夜の随想

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231旅路1/2:2006/04/13(木) 21:10:51 ID:BHQZUlOQ
古い舞台を掃除しながら
壁にかける絵画のことを思うのだ
麻糸とブラスの板でできた
オブジェをおく机を磨きながら
言葉を発さないのは
君とのロマンスをこれ以上
考えないことだ
愛に節度を持たせたくない
ロマンスの彼方には
悲痛な面持ちの肖像がある
終幕にちかづくと
Demonがあらわれるのだ
Demonの訪れは予想できない
宗教を違えていても
あらわれることが
あるからだ
苦悶をこらえる男の肖像だ
また墓掘り人を
やとわなければならない
Arlequinのように
ぶら下がってくるDemon
の綱を切りたい
232旅路2/2:2006/04/13(木) 21:11:36 ID:BHQZUlOQ
遠くなる背中
無限に小さくなるシルエットを
感じ続けるのは
虚しいことだ
人はこの舞台の果てへ
ただ歩くだけだ
桜木の下を散歩して
目礼を交わすだけですまないのは
悪魔のかけた魔法だ
黄色い水仙は
地獄を周遊する精霊のあしあとだ
そう知らなければ
この川のむこうではやっていけないよ
もうロマンスを演じたくない
舞台上の未来は
過去と同じくらい明るい
ふたつの木の実の差異を愛したい
絵画のなかにある絵画を
悪魔の言語を知らない
えごのきの芽を
飾りたいと思った
233 ◆USgE9QYRzI :2006/04/16(日) 02:04:02 ID:u2Dq1kHk
夜の随想

神さまが夜をあけてくださりゃ、またいいこともあるでしょう
とサンチョが言った

眠るがよいぞ、サンチョ
とドン・キホーテが応えた
234 ◆aEIhsf82gY :2006/04/16(日) 02:07:10 ID:u2Dq1kHk
お前は眠るために産まれてきたのだからな
しかし、わたしは寝ずの番をするために産まれてきたのだから、
これから夜が明けるまでの時間、思いを自由に飛翔させて
それを
ちょっとした恋歌のなかに発露させてみせようぞ
235 ◆taNtKOqPCk :2006/04/16(日) 02:12:04 ID:u2Dq1kHk
おいらの考えじゃ、とサンチョはこたえた
恋歌をつくらせるような物思いというものは
それほど深刻なものであるはずがねえんだ
それはそれとして
お前さまは好きなだけ歌をお作りなさいましよ
おいらは出来るだけ眠るようにするから

こういうとサンチョは必要なだけ、たっぷりと地面を確保すると
そこに横になってうずくまり
安らかなねむりに入った
236[・_・] ◆AeFE2JE3nM :2006/04/20(木) 17:51:52 ID:ET2ufYPZ
そうだね ──と率直な詩人もこたえた。

  ぼくはぼくの糞の匂いを嗅ぐだけだ。
  他人の糞なんて、耐えられないね。

なるほど。
そこで、またまた提案なのだが──と[・_・]は言った。
とりあえず「そうだね」という言葉から、レスをはじめる事にしてはどうだろう。
    誰の内面も詮索しないで、ただ機械的に「そうだね」「もっともだ」と言ってみない?
    ↑
(この「誰」という言葉には、自分自身も含まれる)
237名前はいらない:2006/04/21(金) 00:36:39 ID:54L+K6NR
そうだね
ただ同じ言葉を繰り返しても別に悪いことではない
けっして命令がましくはないセラピストみたいに振る舞まうことは
単純なプログラムにだって出来る
簡単な仕事のようだし
238 ◆TPDxMezcT2 :2006/04/22(土) 00:05:35 ID:1T9ZrPrq
ageもsageもご自由にしていただければと思います。あまり私が何か言うのも変ですが、
>>1で余計なことを定めてしまったがゆえに。当初気紛れにageたりしましたが、
途中から引っ込み思案にsageはじめたのは何故だったかな。
パルケ・エスパーニャに行った記憶が。
239 ◆TPDxMezcT2 :2006/04/22(土) 00:06:49 ID:1T9ZrPrq
皆で使おう、ということです。たんに私はsageを好むと言うだけでした。
240経文1/2:2006/04/22(土) 00:09:31 ID:1T9ZrPrq
春の朝はまた晴れた
また不安が襲ったが
そのことを日記に書けない
日記を読み返す度に
感傷のうき目に遭いたくない
僕の行く先に付きまとって
僕とともに死なない
唯一なものだ
人間の運命を離れて生き続ける
無数の運命だ
悲運の集合が象徴を形づくって
太陽のかげに隠れている
月面を介した
水銀のような視線を
猫のように追い払えないが
また夜明けが近づいている
あんまり眩しい
不幸のシンボルが
のぼってくる
とうとう水仙が枯れた
生かしたり殺したり
するのは人間だけでもない
水仙も咲いたり
つぼみをつけなかったり
太陽をこばむだろう
幾つも禁忌を重ねて
深い地獄に落ちるだろう
しかしこのパラドクスに
比べればどうということもないよ
咲かせては枯らすだろう
241経文2/2:2006/04/22(土) 00:10:27 ID:1T9ZrPrq
この
不安のしたたりのなかにも
永遠はない
はてしなく遅く
死のうとしているだけだ
このような自由は
望むべくもないよ



