屈折した白昼夢に蝶々列べ

このエントリーをはてなブックマークに追加
707もこもこ ◆MOCO/ZafXI
中学三年の夏
参考書を閉じて向かった渋谷

ゆるいめまいが襲って
スクランブル交差点を削る人工は果てないようで儚いと感じた

あの日
私は1円も稼げなかった身体で
五万円稼いだ

お父さんのお金で買った服と
お母さんが洗濯してくれた下着を脂ぎった息に脱がしてもらって

あの日の空には
原色の埃と脂が滲んで
私は帰り道五万円を握った掌で
酸っぱい涙を拭った

全てがほのかに青臭かった