〜〜詩で遊ぼう! 投稿梁山泊 16th edition 〜〜
慎重に、スイッチを押す。
窓の外へ置きたいものを選び、一度送ったものを回収できるスイッチを、外への扉が出現するスイッチを、
自発的な会話のできる人間が現われるスイッチを、探し続ける。
この部屋そのものを消滅させてくれるスイッチでもいい。それとも私自身が出現するスイッチもどこかにあるのだろうか?
空白だった窓の外には木が茂り、花が咲き、風が吹き、時折雨も降る。
数日前に送り込んだ鳥が飛んでいる。
今日、一人の眠る少女が現われた。
スイッチを押し続けながら、彼女が眼を覚ますのを待っている。
私は睡魔に負けてしまうぎりぎりまで待って、彼女を外へ送ろうと思っている。
812 :
名前はいらない:2006/04/20(木) 21:24:34 ID:jMPieXzZ
【 まとめ 】
>766 :埋葬
>767-769 :悪夢前
>770 :マッサージ
>771-772 :ふりーどりっひ・にぃちぇ・かく語りき
>774-775 :奇妙な楽譜
>776-777 :スイッチ
>778-781 :地蔵菩薩
>782 :自爆スイッチ
>783 :無題
>784 :無題
>785 :例のロボット
>786-788 :ハンカチおとしドッキリカメラ :ドッキリカメラ(奥底):
>789 : ブランコ
>790-791 :独言絶句
>792 :Re:スイッチ
>793 :無題
>794 :未来に向かって
>795-798 : 噂酔狂
>799 :分かれ道
>801 :「ラヂオ」:
>802 : スイッチ ◆rhBOTTpQ52
>803-804 :スリップ(1/2):
>805 :switch witch
>806-807 :「スイッチ」:
>808 :ためらい
>809-811 :「Box Box-in Box-out」
現在 26 作品 〆切りは猛直ぐのようです。
僕の知らない
スイッチがひとつ
小刻みに揺れる指で
ゆっくりとつついて
……
……
……
……
震えながら止まる僕と
スイッチがひとつ
電源が切れた
僕
何も変わらない部屋
814 :
ひとつの結果:2006/04/20(木) 22:13:41 ID:7roA6Qnu
星のいたるところで
無食動物たちが鎖に繋がれていた
断ち切ることは不可能であった
どれほど強靭な犬歯を以ってしても
ある日 無邪気な草食動物が
世界の根源を成す原始的な装置を
都市外れの納屋で見つけた
と同時に終焉を見出した
ぱちりと爪を切るような音をたてて
スイッチのベクトルが逆を指し
とりあえず時間軸は 懐かしい緑色を取り戻した
窓際のストーブに腰掛け
2つの視線は外に向けられる
みぞれまじりの空が今日もある
白いカーテンでくるまれた台を
いくつかの椅子に話しかけるように
脚はところどころ欠けた櫛の歯と同じ
テンポとスカラーで並べてみて
循環するつもりだった液体を今も
追いかけているように
脚の輪の中に中心点が存在し
雑多な色の人形達が頭を下げる
空気の流れは台を押し出すように
波長とテンポを変えては
床を響かせて去っていく
そのとおりに彼らの手で
ベッドは運び出された
窓側の空白はとても広く感じないか?
主のいない空間の片隅にあるテレビ
──何のための音だったのだろう
(さあ、スイッチに手をかけろ!)
<<ON!>>
・・・気を伴った低気圧が北日本や東日本を通過します。明日は東北や北陸で雨が降り、山
では雪が降ってふぶく所がありそうです。雷や突風、ひょうなどにも注意して下さい。関東は
朝まで雨が降り、その後も雲が多く北部では雪か雨が降るでしょう。本州から北の積雪地帯は雪・・・
<<OFF!>>
(!ろけかを手にチッスイ、あさ)
誰のための音だったのだろう──
窓際の空白を埋めるために彼らの手で
ついにベッドが帰された
少数の椅子と立ち上がった多くの脚が
いつもよりさらに遠慮がちに動くので
床が響くように聞こえているのだろうか
複数のマネキンは礼をするように
何も表情を変えず去っていくから
やがて再度の静寂が仕掛けられ
ストーブが軋み始める
白いカーテンに包まれた腕のようなものは
笑いかけることもないだろうし
ぶらさがる透明な液体の量も
変わらないから 変わらないでいて欲しい
シテイセキとなったストーブに腰掛け
2つの視線が向けられたのは
梅雨時ならではの空の色
スイッチに手をかけ始めた その時々からは
戻れないように 出来ている
全ての脚がここから見えなくなったら 向こうからナースコールの音が響くのだろうか?
