382 :
bottom in the depths ◆hmvCcJH4do :
終わりは始まり始まりは終わり終わりは始まり始まりは終わり
五分前からすべてはやってきて五分後にすべては去ってゆき
取り残された少女と少年とけものは怯えながらも輪舞して
そしてやがて名も失せ指す言葉さえ予言の頁へ羽を広げ
どこかのなにかの生まれたばかりの音は仮初めとなり
凍みてしまった匂いの類いはただ風に吹かれようと
川岸も中州も失せた静かな時を“流れる”と言い
言いようのない夢物語にみずから頁となっては
少女の髪に少年の眼にけものの牙に啜り憑き
輪舞は哀しくて鳴いてしまいまた名が失せ
音は約束と命を交わし住まわせた空転を
白へと進ませてやがてをまた五分後へ
そしてまた五分後へ連れ去ってゆき
やがて書き尽くした“すべて”を
そして書き終えた“せかい”を
永遠に少女と少年とけものは
“今”と叫びながら眼前の
ぐるぐる廻るみずからを
静止した音に乗せては
互いを呼ぶ言葉さえ
忘れ鳴いてしまい
終わりはやがて
始まりを迎え
始まりをも
終わりを
迎えて
今を
今