1 :
名前はいらない:
書きたいけれど。。。
2 :
名前はいらない:2006/02/10(金) 07:04:00 ID:MLcT5fXv
とあるネット詩人に只書くだけではいけない、といわれました。
でも、知能レベル低くてアイデアなんてありはしないので、
ひたすら只書いていたいです。
3 :
名前はいらない:2006/02/10(金) 07:07:16 ID:MLcT5fXv
夜目覚めたまま
朝になった
冷たい光に体を洗って
水道水をのみほした
カラスが鳴いている
カラスが鳴いている
4 :
名前はいらない:2006/02/10(金) 07:08:34 ID:MLcT5fXv
後ろあるいて
後ろ向きにあるいて
こんばんは
と
午前様
5 :
名前はいらない:2006/02/10(金) 07:10:31 ID:MLcT5fXv
入り口の方向へ
行くしかないと
思いながら
進みたくはない
と思いながら
行くしかないきもちでいっぱいだ
入り口の先のことなんて
あたまにはない
6 :
名前はいらない:2006/02/10(金) 07:13:32 ID:MLcT5fXv
幸が小さいのが好き
大きいと耐えられない
なんか
馬鹿みたいだ
と自分でも思う
今朝なのに
明日いいことあればいいね
なんて思ったりする
7 :
名前はいらない:2006/02/10(金) 10:16:01 ID:XP1Y6rRR
↑その気持ちわかる。
8 :
名前はいらない:2006/02/10(金) 10:31:26 ID:MLcT5fXv
5連投稿はじかれてました。サンクス
カーテンからこぼれた
陽射しに
朝一の足をむける
いっぱいにひらいた指が透けて
橙の葉脈になっている
手のひらもむける
まぶしい
白い光の中で
腕の皮膚から
黒い煙がたっていた
体温が暑い
9 :
名前はいらない:2006/02/10(金) 10:33:10 ID:MLcT5fXv
かなしい
かなしい
かなしいとなみだが
でるはずなんだけど
でない
だから
かなしいことすると
うるおっていく
10 :
名前はいらない:2006/02/10(金) 10:39:25 ID:MLcT5fXv
詩とポエムを分けて考える人いるけど
分けるなら
その人が詩人であるか否かだと思う
そう思ってしまってから
自分が詩人じゃない気がする
11 :
名前はいらない:2006/02/10(金) 10:45:14 ID:MLcT5fXv
午前がくる
午前がくる
一秒遅れで
時計の針に
追いつこう
正午までに
追いつこう
12 :
名前はいらない:2006/02/10(金) 10:53:51 ID:MLcT5fXv
青いスプーン
朝食のひずみ
めしいた老人から
スープがこぼれる
ふるえる
ふるえる
木のテーブルに
生ぬるいスープが
滲みていく
13 :
あい:2006/02/10(金) 11:00:28 ID:1KSxMcRq
「詩」が書けなくて
悩んでいる人間は
私だけじゃないんだ
「想い」を伝えたい
相手と共感したい
窓を開けて新しい風を
部屋に入れて
いい言葉を探しています
14 :
名前はいらない:2006/02/10(金) 11:01:22 ID:MLcT5fXv
「ふるえる」は「る」いらないっぽ
二の腕にインコの爪が
からみつく
インコは愛していると
腕の皮肉を噛む
痛くて甘い
15 :
名前はいらない:2006/02/10(金) 11:16:12 ID:MLcT5fXv
13>>ありがとうございます。
あいさんの言葉、呼吸してるようでした。
たぶん想いはどくんどくんしてるんだって思いました。
新しい空気ぼくも吸いに行ってきます。
小休止。
16 :
あい:2006/02/10(金) 20:26:10 ID:1KSxMcRq
こんにちは!お邪魔してます
15≫コメントありがとう
ここには面白い詩がいっぱい
縦横無尽に書かれていますね
また読ませてください
17 :
名前はいらない:2006/02/12(日) 03:06:36 ID:8eUMyfIN
>>16 サンクス
小さな幸せ
かき集めて
エクレのキャンバスに
殴り描いたら
もうどれがどれだか
わからない
18 :
名前はいらない:2006/02/12(日) 23:17:58 ID:cMCYolA8
