童謡スレッド

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100名前はいらない:2006/11/24(金) 18:47:14 ID:0DbmtgO+
>>97
ありがとうございます!!
101名前はいらない:2006/12/24(日) 18:09:19 ID:VcUO2eml
質問です。32歳男子、クリスチャンです。
これから礼拝に行くのですが、その前に質問があります。

今日、昼寝から目覚めた直後、口をついて

 「なのはーなばたけーに、(るーるーるるるるー・歌詞失念)
  みわたーす やまのーは かーすーみ ふかしー」

という歌を勝手にうたっていました。

この曲の曲名、所収CD、楽譜、歌詞を知りたく思います。
御教授ください。
102名前はいらない:2007/01/04(木) 08:04:48 ID:IhFtGSVj
>>101
「おぼろ月夜」
高野辰之作詞/岡野貞一作曲
文部省唱歌だか
あとはぐぐるよろし
103名前はいらない:2007/01/22(月) 09:22:15 ID:CX1Bc8Ri
すみません、質問させてください。
『おばあちゃんの味噌汁』という童謡ってありますか?
祖父がCDを買ってきてくれと言うのですが、CDショップでもグーグルさんでも見つけることが出来なくて・・・orz
どなたか知ってらっしゃる方いらしたら情報頂けませんか?
104名前はいらない:2007/03/14(水) 17:41:59 ID:6Krqp16b
>>103
シラネ
105名前はいらない:2007/06/26(火) 05:59:45 ID:cxf4UJ9H
『 パ レ ー ド 』

凍てつく地表を練り歩く

あざらしブーツは母さんが手縫い

うちわ太鼓と骨笛鳴らし 祭りだ祭りだ どんどこどん

イヌイトの子らの行列はカウラカウ二の唄をうたいます

いっぱいいっぱい あざらしが捕れますように

どんどこどん

父さんの一番銛が 一角を仕止めますように

どんどこどんどん

ふりふりまわす松明 願いは空高く 

はじける火の子ら連なって 黒ヒルガエリ橙シュルル 

イヌイトの星の方角へ 

行進するよ  どんどこどん


106名前はいらない:2007/07/24(火) 12:11:19 ID:5oJkJACH
「ふるさと」

兎追い 鹿の山
小鮒釣 鹿の皮

夢灰魔も眠りて

忘れ仇 降る里
107名前はいらない:2007/08/22(水) 21:49:25 ID:v1ZU1oIl
108名前はいらない:2007/10/16(火) 19:17:04 ID:/AUxtIPd
我は海の子、白波のさわぐいそべの松原に、煙たなびくとまやこそ、我がなつかしき住家なれ。

生まれて潮にゆあみして、波を子守の歌と聞き、千里寄せくる海の氣を吸ひてわらべとなりにけり。

高く鼻つくいその香に、不斷の花のかをりあり。なぎさの松に吹く風を、いみじき樂と我は聞く。

丈餘のろかい操りて、行手定めぬ波まくら、百尋(ももひろ)・千尋(ちひろ)海の底、遊びなれたる庭廣し。

幾年ここにきたへたる鐵より堅き腕(かいな)あり。吹く潮風にKみたるはだは赤銅さながらに。

波にただよふ氷山も、來らば夾れ、恐れんや。海卷き上ぐる龍巻も、起らば起れ、驚かじ。

いで、大船を乘出して、我は拾はん、海の富。いで、軍艦に乘組みて、我は護らん、海の國。 
109やさしいあくま ◆L5pYivMbF2 :2007/10/16(火) 22:44:16 ID:r0xA8scD
良スレはっけーん!

>>106の当て字が面白かった。
ところでここはオリジナルを書いてくスレじゃないの?
みんなプロの名前もなしで載せてるけど。

童謡詩人さんは面白い名前の人が多いよね。なんて読むのかもわからなかったり。
110名前はいらない:2008/02/11(月) 13:10:45 ID:VqR6p1au
スカスカシパン少し変
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2273048
111名前はいらない:2008/02/11(月) 22:24:20 ID:Sdklsy3Z
結婚は人生の墓場だよ
臭うよ臭う
血は鉄のにおい
売ったよ買ったよ
お母さん〜
112名前はいらない:2008/02/11(月) 22:26:16 ID:Sdklsy3Z
お尻をだしたこ一等賞
夕焼けこやけでまた明日
また明日
113名前はいらない:2008/10/14(火) 17:36:29 ID:Ez/tGXI1
保守
114名前はいらない:2008/10/19(日) 01:45:28 ID:FEtrHZpE
115名前はいらない:2008/10/19(日) 08:40:48 ID:W9OAVr0N
よーく聞いて考えて

誰でも出来るだろ…
116名前はいらない:2008/10/19(日) 23:18:25 ID:J6OMUb+B
NG
117名前なし:2009/11/27(金) 18:07:48 ID:lhK7HcO0
中央に大きな矩形の食卓のある、白塗りの壁の部屋。テーブルの上部に赤い紙製のランタン。
簡素な、幅の広い肘掛け椅子九脚。壁際、上手に皮のソファー、下手に戸棚。その間にカーテン・ドアがある。
下手奥に低いスモーキング・テーブルと椅子二脚。下手袖にドア。上手袖に窓一つ。
テーブルも椅子も戸棚も磨きがかかっていないし塗料も塗っていない自然のままの色。夕方。結婚式の客たちが食卓について食事している。
118名前なし:2009/11/27(金) 18:08:41 ID:lhK7HcO0
母  (食卓に料理を載せる)さあ、タラですよ。

(感嘆するような呟きが聞こえる)

父  こいつを見たらある話を思い出したぞ。
新婦  食べてよ、お父さん! いつも食べ損なうんだから。
父  話が先だ! お前の亡くなった伯父さんがな、わしの堅信礼の式の時に、いやこれは式の話じゃない。
   式の後の食事でわしらがみんな揃って魚を食べていた時、突然伯父さんが魚の骨を飲み込んじまったんだ、
   みんなも気をつけなさいよ、それで咽喉につかえて苦しがって手足をばたばたやってもがきだした。
母  ヤーコプ、尻尾の所をお取り!
父  ばたばたもがいて鯉みたいに真っ青な顔になって、ワイングラスをひっくり返し、わしらみんなをびっくり仰天させた、
   奴の背中を叩いたり、体中をどんどん殴ったりしたが、その挙句テーブル中にげろを吐いてしまったんだ。
   これで食べ物はみんな食えなくなってしまった---わしらにはそれもよかったよ、後で我々だけで外で食事し直したからな、
   なんといってもわしが堅信礼を祝われる当事者だったのだからね。
   それでさあテーブル中に吐いてしまったんだが、それからまた元気が回復したとき、奴はこう言ったよ、
   幸せそうに、深みのある声でな、彼は素晴らしいバスで合唱団にも入っていたからね、
   これにもまた面白い話があるんだが、まあ、ともかく彼はこう言ったんだよ---
母  どう、お魚の味は? なぜ誰も何も仰らないの?
父  素晴らしいですよ! それで彼はこう言ったんだ。
母  でも、あんたはまだ一口も食べていらっしゃらないでしょ!
父  ああ、これから頂きますよ。で、彼はこう言ったね。
母  ヤーコプ、もう一切れお取りよ!
新郎  ママ、お義父さんが話をしているんだよ!
119名前なし:2009/11/27(金) 18:09:48 ID:lhK7HcO0
父  ありがとう。そこでタラだが、ああまだ話が済んでいなかった、彼は言ったんだよ。
   「なあみんな、わしは危うくむせるところだったよ」とね。食べ物を全部食えなくしてしまったのにね……

(笑う者もいる)

新郎  とっても面白い!
若い男  話が堂に入っていますね!
妹  でも、もうお魚を食べる気がしなくなったわ。
新郎  君はカマトトだから魚を食ったら共食いだろう。
妻  (新婦の女友達)電気をひくのが間に合わなかったんですか?
新婦  イーナ、お魚にはナイフは使わないのよ!
夫  (新婦の女友達の夫)電灯なんて趣味が悪いよ。こういう照明の方がよく見えるよ。
妹  この方がロマンティックだわ。
妻  そうね、でももともとそんな雰囲気がなくちゃね。
友人  これはタラには合った光ですよ。
若い男  (妹に)そう思われますか? あなたはロマンティックなのがお好きですか?
妹  ええ、とっても。特にハイネが好きですわ。プロフィールがとても優男なんですもの!
父  あれは脊椎カリエスで死んだんだよ。
若い男  恐ろしい病気ですね!
父  ヴェーバー老人の叔父の兄弟の一人がこの病気でな。その話を聞くと酷いもんだったらしいな。
   夜中もベッドで全然眠ることが出来なくなるんだ。たとえば彼はこんな話を……
新婦  やめてよ、パパ、あんな品のない話!
父  何がだ?
新婦  脊椎カリエスの話よ!
母  ヤーコプ、おいしいかい?
妻  私たちには特においしいわ、今夜は何しろよく眠れなくちゃいけないんだから!
友人  (新郎に)友よ、乾杯!
新郎  皆さんに乾杯!

