好きなときに好きなだけ

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249 ◆zABAZSBt06
肺の中に少しづつ小石が積み上げられていく

息をする度にジャリジャリと音がして
不快感に空咳を繰り返す
石に冷たさに体がいつも震える
石は増えていく

声は交わしているのにに
その中に確かに混じっているのに
肺の中に小石が
言葉をジャリジャリと
肺の中ですり潰していく

満足に息も吸えないから
やがて声は言葉になる前に抜けていく
顔だけが不恰好に歪む
何も伝わらない

気が付くと何も聞こえなくなっていた
周りを見渡すと
皆青白い顔を歪めていた
虫のように蠢く彼らの口元は
笑っているように見えた
そこからは空気の漏れる音しか聞こえない

しかし何処からとも無く石の擦れる音が聞こえる

それは僕の中からでもあり
僕以外の中からでもあった

それ以外は何も無かった
250 ◆zABAZSBt06 :2007/10/17(水) 23:59:57 ID:4yhNEcBd
無い事が当たり前だった頃
僕らは指の間から宇宙端を見る事が出来た
増えていくノイズが
網膜に土気色のアクリル絵具を塗り付けていく
あの時見た真空の外の光無く響く無が
今も心の穴から入り込んでくる
そして交じっている時に見た空は
矢張り土気色をしていた

右耳から地球の端の崩れる音が放たれ
左耳に戻っていく
それは波長を変えて口から出て行く時に歪んで
光となって目の前を土気色に汚した

笑い声が聞こえない教室
皆目だけを零れ落ちそうな位に瞼を開き
黒板消しに付いたチョークの粉から世界を眺めた
黄色と白と青と赤とオレンジが入り混じり
やはり土気色をしていた

もう眼球を抉り取るべきだと
世界は一つになった
僕らはまた宇宙端を眺めた
そこには何も無かった