まぶしい光が二人を照らすあの日
僕は叶わぬ恋をした
時にはいたずらな表情でちょっかいを出したり
嘘をつかれたこともあったけど
信頼してくれた優しい君の手のぬくもりを
決して今でも忘れない
激しい胸の高鳴りと
孤独に震える心が行ったり来たり
16年前から止まってしまった時計が
今力一杯秒針を動かし始める
こんな僕にも未来があると教えてくれたあの人に
感謝の気持ちと笑顔をおくりたい
19 :
名前はいらない:2006/02/13(月) 08:03:22 ID:JUGs9dE0
>>18 サンクス 詩だと思いました。
おくりたいが おくった になればいいですね。
20 :
名前はいらない:2006/02/13(月) 15:46:49 ID:oW+M8pYG
超うんこ 脱糞脱糞
超うんこ 脱糞ぷん
朝うんこ 脱糞脱糞
朝うんこ 気持ちE−
ビス○ク うんこ脱糞ぷん
朝からうんこで 脱糞ジャー邪ー
ケツの穴から尿道までよ
オレの排便構造改革
小泉首相も「感動した!」オレの脱糞
朝からうんこで 脱糞ぷん
21 :
名前はいらない:2006/02/14(火) 04:06:11 ID:OmclqB1j
>>20 用を足すのは日常よくあることだけど僕の実感はスッキリかなあ。
うんこ書いてるけど、なんかやり場のない勢いがあって、
そんで手なんか洗ってなくて。スマソ
只書いていたい気持ちが伝わりました。
22 :
名前はいらない:2006/02/14(火) 04:54:25 ID:OmclqB1j
感想ばっかだった(汗
五円玉の穴の中にも
文字がある
俺をここから出せよと
叫んでいる
穴から出たら
もう文字ではいられなくなるというのに
出したからといって
俺の言葉でないものしか出はしないというのに
23 :
名前はいらない:2006/02/14(火) 09:47:14 ID:OmclqB1j
これがぼくの詩だ
というのがないのが
ぼくの詩なのか
24 :
名前はいらない:2006/02/14(火) 13:50:01 ID:OmclqB1j
メモ 現代意識を認識していない君にはわからない。
25 :
名前はいらない:2006/02/15(水) 13:46:23 ID:Nf3o6kQG
かみさま かみさまは いるのですか
こたえてくれない
あいてまちがった
もいちど きく
ぼく ぼくは いるのですか
26 :
名前はいらない:2006/02/15(水) 16:04:48 ID:Nf3o6kQG
じぶんの心臓から文体・詩心?なんかが生まれて育っていく気がします。
それが詩にはなってなくても、詩なんだろう。
そしてそこから何でもかけるようになっていくんだろう。
そしたら感覚だけでなく現代意識だとか 知識の領域にも手が届くのかも。
27 :
名前はいらない:2006/02/15(水) 16:07:31 ID:Nf3o6kQG
おてんき
えんがわ
ひなたぼっこ
ふらふらふらふらしてまふわ
ねこたん
おしりのあなぼこ
せんこうはなび
しっぽだらーん
ふらふらふわふわしてまふわ
28 :
名前はいらない:2006/02/27(月) 00:09:13 ID:KGU/C37I
例えば 喧騒の中で野次飛ばされたり石投げられたりしても
自分は声を張り上げて歌い続ける自信がある
本当に伝えたい言葉はいつだって 音と共に口から溢れ出るから
この世界に大声で叫びたい 全身の力をフル活用して叫びたい
歌うのに疲れたって歌ってやる 喉が枯れようが裂けようが構わない
たった一つ歌い切れるなら 命なんて惜しくない
人は皆 同じ様に歌い続けている 小さな声でも ちゃんと響いている
大切な言葉はいつだって 心の中にある 歌い出される日を待っている
さあ 大声で歌おう 一人でも良い 演奏なんか要らない
月明かりがスポットライトだ 満天の星々が観客だ
夜闇に叫ぶ野犬の様に 荒々しく力強く 精一杯の声を張り上げる
いつだって歌を歌うさ 自分だけの歌
29 :
名前はいらない:2006/03/11(土) 15:57:26 ID:q9lE4zAX
うんこぉおおおおおおおおおおおおーーーーーー
さあできたぞ一行詩wwwwwwwwww
30 :
名前はいらない:2006/03/11(土) 20:41:48 ID:R5j/c+m4
すみません、文章と詩の違いって何ですか?
