを描いています。
ここに母本人の言動は少ない。
この母は苛立ったり怒ったりしないんですね。
話者の回想では怒られたりぶたれたりと書かれますが
母がこの詩のなかで直接感情を露わにすることはない。
一連と七連で話者自らがどうにもならなずに苛立つような
そんなシチュエーションを並べて
そんな時は母の背中を思い出す、として
やっと「ああ、もう」というような
どうにもならない母親の苛立ち、というか行き詰まり感が
ぼんやりと浮き出てくるような仕掛けになっています。
白黒テレビがカラーになりルパンも華やかな色で再登場した、という下りに
この家庭にもなにかしらの変調があっただな、読めます。
ここで過去の家庭と現在の話者の間に一旦距離が置かれ、
話者の、一種のノスタルジーのような心情が滲みます。
この詩をもう一度眺めてみると、やはり話者も母親も、
何一つ心情を吐露するようことはしていない点が目に付きます。
そうなるとタイトルである「ルパン三世の背中」は
本文を補足する意味で重要性を増します。
悪人でありながら善人でもあり、
そのキャラクターから皆に親しまれるルパン三世を母親になぞらえる。
この詩から書き手の複雑な心情が見え隠れするような気がします。
>>713 砂原に
乾いた筆致でふとした父との再会と別れを描いています。
これもまた深い味わいのある良い詩です。
父との再会という情景でありながら眼を引くのは
この詩全体にうっすらと緊張感が漂っていること。
肉親の情とか絆とかいった柔和さをあまり表に出してないんですね。
「父とはもう語ることはなかったので」
という所からも、何かかしら尋常ならぬ親子関係ではなかったのかな
と思わせるものがあります。
それとこの再会が話者の意図したものではないという点も注目します。
「父はこんなところに埋まっていたのだ」
こんなところに、という点で何か日常風景のある所で
思わぬかたちで父を再発見したのだな、と読めます。
そしてその父と話者は語ることもなく夜を明かす。
その夜の間に思わぬかたちで再会した父を
なにか理解しようというような話者の心の動きを行間に感じます。
夜が明けて最後に話者は一度だけ父の手をにぎってから父をまた埋葬する。
ここで一点父親への理解、そして愛が光る。良い場面です。
せっかく再会した父に砂をかぶせてしまうのは
またいつか日常の風景で唐突に会えるからだ、とそう俺は思いました。
だから家に帰る。日常に帰るのだと。
これはかなり深い読みのできる詩で、
まだ俺には全然読みきれてないような底の深さを感じました。
なんというか、うっすらと砂がかかってるようなんですよね。
書き手の意図はその向こう側にあって時々朧にゆらめくんです。
>>714 『流れ星』
えーとまず、文の三連まで改行されてない事に眼が行きます。
この長い一行が流れ星の長い残光を表している
にしても正直ちょっと読みにくかったです。
本文に力があるから普通に改行したほうが良かったかも。
母親に心配をかけ愛情を確認するための長い一人遊び。
母の涙に見る流れ星、それに願いごとをかける少年。
うん、なかなかグッとくる良い詩だと思います。
「みんなの当たり前が 僕には信じられないような幸せに見えた」
というくだりで話者の少年の家庭には何かしら事情があることが伺えます。
自分は幸せだと確認したい。それで母の愛情を求めるのですね。
それを確認して幸せをかみ締めたいと。
「当たり前になる前のほんの一時を楽しむ」とあるから
その幸せも束の間のことに過ぎないことが分かる。
いつものように、ともあるから
話者の少年はこの長い一人遊びをたびたび
繰り返しているのかもしれない。
そして恐らくこんなことはもうやめたいとも思っている。
だから話者は母の流れ星に願い事をかける。幸せでありますようにと。
幸せになれますように、ではないことから
話者の少年は自分が幸せであることを
頭では充分理解できているんでしょうね。ここも好感を持ちました。
ただちょっと気になったのは二連目。
ここは話者の寂しさと他の家庭との違いを表す重要な連ですが
ちょっとあっさり通り過ぎてやしないかな、と。
もっと掘り込んでガッチリ三連以降に連結させてほしかった、と思いました。
>>715 兄の土
俺が書いて俺が投稿した俺の詩です。
すんません。。
>>718 棺おけ荒野に引きずって
ぱっと見てこれは
>>713の「砂原に」と
好対照な詩である事が見て取れます。
「砂原に」は肉親の情を表面に見せない乾いた詩ですが
本作はこの肉親への感情を前面に出して描いています。
心のなかで整理のつかない、
深い悲しみと今は亡き家族への様々な感情
それを話者は荒野に見立てて家族の棺を引きずって歩いています。
方言が少しおかしみを感じさせますが
描かれているのは深い深い喪失感なんですね、
このギャップが良いと思います。
「まだ埋められんがな」と
話者の内部での家族の埋葬ができていないことを語り
愛憎する家族に向けそれぞれ言葉をかけ
悲しく故人を心に蘇らせようとしています。
そしてそんな話者の途方に暮れる様子を
「空よ/もうとじてくれてもええんじゃけど」と
あっさりと、でも印象づよく描いています。
ただ若干書き急いだのかな、という感触もあります。
棺のなかから登場する両親と猫の二人と一匹は
どれも割に均等に描いているんですが、
それがどれも踏み込みが浅く感じられてしまうんです。
父親のキャラクターが素敵なので、個人的には
お父さんに焦点を絞ってもっと掘り下げてくれたらなあと思いました。
しかし話者の悲しみ、喪失感を描きながら
それを読み手に強く押し付けない書き方に俺は好感を持ちました。
あっさりとしながら
読み手に深い余韻を残す良い詩だと思います。
>>719 『デパートの屋上は』
デパートのさびれた屋上で
ドッジボールで遊ぶ親子の姿。
ソフトクリーム売りもなく
パンダはもはや灰色おばけ、という点で
この屋上が、かなりさびれた
しょぼい場所である事がわかります。
ヒーロー戦隊ショーもなく
素人参加のドッジボール大会だけが催されている。
いや大会というのではなく
ただ使い古しのアドバルーンが置かれているだけで、
話者はそれを使ってドッジボールをしようと
父親にせがんでいるだけなのかもしれません。
それを引き受け、容赦なくぶつかる父親に
おかしみと愛情を感じます。
特別な遊具なんて何もいらない
ふたりで遊ぶことで二人とも満足なんですね。
ただ残念ながらこの感想は読み手から
入念に取りにいかないと得ることができなかった。
いささか詩句が掘り込み不足で微弱なんです。
最終連の視点が空に向けられるのも
ちょっと前文とのつながりが見つけられなかった。
うーん。掘り込み不足、これに尽きると思う。
さて、以上評価とも感想ともつかないものを
だらだらと書かせて頂きましたが
審査結果の発表に移りたいと思います。
候補というか俺がピックアップした詩は
>>712 「ルパン三世の背中」
>>713 砂原に
>>718 棺おけ荒野に引きずって
の3作でした。
そしてこの中から一つ選ぶとしたなら俺は
乾いた文章の下に血だけでは構成されない
ほのかな暖かさを感じまして。そこに惹かれた
>>713 砂原に を優勝としたいです。
正直知名度も自信も実力もないヘタレな選者でしたが
投稿した皆さんありがとうございました。
735 :
ゼッケン ◆ZkkenDgUE6 :2007/04/11(水) 07:11:34 ID:xydhuFBm
701-703 昔の話を書いた者です。
スレは読んでるんですが、こういう場所にアマモリさんが登場するのはめったにない機会だと思い、じゃれつきました。
とりあえず怒られずに済んでよかったです。じゃ。
>>715 兄の土
話者は兄を見ない。兄の練る土を見ている。
父は兄ではなく兄のつくった水差しを売るために奔走する。
母は兄ではなく兄のつくった水差しに嬉々として水を入れる。
兄の言葉はない。土だけを練っている。
そこには眼差しの分だけの距離がある。
736 :
やさしいあくま ◆XhCOJeVipQ :2007/04/11(水) 07:35:25 ID:heh0cob0
アマモリさん審査お疲れ様です。僕は一般家庭かきました。
なかなかいい詩がかけないです。
>>713さんチャンプおめでとう!