819 :
名前はいらない:2006/04/21(金) 00:08:09 ID:gzn0n8iH
はい、締切りですよぅ。
>766 :埋葬
>767-769 :悪夢前
>770 :マッサージ
>771-772 :ふりーどりっひ・にぃちぇ・かく語りき
>774-775 :奇妙な楽譜
>776-777 :スイッチ
>778-781 :地蔵菩薩
>782 :自爆スイッチ
>783 :無題
>784 :無題
>785 :例のロボット
>786-788 :ハンカチおとしドッキリカメラ :ドッキリカメラ(奥底):
>789 : ブランコ
>790-791 :独言絶句
>792 :Re:スイッチ
>793 :無題
>794 :未来に向かって
>795-798 : 噂酔狂
>799 :分かれ道
>801 :「ラヂオ」:
>802 : スイッチ ◆rhBOTTpQ52
>803-804 :スリップ(1/2):
>805 :switch witch
>806-807 :「スイッチ」:
>808 :ためらい
>809-811 :「Box Box-in Box-out」
>813 スイッチをつつく
>814 ひとつの結果
>815-818 スイッチに手をかけろ
以上、29作品です。
>>770 マッサージ よかったです。お母さんが死んでたところが。ショットガンの処理に困ってしまったけど。
>>781 地蔵菩薩 最後がどうもだめですけど、それ以外のところがよいので。
>>794 未来に向かって タイトルがあれですけど、その狙いすぎなとこも含めて。
以上の3作品を今回のチャンプに推します。
821 :
名前はいらない:2006/04/23(日) 15:55:58 ID:zx+TVc4b
こんな調子で、大丈夫なのか
822 :
シオン ◆poetsyov/2 :2006/04/23(日) 21:55:16 ID:NGKe0SRc
おじゃまします。点数置かせてください。
>>767-769 :悪夢前 に1点。
言葉悪くてアレですけど、吐き気がしました。
なまじ分かりやすい表現を使っているだけに、
追い詰められていく感覚とか、
現実味のありそうなイヤなイメージが、
頭にこびりついてしまいました。
いちおう、ほめています。
以上。採点は1作品なのですが、、、
なんか、今回は投稿作品を読んでいて、全体的に暗い気分になってきました。
明るい詩もあったのですが、それ以上に暗めの詩のインパクトが強かったので。
そんな中で、
>>805「switch witch 」には癒されました。ありがとう。
823 :
名前はいらない:2006/04/23(日) 23:50:03 ID:yxAzcqcE
あと10分!
824 :
葉土 ◆Rain/1Ex.w :2006/04/24(月) 08:31:35 ID:gU93fg7a
遅刻してすみません
地蔵菩薩に一点
寸評は後ほど
825 :
名前はいらない:2006/04/26(水) 00:29:09 ID:5vcx6CR7
集計です。
【チャンプ:2点】
>>778-781 :地蔵菩薩:ID:IKYodgPP氏
【準チャンプ:1点】
>>767-769 :悪夢前:ID:VsWOcXpZ氏
>>770 :マッサージ:ID:cpM8Jftp氏
>>784 :無題:ID:0LmpBF5U氏
以上、どなたか確認と再集計をお願い致します。
826 :
はらだ将:2006/04/26(水) 09:39:53 ID:zXoENaLz
Canopusさん、お久し振りです。読んでくれてるかな?
