655 :
「夜の王(2)」:2006/04/12(水) 08:02:06 ID:YZMCJTKD
漆黒
やがて群青へ 色がやって来る
空は 表情を変え
星は 空へ溶けてゆく
月はその身を隠し
バイクの音
新聞配達が
朝を連れてやって来る
やがて
小鳥達が
朝を連れてやって来る
656 :
「夜の王(3)」:2006/04/12(水) 08:02:58 ID:YZMCJTKD
また1日が始まる
ボクは王の仮面を脱ぎ捨て
従順な群れのひとつになる
すべてが静まる
すべてが眠る
誰も知らない ボクだけの時間
夜の秘密を知っている
夜を支配していたのは このボク
誰も知らないボクだけの時間-------
いつしか夜が
自分だけの物ではないと知った
そしてボクは
ほんの少し大人になった
夜明けと共に
ボクは
ほんの少し大人になった
「夜明け前」
混乱の時
人が死に殺されるとき
時の変動に人が振り回される時
それでも人は時の中でその役割に応じて
あがらい続け
その矜持を保つ
それは見栄といっても良いだろう
それでも最後には屍をさらしても
おのが主張を繰り返す
658 :
【 祈り 】1/2 :2006/04/12(水) 21:25:03 ID:Z+DHTAc4
身から出た錆を舐め、血の味を知る
路上に浮かぶ陽炎と蜃気楼
鋼鉄を纏った人々と八畳間の唯我帝王
冷め濡れに笑っている・・・
汚れ知らぬ糞どもと頽廃思想にブラボー
血の流を求める人類にブラボー
肩風切る平和思想徒にジャンクフードを
笑顔嘖々の隣人に呪いを・・・嗚呼、無碍む・・・
広い空の下で出会ってから15年経ち
東京のど真ん中で出会い5年経つ
霧の煙る波止場で出会ってから3年が過ぎ
畏まり候
拝啓 親愛なる隣人へ
御元気ですか
この度、東京直下の大イナズマに感電しました。そりゃ本当にビリビリショックだったのです。
我が頭脳に無知蒙昧の記憶と懺悔が繰り返しビジョン化され、
のた打ち回る狂人ニーチェのように、破滅を感じたのです。
雨振る窓外に命の親をみ、首を垂れまくれば、涙二日酔い・・・鏡で汝の面を拝めば、
審判の日はいつ来るかと怯え、まさしく「私は死んだ」と叫んだのです。
世にもツマラヌ私事で恐縮ですが、いたいけな女を見ては勃起支配に身体は擦れ
粉のように飛び出す切ない喪失感に、擦れ違いざまの嘲笑いを思い出し
屈辱感と罪悪感でストイック思想に目覚めました。
心の変化に加えて、多種多様の哲学や価値観をかき混ぜたカクテル思想を飲み干し
散々迷った挙句、この大地に一本の霞草
嗚呼、申し訳ない。切実な問いがあります。
659 :
【 祈り 】2/2:2006/04/12(水) 21:25:50 ID:Z+DHTAc4
『 人間の願いと運命とは互いに見知らぬ人のように無関係なのでしょうか
それは多くの場合寧ろ暴君と犠牲者とのような残酷な関係なのでしょうか
かくありたしとの希望を、かく定められているとの運命が蹂躙してしまうのでしょうか 』
_是は今は亡き倉田さんの言葉でもあります。
もうすぐ夜が明けます。
私は、運命を我が願いに隷属させるため、日の出と共に貴女の下へ参る所存です。
既に橋頭堡は完成しました。この一片の手紙がそれです。
もう後戻りはできないのです。狂った果実は熟れるんです。
では、しばらく 御元気で
敬具
ー盲目ー
まだ陽の上らぬ未明の朝
風紋が鮮やかに浮き出る灰色の砂丘を
暁の月へとむかう 黒烏
凄絶な月の海に至る道は
白い光に照らされて
泥だらけの足で踏みこんではいけない
ー失語ー
可聴できない月光の音が
砂の上に紋を刻んでゆく
あれは風ではなかった
月がしたたり落ちて
発話できない言葉を残していった
波打ち際で繰り返し
ぼろぼろの足を洗い
爪の間流れる水ひりひりと
ようやく満足のいく足で
道 踏み出そうとすれば もうそこに
赤黒く染み込んだ穢れを見つけ途方にくれる
ー手無しー
杖持たぬ犬 月の朝 烏が鳴いた
そら ソラ 空!