737 :
名前はいらない:2007/04/11(水) 08:28:36 ID:SwbqzQqt
流れ星書きました☆評価お疲れ様。
もう何もゆう事はないです。俺の詩をかなり読み込んでくれて嬉しく思いました。評価の仕方もここはいい,ここは悪いってゆう赤ペン先生的な感じですーっとアドバイスとして入って来ました。
ありがとう。
そしてチャンプおめ
738 :
リーフレイン:2007/04/11(水) 08:55:49 ID:/8iDxFzy
アマモリさんありがとうございます、本当に丁寧な評ありがとうございました。
真剣に詩にむかってくださって、拙い作品がやけにいぶし銀に光りだしたようで嬉しかったです。
(さぞ大変だったろうと、、、うう、、ちなみに知名度高いですよ、、多分)
「砂原に」書きました。苦節2年コンペスレに挑戦すること第一回から始まって数知れず、
ちぎっては投げ、投げてはちぎられ、、勝てないのになぜか選者はしていて(ウルウル)なんかこう苦労が報いられたような気が、、、(いやそれは冗談ですが)
ありがとうございました。
「兄の土」は、ただ書きたいスレに投稿されたときから読ませていただいて、ああ、いい詩だと浸っていました。ほんの少し滑稽さが潜む
家人の記述のバックに、家族の絆の力が暖かく流れています。良い事ばかりではないのだけれど、それでも家族で、家族が大事なのだと
しみじみ感じました。家族というお題を出されたときは、「あの詩を書いた直後だからかな」って思っていたりします。
選者さん作品なんで選考外だったんですが、あれが普通に並んでたらあっさり負けたなと(w
砂原は、父への追慕なんですが、まあ、あたしにとって家族と死とはすでに隣り合わせで、まだ自分が先にとは
感じないんですが、一人、また一人と送っていく年代に入っています。だからまあ死者との対話みたいなもんをイメージにおいていました。
(て、このへんは楽屋裏ですね、、蛇足でした。。)
次の選者様ですが、ちょと交渉にいってきます。。
アマモリさん、どうもありがとうございました。
『ルパン三世の背中』を書きました。
って言うか、少し反則です。今まで書き溜めた旧作のなかから、ぼくのベスト
テンに入るくらい出来のいいヤツを選んで投稿しました。
丁寧なご講評、ありがとうございました。うれしいです。
「心情の吐露をしない」という指摘、恐れ入りました。
というのも、これはぼくの詩の重要な特徴のひとつと考えているからです。
一作品読んだだけで看破する眼力に敬服しました。さすがだね。
ども。皆さんレスポンスありがとう。
正直このスレの歴代の選者の人と比べられるとかなり俺は見劣りするだろうなあと。
自分は批評の技術も特別詩や芸術の造詣もない身なので
なるだけ真面目に見る事だけはしようと心がけてはみましたが
それが功を奏したかは分かりません、
物足りなさを感じられた方もおられるかもしれませんが、ご容赦ください。
>>735 ゼッケンさん
じゃれつきましたかw こちらとしては猛獣にじゃれつかれた気分でして、
かなり振り回されてしまいました。
自分の器のちっささと見る目のなさをかみ締めた作品でした。
「兄の土」の感想ありがとうございます。ドキっとしました。
詳しくは述べませんが自分の兄はちょっと普通と違って
通常のコミュニケーションがとりづらい人でして、
それが距離感として表れてしまったのかもしれません。
>>736 やさしいあくまさん
ありがとうございます。
評価中ではちょっときつい書き方をしてしまい
気分を害されたかもしれません。どうかご容赦ください。
>>737 名無しさん
ありがとうございます。
そう言って頂けてほっとしております。
>>738 リーフレインさん
ありがとうございます。そして優勝おめでとうございます。
「兄の土」の感想、そう受け取っていただいて嬉しく思います。
>>739 Canopusさん
ありがとうございます。恐縮です。
カノープスさんに誉めて頂けただけで
このコンペの選者を引き受けて良かったと思えますです。
741 :
リーフレイン:2007/04/11(水) 19:51:58 ID:/8iDxFzy
次の選者様ですが、 構造氏に是非お願いしたく、、
どうでしょうか?