晴れたので午後は
傘をかわかしていたが
あまり慣れなかった
アオギみる事が出来ない……
限りなく
死に近い生だ
生命の異常を感じていたくない
この光りのなかで
一足早く燃え尽きようと
しているのだ
この光りを受けて
肌が黒くなる
人間が永遠に消え去るまで
見まもってくれる最後の光りだ
そしてうす明るい日暮れのなかを
歩いて帰った
経文のごときかえるの声が
きこえそうに
暑かった家路をいそいだ
242夜会:2006/04/22(土) 00:11:26 ID:1T9ZrPrq
誰も
酒を飲める者はいなかった
道徳が邪魔した
法律がじゃました
恋愛がじゃました
クルミばかり幾つも割って
その宴は硬い山と椎のテーブルの陰に
永遠にかくれた



朝か昼だけに
花を開く植物があるという。
幾度も繰り返すから
早くしおれるのだと
思っていたが、
蕾がつくことこそ
滅びへの道ならば、
僕は写真を撮って満足してしまおう、
そして、永遠にそれを忘れ去るだろう。
243:2006/04/28(金) 22:54:06 ID:U1tk3vED
菜の花の季節ですね。

※スレッドが700番を超えたので、ちょっと危険領域ですね。
  近々、一度上昇させた方が良さそうですよぅ。
244 ◆TPDxMezcT2 :2006/04/29(土) 01:02:03 ID:t/LhbOel
>243
ご忠告ありがとうございます。
お気にかけていただいて、すみません。そうでしょうか。
書き込みがあると案外消えないものだと思うのですが、
やはり700を越えると問答無用に削除となるのでしょうか。
研究不熱心で申し訳ありません。と言うわけで、近々、明日にでもageてみましょうか。
NHKふうに言えば、大型連休の到来により、暇ができましたが故に。
一寸前に菜の花が咲いてるのをみましたけど、今が全盛期ということでしょうか。
245監獄1/2:2006/04/29(土) 01:03:13 ID:t/LhbOel
Angieよいかに
君の感ずる現実を示しても
雨後の路面のように
その眼球には青空がうつるだけだ
線路の脇の林に
ウグイスが鳴いている。
帰るべき現実を
見失わないことだ
磨かれたシンクに残る水滴の
なかを通ってくる光りのように
やがてまた雨が降り始めて
眠りを誘うだろう
クスノキの葉も降ってくる
パリの監獄の暗闇から
立派な髭の紳士が
こちらをのぞいている。
246監獄2/2:2006/04/29(土) 01:03:50 ID:t/LhbOel
彼も囚人だ
死んだ版画家が
彼の罪状を知っている
ブレイクのペン画のような
版画だ
山奥ではカエデの青い葉が
無数に茂っているだろう
もう薔薇も
咲いているかもしれない
君の肛門のような……
割れた鏡のなかから
正しい破片を探さなければ
ならない君の負い目だ
正しい裂け目に帰って酩酊せよ
鋭い視線を感じ続けよ
さもなくば刑期を
満了しえない
この雨も
人間まで洗い流さない
噴水で遊んだことも
あったと思う
現実のなかで
確かに魂は燃えている
ちょっとした言葉づかいが
この部屋を明滅さすのだ
この部屋のなかを。
247名前はいらない:2006/04/29(土) 01:14:59 ID:t/LhbOel
やっぱり今やっとこ。鉄は熱い内に。失礼します。
248松明:2006/05/01(月) 15:39:31 ID:2ZItZlVC
この坂をくだって
ナンテンの赤い封蝋をくだいて
また夏が帰ってきた
長い手紙のように
いくばくかの雨滴にぬれて
あけびの話を
しきりにしゃべった
ムラサキの実と花が
松明のかげで見る桜のように
うら悲しく思われて
自裁の願望がにわかに
想起されるのだと
まだ四月の川縁のお茶屋で
揺れる柳を並んで見たが
どんな幸福もこの長椅子のように
人間のものに過ぎないと思うと
淋しくて人間的感動のなかに
身を投げたいとも思うよ
蓬餅を幾つかつまんで
日が暮れないうちに別れた
紫のアヤメを発見したら
それから夏が始まるのだ
249 ◆TPDxMezcT2 :2006/05/01(月) 15:41:58 ID:2ZItZlVC
漸く4分の1を消費したということですね。
250神代1/2:2006/05/15(月) 03:07:16 ID:WjNmrLlf
幸福とは何か考えているうちに
幸福を感ずる能力がなくなる
考えることと感ずることは
やはりどこか違っている
しかし両者を峻別できない
ギリシアでは
同じ川の流れに
神も人もその身を清めたであろう。
しかしまた幸福が呼んでいる