つまるところ詩の定義は?
31 :
名前はいらない:2006/03/11(土) 22:15:37 ID:A2Y88rfV
>>1 俺詩のことよくわかんないけど
1の詩、嫌いじゃないよ。
32 :
名前はいらない:2006/03/12(日) 01:07:39 ID:rXX7v7BQ
[芸術]って何かを考えたら
とある日に理解した
心の中の誰かに伝えたい気持ちを何かの形に残したら
それが[芸術]だってことを
言葉に残したら キャンバスに残したら
フィルムに残したら 楽に載せ踊り歌ったら
誰かがそれを見てあなたの気持ちを理解できたらその[芸術]は本物になる
言葉はただの文字の並びではなくなり
色の羅列ではなくなり
映像の記録ではなくなり
ただの体操ではなくなり
[芸術]にはすべて意味がある
それに託した表現者の思いが
あるいは言葉にすら表せない気持ちかもしれないけれど
ただこの気持ちを誰かに理解して欲しいから
この自然の美しさを それを汚す理不尽さを
人と神の描く世の理想を 絶望を
熱狂を 愛を 憎しみを 拒絶を 慈愛を 虚無を
すべてから解放されたただの快楽を
あらゆる人の思いを込めて
人が世にある限り、すべての人にテレバシーが備わらない限り
表現者は活動をやめない
33 :
名前はいらない:2006/03/23(木) 15:29:13 ID:nO3sykQw
ぁ〜 ぅん
なるほど〜
ぁっ そうか
意外だな〜
へ〜
ほうほう
なるほどね〜
ぃゃ それはないよ
34 :
名前はいらない:2006/03/32(土) 20:55:09 ID:Rkk6RnwS
何か書くためのコツとかありますか・・?
35 :
名前はいらない:2006/04/03(月) 05:04:33 ID:k0U1yNFo
ないかもしれないし あるかもしれない
コツがあると思ってる人が教えるコツを教えられてそれは詩なのかどうなのか
詩の作り方のコツなんかじゃなくって
詩を書くための心構えが大切
そんなこともあるかもね
1人で考える世界
深い深い妄想は不快となったり 感動を引き起こしたり
さまざま
36 :
万華鏡倉庫:2006/04/24(月) 10:54:35 ID:f+6C1E+D
言葉を置けば言葉が
自分が言葉であることに気付き
次の言葉を呼ぶ
37 :
万華鏡倉庫:2006/04/24(月) 11:45:22 ID:f+6C1E+D
詩とは
言葉を城のように建て
王家を措き
バルコニーに姫を立たせて
数行をもって侵略すること
38 :
万華鏡倉庫:2006/04/26(水) 04:30:12 ID:3dwo9rKn
底にいて見下ろす
頂にいて見上げる
視程を羽ばたかせて
体感で静止するうちに天体が見えてくる
39 :
万華鏡倉庫:2006/04/26(水) 04:33:16 ID:3dwo9rKn
たとえば今は惑星表面にいる
系の階層的つらなりのなかで私は
落ちながら落ちながら落ちながら落ちている
ことの均衡として
ここにいることを許される
40 :
万華鏡倉庫:2006/04/26(水) 05:10:14 ID:3dwo9rKn
私は立っている星の中心に向かって落ち
星は軌道に沿って星系のなかを落ち
星系は銀河系の回転方向に落ち
銀河系は銀河群を落ち
銀河群は銀河団を落ち
銀河団は超銀河団を落ち
超銀河団はフィラメント構造を引き摺りながら宇宙を落ち
宇宙は超宇宙の中で煮える
41 :
万華鏡倉庫:2006/05/03(水) 19:04:17 ID:S/4k0Jpa