(お互いに杯を合わせる)
120名前なし:2009/11/27(金) 18:10:47 ID:lhK7HcO0
妹  (若い男に、声を低めて)今がチャンスじゃない?
若い男  ちょっとまずくありませんか?

(二人は小声で話し合う)

妻  なんかとてもいい匂いね!
友人  ただもううっとりしてしまう!
母  花婿はオーデコロンを半分も惜しげもなく使ったんですからね。
若い男  素晴らしい匂いですね。(若い娘[妹]と話し続ける)
妻  あなたが家具を全部ご自分で作ったっていうのは本当の話なの、戸棚まで?
新婦  何もかもよ。夫は形も考えて設計図を引いて、板を買ってきて、鉋をかけて、全部よ、ボンドでつけたの、全部、格好いいでしょう!
友人  見事な出来ですよ。君、一体どうやって製作の時間をやりくりしたんだろうな!
新郎  夜、それに休み、昼休みもよくやったな、でも大抵は朝の仕事だった。
新婦  毎朝五時に起きたのよ。そしてせっせと作業したの!
父  これは相当な作業だったよ。わしはいつも家具は嫁入りに持たせてやると言っていたんだが、彼はいやだと言うんだな。
   まるでヨハネス・ゼーゲミュラーのケースみたいだったよ。その男は……
新婦  どうしても全部自分で作るんだって決めてたの。後で他の家具もお見せするわ!
妻  でもどれだけもつかしらね!
新婦  あなたや私たちのみんなより長くもつわ! ポイントをちゃんと押さえているもの! ボンドだって自分で調合したのよ。
新郎  家具屋で売っているやくざな品は信用できませんからね!
夫  それは実に素晴らしい考えだよ。家具と共生しているわけだ。そこにもっと注目すべきだよ。
   君だって(妻に)もう少し自分のことは自分でやってくれるといいんだがなあ。
妻  そうよ、いつもいつも私が悪いのね、あんたじゃなくて。うちのはいつもこういう人なのよ!
夫  そんなことを言ったんじゃないんだ。分かってるだろう!
父  ヨハネス・ゼーゲミュラーの話は実に面白いんだよ。
新婦  私はパパの話を面白いだなんて思ったこと一度もないわ。
121名前なし:2009/11/27(金) 18:11:55 ID:lhK7HcO0
妹  そこまで厳しく言わなくてもいいじゃない、マリア!
新郎  僕はお義父さんのお話は素晴らしいと思うけど。
友人  見事ですよ! 特に後につく落ちが素晴らしい!
新婦  でも長ったらしいわ!
新郎  馬鹿を言うな!
友人  明解! 簡潔! 具体的だ!
妻  時間もたっぷりありますものね!
父  私はとても手短に喋れるんだがね、二言三言で、そうだな、六センテンスか七センテンスだ、それより長くはならない……
友人  またもや香しい匂いがしてきましたね!
母  生クリームつきのプディングですよ。
友人  もう何も食べられなくなりそうだ!
母  ヤーコプ、ここをお取り! でも生クリームを獲りすぎちゃ駄目よ! 少し足りな目だから! さあ、どうぞおあがり!
妹  生クリームは何よりの好物だわ。
若い男  本当ですか?
妹  ええ、口いっぱいに頬張るもんですよ! そうすると歯があることなんか忘れちゃうわ!
新郎  お義父さん、もっとシロップですか?
父  ゆっくりやろう、ゆっくり。ヨハネス・ザーゲミュラーはたとえばいつも言っていたよ……
新婦  生クリームはおいしいわ、お義母さま、このレシピ教えてくださいね!
新郎  でも彼女はママみたいにうまくは絶対に出来ないさ!
母  卵が二つも入っているのよ!
新婦  そんなに沢山入れるんですね!
妹  そりゃそうしなきゃ。でなきゃろくなものは出来ないわ!
妻  とりわけ卵が大切よ!
122名前なし:2009/11/27(金) 19:17:19 ID:5d+uxAwX
友人  (ヒヒヒと笑って笑いを飲み込む)卵ねえ、ヒヒ費、卵かあ、へへへ、こいつはいいぞ……
    卵はよかったね、最高だよ、卵が入らないとろくでもなくなるんだ、へへへ、全く素晴らしいな……へへへ。

(誰も一緒に笑わないので、慌てて笑いをやめ、急いで食べる)

新郎  (彼の背中を叩いて)おい、どうしたんだい?
妹  ほら、卵が馬鹿受けしちゃったのよ!
友人  (また笑い出す)すごくいいんだよ! 見事だ! 僕は卵には脱帽したぜ!
父  そうか、卵か。死んだ母さんがな、わしが旅に出る時卵を一個持たせてくれたんだ。
   固く茹でてあるかって聞いたら、石みたいに固いわと母さんは言った。
   そうさ、わしは母さんの言うことを信じて卵を包んだ。その時わしはまだ……
新婦  パパ、生クリームを取ってくださらない!
父  ほら! その時わしはまだ……
妻  (悪戯めかして)あなたたちはベッドまで自家製なの?
新郎  そうさ、くるみ材でね。
新婦  凄く格好がいいわよ!
妹  ただちょっと広すぎる、と思うわ。
妻  それは自分で作ったせいじゃないかしら……
夫  まだ見てもいないじゃないか……
父  本当ならお前たち向きの素敵なベッドがあるなと思っていたんだ。
   しかも相続した品だ。年代物の価値もある代物だ。それに実に巨大なベッドだったな。
友人  そうでしょう、昔の人はやり方を心得ていましたね。
若い男  昔の人は出来が違っていたんですよ。
父  人が変わればベッドも変わる、とフリッツ・フォルストは言っていたよ、こいつは全く独創的な男だったよ。
   たとえばある時彼は教会に入っていったが、もう神父さんが……
母  (登場)今度はクッキーですよ。あなたはワインを運ぶのを手伝って、マリア!
父  待ってくれ、水洗便所で面白い話があったぞ、まずそいつを話さなきゃならないな! 水洗便所が設けられるようになった頃……
新郎  まずワインをやってくださいよ、お義父さん! こいつは口にはいいお湿りになりますよ! (ワインを注ぐ)
123名前なし:2009/11/27(金) 19:18:46 ID:5d+uxAwX
友人  大体色からして素晴らしいじゃないですか! それにこの香りもいい!
母  ずっと二人だけで何を話しているの、あなたたちは?
妹  (ぱっと離れて)私たちのこと? だったら別に何も! この方は私に……
夫  (若い男に)なぜあなたは三分前からひっきりなしに私の足を踏んでいらっしゃるんですか? 私はふいごじゃありませんよ!
若い男  失礼しました、私はただ……
夫  ただ、こう思われたんでしょう、考え事をしているんだから構わないって。しかし両足を使って考え事をなさるのはやめてください!
母  ヤーコプ、あんたのグラスをちょうだい。
妻  分別臭い顔してご託宣を垂れたりするより、ワインを飲んだほうがましじゃないの? 
   あんたに分別なんてあるのかしら? いつもはただ際限なく飲んでるくせに!