死と生が混乱するいま
どんな悲しい話も
涙するにたりない
人間という存在の中で
悲劇が反響しているにすぎない
でも排ガスで
すっかりしおれた草花も
あるにちがいない
痩せた軍隊のように佇む
立ち枯れした街路樹を見て思うのだ
旅から帰って
古いフレーズを探しあてなければ
 ならない
葉を落としきった男たちが
なんとなくこっちを見ている
251神代2/2:2006/05/15(月) 03:08:28 ID:WjNmrLlf


悲劇ばかりでなく
もうどんな祈りも挨拶も
あらゆる言語にも愛想を尽かして
青い顔をした人が窓辺に立っている。
こんな時にふと思うのだ
人間の中に戻って来て……
水をかぶったトーストパンが
床の上で干からびて
女は片足が裸足であった。
大いなる殺戮も人間を殺しただけだ
キリスト教が分かれた時
ある方は中国へ去り
中世の異端や魔女だって
まだ生きているかもしれず
父の額を割って生れた
女神も

畢竟神との
永遠との
幸福との関係を相対化してるにすぎない
近頃
多くの人が路頭に迷っているという。
路上には夜毎星が出るし朝焼けも見られる
彼らは昼となく夜となくさまよう
歌の一節に感銘を受ける時
それはまさしく過去において歌われたもので
 あった
この平坦な道の上で
永遠に踏み迷うのであろう。
女の埃っぽい頬
252 ◆TPDxMezcT2 :2006/05/15(月) 03:09:47 ID:WjNmrLlf
テスト、テスト
253 ◆t9HhWA04T. :2006/05/15(月) 03:11:51 ID:WjNmrLlf
まあこんな感じで良いトリップ探しつつあります。
254薔薇 ◆TPDxMezcT2 :2006/05/18(木) 23:08:32 ID:fYLKV23N
わずかの逡巡もなく
僕の元から去る人を、
止める術はない、
彼女のゆき先の
見当をつけるだけだ
黄金色の朝陽が
乾霧に浸りきらぬうちに。
彼女はどこかへ帰るのだ、
僕という存在の外部へ
去ろうとするのだ
外からの声は聴えない
人間の存在は巨大な円
僕のごとき 矮小なる存在の集積
一個の薔薇状果
花托の陰をさまよう
幻影の
ダンの
ダンテの
少女
永遠に充ちる薔薇の木
もはや何も聴えない
恋愛の思い出
思い出は永遠の……
オーかの暗い森で解いた髪を
どうしているのか今
聖人の呼吸のごとくに乱れて
消える