地蔵菩薩かきました、はらだです。
久し振りに2ちゃん覘いて、梁山泊は初投稿です。
お題に合わせて描くって難しいですね。
採点して頂いた方、そして集計して下さった方、どうもありがとうございます。
人数が足りなかったみたいだけど。
で、次のお題は『森を守る』でお願いします。
827 :
はらだ将:2006/04/26(水) 11:26:41 ID:zXoENaLz
お題『森を守る』
投稿締め切りは5/3いっぱい(5/4午前0時)
審査締め切りは5/6いっぱい(5/7午前0時)とします。
828 :
森を守るな:2006/04/26(水) 19:48:12 ID:JaMNpu7g
あいせ
なんだよ採点期間終わってんジャン <`A´>
んで優勝作は 【チャンプ:2点】
>>778-781 :地蔵菩薩:ID:IKYodgPP氏 なのぉ?? これのどこが詩なんだよ詩作舐めてんだろ
コピペすると
やっほ〜♪?V(^▽^)V
元気?
最近連絡ないからどうしたのかな〜って思って。
まさか好きな人が出来ちゃったとか☆
タカシは女の子にモテるもんね??(????人????)??
実はアタシね、
タカシには内緒にしてたんだけど
新しい彼氏が出来ちゃいました?(。?v?。)? ~~
これもみんなタカシのお陰☆彡
ありがと━━━━(?^-゜)vィェィ━━━━?。・゚?゚・
これからもずっとアタシのお兄さんでいてね??
どーぞよろしくです(??????)?
になるのが優勝?ハァ? なにこれ詩の主張より訳の分らん作風重視で点やってんじゃネーヨ素人採点者どもがよ ふざけんな
んで準チャンプがこの三作品? 空想物語2つとテーマ無視の1作が準優勝? なにこれまじめにやれよ素人どもが
【準チャンプ:1点】
>>767-769 :悪夢前:ID:VsWOcXpZ氏 なんとでも書ける妄想物語
>>770 :マッサージ:ID:cpM8Jftp氏 なんとでも書ける妄想物語
>>784 :無題:ID:0LmpBF5U氏 テーマ無視
いつから梁山泊スレはココまで零落れたんだ? 俺様は悲しいぞこんな痴呆採点者ばかりしかいないレベルで優勝して誇らしいのか?
>>826 お前は自分の作品が優勝して誇らしく思っているのだろうが貴様は実社会の詩作コンクールかなんかに送れるか?それに値すると思うか?
答えろ
〜〜"詩"で遊ぼう! 投稿梁山泊 16th edition 〜〜
↑
注目
(1)言葉に旋律やリズムをつけて、声に出すもの。また、その言葉。《歌・唄》
「―を歌う」「はやり―」
(2)和歌。特に、短歌。《歌》
「―を詠む」
(3)近代・現代の詩。《詩》
「初恋の―」
つーか採点者と投稿者、なにか根本的に勘違いしてんだろ?
くだらんねぇ 実社会で通用しねーからこんな場所で詩人気取って妄文垂れ流して馴れ合いか
価値がねぇ
833 :
森の音:2006/04/27(木) 00:25:30 ID:rPtNE7M0
森を抜けると町がみえてくる。
町をいくら通り抜けても森がみえてこない。
都会は帰る場所を失った迷子に溢れている。
しかし迷子達を誰も助けることが出来ない。
都会の空には毎日「迷子案内」がアナウンスされているのに、
この喧騒は夕日から朝日まで、何もかもを黒く消し去ってしまう。
そこのお偉い先生、迷子を捜しに出かける前に、
本当によく、気持ちを澄ましていないと聞こえない、
大切な‘音 が心の中で、鳴っているのを無視してはならない。
準チャンプは784「無題」じゃなくて794「未来に向かって」ですよ。
今回のチャンプ推薦
ゼッケン:マッサージ、地蔵菩薩、未来に向かって
シオン:悪夢前
リーフレイン:地蔵菩薩
835 :
784:2006/04/27(木) 00:48:45 ID:TEMan3NX
はーはやく言ってほしかったなぁ。
勝手にきれてバカじゃん、私
836 :
&?⊂二)^ω^ (二二二⊃ &?vipから来ますた:2006/04/27(木) 02:26:06 ID:t9fWbPIl
すは
夜明け前の空の裂け目から
鉛色の雨が滲みだし
濡れた肩を抱き寄せ合って
ぼくらの空中都市は聳えている。
――あれから100年が過ぎたのね。
わたしたち、まるで梱包済みのステンドグラスみたいに創造的だわ……
だから、そんなにいくつも方法があるわけではないのだ
友達よ、死にそこなった彼らのために
この呪われた夜を祝福しよう。
耳をつんざく風、風、風
剃刀のようなフラッシュライト
それでは次の50年、そのまた次の50年
いつもの場所でいつもの時刻に、またお会いしましょう……
あとの残りの解釈は、みなさん自由にご勝手に。
ひとつの扉を開けるだけで
人は縊死することも出来るのだ
あるいは、ひとつのボタンを押すだけで
もっとたくさんの人が死ぬかもしれぬ。
死んだあいつは、いつまで死んでいるのだろう
一体いつまで、そうして死んだままでいられるのだろう?
