ここはわたしの眠る場所

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春は嫌いだ

色々な声が 耳に纏わり付くんだ
逃れようとベットに潜り込んでも 消えてくれないんだ
窓から 気だるい朝が差し込んでくる

いつもと同じ顔が 鏡の向こうで覗いていた
瞳の色が淀んでいた 疲れていた

そして ドアを開けた先に
世界の現状を見た


僕は全ての声から逃げる様に   (桜並木が強い風に煽られて)
この丘を駆けていった        (苦痛の悲鳴をあげながら 花弁を散らしていった)
醒めても正夢は繰り返す      (人々はその様を眺めながら ただ)
景色は速度を落としていく      (美しいと呟いた)


歩道はコンクリートで綺麗に固められた   (歪んでいた)
朝食の野菜も綺麗に洗浄されていた     (汚れていた)
教科書に記された正義は導いてくれた    (病んでいた)
世界は正確に時を刻みながら回っていた  (蝕んでいた)


そして 視界一面の世界を眺めながら 僕は笑った (全てを諦めた)