聴け、おのれの存在の涯に
別離の瞬間に
初めて響く声があるにちがいない。
255名前はいらない:2006/05/18(木) 23:10:10 ID:fYLKV23N
着けると変なのだけど、やっぱり着けよっ。どうでもいいですね。
256夏の水田 ◆TPDxMezcT2 :2006/05/26(金) 22:57:03 ID:ZV1XpqcH
春のおわりの風にさざめく
くすのきの葉が
絶え間なく落ちてきて
町の陰につもった
すべての理想は失墜した
人々が石炭のように
役所のなかで燻っている
農夫がいつの間にか田に水を引いて
アメンボウが木陰の方へ滑った
その方向に夏のおわりが待っている
ささやかな波が生れては消える
この曲線をなぞる光りが
かすかな音を立てて
アヤメの咲く畦にいる
聞き耳を立てる者の
脳髄を湿そうとする
断続的な細波の消失は
人類の希望にすぎない
田の底のように
ひび割れた土壌の
それでも体内を駆け巡って
涙となって出てくる
257君の名は ◆TPDxMezcT2 :2006/06/07(水) 15:07:45 ID:vIDeHdiA
君は
眠っているものを知らずに済んだ
たった数日の間叫喚するために
何年も待ち続ける蝉を体現した
それでも
君は生れてからの方が長かった
人類としての
生命が短かったに
すぎなかった
ヒグラシの鳴き声と
蘇芳色の夕陽が
はいって来る!
ついに君は
ウツセミのようになってしまった!
百合の根のような成虫をひり出した
玉葱の皮のごとき!
しかし
あまりこのような悲惨を考えても
仕方がない
眠りにつくものを
君はついぞ知らなかった
ああ
目覚める可能性の
ないものを
いつくしむことは出来ない
その可能性そのものが
愛情の直接な対象に
なるからである
その可能性を
危惧する場合に
おいてもである
258(つづき) ◆TPDxMezcT2 :2006/06/07(水) 15:08:31 ID:vIDeHdiA
君の死について
人々は悲しむことしか出来ない!
秋に続く小路をはずれて
まだ青いススキの草むらに分け入り
宝石を投げ込んだ
川面をながめれば
オルフェウスの死相が
浮かんで
くる
259リーフレイン:2006/06/07(水) 21:36:38 ID:UbtaNWyE
突然失礼いたします。
実は、詩板本 2冊目 というスレッドにて、2005年に投稿された詩作品から
同人誌本を作ろうという企画を開催しております。
大変恐縮ですが、sarasen氏の 秋雨 を掲載させていただきたく。
掲載許可をいただけないでしょうか?
本は、7月2日の東京ポエケットにて配付の予定をしております。印刷部数は100部のみで、
利益は発生しません。(売価500円の予定) 6月14日までにお返事をいただけると幸いです。
260 ◆TPDxMezcT2 :2006/06/08(木) 01:03:07 ID:77g1Okmz
初めまして、ご連絡ありがとうございます。
お急ぎの模様ですので、この場で即断するという形になりますが、
わたくしは、謹んで辞退申し上げます。
四名の方々から、ご指名いただきまして、
既に、たいへんな栄誉に浴しているものと思われ、
わたくしには、それ以上のことは望むべくもありません。
ご好意を無下にしたいわけではありません。
ご理解いただきたいと存じ上げます。
編集長というものは、重大な役目であると窺われますが、
無事刊行に至りますことを、陰ながら応援させていただきます。
ありがとうございました。
261:2006/06/08(木) 22:47:45 ID:ve+ghb4R
…ちょっと残念だな。
でもsaracenさんらしい、とも思ったり。