(静寂)

友人  あなたはちょうど先祖から相続したベッドの話をなさろうとしておいででしたね、途中で切れちゃいましたよ!
父  そうだ、ベッドの話でした! 思い出してくださって本当にありがとう! あのベッドでわしの一族が何人も大往生を遂げたんだよ、マリア!
新郎  それでは生きている者のために乾杯しましょうよ、お義父さん! 乾杯!
一同  乾杯!

夫  (立ち上がり)ご列席の皆さん!
妻  何かする気なら、口に蓋をすることね。

(夫、座る)

友人  なぜスピーチをなさらないんですか? 奥様が仰ったのはただの冗談でしょう?
妻  うちのは冗談なんか解する人じゃありませんよ!
夫  何を喋るつもりだったか忘れてしまいましたよ。

(若い男、立ち上がる)
124名前なし:2009/11/27(金) 19:20:08 ID:5d+uxAwX
妻  しーっ!
母  ヤーコプ、またチョッキのボタンをおかけなさい、だらしがないですよ!

(この瞬間に外で教会の鐘が鳴り出す)

妹  鐘だわ、ミルトナーさん! さあ、スピーチをなさらなきゃ!
友人  お聞きなさいよ! 何と素晴らしい響きでしょう! まさに祝祭的な気分じゃありませんか!
妹  (食べ続けている新郎に)しーっ!
新婦  食べさせておきなさいよ!
若い男  (ぴんと直立する)二人の若い男女、純潔な女性と人生の荒波に立ち向かうまでに成人した男性が、
      婚姻を結ぶ時は、天国でも天使たちがそれを寿いで合唱すると申します! 
      うら若き花嫁が(新婦の方を向いて)子供時代の麗しき日々を回想する時には、恐らく仄かな憂いに襲われることでありましょう、
      というのも彼女は今人生の只中に、敵意に満ちた人生に一歩を踏み出したからであります
      (新婦は嗚咽する)もちろん一人ではなく経験豊かな夫となる人を携えてであります、
      この新郎は今や自らの手で家庭を築き上げられた、この場合は文字通り自家製の家具まで作り上げられたのでありますが、
      それも彼の心が選んだ女性と喜びも悲しみも共にするためなのであります。
      だからこそ、この二人の高貴な若い人の子たちの繁栄を祈って乾杯しようではありませんか、
      お二人は今日始めてお互いのものになられ(新婦、笑う)そして今後永久にお互いのものであられるでしょう! 
      ではお二人に敬意を表して、リスト作曲の「そはいとも奇しくあるかな」を歌おうではありませんか。
      (歌い始めるが、誰も唱和しないので、すぐに座ってしまう)

(静寂)
125名前なし:2009/11/27(金) 19:21:25 ID:5d+uxAwX
友人  (抑えた声で)歌は知らないが、スピーチはよかったね。
妹  素晴らしいわ! 見事なスピーチね! そのまま印刷できるわ!
夫  八十五ページにあるんだよ、結婚式祝辞集って本のね! それをしっかり暗記したのさ!
妻  恥ずかしくないの!
夫  俺がか?
妻  そうよ、あんたよ!
友人  ワインは最高だね。

(鐘の音がやむ。みんなくつろぐ)

父  そうだ、ベッドの話をしようとしていたんだった。
新婦  あら、その話ならよく知ってるわ。
父  大叔父さんのアウグストが死んだ話だよ。
新婦  ええ、それよ。
新郎  大叔父さんのアウグストはどんな風に亡くなられたんですか?
父  話さんよ、今だってわしの卵の話を途中で切ってしまったし、それからとても面白いのに水洗便所の話もフォルストの話もカットされた、
   ヨハネス・ゼーゲミュラーの話などは全然喋る気がしないよ。これは本当に長くなるからな、
   だが長いといってもせいぜい十分だぞ、そうさな、後で話せるかな……それじゃあ……
母  ヤーコプ、注いでさし上げたら!
父  アウグスト叔父さんは水腫で死んだのだよ!
夫  乾杯!
父  乾杯! 水腫だよ。最初は片足がむくんでいただけだった、それも指の所だけ。しかしそれから膝まで来てな、
   そうなったら妊娠したみたいにどんどん進行していって、もうお先真っ暗ということになってしまった。
   お腹もどんどん張ってきて、水を抜いたが……
夫  乾杯!
126名前なし:2009/11/27(金) 19:30:00 ID:5d+uxAwX
父  乾杯、乾杯! 腹水を抜いたがもう手遅れだった。おまけに心臓の障害も加わって、これが悪化を早めたようだったな、特に足がそうだった! 
   そこで彼の妹が、これがお前たちのお祖母さんだが、断末魔の彼に向って言ったんだよ、明け方だったかな、
   部屋はもううっすらと明るくなっていたよ、確かカーテンもかかっていたと思うな。
   で、彼女は言ったんだ、「アウグスト、神父さんを呼ぶかい?」ってね。彼は何も言わずにじっと天井を見つめていた---
   もう七週間もそうやっていたんだ、寝返りも出来なくなってから、まだそんなに長いこともっていたんだよ---
   それから言ったね、「やられているのは主に足だ」と。それからまた呻きだしたね。
   しかしわしのおふくろさんはそんなことでは引き下がらなかったね、だってこれは魂が救われるかどうかの問題だと思っていたからね。
   そこでたっぷり半時間ほど待ってから、「アウグスト、では神父さんを呼ぶかね?」と言った。
   叔父さんはそれを聞こうともしないんだよ。そばにいたわしの親父さんは、おふくろに「放っておいてやれよ、苦しいんだから」と言った。
   親父はとても気が弱かったんだ。しかしおふくろは承知しない、何しろ魂の問題だし、女ってものはみんな頑固だから、また始めたんだよ、
   「アウグスト、これはあんたの来世の魂の問題なんだよ」ってね。そうしたら、これは親父に後から聞いたんだが、
   叔父さんは壁から目を皆の立っている左手の方に向けるというか、横目で見ることになったんだが、
   ここではとても言えないような言葉を口にしたんだよ。実にむくつけき言葉だ、大体叔父さん自身がそういう人間だったんだ。
   わしには本当に言えんな……だけどこれを言わないと話が……やっぱり言わなきゃな、言わないと話が分かってもらえないからな。
   叔父さんは言ったんだよ、「○○食らえ!」ってな、そら、分かるだろう。大骨折ってこう言い終わると、
   みんなも察しがついただろうが、そこで死んだんだよ。嘘偽りない話だよ。
   そのベッドもまだあるし、お前たちのために屋根裏部屋に置いてあるから、今なら取りに来てもいいんだよ。(飲む)