661 :
夜明け前:2006/04/13(木) 19:29:59 ID:Z9DbxRt+
発音のない音
暗闇ですらない暗黒
そは虚無なり
虚無にかすかに光うまれり
そは始まりの始まりである。
かすかな光が
存在を照らすことによって
万物の存在が始まる
発音のない音
かすかな光
662 :
爪:2006/04/14(金) 22:39:51 ID:w6WsrAQL
心ささくれた晩
けものの証の爪をきる
背をまるめ息をころし
けものの証の爪をきる
ほおった牙は月になれ
ひきちぎった尻尾は雲間に流れろ
心ささくれあわだつ晩に
けものの証の爪をきる
ぶつりぶつりと爪をきる
――東のあかつき
白い明星がコロリ――
663 :
明けるのを…:2006/04/14(金) 23:13:44 ID:8uVBNSty
明けるのを待ち望む時も
明けぬよう祈る時も
窓から眺めながら
固唾を飲み込む
あなたが昇るまでの
この瞬間が好きだ
身悶えるような
じらすような大地の震え
それを見たくて
それを畏れて今日も…
664 :
ルビーの光:2006/04/14(金) 23:36:27 ID:1QI1BR95
夜、歩いていると
犬の吠え声がする
自販機でCCレモンを買うと
翌日のことを考え始めた
しばらく歩き続けると
うとうとし始めたことに気がつく
時計を持ってこなかった
何時になるのだろう
以前、明け方歩いたときに
空がきれいなむらさき色をしていたことを思い出す
雲の輪郭がしだいに明るくなっていき
散歩する人がちらほら出てくる
最近見てないなとやや寂しくなるも
まあいいかと考えた
今夜は起きるまで眠れる
665 :
5:40am:2006/04/14(金) 23:52:05 ID:G6vmQA9B
ほんの少し前までは 空気も張り詰めて
月も静寂(しじま)に震えていた
僕は掛け布団にくるまって朝を待っていた
カーテンの隙間から差し込む街灯が緩くなり
それが合図の様に空間が少しずつ溶け出していくようだった
青い掛け布団が
この部屋に溶け出して染め上げていく
窓から
あまり聞き覚えの無い 鳥の鳴き声が重なり始め
カブの低い振動音が遠ざかっていった
今日は曇りかもしれないな
月も空も輪郭と静寂を失い
青くまどろんでいる
666 :
はやおき:2006/04/14(金) 23:56:41 ID:Wrk+Xf5x
ぱっちり目覚めて
呆然と五時のなか
起き間違えて虚構の心拍
まあいいかと深呼吸。
澄んだ空気、無風のなか、
うすやみをひとりじめ。
朝焼けを嫌がるように
ばさり、塗りつぶすカラス。
てらいの無い色彩がうなって、
ごみ袋ん中、混ざって溶けて、
新世界を作り出してた。
こんなぶっ飛んだ夜明けを
見つけて笑ったのは、
ボロを着てても美しい異国の少女。
確かな夜明けの存在者、
欠けた硝子窓に びっ と映る
あたたかいスラムの空。
鶏のなく一瞬を待つ。
限られた、とうとい、しあわせ。
あ…リロード忘れてた…スマソ。
668 :
ギムレット:2006/04/16(日) 12:03:27 ID:GqReLK3I
10作品・・11作品ですね、集まりましたね。
最後の方の投稿は前の投稿者と時間帯が重なっていて明らかに不可抗力なので
審査対象に入れたいと思います。
(どのみちせっかく書いていただいた作品をNG扱いにはしませんが)
多分今日中に批評と優勝者を発表できると思います。
>653 「尾のないサルに」
>654-656「夜の王」
>657 「夜明け前」
>658-659「祈り 」
>660 「月の朝 (あした)」
>661 「夜明け前」
>662 「爪」
>663 「明けるのを…」
>664 「ルビーの光」
>665 「5:40am」
>666 「はやおき 」
タイトルがかぶっている事より、お題のまんまのタイトルを付けた人が2人もいた事の方に驚きました・・。
669 :
ギムレット:2006/04/16(日) 15:22:55 ID:GqReLK3I
現在審査中です。
発表は夜になると思いますが、その前に賑やかしとして
私が以前に書いた「夜明け前」をモチーフとした作品を何作か勝手に貼らせて頂こうかと思います。
持論として、人の作品を評価する者は自分の作品も提示する必要があると思うので。
私がこれから他の方の作品に指摘する事を私の作品が満たしているとは思いませんが、
…まぁ堅苦しく考えずに夜までの暇つぶしに読んでやってください。
気が向いた方は評なども書いていただけると嬉しいです。
特に「水槽の街」はセン5でB評価を頂きましたが、
評価人に誤読がかなりあったので再評価を希望しようかとも思った作品なので。
670 :