濡れた瞳を見開いて
ぼくらの空中都市は聳えている……
死んだあいつがいつまでも死んだままでいられますように。
雨はふり止まず、ぼくらは何も持たない。
朝はまだ始まってもいない
結局、そんなにいくつも方法があるわけではないのだ。
友達よ、生き残ったぼくらのために
グラスの底で澱んでいる、この亡霊たちを飲み干そう。
これを境にぼくらは見知らぬ他人同士になれるのだ
そう断言できるだけの根拠をぼくらは持つ。
つまり、そんなにいくつも方法があるわけではないのだ
そんなに誰もがみんな、うまく生きてゆけるわけではないのだ。
一度きりの決断の場面が眼前へと迫ってくる。
すでにぼくは選び始めている
だから、君も選びたいように選びたまえ
「いつもの場所でいつもの時刻に、またお会いしましょう……」
ぼくらがふたたびめぐりあう方法は、それしかない。
ID:0LmpBF5Uって多重投稿してるやんw
>>835 多重投稿はルール違反なので気をつけてくださいね(^^)
ルールは守らない
お題は無視する
あげく勘違いで逆ギレ
いやもうご立派な事でw
842 :
フォレストレプリカ:2006/04/28(金) 03:14:44 ID:r5RL4tF2
缶詰の中の木々
缶詰の中の土を白い白い窓枠に
額縁の中の緑は絵の具
君の頬に
蒔いた種は
ニキビになった
から
窓を
少しだけ開けて
風と騒音を部屋に混ぜて
とりあえず、
笑っとこう
843 :
TALK:2006/04/29(土) 06:47:00 ID:Ij1YlTIJ
枝葉の軋み、あなたの足音
私の心音
居場所を変えて巡っていく話し言葉の動物たち
時々嘘つきになるのは彼らが跳ね回りはしゃいでいるから
白兎、白兎
素人の私より生きることに長けた幸運の足
火の燃える場所から遠ざかる足よ
森の中、爆ぜる脈拍
そら、
身を任せてしまえ
森の入口で黒い犬が鳴いている
たくさんの犬が鳴いている
でも無理
あなたには捕まえられない
焚火跡の青白い煙が朝もやと溶け合う頃
私は別の場所にいて
帰らぬ言葉を待っている
波音の中に魚の影を追っている
ヨセテハカエス、ヨセテハカエス
844 :
みどり:2006/04/29(土) 13:28:20 ID:5vjutBKL
脳に根を張れ
木漏れ日のきらきらは眼神経を犯し
蔦が舌に絡みつき喉をふさぐ
肺に苔むす
体育座りの膝を突き破り逞しい双葉が顔を覗かせる
たった今枝葉が眼球を突き破り
そうして世界は沈黙した
845 :
私の森:2006/04/30(日) 01:07:23 ID:y5LiS9J2
もはや木も川も
空もない
土もない
人間もほとんどいない
ときおり
蜜を垂らして
森にあたたかい液体をこぼす
社会に
詳らか解体され
展示される
森の形式を守れ!