アマモリトオルさん、審査お疲れ様です
『デパートの屋上は』を書きました
ご指摘のとおりだと思います。
完全なる推敲不足です。ごめんなさい。
タイトルと数行だけ出来てて、締め切り際に書き上げました
不甲斐ない。
ありがとうございました。
アマモリトオルさん、審査お疲れさまでした。
『棺おけ荒野に〜』書きました。
丁寧かつ的確な評に、私の順番がくるのをとても楽しみにしていました。
踏み込み不足とのこと。うん、確かに。←こらこら
きれいにまとめる方向に意識が向かってたようです。反省。
ありがとうございました。
リーフレインさん、おめでとうございます。
一読、胸に浸みました。
動作のひとつひとつから、肉親ならではの情愛が感じられました。
744 :
ボトルネック ◆P350za861k :2007/04/12(木) 02:34:51 ID:5TmYggbw
ありがとうございました。
「静かなるタメキチ」を書きました。
ものすごく的確というか痛いところをつかれました(笑)
745 :
ボトルネック ◆P350za861k :2007/04/12(木) 02:36:33 ID:5TmYggbw
ていうか「マタキチ」じゃんよorz
自分の作品のタイトル間違えてどうする俺orz
まあそんだけそこが浅いというか考えなしに(ry
「孤独な惑星」を書きました。
今回は酷評をされた訳じゃないのに正直こたえましたね。
的確な評というのはどんな言葉よりもストレートに骨身に染みるのだなぁ。
最近スランプと言うか、コンペ自体もここ数回最終選考にも残れていないんですけど、それ以前に自分の作品を好きになれなくなってきていまして。
何でか分からないけど、以前には自分にあったものが多少技術が身に付く事でいつの間にか失われてしまったような気がしていました。
簡単な事だったんですね。
自分が本当に言いたい事、叫びたい事が込められていないから。
体裁を整える事や表現の捻り方に意識を向けているうちに、書き出す時にはあった核が埋没してしまったり酷い時には消え失せてしまっていたんですね。
アマモリトオルさんの感じた作品の熱量の足りなさは単純に私自身の熱量の足りなさでしょう。
指先で詩は書けないし書いてはいけない。
アマモリトオルさんは初めて御目に掛かりましたが(私は普段は名無しだけどそれでも)、
評といい作品といい着飾らない凄みを感じる方ですね。
フィッツジェラルドがヘミングウェイに言った言葉
「蝶は美しい。しかし、牡牛は存在する」を思い出します。(牡牛=ヘミングウェイ、蝶=フィッツジェラルド)
またどこかで御目に掛かりたいですね。
どうもありがとうございました。
今回の最終候補三作はどれも素晴らしく良かったです。
ああよかった。
いつ「おまえここ読んでねえよゴルァ!」って言われるかと
ドキドキガクブルしておりました。
鞭さん あぶくさん ボトルネックさん ナナシーさん
どうもありがとう。読み手として書き手として、すごく勉強になりましたです。拝。
ところでナナシーさんの感慨は一書き手としてすごく共感する所が多いです。
自分も「おまえこの言い回しが使いたいだけちゃうんか」って思うことが多いので。
指先で詩は書けないし書いてはいけないという言、俺の身に沁みました。
最後にもう一度。良い経験をさせて頂きました、投稿者の皆さんありがとう!
ひきうけさせていただきます。
生つめがはがれてタイピングがきついので
先着10までとさせていただきたいです。
題:努力+友情+勝利
投稿期間:先着10作。10集まらない場合4/25まで。
採点期間:4/27までには終わらせたい。
749 :
リーフレイン:2007/04/12(木) 20:49:16 ID:lARjoqfW
>>748 お引き受けくださってありがとうございます。
ではでは、募集あげーー
「ジャンプ」
目の前に河が流れている
水かさのある
急流の河だ
茶色く薄汚れた水だ
河の向こうで誰かが見ている
手を振るわけでもなく
ただこちらを見ている
顔がない
河の向こうで鶯が鳴いている
森では桃色の花もちらほらと見える
河の向こうには
春が来ている
なんとなく向こうへ行きたいので
橋を探そうとした
川上へ行こうと
急流の河沿いを
のぼろうとした
川上の方を眺めると
河なんて流れてなかった
目の前には河なんてなかった
ちょっとだけ深い
溝があるだけだった
納得して
それを認めた
それを認めたあとで
家に帰った
そして少しだけ眠った
751 :
ボトルネック*゚Д゚) ◆necK/fzEYA :2007/04/13(金) 00:56:59 ID:nWurU5l2
「ウラガエリ」
何もやる気がしない
仕事もないし
ハロワにさえ行ってない
友達いない
飯もろくに食ってない
いつも静かに引き込もってる
そんな俺は
毎週毎週
親に買ってもらった少年漫画雑誌を読んで
自分と正反対の奴らの動向をうかがう
ところが
最近じゃこいつらも
だんだん俺に似てきたというか
裡にこもるようになって
観賞にたえるどころか
まるで鏡だ
俺の欲望に忠実に
そして醜く
漫画に憧れて
ダンクシュートに明け暮れた
高校時代が懐かしい
今じゃ俺は
やる気のない安西先生というか
試合終了だよ人生も
燃え尽きるほどヒートするよな
そんな興味も薄れて
元気を分けてもらう
そんなことも出来ずに
ただひたすら
ひたすらでもなく
既に消えた三本柱を
ふと思うのみ
752 :
俺達の空:2007/04/13(金) 20:01:57 ID:doh2G66a
なあ兄弟
俺達が餓鬼の頃に見ていた空は
もっと広かったんじゃないか
仮面ライダーになりたかった頃の空は光っていて
野球選手になりたかった頃の空は青く澄んでいた
ネクタイ姿をぼんやり思い浮かべていた時も
雲はゆっくり流れていた
なあ兄弟
俺達がやっていることは
今でも遊びと言えるんだろうか
スロ屋の情報を集め具合の良さそうな店を選び
少しでも勝てそうな台に座る為に
こうやって毎朝開店前に列んでいるなんて
俺達にどうしてもできない勤め人のようじゃないか
生活を買っているみたいじゃないか
なあ兄弟
誰を楽しませるでなく
何も生まず
ただ金を出しその金の見返りに一日を費やし
ひたすらスロットのレバーを叩く
そんな俺達は結構真面目なんじゃないか
我慢強いんじゃないか
お前がどこではぐれたのか
俺がどこではぐれたのか
街は喧騒に沈み
友の行方はもうわからない
餓鬼の頃の俺が人影のない校庭で
少年ジャンプの浮かぶ空とキャッチボールをしている
やっぱりからっぽを抱えているんだろうお前と俺とに通う風は
泣きたいような地鳴りの響きだ
運否天賦が飯の種
今日は勝てるだろうか
お前の読みは当たるだろうか
俺は一寸先の闇を臆せず進んでいけるだろうか
太陽がやけに薄っぺらく
砂粒がこぼれていく感覚で見上げる空
もうすぐ店のドアが開き
俺達は俺達の椅子を求めて走りだすんだけれど
なあ兄弟
俺達はレバーを叩く為に生まれてきたんだろうか
俺達の世界はあんな小さな筐に納まっているんだろうか
確率の茫漠に脳を焼かれて掴む勝利に
どんな言葉を刻めばいいんだろうか
753 :
引き金をひく時:2007/04/20(金) 03:14:19 ID:8ywo2uDQ
仕事終わりの夜道はやけに暗い 車のライトなど遥か彼方までは届くわけもなく
自分が走っているわけでもないのにやたらと息がきれる
いつも通り上手くやった 何もミスはないはずだ
練りに練った計画 些細なほつれも許されない
ライトが照らす先に小さな黒い物が見えた
確かめるとそれは子犬で まだ息がある
急がなくては しかしこのままほうっておくのか
子犬と自分が照らし合わさる 俺は些細な計画の変更を決定した
この時間病院は開いていない 必死で看病した
死なせるものか まだ未来があるのだから
死なせるものか まだ運命は開けてるのだから
朝になり病院へ走る 命に別状はないようだ
ほっと一安心した
小さなざらついた舌が俺の頬を舐めた
生き抜いた味はどうだ?