ギムレット:2006/04/16(日) 15:25:32 ID:GqReLK3I
「夜明けの痛み」
眠りは深かったはずなのに
午前4時に青白く染まった部屋の真ん中で
僕は天井を見上げていた
懐かしい笑顔を懸命に反芻していたが
夢の記憶は 現実の空気の中で ドライアイスのように消えていく
別れ際、僕は彼女の健康を案じ
彼女は僕の夢を願った
最後まで笑顔のままで
見えなくなるまで手を振り合った
僕はそれなりに夢を叶えたし
彼女は幸せな母親になった
これだけ素敵な別れ方をした恋人たちなんてちょっといない
夜明け前の 南極のような静けさの中で
体温の無い生き物みたいな部屋から
ガラス越しに世界を見渡すと すべてが青かった
まだ缶コーヒーが100円だった頃に
さえぎる物など無い風の中で 夜明け前の海を理由も無く眺めて
ささやか程度の温かさを 分け合って飲んだ事を思い出して
僕は急に恐怖に襲われた
大丈夫、大丈夫だよと僕は僕に呼びかける
確かに色んなものを失ったけど 失った分だけ得たはずだ
掌を二つ並べて 祈りのように見つめ続ける
671 :
ギムレット:2006/04/16(日) 15:26:46 ID:GqReLK3I
早朝の不安定な空気が去って 小さな痛みが残った
その痛みと 別れの君の笑顔が なぜ重なるのだろう
きっと僕が夜明け前に目覚めたのは
夢よりももっと確かな場所で 君を思い出すため
多分それは後悔とかではなく もっと素敵な事だと信じよう
次にまたこんな夜明け前を迎えたときには
相変わらずな僕を笑いながら 痛みとは別の答えを探そう
(梁山泊 テーマ「痛み」 1点)
672 :
ギムレット:2006/04/16(日) 15:27:22 ID:GqReLK3I
「夢の翼」
もしもこの背に 翼があったならと考える 金曜日の夜
弁証法みたいに甲と乙を戦わせて出した結論は
「翼などいらない」
想像力を駆使して出した結論はいつもつまらない
これが現実だなと ビールよりも安い擬似ビールを飲み
謳い文句がそれぞれ違う工場生産の同じ味をかじる
色んな事を空想し それを片端から否定していく
自慰のような時間を夜明けまで続けて
間にビールや音楽やつまらない映画をはさめて
そして朝になる
大地が天恵を浴びて 息吹が胎児のような鼓動を立て始めたのに
また少し老化した体を 昨日のニュースとともにベッドに投げ出す
いつか翼ではなくとも 何かが自分の中で目覚める事を期待して
ただ少しずつ確実に損なわれていく自分を直視しない 出来ない
サボテンの乾きみたいな 存在税のような 宿命
もがいても どうしようも出来ない 呪い
早朝のひっそりとした悲しみは静けさに同化して
夢の中へと落ちていく
鳥でも飛行機でもない 本当の自由な翼を
存在しないがゆえに求めてしまう その悲しみに
夢の中では 豚みたいに鈍感である 幸せ
鈍感である事が幸せである場所 それが夢
673 :
ギムレット:2006/04/16(日) 15:32:19 ID:GqReLK3I
(夢の翼 セン5 評価C)
「水槽の街」
不眠症のまま街は朝を向かえ
路傍には冷え切った夢が眠っている
卵黄のようにとろんとした太陽から
地平に黄色い光が溶け出していた
不眠症のまま僕は交差点の中心に立って
アンコールワットの真ん中にある塔みたいに
四方に伸びる無人の道路を見据える
幾つものビルがドミノの板のように整列していて
その狭間を走る終わりの無い槍のようなアスファルト
だけど道が続く限り アスファルトも続き
きっと加工された同じような景色があって
名前が付いたものばかりだろう
ふと見上げると丸いはずの空は 四角く切り取られていて
水槽を泳ぐ魚のように 雲が窮屈そうに流れていく
もちろん空はいつだって自由で いつまでも自由だ
切り取られたのは 窮屈なのは 僕だ
674 :
ギムレット:2006/04/16(日) 15:37:13 ID:GqReLK3I
やがて草原に夏が来た様に 時が来れば街はざわめきだすだろう
そして空はまた忘れ去られ 四角い覗き窓にはただの青色が映るだろう
明るい毒虫のような色彩の中で その青が「空」である事なんて 誰にどんな意味があるのか
押し付けられた名前で管理された 街
好き勝手な役目を与えられた 景色
そして人が人である限り抜け出す事の出来ない
存在し 見えず触れず だけど逃れられぬ 隔たり
早朝のさっぱりとした空気の中で 水槽の中の僕は
来る可能性のない未来を見つめるような 悲しい気持ちで窓の向こうの空を見上げ続けた
(セン5 評価B)
675 :
ギムレット:2006/04/16(日) 15:40:39 ID:GqReLK3I
好き勝手やってどうもすみませんでした。<(_ _)>