城は庭園とともに傍らの川を流れ去り別の人の夢にさしかかる
城が隣人の夢の領域にあるうちに
指笛を鳴らしその人を起こす
夢の中にいるあいだ人の姿と想いは一致しているから
その人が夢の中からゆらりと
起き上がり覚醒するまでのしぐさがそのまま
その人が醒めて書き留める詩のかたちである
42 :
万華鏡倉庫:2006/05/04(木) 10:54:27 ID:I34+2v/F
飢えによってしか癒されない渇き
43 :
万華鏡倉庫:2006/05/04(木) 20:14:34 ID:Mf7QiCvI
言葉の背後を取る
44 :
万華鏡倉庫:2006/05/04(木) 23:58:16 ID:vYhmQbN7
詩の弱味を握る
45 :
万華鏡倉庫:2006/05/05(金) 12:56:01 ID:alP6ts+Z
心のなかを数分ごとに不規則に移り変わる季節
46 :
万華鏡倉庫:2006/05/06(土) 12:36:35 ID:AADFPqOi
降る雪のあいだを通行するための
やわらかい地図が
降る雪をかわしながら届く
地に揺れる木洩れ日から樹のかたちを逆算する
追い込み脚質のペガサスに乗り書きかけの詩を抜き去る
町内会の募金の金額が
決まっているのは疑問だが
黙って払うほうが
改正動議するより楽である
というような問題が
ひとつふたつならまだしも
降り積もると耐え難い
しかし爆発しても問題は減らない
日が暮れないのであらゆる眠りが午睡となる
夢は夜を想起し
見忘れぬうちに月を
記憶に灼き付けようとする
書くことが息をすることならば書かないでいることはできない
詩の空気がなくなって窒息するまでは
いまだかつて書かれたことがない事柄が無限に残存している
書かれようとする詩が
地平線の向こうから駆けてくる
スタミナはあるものの
足がみじかい
言葉をさがしていると言葉がさがしにきてくれる
肌のない顔が微笑む為にいっとき唇を借りて、すぐ返す
言葉に気付かれる前に
詩を書き終えたい
風の中をを漂っていたり
川の中から跳ね上がってきたり
ビルの壁に巣食っていたりする言葉を
いっぱい食べると
詩が排泄されてくる
複数の時間概念の齟齬が詩を生成する
59 :
名前はいらない:2006/05/31(水) 02:44:30 ID:mcMPzb9B
ふむふむ
思い立ったように屈伸する脳の発汗
61 :
名前はいらない:2006/06/09(金) 06:17:18 ID:mdQdHo37
「 書きたい病 」
詩を私は書きたいのだ
私は今まで詩を書いてきた
なんでもない図書館の白い角や
野良猫にペンケース
クレーン車に綿菓子
雨ときどき私
思ってなくても詩を書いた
私の手は詩を書いていた
なのに今は
私の手は ころりとペンを転がす
詩を私は書きたいのに
この手に力が入らない
私は詩を書きたいのに
ああ でも
いつからだろう
詩を私は書きたかったはずなのに
本当はそうではなくなって
私が私がと
そればかりを思うようになってしまったのは
これも必然だったのかもしれないと
いまはペンを置くことにしよう
62 :
名前はいらない:2006/06/22(木) 12:00:41 ID:Qnfn0xiT
神様は左足の親指と人差し指の間に僕の舌を挟んで歩くのだ
左眼だけを許す
汗のにおいの星から星
黄色い鼻の娘ばかり生まれる
情報が唾液を溜めて
おのが肉を構想する
生命とはつまるところ 物質による時間論である
歯に挟まった食べ物が
首の血行を促進する呪文を
弟が到着するごとに売る
69 :