雨の季節が来ますね。
262リーフ携帯:2006/06/08(木) 23:06:34 ID:TawCvMhu
お返事ありがとうございます
了解いたしました。
いつもこちらで楽しませていただいております。
ありがとうございます。
263名前はいらない:2006/06/14(水) 19:36:42 ID:dcrx0n/h
地下スレ撲滅運動の会
264 ◆TPDxMezcT2 :2006/06/16(金) 21:26:03 ID:KLhNrQTs
>261
ご指名くださってありがとうございました。
私には、それで十分だと思いました。まったく、近頃、
じめじめして困ってしまいますね。アジサイが咲いてますが。
>262
こんばんは、遅くなりましてすみませんでした。
あまり僕は詩がわからないので、そんな者の物を載せていただくわけには、
ゆかないなと思った次第です。ただ、今後とも、細々と続けていくつもりです。
宜しくお願いいたします。
>263
近頃は、とくに、「地下スレ」だと思ってやっているわけではないのですが、
意味なくsage続ければ、結果的に同じになりますよね。すいません。
別に、ageてもらおうが、sageてもらおうが、私はどちらでもいいのですが。
265無明 ◆TPDxMezcT2 :2006/06/24(土) 03:44:18 ID:4yjxV9Y0
ただ
名状しがたい
雪洞の陰の
ふやけた蛾のような
一際濃い闇の
作るはてしなく
暗い影の
女を
まぶたを閉じると
後姿がうつっている。
潤む眼球の
硬度さえ知っているのに
薄茶色の有色人種の筈の
ダイアモンドリングの
ゆらめく火の輪郭の
薄暗さだけが
この眼にうつっている。
落葉の下の
神の手のいちいの実の
劫罰というしか
なかった。
濡れた石の下の
虫や蛙のように
暗い階段をゆっくり下っていく
あらゆる所へ繋がる
楽園を出る道
蛇に脅かされた男女と違って
林檎園を見たのは
罪人としてであった。
ただ
雲を払い
一夜の月を献ず
266樹 ◆TPDxMezcT2 :2006/06/30(金) 22:16:03 ID:oEBAxdLg
太陽がなぜか
この空に帰ってくるように
苦しみもまた帰ってくる
あらゆる建築は
悲しみを癒すための
庇をつけて
遠方のバルコニーが
透明にゆがんでいる
温泉でなく
マーブルのゆかしい噴水が
プラタナスの陰で
はてしなく湧き立っている

万物は流転す
その神妙なサイクルは
自然の場合には
経過が緩慢なだけだ
樹の陰から
縁からあふれる水を
呆然と
見ている!
それでも
人類の緩慢な生殖への夢も
永遠にかなわなく
なった
267記憶 ◆TPDxMezcT2 :2006/07/22(土) 03:28:17 ID:RxyTVyp2
水のなかで遠くの魚を見て
急に顔をあげると
睫毛に付いた水滴をとおって
太陽がきらめいた
このあおだいしょうのごとき
せせらぎの行く末を思えば
はるかな海につながっている
人々は想像する
紺碧の鏡のおもてを でも
はまなすの実を探すように
海辺には自らの姿を探せない
川底のすなつちに両足を埋めて
股の下の川面をながめても
過去においてきたものは
流れて来ない
積み藁の陰でオカリナをふいた昨日も
この先にはない
記憶が流されていく
本当の川の姿が見たい
ささやかな口づけのひとつも
もはや人間の視覚の及ばないところに
 ある
人類の過去だけが
永遠のほうへ流れていく
そしてふたたび太陽がきらめく
ただ銀色の横笛はなんどでも吹けると
268 ◆TPDxMezcT2 :2006/07/22(土) 03:29:31 ID:RxyTVyp2
ageてみましたが、特に意味はありません。
同時に、sageて来たのも、特に意味はなかったのでした。
269名前はいらない:2006/07/24(月) 03:18:55 ID:lkJF8iH2
じょうすい
270ネル:2006/07/24(月) 03:27:29 ID:6BaSgTOC
気まぐれな電話
あてにして
可愛いベビードール身に纏い
寂しさと喜びを待ってるの
勝手気ままな君を好きになったアタシが悪いのね

夢の中の
君の大事なものを奪い取るわ
アタシだけ玩具にしてあげる
朱い果実を頬張って
笑顔で差し延べるの
『もう 離さない』と
泣きながら哀願する君に
氷のような眼差しを渡してあげましょう
不幸にしてあげたいから
おやすみ
愛しいダーリン
悪夢の魔法をかけてあげたからね
271(-ω-)類 ◆Z/RUI/OFiY :2006/08/15(火) 21:52:05 ID:Isom5R7E
どうにもならない

大きな
大きな

影の中の

小さな
小さな

声の主

雲は切れ
弱々しい光に
照らされる
272 ◆TPDxMezcT2 :2006/08/18(金) 03:49:02 ID:qy0OAZnZ
>270
どうも初めまして。書き込みありがとうございます。愛憎は紙一重という事でしょうか。
相反する意味合いの言葉を組み合わせて、そんな雰囲気を創り出しておられますね。
>271
どうも初めまして。この閉鎖的なスレッドに投稿くださいまして、ありがとうございます。
これは矢張り、ageの効果が出ているのでしょうか。
この宇宙の大半を占めるのは闇であるそうです。そんな弱々しさが、醸されてる。
でも、却って、そんな微光がこの詩の中では、際立っているようにも思えます。