この辺でまた審査に戻ります。
実は大体終わっているのですが、
最後の確認などもあるのでやはり夜まで発表は待ってください。
では失礼します。
676 :
ギムレット:2006/04/16(日) 23:27:37 ID:P2EkJ5Yq
お待たせしました。
批評および優勝者の発表をしたいと思います。
11作品を見渡すと「夜明け前」というお題をひねってきた作品が多いですね。
ただ、実を言うとこういったひねり方は「想定内」でした。
「夜明け前」というお題を出した時に想定したのは
文字通り夜の明ける前の時間帯を書いた作品と、
明治維新のように何か大きな変化が起こる「夜明け前」を書いた作品でした。
お題に条件を付けようかと悩んだのもこの点が主で、
個人的には前者の夜明けを期待してたからですが、
あまり参加者の自由度を奪うのは選者のエゴだなと思い自重しました。
それでは、順番に評を述べていきます。
はっきり言って、「お前何様だ?」と言われそうなぐらい辛口です。
それだけ私自身にこだわりのあるテーマなので。
677 :
ギムレット:2006/04/16(日) 23:28:22 ID:P2EkJ5Yq
>>653「尾のないサルに」
これは「アルマゲドン」や「インデペンデンスディ」を思わせる詩ですね。
お題へのアプローチの仕方はなかなか面白いです。
言われてみれば早2006年、ノストラダムスの大予言などもはや過去の笑い話になってましたね。
でも今更「やっぱり滅びます」と言われても困ります(笑)。
SF映画の予告のようなフレーズが並んでいますが
なんだかイメージが沸かない表現が多くて、ちょっと読んでいてきつかったです。
人類が滅亡するのを予感させる不気味な雰囲気をもっと醸し出して欲しかったです。
一つ一つの表現をもっと研ぎ澄まして欲しかったですね。
発想はいいのですがそこからの膨らませ方が全然足りないです。
映画のストーリーを箇条書きした程度で終わっています。
678 :
ギムレット:2006/04/16(日) 23:29:10 ID:P2EkJ5Yq
>>654-656 「夜の王」
これはストレートに夜明け前を表現してきましたね。
平凡でも無いですが非凡ともいえない表現が多いですね。でも時々光る表現もありますね。
例えば「色がやって来る」という表現は目新しくて面白いです。
ただ、一言で言って作品に核が無いです。
全体を通して伝わるものが無く、ラストも浅いなぁとがっかりしました。
また作品の中での時間経過が変です。
幾つもの夜を過ごしたのか、一晩だけの話なのかよく分かりません。
作品の流れも進んだと思ったらまた戻ったりとなんだかもやもやしています。
書き手自身の中でまとまりきっていないのではないでしょうか。
もっと全体的な構成に気を配ってください。
冬という季節も最初に出て来たきりで、その後に冬を感じさせるフレーズが無く、
作品世界のイメージが出来ないです。
幼い子供の過剰な自分と世界の関係の幻想が消えていくのを表現しようとしたのはいい着眼点だと思います。
ただ、流れに必然性も説得力も無いので読み終わって残るものも特に無かったです。
679 :
ギムレット:2006/04/16(日) 23:30:15 ID:P2EkJ5Yq
>>657 「夜明け前」
これは時代の大きく動く「夜明け前」を書いた作品ですね。
悪いけど、一言で言って「軽い」です。
「夜明け前」を時代の大きな節目と捉える発想は実は平凡です。
多分ほとんどの人が思いつくでしょう。
もちろんそれが悪いのではなく、そこから出発せずに終わっている事が残念です。
歴史の教科書を読んだ感想文、といったレベルです。
個々の表現に目を向けても
「それは見栄といっても良いだろう」は作品のテンションを壊している気がしますし、
終わり方も冷静に読むと意味不明に近いです。
歴史上の時代の節目に死んでいった人に失礼というか、本当の意味での想像力を感じません。
多分一筆書きに近い感じで書いた作品だと思いますが、
せっかくこういった場に投稿するのですからもう少し汗を流して書いて欲しかったです。
680 :
ギムレット:2006/04/16(日) 23:31:46 ID:P2EkJ5Yq
>>658-659 「祈り」
これは一読しただけで作者の力量がうかがい知れますね。
詩作の基本性能が違うなと感じました。
冒頭の一文がいきなり秀逸です。
そしてここから「夜明け前」へどのように結び付けていくのか、
ミステリー小説の山場へと向かうくだりのような、引き締まった高揚感を感じながら読み進めました。
これはお題が決まった作品を審査する副産物ですね。