名前はいらない:2006/08/24(木) 10:24:12 ID:b7pIKzW/
きいろいけむりがこめかみからたちのぼる
「ゐゐゑ」というかたちのけむりをこばむ
71 :
微塵:2006/08/30(水) 14:53:23 ID:wiuRh1NI
遊歩道を這う麦藁帽子を
風が追い越してゆく
いつからそれを
見下ろしていたのかどこから
熔け落ちてくる夏
沈むばかりの息を
寝返りで取り戻していきなりの
首筋を雪崩れて痛む
砂混じりの冬が
高空を
黒い点描となって渡る名も知らぬ鳥の
群れを読む文法を届ける
その詩集のなかからだけ
流れ出る時間のうえを
ひたひたと歩いて
広い行間に滑り込む
この贈り物の小箱のような
時間の折り畳みかたを
盗み出すために
水をたっくさん飲むと
毛穴から詩が出てくるなあと思った
書き終えた直後には
まだ詩ではない
75 :
奇し蜘蛛:2006/09/06(水) 18:08:38 ID:t/j+jdP8
野生の雨の晩飯は断る
ぶつくさ言っても炬燵
曲がる鉄筋をおかわり
荒らぶる獅子の味噌汁
末端までぽかぽか
布団はぴくぴく
その頃猿はピクニック
書かれまいとして踏ん張っている詩を
詩の権利を無視して
むりやり書く
77 :
名前はいらない:2006/09/23(土) 17:15:05 ID:hujxRWdy
「この手にその手を」
ほんとは気にする必要なんてないんだけどな
お前がどこでつまずこうが怪我をしようが、なんて話は
ちょっと段差につまずいて転んだだけだろ
ひしゃげた空き缶に手を切っただけだろ
うずくまって泣いてんじゃねーよ
俺が泣かしたみたいじゃねーか
すぐに駆け寄って助けるなんて絶対しねーぞ
大丈夫?なんて口が裂けてもいわねーよ
俺は優しいだけの男じゃねーし
いつまでそこで泣いてる気だよ
涙を拭ってくれるの待ってるつもりか つまんねぇ
とっくに痛みなんて無くなったろうが
顔をあげろよ
まだまだ先は長いだろ?
これからなんだよ。
だから、ほら
『行くぞ』
一晩ねかせて成熟させる。
果たして成熟するのは我か彼か。
78 :
沮喪:2006/10/21(土) 00:04:10 ID:+05zva8Z
鏡である笑みを詳細に圧力するにしては
倦怠である耐乏の行方
しじまに着衣との
深度を速度として
湿るまではほぼ校則
夕映えの勾配が項目数を限定する性別
79 :
名前はいらない:2006/10/22(日) 05:48:28 ID:gB19WHtH
オカエリナサイ。
コトノ葉サン
l
おl
p
い
f
j
@@
87 :
名前はいらない:2006/11/07(火) 00:50:48 ID:hlrMd+fS
ごろじやがっでええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
じねええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!
お借りし申し上げます。
ガラス器と咲く花の
見分けがつかない
卵と卵の殻
肉体と魂と
ギターを弾く女と
襞のあるベルベットの衣裳と
ブランコと
揺れる子供の……
初めに存在した奴は誰か
初めにパナマをかぶって
菜園の影に潜んで
ナイフに指を当てたのは
煙草を燻らせて
憧れを植え付けたのは
誰だっけ……
あなたと別れてから
ようやく涙が流れた
古い映画を見た時みたいに
その温かさは
内なるエネルギーの
凝集した
形を変えた破れた生殖の夢だ
工房の職人が
ガラスを切っていた
ワイングラスの縁をただよう
あなたの鼻
か……!