(静寂)
127名前なし:2009/11/27(金) 20:09:32 ID:5d+uxAwX
妹  もう何も飲む気がしなくなったわ。
友人  何でもそう深刻にとられることはありませんよ、お嬢さん。さあ、乾杯! 非常に素敵なお話だったというだけでしょう。
新婦  (新郎に、小声で)ねえ、父のあの下品な話はやめてもらえないかしら。
新郎  話したいんだから好きにさせておけよ。
若い男  照明も実に素晴らしいと思いますね!
母  ヤーコプ、クッキーをナイフで切るんじゃありませんよ!
父  ちょっとばかり手作りの家具を見せてはもらえんだろうか?
新婦  構わないわ。
友人  この椅子は幅が広いってところが大事なんだよ。二人座れそうだぜ。
妻  足がちょっと細すぎないかしら!
若い男  足がほっそりしている所が---魅力的なんですよ!
妻  どうしてそう言えるのかしら?
母  ヤーコプ、どうしてクッキーを手で食べないの?
妻  (立ち上がって歩き回る)これがソファーね。広さは十分かもしれないけど、
   上のクッションのこういうキルティングは実用的じゃないわね。自家製だとこういう所は……
新婦  (立ち上がって)戸棚はとても素敵じゃありません? 特にこの切り込み細工! 
     他の方たちがこういう趣味を全然お持ちじゃないっていうのが私には分かりませんわ。
     何がしかのお金を払ってそれで家具を一つ手に入れる、それじゃあただの品物としての家具でしょう、
     魂が何もこもっていないただの家具を購入したというだけですよ。私たちは私たち自身のものといえる家具を持っています、
     どれにも私たちの汗が染み込んでいるし、愛情が注がれています、だって自分の手作りなんですもの!
夫  お前、こっちへ来て座りなさい!
妻  それはどういうこと? 私は戸棚の中も見たいのよ!
夫  余所の家の戸棚の中なんかのぞくものじゃないよ!
128名前なし:2009/11/27(金) 20:10:37 ID:5d+uxAwX
妻  ただそう言っただけよ。でも、いつだってあんたの方が物知りなんだから。では、やめることにするわ。
   この戸棚は外側から見ると本当に特に立派とは言えないんじゃない、この切り込み細工なんて近頃は全然流行らないし、
   カラフルなカーテンつきのガラス扉を使うんじゃない---でも、中側から見れば素敵かもしれないからそれを見てみたいのよ。
夫  分かったから、さあもう座りなさい!
妻  そんな口調で言うの? また飲みすぎたらしいわね! もっと水を割ってあげるわ、あなたは弱いんだから。
新郎  でも、ごらんになりたいんでしたらどうぞ。興味を持って頂いて嬉しいですよ。ほら、これが鍵だ、マリア、開けてさし上げなさい。
新婦  ええ、でもちょっと……これ本当にここの鍵? 回らないわよ。
新郎  渡せよ! 君もこれから覚えなくちゃいけないな。錠前の方も僕が取り付けたんだ。
     (開けようとする)畜生! 何だ! この野郎! (激怒する)くたばれ!
新婦  ほら、あんたにも開かないじゃないの!
新郎  多分錠が回りすぎちゃったんだ、僕にも分からないぞ、これは。
妻  まだ中にもそんなに入っていないんでしょう。だったらわざわざ開けることもないわ。
   錠を開けるのもきっと相当大変そうですものね、この戸棚は。それがこの戸棚の欠陥ね!
夫  (威嚇するように)ここへ座れ! これ以上聞いてはいられない!
妹  あら、どうしてこんなにぽかんと立っているのかしら、少しダンスしません?
若い男  そうだ、踊りましょうよ! テーブルを片付けましょう!
新郎  ダンスはいいな! でも音楽は誰がやるんだ?
友人  ギターなら弾けるよ。廊下に置いてある。(ギターを取ってくる)

(みんな、立ち上がる。父と夫は下手に行って腰をおろす。二人は煙草を吸う。新郎と男はテーブルを持ち上げて上手に運ぶ)
129名前なし:2009/11/27(金) 20:13:27 ID:5d+uxAwX
若い男  気をつけて下ろしてください!
新郎  そんな必要はありませんよ。乱暴にやっても大丈夫です。(激しく下ろす。脚が一本外れる)さあ、踊りましょう!
若い男  ほら、脚が一本取れましたよ! もっとそっと置けばよかったのに!
新婦  何が取れたの?
新郎  何でもない、大したことじゃないさ! さあダンスだぞ!
新婦  本当に注意が足りないのね、あんたは!
妻  いつだって家具に流した汗のことを考えなければならないんでしょうね! でもよくつくボンドだったらよかったんじゃない?
新郎  なかなか鋭いですな。お相手していただけますか?
妻  最初のダンスは奥様となさらないの?
新郎  もちろんそうでした、さあ、マリア!
新婦  いやよ、私はハンスさんと踊りたいの!
妹  じゃあ私は誰と踊るのよ?
新婦  (女友達の夫に)踊ってやってくださいません?
夫  駄目です。踊ったら家内にどやされますから。
妹  踊ってくださらないと困るわ。私、壁の中の花になってしまいますもの。
夫  本当は踊りたくないのでお願いしていいものかどうか。(彼女に腕を差し出す)
友人  (ギターを持ってソファーに座る)ワルツを弾こう。(始める)

(新郎は妻[新婦の女友達]と、新婦は若い男と、妹は[新婦の女友達の夫]と踊る)

妻  もっと早く! もっと早く! まるでメリーゴーランドみたい!

(みんな、相当早く踊る。それから音楽が終わる)

妻  素敵だったわ。ダンスも悪くないわね! (どっかりとソファーに座る。ぼきっという音。妻と友人は慌てて立ち上がる)
130名前なし:2009/11/27(金) 20:14:20 ID:5d+uxAwX
友人  ぼきっといったぞ。
妻  どこか壊れたのよ。それで私のせいになるんだわ。
新郎  ああ、全然構いませんよ! 修理しますから。
妻  あなたは家具のプロだったわね。これは大事なことだわ。
新婦  あんまり早く踊りすぎたので、どかんと座ったんじゃない?
妻  そうよ、あなたのご主人は凄く勢いがあったから。
妹  お気に召しませんでした?
夫  今日はとてもよかったです。ええ。
妻  あなたは心臓のことを注意した方がいいわよ!
夫  心配かね?
妻  何でも私のせいってことにされますからね。
新郎  また腰を下ろしませんか。
新婦  (友人に)素晴らしい演奏だわ!
友人  踊っているあなたを見ていると素晴らしい!
新郎  さあ、お喋りはやめて! 座りましょうよ! あなたはダンスはお気に召しましたか?
若い男  とてもね。また踊りませんか?
新郎  やめましょう。
父  まだワインはあるかね? 飲みながらだと話も弾むよ。
新郎  テーブルをまた真ん中に持って来ましょう。(若い男と運ぶ)でも今度は気をつけてください! 

(母がワインを持って来る。椅子をもとの位置に戻して座る)

妻  何か歌ってくださらない、私とっても聞きたいわ!
友人  歌はうまくないんですよ。
新郎  うまい必要はないよ。あっさり歌ってくれれば余興になるんだ!
131名前なし:2009/11/27(金) 20:15:47 ID:5d+uxAwX
妻  うちの人もたまには歌うんですよ。ギターも弾くんです。
若い男  そうですよ、歌ってくださいよ!
妻  ギターもここにあるわ!
夫  もう出来なくなってるよ。
妹  やってくださいな!
夫  でもつっかえたら……
妻  つかえるのはいつでもよ。
妹  一曲だけでも!
夫  一曲だけならまだできるかな。
妻  昔はいつもやっていたんですよ、でも私たちが一緒になってからやめてしまったんです。
   彼は夢中になって歌うことで私を退屈させる腕前なのよ。昔はずいぶん沢山の歌が出来たんですけど、
   そのうち次々に忘れていってレパートリーは減るばかり、それに老化現象みたいにつっかえる回数も増えるという始末で、
   今は歌える歌は一つだけになってしまったわ。その一つはまだ歌えるわね!
夫  ああ、それを歌おう。(ギターのチューニングを合わせてから元気に始める)

リーベナウのおばけだ、聞いてごらん!
おばけはいろんな……

(つかえてしまう)おばけはいろんな……覚えてないぞ……この歌も忘れてしまったか……最後の歌だったのに……

妻  老化現象よ!
新郎  平気ですよ。私なんか全然歌えないんですよ
若い男  じゃあもう少し踊りませんか?
友人  そうだ、踊りましょう! 今度は僕も踊りたいよ。ワルツみたいなものならあなたも弾けるでしょう! 
    A7ですよ。お願いします、マリアさん。今度は僕の番でしょう!
妻  でも、私はもう沢山だわ。
新郎  じゃあ見ていましょう。
父  マリアのダンスはうまいぞ。