表現がかなり大胆で成功しているのか微妙なものもありますが、
書き手はかなり楽しんで書いていますね。
作品に独特の呼吸、うねりがあり読んでいて引き込まれます。
連が進むにつれてスピードが上がり世界が広がっていきどんどん作品の中に引き込まれていった時に
「拝啓 親愛なる隣人へ 」でいきなり急ブレーキ。
突如空間に現れた不思議な物体のような違和感に、期待と不安が渦巻きながら「手紙」を読んでいくと、
いきなりはちゃめちゃな内容に思わずずっこけました。
要は貴女に会って恋のイナズマに打たれました、という事ですかね。
どんどんドミノ倒しのように読み手を裏切っていく展開にはもう善悪など無意味ですね。
最後まで読んでようやく告白の手紙だったと分かりました。徹夜でラブレターを書くとは主人公はなかなか純情ですね。
筒井康隆みたいな言語感覚でなだれ込むように狂気走って行く主人公を上手に描いています。
かと言って滅茶苦茶にそれらしい言葉を並べている訳でもなく、
本当にこのまま告白の手紙として使えそうなしっかりとした愛の告白になっています。
まぁ現実で使用したら確実にふられると思いますが。
「夜明け前」というお題との絡みの謎も解けましたが、しかし夜明け前は作品内で完全に脇役ですね。そこはちょっと残念。
それから前半と後半の手紙部分との絡みがちょっとよく分からなかったです。
多分最初から「こういう作品を書こう」と決めていたのでは無く、書きながら先の展開を考えたのだと思いますが、
投稿する前にもう少し全体的なバランスやつながりなどを手直しをしても良かったのではと思いました。
決して完成度は高いとはいえないけど、圧倒的な筆力には素直に脱帽です。
間違いなく優勝候補です。
681 :
ギムレット:2006/04/16(日) 23:45:47 ID:P2EkJ5Yq
>>660 「月の朝(あした)」
情景描写だけで構成された作品ですね。
正直私には書けないタイプの作品です。
最初に読んだ時は「?」でしたが、
2回目は「??」になり、
三回目は「???」となりました。
ええ、そうです。読めば読むほどよく分からなくなりました。
すごく情景描写が非凡なのですが、何だか技術自慢みたいな感じで
何度読み返しても作品世界が見えませんでした。
もしかしたら私の実力不足で読み取れないのかもしれませんが、
いくら読み返しても単語の羅列にしか見えず、
作者自身が本当にしっかりと作品世界をイメージできていたのか疑問に思いました。
言葉選びや構成に高い実力は垣間見えましたが、
この作品については正直読み終わっても何も残らなかったです。
最後の「そら ソラ 空! 」というフレーズに作品世界の狭さが現れていると思います。
きちっと作品世界の構築された作品ならばこんな実体の無いフレーズで締めくくられたりはしません。
人によっては高い点数を付けるかもしれませんが、
私は上手な言葉遊び程度の評価しか与えられませんね。
書いた方には思わぬ酷評だったかもしれませんが、
こちらも勇気を出してあえて酷評しました。
実力は感じるのですが、この作品に関しては上辺の言葉遊びで終わって残念です。
次の機会があれば、もっと魂のこもった作品を期待します。
682 :
ギムレット:2006/04/16(日) 23:51:23 ID:P2EkJ5Yq
>>661 「夜明け前」
おそらく無から万物が生まれる事を表した作品でしょう。
陳腐な言葉で言うなら「ビッグバン」ですが、
そういったイメージの限定は作品をつまらなくするので
そういう点でこの作品は固有名詞を極力削った点は正解だと思います。
ただ、テーマが壮大すぎて作品に迫力がありません。
人が書き人が読む作品ですから、書き手読み手が本当にイメージできるように書いて欲しいと思います。
私はこういった壮大なテーマの作品で成功している作品をほとんど知りません。
あるとしたらそれは身近なとっかかりからアプローチしていった作品です。
具体的な成功例を挙げると、谷川俊太郎の「二十億光年の孤独」は異論はあるかもしれませんが、
私は成功した稀有な例だと思っています。
>>662 「爪」
一読して思ったのはアベレージの線上にあるような作品だなぁと言う事です。
悪くは無いけど良くも無い、そういった感じです。
詩として一応の完成はしているしそれほど欠点も無いけど、突出したものも無いからです。
この作品を読んで心に何か残る気がしません。
主人公は獣なのか獣に例えた人間なのかははっきりとは分かりませんが、
主人公の思いも感情も伝わらないし、風景描写も無難です。
お題から外れてもいませんが、特に掘り下げた感じもしません。
何回読んでも「無難だなぁ」としか思えない作品です。
683 :