この涙の香気は
如何に形容すべきであるか
海から来たマリーの
ブーケのように
まるで思い出せない
和菓子屋の匠にも
わからなかった
明日は遠い町の絵描きを
訪ねなければならない
恋愛の着地するところは
決まって埃の積もった
卵のように暗い部屋の
タンスの上だ
あなたのつぶらな瞳に
その寝室が映る
昔のあのpot pourriの袋を
握り締めていた
炭塵のように微細な悲しみが舞うこの
バルコニーに持ち込んだ
罰は……
台所にはオーブンがない
この愛には
波も海風もない
あなたの影がよく分かるように
遠い所に松明があるだけだ
霧に閉ざされた円卓の上で
衝動の矢印に追い立てられる子供の
なめる砂糖菓子の
その奥歯で砕ける音は
メッセージに擬した悲しみ
神の舌の上で
金色のドロップが溶ける
袋に手を突っ込む
ガサガサ言う音!
この別れは果てしない
あの別れへの予言だ
降り始めた雨の
雨粒と雨粒の
果てしない間隙に潜む
誰かの姿だ
今度は落とさないようにしないと。
胸のしめつけが
不意に弱まった時
野原に立っていた
記憶の中のあの塔が見える
心を削りながら増幅した弔鐘は
螺旋状に回転しながらこの坂の木陰に復活する
この坂と呼ぶのは
この心に折り重なって倒れた
甘美な夢が滑り落ちたあとの
廃墟に続くなめした皮の表面である
何人も傍らの石像に凭れ
旅人はさまよい歩く
西の丘で垂直に倒立しようとする男は
ヒゲヅラである
寺院の門柱に憩う農夫
大理石の階段のオベリスクの影の
駅舎のような庇の下で
胸をはだけて子供に乳をやる女は
はてしない嵐の予兆だ
野に出ることはやめて
おまいりをしたら早く帰らなければならない
あまりに赤すぎて
山の端を溶かしつつある
夕陽を追って
帰途につきながら思うのは
くるみのようにデコボコした重さで
闇の中へ垂直に落ちる
乳汁のしたたり
脂肪の粒の間を掠める稲妻
神が小麦の白いパンをかじって牛乳をのみ
膝の上のパンくずで廃墟をつくったのは
つい昨日のことである
ああそれから
神は永遠に休みぬ
楽園を案内する者も絶えてなくなった
海風にそよぐ村
山男が泣きながら
坂の終わるところへ駆けていく
鐘の音がそれを追って
アカンボウが泣き始めた
追憶は心の作用である
「現在」に佇立する人の
生皮をはがれた心に麻酔剤を
注射するような
小さなガラスのコップに
ストローをふたつ挿す
ような悲しみを孕んだ……
パナマを通り抜ける風は涼しい
マブタの奥のアーモンドの
瞳と地獄を包み隠したカンダタの
夏の女郎蜘蛛の糸だ
水道の蛇口に唇をつけるように
乳房に吸い付き
ミルクを飲んだ
神経質なアカンボが笑っている
ああ思い出は
あなたの心の中にはない
好奇心の旺盛な子供が
原始的な壁画を
村はずれの洞窟に見出すように
羊水に揺られる胎児が
子宮の内側に
見つけるだけだ
心とは程遠いところの
諸器官の臓器の果ての
入り組んだ暗い影の
あなたが誰かと出会う以前に
踏み迷っていたところに
泣き叫ぶこの美しい友には
まだ乳を与えなければならない
屠られた仔牛の傍で
夕食の献立を考えよ!
悲しみは肉の外にはない
この若い涙にぬれて
買ってきたマメが静かに光っている
あー詩が書けないのは
素面だからかな……
悲しみの
うつろな視線に燃える畑
ウネの果てにつき出る排水管から
芳しい野の花々の
焼け残った根の
コーヒーのような泉となり
果てしなく流れ続ける
ああこの
オウメについた雫
ミントの葉に輝く涙を
製氷皿にたらして
凍らせて
みよ!