外は綺麗な赤い光で照らされている 死に神に人間の迎えなどいらない 覚悟は出来ている
運命は開けている 決断するのはいつも自分なのだから
言い訳はきかない
一時の負けなど 長い人生の中ではちっぽけなもの
一時の勝ち 短い人生の中で輝く刹那
たった一つの善行で数々の悪行を洗い流したい訳ではない
蛛の糸に期待した訳でもない
偽善だと笑うならばそれもかまわない
変わりに生きろなどと大層な恩を着せる覚えもない
ただ助けたかった
彼方まで見える運命が手招きする 幕の降ろしかたは人それぞれなのだから
走馬灯に後悔は写らない
754 :
名前はいらない:2007/04/23(月) 20:02:49 ID:unBbjmrT
「努力 友情 勝利」
汗と泥で暑苦しい圧力ナベの中で
勘違いなスープがぐつぐつと煮立って
煮立って、煮立ってぐつぐつと
どろどろに溶けて混ざり合って、まだらの模様に
こげついた勇気と信念がふちにこびりつき
「すげーめんどくせーやってらんねー死ねよー」
という文字がナベの表面に浮きあがったころ
ナベの中から一本のナイフが
腐乱したチーズの香りとともに生まれた
ナイフがこれから成すのは
この題を出した作者を刺し殺すことである
聞け!勝利の割れがねの高らかに鳴る音を
755 :
名前はいらない:2007/04/26(木) 02:41:35 ID:Pr7R2uj8
四月二十五日を過ぎてます
756 :
名前はいらない:2007/04/26(木) 04:00:17 ID:nDe6K52N
>>750 少年ジャンプから、死の川岸のジャンプ、ジャンプは飛び降り自殺にも繋がる
とはいえただの春の川岸というだけだったかもしれない。
実際、川岸の向こうにいくことを断念して家に帰るその背中には哀愁というものすらない
絶望的な背中についても読後感がマジでゼロの倦怠に満ちた内容だ。
ただこれは貶してるわけじゃないぞ。
むしろそのゼロさ具合を買うわけだ
>>751 ということで、これは750と比較すると超わかりやすい。ハローワークということですら
ある種絵空の絶望でしかない感覚がある。なぞらえてジョジョの一節を出すだけの
余裕もあるし、それに微妙なてらいもない。高校時代から遠く離れてるという感覚は
実はないわけで。実際20代のそれなりにやってる奴の絶望にすぎねえのよね。
>>752 >お前がどこではぐれたのか
>俺がどこではぐれたのか
>街は喧騒に沈み
>友の行方はもうわからない
>餓鬼の頃の俺が人影のない校庭で
>少年ジャンプの浮かぶ空とキャッチボールをしている
>やっぱりからっぽを抱えているんだろうお前と俺とに通う風は
>泣きたいような地鳴りの響きだ
この部分をかなり評価したい。
その他は、詩としては相当余計な部分が多いと、いうか
この部分で終わらせても良かったとは思う。
最後にもってきたものもスケールではこの連に負けてる
というかまあぶっちゃけパチンコに染まりきってる部分で
決断としてできなかったんだろうなw
敢えてその弱みが逆に言えばナイスな点なんだよねこれは。
以下は明日。
>>753 完璧な計画が情を出したばかりに台無し、ってのは鷲は舞い降りたのアレかね。
ぶっちゃけていうとストーリーの粗筋でしかないな。
それが詩として成立するにはどういう条件が必要とするかというと
同人誌作家(26)コミケ落選回数五回が僕の考えた超人的な感じで
中野ブロードウェイで購入したドイツ国防軍フィギュアをブンコブンコ
振り回しながら超アツく語って、回りの人たちがドン引きみたいな
シチュエーションがほしいんだな。当然Tシャツはオナニーの後に
精液がついたのをそのままにしているやつ。
>>754 心情そのままだろうな。題に対面した人間の心理ということで高く評価したい。
でも自分のこころに負けてはだめ
お人形さんのセルロイドの瞳は憎悪の炎を浴びた瞬間に
白く濁って輝きををうしなってしまうの
じゃああたしの歌を聞いて頂戴
そして優勝作品ですが,非常に迷いました(ノ_・。)
2作品までは絞り込んだのですが迷いました(苦笑)
いろいろ悩んだ結果…
>>752 「俺達の空」 を優勝とさせて下さい(*_ _)ペコリ
おめでとうございます♪参加した皆様,お疲れ様でした(>_<。)
審査はまだまだ慣れないので良い勉強になりました!
元構造さん、審査お疲れさまでした。
『俺達の空』書きました。タイトルはあるスロ台のもじりです。ウケ狙いです。
はい、ここからして詩を書くスタンスではありませんです。←反省の色ナシ
スロットなんか触った事もない人にも雰囲気が伝わるよーにと心掛けたので、《〜響きだ》で終わる発想はまったく浮かびませんでした。
あんなものしないに越した事はありません。
気づけば十時間近く打っていた、なんてゆー日の空しさと言ったら。涙。
ありがとうございました。
761 :
あぶく ◆OPBYKkBBNQ :2007/04/28(土) 22:02:27 ID:mZ2oawd9
次回の選者さんなんですけど、宮坂純さんにお願いしたいのですが。
なんつか、私にとっては、これぞ詩!というものを書かれる方。
評価してもらうのが怖いような気もするのですが、どうでしょうか?
