「失明」
革命の明けた物憂げな3月
蜜蜂の羽音がくるりと舞う
届かない白とストックホルムの霧の匂いが
桟橋で佇むの阪神タイガースにぺこり頭を下げる
月食の柔らかさで
性交の獰猛さで
ひとは
生まれたてのトーストを
蔑まれた金木犀の息吹を
ファスナーの茂みに持て余し
煙突の煤にひた隠し
2回転半するのか
その細い肢体で
蜘蛛の投げる裁縫糸のパッションで
2回転半するのか
吸いかけの煙草をもみ消しおれは
泣きぼくろを軽く掻くだけで
あとはなぁんにもしない
夜の野郎が
夜の野郎が残さず全てを平らげてしまったから