サグラダファミリア

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107サグラダファミリア
「書くこと」

まず、ごく当たり前な
マウスの左クリックが壊れてしまったこととか
朝ごはんはトーストだったからみんなの顔も四角かったこと
庭の実直な小菊と、地味なのに存在感のある金木犀や
寒牡丹の紅色の羽根のような花びらについて
秋も終わりの朝、風が通り抜けていって白い息
朱色を越して錆色になった柿をつつく鳥と南天の実

風景だけでは書ききれない不満
白いマウスの幽霊がフラッシュメモリと手に手をとって駆け落ちしたとか
SNSのメールが郵便受けにたまっている話
冷蔵庫とパソコンとテレビと掃除機のある現代生活
歩けばぶつかってしまう狭い家の中でうまく逃げ回るこつがいまだにわからなくって
部屋の隅でちぢこまってる言葉たち
電気音の静かなうなりが、寝静まったはずの部屋に響いていて奥歯がきしむ