お返事お待ちしてます。
おつかれサンクス
763 :
リーフ:2007/04/29(日) 20:01:19 ID:yNUnqjjB
構造さん、いい評ありがとうございました。お疲れ様です。
>>760 まさかあの詩をあぶくさんが書いたとは・・・。((;゚Д゚))ガクガクブルブル
一読した時に「こいつ相当打ち込んでるな」と自分と同じ匂いを感じましたが、
それにしても上手すぎるので、スロッターにもこれだけ書ける奴がいるんだなぁと感心していましたが・・・。
『あんた、なにもんだ!』
(↑きっとあぶくさんには分かるはずw)
臨場感どころか忌まわしい記憶が脳裏を走馬灯のように過ぎるほどのリアリティーでした。
(いや、トータルでは大幅プラスなんだけど対価として失った時間を考えるのが怖い・・・)
でも最近のスロットはつまらなくて素敵。全然打つ気がしない。
このままどんどんつまらなくなればいい。
765 :
ボトルネック ◆P350za861k :2007/05/02(水) 00:45:40 ID:cSu7ynbZ
評価サンクースー
766 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/02(水) 12:11:17 ID:44MFONol
>>761 あぶくさん、ご指名ありがとうございます。
緊張しますが、引き受けさせていただきますね〜
○お題:抒情詩では無い詩。
(※細かい説明はレスの最後に)
○投稿作品数:10作品で締め切り
○採点期間:締め切り後、遅くても一週間以内には 採点しようと思います。
○投稿の条件:お1人様1作品まで。固定ハンドル表示は任意でかまいません。
※お題についての詳細
●叙景詩と言い切ってしまうと、範囲が狭まり過ぎてしまうのですが、
分かりにくければ、叙景詩と思って頂いてかまいません。
●風景画や、音楽を表現するように、
「私」の心情に重きを置かない作品をのぞみます。
(一人称を使ってはいけないわけではありません)
●参考までに、抒情詩とは……
“詩人個人の主観的な感情や思想を表現し、自らの内面的な世界を読者に伝える詩”
おおざっぱですが。
●お題は、あまり厳しく考えなくていいです。
以上、質問など受け付けます〜
767 :
リーフレイン:2007/05/02(水) 19:35:53 ID:1oRrKcgR
遠足日和
雷が鳴った
雨がひとしきり降ったら遠足日和
道端の公衆トイレ前
黄色い帽子のリュックサックの群れ
カラフルなお弁当とお弁当とお弁当とおにぎりと水筒と
得意げな顔
笑う、笑う、笑って、笑った おひさま
あ、次回始まってますが、ちょこっと失礼します。
宮坂純さん、快くお引き受けいただきありがとうございます。
むぅ、叙景詩。新鮮なテーマだ。
審査楽しみに待ってま〜す。
ナナシーさん、よもや私がスロプロなどと思ってはいないでしょーなー(笑)。
今回のお題を三つとも含む題材を考えていたところ、ポンと浮かんだのがあれだったんですよねー。
スロ雑誌での知識とカイジテイストで書きました。
一応、ノリ打ちしてる設定ですね。
リアリティーがあったのは、作者がスロでそーとー痛い目に遭ってきたからでしょーか。はは。
ナナシーさんが強者スロッターとはなんか意外です。
賭け事になど決して手を出さないイメージだったもので(笑)。
ほめていただき嬉しかったです。
ありがとうございました。
「桜花姫」
桟橋なぞる八重桜
二重三重恋咲いて
桜の客は通い詰め
咲き誇る刻過ぎ候
風が遊ぼう通りすぎ
花びらみんなもってって
一緒に踊ってくれるけど
気まぐれ風は途中まで
空へ運んで落っことす
花びら落ちて水の上
色香匂うる桃色の
ふわり流るる桜川
浮かばれぬなら浮かべ浮かべと
酒の肴に眺めてやろう
すいません。↑
>>769余計な語句が入りました。訂正させてください。m(._.)m
「桜花姫」
桟橋なぞる八重桜
二重三重恋咲いて
桜の客は通い詰め
咲き誇る刻過ぎ候
風が遊ぼう通りすぎ
花びらみんなもってって
一緒に踊ってくれるけど
気まぐれ風は途中まで
空へ運んで落っことす
花びら落ちて水の上
色香匂うる桃色の
ふわり流るる桜川
浮かべ浮かべと
酒の肴に眺めてやろう
772 :
やさしいあくま ◆XhCOJeVipQ :2007/05/07(月) 23:06:06 ID:3fh2wRk+
あげまする。
773 :
名前はいらない:2007/05/12(土) 19:48:18 ID:aRkdfNQv
あげる
774 :
ゼッケン ◆ZkkenDgUE6 :2007/05/13(日) 08:23:01 ID:A6jJgBli
「ほおづえ」
雑然と並んだテーブルの上には
一本ずつケチャップの壜が置かれている
誰かが触れなければ落ちて割れることはない
そのときまで
ケチャップの壜は
置かれたその場所に立っている
夜明け前の食堂は
静かなのにちがいない そして
やはりケチャップの壜が立っているにちがいない
775 :
アマモリトオル ◆yjVBsR9W2A :2007/05/15(火) 12:28:15 ID:b25aHIQs
「果物籠」
光は偏在しようと企みながら
時間の窪みに足を滑らせている
驕慢な赤みを増す林檎
星を虜にした白と黒の葡萄
それらの上で大きな葡萄の葉
そこには何ひとつ隠しごとがない
野放図な欲動には既に堕落が
果実には虫が涌き始め
山吹の果物籠の上には
左手から快楽の陽が射し
右手からは腐敗という陰が
忍び寄る
776 :
ボトルネック*゚Д゚) ◆necK/fzEYA :2007/05/18(金) 00:29:02 ID:7ezdWumK
「サクラノユキ(幕間)」
地に積もる花びら
日にさらされる子の声
国道を走る自動車
車椅子の老女
桃色が重なる歩道
笑いあい走る小学生
機械音と声の融合
顔に纏わりつく小さな虫
誰もいない神社
舞いおちる花びら
群れる池の鯉
陰る桜の木
場面転換
「 そして 」
太陽が その弧を
描き終えようとしている
隣り合わせに ブランコ漕ぐ公園
そして、
もしも
もしも?
たとえば
たとえば?
言葉と文字で、なにもかもを
表し、伝え合うことができるなら、
ぼくたちには、それ以外
何も、することは、 なくなる、、 んだろう?
… …… ………。
それぞれに
つけた勢いで
通り雨の残していった
水溜り
跳び越え
まだ ぬかるんでいる
着地点上の バランス
そして、
震える空気
耳の後ろ 首筋に
触れる季節の感覚
振り返れば、
君と
君の向こう側へ落ちてゆく
だんだんに細い
弧の光
揺れたまま
ブランコ ふたつ
そしてぼくが、
その目が その耳が
当たり前に
見えること 聴こえることに どんなにか
感謝するのを 忘れていたこと。
或る日
交わした言葉、そして
交わす沈黙
「島」
甘い匂いの煙を吐き出して
薄曇りの日没を見ていた
あんなに綺麗だとあなたが言い続けた島の日没は
切れ切れの雲のまにまに
未舗装の道路の片端
薄くぬれた緋色の砂浜
買いもしない行商の男に煙草をせびり
陽が沈む
ふらリふらりと歩いていく3本足の犬
涙焼けした目じりにごろごろと目やにを付けたまま
ゆるりと歩いていく
神々に奉げる音楽が遠くから聞える
この島の全てを
薄く覗いた日没が見ている
毛束に泥と垢をこびり付けたまま
犬は歩き続ける
紫と薄紅の錯覚の中
どんなに美しくても
どんなに醜くても
同じ場所で腹を空かせる
永い夜
青いささやき
泥土たち
列をなし
水をみがく
きらきらと
なめくじの軌跡のよう
それも不透明のまま
知らせ届く
さいごのひとつぶ
耳の裏へ縮こまる
いびつな始季の告げ
ゆらん ひらん ゆら ひら りん
流るる子ら
油色のわめき声
その手で描く
爪の鋭角
牙の頂
毛むくじゃらに
絡まった
ニッケル銅
肉のにおい
夕ぐれに乗って
やがてゆっくりと
ちかくとおいせかいへ
ゆらう ひらう ゆら ひら てん
腐植土への還りみち
枯れ草の群れ
灰いろの
冷たい毛布はだけ
木々たち
さわさわと
ほそい腕伸ばし
鳥たち微かに
震えたまま
こごえた鉄線から
しずかに羽ひろげ
せかいに朝を迎えにゆく
ゆらら ひらら ゆう ひう りん
背を這う酸の雨つぶ
いつわりの雲の手ひき
鉄塔からやってくる
ひとつ
またひとつ
瞳のせかい
やさしくこわれ
喉がつむぐ本能
本能をつぐむ
それはかつて
心臓と呼んでいたもの
少女がつけた名に
こわれたものたち
つぎつぎに彷徨う
知らないままのほうがよかった?