(新婦と友人、踊る)
132名前なし:2009/11/27(金) 21:11:44 ID:5d+uxAwX
夫  (ギターを爪弾いて)Amaj7はこうだな。
友人  (激しく踊る)凄くうまいなあ、もっと早く。
新郎  ぶっ倒れるなよ!
妻  (新郎に)私だとあんな風には踊らないのね。
妹  あなたじゃ無理なんじゃない?
妻  相手の男次第だわ。
友人  (ダンスを止めながら)頭に血が上っちまうよ。さあ、奥方をお返しするぜ。ダンスは名人級だな。さあ、飲むものをもらえるんだろうな!
父  またテーブルを囲んで座るとしないか? これじゃあ話もできないじゃないか。
新郎  そうだ、みんな掛けてください! (新婦に、小声で)それとももっと踊りたいのか?
新婦  さあ、それじゃあ座る場所を変えましょうよ。(友人に)ここへ座ってちょうだい! 
     あなたは(妻に)あちらに掛けてくれる? (妻は新郎の隣に座る)パパ、あなたは上席よ。
新郎  (ワインの瓶を開ける)さあ飲もう! この素晴らしい気分に乾杯だ!
若い男  しかも我が家で!
友人  自家製の我が家で!
父  乾杯! お前がまだ小さい頃、なあマリア、お前はワインを飲まされたことがあった。
   お祖父さんが面白がってな。お前に躍らせようとしたんだよ、だけどお前は眠り込んでしまった。
妻  では今日もあなた、お酒を飲まない方がいいわね、違う?
夫  私はあなたほどのダンスの名手を見たことがありませんよ。
友人  さて、気分が出てきたぞ。今まではちょっとこう堅苦しい雰囲気があった。でも、それ以外は実に素敵だったよ。
     (立ち上がる)何だこれは。(椅子を見る)ここに釘付けになっていたんだ。
新婦  どこか怪我でも?
友人  木のとげが出ていたんだ。
新郎  平気平気。
友人  ああ、椅子は平気さ。でも僕の一張羅のズボンはどうだ。
新郎  僕に敬意を表してわざわざ着用してくれたのかい?
友人  そうとも、さて歌うか。
新郎  歌いたくなければ無理に歌わなくてもいいよ。
友人  (ギターを取ってきて)喜んで歌わせてもらうよ。
133名前なし:2009/11/27(金) 21:12:27 ID:5d+uxAwX
新郎  いやつまり、気分を害したのなら……
友人  気分は上乗さ。
新郎  でもズボンのことで……
友人  ダンスで楽しんださ。
父  これも神の思し召しだ。フォルストもそう言っていた。
友人  (歌う)

彼の彼女は、熱烈な愛に今にもとけそうになった!
彼は彼女を己のものと感じた
あたりの闇が情欲の炎をかき立てた。
彼女は私たち二人きりだと感じた。
彼は彼女の頬にキスをした
だって彼女は娼婦じゃなかったし
娼婦になる気もなかったから。

手の動きの妙なる戯れで
彼女の胸はかつてないほど張り裂けそうになった。
彼がもっと大胆になることを
彼自身も祈り彼女も祈った。
そして彼女も彼の頬にキスをした。
ただ彼女は娼婦じゃなかったから
やり方のほうは知らなかった。

彼女の純潔を破らぬために
彼は淫売を買いに行った。
そこで女の馬鹿に仕方と
愛の宴のやり方を教えてもらった。
だが娼婦の体の思い出は忘却の淵に沈めた
これまでだって彼は未経験じゃなかったが
ここに来てようやく固く誓った、乱暴になってやろうと。
134名前なし:2009/11/27(金) 21:13:49 ID:5d+uxAwX
彼がそのつもりはなかったのに
欲情をかき立てられてしまった彼女の方も炎をかき消すために
変身して凄い男になった彼に飛びついた。
彼は遠慮会釈もなくなって
彼女を階段に押し倒して
強引にものにしてしまった
それでもこれは彼女には素敵な喜びだった。
彼女も尼さんじゃなかったから
大いに欲望をかき立てられた。

彼の方はあの五月の晩に
彼女の額にキスをしただけだったのは
賢明だったと自分の考えを誉めた。
かくしてマッチョの彼氏と娼婦の彼女は
額に恥じらいを浮かべて告白した
これはただのいやらしいことなのね、と。

(妻、笑う)

新郎  先刻ご承知さ。君の十八番の一つだろ! (妻に)お気に召しましたか? ワインを取って来よう、と。
友人  そうとも、いい歌さ。特にモラルがね。(新婦に)お気に召しましたか?
新婦  私にはよく分からなかったみたい。
妻  あなたをあてつけてはいないわ。
父  (不安そうに)イーナはどこに行ったんだ?
新婦  さあ、分からないわ……
新郎  ミルトナーさんもいないじゃないか。大体あの男は招待されていたのかい?
新婦  家の管理人の息子なのよ。
新郎  ということは下僕だな。
新婦  二人で出て行ったに違いないわ。
父  それはよかったな。だったら今の歌は聞かなかったわけだ。でも様子を見ておいで、マリア!
妻  二人には意味がわかったんじゃないかしら?
夫  あなたのお母様もキッチンでしょう?
新郎  ええ、クリームを作っていますよ。
新婦  (声をひそめて新郎に)猥褻と言ってもいいものだったわね。
新郎  君が奴とあんなダンスをした後のことだぞ。
新婦  私は恥ずかしいわ。
新郎  あのダンスがか?
新婦  違うわ、あんたの友達付き合いがよ! (退場)
135名前なし:2009/11/27(金) 21:15:45 ID:5d+uxAwX
友人  今は最高の気分だぞ。僕は酒を飲むと神様みたいな気分になるんだよ。
新郎  こう言った方がよかったんじゃないか、神様は酒を飲むと、書記みたいになるものだって!
友人  (少し傷ついて笑う)気が利いたことを言うじゃないか、いつもは君は冴えないんだけどな。
夫  あるお話を思い出したぞ。ある時神様がお忍びで散歩をなさった。
   ところがネクタイを締めていくのを忘れたので、正体を見破られて精神病院に入れられたというんだよ。
友人  その話なら話し方を変えなきゃ駄目ですよ! 落ちがきかなくなりますからね!
父  結構な話だが、ヨーゼフ・シュミットは本当に精神病院に入れられたんだよ。そうなったのは……

(妹と新婦と若い男が入ってくる)

妹  私たち、ママのクリーム作りのお手伝いをしていたの。
新郎  構わないさ。こっちも凄く盛り上がっているからね。いろいろなお話も拝聴してね。
若い男  クリームはうまく出来ましたよ。
妻  オーブンで作ったのかしら?
妹  クリームですもの。オーブンなんか使いませんわ。
妻  私がそう言ったのは、お二人が真っ赤な顔をなさっているので、クリームはおオーブンで作ります、と仰るかと思ったからなのよ! 
   (笑って椅子に身を投げる。めりっという)あら! (立ち上がる)
友人  何か壊れたかな?
妻  どうやら椅子みたい……
新郎  そんなはずはない。椅子の上ならいい気持ちになって転げ回っても大丈夫ですよ。三センチの釘を使っているからね。
妻  でももう座る勇気がないわ。ソファーに座るわ。
妹  でもソファーはさっき座ったわ。脚が一本取れているのよ。
友人  (彼女の椅子の下の方を触ってみて)本当にどこかおかしいぞ。今度はとげが出ているんじゃない。でもドレスには気をつけた方がいいですよ。
新郎  (そこに座る)そうだ、椅子だよ、ちょっとうまくいかない所があったんだ。釘が届いていなかったんだな。
     この椅子にこんなに問題があると思わなかったんでね。分かっていたら他のに座ってもらったのに!
新婦  そうしたらこの椅子に座らされていたわよ。
夫  ここに椅子が一つ開いてますよ!