ギムレット:2006/04/16(日) 23:53:43 ID:P2EkJ5Yq
>>663 「明けるのを…」
短いけれど、これはなかなか悪くないです。
本当の夜明け前を想像しなければ書けません。
私自身、夜明け前という時間帯には特別な思い入れがあり、
この作品を読んで高校生の時の私がちらりと浮かびました。
色々な悩みを抱いて夜を明かし、望もうと望むまいと時間が来れば訪れる夜明け。
たしかに言葉にすればこんな気分かも知れません。
お題の無い「セン5」なら高い評価は上げれませんでしたが、
「夜明け前」というお題に対して一番いい答えをくれた作品だと思います。
ただし、表現自体はもっと磨いて欲しいです。
短い作品はそれだけ切れ味が必要です。
あるいはもう少し長い作品にすべきかもしれません。
もっと表現を研ぎ澄ますか、もっと言葉を足すかは好みの問題ですが。
ちなみに私は後者です。
>>664 「ルビーの光」
日記のような文体から始まりましたが、そのまま日記みたいに終わっちゃいましたね。
時間帯もよく分かりませんが、明日を「翌日」と言っていることを考えると
まだ日付が変わっていないか変わって間もないかというところでしょうか。つまり夜中ですね。
「夜明け前」は主人公の回想の中でチラッと出てきて終わりですか。
で、自動販売機でジュースを買ってぶらぶらと徘徊して
「今晩は好きなだけ寝れるなぁ」で終わりでは評価しがいが無いです。
2ちゃんねる用語で「チラシの裏」と言われるような作品ですね。
一つだけ褒めるとすれば、「最近夜明けを見ていない」という部分で、
これは思い当たる人は私を含めて多いと思います。特に社会人をしている人なら。
ここをもっと掘り下げていればちゃんとした作品になったと思います。
684 :
ギムレット:2006/04/17(月) 00:01:15 ID:P2EkJ5Yq
>>665「5:40am」
夜明け前の雰囲気が良く出た作品だと思います。
個人的には投稿作品の中で一番夜明けのイメージが浮かびました。
ただ、作品の色が全体を通して青すぎます。
私も以前に「夜明けの痛み」という作品を梁山泊に投稿した事があり、
審査員が異口同音に作品の夜明けの描写の過剰さを指摘されました。
例えば絵で夜明けを表現する時にただひたすら青く塗りたくっても駄目ですよね。
逆に青とは縁遠い色も織り交ぜることで、夜明けというものを表現しようとするのが普通だと思います。
個々の表現を見ると、表現になかなか細かな工夫がされていて悪くないと思います。
ただ、連が並列的です。時間経過は一応ありますが、本当にただ夜明けに近づいているだけです。
最後まで読んでも「それで?」となっちゃいますね。
全体的に説明的な感じもするし、ちょっと垢抜けていないですね。
でも好きか嫌いかで言えば好きな作品です。
人に読ませる事をもう少し意識するともっと良くなるのではないかと思います。
685 :
ギムレット:2006/04/17(月) 00:01:48 ID:P2EkJ5Yq
>>666 「はやおき」
なんだか実力を読み測れない作品です。
1連目は名詞を無理に使いすぎていますね。
「うすやみをひとりじめ」と全部平仮名なのは面白いけど、
さすがに前後関係的に違和感です。
しかし2連目はずいぶん見違えましたね。
何か形而上的な夜明けを訴えかけてくるようで、素直に溜め息が漏れました。
かと思うと三連目は何だか展開自体がぶっとんでますね。
主人公はどこ行ったの?それとも始めから異口の少女が主人公?と
はてなマークが頭を飛び交いました。
しかし三連目を単独で見ればかなりいいです。
「ぶっとんだ夜明け」という表現はかなり大胆ですがその後の展開で成功させていると思います。
4連目は正直尻すぼみですね。取って付けたような終わらせ方で安直です。
これだけ好き勝手に1−3連暴れて、最後に受け止めずに受け流して終わりでは着地失敗だと思います。
主人公が定まらないのはやはり大きなマイナスですね。
かと言って色んな場所の夜明けを書いたつもりならあまりに構成が雑ですし。
1連目で一人称のような運びで導入したのが失敗かもしれません。
展開も破綻していると言ってもいいぐらいめちゃくちゃなんだけど、
夜明けの時間の独特の息遣い、鼓動を感じれる作品で嫌いじゃないです。
終わり方だけはどうしても好意的にはなれませんが、
特に2連目は面白く、いいセンスを持っていると思います。
ギムレットさん
【祈り】を書いたものです。聞きたいことがあります。
私の作品の中で、“倉田さん”という名前が出てきますが、これは倉田百三という作家のことです。
その上の鍵括弧内も倉田百三の言葉です。考慮を!