因みに、私はこうして感想文を書いているわけですが、むろんのこと、どなたでも、
感想や評価の類を、お好きなように、なさっていただきたいと思います。
すると、他の色々のスレッドと、役割が重複してしまいそうではありますが。
273すいれん ◆TPDxMezcT2 :2006/08/18(金) 03:50:06 ID:qy0OAZnZ
陶製の水盤に残る
泥の中の蓮の
未来の生命を
考えるのは旅人である
土地の女は日傘を差しながら
午後の畦道を行く
葡萄の房の
垂れ下がる
かごを提げてる
描き忘れられた影のように
思考が足りない
対になって充たされるのは
被造物の宿命であるか
遠ざかる女の足元に影がない
来年はこの田にも
赤いすいれんが咲かない
274(ノ・д・)ノ類#CセK.A8'セ:2006/09/01(金) 01:22:14 ID:6VyXu9nW
>>272
これはドモご丁寧に、、、
ツマラナイモノですが

        ダンゴ
(´・ω・)つ―●◎○

シガラ最近地下スレを巡ってるので、
またくるやもしれませんス

デハデハ
275(ノ∀`)類 ◆.eRUIXXXv. :2006/09/01(金) 21:31:59 ID:6VyXu9nW
酉を割っちゃっても気にしないぞっ☆













正直ゴメン。
276名前はいらない:2006/09/15(金) 01:10:16 ID:v/6oXKQM
とおじも
277 ◆TPDxMezcT2 :2006/10/15(日) 02:02:08 ID:L1bqxzpr
すみません、長い事来ませんで、お団子をありがとうございます。大変硬くなっている。
地下スレを巡る事は楽しそうですね。いま、700以上のスレッドが、詩板にはあるのですね。
新しいトリップが見つかってよかった。こんな調子でたいへん申し訳ありません。
278 ◆TPDxMezcT2 :2006/10/15(日) 02:05:51 ID:L1bqxzpr
で、懲りずに書き残して行こうと思います。もはや詩を作るのを習性として。
私の書くものが詩であるかどうかは、私の信念に関わる事です。
そして、私の信念が三流である以上、私の書くものも、三流であります。
しかし、詩である事は譲れないのかな。詩でない可能性は多分にあるはず。
たとえば、スクランブルエッグを出して、「これはオムレツである」と言うがごとく。
とりあえず、「もう書くな」と言う事になれば、もう書かないという準備だけは整っています。
279深い海へ1/2 ◆TPDxMezcT2 :2006/10/15(日) 02:07:38 ID:L1bqxzpr
私が溺れた後、
陽の光りはまだ、
青ざめた皮膚を
血液のかわりに
暖かくしていた。
私の霊魂は
テントの立ち並ぶ海浜を越えて、
窓辺にまどろんでいる君の
顔をながめに行った、
それは昼めしの後であった。
青い軽やかな、
無数の波が、
私の髪を弄ぶ、
透明な海流が私の体を
深海へ押しやろうとする。
慈愛に満ちる太陽が、
私のもとから
本当に去ろうとするのを
感じたのは初めてであった。
いまや琥珀の一かけらとなった太陽を、
三流のペスィミスムのような
薄暗い波が、
さんざんになめつくし、
私の頬に影を落とす。
夜が来る。
280深い海へ2/2 ◆TPDxMezcT2

 肉体は霊魂とともに沈潜する
 グラスを振ると
 何も聴こえない
 かろうじて液体の入っていた事が
 こびり付いたしみによってわかる

なめてみたら塩からい。
偉大なる伝説をささやき給え。
もう海は消えてなくなった。
浜に残るカキシブの如き色彩
取り残された魚が、
燦燦たる太陽を見詰めて、
跳ねるのをやめた。
オー人類の神よ、
新たなる伝説を、
彼の耳にささやき給え。
愛しい海水は、
あまり地中深くまで
滲み込んでしまった。
それは次なる時代の
新たなる不安の
根源となろう。