森の骸骨カタカタと響く
846 :
鳴動:2006/04/30(日) 05:12:49 ID:yTRz6jiU
しんとしながらも
声は遠く
呼びかけるかのように聞こえる
おまえのその
声を
もっと響かせろと
ひとりごち酒を舐める
火が消えそうになれば
拾った枝を放り込み
また舐める
まんじりともしない夜
鬱蒼としたここに
ただいるだけのおれ
おまえの声を聞いてやるくらいが
たった一つ
出来る事だ
そのうち骸もくれてやる
お前には馳走になるだろう
いつまでも生きるがいい
声を響かせ
生きるがいい
いなくなるぞ
ぼく
もりと
はしるぞ
もりのいえで
いっしょう
くらすぞ
もりとともに
いっしょう
くらすぞ
きのう
ぼく
さそわれたんだ
もりに
もりは
あいしてくれるっていったんだ
ぼくを
だからぼくはそばにいて
まもってやるといったんだ
848 :
〜しぜんへん〜もり〜にんげんへん〜:2006/04/30(日) 13:08:47 ID:bIi/mfXh
だから ぼくは
だから ぼくよ
もりのもとへかけていこうなぁ
もりといっしょうくらすために
もりをいっしょうあいするために
このせかいからでて
もりのうちの
とびらのよこにある
ひょうさつのうえにある
よびりんをたたこうなぁ
きっと ここから
いなくなろうなぁ
きっと あそこへ
ずっといようなぁ
849 :
森など破壊しちまえ:2006/04/30(日) 13:44:44 ID:klb3+A4Y
森など壊し尽くしちまえ
俺らの中に森の幻想がある限り
森など守れるわけがない
森は神秘で自然は偉大なんて
そんなことを考えている限り
森など守れるわけがない
なんならいっそのこと森などすべて
破壊尽くしちまった挙句
いよいよ森の幻想しかなくなったぞ
という時に泣きながら
森を守っておけばよかったとか言いながら
軒先に木々を植えて
ローン尽きの一軒家にも僕の心の休まる
場所ができたとか暢気に言いながら
老後でも送りやがれ
850 :
森など破壊しちまえ:2006/04/30(日) 13:49:23 ID:klb3+A4Y
壊すべきは俺らの中の「森」の幻想だ
くだらない神秘とか偉大さなんて感じている
間は何一つとして森のことなどわかっちゃいない
ってこった
安易な人間様のご都合主義に合わせてカスタマイズ
された緑の思想を森に押し売りしている奴等なんか
とっとと死んでしまえ
お前らが笑顔で「自然」に押し売りする緑の思想のせいで
今日もどこかで森は色あせていく
お前らは森を守りたいんじゃなくてお前らの中にある
「森」の幻想を守りたいだけなんだと早く言っちまえよ
森など破壊し尽くしちまえ
僕は緑色の頭をしていた
天然パーマで広がりを持った
この髪の毛はどこまでも緑色だった
赤毛のアンが染髪に失敗したみたいな緑色
昔は緑色の頭をした人がたくさんいたらしいけど
いろいろあって死んでしまったらしい
大人たちはそのことについては
あまり多くを語らない
きっと、おかしい頭の色だから
排除されてしまったに違いない
あるとき誰かが緑色の頭の人は
希少価値だから大事にしようと言い出した
たしかに周りにいた緑色の頭の仲間は
この町では数人しかいなくなっていた
言い出したのはお金持ちのおじさんで
自分に余裕があるから人のことをやさしくできるらしい
僕らにお金を出したり
緑の頭の人が増える何かの作戦なんかを
考えたり、よく分からないことをしている
それでもやさしいから
僕はお金持ちのおじさんの
それが偽善とか自己満足の類でも
嬉しいと素直に思った
相変わらずお金のない人は
僕の緑の頭を笑ってる
そしてお金のない人の多い町では
まだまだ僕らの仲間は殺されているらしい
とてもとてもかなしいこと
僕の髪の毛はミドリイロ
昔はそんな人はいっぱいいたらしい
だけれどだいぶ仲間は減ってきた