687 :
ギムレット:2006/04/17(月) 00:07:58 ID:3Ygagbw0
11作品を批評し終わりましたが、
全体を通して思った事は「夜明け前」というテーマは結構イメージが広がりにくい時間帯、
というより一人ひとりの持つイメージの最小公倍数が意外と小さいので、
個々のセンスの差がはっきり出るお題だったかなと思います。
「夜明け」を素直に書かず捻ってきた作品も予想通り何作かありましたが、
大半が捻っただけで終わっているなぁと思いました。
お題への切り口を捻って見るというオリジナリティーはいいと思いますが、
捻ったところが出発点なのにそこをゴールにしてしまっている人が多いです。
分かりやすく言うと、『美味しんぼ』の究極対至高対決で、
山岡が珍しい具材を見つけてきて誇らしげに出したが、
海原雄山が平凡な素材で御題にそった素晴らしい料理を作り、
食べた山岡と旧姓 栗田の顔色が変わり、雄山がやたら俯瞰をかまして高笑いする、といった所でしょうか。
(分かりやすすぎたかな?)
688 :
ギムレット:2006/04/17(月) 00:08:53 ID:3Ygagbw0
それで、優勝者は【祈り】にしたいと思います。
本当は誰かにこの作品を倒して欲しかったけど、横の比較をするとやはり詩作の基本性能がずば抜けていたので選ばざるを得ませんでした。
この作品は「夜明け前」というお題がおまけみたいになっていたのが残念ですが、
完成度、技術力、面白さという点で郡を抜いていたので11作を何度読み返しても対抗馬すら思いつきませんでした。
他に気になった作品を述べると、
「月の朝」を書いた方は実力的には対抗できそうな気もしますが、
今回の作品は批評でも述べたとおり私は高くは評価できませんでした。
「5:40am」は夜明けの表現は良かったですが、作品としては特に残るものは無かったですね。
「はやおき」は部分的には面白いと思いましたが、作品としては完成しておらず惜しい作品でした。
他の作品もそれぞれいい所もあったと思います。
全体的に評が厳しくなったと思いますが、これを糧として頂けたらと思います。
最後になりましたが、このような機会を与えていただいたあぶくさん、
それから投稿してくれたみなさん、どうもありがとうございました。
私自身得るものが大きく、とても楽しかったです。
興醒めさせて悪いけど、>686を詠んでください
>>686 解説が必要な時点で、単独の詩としては失格でそ。
共通認識の見切りも「詩」の構成要素だぜ。
参加者が納得する形で終えるのがいい。
だから失格で構わない。まさか優勝候補に挙げられると思わなかった。
興醒めさせて悪いけど、辞退させてもらいます。
692 :
ギムレット:2006/04/17(月) 00:14:41 ID:3Ygagbw0
>>686 おや、いいタイミングで来てくれましたね。
優勝おめでとうございます。
倉田というのが誰なのかは私も気になっていましたが、
倉田 百三という作家だったんですね。
鍵括弧内の言葉は引用だったんですか。とてもいいフレーズだったので正直ちょっと残念です。
「聞きたい事」が何かと、何を「考慮」すればいいのかがちょっと分からないのですが、
出来たらもう少し具体的に言っていただけますか?