(静寂)
136名前なし:2009/11/27(金) 21:18:16 ID:5d+uxAwX
母  さあクリームですよ。それにグリューワインも!
友人  こいつは凄い! グリューワインか! (体を楽にくつろいで)これは肘掛け椅子のアームだったのさ。
     僕は何も壊しちゃいないぜ! さあ飲もう!

(アームの一方が取れている)

新郎  さあ、いい気分になってくるぞ、乾杯!
一同  乾杯!
新郎  (母に)これはママの健康を祝って!
母  はいはい、でもワインを綺麗な服にこぼしちゃ駄目よ、もうしみがついているじゃない!
父  ちょうど椅子の話が出たから……ローゼンベルク商会の帳場の顧客用の椅子はいつだって座る所がとても低くて、
   膝が頭と同じ高さになるような奴だった。これに座らされると顧客はすっかり弱気にとりつかれてしまうので、
   それでローゼンベルク商会は儲かって豊かになった。当主は高級の建物を買い、
   上等の家具を入れたが、椅子だけは前のと同じやつだった。彼はいつも感動を込めて言っていたよ。
   「私はこんなに質素な家具で仕事を始めたのだ。このことは決して忘れないぞ、
   そうすれば思い上がりの罪に陥って神様に罰せられることもないだろう」とね。
妻  いずれにせよ私は椅子が壊れるようになんて望んでいなかったわ。私には何の責任もないわ!
夫  誰もそんなことを言っていないじゃないか。
妻  だからこそなのよ。これから罪を押し付けられることになっているのよ。
友人  耳障りな雑音が入ってきたな。ギターの弾き語りでもやろうか?
新郎  疲れてないかい?
友人  何で僕が疲れるんだよ?
新郎  踊ったり飲んだりしただろう。君は胃が悪かったじゃないか。
友人  胃なんか悪くないぜ。
新郎  いつも重曹を飲んでいたじゃないか。
友人  でも、だからって僕は病気じゃないぜ。
新郎  じゃあいい、僕はちょっと心配になっただけさ。
友人  気にしてくれてありがとう。でも僕は疲れてはいないぜ。

(間)
137名前なし:2009/11/27(金) 21:43:31 ID:5d+uxAwX
若い男  あなたは「バール」の芝居をごらんになりましたか?
夫  ええ、相当猥褻なものですね。
若い男  でも、あれには力強さがあるでしょう。
夫  とすると、力強い猥褻ですか。弱いのよりたちが悪いですよ。ある作家が猥褻なことに欠けては天才的だったら、
   それがエクスキューズになりますかねえ。卑猥なことはまともな芝居には許されませんよ。

(静寂)

父  現代作家たちは家庭生活というものに泥を塗るようなことをしていますな。これこそ我々の持つ最大の財宝だというのに。
友人  それは確かにその通りですな。

(間)

新郎  さてと。陽気にやろうじゃないか! 結婚式ってものは毎日あるわけじゃない。
     大いに飲んでそんなに畏まって座っていないで下さい! まず僕から上着を脱ぎましょう! (脱ぐ)

(間)

友人  トランプがあるかな? あればタロット遊びができるんだけどな。
新郎  トランプは戸棚の中なんだ。
妻  開かずの扉ね。
友人  のみを使えば開くかもしれないぜ!
新婦  まさか本気でそう仰ってるんじゃないでしょうね?
友人  でも君たちだっていつかは開けなきゃいけないだろう……
新婦  でも今日は開けないわ。
新郎  トランプを出すためにか。
友人  (残酷に)じゃあ、ここで他に何がやれるか言ってくれ!
妻  他の家具を拝見できるじゃない!
新郎  それはいい考えだ! すぐ案内しますよ。

(一同、腰を上げる)
138名前なし:2009/11/27(金) 21:44:44 ID:5d+uxAwX
妹  私はこのまま座っていたいわ!
新婦  一人で? それはないわよ。
妹  でも、なぜ駄目なの?
新婦  ものには限度があるわよ。
妹  じゃ、言わせてもらうわよ、椅子が壊れているから立ちたくないの。
新婦  なぜ壊しちゃったの?
妹  自然に壊れたのよ!
友人  (椅子をそっと触ってみる)そっと座って、気をつけていれば、大丈夫だよ!
父  どうだろう、他の家具を見に行くことにしては。
友人  (妻に小声で)テーブルはまだちゃんとしてますな。
新郎  取り立てて言うほどの家具じゃないんですが……
妻  もちさえすればいいのよ!
新郎  さあ、来いよ、マリア!
新婦  (座り続ける)ええ、行くわよ! ちょっと先に行ってて!

(一同は中央ドアから出て行く。出て行きながら)

妻  (友人に)花婿さんが上着を脱いじゃったわよ。
友人  これは軽率じゃないかな。もう何をやってもいい無礼講ってわけか。

(新婦、椅子に座ったまま嗚咽する)
139名前なし:2009/11/27(金) 21:51:49 ID:5d+uxAwX
新郎  (出てくる)懐中電灯を取って来なくちゃ、電線がどこか切れてるのかな!
新婦  なぜ配線は電気屋にやらせなかったの?
新郎  どうしたんだよ! 君の妹だってあんなはしたないことはしてもらいたくなかったな!
新婦  じゃあ、あんたの友達はどうなのよ?
新郎  軽蔑されたくなかったらあんな踊り方はしちゃいけないぜ。
新婦  それにあのミルトナーだってさ! 純潔の花婿ってところを強調して言ってさ! 
     私、真っ赤になっちゃったから、みんなが気付いちゃったわ。
     あの人、私をこんな風にじっと見つめたのよ。それにあの忌まわしい歌! あの人何かの仕返しをしたんじゃない。
新郎  それにあの猥褻な歌だ! こんな女のことなら構わないと思ったんだぞ。
新婦  よく覚えておいてね、あれはあなたの友達なのよ! 私にはあんな友達はいないわ。
新郎  どうやったら奴らを追い払えるんだ! がつがつ食って、がぶがぶ飲み、煙草を吸い、お喋りし、一向に帰ろうとしない! 
     何といったってこれは僕たちの結婚式じゃないか!
新婦  それも何て結婚式なの!
新郎  そんなにむくれることはないよ。みんなが帰ってしまえば……
新婦  気分を台無しにされたわ。
新郎  二人だけになりたいよ。ああ、みんな戻って来た。
新婦  私はみんなに帰ってもらいたくないわ。帰っちゃったらもっと気まずくなるもの!
新郎  (急いでまた上着を着る)ここは涼しくなってきたな。

(他の連中が戸口に現れる)

父  キッチンでさんざん待たされたよ、寝室の電気がつかなかったからな。
友人  僕らはお邪魔なんじゃない?

(妻、笑いの痙攣に襲われる)
140名前なし:2009/11/27(金) 21:52:59 ID:5d+uxAwX
夫  またどうしたんだよ、一体?
妻  だってとってもおかしいんだもの!
夫  何がおかしいんだ?
妻  何もかもよ! 何もかも! 壊れた椅子も、自家製の新居も! お喋りにしたって! (酷く笑う)
新婦  エーミったら!
妻  何もかもぶっ壊れているの。(笑いながら椅子に身を投げる。椅子は潰れる)あれ、これもだわ。これじゃ床に座るより他なさそうね!
友人  (一緒に笑う)全くそうだな! 野外用に折り畳み椅子でも持参すべきだったな!
夫  (妻をつかんで)お前は病気だよ。そんな狂態を演じていたらどんな家具だってみんな壊れてしまうさ、
   家具のせいだとは言えないよ。(新郎に)失礼しました!
友人  できるだけ気持ちよく座ろうじゃありませんか。楽しい気分になっていれば、何があったって問題になりませんよ!

(みんな座る)

妹  明かりがつかなかったのは残念だわ、ベッドは本当に綺麗なのよ。
妻  そうね、明かりはつかなかったわね。
新婦  ワインを取ってこない、ヤーコプ?
新郎  ワインは地下室だ! 鍵をくれないか!
新婦  ちょっと待って!