暗闇にふるえる
狼の乳のしたたりを
受け口となり
カンボクの林のなかで
味わいつつも
マメ球を発明してしまった
もはや打ち出でて
遊ぶところもなくなった
柔らかな
帽子をかぶって
淫蕩な笑みを鏡にうつして
キューピッドの抱擁を受けた女は
水仙となるか
教会は何を
見ていたのかな……
カゲロウのように
揺らぐのは
アゼ道の上のカゲロウのカゲロウの
ミズスマシの
はかない運命にすぎなく
Boulangerieのように
尊敬をあつめない
薄絹から乳首が
覗いている
イチジクをもぎながら
汗をかいている
鏡にうつした
色白な巨人の
かなしみ
憧れの砕けたあとは
君のことが良く見える
ああ
今の今まで
エッシャーのあの眼から
解き放たれた
時はなかった
古い物語のなかに転がる
かびに包まれた
植物の悲哀をつつむ
緑の種
酔いながら動かした手の
カーブしているところが
インクのつまった壷を
突き落とした
グランド・ジャットの島に遊んだ時も
肛門から喉へ
アルミ箔のなかで眠っている
仔羊の肉のように燃える
冷たい針が貫き通していて
その先端が空気に触れて
ポキっと折れそうに解けはじめて
涙のようなその滴で
渇きを癒した
なにしろ
近頃は何を聞いても
他愛ない微笑みを浮かべて
酸っぱいオレンジのかけらを
シャブル方に夢中で
透明なグラスのなかに
あらゆる連想を捨ててしまった
男となってしまったが
それでも
旅人は果てしなくゆく
夕暮れに燃える三日月を
海に浸けたら
ひしゃげてしまった
ドアボーイが
夕暮れに紛れながら
背伸びをしていた
芸術家は
あまり美しいものは
絵にできない
ゴツゴツして乾いた
君の髑髏のようなものしか……
その脳髄を
銀色のスプーンで
掬ったような昔!
フタエもヒトエもなく
その優しげに下りる瞼は
雅やかなれ……
trioとなる
暗黒と恐怖と不安とを煽る風の出所は
永遠の秘密であったが
アマンドを刻み
ゴマをあたる
コックさんに質せば
あっさりと分かってしまった
テノヒラに滴る
ブドウの乾いた涙……
これを干上がらせたのが
木槌で砕かれた
スープ皿のあちこちにある
オゼイユとスイバとスカンポの……
エビの殻の
スカンピの手長エビの
丸焼きをたのめるのは
ここの旅館のレストランだけだ
葬儀人も警察官も
この血液のまだ温かいことを
さして気に留めなかった
給仕さんから隠れて
食卓を疲れた野うさぎで汚し
薄桃色のコトリを含み
入り組んだ影の果てのテーブルで狼藉をはたらき
柔らかく曲がるスプーンを見た眼が
はてしなく笑うのを見たのも
この眼である
夜が来るとこの
頼りなく細い蛍光灯の
重なる青白い光が
君の横顔の頬のところに
白鳥を迷わす影をつくって
普段よりとても幽かに
眠っているように見えるのは
曇り続けているあの町の
はずれの
涙だけで出来た
大きな水溜りの
淵に突き立った
トールソ
のようで
あまり人間味がなく
中世のまずしき洋人の
自己の像のように確固として
とにかく
接しすぎて
磨耗してゆく心地は
太陽にはわからない
用意したesquisseが
冷たい粗布をかぶって
部屋のすみに凍えている
筆先を湿らした
いつかの
イカスミをのばした
あの色や
こんな
悲鳴のように高まる
呼吸も……
でも
朝が
待たれるな……
エンピツをけずるのに
ナイフを使うとか
ヒゴノカミであるとか
アワノカミであるとか
確かに二人は
旅をしていた
トレヴィの泉に
レオナールドが残した
スケッチをきざんだ
なけなしの硬貨をささぐ気持ちで
今も
この遥かな旅路は
ふり返ってみても
今は青草に埋もれて
見ることができない
自らあの秋の風景を
呼び戻そうとして
トノサマガエルのさざめく
田んぼにうつる
雲をおいかけたって……
とつぜん舞い降りてきた
紅色の葉っぱは
クスノキからだった
もうこの休日には
蓮華寺へゆくのは
やめてしまった
見知らぬ人の家の
庭先で
濡れたアジサイに
泥が跳ね掛かっていた
車があるのかな……
海の方へ果てしなく歩く代わりに
30階のスイッチを押して
今は入道雲を
見るようになってしまった
タイヤキの屋台が
イシヤキイモに替わったことを
思い出す
最後のやぶがらしは
夏の最後で
伏したオチョコのような
積藁をさがす
秋のはじめ
カン カン カン カン
か……
でも
本当は何をさがしているのか
チューリップは灰になって
古いcorsageも
風になってしまった
砂浜に裸足の足跡をつけている
小さな女の子に聞いても
わからない
でも遠くに来たことだけは
よく知っている
思えば
あの夏は
まだ遠くからでも
桜の枝が
わかったな……
おもえば とゆう題名があります。入れ忘れましたね。100get.