とてもかなしいとおもう
とてもかなしいとおもう
853 :
畏怖 1/2:2006/05/01(月) 09:59:05 ID:/c8DWFA2
足を濡らす羊歯
朝靄の森の入り口は白濁として
湿った匂いがたちこめる
おずおずと開きはじめた草花は
羊歯の葉に寄り添うように顔をのぞかせ
しんなりと冷ややかに雫を垂らす
初夏の落葉樹の木々が淡い色を枝にのせる
数メートルほどの空き地にあった柿の木は
それと気付かれることもなく硬くしまった蝋細工のような浅黄色の花をたわわにつけた
少し斜めになっている幹に竜のひげやら、苔やらがびっしりと生えている
剪定されることもなくのびやかに枝をはりめぐらせ 人の背をはるかに越えた
(もろい柿の枝は木登りにはむかない)
あの花が実となっても到底人の手に落ちることはない
秋にはさぞや、鳥の群れの口を潤すだろうと
まばゆくなってきた朝日に手をかざしながら緑に溶けてしまいそうな花を見上げる
かさかさと音が聞こえ
なにかが枝の上を走り去るのが見えた
明け方にはられたらしい蜘蛛の巣をかきよせて
目当ての水場へと足を速める 腐土を踏みしめる音
眼を覚ました虫たちが足元に纏わりつくのを手で払う
(人気のない森は わずらわしくはないがにぎやかだ)
鳥が鳴いた 水場はすぐだ
854 :
畏怖 2/2:2006/05/01(月) 10:00:38 ID:/c8DWFA2
こんもりとした森は、低い平地の山の半分を占めているだけで
もう片方はすでに市街地になっていた
山頂を越えてしまえば、名前もしらない誰かの裏庭にでる
耳をすませば 街の音が聞こえる
先月、喰うに困った狸が民家の庭で捕まった
今もそこで鎖につながれて飼われているという
この森の持ち主を知っている
知り合いがふらつくぐらいは大目に見てくれる老人だった
誰のものでもない厳かな森のふりをしながら
ほんの少し苦い想いをかみしめて他人の森を歩き回る
(稜線をはさんで対照的な姿を見せる森は舞台の書割のようだ)
どちら側に観客席があるのだろうかと ちらと考えてしまうのは
傲慢さがすぎるせいか
夜 この森へ足を踏み入れる勇気はない
夜こそ森本来の時間であり、森は暗い星明りの中でゆっくりと深い息をつく
息を潜めて、道の片隅から夜の森を覗き込めば
何でもあって何でもなく全てでもある何かが待ち構えているのを感じないか?
(人の理に沿わないものを畏怖せよ)
そして私は 森が恐怖をもたらしてくれることに
深い安堵を覚えて眠りにつく
855 :
人の森:2006/05/01(月) 21:37:16 ID:JpRVb5+V
人ごみは規則正しく繰り返され
みんなどこかへ飲み込まれている
大気は騒がしく咽る
ビルが何処までも続く
空の色なんて誰も見ない
止まる事のないこの街は
とてもせっかちで
想像力は奪われる
心はどこかに消えてゆく
みんな自分が大切で
そりゃ人間なんて
きっと誰だってそうだけど
この街じゃ特に
自分の事ばかり考えている
そんな風に見える
あたしもまた
自分の事ばかり考えて
世界や貧困や汚染や
戦争や温暖化なんかより
メールの返事を待っている
急ぎ足で歩いている
自分の事ばかり考える
856 :
星を登る:2006/05/02(火) 16:30:43 ID:Kknwubyr
ある日、DNAの雨が星に降り注ぎ、
星は生命でいっぱいになりました
宇宙のしずけさ 耳をすましたときにだけ
聞こえてくるX線星の電磁パルスのつぶやき
ちりちりちり ジジジ ちりちりちり
星はそのようなことを好んでいたので
自らが放つようになったぬるく甘い腐敗臭を
恥ずかしい
と思いました そこで焼き払うことを命じたのです
神経系は肥大化し 発火 火は燃え広がり、それは
星はしばらく痒みに耐えていると やがて