あと、次の選者の選出をよろしくお願いします。
693 :
ボトルネック(ノ∀`) ◆P350za861k :2006/04/17(月) 00:20:41 ID:Pb66zKQS
乙っす
ちなみに俺が書いたのは「尾のないサルに」なんですが、
内容的には、「MOTHER3がいよいよ発売になる。この日を何年待ったことか。
ニンテンドウ64で一度発売中止になったけどゲームボーイアドバンスで再開発と聞いて心が踊った。十二年待った分遊びまくってやるぜ!」という。
「尾のないサル」というのは「エイプ」(MOTHERの作者、糸井重里の会社)のこと。SMAPはMOTHER2の頃は六人組だったのね。
MOTHERファンでなければ分かりにくい、読みにくい詩でごめん
694 :
祈り:2006/04/17(月) 00:21:46 ID:Sx+/RtKB
この言葉をどうしても使いたかった。
だから“倉田さん”でなく“倉田百三”とはっきり明記しておけば良かった(激しく後悔
興冷めさせて非常に申し訳ありませんが、ギムレットさんと参加者に謝ります。
二度とこのような中途半端な真似はいたしません。
よって辞退させてもらいます。ギムレットさんには申し訳ありませんが
次の優勝者を選んでください。すいません
695 :
ギムレット:2006/04/17(月) 00:31:37 ID:3Ygagbw0
失格の理由がよく分からないなぁ。
「祈り」は貴女の言葉が入っていない訳ではないでしょう。
一部に引用があったからってそれが失格の理由になるのかなぁ。
ちゃんと「倉田」と引用したと分かる人には分かるように書いていたし。
どうしても辞退したいというなら仕方が無いけど、
ここは人に批評してもらうスレで言わば他人の時間を奪う場所なんだから、
あまり一人相撲はやめてね。
それで、繰上げという後味の悪い形ですが、次点の方を優勝者にします。
「はやおき」と「月の朝(あした)」が候補ですが、
「夜明け前」というお題に沿っていた「はやおき」を繰上げで優勝とさせていただきます。
「はやおき」を書かれた方は次の選者をよろしくお願いします。
696 :
19 ◆gwnULb/9mw :2006/04/17(月) 00:35:43 ID:TQJIcqUB
>>683 審査お疲れ様です。
>>664を書きました
評価ありがとうございました。妥当な位置だと思います
ノミネート作がハイレベルで竦みます
697 :
ギムレット:2006/04/17(月) 00:36:45 ID:3Ygagbw0
>>693 ボトルネックさん、参加どうもありがとう。
つか、そんなの分かりませんし知りませんよ。( >_<)σ
そうと言ってくれればもっと酷評して差し上げたのに。
ネタバレどうもです。
698 :
祈り:2006/04/17(月) 00:49:26 ID:Sx+/RtKB
ギムレットさん 有難う御座います
今回のことは非常に時間が足りなく、考慮して頂く時間がありませんでした。
ギムレットさんの時間を奪い申し訳ありません。普段からこのようなことをしているわけではありませんので
ご理解を!
では潔く退散させて頂きます。名を名乗るには、チト惜しい。
私自身もあれは解る人には解るように書いたつもりですが、こうなるとは予想付かず
参加者全員が納得する形が良いと思い、一人相撲を取りました。
不機嫌であろうこと重々承知です。よって何も言えません。有難う御座います。
700 :
ギムレット:2006/04/17(月) 01:02:38 ID:3Ygagbw0
>>698 無理に名乗らせる気は無いけど、出来たらコテがあるなら教えて欲しいな。
今回の件はともかく、とても面白い作品を書く方なので他のスレでも注目させてもらいたいので。
でもまぁ名乗りにくい雰囲気でしょうから無理は言いません。
単なる引用でしょ? なに一人相撲とってんの? 馬鹿?
702 :
リーフレイン:2006/04/17(月) 13:04:06 ID:mVYMR1uh
ギムレットさん 評価ありがとうございます。「月の朝」書きました。
優勝のおふたりさん、おめでとうございます。
辛口の評価をいただいてしまって、「うーーん」と唸っています、、、
なんというかこの作品は涙ぐみながら一気に部品を書き上げていったもので、
あまり書き手の感情が強すぎるとかえって伝わんなくなっちゃうんだなあと改めて反省している次第です。
ありがとうございます。
>>699 スレ立て乙であります。
>「祈り」の人へ
多分、運命と願望は必ずしも残酷な関係にあるわけじゃあないとあたしは思います。あなたも
そう感じているように。かりかりと石の扉を引っかくようにしてだましだまし開く運命も
たまにはあるんじゃあないでしょうか?いい夜明け前の覚悟を読ませていただきました。
はじめの夜明け前書きました
評価ありがとうございます
優勝者の方おめでとうございます
704 :
あぶく ◆OPBYKkBBNQ :
これですよ、これ。こんだけはっきりと、個人の見解をさらして作品ぶった斬ってくれちゃうお方がいるでしょーか(笑)
『爪』書きました。評価ありがとうございました。
つまんなかったですね。《心ささくれ〜爪をきる》のワンフレーズを、作品の形に仕立てたのですが、ほんと腕ないわ〜。
またこーゆー機会があれば、今度はもちっといいもの書いて、鬼(←笑)のギムレット氏を唸らせてやるぞ、と強く決意(なんつて)。
ギムレットさんの作品ですが、私は『夜明けの痛み』が好きです。梁山泊で読んだ時から。《夢よりももっと確かな場所で君を思い出すため》。ここがめちゃいいのですよ。
あ、それとせっかくですので一言。ギムレットさんの作品は《〜のよう》という言葉がやけに多いなぁ、と思うのです。すこ〜し、うるさく感じられる時があるかなぁ、と(笑)
ではでは、どうもお疲れ&ありがとうございました。
最後になりましたが、b4さん、優勝おめでとうございます。