君のセンス五段階+αで評価するよ[vol.24DX]
935 :
職人のうた:
少年が一年遅れの卒業式に行ったんだってさ。
負け組なんて言われてさ、言い返せなくてただ下を向いてた。
中年のオヤジが年下の店長に怒られたんだってさ。
だからあなたは駄目なんだって言われて、ひたすら謝ってたんだってさ。
引きこもりの息子を持つ主婦が夕方、近所に行ったんだってさ。
近所の奥さんは家の子は勉強ができないって笑っていたのを主婦は聞くだけだったって。
夕やけ小やけ、街に流れる。夕やけ小やけ今日も流れる。
むかし、男に裏切られた女が夜の街へ向かっていく。
水割りもうまくなったけど今じゃ楽な恋愛しかしないんだってさ。
頭のいい人が『オレは勝ち組』って言ってたんだってさ。
外車に高そうなコートにマンションと輝かせて街をのし歩く。
ひとつ、ひとつ積み重なって。
ひとつ、ひとつ街は流れる。
勇気と言えば聞えはいい。…悪あがきと言えばそれは悲しい。
考えなければ楽になる。悟りを開けば意味は無くなる。
それでも、街へ向かう。
ひとつひとつ積み重なって
街は流れて、石は削れて光ってく。
小さくなりながらも光ってく。
ひとつひとつ積み重なって。
ひとつひとつ削られて。
痛みながらも街へ行く。