通り雨
舌をだし
虹をつくれず
退化と進化と感情を
おいて消える
ゆらひら ひらんゆ ゆひらり てん
朝そこまで来て
雀たち少女を探しにゆき
かたばみの群れ
子守唄をうたい
欅たち光合成をいよいよ始める
まばゆさに潜んでいた鉄柵たち
とおくでぼんやりと
足並みをそろえ始め
ひとつ
またひとつ
瞳のせかい
やさしくこわれ
こたえを乞うため
また喉をつむぐと
鋭くとがった鉄塔
こだま返す術すら知らず
やわらかな風
ねじ曲げて
ゆらりら ひらんり ゆひらら りん
おおきな雨つぶ
抱えながら
いまにも千切れそうな
まだ名もない下草が
ちかくとおいせかいへ
根付こうと
青々と萌えている
781 :
名前はいらない:2007/05/22(火) 21:45:41 ID:KCZAKo8U
あと ふたつ?!アゲぇぇぇ
『清潔な食卓』
コピー用紙がテーブルクロス
折り目一つついてない
ひけらかす白は汚れを許さず
それら全てを四角に収める
席に着いた数独者
皿の上で血が固まる
怯えるものは去り
グラウンドゼロの机上にて
未だ闘い続けるナイフとフォーク
匙を投げた数独者
戦線離脱のスプーンは
ゆるやかな放物線を描き
音を立てるか立てないかして
絶対の床に吸い込まれていった
783 :
春:2007/05/23(水) 01:18:17 ID:7lcPpk5N
玄関を出れば
深緑の山麓に
ぽつりぽつりと
萌黄 若草 白緑の浮きたつ円陣
光をうけて
淡くやわらに
清浄なるかな青い空
艶然と浮かぶか白い雲
銀杯花の甘い香りが大気にとけて
ゆらゆらら
どこもかしこも
うとうと春が寝そべっている
784 :
名前はいらない:2007/05/23(水) 21:43:00 ID:6z9WRfWH
はい、10作品揃いましたよぅ。
>>767 遠足日和
>>771 「桜花姫」
>>774 「ほおづえ」
>>775 「果物籠」
>>776 「サクラノユキ(幕間)」
>>777 「 そして 」
>>778 「島」
>>779-780 名づけられた春
>>782 『清潔な食卓』
>>783 春
|l/^ヽ‐-,'"'; lli iill|
/ 〃ヽ゛ zZ .iill|
;'"゙゙"''"゛゙゙`";:y-―, iill|
; "゙゙"''"゛゙゙`" "r‐' .iill|
ミ ∀ - ミ iill|
. .,./) (\ ミ .iill|
.'" ,:;゙ /^ヽo.iill| 審査よろしくですー。
∩~ ;"∩ ;ミ ;'"゙",,.~,;_.ll|
∪,,._ ;.,∪ _,,.;.彡 ;"´∀` /) ヽ... ○) ○)
~"゙~ ~"゙^~ ゙u ;゙ (ヽ|/) (ヽ|/)
゙ヾ .,"",,,,.,"",,,," .,"",,,,.,"",,, ゙u゙"゙u .,"" "" ,,.,.,"",,,,.,
.,"",,,,.,",,,," ゙ヾ .,"",,,,.,"",,,," .,"",,,,.,"",,,,゙ヾ.,"",,,,.,
785 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/24(木) 01:38:20 ID:j/S1S7rg
>>784さん、まとめありがとうございます。
投稿して下さった方、
明日あたり〜月曜くらいまでには評文つけますのでお待ちくださいな。
わくわく宮坂
786 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 19:27:23 ID:mjFBBMou
お題:抒情詩では無い詩。投稿どうもありがとうございました。
まず、前置きです。
●お題は、あまり厳しく考えなくていいです。
……と、言ってはいましたが、やっぱり、それなりには言及してしまうかも。
ごめんなさい。叙景詩愛。ラブアンドピース。
>>767 リーフレイン氏 「遠足日和」
作者の表現したかった雰囲気なり情景が、かなり正確に読み手に伝わる作品だと思います。
>雨がひとしきり降ったら遠足日和
このフレーズですとか、
>カラフルなお弁当とお弁当とお弁当とおにぎりと水筒と
>得意げな顔
この改行具合なんかも、読んでいてすわりが良いです。
ある意味当たり前ですが、今回のお題では個の感情面を排除することになる為、
抒情詩に比べて、より言葉の選び方や、語数に配慮する必要が出てきます。
(もちろん、私見であって、抒情詩をないがしろにしたい訳ではないです。)
なので、こういう巧さはポイント高いです。さりげないですし。
ただ、全体として、リーフさんもメール欄に書いている通り……
叙景詩?かな? なんです。
雷雨だったにもかかわらず「遠足日和」になり、
「黄色い帽子のリュックサックの群れ」があり、
「カラフルなお弁当」などが群れの数だけある。
子供たちは「得意げ」てあり、「おひさま」までも笑っている。
確かに、文字だけでは情景描写のみが存在しているのですが、
上記を見る作者、そして読者の目の温かさ、微笑ましいと思う感情が、
叙景詩としては働きすぎてしまっていると、思います。
(リーフレイン氏本人も、分かっている可能性が高いと思いますが)
787 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 19:28:37 ID:mjFBBMou
「抒情詩でない作品」という選択肢の中に、ものがたりや、人物描写など、
ひとつの「型」に嵌めて行く選択肢がありますね。
型に嵌まるのは嫌いですが、型に嵌めるのは大好きです。
それが、こちら。
>>771 「桜花姫」
桜や花、香りなどといった傾向の語句を、これでもかと使っています。
これでもかと使っているのが、
「姫」と名の付く古風で大仰な雰囲気のこの作品の場合、効果的だと思います。
問題は二連目にあります。
>風が遊ぼう通りすぎ
>花びらみんなもってって
>一緒に踊ってくれるけど
>気まぐれ風は途中まで
>空へ運んで落っことす
この連は、詩全体の中で浮いています。
>もってって
>一緒に踊ってくれるけど
>落っことす
では、急に軽い、現代的な雰囲気になってしまうと同時に、
>踊って“くれる”“けど”
という表現では、ある個人の感情が見えてしまい、ふさわしくないです。
二連目以外は、語句の選び方とは対照的にさらりとしていて、
この作品としても、今回のお題としてもいいと思います。
>浮かべ浮かべと
>酒の肴に眺めてやろう
リズムを崩した、この結びがいいですねえ。
謡曲やなんかが、チャン、、チャン。
と、終わる時のような、まさにこの詩に似合った感じで。
>>774 ゼッケン◆◆ZkkenDgUE6氏 「ほおづえ」
あんまり突っ込みどころがないんですよ、この作品。どうしようw
なんでもない言葉を巧く調整して書いている所が良いです。
