〜〜詩で遊ぼう! 投稿梁山泊 15th edition 〜〜
605 :
穂:
窓の明かり、薄墨色
赤ん坊の掌に載るくらいの小さな切符
目を閉じれば天井が回り座席が沈む
宮殿の回廊に反響する木霊のように
一時間に一本の下り路線が行きつ戻りつ、寄せては返す
切符を拝見
霧のような潮風に車体は線路の上できぃきぃ軋む
6両編成の空洞を抜ける錆色のスキール音
今年も田んぼでは米が実りすぎている
山間の窪みに
トラクターの看板に
老人の曲がった腰に
呪いのように米が実っている
海に外灯がクラゲのように浮かんでいて
いつまでも夕方
馬鹿みたい バカミタイ
海と山とを分かつファスナーが
ごっとんきぃ ごっとんきぃ