星に寄生し情報を取り込んだDNAの船団が次々に飛び立ち
海底の火山がいっせいに火を噴きます
砂漠に氷混じりの冷たい風が吹きます
せいせいしたと思い、同時に星は
嫉妬しているのかもしれない
この先、それは膨れ上がりそうで
昇ってきた月の影に怯えたように
山頂の小石がからりと転がり落ちます
857 :
菩提樹の誓い:2006/05/03(水) 02:47:17 ID:A44sZNKr
森の端 広大な斜面にひときわ大きな
菩提樹が 沈思している
想い出したように 髪を震わせるように
空を見上げる
曇り空は やがて恵みの雨になるか
カーテンを開くように 太陽の熱を打ち付け
森の成長を叱咤するか 菩提樹は沈思している
菩提樹は思った 森を守れ
わが身を呈して 森を守れ
わたしは大きく 森のはずれに育って
わたしは森に 育てられた
ならば 森を守るそれがわたしだ
菩提樹は 誓った
一番星が 光った
858 :
決断の刻:2006/05/03(水) 04:36:27 ID:2Xv5UEnH
ハァ、、、ため息をつく彼は男盛りの40代
会社では、人当たりもよく仕事もできる人気ものの部長さん。
今日は部下の紹介で専門家に相談をしにやってきた。
「最近抜け毛が酷いんです」
一通り話を訊き終えると医師は色々カルテに書き込んで
『じゃあ、こっちへ来て下さい。とりあえず頭皮の状態をチェックしてみましょう』と促した。
診療台に横になり、「お願いします」と彼。
スコープが当てられる。そして、数秒後手は止められた。
『モニターを見てください』とは説明を始める医師。
『相当なダメージを受けていますね。一部では砂漠化も起こっていますし。このまま放って置くと近い将来最悪の状態になりかねませんね。』
「そうですか、、、」と俯く彼。
『頭皮の汚れも溜まってますし、そうとう微生物が繁殖して悪さしてますね』
俯いたままの彼に更に続ける
『ひとつお尋ねしますが、育毛剤やその類の物は使っていると診察で伺いましたがどの様なものをお使いですか?』
突然の質問に少し戸惑いながらも
「えっ、、と、通販で売ってた酸性雨Xっていう育毛剤と紫外線ライトを」
と、その途端、医師は矢継ぎ早に
『自分の身体に関わる大事なことなのに、試しもせずに買っちゃダメですよ!しかも、あなたが使われてるものは我々の学会でも有名な粗悪品です!今すぐ使用をやめてください!』
次々と告げられる事実に、彼は縋る様な表情で
「せ、先生、私はど、どうすれば、、、」
諭すように医師は言う。
『怒鳴ってしまってすみませんでした。でも、今の状態では元に戻すのは難しいと思われます。ですので、植毛をお勧めします』
「植毛、、、ですか?」びっくりした表情を浮かべるも、医師は続ける
『はい。そして、その後に頭皮の治療をしたいと思います。』
「因みにお幾らほどかかりますか?」気になるところである。
『個人差もありますが、地球さんの場合、相当な額がかかると思いますが、、、とりあえず、パンフレットをお渡ししておきますので、目を通されて、ご希望でしたらまた連絡をして下さい。』
診察も終わりパンフレットを鞄にしまうと彼は星を見上げ、ため息をひとつ、そして、思い出していた。
地球は青かった、と言われていたあの頃を。
860 :
『守人』:
森を守りたくば 空を守れ
見よ、あの変わり果てたの色を
空を守りたくば 大気を守れ
その呼吸は 毒気を忘れるほど鈍麻したか
大気を守りたくば 海を守れ
自浄を繰り返す波の嘆きを 見まごうその目は節穴と化したか
海を守りたくば 川を守れ
聞け、淀み濁り 渇きつつある流れの嘆きを
川を守りたくば 水を守れ
汚水を生み出す その手その足の容易きを止めよ
水を守りたくば ――――
「否。」
しかし守人(もりびと)は言う
「奢れる哀れな者達よ、
我々は
太古の昔より既に 森に守られている。」