(二人は出て行く)

妻  ここも何だか奇妙な匂いがするわね!
友人  さっきはまだ気がつかなかったんだ。
妹  私には別に何の匂いもしないわよ。
妻  分かったわ。ボンドの臭いよ!
友人  だから僕が二人にプレゼントしたオーデコロンをやたらに振り撒いたんだな! いきなり半瓶も使っちまったんだ。
妻  でももう誤魔化せないわ。ボンドの臭いがぷんぷんしてきたもの。

(新婦、戻ってくる)
141名前なし:2009/11/27(金) 21:54:05 ID:5d+uxAwX
父  そうやって敷居の所に立っているお前を見ると、実に綺麗だと思うよ。
   小さな子供の時からもうお前は可愛かったが、今は咲き匂う満開の花のようだよ。
妻  ドレスもよく出来ているわね。
新婦  ありがたいことに、ひだを取る必要がなかったわ。
妻  それはあてつけ?
新婦  さしさわりがあったかしら?
妻  ガラス張りの家に住む者は、人に石を投げつけてはならないのよ。
新婦  ガラス張りの家に住む者って誰のこと?
妻  そのドレスは本当によく出来ているわ、あなたのあれが全然見ても分からないもの……
友人  乾杯、ワインは最高だよ!
新婦  (泣く)そんな、そんな……
夫  これはどういうことだ?
新郎  (戻ってくる)さあワインだ。どうかしたのか?
妹  悪趣味よ!
妻  何が悪趣味だったって言うの?
父  みんな、そう興奮するな、乾杯!
新郎  (妹に)お客様に失礼なことを言ってはいけないよ。
妹  でも、お客だって花嫁に失礼なことを言ってはいけないわ。
妻  私は何も言ってませんよ!
夫  言ったとも。お前は無作法だったよ!
妻  (ぴりぴりして)私は真実を言っただけよ!
新郎  何の真実です?
妻  とぼけるのはおよしなさいよ!
夫  (妻に身を屈めて)ちゃんとするんだ!
妻  妊娠している人は、妊娠中に違いないわ。

(夫、テーブルの脚を一本もぎ取って妻に投げつける。しかしそれは戸棚の上の花瓶に当たる。妻は泣く)
142名前なし:2009/11/28(土) 00:35:51 ID:Y5a4jJya
新郎  (怒り狂って妹に)あれは君がお祝いにくれた花瓶だったな?
妹  大事なものとは思ってなかったんでしょう、あんな所に置いておくんだもの!
新郎  君に答えている暇なんかないよ。だってそれより僕のテーブルが心配だ。(テーブルがまだ立っていられるかどうか触れてみる)
夫  (興奮して部屋中を歩き回る)今私は家内を懲らしめましたが、これで私は乱暴者ということにされてしまうのです。
   いつだってこうなのです。家内は殉難者で私は野蛮人なんですよ。私は七年もそれに耐えてきました。
   問題は私をこんな乱暴な男にしてしまうのは誰かということなのです。
   私は家内のためにこの手を使って働くことで疲れきっていますから、家内を殴ることすら出来なかった。
   私が元気な時には家内は必ずどこか悪いし、私が酒を飲んでいると家内は金勘定をしています、
   そして私が金勘定をすると、あれは泣くんですよ。昔私は自分が大好きな絵を、あれが嫌いだというので捨てなければなりませんでした。
   家内が嫌ったのは、ただ私がその絵を好きだったというそれだけの理由だったのです。
   その後あれは私が床に放り出した絵を拾い上げて、自分の部屋に掛けたんですよ。
   で、私があれの部屋にその絵がかかっているのを見つけると、あれは喜んで「私にはこれでも立派すぎるくらいなの」と言い
   「あなたの捨てたものをこうして拾ってきて部屋に掛けている私って本当に憐れだわ」とぬかすんですよ。
   私も腹が立って、その絵をあれからひったくってやると、この絵一つも持ってはいけないの、と泣くんです。
   これさえも駄目なの、といつも言うんですが、普通なら手が届かないほど高いものをたくさん持っているんですよ。
   彼女はそういう女です、女はみんなそうなんでしょうね。
   結婚式のその日から、男は女主人に仕える動物になるどころか、動物に仕える人間になってしまうんですよ。
   これこそ我々男性を貶めるもので、終いにはどんな仕打ちを受けても当然ということになってしまうんですよ。

(間)
143名前なし:2009/11/28(土) 00:37:02 ID:Y5a4jJya
新郎  (無理に努力して)みんなもっと飲まないのかな。まだ九時になったばかりですよ。
友人  もう椅子が一脚もないじゃないか!
若い男  でもダンスなら出来ますよ!
友人  ダンスはもう結構だね!
新郎  でも、さっきは大分お気に召していたようじゃないか!
友人  まだ鈎裂きを作っていなかったからね!
新郎  ああそうかい。(笑う)それでそうやって大人しくズボンが見えないようにしているわけか。
友人  君の掛けているのが、僕がズボンを破いた椅子じゃなかったかな。
新郎  いや、僕の掛けていた椅子だ。いたんだよ。過去形だ。今はもう椅子とは呼べない代物だからね。
友人  それじゃもう帰ってもよさそうだな。(出て行く)
若い男  どうもありがとうございました。とても素敵な晩でした。でも、まず先に外套を着て来なくては。
妻  私を家まで送ってくださらない?
夫  (部屋を出ていたが、妻の荷物を持ってまた入ってくる)失礼する前にもう一度お詫びをさせて下さい、こんな妻を持っていることを。
新郎  そんなお気遣いは無用ですよ。
妻  家へ帰る気がしないわ。
夫  それがお前の復讐か! しかしもう芝居は終わりだ、厳しい人生の再開だぞ。
    (彼女の腕を取る)さあ行くんだ。(妻と去る。妻は黙ってしょんぼりと夫に従う)
新郎  みんな食うだけ食ったらおさらばだとよ。そして俺たちだけになる、だけど夜はまだ半分も過ぎちゃいない!
新婦  さっきはあんた、みんな帰ればいいと言っていたじゃないの。ごらんなさい、
     あなたって人は言うことがころころ変わるんだから信用できないわ! もちろんあたしのことだって愛していないのよ。
友人  (帽子をかぶって入ってくる、悪意を込めて)もうこのいやな臭いは耐え難くなってきた!
新郎  何の臭いだよ?
友人  ボンドのさ、それもつきの悪いやつだよ。大体こんな粗大ゴミ捨て場みたいな所に客を招待するなんて破廉恥もいいところだよ。
新郎  それじゃ、失礼だが言わせてもらおう、君の猥褻な歌は不愉快だったし、肘掛け椅子を壊していただいて悪かったな。
友人  多分君らは、水脹れのくたばったベッドを新婚祝いに期待するようになりそうだぜ。
新郎  悪魔に食われろだ!
144名前なし:2009/11/28(土) 00:38:22 ID:Y5a4jJya
父  わしらも帰った方がよさそうだな! まだ家具のことでも話があるし、ベッドならばもちろんいつでも用立てられるよ。
   わしはいつだってこう思っているんだ、話をするなら誰とも関係のない話をする法がいいと。
   みんなの好き勝手に話をさせたら、それこそ収拾がつかなくなってしまうよ。さあ帰ろう、イーナ!
妹  素晴らしい晩がこんな終わり方になったのは残念だわ! 何といっても一生に一度しかない晩でしょう。
   ハンスが言っていたわ、そこから人生が始まるんだって。
新婦  ともかくずいぶん大したお手伝いをしてくれたわね。それにあんた、いつからミルトナーさんのことをハンスって呼ぶようになったの?
若い男  もう一度お礼を言わせてください。私には本当に素晴らしい晩でした。

(三人、退場)