言葉が循環する
ひとりでに穴を掘って
流れ去るようでも
人知れず帰ってくる
四季が巡るように
夏の太陽は高く遠いが
ああ海を越えた所の町で
その輝きは
年寄りの心臓を止める
或いは凍ったジャガイモ
しかし一般に季節は
人々の心を驚かさない
自然の象徴的な表れを
慈しむように眺めるだけだ
風上から花の雨
も止んでいた
はたして
わが心を脅かすのは?
気がつくと
もう教会が建っていた
袋小路の塀の上には
あの猫がまだ鎮座している
これは台風の目だ
浄土とヨモツクニを繋ぐ
煉獄の古びた門
土気色の虚無と同じ
ひび割れ方をした
瞳
画家の署名が
残っているかも
美術館の学芸員が
切なげに語ったことを
思い出す
逆さになった絵
滴り落ちるように抜け出る
黒く色付いた魂
裸体の女が
天井に張り付いている
こんな風に
雲がないのは
少しびっくりするな……
心地良い詩の巡り
は齧るとお菓子のにおいがする
黄金色の縁を歩き回って
大きな穴ぼこを見ていると
ページをめくるように
冷涼な風が吹き込んで来る
鐘楼の高みに
いるみたいに
短い言葉を聴いて
ただ戸惑っている
ポエジーの海に漂う
女神のように
行き場のない言葉の連鎖は
トマのように目が粗くて
あるのかないのか
その隙間を通るのは
結局似たような言葉である
ああ目を塞いで
君の歌声に聴き入っている方が
いいな
舞わないで静かに
植物で出来た椅子に座って
世界を看取るように
ささやく
我林檎の種よりも
沼沢の泥土を愛す
土いじりが好きだから……
でももう庭には霜が降りて
海も次第に凍り始めている
ああ
目覚めての
夢のつづき?
落下した
一輪挿し
折れた藁
帰らないミューズ……
熱砂の村の
カケガエのない
庇の下に
男が憩っているが
あんたは何を
見つけたのか?
溶けたバターが
銀のボウルの中に
緑に輝いているのは
どんなturquoiseにも
かえがたいが
硬くなった
パンをそこに浸したら
はてしない沙漠の彼方に
次の村は見えるんだけど
な……
ああまた
泣かせてしまった
頬に刺す赤み
下がる口角
前髪のつくるカゲに囚われて
柔らかな捕縄の生む摩擦を口実に
サンチマンの結晶は
見て見ぬ振りをしたつもりで……
「生殖」をキーワードに
何百万年も続いてきた
君だって
きな臭い昔を抱えながら
ここで踊っているのに
ここでつく嘘は
いつ評価されるのか?
これまで罠に陥ちたオトメは
数知れず
その消息はとんと知れない
連れてゆく所は
遠ければ遠いほど良いらしい
高波に砂嵐
永遠を知る
不朽の抜け殻!
ギリシャの哲人が
笑っているかな……