君のセンス五段階+αで評価するよ[vol.33]

このエントリーをはてなブックマークに追加
870名前はいらない
「生き方」

とりあえず片手鍋 水道水を火にかけ
とりあえず料理の本を開くも
カロリーだの材料費だの無関係な記号
様々に着飾った見本写真の森を探索するも
遠くでぐつぐつと騒ぐ片手鍋に
煮物か煮込み料理でなければと教えられた
ふと止めた目線の先
いつからか買い置いていたカレーのルーを目にすれば
おいしそうにカレーを食べるCMの子

「カレーにしよう」

とりあえず 指輪をはずし
とりあえず冷蔵庫を覗く
人参 じゃが芋 玉ねぎ 豚肉
ある物は姿なく ある物は老い滅びている

とりあえず駆け出したスーパー

駆け上がった玄関の先
飛び込んだ台所
暖めるべき相手を失った焦げ付いた片手鍋と
ひどく熱くなったコンロ脇の指輪に
やはり 涙がこぼれた

(べたな題材で恐縮ですが、評価お願いいたします)