新郎  ありがたい、悪魔にも感謝するぜ、やっとみんないなくなった!
新婦  そして私たちの恥をこれから町中に触れ回るわ。何てみっともないんでしょう! 
     明日になれば家の結婚式の一部始終がみんなに知れ渡って大笑いになるわ。
     窓の後にたって下の通りを見下ろし、教会で私たちの方を見て家具のことやつかなかった電気のことを考えるわ。
     クリームが失敗したことも。それにこれが一番嫌なことだけど、
     新婦が妊娠していることも考えるのよ。私は早産だというつもりにしていたのに。
新郎  じゃあ、君は家具のことやそれに費やした五ヶ月の仕事のことはどうでもいいのか? 
     奴の歌った猥褻な歌にみんなが喜んで転げ回ったのはなぜなんだ、それは君が奴ら相手に淫売みたいに踊りまくったからなんだぞ、
     おしまいにはあれで上等の椅子までみんな壊れちまったんだ。それに君の女友達ときたら。
新婦  それにあの歌をやったのがあなたの友達よ! あんたの色も塗っていない家具なんて犬に食われるといいわ、
     見てくれなんてどうでもいいんだ、大事なのは長持ちして快適に使えることだと言ったのは誰だったかしら? 
     あれを仕上げるために五ヶ月も無駄にして、それで遅れたから私のお腹が目立つようになったんじゃないの。
     あのがらくた家具、粗大ゴミ、やっつけ仕事! それでなぜ結婚なんかしたのかしら?
145名前なし:2009/11/28(土) 00:39:28 ID:Y5a4jJya
新郎  そうさ、もうみんなは出て行った、そして僕らの結婚式の夜はこれから始まるんだ。さあその時が来たんだよ!

(間。彼は言ったり来たりする。新婦は上手の窓辺に立つ)

新婦  あなた、なぜしきたりに逆らってまであの嫌な女と踊ったりしたの、
     私は今日まであんな女とは知らないで友達だと思っていたのよ。本当に恥ずかしい!
新郎  あの女が家具の悪口を言ったからだろう。
新婦  それで無理に誉め言葉を言わせようとしたわけ! じゃあ、とてもうまくいったわけね!

(間)

新郎  他の連中のしないことをすれば、そうなるのさ、連中はやっかんで気を悪くするんだ。
     特に奴らがやらない方がいいと思っていることについてはそうなるんだ。それをやったら必ず復讐される。
     奴らはもちろん僕のやった仕事の一つさえやる能力がない、家具を設計したり切込み細工を作ったり、どれもとてもできっこない。
     ところがほんのちょっとしたミス、たとえばボンドがよくなかったなんてことを鬼の首でもとったように言い立てるんだ。
     でも僕はもう思い出したくもないよ!

(戸棚の所に行って開けようとする)

新婦  でも、向こうは思い出すわよ! 私は決してあのことを忘れやしないわ! (嗚咽する)
新郎  ボンドが酷かったことか?
新婦  神様を笑ったりしてると罰が当たるわよ!
新郎  もう罰が当たっているようだぞ! 畜生! 忌々しいこの錠前! こうなったらどうなっても構うもんか! 

(扉を力一杯押すので扉が裂けてしまう)

新婦  錠前が壊れているというんで戸棚まで壊しちゃったじゃないの!
新郎  さて、僕の普段着も取り出せたぞ、君も片付けを始められるよ。まさかこの僕にこのごみための中を歩き回らせる気じゃないだろうな?

(新婦、立ち上がって片付けを始める)
146名前なし:2009/11/28(土) 00:40:26 ID:Y5a4jJya
新郎  (戸棚の所で普段着を着て金を数える)安くはなかったぞ! 地下室からワインを取ってくる必要はなかったな!
新婦  椅子に戸棚にソファー!
新郎  それに糞忌々しい下司ども!
新婦  それにあなた手作りの家具!
新郎  手作りの新居か!
新婦  勝手知ったる我が家の家具!
新郎  だから大事にもするさ!
新婦  (座って手で顔を覆う)それに考えても恥ずかしいわ!
新郎  花嫁衣裳で片付けをすることはないだろう? また駄目にしちまうぞ、もうワインのしみがついているじゃないか!
新婦  そのジャケットを着ているとあんたは貧弱に見えるわね! あんたの顔もすっかり変わっちゃうわ! それもよく変わったんじゃないのよ!
新郎  それに君も老けて見えるな! 泣くとそれが分かるよ!
新婦  もうありがたいものなんて何もなくなったわね!
新郎  いよいよ新婚初夜だ!

(間。それから新郎はテーブルに行く)

新郎  すっかり飲んじまったぞ! テーブルクロスの方が僕よりたくさん飲んだみたいだ! 
     瓶はどれも空っぽだ。でもグラスにはまだ飲み残しがあるな! これから節約しなきゃ!
新婦  何をしてるの?
新郎  グラスの残りを飲んでいるんだ! これなんかまだたっぷり入っている!
新婦  私はとてもそんなことをする気になれないわ!
新郎  何といったって結婚式の晩じゃないか!

(新婦、グラスを取って、脇を向いて飲む)
147名前なし:2009/11/28(土) 16:30:21 ID:/KzaQTjj
新郎  君の純潔に乾杯とは言えないけど、君は妊娠してるからね---
新婦  これは今日のみっともない婚礼の真打だわ! あんたの最高傑作よ! 
     こうなったのは誰の責任なの? あなたが盛りのついた山羊みたいに襲い掛かってきたんじゃないの!
新郎  というわけで、もう夜がやって来る。僕ら二人だけで我が家の壁に囲まれた夜が……

(新婦、辛そうに笑う)

新郎  ……そこで子孫繁栄に励むべし、これは神聖な行為だからな。
新婦  なかなか言うじゃない!
新郎  では君の健康を祝って飲むよ、愛する妻よ、そして我らの繁栄を!

(二人は飲む)

新婦  あんたが言ったことが全て正しいわけじゃないけど、今日がお祝いの日であることは確かよ、
     それはそう厳密に思い通りにはいかないものよ。
新郎  もっと酷いパーティにだってなっていたかもしれない。
新婦  あんたの親友のおかげでね!
新郎  君の親族も酷かったぜ!
新婦  まだ喧嘩しなくちゃいけないの?
新郎  とんでもない! 新婚の夜じゃないか!

(二人は何度も飲む)
148名前なし:2009/11/28(土) 16:31:20 ID:/KzaQTjj
新婦  新婚の夜ね! (むせて激しく笑う)これはおかしいわ! なんという新婚の夜でしょう!
新郎  でも、とにかくそうだ、そうじゃないわけがあるか! 乾杯!
新婦  あの歌は本当に品がなかったわ! (くすくす笑う)「遠慮会釈もなく強引に」そうよね! 「階段に押し倒した!」
新郎  (腰を浮かせて)それにお義父さんの話ときたら!
新婦  それに妹が廊下で! 死ぬほどおかしかったわ!
新郎  それにあの自堕落女が床に転がりそうになったざまときたら!
新婦  戸棚が開かなかった時のみんなのぽかんとした顔も!
新郎  幸い奴らに中だけはのぞかれずに済んだな!
新婦  あの連中がいなくなってよかったわ!
新郎  騒ぎまわって汚いことしかしない。
新婦  私たち二人で十分じゃない?
新郎  今は二人だけじゃないか。
新婦  このジャケット、どうも見栄えが悪いわ!
新郎  このドレスもだぞ! (前をびりびりと破く)
新婦  これで駄目になったわ!
新郎  構うもんか!
新婦  まあ、乱暴なのね!
新郎  君は可愛いよ! この真っ白な胸!
新婦  痛いじゃないの、ダーリン!
新郎  (ドアまで彼女を引きさらって、ドアを開けると、ノブだけ彼の手に残る)これはノブだぞ。
     ははは。こいつまでか。(それを赤いランタンに投げつけると、ランタンの灯かりは消えて落ちる)
新郎  さあ、おいで!
新婦  でもベッドまでさあ! ははは!
新郎  それがどうした? ベッドがどうした?
新婦  あれも壊れるわよ!
新郎  構うもんか! (彼女をさらって行く)
149名前なし
(暗転。ベッドが潰れる音が聞こえる)