言い回し、改行等も……私の感覚と一致しているのでしょうか、完璧です。
ただ、ややもすると、あるひとつの“景色”から、“叙情”を引き出している作品、
と、取れなくもないです。こうなると逆転現象が起きてしまいます。
叙景詩の皮をかぶった抒情詩。ということです。
でも、そうだと言い切ることもちょっとできないな……。すみません、難しいです。
788 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 19:31:19 ID:mjFBBMou
>>775 アマモリトオル◆yjVBsR9W2A氏 「果物籠」
>光は偏在しようと企みながら
>驕慢な赤み
>そこには何ひとつ隠しごとがない
>野放図な欲動には既に堕落が
>快楽の陽が射し
>腐敗という陰が
上記のような表現は、一見感情的に見えるかもしれません。
ですがその逆で、第三者的な見方で書いてあると思います。
なぜかといえば、「赤み」が「驕慢」なのは、
「林檎」が作者や、詩に登場するなにかに対してではなく、
言うならば、“設定されている(もしくはアマモリトオル氏が設定した)こと”だからです。
視点は「光」や「林檎」「葡萄」など、さまざまに切り替わりますが、
それは一人のカメラマンが切り替えているだけ、とでも言いましょうか。
内容的に結構色々な事を書いているにもかかわらず、
どの視点に対しても(物質的な分量でなく)平等なところが素晴らしいです。
感情の重さが平等であることは、叙景詩には重要なことです。
しかも、詩の内容としても、
果物籠の中の物には、どれにでも必ず腐敗が忍び寄るわけで、その点でも平等。
……この辺りは深読みかもしれませんが、様式美を感じます。
さらに様式美といえば、「果物籠」そのものが、昔から描かれ続けてきた見本のようなもので、
その辺りが素敵ですねー。
「驕慢な赤み」「星を虜に」「欲動」「堕落」「快楽」など、
やや大仰な表現が濫用されている気がしますが、
個人的な好みの問題もありますので、触れるだけにします。
789 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 19:32:36 ID:mjFBBMou
>>776 ボトルネック*゚Д゚)◆necK/fzEYA氏 「サクラノユキ(幕間)」
ソネット(4・4・6、または4・4・4・2で脚韻を踏む)の形式に近い作りで綺麗ですね。
意図してやっているんでしょうか?
また、
>機械音と声の融合
ここ以外はすべて、修飾+何か という形(良い言い方が思いつかないけど)で書かれています。
かなり淡白で、切り取った景色を次々置いて行く、という作業を見ているようです。
と、言うことで“幕間”な訳なんでしょう、きっと。
>>775 アマモリトオル氏の作品がカメラマン、または監督のものだとすれば、
この作品は大道具さんのもの、という感じ。(“幕間”だから当たり前か。)
で、その意図・アイディアは分かりますし、良いと思うのですが、
なにぶん切り貼り、箇条書きの感が強すぎて……。
もう少し踏み込んだ表現を使って、舞台美術さん、に、なって欲しいです。
(職業的に、舞台美術>>>>>>>>>>>大道具って意味じゃないですよ。)
ここからは、ソネットを狙って書いていると仮定した場合ですが……。
その場合、
>場面転換
の、前か後ろに1行足りない、ということになります。
で、この足りないところが良いです。
一場面が終わった余韻、もしくは場面転換のゴソゴソや暗転を感じさせるからです。
>>777 「 そして 」
クエスチョンマークや句読点、三点リーダなどを過剰に使うのは、あまり良いとは思わないのですが、
この作品には、それらを使うことで出る誤魔化し的な感じが、それほどないように思いました。
多分、全体的な文字の詰まり方や、配置の効果が良いのだと思います。
詩のテーマも、とても良いと思うのですが、完全に抒情詩だと思います。
冒頭、そして特に後半に、風景描写がたくさんありますが、
それはあくまで、抒情詩の中の“情景”部分であるように思います。
>●「私」の心情に重きを置かない作品をのぞみます。 という希望もありましたし、
お題のことを考えると、うーん、沿っているとは言えないでしょう。
790 :
みやさか:2007/05/28(月) 19:38:09 ID:mjFBBMou
ちょい休憩。。
791 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 21:00:20 ID:mjFBBMou
>>778 「島」
タイトルと詩全体の兼ね合いが、センス良いと思います。
景色をしっかりと描き出そうとしているのが伝わりますし、
「緋色」「神々」など、密度が濃かったり、比較的重い言葉や表現を、
他の言葉が中和しており、バランスがうまく取れていると思います。
残念なのが、やはりまだ一歩、「私」の心象風景から抜け出せていないことです。
>あんなに綺麗だとあなたが言い続けた島の日没は
この一文を使っていながら、そこまでリリックになっていない事から力量を感じますが、
例えば、「あなた」を「恋人」とするだけでも違うと思います。
選ぶ語彙によっても、より一人称的か、そうでないかの距離が変わってきますので。
また、
>紫と薄紅の錯覚の中
>どんなに美しくても
>どんなに醜くても
>同じ場所で腹を空かせる
この最後の一連が、この詩を第三者的視点から引き離す、ダメ押しになってしまっています。
内容的には、この連、好きなのですが……。
792 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 21:02:04 ID:mjFBBMou
>>779 「名づけられた春」
言葉の選び方や組み合わせなど、好きです。
例えばなのですが、
>きらきらと →きれいなものに使われることが多い
>なめくじの軌跡 →普通好かれるものではない
このような組み合わせでの表現は、きれいになりすぎたり、暗くなりすぎたりするのを防ぎます。
こういう所が、とっても巧いと思います。個性的でありながら、バランスいいです。
しかも、“詩においてはすべての語彙が等価である”という考えに基づいた場合にも、
素晴らしいことだと思います。
>油色のわめき声
>灰いろの
>冷たい毛布はだけ
>喉がつむぐ本能
>通り雨
>舌をだし
>虹をつくれず
この辺りも好きです。
>ゆらん ひらん ゆら ひら りん
個人的に、このような表現が苦手なせいもあるのでしょうが、
やや規則的に使われ過ぎている節があるので、
もう少しこのフレーズを抜く部分があっても良いのかもしれません。
しかし、配分の話を置いておけば、
叙景と、物語と、雰囲気そのものの表現の入り混じったこの作品の、ある意味一番の肝でしょう。
>知らないままのほうがよかった?
これだけは別の表現に変えたほうがいいと思います。
ここだけが、俗に使った場合の“ポエム”っぽい、妙な雰囲気を出してしまっていますので。
793 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 21:18:07 ID:mjFBBMou
>>782 『清潔な食卓』
目の付け所、素敵だと思います。
視点と表現も、ハイスピードカメラを用いた感じといいますか、雰囲気は、すごくあります。
>未だ闘い続けるナイフとフォーク
>匙を投げた数独者
>戦線離脱のスプーンは
この部分、「匙を投げた」と「スプーン」の掛けが、洒落てて良いですねー。かなり好きです。
「・・・ナイフとフォーク」から繋がってるのもまた良い。
気になるのは、言葉の扱いが、なんとなくたどたどしいところ。
具体的には、下記の辺り。
>ひけらかす白は汚れを許さず
>未だ闘い続けるナイフとフォーク
>音を立てるか立てないかして
>未だ闘い続けるナイフとフォーク
これを例に取ると、“未だ”はなくても“未だ”な感じは“闘い「続ける」”で、十分伝わります。
“闘い続けるナイフとフォーク”
または、“未だ闘うナイフとフォーク”
どうしても両方入れたければ、“未だに闘いを続けるナイフとフォーク” が、スマートでしょう。
794 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 21:36:39 ID:mjFBBMou
>>783 「春」
正統派なテーマで良いですね〜。
少しバランスが良くないです。
>艶然と浮かぶか白い雲
これは、少し唐突に感じます。
「清浄」な「青い空」に浮かぶ「白い雲」を「艶然と」と形容したければ、
もっとそれ以前に雲についての具体的な描写が必要です。
他の部分も、あいまい過ぎる、雰囲気だけの言葉が少し多いかも知れません。
>深緑の山麓に
>光をうけて
>淡くやわらに
>ゆらゆらら
>どこもかしこも
>うとうと春が寝そべっている
このあたりに、あと一つか二つ、「銀杯花」のように具体的な単語を含ませると、良いかも。
「光」ならば、光についての語彙(寒光・暁光・斜光・秋光などなど)や、
自然や科学の分野に、どんな光があるか調べてみる、など、色々方法があります。
>萌黄 若草 白緑の浮きたつ円陣
ここの一文は逆に、具体性のないことで、ありのまま美しく配置された色彩を、
こちらに感じさせてくれていて、素敵だと思います。
795 :
宮坂純 ◆Q.YLOO/tn6 :2007/05/28(月) 22:02:19 ID:mjFBBMou
以上、好き勝手書きましたが、評文終わりです。
・・・・・・はあ、はあ。
まずですね、弱輩者のわたくしが、かなーり偉そうに色々書きましたこと、お許しください。
お題がお題、感情に任せて書ける種のものではなかったので、(いや、私が出したお題ですが)
評文もそれに倣い、平等に、なるべく冷ために、書いてみました。
「じゃ、おめえは書けんのか!?」と言われたら、返す言葉も……ございます。
「すべての料理評論家が料理の天才とは限らない」
厳しくしたって訳ではありませんが、叙景詩など、第三者的目線の詩が好きな為、辛口になっているかも知れません。
詩板だけでなく、それこそロマン主義の時代になってから現代まで、
世の中には個に重きをおいた抒情詩ばかりが溢れ返っています。
抒情詩は好きです。
でも、「わたくしは、わたくしが、わたくしの……わたくしわたくし」な詩ばかりでは、
胸焼けしてしまいますし、感情の共感を得たり、得なかったりするばかりで、
美や芸術の共有を本当にすることは、難しい、という側面があると思います。
語彙にも、人の感覚にも、外界にも平等で冷静、普遍的な、「抒情詩以外の詩」が読みたくて、
このようなお題を出してしまいました。
ほんの出来心です。許してね。
かたいこと、やわらかいこと、色々言いましたが、
今回の優勝者は ―ドラムロール―
>>775 「果物籠」 アマモリトオル◆yjVBsR9W2A氏 です!
おめでとうございます!
アマモリさんの投稿は早めでしたが、これを読んだとき、すでに優勝候補の匂いを醸し出していました。
すごく楽しかったです♪
アマモリトオルさん、次の選者さんを指名してくださいねー。
宮坂純さん評価お疲れ様です。
僕は「桜花姫」書きました。投稿早めだったので、とても楽しみに待っていました。
他の評も読みましたが、よく見てるなあと。ご指摘の通りです。
推敲後は完璧だと思って投稿するんですが、まだまだですね。
これじゃあいつまでたっても優勝できないス。
アマモリトオルさんおめでとう!
宮坂純さん、丁寧な審査お疲れ&ありがとうございました。
「春」書きました。
もー手持ちの語彙の少なさに涙です。よよ。
常々、宮坂さんの詩の鋭敏な視点、語彙選択の妙に感嘆していたので、その制作過程の一端が垣間見えたような評文が読めて幸せでした。
本読め、私。
アマモリトオルさん、優勝おめでとうございます。
ども、『清潔な食卓』書きました。
途中まで書いて、これは叙景詩なのかどうなのかわからなくなってしまい
そうこうしているうちに残り二作品。
ああヤヴェと思いつつ仕上げました。
詰めが甘いなあと自分でも思いました。
審査ありがとうございます。
アマモリトオルさん、おめでとうございます。
(以前のトリップをなくしてしまったので、違うトリップで失礼します)
宮坂さん、審査お疲れ様&ありがとうございました。
>●お題は、あまり厳しく考えなくていいです。
という、その一言に甘えて、「 そして 」 を書きました。
他意はありません(笑)。なので、
お題に沿えない出来なのは、もっともで、恥ずかしい限りです。
抒情詩ではない詩というお題を出されて、叙景詩その他についても
色々と考えるとても良い機会になりました。評の全てもスゴク勉強
になりました。
他の方が書かれる作品を、「抒情的でないこと」をこんなに意識ながら
何度も読んだのもはじめてだったかもしれません。そんな機会を与えて
くれたことにも、アリガトウです。
そして…
アマモリトオルさん、おめでとうございます!
800 :
ボトルネック*゚Д゚) ◆necK/fzEYA :2007/05/29(火) 07:44:17 ID:nnra7iLi
お疲れでした〜
ものっそい丁寧な評ありがとです〜
(*´∀`)
801 :
リーフレイン:2007/05/29(火) 20:57:18 ID:2erO26WM
宮坂さん ありがとうございました そうなんです 叙情と叙景の境目かなと思いますー
やれやれ むついです_(^^;)
アマモリさん おめでとうございます!
大変丁寧な講評を頂いて満足しています。
宮坂さん、ありがとうございました。
今回の「果物籠」はルネッサンス後期のある画家の静物画をモデルに書いたものです。
(誰の絵かバラすと俺の詩が更にへぼく見えるから教えませんヽ(`Д´)ノ)
さて次の評者ですが、、
俺はMORGEN ◆.nITGbUipI氏を指名したいと思います。
古参の人なら知っていると思いますが、氏も大変優秀な評者でございます。
去年は俺が入り浸っている「ただ書きたい」スレにて丁寧かつ的確な感想をいただきました。